JPH1036819A - アルミニウムディスクの研磨用組成物 - Google Patents

アルミニウムディスクの研磨用組成物

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JPH1036819A
JPH1036819A JP19781896A JP19781896A JPH1036819A JP H1036819 A JPH1036819 A JP H1036819A JP 19781896 A JP19781896 A JP 19781896A JP 19781896 A JP19781896 A JP 19781896A JP H1036819 A JPH1036819 A JP H1036819A
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敏雄 河西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレンジピール、スクラッチ、ピット、突起
などの表面欠陥がないということや最大表面荒さが小さ
いことだけにとどまらず、平均表面粗さにおいても小さ
な研磨面を得ることができる優れた特性を有するアルミ
ニウムディスクの研磨用組成物を提供すること 【解決手段】 5〜200m2 /gの比表面積と20〜
1500nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%
の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアの安定
な水性ゾルからなるアルミニウムディスクの研磨用組成
物、及び5〜200m2 /gの比表面積と20〜150
0nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%の脱水
性の水分を保有するコロイド状ジルコニアの凝集体を含
有する水性スラリーからなるアルミニウムディスクの研
磨用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムディ
スクの研磨用組成物に関する。特に、このアルミニウム
ディスクの研磨用組成物は、高精度に平滑な研磨表面を
効率的に得ることができるため、最終仕上げ研磨用組成
物として有用である。本発明におけるアルミニウムディ
スクの研磨とは、アルミニウムあるいはその合金からな
る磁気記録媒体ディスクの基材そのものの表面、または
基材の上に設けられたNi−P、Ni−B等のメッキ層
の表面、特にNi90〜92%とP8〜10%の組成の
硬質Ni−Pメッキ層の表面、及び酸化アルミ層の表面
を研磨することをいう。
【0002】
【従来の技術】特開平8−59242号公報には、5〜
200m2 /gの比表面積と20〜1500nmの粒子
径を有し、そして0.1〜3重量%の脱水性の水分を保
有するコロイド状ジルコニアをそのZrO2 として5〜
80重量%の濃度に含有し、そしてこのコロイド状ジル
コニアのZrO2 1モル当たり0.01〜100ミリ当
量の量で水溶性酸または1〜100ミリ当量の量で水溶
性アルカリを更に含有するコロイド状ジルコニアの安定
な水性ゾルが開示されている。その特性としては、コロ
イド状ジルコニアが材料の表面に付着したとき、その表
面を水でまたは水中で洗浄することによりその表面から
容易に除去されるような低活性を有することである。そ
して、これらのコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾル
は、酸性またはアルカリ性であってよく、水溶性の有機
添加剤を含有でき、そして工業製品として供給され得る
こと、そしてそのゾルは、いろいろな分野、例えば精密
鋳造に使用するための耐熱性を強化した鋳型を製造する
ための結合剤、材料例えば金属、セラミックまたはコン
クリートをウォータージェット切断するための水性媒体
中に含有される研磨剤、またはいろいろな材料の表面を
粗に、精密にまたは鏡面様に研磨するための研磨剤、等
々に適用できることが記載されている。更に、ゾルが、
半導体、例えばケイ素、ゲルマニウムまたはIII−V族、
II−VI族またはI−VII 族の型の化合物のような半導体
の表面;光ファイバーに使用するための石英、液晶セル
に使用するためのガラス、光学セラミックに使用するた
めのニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの表
面;電子または電気製品の部品に使用するための水晶、
窒化アルミニウム、アルミナ、フェライトまたはジルコ
ニアの表面;多層配線半導体デバイスにおける層間絶縁
膜、及びアルミニウム、銅、タングステンまたはそれら
の合金のようなメタル配線の表面;そして炭化タングス
テンのような超硬合金等様々な材料の表面を研磨するの
に有用であることが記載されている。
【0003】アルミニウムディスクの研磨に関しては、
これまで酸化アルミニウム、特にα型の酸化アルミニウ
ム砥粒を用いた研磨剤が一般的であり、コロイド状ジル
コニアの水性ゾル及びそのコロイド状ジルコニアの凝集
体を含有する水性スラリーからなる研磨剤を用いた従来
例は見あたらない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム磁気記録
ディスクの性能は、近年ますます高密度化、高速化して
いく傾向にあり、そのためより平滑な基板が求められて
いる。本発明の目的は、オレンジピール、スクラッチ、
ピット、突起などの表面欠陥がないということや最大表
面荒さが小さいことだけにとどまらず、平均表面粗さに
おいても小さな研磨面を得ることができるという特に優
れた特性を有するアルミニウムディスクの研磨用組成物
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、様々な材
料の表面を研磨するのに有用である特開平8−5924
2号公報に開示されたコロイド状ジルコニアの安定な水
性ゾルが、アルミニウムディスクの研磨用組成物として
特に研磨面の表面粗さの低下に優れていることを見いだ
した。更に、この水性ゾルのコロイド状ジルコニアを凝
集させることにより得られる凝集体を含有する水性スラ
リーも、研磨面の表面粗さの低下に優れた特性を発現し
得ることを見いだし本発明を完成した。
【0006】本発明のアルミニウムディスクの研磨用組
成物は、コロイド状ジルコニアの水性ゾルまたはその水
性ゾルのコロイド状ジルコニアの凝集体を含有する水性
スラリーからなる。その水性ゾル中のコロイド状ジルコ
ニアは、窒素ガス吸着法により測定される5〜200m
2 /gの比表面積と動的光散乱法により測定される20
〜1500nmの粒子径を持つことを特徴とする。さら
に、その水性ゾル中のコロイド状ジルコニアの特徴は、
そのゾルを150℃で3時間にわたり乾燥して、コロイ
ド状ジルコニアの乾燥粉末を得たとき、その乾燥粉末
は、その乾燥粉末を1100℃で1時間にわたり加熱す
ると、脱水により、その乾燥粉末の0.1〜3重量%の
重量減少を示すことである。換言すると、その水性ゾル
中のコロイド状ジルコニアは、0.1〜3重量%の脱水
性の水分を保有している。このようなコロイド状ジルコ
ニアの水性ゾルは、例えば特開平8−59242号公報
に記載の方法により製造することができる。
【0007】本発明における水性ゾルのコロイド状ジル
コニアの凝集体とは、一旦コロイド状ジルコニアの水性
ゾルを調製した後にこれを凝集させたもののことであ
り、水性ゾルに水溶性塩を添加する方法、あるいは水性
ゾルから水溶性塩を脱塩精製により取り除く方法で製造
することができる。コロイド状ジルコニアの比表面積
は、慣用の窒素ガス吸着法により測定される。また、コ
ロイド状ジルコニアの粒子径は、市販品の装置、例えば
米国のコールター(Coulter) 社製の「N4 」という名称
の装置を使用することによる動的光散乱法により測定さ
れる。
【0008】水性ゾル中のコロイド状ジルコニアを乾燥
した粉末は、その粉末がより高い温度で再乾燥されると
重量が減少し、そしてその乾燥した粉末は、それがより
高い温度、例えば500℃で加熱されてすら更に重量が
減少する。しかし、1100℃の温度で加熱した後の粉
末は、その粉末を1100℃より高い温度で再び加熱し
た後では重量が減少しない。粉末の重量の減少は、粉末
からの脱水による水の放出のせいばかりではなく粉末中
に含まれている酸、アルカリまたは塩のような、水以外
の揮散性物質の放出のせいでもあることが見出されてい
た。
【0009】よって、コロイド状ジルコニアの乾燥粉末
から脱水され得る水の量(H)は、粉末を150℃で3
時間にわたり乾燥した後の粉末の重量(W1 )と粉末中
のH 2 O以外の揮散性成分の重量(C1 )を測定し、そ
して粉末を1100℃で1時間にわたり加熱した後の粉
末の重量(W2 )と粉末中のH2 O以外の揮散性成分の
重量(C2 )を再度測定し、そして 等式:H=(W1
−C1 )−(W2 −C 2 )によるHを決定することによ
り得られる。コロイド状ジルコニアの脱水性の水分量
は、式:(H/W1 )×100により与えられる重量%
で表す。例えば水溶性酸または水溶性アルカリのような
2 O以外の揮散性成分が、コロイド状ジルコニアの乾
燥粉末及び1100℃での加熱後のジルコニア中に含有
される場合には、当該技術分野で知られている化学分析
により測定される。
【0010】本発明の研磨用組成物を用いたアルミニウ
ムディスクの研磨は、コロイド状ジルコニアをZrO2
として1〜50、好ましくは2〜30そして更に好まし
くは3〜20重量%含有する濃度で行う。このコロイド
状ジルコニアは、例えば特開平8−59242号公報に
記載の方法により製造された場合には、コロイド状ジル
コニアをZrO2 として5〜80重量%の量で持つ酸性
またはアルカリ性の安定な水性ゾルとして得られ、濃度
調整して使用することができる。
【0011】この酸性型コロイド状ジルコニアの安定な
ゾルは、ZrO2 1モルに対して0.01〜100、好
ましくは0.03〜50そして更に好ましくは0.05
〜30ミリ当量の水溶性酸を含有し、1〜6、好ましく
は2〜6そして更に好ましくは3〜6のpHを持つ。ま
た、このアルカリ性型コロイド状ジルコニアの安定なゾ
ルは、ZrO2 1モルに対して1〜100、好ましくは
3〜50そして更に好ましくは5〜30ミリ当量の水溶
性アルカリを含有し、8〜13.5、好ましくは9〜1
3そして更に好ましくは10〜13のpHを持つ。
【0012】ゾル中の水溶性酸は、例えば塩化水素、硝
酸、硫酸のような無機酸、例えば蟻酸、酢酸、蓚酸、酒
石酸、クエン酸、乳酸のような有機酸またはそれらの酸
性塩であってよい。ゾル中の水溶性アルカリは、例えば
ナトリウム、カリウムまたはリチウムのような金属の水
酸化物、例えばテトラエタノールアンモニウム、モノエ
チルトリエタノールアンモニウム、テトラメチルアンモ
ニウムまたはトリメチルベンジルアンモニウムのような
第四級アンモニウムの水酸化物、または、例えば、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N−ジ
メチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミ
ン、モノプロパノールアミンまたはモルホリンのような
アミン、またはアンモニアでよい。
【0013】本発明の第1発明では、アルミニウムディ
スクの研磨に際しては、コロイド状ジルコニアを安定な
水性ゾルの状態で使用する。そして通常エッチャントと
称される研磨促進剤(電解質)をコロイド状ジルコニア
が水性ゾル中で凝集しない量を加えて、コロイド状ジル
コニアを安定な水性ゾルの状態で使用することもでき
る。一方、本発明の第2発明では、通常エッチャントと
称される研磨促進剤(電解質)を加えることにより、水
性ゾル中のコロイド状ジルコニアを凝集させて、コロイ
ド状ジルコニアの凝集体を含有する水性スラリーを調製
して使用する。コロイド状ジルコニアの凝集体について
は、研磨時における機械的剪断力によりその凝集体の一
部が1次粒子であるコロイド状ジルコニアの大きさまで
分散されるなら、その凝集体の大きさは制限しない。
【0014】また、コロイド状ジルコニアの安定な水性
ゾルから、イオン交換あるいは限外ろ過などの方法によ
り水溶性酸または水溶性アルカリを除去し得られる脱塩
精製コロイド状ジルコニアの水性ゾルまたはコロイド状
ジルコニアの凝集体を含有する水性スラリーを本発明の
第1発明及び第2発明で使用しても良い。更にまた、脱
塩精製コロイド状ジルコニア水性ゾルまたはコロイド状
ジルコニアの凝集体を含有する水性スラリーに対して、
エッチャントを加えて本発明の第2発明で使用しても良
い。
【0015】エッチャントの例としては、硝酸ニッケ
ル、硝酸アルミニウム、硫酸ニッケル、スルファミン酸
ニッケル、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、有機アミン、グルコン酸ナトリウム、
乳酸ナトリウムなどが挙げられる。エッチャントの添加
量としては、0.1〜10、好ましくは0.1〜5そし
て更に好ましくは0.1〜3重量%である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウムディスクの
研磨用組成物に用いられる水性ゾル中のコロイド状ジル
コニアは、窒素ガス吸着法により測定される5〜20
0、好ましくは10〜100そして更に好ましくは15
〜60m2 /gの比表面積と動的光散乱法により測定さ
れる20〜1500、好ましくは20〜800そして更
に好ましくは50〜500nmの粒子径を持ち、そして
そのコロイド状ジルコニアは、その水性ゾルを150℃
で3時間にわたり乾燥して、コロイド状ジルコニアの乾
燥粉末を得たとき、その乾燥粉末は、その乾燥粉末を1
100℃で1時間にわたり加熱すると、脱水により、コ
ロイド状ジルコニアの乾燥粉末を基準にして0.1〜
3、好ましくは0.3〜3そして更に好ましくは0.5
〜2重量%の重量減少を示すという特徴を示す。換言す
ると、本発明のアルミニウムディスクの研磨用組成物中
のコロイド状ジルコニアは、0.1〜3、好ましくは
0.3〜3そして更に好ましくは0.5〜2重量%の脱
水され得る水分を保有している。
【0017】より好ましいアルミニウムディスクの研磨
用組成物は、原料ゾル中のコロイド状ジルコニアの物性
に支配される。コロイド状ジルコニアの比表面積の研磨
に対する影響に関しては、5m2 /gより小さい比表面
積では研磨後の表面粗さが特に平均表面粗さが大きくな
る。そして、10m2 /g以上の比表面積では研磨後の
表面粗さ特に平均表面粗さがが比表面積の増加に従って
減少する傾向がある。一方、200m2 /gより大きい
比表面積では研磨の速度が著しく低くなる。そして、1
00m2 /g以下の比表面積では研磨の速度が比表面積
の減少に従って速くなる。
【0018】コロイド状ジルコニアの粒子径の研磨に対
する影響に関しては、20nmより小さい粒子径では研
磨速度低下の原因になる。そして、50nm以上の粒子
径では研磨の速度が粒径の増加に従って速くなる傾向が
ある。一方、1500nmより大きい粒子径では、研磨
後に表面欠陥が生じる傾向がある。そして、800nm
以下の粒子径では殆ど研磨後に表面欠陥を認めない。
【0019】コロイド状ジルコニアの脱水性の水分量の
研磨に対する影響に関しては、0.1重量%より小さい
脱水性水分量では研磨後の表面粗さ特に平均表面粗さが
大きくなる。そして0.3〜3重量%の脱水性水分量で
は研磨後の表面粗さ特に平均表面粗さが安定な値を示
し、目的とするより好ましい値となる。そして3重量%
より大い脱水性水分量では研磨速度が低下してしまうこ
とと、表面粗さ特に最大粗さが大きくなる。
【0020】
【実施例】下記の実験例により、本発明を更に説明す
る。 [研磨用組成物の調製] 実験例1 オキシ塩化ジルコニウムの水溶液を、純水2100gに
オキシ塩化ジルコニウム1000gを溶解することによ
り調整した。その全溶液に、攪拌下、25%アンモニア
水264gを添加した。アンモニアを含有するオキシ塩
化ジルコニウム溶液全量を、オートクレーブ中、130
℃で7時間にわたり加熱し、次いでオートクレーブ中の
液体を室温まで冷却し、そして回収した。回収した液体
のpHは1以下であり、米国のコールター(Coulter) 社
製の「N4 」と呼ばれる装置を使用する動的光散乱法に
より測定される粒子径89nmを有するコロイド状ジル
コニアの水性ゾルであった。そのコロイド状ジルコニア
は電子顕微鏡写真中では100nmの平均粒子径を有し
ていた。
【0021】3200gの回収ゾルに、25%アンモニ
ア水11.7gを添加してpH5.2のコロイド状ジル
コニアの水性ゾルを形成させた。pH5.2のコロイド
状ジルコニアに純水を添加し、次いで希釈ゾルを限外ろ
過器を通して濃縮した。希釈と限外ろ過を繰り返すあい
だ、ゾルに合計28kgの水を添加した。その結果、
4.6のpH、38重量%のZrO2 濃度、0.88重
量%のCl濃度そして0.1重量%以下のNH3 濃度を
有するコロイド状ジルコニア(Z1 )910gを得た。
【0022】ゾル(Z1 )を、入口温度190℃、出口
温度100℃のスプレードライヤー中で乾燥して、N2
ガス吸着法により測定される128m2 /gの比表面積
を持つコロイド状ジルコニアの粉末(P1 )を形成させ
た。粉末(P1 )を、150℃で3時間にわたり乾燥器
中で乾燥する。乾燥した後の粉末は、化学分析によると
2.28重量%のClを含有してた。
【0023】次いで乾燥した後の粉末11.085gを
1100℃の温度で1時間にわたり電気炉中で加熱し
た。10.150gの加熱後のジルコニア粉末を得た。
化学分析をすると、この加熱後の粉末中のCl含量は
0.01%以下であった。この加熱による粉末の重量減
少から、コロイド状ジルコニアの粉末(P1 )は、粉末
(P1 )を150℃で3時間にわたり乾燥することによ
り調整した粉末を基準にして、乾燥した後の粉末を11
00℃で1時間にわたり加熱する時は、6.2重量%の
水が脱水されていることが見出された。
【0024】次に、pH4.6のコロイド状ジルコニア
の精製ゾル(Z1 )1000gに、攪拌下、クエン酸3
1g次いで25%アンモニア水39gを添加した。クエ
ン酸とアンモニアを含有するゾルに純水を添加し、次い
で希釈したゾルを限外ろ過器を通して濃縮した。希釈と
それに続く限外ろ過を繰り返す間に全量7.8kgの純
水を添加した。8.6のpH、36重量%のZrO2
度、0.01重量%以下のCl濃度、2.5重量%のク
エン酸濃度そして0.08重量%のNH3 濃度を有する
コロイド状ジルコニアの精製ゾル(Z2 )1050gを
得た。ゾル中のコロイド状ジルコニアは、装置「N4
で測定される粒子径104nmを有していた。
【0025】ゾル(Z2 )を、入口温度190℃、出口
温度100℃のスプレードライヤー中で乾燥して、N2
ガス吸着法により測定される135m2 /gの比表面積
を持つコロイド状ジルコニアの粉末(P2 )を得た。粉
末(P2 )を、150℃で3時間にわたり乾燥器中で乾
燥した。乾燥後の粉末は、化学分析によると、6.88
重量%のクエン酸含量、0.01重量%以下のCl含量
そして0.01重量%以下のNH3 含量を有していた。
次いで乾燥後の粉末11.713gを1100℃の温度
で1時間にわたり電気炉中で加熱した。加熱後、10.
162gのジルコニア粉末を得た。取得した粉末は、
0.01重量%以下より小さい量でクエン酸を含有して
いた。
【0026】コロイド状ジルコニアの粉末(P2 )は、
粉末(P2 )を150℃で3時間にわたり乾燥すること
により調整した粉末を基準にして、乾燥した後の粉末を
1100℃で1時間にわたり加熱する時は、6.4重量
%の水が脱水されていることが見出された。次に、コロ
イド状ジルコニアの粉末(P2 )を700℃の温度で2
時間にわたり焼成して焼成ジルコニア(T1 )を形成さ
せた。そして、高純度の塩酸を純水に溶解することによ
り、0.2ミリ当量のHClを含有する塩化水素水溶液
204gを調整した。
【0027】次いで、焼成ジルコニア(T1 )96g、
調整した塩化水素水溶液204g及び5mmの直径を持
つジルコニア製硬質ビーズ700gを、8cmの直径を
持つボールミル中に投入した。ミルを密閉し、92時間
にわたり200rpmの速度で回転して、ゾル(Z3
を調製した。この回収したゾル(Z3 )は、31重量%
のZrO2 濃度とコロイド状ジルコニアのZrO2 1モ
ル当たり0.2ミリ当量の量で塩酸を含有するpH5.
6のコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルであった。
【0028】ゾル(Z3 )中のコロイド状ジルコニアの
粒子径は、装置「N4 」により測定すると184nmで
あった。次に、このゾル(Z3 )を、入口温度190
℃、出口温度100℃のスプレードライヤー中で乾燥し
て、コロイド状ジルコニア粉末(P3 )を得た。その粉
末は次いで、この粉末を150℃で3時間にわたり乾燥
器中で乾燥する。乾燥後の粉末(P3 )は、窒素ガス吸
着法により測定され23.5m2 /gの比表面積を示し
た。そして、乾燥後の粉末(P3 )は、化学分析による
と0.1重量%以下の揮散性成分を含有していた。更に
粉末10.552gを1100℃で1時間にわたり加熱
することにより加熱後のジルコニア10.453gが得
られた。よって、ゾル(Z3 )中のコロイド状ジルコニ
アは、スプレードライヤー中で得られる粉末を150℃
で3時間にわたり乾燥することにより調製されるコロイ
ド状ジルコニアの粉末を基準にして、乾燥した後の粉末
を1100℃で1時間にわたり加熱した時は、0.94
重量%の水が脱水されていたことになり、求める脱水性
の水分量は0.94重量%であった。
【0029】このコロイド状ジルコニアの安定な酸性水
性ゾル(Z3 )を、純水を用いて希釈し10重量%のZ
rO2 濃度に調整し研磨用組成物(A1 )とした。 実験例2 コロイド状ジルコニアの安定な酸性水性ゾル(Z3 )を
純水で希釈する際に、エッチャントとして硝酸アルミニ
ウム水溶液を添加した以外は実験例1と同様にして、研
磨用組成物(A2 )を調製した。この組成物(A2
は、10重量%のZrO2 濃度と1重量%のAl(NO
33濃度を有するコロイド状ジルコニアの凝集体からな
る水性スラリーであった。
【0030】実験例3 オキシ塩化ジルコニウムの水溶液を、純水1800gに
オキシ塩化ジルコニウム200gを溶解することにより
調製し、その全溶液に、攪拌下、10%アンモニア水2
15g添加し、オキシ水酸化ジルコニウムの水性スラリ
ーを生成させた。生成した水性スラリーをろ過洗浄する
工程を繰り返し、0.1%以下のCl濃度と0.1%以
下のNH3 濃度を有する含水状ケーキを得た。この含水
状ケーキを120℃で1日にわたり乾燥器中で乾燥し
た。乾燥した後の粉末(P4 )を実験例1と同様にして
700℃の温度で2時間にわたり焼成し、焼成ジルコニ
ア(T2 )を形成させ、この焼成ジルコニア(T2 )を
0.2ミリ当量のHClを含有する塩化水素水溶液とと
もにZrO2 濃度32%で粉砕しゾル(Z4 )を調製し
た。
【0031】この回収したゾル(Z4 )は、31重量%
のZrO2 濃度とコロイド状ジルコニアのZrO2 1モ
ル当たり0.2ミリ当量の量で塩酸を含有するpH5.
3のコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルであった。
脱水性水分の量は、実験例1と同様にして求め、窒素ガ
ス吸着法により測定される比表面積の値と動的光散乱法
により測定される粒子径の値とともに第1表に記載し
た。
【0032】このコロイド状ジルコニアの安定な酸性水
性ゾル(Z4 )を、純水を用いて希釈し10重量%のZ
rO2 濃度に調整し研磨用組成物(A3 )とした。 実験例4 コロイド状ジルコニアの安定な酸性水性ゾル(Z4 )を
純水で希釈する際に、エッチャントとして硝酸アルミニ
ウム水溶液を添加した以外は実験例3と同様にして、研
磨用組成物(A4 )を調製した。この組成物(A4
は、10重量%のZrO2 濃度と1重量%のAl(NO
33濃度を有するコロイド状ジルコニアの凝集体からな
る水性スラリーであった。
【0033】実験例5 遠心沈降法による5.3μmの平均粒子径と窒素ガス吸
着法による1.7m2/gの比表面積を有する市販の微
粒状電融ジルコニア粉末を純水とともにZrO 2 濃度3
2%で、ボールミルを用いて、120時間にわたり粉砕
し、水性スラリー(Z5 )を調製した。この回収した水
性スラリー(Z5 )は、31重量%のZrO2 濃度とp
H7.9のジルコニアの水性スラリーであった。実験例
1と同様にして求めた脱水性水分の量と、窒素ガス吸着
法により測定される比表面積の値と動的光散乱法により
測定される粒子径の値は第1表に記載した。
【0034】このジルコニアの水性スラリー(Z5 )を
純水で希釈する際に、エッチャントとして硝酸アルミニ
ウム水溶液を添加して、研磨用組成物(A5 )を調製し
た。この組成物(A5 )は、10重量%のZrO2 濃度
と1重量%のAl(NO33濃度を有するジルコニアの
水性スラリーであった。 実験例6 実験例3と同様にして得たオキシ水酸化ジルコニウムの
含水状ケーキを、乾燥した後に700℃で2時間焼成
し、焼成ジルコニア粉末を得た。実験用ラボスターラー
を用いて、この焼成ジルコニア粉末を純水に分散し水性
スラリー(Z6 )とした。この回収した水性スラリー
(Z6 )は、32重量%のZrO2 濃度とpH7.1の
ジルコニアの水性スラリーであった。実験例1と同様に
して求めた脱水性水分の量と、窒素ガス吸着法により測
定される比表面積の値と動的光散乱法により測定される
粒子径の値は第1表に記載した。
【0035】この水性スラリー(Z6 )を、純水を用い
て希釈し10重量%のZrO2 濃度に調整し研磨用組成
物(A6 )とした。 実験例7 アルカリ性の原料ゾル(Z2 )を乾燥することにより得
た粉末(P2 )の焼成を1050℃で2時間とした以外
は、実験例1と同様にして、コロイド状ジルコニアの水
性ゾル(Z7 )を調製した。
【0036】この回収したゾル(Z7 )は、31重量%
のZrO2 濃度とコロイド状ジルコニアのZrO2 1モ
ル当たり0.2ミリ当量の量で塩酸を含有するpH5.
1のコロイド状ジルコニアの安定な水性ゾルであった。
脱水性水分の量と窒素ガス吸着法により測定される比表
面積の値と動的光散乱法により測定される粒子径の値は
あわせて第1表に記載した。ゾルを純水で希釈する際
に、エッチャントとして硝酸アルミニウム水溶液を添加
し研磨用組成物(A7 )を調製した。この組成物(A
7 )は、10重量%のZrO2 濃度と1重量%のAl
(NO33濃度を有するコロイド状ジルコニアの凝集体
からなる水性スラリーであった。
【0037】実験例8 この比較例では、実験例1においてアルカリ性の原料ゾ
ルを調製するのに用いた酸性の原料ゾル(Z1 )を使用
して、研磨用組成物(A8 )を調製した。このゾル(Z
1 )は、38重量%のZrO2 濃度とコロイド状ジルコ
ニアのZrO2 1モル当たり0.2ミリ当量の量で塩酸
を含有するpH4.6のコロイド状ジルコニアの安定な
水性ゾルであった。脱水性水分の量と窒素ガス吸着法に
より測定される比表面積の値と動的光散乱法により測定
される粒子径の値はあわせて第1表に記載した。
【0038】このコロイド状ジルコニアの安定な酸性水
性ゾルを、純水を用いて希釈し10重量%のZrO2
度に調整し研磨用組成物(A8 )とした。 第1表 水性ゾルまたは 比表面積 粒子径 脱水性水分 水性スラリー (m2 /g) (nm) (重量%)1 128 89 6.2 Z2 135 104 6.4 Z3 23.5 184 0.94 Z4 27.2 220 1.01 Z5 7.2 630 <0.1 Z6 26.6 1050 0.92 7 4.0 348 0.21 [研磨試験]被加工物は、アルミニウム基板にNi−P
を10μmの厚さに無電解メッキした2.5インチメモ
リーハードディスク基板を使用した。
【0039】オスカー型レンズ研磨機の定盤に人工皮革
タイプのポリウレタン製研磨布(POLITEX DG
(商標)、250mmφ、ロデール・ニッタ(株)製)
を貼り付け、これに基板の研磨面を対向させ14kPa
の荷重をかけて研磨した。定盤回転数は、毎分30回転
であり、水性スラリー供給量は2ml/分である。
【0040】研磨の後、被加工物を取り出し超音波洗浄
を繰り返して洗浄した。洗浄後アルミディスクを乾燥
し、重量減少から研磨速度を求めた。表面欠陥について
は、微分干渉顕微鏡により観察し、突起、ピット、スク
ラッチなどの度合を判定した。最大及び平均表面粗さ
は、市販品の装置、例えば米国のZygo社製の「New
View 100」という名称の装置を使用することによる、F
DAを用いた走査型白色干渉法あるいは位相測定法によ
り測定した。測定結果を第2表に示す。 第2表 研摩用 原料 研磨速度 表面欠陥 表面粗さ 組成物 ゾル等(nm/分) 平均粗さ(nm)最大粗さ(nm)13 56 なし 0.31 7.8 A23 101 なし 0.39 6.3 A34 51 なし 0.29 3.9 A44 82 なし 0.39 9.9 A55 83 なし 0.90 12.6 A66 52 スクラッチ 0.31 6.9 A77 101 なし 0.61 8.2 81 39 ピット 4.18 300 上記第2表より研磨剤後の表面粗さに関しては、組成物
(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A6)及び
(A7)と、組成物(A5)及び(A8)との対比からコ
ロイド状ジルコニアの脱水性の水分量の研磨に対する表
面粗さへの影響が理解されよう。
【0041】よって、アルミニウムディスクの研磨用組
成物としては、本発明の第1発明である5〜200m2
/gの比表面積と20〜1500nmの粒子径を有し、
そして0.1〜3重量%の脱水性の水分を保有するコロ
イド状ジルコニアの安定な水性ゾルからなるアルミニウ
ムディスクの研磨用組成物と、本発明の第2発明である
5〜200m2 /gの比表面積と20〜1500nmの
粒子径を有し、そして0.1〜3重量%の脱水性の水分
を保有するコロイド状ジルコニアの凝集体を含有する水
性スラリーからなるアルミニウムディスクの研磨用組成
物とが有用であることが理解されよう。
【0042】更に第2表の詳細検討により、研磨剤後の
表面粗さと表面欠陥に関しては、組成物(A1)、
(A2)、(A3)及び(A4)と、組成物(A7)及び
(A6)との対比からより最適なコロイド状ジルコニア
の脱水性の水分量と、好ましいコロイド状ジルコニアの
粒子径があることが理解されよう。よって、アルミニウ
ムディスクの研磨用組成物としては、10〜100m2
/gの比表面積と20〜800nmの粒子径を有し、そ
して0.3〜3重量%の脱水性の水分を保有するコロイ
ド状ジルコニアの安定な水性ゾルからなるアルミニウム
ディスクの研磨用組成物と、10〜100m2 /gの比
表面積と20〜800nmの粒子径を有し、そして0.
3〜3重量%の脱水性の水分を保有するコロイド状ジル
コニアの凝集体を含有する水性スラリーからなるアルミ
ニウムディスクの研磨用組成物とがより有用であること
が理解されよう。
【0043】
【発明の効果】本発明のアルミニウムディスクの研磨用
組成物は、酸性またはアルカリ性であってよく、水溶性
の無機及び有機の添加剤を含有でき、そして工業製品と
して供給され得るアルミニウムディスクの上に設けられ
たNi−P等のメッキ層の表面、特にNi90〜92%
とP8〜10%の組成の硬質Ni−Pメッキ層の表面、
酸化アルミ層の表面あるいはアルミニウム、その合金、
アルマイトの表面を研磨するのに有用であることが明瞭
である。そして所望に応じ、硝酸塩、有機酸、金属石
鹸、キレート化合物、グルコン酸、スルファミン酸、ア
ミン塩、過酸化水素水、次亜塩素酸塩等を添加して使用
することができ、研磨剤として更に有用である。
【0044】本発明のアルミニウムディスクの研磨用組
成物は、Zr以外の他の金属酸化物の水性ゾルを、その
コロイド状粒子の表面上の電荷が、ジルコニアのコロイ
ド状粒子のそれと同じである限りは、そのZr以外の他
の金属酸化物のゾルと所望の比率で、例えばジルコニア
100重量部に対して10〜90重量部で混合してもよ
い。かくして、例えばアルカリ性のコロイド状ジルコニ
アの水性ゾルをアルカリ性のコロイド状シリカの水性ゾ
ルと混合することにより、または酸性のコロイド状ジル
コニアを酸性のコロイド状アルミナの水性ゾルと混合す
ることにより、混合ゾルが得られる。混合ゾルを用いた
研磨用組成物は、上述のような各種基材の表面を研磨す
るのにも有用である。そして、混合ゾルは、所望に応
じ、硝酸塩、有機酸、金属石鹸、キレート化合物、グル
コン酸、スルファミン酸、アミン塩、過酸化水素水、次
亜塩素酸塩等を添加して使用することができ、研磨剤と
して更に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜200m2 /gの比表面積と20〜
    1500nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%
    の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアの安定
    な水性ゾルからなるアルミニウムディスクの研磨用組成
    物。
  2. 【請求項2】 5〜200m2 /gの比表面積と20〜
    1500nmの粒子径を有し、そして0.1〜3重量%
    の脱水性の水分を保有するコロイド状ジルコニアの凝集
    体を含有する水性スラリーからなるアルミニウムディス
    クの研磨用組成物。
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