JPH1035506A - 折りたたみ式乳母車 - Google Patents

折りたたみ式乳母車

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JPH1035506A
JPH1035506A JP11113297A JP11113297A JPH1035506A JP H1035506 A JPH1035506 A JP H1035506A JP 11113297 A JP11113297 A JP 11113297A JP 11113297 A JP11113297 A JP 11113297A JP H1035506 A JPH1035506 A JP H1035506A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 折りたたみ式乳母車の骨組の各側面を構成す
る部材の動きに連動して、骨組の幅方向寸法を規定する
部材の折曲げを可能にする。 【解決手段】 前脚3に対する側棒16の矢印48方向
の回動によって、側棒カム29のカム溝29aが前脚剛
性リンク30を矢印49方向に移動させる。これによっ
て、前脚剛性リンク30が螺旋状に延びるガイド溝26
に作用し、前脚スリーブ23を矢印50方向に回動させ
る。したがって、1対の前脚スリーブ23間に渡された
前脚連結リンク24が折曲げ点25を介して折曲げられ
る。同様の構成が、1対の後脚6間に渡される後脚連結
部材21においても採用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、折りたたみ式乳
母車およびそこに用いられる折りたたみ機構に関するも
ので、特に、乳母車の骨組の各側面を構成する部材の折
りたたみ動作に連動して、骨組の幅方向寸法を規定する
部材も折りたたまれるようにされた、折りたたみ式乳母
車およびそこに用いられる折りたたみ機構に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】この発明にとって興味ある折りたたみ式
乳母車の基本的構造については、本件出願人による特公
昭57−50705号公報に記載されている。この公報
に開示される折りたたみ式乳母車は、折りたたみ後の状
態において、開いた状態に比べて、前後方向寸法、高さ
方向寸法および幅方向寸法がともに減じられ、折りたた
み後の状態での持ち運びおよび保管に対して便宜が図ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た折りたたみ式乳母車には、さらに改良されるべき余地
がある。
【0004】特に改善されるべき問題は、乳母車の軽量
化が困難である点にある。それは、部品点数が比較的多
いことが原因と考えられる。
【0005】このように部品点数の増大を招くのは、特
に、乳母車の骨組の各側面を構成する部材の動きと骨組
の幅方向寸法を規定する部材の動きとを連動させること
が必要であり、この連動を生じさせるための機構が比較
的複雑であるためである。なぜなら、乳母車の骨組の各
側面を構成する部材の動きが生じる面と、骨組の幅方向
寸法を規定する部材の動きが生じる面とは、同一でも平
行でもなく、互いに交差しているため、上述したような
連動を達成するには、いわゆる三次元的な動作を行なえ
るものでなければならないからである。
【0006】それゆえに、この発明の目的は、乳母車の
骨組の各側面を構成する部材の動きと骨組の幅方向寸法
を規定する部材の動きとを連動させることができる、比
較的簡単な構造の折りたたみ機構、およびこのような折
りたたみ機構を用いた折りたたみ式乳母車を提供しよう
とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
前提となるべき折りたたみ式乳母車は、前後方向に延び
る1対の手摺部材と、各手摺部材の比較的前方部に対し
て各々の上方端がそれぞれ回動可能に連結され、かつ各
々の下方端に前輪が取付けられる1対の前脚と、各手摺
部材の比較的前方部に対して各々の上方端がそれぞれ回
動可能に連結され、かつ各々の下方端に後輪が取付けら
れる1対の後脚と、1対の後脚の長さ方向の各中央部に
対して各々の一方端が第1の枢支点において回動可能に
連結される1対の反転部材と、1対の反転部材の各他方
端に対して各々の下方端が回動可能に連結され、かつ1
対の手摺部材の各後方端に対して各々の下方端から所定
の距離上方の位置が回動可能に連結される1対の押棒
と、1対の前脚の長さ方向の各中央部に対して各々の前
方端が第2の枢支点において回動可能に連結され、かつ
1対の反転部材の各他方端に対して各々の後方端が回動
可能に連結される1対の側棒と、1対の前脚の第2の枢
支点より下方の位置間に渡される前脚連結部材と、1対
の後脚の第1の枢支点より下方の位置間に渡される後脚
連結部材とを備え、折りたたみ状態では前脚連結部材お
よび後脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が
減じられる。
【0008】上述のような折りたたみ式乳母車におい
て、請求項1に記載の発明は、以下のことを特徴とす
る。
【0009】後脚連結部材は、各後脚上で後脚の中心軸
線まわりに回動可能にそれぞれ取付けられる1対の後脚
スリーブと、1対の後脚スリーブを互いに連結する折曲
げ可能な後脚連結リンクとを備える。前脚連結部材は、
各前脚上で前脚の中心軸線まわりに回動可能にそれぞれ
取付けられる1対の前脚スリーブと、1対の前脚スリー
ブを互いに連結する折曲げ可能な前脚連結リンクとを備
える。さらに、1対の前脚剛性リンクと、前脚運動変換
手段と、1対の後脚剛性リンクと、後脚運動変換手段と
を備える。
【0010】1対の後脚剛性リンクは、各反転部材に対
して各々の上方端が回動可能に連結され、第1の枢支点
を中心とする各反転部材の回動運動に伴って各後脚の長
さ方向に移動可能である。後脚運動変換手段は、各後脚
上において各後脚剛性リンクの下方端に連結され、後脚
剛性リンクの上下方向の運動を後脚の中心軸線まわりの
回転運動に変換して各後脚スリーブに伝達する。
【0011】1対の前脚剛性リンクは、各側棒に対して
各々の上方端が回動可能に連結され、第2の枢支点を中
心とする各側棒の回転運動に伴って各前脚の長さ方向に
移動可能である。前脚運動変換手段は、各前脚上におい
て各前脚剛性リンクの下方端に連結され、前脚剛性リン
クの上下方向の運動を前脚の中心軸線まわりの回転運動
に変換して各前脚スリーブに伝達する。
【0012】請求項1に記載の発明は、前脚側の運動変
換手段および後脚側の運動変換手段の両者に注目した構
成となっているが、請求項2に記載の発明では後脚側の
運動変換手段だけに注目し、請求項3に記載の発明では
前脚側の運動変換手段だけに注目した構成となってい
る。
【0013】1つの好ましい実施例では、前脚運動変換
手段は、次のような構成を備える。すなわち、各前脚ス
リーブには、螺旋状に延びるガイド溝がそれぞれ形成さ
れる。各側棒には、第2の枢支点を中心として回動する
側棒カムがそれぞれ設けられる。各側棒カムには、第2
の枢支点からの距離が変化するように延びるカム溝がそ
れぞれ設けられる。前脚剛性リンクは、各前脚スリーブ
と各側棒カムとの間に渡される。各前脚剛性リンクの各
端部は、各前脚スリーブのガイド溝および各側棒カムの
カム溝にそれぞれ受入れられる。
【0014】また、1つの好ましい実施例では、後脚運
動変換手段は、次のような構成を備える。すなわち、各
後脚スリーブには、螺旋状に延びるガイド溝がそれぞれ
形成される。各反転部材には、第1の枢支点を中心とし
て回動する反転部材カムがそれぞれ設けられる。各反転
部材カムには、第1の枢支点からの距離が変化するよう
に延びるカム溝がそれぞれ設けられる。後脚剛性リンク
は、各後脚スリーブと各反転部材カムとの間に渡され
る。各後脚リンクの各端部は、各後脚スリーブのガイド
溝および各反転部材カムのカム溝にそれぞれ受入れられ
る。
【0015】好ましい実施例では、ガイド溝に受入れら
れたガイドピンが、棒状部材の長さ方向に移動したと
き、ガイド溝が螺旋状に延びるように形成されているの
で、ガイドピンのガイド溝内での移動によって、スリー
ブに対して回転運動が与えられる。したがって、スリー
ブのこの回転運動が、連結リンクの折曲げ動作を生じさ
せる。このようにして、1対の棒状部材が互いに近づけ
られる。
【0016】上述したスリーブの回転運動は、前脚連結
リンクおよび後脚連結リンクをそれぞれ折曲げるために
用いられる。また、スリーブを回転させる動作は、前脚
剛性リンクおよび後脚剛性リンクのそれぞれの移動によ
って与えられ、これら前脚剛性リンクおよび後脚剛性リ
ンクのそれぞれの移動は、好ましい実施例では、側棒お
よび反転部材のそれぞれに設けられた側棒カムおよび反
転部材カムによって与えられる。
【0017】このように、この発明によれば、前脚剛性
リンクまたは後脚剛性リンクの上下方向の運動を回転運
動に変換することによって前脚連結部材または後脚連結
部材の折曲げ動作を実現しているので、折りたたみ式乳
母車におけるいわゆる3次元的な動きを必要とする部分
に有利に適用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図面は、この発明の一実施例によ
る折りたたみ式乳母車を説明するためのもので、この乳
母車には、この発明の特徴となる折りたたみ機構が含ま
れている。これらの図面では、乳母車の骨組のみが示さ
れていて、このような骨組の構成をわかりやすく図示す
るために、乳幼児を座らせるための座席の図示が省略さ
れている。座席は、通常、座部および背もたれ部を備え
る。
【0019】図1は、乳母車の開いた状態を示す右側面
図であり、図2は、同じく開いた状態を示す背面図であ
る。図3は、乳母車の閉じた状態を示す右側面図であ
る。図4は、折りたたみ動作の途中の状態にある乳母車
の主要部を示す斜視図である。
【0020】この折りたたみ式乳母車は、大別して、乳
母車の骨組の各側面を構成する部材と、各側面を構成す
る部材間に渡され骨組の幅方向寸法を規定する部材とを
備える。また、この乳母車は、左右対称の構造を有して
いる。したがって、この乳母車に含まれる要素であっ
て、左右にそれぞれ配置されるものについては、同様の
参照符号を用いることにする。
【0021】まず、骨組の各側面を構成する部材は、次
のようなものを含む。1対の手摺部材1が、前後方向に
延びるように配置される。これら1対の手摺部材1の各
前方端間は、折曲げ可能な胴ガード2によって連結され
る。胴ガード2は、好ましくは、手摺部材1に対して着
脱可能とされる。
【0022】手摺部材1の比較的前方部には、1対の前
脚3の上方端が、枢支ピン4によって回動可能に連結さ
れる。各前脚3の下方端には、前輪5が取付けられる。
【0023】各手摺部材1の比較的前方部には、また、
1対の後脚7の各々の上方端が、それぞれ、枢支ピン4
によって回動可能に連結される。この実施例では、手摺
部材1に対して、前脚3および後脚6の双方を回動可能
に連結するため、共通の枢支ピン4を用いたが、乳母車
の設計に応じて、前脚および後脚が、手摺部材に対して
互いに異なる枢支ピンによって回動可能に連結されても
よい。後脚6の各々の下方端には、後輪7が取付けられ
る。
【0024】1対の後脚6の長さ方向の各中央部には1
対の反転部材8の各一方端が、枢支ピン9を介して回動
可能に連結される。反転部材8は、図4によく示されて
いるように、2枚のプレートを含み、これらプレート間
に挟まれるように、後脚6が配置される。
【0025】1対の反転部材8の各他方端には、1対の
押棒10の各下方端が、枢支ピン11によって回動可能
に連結される。これら押棒10も、各反転部材8に備え
る2枚のプレート間に位置される。また、押棒10の各
々の下方端から所定の距離上方の位置には、前述した手
摺部材1の各後方端が、枢支ピン12によって回動可能
に連結される。
【0026】1対の押棒10は、この実施例では、折曲
げ可能な押棒連結部材13によって、その上方端間が互
いに連結される。押棒連結部材13は、この乳母車を押
す手の握りを与える。また、押棒連結部材13の中央部
には、ロック解除操作ボタン14が下方へ突出するよう
に設けられている。このロック解除操作ボタン14は、
この乳母車の開いた状態を維持するためのロックと、こ
の乳母車の閉じた状態を維持するためのロックとの双方
を解除するために押圧操作されるものである。詳細な図
示を省略するが、ロック解除操作ボタン14を押圧操作
することにより、押棒連結部材13が折曲げ可能な状態
にされるとともに、このボタン14の操作に対してワイ
ヤ(図示せず)を介して連動するようにされたロックブ
ロック15が、押棒10に沿って上方へ引き上げられ
る。ロックブロック15は、ばね(図示せず)により、
押棒10に沿って常に下方へ移動するように付勢されて
おり、図1に示すように、反転部材8の上方端に係合し
たとき、押棒10と反転部材8とを互いに固定し、乳母
車の開いた状態をロックする。他方、乳母車の閉じた状
態では、図3に示すように、ロックブロック15が反転
部材8の長さ方向の中央部に係合し、押棒10と反転部
材8とを互いに固定し、乳母車の閉じた状態をロックす
る。
【0027】1対の前脚3の長さ方向の各中央部には、
1対の側棒16の各前方端が回動可能に連結される。こ
の連結のために、図4によく示されているように、側棒
16の前方端には、エンドピース17が固定され、この
エンドピース17および前脚3の双方を貫通するように
枢支ピン18が取付けられる。また、側棒16の各々の
後方端は、前述した反転部材8の端部に回動可能に連結
される。この実施例では、このような連結のために、前
述した押棒10と反転部材8とを連結する枢支ピン11
が用いられ、側棒16の後方端と枢支ピン11との高さ
の差を吸収するため、側棒16の後方端には、エンドピ
ース19が取付けられる。1対の側棒16は、この乳母
車の座席の座部を保持するために用いられる。
【0028】次に、この乳母車の骨組の幅方向寸法を規
定する部材は、次のようなものを含んでいる。
【0029】1対の前脚3の枢支ピン18より下方の位
置間には、前脚連結部材20が渡される。
【0030】1対の後脚6の枢支ピン9より下方の位置
間には、後脚連結部材21が渡される。
【0031】さらに、この実施例では、1対の側棒16
の比較的前方部間には、側棒連結部材22が渡される。
【0032】なお、前述した押棒連結部材13も、この
ような骨組の幅方向寸法を規定する部材と見ることがで
きる。
【0033】図4において特によく示されているよう
に、前脚連結部材20は、各前脚3上で前脚3の中心軸
線まわりに回動可能にそれぞれ取付けられる、1対の前
脚スリーブ23と、1対の前脚スリーブ23を互いに連
結する、折曲げ可能な前脚連結リンク24とを備える。
前脚連結リンク24は、この実施例では、2つの折曲げ
点25を有しており、前脚連結リンク24の両端部は、
それぞれ、前脚スリーブ23に固定されている。
【0034】なお、この実施例では、前脚3が、断面円
形のパイプから構成されているので、このような前脚3
上に、直接、前脚スリーブ23を配置すれば、このよう
な前脚スリーブ23を、前脚3の中心軸線まわりに回動
可能な状態とすることができる。後述するように、後脚
6および側棒16も、断面円形のパイプから構成されて
いるので、前脚3の場合と同様の利点を奏することがで
きる。なお、前脚3を、すべて断面円形とすることな
く、前脚スリーブ23が位置する部分だけ断面円形にし
たり、あるいは、このように断面円形にするため、外周
面の断面が円形とされた別の部材を前脚3上に配置して
もよい。このことは、後述する後脚6および側棒16に
ついてもいえる。
【0035】前述したように、前脚3上で回動可能に取
付けられる前脚スリーブ23が、前脚3の長さ方向に移
動しないように、前脚3には、リング27および28が
固定され、これらリング27および28によって前脚ス
リーブ23が挟まれる。
【0036】この実施例では、まず、前脚3に対して枢
支ピン18を中心として側棒16が回動するとき、この
動作が前脚スリーブ23に伝達され、前脚スリーブ23
が前脚3上で回動し、これによって前脚連結リンク24
が折曲げられる。このような動作を実現する機構の詳細
について、図5を参照して説明する。
【0037】図5には、上述した機構が一般化されて示
されている。すなわち、前脚3に相当する棒状部材7
0、枢支ピン18に相当する枢支ピン71、前脚スリー
ブ23に相当するスリーブ72、ならびにリング27お
よび28に相当するリング73および74が図示されて
いる。
【0038】スリーブ72には、螺旋状に延びるガイド
溝75が形成される。他方、枢支ピン71を中心として
回動するように、カム76が設けられる。このカム76
は、たとえば側棒16に設けられ、側棒16と一体に回
動する。カム76には、枢支ピン71からの距離が変化
するように延びるカム溝77が設けられる。
【0039】上述したスリーブ72とカム76との間に
は、剛性リンク78が渡される。剛性リンク78は、中
空の棒状部材70内に配置される。
【0040】剛性リンク78の各端部は、ガイドピン7
8aおよび78bを形成し、これらガイドピン78aお
よび78bは、それぞれ、スリーブ72のガイド溝75
およびカム76のカム溝77にそれぞれ受入れられる。
また、棒状部材70には、棒状部材70の長さ方向に延
びるガイド穴79および80が設けられ、これらガイド
穴79および80を、それぞれ、ガイドピン78aおよ
び78bが貫通することによって、剛性リンク78は、
棒状部材70の長さ方向に移動可能とされる。
【0041】図5(a)に示した状態において、カム7
6が矢印81方向に回動されたとき、カム溝77の作用
でガイドピン78bが変位され、それによって、剛性リ
ンク78が矢印82方向に移動される。この剛性リンク
78の移動によって、ガイドピン78aは、ガイド溝7
5に作用し、スリーブ72を矢印83方向に回転させ
る。その結果、図5(b)に示す状態が得られる。
【0042】他方、図5(b)の状態において、カム7
6が矢印84方向に回動したとき、カム溝77がガイド
ピン78bに及ぼす作用により、剛性リンク78は矢印
85方向に移動する。この剛性リンク78の移動によっ
て、ガイドピン78aがガイド溝75に及ぼす作用によ
り、スリーブ72が矢印86方向に回転する。
【0043】このような機構が、まず、前述した前脚連
結リンク24を折曲げるために採用されている。
【0044】すなわち、各前脚スリーブ23には、螺旋
状に延びるガイド溝26がそれぞれ形成される。また、
各側棒16には、枢支ピン18を中心として回動する側
棒カム29がそれぞれ設けられる。この実施例では、側
棒カム29は、エンドピース17と一体的に形成され
る。各側棒カム29には、枢支ピン18からの距離が変
化するように延びるカム溝29aがそれぞれ設けられ
る。
【0045】各前脚スリーブ23と各側棒カム29との
間には、それぞれ、各前脚3の長さ方向に移動可能な前
脚剛性リンク30が渡される。前脚剛性リンク30は、
中空の前脚3内に配置される。各前脚剛性リンク30の
各端部は、図5に示したガイドピン78aおよび78b
と同様の形態とされ、前脚スリーブ23のガイド溝26
および側棒カム29のカム溝29aにそれぞれ受入れら
れる。
【0046】以上述べた前脚連結部材20に関連する構
成と実質的に同じ構成が、後脚連結部材21にも採用さ
れる。
【0047】後脚連結部材21は、各後脚6上で後脚6
の中心軸線まわりに回動可能にそれぞれ取付けられる、
1対の後脚スリーブ31と、1対の後脚スリーブ31を
互いに連結する、折曲げ可能な後脚連結リンク32とを
備える。後脚連結リンク32は、2つの折曲げ点33を
備え、後脚連結リンク32の両端は、それぞれ、後脚ス
リーブ31に固定されている。
【0048】各後脚スリーブ31は、各後脚6に固定さ
れたリング35および36によって挟まれ、後脚6の長
さ方向には移動しないようにされる。
【0049】各後脚スリーブ31には、螺旋状に延びる
ガイド溝34がそれぞれ形成される。他方、各反転部材
8には、枢支ピン9を中心として各反転部材8と一体に
回動するように、反転部材カム37がそれぞれ設けられ
る。各反転部材カム37には、枢支ピン9からの距離が
変化するように延びるカム溝37aがそれぞれ設けられ
る。
【0050】各後脚スリーブ31と各反転部材カム37
との間には、それぞれ、各後脚6の長さ方向に移動可能
な後脚剛性リンク38が渡される。後脚剛性リンク38
は、中空とされた後脚6内に配置される。各後脚剛性リ
ンク38の各端部は、図5に示したガイドピン78aお
よび78bと同様の形態とされ、各後脚スリーブ31の
ガイド溝34および各反転部材カム37のカム溝37a
にそれぞれ受入れられる。
【0051】側棒連結部材22は、各側棒16上でスラ
イド可能かつ側棒16の中心軸線まわりに回動可能にそ
れぞれ取付けられる、1対の側棒スリーブ39と、これ
ら1対の側棒スリーブ39を互いに連結する、折曲げ可
能な側棒連結リンク40とを備える。側棒連結リンク4
0は、この実施例では、2つの折曲げ点41を有し、側
棒連結リンク40の両端が、それぞれ、側棒スリーブ3
9に固定されている。
【0052】各側棒スリーブ39には、螺旋状に延びる
ガイド溝42がそれぞれ形成される。また、各側棒16
には、ガイド溝42内に受入れられるガイドピン43が
それぞれ設けられる。
【0053】各側棒スリーブ39には、側方へ張出す起
動片44がそれぞれ形成されている。この起動片44
は、乳母車が開いた状態から閉じた状態に移行する初期
の段階において、前脚3に当接し、これによって、側棒
スリーブ39を側棒16上でスライドさせるための力が
前脚3から与えられる。
【0054】次に、以上、主として構成について説明し
た折りたたみ式乳母車の動作を説明する。
【0055】まず、図1および図2に示す乳母車の開い
た状態では、骨組の各側面を構成する部材にあっては、
反転部材8が後脚6の上半部に沿うように回動されてお
り、そのため、押棒10が相対的に上の位置にもたらさ
れている。この状態で、ロックブロック15によって、
押棒10と反転部材8との相対的な動きが禁止されてお
り、したがって、これら押棒10および反転部材8と、
手摺部材1と、後脚6とによって、固定された三角形が
形成されている。また、前脚3と、後脚6と、側棒16
とによっても、別の三角形が形成されている。これらの
ことから、乳母車の開いた状態が維持されている。この
とき、骨組の幅方向寸法を規定する部材にあっては、上
述した各側面を構成する部材の固定に伴って、それぞれ
の動きが禁止されている。
【0056】このような開いた状態にある折りたたみ式
乳母車を、折りたたんだ状態、すなわち閉じた状態にす
るには、まず、ロック解除操作ボタン14が押圧操作さ
れる。これによって、ロックブロック15が、押棒10
に沿って上方へ変位され、反転部材8との係合が解かれ
る。
【0057】次に、ロック解除操作ボタン14を押圧操
作しながら押棒連結部材13を持つ手を後方へ寄せ、後
輪7を地面につけたまま、前輪5を中に浮かせるよう
に、この乳母車を後方へ傾ける。これによって、押棒連
結部材13が折れ曲がるとともに、反転部材8が矢印4
5方向に回動する。反転部材8のこのような矢印45方
向への回動がある程度進んだ状態が、図4に示されてい
る。
【0058】反転部材8の上述したような回動に応じ
て、反転部材カム37のカム溝37aの作用で、後脚剛
性リンク38は、矢印46方向に移動する。これに応じ
て、後脚剛性リンク38の端部が螺旋状に延びるガイド
溝34に作用し、後脚スリーブ31を矢印47方向へ回
動させる。これによって、後脚連結リンク32は、折曲
げ点33を介して折曲げられる。
【0059】上述した反転部材8の矢印45方向への回
動は、側棒16を介して前脚3にも伝達され、前脚3
が、後脚6に向かって引寄せられる。
【0060】このとき、側棒16は、前脚3に対して矢
印48方向に回動する。したがって、側棒16ととも
に、側棒カム29も、矢印48方向に回動し、カム溝2
9aが及ぼす作用で、前脚剛性リンク30が矢印49で
示す方向に移動する。これによって、前脚剛性リンク3
0の端部が、螺旋状に延びるガイド溝26に作用し、前
脚スリーブ23を矢印50方向に回動させる。これによ
って、前脚連結リンク24が、折曲点25を介して折曲
げられる。
【0061】他方、上述した側棒16の、前脚3に対す
る矢印48方向に回動の結果、前脚3は、起動片44を
介して、側棒スリーブ39に対して、これを側棒16に
沿って矢印51方向へスライドさせる力を与える。この
とき、ガイド溝42内でガイドピン43が移動するが、
ガイド溝42が螺旋状に延びるように形成されているの
で、側棒スリーブ39には、矢印52方向の回動が与え
られる。これによって、側棒連結リンク40は、折曲げ
点41を介して折曲げられる。
【0062】上述したような動作は、さらに進行し、最
終的に、図3に示すような閉じた状態とされる。この状
態において、ロックブロック15が、再び反転部材8の
別の部分に係合し、これによって、この閉じた状態が維
持される。この閉じた状態において、前輪5および後輪
7は、前後方向に整列するので、この乳母車は、自立可
能である。なお、図3において示された押棒連結部材1
3、前脚連結リンク24、後脚連結リンク32、および
側棒連結リンク40の状態からわかるように、この乳母
車は、幅方向に関しては、左右の前輪5および左右の後
輪7がそれぞれほぼ接触する程度にまで折りたたまれ
る。
【0063】逆に、図3に示した閉じた状態から図1お
よび図2に示した状態にするには、基本的には、上述の
動作を逆にたどるようにすればよい。その途中では、前
述した場合と同様に、図4に示す状態を通過する。
【0064】以上、この発明を、図示した好ましい実施
例に関して説明したが、この発明の範囲内において、そ
の他いくつかの変形例も可能である。したがって、上述
した実施例には、この発明にとって必須の構成要件以外
の要素も含まれている。
【0065】たとえば、側棒連結部材22に関して、こ
れが側棒スリーブ39および側棒連結リンク40を備え
ていたが、側棒連結部材22に相当する部材が、1対の
側棒16の互いの近接によって自然に折曲げられるもの
であれば、上述した実施例のように、側棒スリーブ39
および側棒連結リンク40のような構成を備える必要は
ない。
【0066】また、側棒連結部材22は、乳母車の開い
た状態での強度を高めるものであるが、このような利点
を望まないならば、側棒連結部材22は、設けられてい
なくてもよい。
【0067】また、押棒連結部材13についても同様で
ある。すなわち、押棒連結部材13は、乳母車の開いた
状態の強度を高めるものであるが、このような利点を望
まないならば、設けられていなくてもよい。なお、押棒
連結部材13が設けられていないために、乳母車の開い
た状態での強度が不足する場合には、このような乳母車
の他の部分において幅方向に連結する部材を用いればよ
い。このとき、たとえば、乳母車の座席の背もたれ部に
おいて幅方向に延びる部材を、乳母車の開いた状態の強
度を高めるために用いることもできる。
【0068】また、図5に示したような折りたたみ機構
は、図1ないし図4に示した実施例では、側棒16の動
きを利用して前脚連結リンク24を折曲げるため、およ
び反転部材8の動きを利用して後脚連結リンク32を折
曲げるために用いたが、折りたたみ式乳母車の他の部分
に用いることも、図示した形式以外の折りたたみ式乳母
車にも用いることができる。
【0069】また、図5を参照して説明すると、剛性リ
ンク78は、中空の棒状部材70内に配置されるのでは
なく、棒状部材70の外側に配置されてもよい。また、
ガイド溝75に受入れられるガイドピン78aを棒状部
材70の長さ方向に移動させる手段として、図5では、
カム76が用いられ、カム溝77内にガイドピン78a
と一体に動作するガイドピン78bを受入れ、カム76
を回動させることを行なったが、たとえば、剛性リンク
78のガイドピン78bが位置する端部を側棒16の枢
支ピン18よりさらに前方へ張出す端部に回動可能に連
結して、ガイドピン78aを棒状部材70の長さ方向に
移動させる力を得るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による折りたたみ式乳母車
の開いた状態を示す右側面図である。
【図2】図1に示した乳母車の背面図である。
【図3】図1に示した乳母車の閉じた状態を示す右側面
図である。
【図4】図1に示した乳母車の折りたたみ動作の途中の
状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示した乳母車に採用される折りたたみ機
構を一般化して示す正面図であり、(a)と(b)とが
互いに異なる状態を示している。
【符号の説明】
1 手摺部材 3 前脚 4 枢支ピン 5 前輪 6 後脚 7 後輪 8 反転部材 9 枢支ピン(第1の枢支点) 10 押棒 11,12 枢支ピン 16 側棒 18 枢支ピン(第2の枢支点) 20 前脚連結部材 21 後脚連結部材 23 前脚スリーブ 24 前脚連結リンク 25 折曲げ点 26 ガイド溝 29 側棒カム 29a カム溝 30 前脚剛性リンク 31 後脚スリーブ 32 後脚連結リンク 33 折曲げ点 34 ガイド溝 37 反転部材カム 37a カム溝 38 後脚剛性リンク 70 棒状部材 71 枢支ピン 72 スリーブ 75 ガイド溝 76 カム 77 カム溝 78 剛性リンク 78a,78b ガイドピン 79,80 ガイド穴

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後方向に延びる1対の手摺部材と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に前輪
    が取付けられる1対の前脚と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に後輪
    が取付けられる1対の後脚と、 前記1対の後脚の長さ方向の各中央部に対して各々の一
    方端が第1の枢支点において回動可能に連結される1対
    の反転部材と、 前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の下方端が
    回動可能に連結され、かつ前記1対の手摺部材の各後方
    端に対して各々の下方端から所定の距離上方の位置が回
    動可能に連結される1対の押棒と、 前記1対の前脚の長さ方向の各中央部に対して各々の前
    方端が第2の枢支点において回動可能に連結され、かつ
    前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の後方端が
    回動可能に連結される1対の側棒と、 前記1対の前脚の前記第2の枢支点より下方の位置間に
    渡される前脚連結部材と、 前記1対の後脚の前記第1の枢支点より下方の位置間に
    渡される後脚連結部材とを備え、折りたたみ状態では前
    記前脚連結部材および前記後脚連結部材が屈曲すること
    によって幅方向寸法が減じられる折りたたみ式乳母車に
    おいて、 前記後脚連結部材は、前記各後脚上で後脚の中心軸線ま
    わりに回動可能にそれぞれ取付けられる1対の後脚スリ
    ーブと、前記1対の後脚スリーブを互いに連結する折曲
    げ可能な後脚連結リンクとを備え、 前記前脚連結部材は、前記各前脚上で前脚の中心軸線ま
    わりに回動可能にそれぞれ取付けられる1対の前脚スリ
    ーブと、前記1対の前脚スリーブを互いに連結する折曲
    げ可能な前脚連結リンクとを備え、さらに、 前記各反転部材に対して各々の上方端が回動可能に連結
    され、前記第1の枢支点を中心とする前記各反転部材の
    回動運動に伴って前記各後脚の長さ方向に移動可能な1
    対の後脚剛性リンクと、 前記各後脚上において前記各後脚剛性リンクの下方端に
    連結され、後脚剛性リンクの上下方向の運動を後脚の中
    心軸線まわりの回転運動に変換して前記各後脚スリーブ
    に伝達する後脚運動変換手段と、 前記各側棒に対して各々の上方端が回動可能に連結さ
    れ、前記第2の枢支点を中心とする前記各側棒の回転運
    動に伴って前記各前脚の長さ方向に移動可能な1対の前
    脚剛性リンクと、 前記各前脚上において前記各前脚剛性リンクの下方端に
    連結され、前脚剛性リンクの上下方向の運動を前脚の中
    心軸線まわりの回転運動に変換して前記各前脚スリーブ
    に伝達する前脚運動変換手段とを備えることを特徴とす
    る、折りたたみ式乳母車。
  2. 【請求項2】 前後方向に延びる1対の手摺部材と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に前輪
    が取付けられる1対の前脚と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に後輪
    が取付けられる1対の後脚と、 前記1対の後脚の長さ方向の各中央部に対して各々の一
    方端が第1の枢支点において回動可能に連結される1対
    の反転部材と、 前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の下方端が
    回動可能に連結され、かつ前記1対の手摺部材の各後方
    端に対して各々の下方端から所定の距離上方の位置が回
    動可能に連結される1対の押棒と、 前記1対の前脚の長さ方向の各中央部に対して各々の前
    方端が第2の枢支点において回動可能に連結され、かつ
    前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の後方端が
    回動可能に連結される1対の側棒と、 前記1対の後脚の前記第1の枢支点より下方の位置間に
    渡される後脚連結部材とを備え、折りたたみ状態では前
    記後脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が減
    じられる折りたたみ式乳母車において、 前記後脚連結部材は、前記各後脚上で後脚の中心軸線ま
    わりに回動可能にそれぞれ取付けられる1対の後脚スリ
    ーブと、前記1対の後脚スリーブを互いに連結する折曲
    げ可能な後脚連結リンクとを備え、さらに、 前記各反転部材に対して各々の上方端が回動可能に連結
    され、前記第1の枢支点を中心とする前記各反転部材の
    回動運動に伴って前記各後脚の長さ方向に移動可能な1
    対の後脚剛性リンクと、 前記各後脚上において前記各後脚剛性リンクの下方端に
    連結され、後脚剛性リンクの上下方向の運動を後脚の中
    心軸線まわりの回転運動に変換して前記各後脚スリーブ
    に伝達する後脚運動変換手段とを備えることを特徴とす
    る、折りたたみ式乳母車。
  3. 【請求項3】 前後方向に延びる1対の手摺部材と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に前輪
    が取付けられる1対の前脚と、 前記各手摺部材の比較的前方部に対して各々の上方端が
    それぞれ回動可能に連結され、かつ各々の下方端に後輪
    が取付けられる1対の後脚と、 前記1対の後脚の長さ方向の各中央部に対して各々の一
    方端が第1の枢支点において回動可能に連結される1対
    の反転部材と、 前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の下方端が
    回動可能に連結され、かつ前記1対の手摺部材の各後方
    端に対して各々の下方端から所定の距離上方の位置が回
    動可能に連結される1対の押棒と、 前記1対の前脚の長さ方向の各中央部に対して各々の前
    方端が第2の枢支点において回動可能に連結され、かつ
    前記1対の反転部材の各他方端に対して各々の後方端が
    回動可能に連結される1対の側棒と、 前記1対の前脚の前記第2の枢支点より下方の位置間に
    渡される前脚連結部材とを備え、折りたたみ状態では前
    記前脚連結部材が屈曲することによって幅方向寸法が減
    じられる折りたたみ式乳母車において、 前記前脚連結部材は、前記各前脚上で前脚の中心軸線ま
    わりに回動可能にそれぞれ取付けられる1対の前脚スリ
    ーブと、前記1対の前脚スリーブを互いに連結する折曲
    げ可能な前脚連結リンクとを備え、 前記各側棒に対して各々の上方端が回動可能に連結さ
    れ、前記第2の枢支点を中心とする前記各側棒の回動運
    動に伴って前記各前脚の長さ方向に移動可能な1対の前
    脚剛性リンクと、 前記各前脚上において前記各前脚剛性リンクの下方端に
    連結され、前脚剛性リンクの上下方向の運動を前脚の中
    心軸線まわりの回転運動に変換して前記各前脚スリーブ
    に伝達する前脚運動変換手段とを備えることを特徴とす
    る、折りたたみ式乳母車。
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