JPH1036943A - Fe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法 - Google Patents
Fe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法Info
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- JPH1036943A JPH1036943A JP19507396A JP19507396A JPH1036943A JP H1036943 A JPH1036943 A JP H1036943A JP 19507396 A JP19507396 A JP 19507396A JP 19507396 A JP19507396 A JP 19507396A JP H1036943 A JPH1036943 A JP H1036943A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、Fe−Mn−Si系形状記憶合金
の製造において、形状記憶効果が優れかつ製品歩留の良
好な製造法を提供するものである。 【解決手段】 形状記憶性を発現させるための応力変形
による加工誘起マルテンサイト変態させる前に、応力変
形時の割れ原因の起点となる第2相の析出を所定の熱処
理または熱履歴を与えることによって防止することを特
徴とした製造方法である。 【効果】 本発明によれば、経済的に安定して優れた品
質のFe−Mn−Si系形状記憶合金が得られる。
の製造において、形状記憶効果が優れかつ製品歩留の良
好な製造法を提供するものである。 【解決手段】 形状記憶性を発現させるための応力変形
による加工誘起マルテンサイト変態させる前に、応力変
形時の割れ原因の起点となる第2相の析出を所定の熱処
理または熱履歴を与えることによって防止することを特
徴とした製造方法である。 【効果】 本発明によれば、経済的に安定して優れた品
質のFe−Mn−Si系形状記憶合金が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高強度高靭性でかつ
形状記憶効果に優れ、さらには耐食性をもつ鉄−マンガ
ン−シリコン系形状記憶合金の製造方法に関するもので
ある。
形状記憶効果に優れ、さらには耐食性をもつ鉄−マンガ
ン−シリコン系形状記憶合金の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】特開昭61−201724号公報、同6
1−201725号公報などに開示されたFe−Mn−
Si系形状記憶合金は、通常の真空溶解や大気溶解で鋳
塊を製造され、熱間圧延などにより板または棒、パイプ
など、目的の形状に成形された後に、マルテンサイトが
生成し始める温度(以後、Md点と略称する)以下の温
度(通常は常温)で応力変形を与えることによってマル
テンサイト変態(以下、加工誘起マルテンサイトと称す
る)が生じる。その後、該マルテンサイトがオーステナ
イト変態終了する温度(以後、Af点と称する)以上に
加熱することによって、加工誘起マルテンサイトが元の
オーステナイトに変態し変形が回復されて、優れた形状
記憶特性を示すとされている。しかしながら、該形状記
憶合金を、加工誘起マルテンサイト変態させるため、熱
間圧延のまま、または通常の1000℃以下の焼鈍状態
で応力変形させた場合、割れ疵が発生し、十分な加工誘
起マルテンサイト変態が生じなかったり、該割れ発生の
ため、目的の形状記憶製品の製造歩留が悪い問題が多発
した。
1−201725号公報などに開示されたFe−Mn−
Si系形状記憶合金は、通常の真空溶解や大気溶解で鋳
塊を製造され、熱間圧延などにより板または棒、パイプ
など、目的の形状に成形された後に、マルテンサイトが
生成し始める温度(以後、Md点と略称する)以下の温
度(通常は常温)で応力変形を与えることによってマル
テンサイト変態(以下、加工誘起マルテンサイトと称す
る)が生じる。その後、該マルテンサイトがオーステナ
イト変態終了する温度(以後、Af点と称する)以上に
加熱することによって、加工誘起マルテンサイトが元の
オーステナイトに変態し変形が回復されて、優れた形状
記憶特性を示すとされている。しかしながら、該形状記
憶合金を、加工誘起マルテンサイト変態させるため、熱
間圧延のまま、または通常の1000℃以下の焼鈍状態
で応力変形させた場合、割れ疵が発生し、十分な加工誘
起マルテンサイト変態が生じなかったり、該割れ発生の
ため、目的の形状記憶製品の製造歩留が悪い問題が多発
した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、形状記憶性能の優れたFe−Mn−
Si系形状記憶合金を歩留良く製造することを目的とす
るものである。
な問題点を解決し、形状記憶性能の優れたFe−Mn−
Si系形状記憶合金を歩留良く製造することを目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この問題
を解決すべく種々検討を重ねた結果、Fe−Mn−Si
系形状記憶合金を製造するに当たって、通常の造塊法に
よる鋳塊や連続鋳造法による鋳片内部には、マクロ的お
よびミクロ的な成分偏析があるため、MnやSiが濃化
した微細な金属間化合物が結晶粒界などに連続的に析出
し、加工誘起マルテンサイト変態させるための応力変形
時に、該析出相を起点に割れが発生するとの知見を得
た。特に、量産時に使用される大きな鋳塊や連続鋳造鋳
片においてこのような問題が多く発生することがわかっ
た。そこで、本発明者らは、この問題を解決するため
に、種々の熱間加工条件、熱処理条件の製造実験を行
い、検討を加え、該析出相の生成を防止し、目的の形状
記憶特性の優れた製品を製造する方法を見い出したもの
である。
を解決すべく種々検討を重ねた結果、Fe−Mn−Si
系形状記憶合金を製造するに当たって、通常の造塊法に
よる鋳塊や連続鋳造法による鋳片内部には、マクロ的お
よびミクロ的な成分偏析があるため、MnやSiが濃化
した微細な金属間化合物が結晶粒界などに連続的に析出
し、加工誘起マルテンサイト変態させるための応力変形
時に、該析出相を起点に割れが発生するとの知見を得
た。特に、量産時に使用される大きな鋳塊や連続鋳造鋳
片においてこのような問題が多く発生することがわかっ
た。そこで、本発明者らは、この問題を解決するため
に、種々の熱間加工条件、熱処理条件の製造実験を行
い、検討を加え、該析出相の生成を防止し、目的の形状
記憶特性の優れた製品を製造する方法を見い出したもの
である。
【0005】すなわち本発明は、重量%でMn:15〜
40%、Si:3.5〜8%を含有し、残部はFeおよ
び不可避成分からなる形状記憶合金、または前記成分に
加えて10%以下のCr,Ni,Co、2%以下のM
o、1%以下のC,Al,Cuの1種または2種以上を
含有、または/および前記成分に加えて、Sを0.01
%以下、Pを0.02%以下にし、さらにCa,Mg,
希土類元素の1種または2種を0.0005〜0.00
5%添加し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状
記憶合金を製造する方法において、熱間圧延または熱間
鍛造により成形後、または成形冷却後に、1000℃超
〜1200℃未満の温度域で15分以上保持した後、比
較的急冷却することにより、応力変形による加工誘起マ
ルテンサイト変態前に、マクロ的またはミクロ的成分偏
析によって生じる金属間化合物の第2相析出防止と室温
におけるマルテンサイト相の量を低減することを特徴と
し、加えて熱間圧延または熱間鍛造前の鋳塊または連続
鋳造された鋳片を1000℃超〜1200℃未満に3時
間以上保定ソーキング、または/および熱間圧延または
熱間鍛造の加熱温度を1000℃超〜1200℃未満で
1時間以上保持加熱し、また、熱間圧延比または熱間鍛
造比(圧延または鍛造前の鋳塊または連続鋳造された鋳
片厚み対圧延または鍛造製品厚みの比)を7以上とする
ことを特徴とするものである。
40%、Si:3.5〜8%を含有し、残部はFeおよ
び不可避成分からなる形状記憶合金、または前記成分に
加えて10%以下のCr,Ni,Co、2%以下のM
o、1%以下のC,Al,Cuの1種または2種以上を
含有、または/および前記成分に加えて、Sを0.01
%以下、Pを0.02%以下にし、さらにCa,Mg,
希土類元素の1種または2種を0.0005〜0.00
5%添加し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状
記憶合金を製造する方法において、熱間圧延または熱間
鍛造により成形後、または成形冷却後に、1000℃超
〜1200℃未満の温度域で15分以上保持した後、比
較的急冷却することにより、応力変形による加工誘起マ
ルテンサイト変態前に、マクロ的またはミクロ的成分偏
析によって生じる金属間化合物の第2相析出防止と室温
におけるマルテンサイト相の量を低減することを特徴と
し、加えて熱間圧延または熱間鍛造前の鋳塊または連続
鋳造された鋳片を1000℃超〜1200℃未満に3時
間以上保定ソーキング、または/および熱間圧延または
熱間鍛造の加熱温度を1000℃超〜1200℃未満で
1時間以上保持加熱し、また、熱間圧延比または熱間鍛
造比(圧延または鍛造前の鋳塊または連続鋳造された鋳
片厚み対圧延または鍛造製品厚みの比)を7以上とする
ことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、特開昭61−223159号、同62−11
2751号、同62−112720号などの公報に示さ
れた重量%でMn:15〜40%、Si:3.5〜8%
を含有し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状記
憶合金、または前記成分に加えて10%以下のCr,N
i,Co、2%以下のMo、1%以下のC,Al,Cu
の1種または2種以上を含有し、または前記成分に加え
てSを0.01%以下、Pを0.02%以下にし、さら
にCa,Mg,希土類元素の1種または2種を0.00
05〜0.005%添加し、残部はFeおよび不可避成
分からなる形状記憶合金の製造に当たり、熱間圧延また
は熱間鍛造により、板、棒またはパイプなどに成形後、
または成形冷却後に、1000℃超〜1200℃未満の
温度域、望ましくは1050〜1150℃の温度で15
分以上、望ましくは15〜60分加熱保持させた後に冷
却する(以下、簡単のため固溶化熱処理と称する)こと
により、マクロ的またはミクロ的成分偏析によって生じ
る金属間化合物の第2相析出物を固溶化させ、その後の
応力変形による加工誘起マルテンサイト変態時の割れ発
生を防止し、該応力変形前の室温における残留マルテン
サイト相の量を低減させ形状記憶特性を向上させる。な
お、該固溶化熱処理後の冷却速度は、少なくとも800
℃までの冷却速度は100℃/分以上にすることによ
り、冷却中に有害な該第2相の再析出を防止させること
が望ましい。また、該熱間圧延や鍛造時の加熱温度が1
000℃超〜1200℃未満の温度域、望ましくは10
50℃以上〜1150℃未満の温度域で1時間以上加熱
保持し、熱間圧延比や熱間鍛造比(圧延または鍛造前の
鋳塊または連続鋳造された鋳片厚みと圧延または鍛造製
品厚みとの比)を7以上とすることによって、該鋳塊ま
たは連続鋳造された鋳片中のミクロ的成分偏析を拡散さ
せ、該第2相の析出防止を図るものである。
本発明は、特開昭61−223159号、同62−11
2751号、同62−112720号などの公報に示さ
れた重量%でMn:15〜40%、Si:3.5〜8%
を含有し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状記
憶合金、または前記成分に加えて10%以下のCr,N
i,Co、2%以下のMo、1%以下のC,Al,Cu
の1種または2種以上を含有し、または前記成分に加え
てSを0.01%以下、Pを0.02%以下にし、さら
にCa,Mg,希土類元素の1種または2種を0.00
05〜0.005%添加し、残部はFeおよび不可避成
分からなる形状記憶合金の製造に当たり、熱間圧延また
は熱間鍛造により、板、棒またはパイプなどに成形後、
または成形冷却後に、1000℃超〜1200℃未満の
温度域、望ましくは1050〜1150℃の温度で15
分以上、望ましくは15〜60分加熱保持させた後に冷
却する(以下、簡単のため固溶化熱処理と称する)こと
により、マクロ的またはミクロ的成分偏析によって生じ
る金属間化合物の第2相析出物を固溶化させ、その後の
応力変形による加工誘起マルテンサイト変態時の割れ発
生を防止し、該応力変形前の室温における残留マルテン
サイト相の量を低減させ形状記憶特性を向上させる。な
お、該固溶化熱処理後の冷却速度は、少なくとも800
℃までの冷却速度は100℃/分以上にすることによ
り、冷却中に有害な該第2相の再析出を防止させること
が望ましい。また、該熱間圧延や鍛造時の加熱温度が1
000℃超〜1200℃未満の温度域、望ましくは10
50℃以上〜1150℃未満の温度域で1時間以上加熱
保持し、熱間圧延比や熱間鍛造比(圧延または鍛造前の
鋳塊または連続鋳造された鋳片厚みと圧延または鍛造製
品厚みとの比)を7以上とすることによって、該鋳塊ま
たは連続鋳造された鋳片中のミクロ的成分偏析を拡散さ
せ、該第2相の析出防止を図るものである。
【0007】ここで、固溶化熱処理や熱間圧延または鍛
造時の加熱温度域を1000℃超〜1200℃未満とし
たのは、1000℃未満では有害な該第2相は固溶化さ
れず、逆に析出を促進させるため1000℃超とし、ま
た、1200℃以上の温度では、Mn,Siや他の元素
のマクロ的、またはミクロ的に濃化偏析した結晶粒界な
どが固相線温度(溶融開始温度)以上となり、再溶融ま
たは粒界脆化を起こす危険性があるため1200℃未満
とした。
造時の加熱温度域を1000℃超〜1200℃未満とし
たのは、1000℃未満では有害な該第2相は固溶化さ
れず、逆に析出を促進させるため1000℃超とし、ま
た、1200℃以上の温度では、Mn,Siや他の元素
のマクロ的、またはミクロ的に濃化偏析した結晶粒界な
どが固相線温度(溶融開始温度)以上となり、再溶融ま
たは粒界脆化を起こす危険性があるため1200℃未満
とした。
【0008】また、固溶化熱処理の保持時間を15分以
上としたのは、15分未満では第2相の再固溶化が不十
分のため15分以上とし、望ましくは15〜60分とし
たのは、60分以上では結晶粗大化が促進されるため6
0分までとした。
上としたのは、15分未満では第2相の再固溶化が不十
分のため15分以上とし、望ましくは15〜60分とし
たのは、60分以上では結晶粗大化が促進されるため6
0分までとした。
【0009】さらに、熱間圧延比または鍛造比を7以上
としたのは、該鋳塊または連続鋳造された鋳片中のミク
ロ的成分偏析を伴った鋳造組織を十分に破壊し、ミクロ
偏析の拡散を促進させ、該第2相の析出防止を図るもの
である。
としたのは、該鋳塊または連続鋳造された鋳片中のミク
ロ的成分偏析を伴った鋳造組織を十分に破壊し、ミクロ
偏析の拡散を促進させ、該第2相の析出防止を図るもの
である。
【0010】また、本発明合金が含有する合金元素の添
加量の限定理由を以下に説明する。Mnは15%以下で
は応力誘起によってマルテンサイト相(ε)の生成と共
に、塑性変形によってα′マルテンサイト相も導入され
形状記憶効果を低下させる。また、逆にMnが40%を
超えるとオーステナイト相(γ)が安定化され、応力変
形に対してγ→ε変態よりもγのすべり変形が優先的に
生じるようになり形状記憶効果を低下させる。Siは応
力誘起によるγ→ε変態を促進させる元素であるが、そ
の十分な効果は3.5%以上の添加によって得られる。
しかし、Siを8%を超えて添加すると、合金の加工性
および成形性が損なわれてしまう。
加量の限定理由を以下に説明する。Mnは15%以下で
は応力誘起によってマルテンサイト相(ε)の生成と共
に、塑性変形によってα′マルテンサイト相も導入され
形状記憶効果を低下させる。また、逆にMnが40%を
超えるとオーステナイト相(γ)が安定化され、応力変
形に対してγ→ε変態よりもγのすべり変形が優先的に
生じるようになり形状記憶効果を低下させる。Siは応
力誘起によるγ→ε変態を促進させる元素であるが、そ
の十分な効果は3.5%以上の添加によって得られる。
しかし、Siを8%を超えて添加すると、合金の加工性
および成形性が損なわれてしまう。
【0011】Crは該γ→ε変態を容易にし、形状記憶
特性を向上させる上、耐食性の向上にも役立つが10%
を超えて添加すると、Siと低融点の金属間化合物をつ
くり、合金の溶製が不可能となる。Niは形状記憶特性
を劣化させることなく靭性の向上に寄与するが、これも
また10%を超えて添加すると熱間加工性が悪くなる。
Coは形状記憶効果を向上させ、熱間加工性も向上させ
るが高価であり、また多量に添加しても効果が顕著でな
いのでその上限を10%とした。Moは形状記憶効果を
向上させると共に耐熱性をも向上させるが、2%を超え
て添加すると熱間加工性が悪くなり、逆に形状記憶特性
も劣化させる。
特性を向上させる上、耐食性の向上にも役立つが10%
を超えて添加すると、Siと低融点の金属間化合物をつ
くり、合金の溶製が不可能となる。Niは形状記憶特性
を劣化させることなく靭性の向上に寄与するが、これも
また10%を超えて添加すると熱間加工性が悪くなる。
Coは形状記憶効果を向上させ、熱間加工性も向上させ
るが高価であり、また多量に添加しても効果が顕著でな
いのでその上限を10%とした。Moは形状記憶効果を
向上させると共に耐熱性をも向上させるが、2%を超え
て添加すると熱間加工性が悪くなり、逆に形状記憶特性
も劣化させる。
【0012】Cは形状記憶効果を向上させるが1%を超
える添加では靭性が著しく劣化する。Alは脱酸剤とし
て働くと共に、形状記憶効果を向上させるが、1%以上
の添加では効果に変化がない。Cuは形状記憶効果を劣
化させることなく、耐食性を向上させるがその添加は上
限1%で充分である。
える添加では靭性が著しく劣化する。Alは脱酸剤とし
て働くと共に、形状記憶効果を向上させるが、1%以上
の添加では効果に変化がない。Cuは形状記憶効果を劣
化させることなく、耐食性を向上させるがその添加は上
限1%で充分である。
【0013】また、Sを0.01%以下およびPを0.
02%以下にする理由は母相の地鉄に固溶しているSお
よびPおよびMnS系の硫化物の低減を図るためであ
る。また、Ca,MgあるいはCe,Yなどの希土類元
素を0.0005〜0.005%とした理由は0.00
05%未満では硫化物の形態制御や介在物の低減効果が
なく、また0.005%を超えると熱間加工時の脆化が
激しくなるためである。かくして上記問題点が解決さ
れ、製品製造歩留が良好な優れたFe−Mn−Si系形
状記憶合金を安定して製造することが可能になった。
02%以下にする理由は母相の地鉄に固溶しているSお
よびPおよびMnS系の硫化物の低減を図るためであ
る。また、Ca,MgあるいはCe,Yなどの希土類元
素を0.0005〜0.005%とした理由は0.00
05%未満では硫化物の形態制御や介在物の低減効果が
なく、また0.005%を超えると熱間加工時の脆化が
激しくなるためである。かくして上記問題点が解決さ
れ、製品製造歩留が良好な優れたFe−Mn−Si系形
状記憶合金を安定して製造することが可能になった。
【0014】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
に高周波大気溶解炉および真空溶解炉を用いて溶製した
合金の成分を示す。実施例1〜12は全て厚み300mm
の鋼塊に造塊後、1020〜1150℃で1〜3時間保
持し、板厚5〜40mmに熱間圧延し冷却した後、110
0℃で15〜60分保持後、水冷却または空冷した。そ
の板から溶接パイプとして製管した後、常温でパイプ径
を7.5%拡管加工し、600℃加熱後、再度5%拡管
加工し、パイプ継手部品を製造した。また、パイプ径拡
管時の製品の表面欠陥発生率と、形状記憶特性を表2に
示した。表2から明らかのように、本発明実施例では、
表面性状の良好な、かつAf点以上に加熱した際のパイ
プ径の回復度は安定し、良好な形状記憶効果の優れた製
品が得られた。
に高周波大気溶解炉および真空溶解炉を用いて溶製した
合金の成分を示す。実施例1〜12は全て厚み300mm
の鋼塊に造塊後、1020〜1150℃で1〜3時間保
持し、板厚5〜40mmに熱間圧延し冷却した後、110
0℃で15〜60分保持後、水冷却または空冷した。そ
の板から溶接パイプとして製管した後、常温でパイプ径
を7.5%拡管加工し、600℃加熱後、再度5%拡管
加工し、パイプ継手部品を製造した。また、パイプ径拡
管時の製品の表面欠陥発生率と、形状記憶特性を表2に
示した。表2から明らかのように、本発明実施例では、
表面性状の良好な、かつAf点以上に加熱した際のパイ
プ径の回復度は安定し、良好な形状記憶効果の優れた製
品が得られた。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】本発明に従って製造されたFe−Mn−
Si系形状記憶合金は、経済的に安定して優れた品質の
Fe−Mn−Si系形状記憶合金が得られるので、産業
上に及ぼす効果は極めて大きい。
Si系形状記憶合金は、経済的に安定して優れた品質の
Fe−Mn−Si系形状記憶合金が得られるので、産業
上に及ぼす効果は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 十四雄 東京都千代田区大手町1−6−1 大平洋 金属株式会社内 (72)発明者 丸山 忠克 東京都千代田区神田小川町3−6 淡路産 業株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%でMn:15〜40%、Si:
3.5〜8%を含有し、残部はFeおよび不可避成分か
らなる形状記憶合金を製造する方法において、熱間圧延
または熱間鍛造により成形後、または成形冷却後に、1
000℃超〜1200℃未満の温度域で15分以上保持
焼鈍することを特徴とするFe−Mn−Si系形状記憶
合金の製造方法。 - 【請求項2】 重量%でMn:15〜40%、Si:
3.5〜8%、および、10%以下のCr,Ni,C
o、2%以下のMo、1%以下のC,Al,Cuの1種
または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避成分
からなる形状記憶合金を製造する方法において、熱間圧
延または熱間鍛造により成形後、または成形冷却後に、
1000℃超〜1200℃未満の温度域で15分以上保
持焼鈍することを特徴とするFe−Mn−Si系形状記
憶合金の製造方法。 - 【請求項3】 重量%でMn:15〜40%、Si:
3.5〜8%を含有し、加えてSを0.01%以下、P
を0.02%以下にし、さらにCa,Mg,希土類元素
の1種または2種を0.0005〜0.005%添加
し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状記憶合金
を製造する方法において、熱間圧延または熱間鍛造によ
り成形後、または成形冷却後に、1000℃超〜120
0℃未満の温度域で15分以上保持焼鈍することを特徴
とするFe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法。 - 【請求項4】 重量%でMn:15〜40%、Si:
3.5〜8%、および、10%以下のCr,Ni,C
o、2%以下のMo、1%以下のC,Al,Cuの1種
または2種以上を含有し、加えてSを0.01%以下、
Pを0.02%以下にし、さらにCa,Mg,希土類元
素の1種または2種を0.0005〜0.005%添加
し、残部はFeおよび不可避成分からなる形状記憶合金
を製造する方法において、熱間圧延または熱間鍛造によ
り成形後、または成形冷却後に、1000℃超〜120
0℃未満の温度域で15分以上保持焼鈍することを特徴
とするFe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法。 - 【請求項5】 熱間圧延また熱間鍛造前の鋳塊または連
続鋳造された鋳片を加熱温度が1000℃超〜1200
℃未満の温度域で1時間以上保定し、熱間圧延比または
熱間鍛造比を7以上とすることを特徴とする請求項1,
2,3或いは4の何れかに記載のFe−Mn−Si系形
状記憶合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19507396A JPH1036943A (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | Fe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19507396A JPH1036943A (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | Fe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1036943A true JPH1036943A (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16335111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19507396A Pending JPH1036943A (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | Fe−Mn−Si系形状記憶合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH1036943A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2697584A1 (fr) * | 1992-10-31 | 1994-05-06 | Bosch Gmbh Robert | Procédé de réglage du mélange carburant/air alimentant un moteur à combustion interne après une phase de poussée. |
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WO2014103884A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 制振合金 |
CN110983152A (zh) * | 2019-12-27 | 2020-04-10 | 燕山大学 | 一种Fe-Mn-Si-Cr-Ni基形状记忆合金及其制备方法 |
CN114774805A (zh) * | 2022-05-11 | 2022-07-22 | 沈阳大学 | 一种记忆型双相不锈钢及其制备 |
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1996
- 1996-07-24 JP JP19507396A patent/JPH1036943A/ja active Pending
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