JPH1036972A - 亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液 - Google Patents
亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液Info
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- JPH1036972A JPH1036972A JP21053896A JP21053896A JPH1036972A JP H1036972 A JPH1036972 A JP H1036972A JP 21053896 A JP21053896 A JP 21053896A JP 21053896 A JP21053896 A JP 21053896A JP H1036972 A JPH1036972 A JP H1036972A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた塗装板の密着性、耐食性及び優れた耐
黒錆性付与することができる亜鉛含有金属めっき鋼板用
酸性置換めっき液を提供することを目的とする。 【解決手段】 Ni2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から
選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原子に換算
して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜250g
/Lと、及び無機化合物及び有機化合物から選ばれる少
なくとも1種の酸化剤を0.01〜20g/Lとを含有
し、かつpHが0.5〜4.5であることを特徴とする
亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液。
黒錆性付与することができる亜鉛含有金属めっき鋼板用
酸性置換めっき液を提供することを目的とする。 【解決手段】 Ni2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から
選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原子に換算
して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜250g
/Lと、及び無機化合物及び有機化合物から選ばれる少
なくとも1種の酸化剤を0.01〜20g/Lとを含有
し、かつpHが0.5〜4.5であることを特徴とする
亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛含有金属めっ
き鋼板用酸性置換めっき液組成物に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は溶融亜鉛めっき鋼
板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、
亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合
金めっき鋼板等の亜鉛含有金属めっき鋼板に接触させる
ことによって、めっき表面に優れた塗膜密着性を有する
重金属被覆を形成させ、また引き続き塗布型クロメート
処理を行う場合には、形成されるクロメート被覆にきわ
めて優れた塗膜密着性と、耐黒錆性と耐クロム溶出性と
を付与させることができ、かつ置換めっき性を長期にわ
たって維持して連続使用が可能な亜鉛含有金属めっき鋼
板用酸性置換めっき液に関する。
き鋼板用酸性置換めっき液組成物に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は溶融亜鉛めっき鋼
板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、
亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合
金めっき鋼板等の亜鉛含有金属めっき鋼板に接触させる
ことによって、めっき表面に優れた塗膜密着性を有する
重金属被覆を形成させ、また引き続き塗布型クロメート
処理を行う場合には、形成されるクロメート被覆にきわ
めて優れた塗膜密着性と、耐黒錆性と耐クロム溶出性と
を付与させることができ、かつ置換めっき性を長期にわ
たって維持して連続使用が可能な亜鉛含有金属めっき鋼
板用酸性置換めっき液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、亜鉛含有金属めっき鋼板を、
酸性水溶液、特にリン酸塩水溶液を用いて処理し塗装下
地皮膜を形成し、それによってその上に塗布される塗
料、又は他の乾燥性皮膜との密着性を向上させる方法が
広く工業的に実施されている。一般にこうして形成され
たリン酸塩皮膜層が、適正な皮膜量及び結晶サイズを有
するように管理されているならば、その上に形成される
塗膜は満足すべき塗膜性能を示す。従って、これらの物
理量を適性範囲に管理することが必要であるが、そのた
めには、鋼板上のめっきの種類、鋼板のラインスピード
に応じて化成処理条件を変化させるだけでなく、処理液
中に発生するスラッジを頻繁に除去する必要がある。
酸性水溶液、特にリン酸塩水溶液を用いて処理し塗装下
地皮膜を形成し、それによってその上に塗布される塗
料、又は他の乾燥性皮膜との密着性を向上させる方法が
広く工業的に実施されている。一般にこうして形成され
たリン酸塩皮膜層が、適正な皮膜量及び結晶サイズを有
するように管理されているならば、その上に形成される
塗膜は満足すべき塗膜性能を示す。従って、これらの物
理量を適性範囲に管理することが必要であるが、そのた
めには、鋼板上のめっきの種類、鋼板のラインスピード
に応じて化成処理条件を変化させるだけでなく、処理液
中に発生するスラッジを頻繁に除去する必要がある。
【0003】しかしながら、従来の溶融亜鉛めっき鋼板
よりも亜鉛めっき層中の鉛含有量を低下させた低鉛溶融
亜鉛めっき鋼板においては、めっき層中の結晶粒界、及
びめっき層と合金層との界面における鉛の偏析が回避さ
れ、これが腐食防止に効果的であることが見い出され
た。このため低鉛溶融亜鉛めっき鋼板が各種業界で幅広
く採用されている。しかし、これは従来の溶融亜鉛めっ
き鋼板とは異なり、折り曲げ加工時にクラックが発生し
難く、このため鋼板と塗膜の中間に位置するりん酸塩皮
膜にせん断応力が集中することとなる。このため、りん
酸塩皮膜の凝集破壊が発生し、その結果、塗膜剥離を起
こし易くなるという問題点がある。
よりも亜鉛めっき層中の鉛含有量を低下させた低鉛溶融
亜鉛めっき鋼板においては、めっき層中の結晶粒界、及
びめっき層と合金層との界面における鉛の偏析が回避さ
れ、これが腐食防止に効果的であることが見い出され
た。このため低鉛溶融亜鉛めっき鋼板が各種業界で幅広
く採用されている。しかし、これは従来の溶融亜鉛めっ
き鋼板とは異なり、折り曲げ加工時にクラックが発生し
難く、このため鋼板と塗膜の中間に位置するりん酸塩皮
膜にせん断応力が集中することとなる。このため、りん
酸塩皮膜の凝集破壊が発生し、その結果、塗膜剥離を起
こし易くなるという問題点がある。
【0004】上記のような問題点を回避するため、りん
酸塩処理に代わって、6価クロムと3価クロムとを含む
塗布型クロメート処理が塗装下地処理として採用されつ
つある。この処理方法は、処理液組成の維持、管理が容
易で、かつ多様なめっきの種類、ラインスピードの変化
に追従できる等の利点を有している。しかし、そのクロ
メート皮膜の塗膜密着性は、りん酸塩皮膜に比べて劣
り、特に加工度の大きい折り曲げ圧着加工が施される
と、塗膜に剥離が生じ易い欠点があった。
酸塩処理に代わって、6価クロムと3価クロムとを含む
塗布型クロメート処理が塗装下地処理として採用されつ
つある。この処理方法は、処理液組成の維持、管理が容
易で、かつ多様なめっきの種類、ラインスピードの変化
に追従できる等の利点を有している。しかし、そのクロ
メート皮膜の塗膜密着性は、りん酸塩皮膜に比べて劣
り、特に加工度の大きい折り曲げ圧着加工が施される
と、塗膜に剥離が生じ易い欠点があった。
【0005】このような塗布型クロメート皮膜の欠点を
改善して塗膜密着性を向上させるために、特公昭43
−12974号公報、特公昭52−22618号公
報、特公昭52−43171号公報および特開昭6
1−69978号公報等には、亜鉛含有金属めっき鋼板
にクロメート処理を施す前に、予め鋼板にNi、Co、
及びFeから選ばれた少なくとも1種からなる重金属置
換めっき処理を施すことによって、塗装密着性を改善す
る方法が提示されている。
改善して塗膜密着性を向上させるために、特公昭43
−12974号公報、特公昭52−22618号公
報、特公昭52−43171号公報および特開昭6
1−69978号公報等には、亜鉛含有金属めっき鋼板
にクロメート処理を施す前に、予め鋼板にNi、Co、
及びFeから選ばれた少なくとも1種からなる重金属置
換めっき処理を施すことによって、塗装密着性を改善す
る方法が提示されている。
【0006】これら従来方法のうちの、前期特公昭4
3−12974号公報に開示されたものはクロメート処
理に先立って、pH11以上のCo2+、Fe2+、Fe3+
及びNi2+を含む塩基性水溶液を用いて、亜鉛含有金属
めっき鋼板を処理する方法に関するものであるが、この
方法には処理時間の経過に伴い処理液中に亜鉛含有金属
めっき鋼板より亜鉛イオンが溶出蓄積され、そのために
スラッジを多量に生成するという問題があり、このた
め、このスラッジを除去する必要が生じ、作業性の面で
問題があった。
3−12974号公報に開示されたものはクロメート処
理に先立って、pH11以上のCo2+、Fe2+、Fe3+
及びNi2+を含む塩基性水溶液を用いて、亜鉛含有金属
めっき鋼板を処理する方法に関するものであるが、この
方法には処理時間の経過に伴い処理液中に亜鉛含有金属
めっき鋼板より亜鉛イオンが溶出蓄積され、そのために
スラッジを多量に生成するという問題があり、このた
め、このスラッジを除去する必要が生じ、作業性の面で
問題があった。
【0007】また、上記特公昭52−22618号公
報及び特公昭52−43171号公報に開示されたも
のは、クロメート処理に先立って、pH1.5前後のN
i2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から選ばれた少なくと
も1種を含む酸性の溶液で亜鉛めっき鋼板を処理する方
法に関するものであるが、これらの方法はいずれも無機
酸として腐食性の高い塩酸を使用しているため、ゴムラ
イニング等で被覆処理されたステンレス鋼製容器や配管
を使用しない限り、これらの方法の実用化が困難であ
り、作業環境を悪くするという問題があった。
報及び特公昭52−43171号公報に開示されたも
のは、クロメート処理に先立って、pH1.5前後のN
i2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から選ばれた少なくと
も1種を含む酸性の溶液で亜鉛めっき鋼板を処理する方
法に関するものであるが、これらの方法はいずれも無機
酸として腐食性の高い塩酸を使用しているため、ゴムラ
イニング等で被覆処理されたステンレス鋼製容器や配管
を使用しない限り、これらの方法の実用化が困難であ
り、作業環境を悪くするという問題があった。
【0008】さらに、前記特開昭61−69978号
公報に開示されたものは、クロメート処理に先立ち、低
鉛溶融亜鉛めっき鋼板を、Feイオン、Coイオン及び
Niイオンから選ばれた少なくとも1種を含む塩酸、硫
酸、又はりん酸水溶液あるいはアルカリ水溶液のいずれ
かで処理する方法に関するものであるが、このうち、塩
酸、又は硫酸水溶液あるいはアルカリ水溶液を用いる場
合には、処理時間の経過にともなう溶出する亜鉛イオン
の増加とpHの上昇とにより、これらの金属が析出し難
くなるという問題があった。
公報に開示されたものは、クロメート処理に先立ち、低
鉛溶融亜鉛めっき鋼板を、Feイオン、Coイオン及び
Niイオンから選ばれた少なくとも1種を含む塩酸、硫
酸、又はりん酸水溶液あるいはアルカリ水溶液のいずれ
かで処理する方法に関するものであるが、このうち、塩
酸、又は硫酸水溶液あるいはアルカリ水溶液を用いる場
合には、処理時間の経過にともなう溶出する亜鉛イオン
の増加とpHの上昇とにより、これらの金属が析出し難
くなるという問題があった。
【0009】一方、従来より亜鉛含有金属めっき鋼板に
対し、耐食性向上を目的として、クロメート処理が施さ
れている。この処理は、白錆の防止には顕著な効果を有
するが、しかし、在庫期間、又は輸送中に黒錆(黒変現
象と呼ばれる)が発生するという問題を有している。こ
のようなクロメート処理後の黒錆問題に対する対策とし
て、例えば、特公平3−49982号公報に記載されて
いるように、Fe、Ni、Co等によるフラッシュ処理
が知られている。前記特公平3−49982号公報に記
載されている技術は、クロメート処理に先立ち、Ni2+
又はCo2+イオンを含み、pH1〜4、又はpH11〜
13.5の処理液により、亜鉛含有金属めっき鋼板を処
理することにより黒錆の防止が実現できるものである。
しかし、この方法でも、処理に伴い溶出する亜鉛イオン
濃度が増大した場合、スラッジが発生し、作業性が低下
するという問題がある。
対し、耐食性向上を目的として、クロメート処理が施さ
れている。この処理は、白錆の防止には顕著な効果を有
するが、しかし、在庫期間、又は輸送中に黒錆(黒変現
象と呼ばれる)が発生するという問題を有している。こ
のようなクロメート処理後の黒錆問題に対する対策とし
て、例えば、特公平3−49982号公報に記載されて
いるように、Fe、Ni、Co等によるフラッシュ処理
が知られている。前記特公平3−49982号公報に記
載されている技術は、クロメート処理に先立ち、Ni2+
又はCo2+イオンを含み、pH1〜4、又はpH11〜
13.5の処理液により、亜鉛含有金属めっき鋼板を処
理することにより黒錆の防止が実現できるものである。
しかし、この方法でも、処理に伴い溶出する亜鉛イオン
濃度が増大した場合、スラッジが発生し、作業性が低下
するという問題がある。
【0010】このスラッジの発生を抑え、反応性を長期
にわたり維持させるために、例えば、特開平5−302
179号公報に記載されている置換めっき液は、クロメ
ート処理に先立ち、前記従来例の酸性置換めっき液にテ
ルル、アンチモン、錫、鉛の1種又は2種以上を置換め
っき液中に添加して初期の効果を有効に持続させたもの
である。しかし、この方法では、Fe、Ni、Co等と
同時にTe、Sb、Sn、Pb等の金属も鋼板表面に析
出してしまうため、板外観を黒くさせてしまう欠点を持
っている。
にわたり維持させるために、例えば、特開平5−302
179号公報に記載されている置換めっき液は、クロメ
ート処理に先立ち、前記従来例の酸性置換めっき液にテ
ルル、アンチモン、錫、鉛の1種又は2種以上を置換め
っき液中に添加して初期の効果を有効に持続させたもの
である。しかし、この方法では、Fe、Ni、Co等と
同時にTe、Sb、Sn、Pb等の金属も鋼板表面に析
出してしまうため、板外観を黒くさせてしまう欠点を持
っている。
【0011】また、特開平6−293973号公報に記
載されている置換めっき液は、特開平5−302179
号公報のように初期置換めっき反応を長期にわたり維持
するために必要な前述の化合物を含有させることなし
に、金属表面のエッチングに寄与するリン酸イオン、硫
酸イオン、有機酸イオンの含有量を特定範囲内に限定
し、pHを2.0〜4.5に調整することによって、め
っき液の連続使用を可能にしたものである。しかし、こ
れではFe、Ni、Co等の析出速度の向上効果が低下
してしまうため、十分な性能(耐食性、塗装密着性)が
得られなくなってしまう。
載されている置換めっき液は、特開平5−302179
号公報のように初期置換めっき反応を長期にわたり維持
するために必要な前述の化合物を含有させることなし
に、金属表面のエッチングに寄与するリン酸イオン、硫
酸イオン、有機酸イオンの含有量を特定範囲内に限定
し、pHを2.0〜4.5に調整することによって、め
っき液の連続使用を可能にしたものである。しかし、こ
れではFe、Ni、Co等の析出速度の向上効果が低下
してしまうため、十分な性能(耐食性、塗装密着性)が
得られなくなってしまう。
【0012】また、特開昭63−103080号公報に
開示されたものは確かにスラッジは発生しないものの処
理液中の溶出亜鉛イオン濃度が高くなると置換めっき性
が低下する。さらに、処理液中の溶出亜鉛濃度に見合う
分量のケイフッ酸あるいはケイフッ化物が補給されるた
め、処理液中の溶出亜鉛濃度が高くなるのに伴い、フッ
素濃度もたかまることになり、排水処理性が劣るという
問題点を有していた。このように、現状では塗膜密着性
と耐食性に優れ、かつ板表面の黒変を押え、かつスラッ
ジ発生が無く長期の使用が可能な亜鉛含有金属めっき鋼
板用処理剤は見い出されていないのが現状である。
開示されたものは確かにスラッジは発生しないものの処
理液中の溶出亜鉛イオン濃度が高くなると置換めっき性
が低下する。さらに、処理液中の溶出亜鉛濃度に見合う
分量のケイフッ酸あるいはケイフッ化物が補給されるた
め、処理液中の溶出亜鉛濃度が高くなるのに伴い、フッ
素濃度もたかまることになり、排水処理性が劣るという
問題点を有していた。このように、現状では塗膜密着性
と耐食性に優れ、かつ板表面の黒変を押え、かつスラッ
ジ発生が無く長期の使用が可能な亜鉛含有金属めっき鋼
板用処理剤は見い出されていないのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の抱える問題点を解消し、亜鉛含有金属めっき鋼板に
対し、処理時間が経過して置換めっき液中に亜鉛含有金
属めっき鋼板より溶出する亜鉛イオン濃度が増加してき
ても、スラッジが発生することなく、Ni、Co及び/
又はFe等の重金属を効率良く析出させ、かつ装置の腐
食が殆ど生ずることがなく、汎用性の高い亜鉛含有金属
めっき鋼板用酸性置換めっき液を提供することを目的と
するものである。
術の抱える問題点を解消し、亜鉛含有金属めっき鋼板に
対し、処理時間が経過して置換めっき液中に亜鉛含有金
属めっき鋼板より溶出する亜鉛イオン濃度が増加してき
ても、スラッジが発生することなく、Ni、Co及び/
又はFe等の重金属を効率良く析出させ、かつ装置の腐
食が殆ど生ずることがなく、汎用性の高い亜鉛含有金属
めっき鋼板用酸性置換めっき液を提供することを目的と
するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記問題
点を解決するための手段について鋭意検討した結果、N
i2+、Co2+、Fe2+及びFe3+の群から選ばれる少な
くとも1種の金属イオンを含有する酸性置換めっき液
に、無機化合物及び有機化合物から選ばれる少なくとも
1種の酸化剤を添加すると、スラッジ発生がなく長期に
わたりその初期性能を維持し得るということを新たに見
いだし、本発明の完成に至った。更に従来技術の酸性置
換めっき液では、上述のように板外観を黒くしてしまう
こと、及びFe、Ni、Co等の析出速度の向上効果が
低下してしまう問題があったが、これらをも同時に解決
できることも見い出した。
点を解決するための手段について鋭意検討した結果、N
i2+、Co2+、Fe2+及びFe3+の群から選ばれる少な
くとも1種の金属イオンを含有する酸性置換めっき液
に、無機化合物及び有機化合物から選ばれる少なくとも
1種の酸化剤を添加すると、スラッジ発生がなく長期に
わたりその初期性能を維持し得るということを新たに見
いだし、本発明の完成に至った。更に従来技術の酸性置
換めっき液では、上述のように板外観を黒くしてしまう
こと、及びFe、Ni、Co等の析出速度の向上効果が
低下してしまう問題があったが、これらをも同時に解決
できることも見い出した。
【0015】即ち、本発明の亜鉛含有金属めっき鋼板用
酸性めっき液組成物は、Ni2+、Co2+、Fe2+及びF
e3+から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原
子に換算して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜
250g/Lと、及び無機化合物及び有機化合物から選
ばれる少なくとも1種の酸化剤を0.01〜20g/L
とを含有し、かつpHが0.5〜4.5であることを特
徴とする亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液を
提供する。さらに、本発明の置換めっき液にリン酸イオ
ン及び有機酸類イオンから選ばれる少なくとも1種のイ
オンを含有させるのが好ましい。
酸性めっき液組成物は、Ni2+、Co2+、Fe2+及びF
e3+から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原
子に換算して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜
250g/Lと、及び無機化合物及び有機化合物から選
ばれる少なくとも1種の酸化剤を0.01〜20g/L
とを含有し、かつpHが0.5〜4.5であることを特
徴とする亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液を
提供する。さらに、本発明の置換めっき液にリン酸イオ
ン及び有機酸類イオンから選ばれる少なくとも1種のイ
オンを含有させるのが好ましい。
【0016】以下に、本発明の構成について詳しく述べ
る。本発明の酸性置換めっき液は以下の成分を含有す
る。本発明の酸性置換めっき液は、Ni2+、Co2+、F
e2+及びFe3+から選ばれる少なくとも1種の金属イオ
ンを金属原子に換算して0.1〜40g/Lを含有す
る。また、該金属イオンをめっき液中に供給するために
は、該金属イオンの硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酸化
物、水酸化物あるいは有機酸塩などを用いることが望ま
しい。なお塩化物は長期に使用した場合、塩素イオンが
蓄積し、めっき装置の腐食を起こす危険性があるので好
ましくない。
る。本発明の酸性置換めっき液は以下の成分を含有す
る。本発明の酸性置換めっき液は、Ni2+、Co2+、F
e2+及びFe3+から選ばれる少なくとも1種の金属イオ
ンを金属原子に換算して0.1〜40g/Lを含有す
る。また、該金属イオンをめっき液中に供給するために
は、該金属イオンの硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酸化
物、水酸化物あるいは有機酸塩などを用いることが望ま
しい。なお塩化物は長期に使用した場合、塩素イオンが
蓄積し、めっき装置の腐食を起こす危険性があるので好
ましくない。
【0017】めっき液に含有される上記金属イオンの配
合量は、金属原子に換算して、0.1〜40g/Lであ
る。より好ましくは1〜20g/Lである。配合量が
0.1g/L未満では、析出する金属量が不十分であ
り、塗膜密着性、耐食性、耐黒変性等の所望の効果が得
られない。一方配合量が40g/Lを超えると、金属析
出量は飽和し、液の持ち出しによる経済的損失が大きく
なるので好ましくない。
合量は、金属原子に換算して、0.1〜40g/Lであ
る。より好ましくは1〜20g/Lである。配合量が
0.1g/L未満では、析出する金属量が不十分であ
り、塗膜密着性、耐食性、耐黒変性等の所望の効果が得
られない。一方配合量が40g/Lを超えると、金属析
出量は飽和し、液の持ち出しによる経済的損失が大きく
なるので好ましくない。
【0018】また、本発明の酸性置換めっき液は、硫酸
イオンを1〜250g/L含有する。 硫酸イオンは通
常は硫酸から供給されるが、これは液中に溶出してくる
亜鉛イオンを補足するためのものであるから、亜鉛イオ
ンの増加に従い供給される。従って、その含有量は漸次
増加する傾向にある。このため、硫酸イオン濃度は、亜
鉛のエッチング量とめっき液の持ち出し量によって決め
られるが、その配合量は1〜250g/Lの範囲が好ま
しい。より好ましくは、1〜100g/Lである。配合
量が1g/L未満では溶出してくる亜鉛イオンを補足す
るのに不十分であり、また、配合量が250g/Lを超
えるとその効果は飽和し、経済的に不利になるので好ま
しくない。
イオンを1〜250g/L含有する。 硫酸イオンは通
常は硫酸から供給されるが、これは液中に溶出してくる
亜鉛イオンを補足するためのものであるから、亜鉛イオ
ンの増加に従い供給される。従って、その含有量は漸次
増加する傾向にある。このため、硫酸イオン濃度は、亜
鉛のエッチング量とめっき液の持ち出し量によって決め
られるが、その配合量は1〜250g/Lの範囲が好ま
しい。より好ましくは、1〜100g/Lである。配合
量が1g/L未満では溶出してくる亜鉛イオンを補足す
るのに不十分であり、また、配合量が250g/Lを超
えるとその効果は飽和し、経済的に不利になるので好ま
しくない。
【0019】さらに、本発明の酸性置換めっき液は、無
機化合物及び有機化合物から選ばれる少なくとも1種の
酸化剤を0.01〜20g/Lを含有する。本発明で
は、初期の反応性を長期にわたり維持させるために酸化
剤から選ばれる少なくとも1種を置換めっき液中に添加
される。この酸化剤の例として、H2O2イオン、N
O2 -、ClO3 -、BrO3 -等の酸化物イオンや有機過酸
化物等が挙げられるが、特にこれらの限定されるもので
はない。また1種類の酸化剤のみならず、2種以上の酸
化剤の混合物でもよい。なお、処理液中の酸化剤の配合
量0.01〜20g/Lが好ましい。より好ましくは、
0.05〜20g/Lである。配合量が0.01g/L
未満では良好な置換析出反応性を維持することができな
い。一方、配合量が20g/Lを超えると逆に金属イオ
ンの置換析出速度が低下する。
機化合物及び有機化合物から選ばれる少なくとも1種の
酸化剤を0.01〜20g/Lを含有する。本発明で
は、初期の反応性を長期にわたり維持させるために酸化
剤から選ばれる少なくとも1種を置換めっき液中に添加
される。この酸化剤の例として、H2O2イオン、N
O2 -、ClO3 -、BrO3 -等の酸化物イオンや有機過酸
化物等が挙げられるが、特にこれらの限定されるもので
はない。また1種類の酸化剤のみならず、2種以上の酸
化剤の混合物でもよい。なお、処理液中の酸化剤の配合
量0.01〜20g/Lが好ましい。より好ましくは、
0.05〜20g/Lである。配合量が0.01g/L
未満では良好な置換析出反応性を維持することができな
い。一方、配合量が20g/Lを超えると逆に金属イオ
ンの置換析出速度が低下する。
【0020】上記酸化剤として、H2O2、NO2 -、Cl
O3 -、BrO3 -の酸化物イオンの他に、NO3 -、SO3
2-、S2O4 2-、P2H2O5 2-、ClO4 -、ClO-、Br
2O2 -、BrO-、IO-、IO3-等が挙げられ、これら
酸化物イオンを酸化剤として処理液中に供給するには、
これらのアルカリ金属塩を用いることが望ましい。ま
た、有機過酸化物としてはエチルヒドロペルオキシド、
イソプロピルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペ
ルオキシド、Di−t−ブチルペルオキシド、ジエチル
ペルオキシド、t−ブチルペルオキシマレイン酸等の単
純にペルオキシ骨格を有するものと、過酢酸、モノ過フ
タル酸、過コハク酸等の過カルボン酸タイプ等が挙げら
れる。本発明の酸化剤には、特開平5−302179号
に開示されるテルル、アンチモン、錫、銀等の金属は含
まれない。これらは板外観を黒変させる。
O3 -、BrO3 -の酸化物イオンの他に、NO3 -、SO3
2-、S2O4 2-、P2H2O5 2-、ClO4 -、ClO-、Br
2O2 -、BrO-、IO-、IO3-等が挙げられ、これら
酸化物イオンを酸化剤として処理液中に供給するには、
これらのアルカリ金属塩を用いることが望ましい。ま
た、有機過酸化物としてはエチルヒドロペルオキシド、
イソプロピルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペ
ルオキシド、Di−t−ブチルペルオキシド、ジエチル
ペルオキシド、t−ブチルペルオキシマレイン酸等の単
純にペルオキシ骨格を有するものと、過酢酸、モノ過フ
タル酸、過コハク酸等の過カルボン酸タイプ等が挙げら
れる。本発明の酸化剤には、特開平5−302179号
に開示されるテルル、アンチモン、錫、銀等の金属は含
まれない。これらは板外観を黒変させる。
【0021】上記のような組成成分を有する本発明の酸
性置換めっき液のpHは0.5〜4.5の範囲内に調整
する必要がある。より好ましくは1.0〜4.0であ
る。pH値を上記範囲内に維持するために、めっき液に
フッ化水素酸、ケイフッ化水素酸をさらに添加してもよ
い。また、pH値が低い場合には、亜鉛酸化物やアンモ
ニアを添加してそれを調整してもよい。pH範囲を0.
5〜4.5に限定した理由は、pH値が0.5未満では
過剰の無機酸を含有していることを意味し、亜鉛エッチ
ング量が過多になり、さらに低いpHになると装置腐食
の問題を引き起こす危険性があるので好ましくない。一
方、pH値が4.5を超えると、溶出亜鉛イオン量が増
加してきた場合、置換めっき反応性が低下するので好ま
しくない。
性置換めっき液のpHは0.5〜4.5の範囲内に調整
する必要がある。より好ましくは1.0〜4.0であ
る。pH値を上記範囲内に維持するために、めっき液に
フッ化水素酸、ケイフッ化水素酸をさらに添加してもよ
い。また、pH値が低い場合には、亜鉛酸化物やアンモ
ニアを添加してそれを調整してもよい。pH範囲を0.
5〜4.5に限定した理由は、pH値が0.5未満では
過剰の無機酸を含有していることを意味し、亜鉛エッチ
ング量が過多になり、さらに低いpHになると装置腐食
の問題を引き起こす危険性があるので好ましくない。一
方、pH値が4.5を超えると、溶出亜鉛イオン量が増
加してきた場合、置換めっき反応性が低下するので好ま
しくない。
【0022】さらに、本発明においてはリン酸イオンを
供給しても良い。その供給源としては、オルトリン酸塩
を用いることが好ましい。めっき液中に含有されるリン
酸イオンの配合量は0.05〜10g/Lの範囲にする
のが好ましい。配合量が0.05g/L未満では、めっ
き液のpHが急激に上昇し、成分バランスに影響をきた
し、また、配合量10g/Lを超えると、そのpH緩衝
能が飽和し、亜鉛のエッチング量だけが多くなり析出効
果は低下する。
供給しても良い。その供給源としては、オルトリン酸塩
を用いることが好ましい。めっき液中に含有されるリン
酸イオンの配合量は0.05〜10g/Lの範囲にする
のが好ましい。配合量が0.05g/L未満では、めっ
き液のpHが急激に上昇し、成分バランスに影響をきた
し、また、配合量10g/Lを超えると、そのpH緩衝
能が飽和し、亜鉛のエッチング量だけが多くなり析出効
果は低下する。
【0023】また、本発明の酸性置換めっき液には有機
酸類イオンを添加しても良い。この有機酸類としては、
グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グ
ルコン酸及びアスコルビン酸から選ばれた少なくとも1
種が例として挙げられ、その配合量は、1〜20g/L
であることが好ましい。この有機酸は溶出してきた亜鉛
を補足する作用とpHを緩衝させる作用を有する。配合
量が1g/Lではその効果が少ないし、20g/Lを超
えるとその効果は飽和すると共に重金属の析出効率も低
下する場合がある。
酸類イオンを添加しても良い。この有機酸類としては、
グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グ
ルコン酸及びアスコルビン酸から選ばれた少なくとも1
種が例として挙げられ、その配合量は、1〜20g/L
であることが好ましい。この有機酸は溶出してきた亜鉛
を補足する作用とpHを緩衝させる作用を有する。配合
量が1g/Lではその効果が少ないし、20g/Lを超
えるとその効果は飽和すると共に重金属の析出効率も低
下する場合がある。
【0024】さらに、本発明において、Ni2+、C
o2+、Fe2+及びFe3+から選ばれる少なくとも1種の
金属イオンをイオンとして存続させるために、その処理
液に錯化剤を添加しても良い。
o2+、Fe2+及びFe3+から選ばれる少なくとも1種の
金属イオンをイオンとして存続させるために、その処理
液に錯化剤を添加しても良い。
【0025】錯化剤としては、特定するものではないが
好ましいものとして、(1)グルコン酸、ヘプトグルコ
ン酸、クエン酸及び酒石酸などのヒドロキシカルボン
酸、これらの塩であるグルコン酸ナトリウム、ヘプトグ
ルコン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム及び酒石酸
カリウム等のヒドロキシカルボン酸塩、(2)マロン酸
及びフマール酸などのジカルボン酸、これらの塩である
ジカルボン酸塩、ソルビトール及び1,2−エタンジオ
ールなどのポリヒドロキシル化合物、(3)アセチルア
セトンなどのヒドロキシルアルデヒド類、(4)エチレ
ンジアミンテトラ酢酸及びニトリロトリ酢酸などのアモ
ノカルボン酸、(5)ポリアミノカルボン酸またはこれ
らの塩、(6)グリシンなどのアミノ酸、及び(7)リ
グニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられ
る。
好ましいものとして、(1)グルコン酸、ヘプトグルコ
ン酸、クエン酸及び酒石酸などのヒドロキシカルボン
酸、これらの塩であるグルコン酸ナトリウム、ヘプトグ
ルコン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム及び酒石酸
カリウム等のヒドロキシカルボン酸塩、(2)マロン酸
及びフマール酸などのジカルボン酸、これらの塩である
ジカルボン酸塩、ソルビトール及び1,2−エタンジオ
ールなどのポリヒドロキシル化合物、(3)アセチルア
セトンなどのヒドロキシルアルデヒド類、(4)エチレ
ンジアミンテトラ酢酸及びニトリロトリ酢酸などのアモ
ノカルボン酸、(5)ポリアミノカルボン酸またはこれ
らの塩、(6)グリシンなどのアミノ酸、及び(7)リ
グニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられ
る。
【0026】本発明の置換めっき液の使用方法として
は、亜鉛含有金属めっき鋼板表面に噴霧、浸漬、塗布法
などによって接触させて所望の置換めっきを施し、その
後、水洗、乾燥すればよい。置換めっき液の温度は室温
〜80℃、処理時間は1分以内で充分である。析出する
金属量として、塗装下地処理の場合は1〜100mg/
m2、防錆クロメート処理の黒錆防止の場合は0.3〜
20mg/m2の範囲であれば、所望性能を満足させる
ことができる。表面析出させる金属量が前記下限未満で
は塗膜未着性、黒錆防止に対する効果が得られないこと
があり、表面析出させる金属量が前記上限を超えると上
記効果は飽和し経済的損失をもたらす。なお、乾燥は水
分が飛ぶ程度で充分であり、板温として50〜100℃
の範囲が一般的である。
は、亜鉛含有金属めっき鋼板表面に噴霧、浸漬、塗布法
などによって接触させて所望の置換めっきを施し、その
後、水洗、乾燥すればよい。置換めっき液の温度は室温
〜80℃、処理時間は1分以内で充分である。析出する
金属量として、塗装下地処理の場合は1〜100mg/
m2、防錆クロメート処理の黒錆防止の場合は0.3〜
20mg/m2の範囲であれば、所望性能を満足させる
ことができる。表面析出させる金属量が前記下限未満で
は塗膜未着性、黒錆防止に対する効果が得られないこと
があり、表面析出させる金属量が前記上限を超えると上
記効果は飽和し経済的損失をもたらす。なお、乾燥は水
分が飛ぶ程度で充分であり、板温として50〜100℃
の範囲が一般的である。
【0027】本発明の置換めっき液は、主として純亜
鉛、溶融亜鉛めっき、アルミニウムあるいは鉄を合金成
分として含む溶融亜鉛めっき、電気めっきした亜鉛また
は亜鉛系めっき鋼板の表面に対して適用される。置換め
っき処理された亜鉛含有金属めっき鋼板には、通常耐食
性向上を目的として塗布型クロメート処理が施され、そ
れに引き続き塗装が施される。このような工程で表面処
理された亜鉛含有金属めっき鋼板表面には、緻密なエッ
チング肌が付与され、それによるアンカー効果と、析出
した重金属と後処置のクロメート皮膜との間で何らかの
インタ−ラクション効果(相互作用)が働き、クロメー
ト皮膜が上記めっき鋼板表面に吸着固定化される効果と
により、亜鉛含有金属めっき鋼板素地と塗膜との密着性
が向上するものと考えられる。一方、置換めっき処理さ
れた亜鉛含有金属めっき鋼板にクロメート処理が施され
た場合、析出したCo、Ni、Feなどが酸化反応に対
するバリヤー効果として作用し、その直下のめっき層に
おける酸化皮膜の成長、即ち黒錆化を抑制するものと考
えられる。
鉛、溶融亜鉛めっき、アルミニウムあるいは鉄を合金成
分として含む溶融亜鉛めっき、電気めっきした亜鉛また
は亜鉛系めっき鋼板の表面に対して適用される。置換め
っき処理された亜鉛含有金属めっき鋼板には、通常耐食
性向上を目的として塗布型クロメート処理が施され、そ
れに引き続き塗装が施される。このような工程で表面処
理された亜鉛含有金属めっき鋼板表面には、緻密なエッ
チング肌が付与され、それによるアンカー効果と、析出
した重金属と後処置のクロメート皮膜との間で何らかの
インタ−ラクション効果(相互作用)が働き、クロメー
ト皮膜が上記めっき鋼板表面に吸着固定化される効果と
により、亜鉛含有金属めっき鋼板素地と塗膜との密着性
が向上するものと考えられる。一方、置換めっき処理さ
れた亜鉛含有金属めっき鋼板にクロメート処理が施され
た場合、析出したCo、Ni、Feなどが酸化反応に対
するバリヤー効果として作用し、その直下のめっき層に
おける酸化皮膜の成長、即ち黒錆化を抑制するものと考
えられる。
【0028】
【実施例】本発明を下記実施例によってさらに詳しく説
明する。なお、これらの実施例は本発明の説明のために
記述するものであり、本発明を何ら限定するものではな
い。
明する。なお、これらの実施例は本発明の説明のために
記述するものであり、本発明を何ら限定するものではな
い。
【0029】1.供試板 A材:溶融亜鉛めっき鋼板、ミニマイズドスパングルの
無塗油板 板厚0.35mm、両方とも目付量90g/m2 サイズ200mm×300mm B材:亜鉛−5%アルミニウム合金めっき鋼板の無塗油
板 板厚0.35mm、両方とも目付量90g/m2 サイズ200mm×300mm
無塗油板 板厚0.35mm、両方とも目付量90g/m2 サイズ200mm×300mm B材:亜鉛−5%アルミニウム合金めっき鋼板の無塗油
板 板厚0.35mm、両方とも目付量90g/m2 サイズ200mm×300mm
【0030】2.処理工程 (1)置換めっき処理:表1に示す条件。ここで、連続
加工処理を想定して亜鉛イオンが溶出することを考慮し
亜鉛イオンを硫酸亜鉛で添加した。 (2)洗浄:通常の水道水によるスプレー水洗を10秒
間行う。 (3)クロメート処理:塗布型クロメート処理液(Cr
6+…4%、Cr3+…2%、SiO2…9%を含有する水
分散液)をロールコート法によりクロム付着量50mg
/m2目標で塗布した後、150℃の熱風乾燥炉で最高
到達板温70℃となるように乾燥した。 (4)塗装:下塗り(エポキシ系プライマー)をバーコ
ート法で乾燥塗膜厚4μmになるように塗布し、260
℃の熱風乾燥炉で最高到達板温が210℃となるように
焼き付け乾燥した。さらに、上塗り(ポリエステル系塗
料)をバーコート法で乾燥塗膜厚15μmになるように
塗布し、260℃の熱風乾燥炉で最高到達板温度216
℃となるように焼き付け乾燥した。
加工処理を想定して亜鉛イオンが溶出することを考慮し
亜鉛イオンを硫酸亜鉛で添加した。 (2)洗浄:通常の水道水によるスプレー水洗を10秒
間行う。 (3)クロメート処理:塗布型クロメート処理液(Cr
6+…4%、Cr3+…2%、SiO2…9%を含有する水
分散液)をロールコート法によりクロム付着量50mg
/m2目標で塗布した後、150℃の熱風乾燥炉で最高
到達板温70℃となるように乾燥した。 (4)塗装:下塗り(エポキシ系プライマー)をバーコ
ート法で乾燥塗膜厚4μmになるように塗布し、260
℃の熱風乾燥炉で最高到達板温が210℃となるように
焼き付け乾燥した。さらに、上塗り(ポリエステル系塗
料)をバーコート法で乾燥塗膜厚15μmになるように
塗布し、260℃の熱風乾燥炉で最高到達板温度216
℃となるように焼き付け乾燥した。
【0031】3.評価試験方法 (1)処理液中のスラッジ発生の有無:目視による判定
を行った。 (2)金属析出量(mg/m2):蛍光X線分析法を用
いて、供試板の表面の析出量を測定した。 (3)塗装板の折り曲げ試験:JIS−G−3312の
着色亜鉛鉄板の試験法に準じて、各供試板に対し20℃
において、内側に同じ板厚の2枚の板を挟み込み180
度に折り曲げ、セロハンテープ剥離後の剥離状態を下記
判定基準で評価した。 5:剥離なし 4:亀裂のみ及び剥離面積5%未満 3:剥離面積5%以上25%未満 2:剥離面積25%以上50%未満 1:剥離面積50%以上
を行った。 (2)金属析出量(mg/m2):蛍光X線分析法を用
いて、供試板の表面の析出量を測定した。 (3)塗装板の折り曲げ試験:JIS−G−3312の
着色亜鉛鉄板の試験法に準じて、各供試板に対し20℃
において、内側に同じ板厚の2枚の板を挟み込み180
度に折り曲げ、セロハンテープ剥離後の剥離状態を下記
判定基準で評価した。 5:剥離なし 4:亀裂のみ及び剥離面積5%未満 3:剥離面積5%以上25%未満 2:剥離面積25%以上50%未満 1:剥離面積50%以上
【0032】(4)塗装板耐食性試験:各供試板から7
0mm×150mmの試験板を切り出し、前記試験板に
JIS−Z−2371に規定された塩水噴霧試験を実施
し、360時間後に塗装板表面に発生したブリスターを
ASTM(American Society for
Testingand Materials)規格に
準じて判定した。 (5)耐黒錆性試験:クロメート処理後、塗装せずにJ
IS−Z−2331の塩水噴霧試験を120時間行い、
黒錆発生の有無を調べた。
0mm×150mmの試験板を切り出し、前記試験板に
JIS−Z−2371に規定された塩水噴霧試験を実施
し、360時間後に塗装板表面に発生したブリスターを
ASTM(American Society for
Testingand Materials)規格に
準じて判定した。 (5)耐黒錆性試験:クロメート処理後、塗装せずにJ
IS−Z−2331の塩水噴霧試験を120時間行い、
黒錆発生の有無を調べた。
【0033】実施例1〜6 実施例1〜4については、A材の供試板で、実施例5〜
6ではB材の供試板で、表1に示す処理液組成(実施例
4及び5については、有機酸無添加、実施例1の酸化剤
はt−ブチルヒドロペルオキシド、実施例2の酸化剤は
Di−t−ブチルペルオキシド、実施例3及び4の酸化
剤は過酸化水素、実施例5及び6の酸化剤は亜硝酸ナト
リウムを使用)にてpH2.2〜2.6にて前記の処理
工程にて処理を行った。処理後、処理液中のスラッジ発
生の有無、金属析出量、塗装板の折り曲げ試験及び耐食
性試験を行った。またクロメート処理後、塗装せずに耐
黒錆性試験も行った。その結果を表1に併記した。
6ではB材の供試板で、表1に示す処理液組成(実施例
4及び5については、有機酸無添加、実施例1の酸化剤
はt−ブチルヒドロペルオキシド、実施例2の酸化剤は
Di−t−ブチルペルオキシド、実施例3及び4の酸化
剤は過酸化水素、実施例5及び6の酸化剤は亜硝酸ナト
リウムを使用)にてpH2.2〜2.6にて前記の処理
工程にて処理を行った。処理後、処理液中のスラッジ発
生の有無、金属析出量、塗装板の折り曲げ試験及び耐食
性試験を行った。またクロメート処理後、塗装せずに耐
黒錆性試験も行った。その結果を表1に併記した。
【0034】比較例1 A材の供試材について、表1に示す処理液組成(添加金
属としてTeを使用)にて、pH2.4〜4.9で実施
例1〜6と同様な処理を行った。これは特開平5−30
2179号公報の比較例1に相当するケースである。処
理後実施例1〜6と同様な評価試験を行った。その結果
を表1に併記した。
属としてTeを使用)にて、pH2.4〜4.9で実施
例1〜6と同様な処理を行った。これは特開平5−30
2179号公報の比較例1に相当するケースである。処
理後実施例1〜6と同様な評価試験を行った。その結果
を表1に併記した。
【0035】比較例2 A材の供試材について、表1に示すFe及びCoのみ、
又はZn、Fe及びCoのみの処理液組成について、酸
化剤を添加せずに、pH13.1〜13.2にて、実施
例1〜6と同様な処理を行った。これは特公平43−1
2974号の実施例1に相当するケースである。処理後
実施例1〜6と同様な評価試験を行った。その結果を表
1に併記した。
又はZn、Fe及びCoのみの処理液組成について、酸
化剤を添加せずに、pH13.1〜13.2にて、実施
例1〜6と同様な処理を行った。これは特公平43−1
2974号の実施例1に相当するケースである。処理後
実施例1〜6と同様な評価試験を行った。その結果を表
1に併記した。
【0036】比較例3 B材の供試材について、表1に示すZn、Ni、P
O4、SO4のみ含有する(Fe、Co及び酸化剤を含有
しない)処理液組成にて、pH2.7〜2.8にて、実
施例1〜6と同様な処理を行った。処理後実施例1〜6
と同様な評価試験を行った。その結果を表1に併記し
た。
O4、SO4のみ含有する(Fe、Co及び酸化剤を含有
しない)処理液組成にて、pH2.7〜2.8にて、実
施例1〜6と同様な処理を行った。処理後実施例1〜6
と同様な評価試験を行った。その結果を表1に併記し
た。
【0037】比較例4 A材の供試材について、置換めっき処理なしで、前記の
クロメート処理のみを行った。処理後実施例1〜6と同
様の評価試験を行った。その結果を表1に併記した。
クロメート処理のみを行った。処理後実施例1〜6と同
様の評価試験を行った。その結果を表1に併記した。
【0038】実施例1〜6及び比較例1〜4から次のこ
とが言える。 本発明の実施例1〜6は溶出亜鉛イオン相当量の亜鉛
イオンの添加量の増加によってもスラッジは発生せず、
かつ長期にわたって優れた塗膜密着性、塗装後耐食性、
耐黒錆性を維持することができた。 これに対して、添加金属としてTeを使用した比較例
1(特開平5−302179号公報の比較例1に相当)
は黒錆が異常発生した。 比較例2(特公昭43−12974号公報実施例1に
相当)は溶出亜鉛イオン相当量の亜鉛イオンの添加量の
増加によってスラッジが発生し、かつブリスターが発生
し、塗装密着性が低下した。 さらに、酸化剤を全く含有しない比較例3は溶出亜鉛
イオン相当量の亜鉛イオンの添加量の増加によって、重
金属の析出量が少なくなり、塗装板の折り曲げ密着性が
低下した。 置換めっき処理が全くされていない比較例4は塗装板
の密着性がかなり劣った。 また、比較例1〜4はいずれも黒錆が異常発生した。
とが言える。 本発明の実施例1〜6は溶出亜鉛イオン相当量の亜鉛
イオンの添加量の増加によってもスラッジは発生せず、
かつ長期にわたって優れた塗膜密着性、塗装後耐食性、
耐黒錆性を維持することができた。 これに対して、添加金属としてTeを使用した比較例
1(特開平5−302179号公報の比較例1に相当)
は黒錆が異常発生した。 比較例2(特公昭43−12974号公報実施例1に
相当)は溶出亜鉛イオン相当量の亜鉛イオンの添加量の
増加によってスラッジが発生し、かつブリスターが発生
し、塗装密着性が低下した。 さらに、酸化剤を全く含有しない比較例3は溶出亜鉛
イオン相当量の亜鉛イオンの添加量の増加によって、重
金属の析出量が少なくなり、塗装板の折り曲げ密着性が
低下した。 置換めっき処理が全くされていない比較例4は塗装板
の密着性がかなり劣った。 また、比較例1〜4はいずれも黒錆が異常発生した。
【0039】
【発明の効果】以上、説明してきたように、本発明に係わ
る亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液組成物
は、塗装下地処理の前処理として用いたとき、優れた塗装
板の密着性および耐食性を付与することができる。また、
クロメート下地処理の前処理に用いたときには、これに
優れた耐黒錆性を付与することができ、板外観の黒色化
を防止し、その処理液管理も簡易化することができる。そ
してさらに、置換めっき液の初期性能を長期にわたり維
持し連続使用することができ、装置をほとんど腐食する
ことがないため、その工業的価値は非常に大きい。
る亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液組成物
は、塗装下地処理の前処理として用いたとき、優れた塗装
板の密着性および耐食性を付与することができる。また、
クロメート下地処理の前処理に用いたときには、これに
優れた耐黒錆性を付与することができ、板外観の黒色化
を防止し、その処理液管理も簡易化することができる。そ
してさらに、置換めっき液の初期性能を長期にわたり維
持し連続使用することができ、装置をほとんど腐食する
ことがないため、その工業的価値は非常に大きい。
【0040】
【表1】
Claims (2)
- 【請求項1】 Ni2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から
選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原子に換算
して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜250g
/Lと、及び無機化合物及び有機化合物から選ばれる少
なくとも1種の酸化剤を0.01〜20g/Lとを含有
し、かつpHが0.5〜4.5であることを特徴とする
亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液。 - 【請求項2】 Ni2+、Co2+、Fe2+及びFe3+から
選ばれる少なくとも1種の金属イオンを金属原子に換算
して0.1〜40g/Lと、硫酸イオンを1〜250g
/Lと、無機化合物及び有機化合物から選ばれる少なく
とも1種の酸化剤を0.01〜20g/Lと、及びリン
酸イオン及び有機酸類イオンから選ばれる少なくとも1
種のイオンとを含有し、かつpHが0.5〜4.5であ
ることを特徴とする亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換
めっき液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21053896A JPH1036972A (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | 亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21053896A JPH1036972A (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | 亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1036972A true JPH1036972A (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16591017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21053896A Pending JPH1036972A (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | 亜鉛含有金属めっき鋼板用酸性置換めっき液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1036972A (ja) |
-
1996
- 1996-07-22 JP JP21053896A patent/JPH1036972A/ja active Pending
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