JPH1035216A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH1035216A
JPH1035216A JP8193681A JP19368196A JPH1035216A JP H1035216 A JPH1035216 A JP H1035216A JP 8193681 A JP8193681 A JP 8193681A JP 19368196 A JP19368196 A JP 19368196A JP H1035216 A JPH1035216 A JP H1035216A
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JP
Japan
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splice
resin
pneumatic tire
reinforcing layer
layer
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JP8193681A
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Inventor
Yoshiaki Hashimura
嘉章 橋村
Zenichirou Shinoda
全一郎 信田
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Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーカス層のスプライス部に起因するタイヤ
ユニフォーミティの悪化およびサイドウォール部に発生
する外観不良(凹凸現象)を改善した空気入りタイヤの
提供。 【解決手段】 本発明の空気入りタイヤは、カーカス層
11のスプライス部15のタイヤ周方向両側にスプライ
ス部15に隣接して補強層16を配置し、各補強層1
6、16のタイヤ周方向長さBをスプライス部15のタ
イヤ周方向長さAに対してB/A≧1にすると共に、ス
プライス部15の剛性とカーカス層11と補強層16を
合わせた剛性とを実質的に等しくしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーカス層のスプ
ライス部に起因するタイヤユニフォーミティの悪化およ
びサイドウォール部に発生する外観不良(凹凸現象)を
改善した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空気入りタイヤを製造する場合、
カーカスコードとコートゴムからなる帯状のカーカス材
を、タイヤ成形ドラムの外周面に巻き付けて、巻き始め
端部と巻き終わり端部とを重ね合わせることによりスプ
ライス部を形成している。したがって、カーカス層に
は、タイヤ幅方向に延びるスプライス部が設けられてい
る。
【0003】しかしながら、このようにスプライス部が
設けられると、スプライス部ではカーカス層の他の部分
に比較してエンド数(コード直角方向50mm当たりの
コード打ち込み本数)が大きいため剛性が大となり、こ
の結果、タイヤユニフォーミティが悪化するという問題
がある。また、カーカススプライス部では他の部分に比
べてカーカス層の周方向の剛性が約2倍となっているた
め、タイヤ成形時の膨径に際してほとんど伸びず、エン
ド数がほとんど変わらない(このときのスプライス部の
エンド数は、スプライス部以外の約2倍)。逆にカーカ
ススプライス部近傍には応力が集中し、大きく伸びるの
で、カーカススプライス部近傍以外のエンド数より更に
少なくなる。
【0004】このタイヤに空気を充填すると、カーカス
スプライス部はエンド数が他の部分より多く、カーカス
コードが伸びにくいので、タイヤサイド部表面が凹むの
に対して、カーカススプライス部近傍は逆にエンド数が
少なく、カーカスコードが伸びるので、タイヤサイド部
表面が凸となり、しかもこの凹凸が隣接しているので、
ゴム厚の薄いサイドウォール部の表面の凹凸が目立って
しまうという問題があった(バンピーサイドという外観
不良)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カー
カス層のスプライス部を除いて補強層を配置することに
より、スプライス部に起因するタイヤユニフォーミティ
の悪化およびサイドウォール部に発生する外観不良を改
善した空気入りタイヤを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、左右一対のビードコア間にカーカス層
が装架され、該カーカス層のタイヤ周方向の一端部と他
端部が重ね合わさってスプライス部を形成した空気入り
タイヤにおいて、前記スプライス部のタイヤ周方向両側
に該スプライス部に隣接して補強層を配置し、各補強層
のタイヤ周方向長さBを前記スプライス部のタイヤ周方
向長さAに対しB/A≧1にすると共に、前記スプライ
ス部の剛性と前記カーカス層と前記補強層を合わせた剛
性とを実質的に等しくしたことを特徴とする。
【0007】このように補強層を配置してスプライス部
の剛性とカーカス層と補強層を合わせた剛性とを実質的
に等しくしたため、スプライス部とカーカス層の他の部
分とで剛性差が実質的になくなるので、成形時の膨径に
おいてカーカススプライス部も周方向に十分に伸ばさ
れ、この部分のカーカスコードのエンド数が減少するの
で、加硫後に空気を充填した場合にカーカススプライス
部の凹み量が少なくなり、凹凸が目立たなくなる。
【0008】また、カーカススプライス部のエンド数が
減少することによって、スプライス部の剛性と他の部分
の剛性の差が小さくなるので、タイヤユニフォーミティ
の悪化がもたらされることがなく、カーカススプライス
部近傍に補強層を入れた場合にはカーカス層のエンド数
の大小によって生じるサイドウォール部表面の凹部と凸
部の発生位置が周方向に離れ、凹凸が目立なくなるので
外観が良好となる。このように剛性には、加硫前の剛
性、加硫後の剛性の両方が含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の空気入りタイヤは、図1
に示されるように、左右一対のビードコア10,10間
にカーカス層11が装架され、トレッド部12において
は2層のベルト層13,13がタイヤ1周に亘って配置
されている。タイヤ内壁面には、カーカス層11の内面
を実質的に覆う空気透過防止層14が形成されている。
【0010】カーカス層11では、図2に示されるよう
に、タイヤ周方向EE’の一端部と他端部とが重なり合
ってタイヤ幅方向に延びるスプライス部15を形成して
いる。このスプライス部15のタイヤ周方向両側には、
スプライス部15に隣接してカーカス層11の内側に補
強層16、16が配置されている。各補強層16のタイ
ヤ周方向長さBはスプライス部15のタイヤ周方向長さ
Aに対して、B/A≧1の大きさになっている。17は
第2補強層であり、この第2補強層17は必要に応じて
配置される。11cはカーカスコードである。
【0011】補強層16は、図3に示すように、スプラ
イス部15を除いてカーカス層11の内側にタイヤ1周
に亘って配置してもよい。また、図4に示すように、図
2における補強層16の代わりに第2補強層の内側に補
強層16を配置してもよい。さらに、図5〜図11は本発
明における補強層の配置の別の態様である。図5はスプ
ライス部15を除いてカーカス層11の内側にタイヤ1
周に亘って補強層16を配置すると共に、その補強層1
6の内側にタイヤ1周に亘って第2補強層17を設けた
場合である。
【0012】図6はスプライス部15を除いてカーカス
層11の内側にタイヤ1周に亘って補強層16を配置す
ると共に、その補強層16の外側にタイヤ1周に亘って
第2補強層17を設けた場合である。図7はスプライス
部15を除いてカーカス層11の内側にタイヤ1周に亘
って補強層16を配置すると共に、その補強層16の内
側に、スプライス部15を保護するように補強層16よ
りも剛性の小さい補助層18を配置した場合である。ス
プライス部15に本発明の補強層16のような空気透過
防止層がなくても充分な空気透過防止性能を有するが、
このように補助層18を配置することによりスプライス
部15の空気透過防止性能をさらに向上させることが可
能である。
【0013】図8はスプライス部15を除いてカーカス
層11の内側にタイヤ1周に亘って補強層16を配置す
ると共に、その補強層16の外側に、スプライス部15
を保護するように補助層18を配置した場合である。図
9はスプライス部15を除いてカーカス層11の内側に
タイヤ1周に亘って補強層16を配置すると共に、スプ
ライス部15における補強層16の一端と他端の間に、
スプライス部15の保護のために、補助層18を左傾斜
させて挿入配置した場合である。
【0014】図10はスプライス部15を除いてカーカス
層11の内側にタイヤ1周に亘って補強層16を配置す
ると共に、スプライス部15における補強層16の一端
と他端の間に、スプライス部15の保護のために、補助
層18を右傾斜させて挿入配置した場合である。図11は
スプライス部15の一端から始まって他端で終わるよう
に、カーカス層11の内側にタイヤ2周に亘って補強層
16を2重配置した場合である。
【0015】図2〜図11において、補強層16、第2補
強層17、および補助層18は、それぞれ、カーカス層
11の外側に配置してもよい。また、スプライス部15
を除いたカーカス層11の他の部分に施す補強は、バン
ピーサイド(BPS)として問題となるサイドウォール
部にだけ実施してもよい。また、図12に示すように、加
硫前において、スプライス部15において補強層16の
ない部分の長さXはスプライス部15のタイヤ周方向長
さAに対し、X/A=0.5〜1.5にするとよい。
0.5未満であると補強されていない部分が狭いため、
加硫に際してスプライス部15が十分に伸ばされなくな
る。一方、1.5を超えるとスプライス部15近傍の補
強されていない部分の面積が広くなり、この広くなった
部分のカーカス層の伸びが大きくなるため、バンピーサ
イドが悪化してしまう。補強層16に空気透過防止の機
能を付加した場合、加硫後において、補強層のない部分
の長さX’/タイヤ内周長が0.0112以下であれば
よい(下限は上記X/A=0.5以上を満たしていれば
よい)。0.0112(1.12%)を超えると空気透
過防止層のない部分の面積が大きくなり過ぎるため、空
気漏れが大きくなる。
【0016】本発明では、スプライス部15の剛性とカ
ーカス層11と補強層16を合わせた剛性とを実質的に
等しくしている。スプライス部15とカーカス層11の
他の部分とで剛性差が実質的に生じないようにするため
である。このためには、カーカス層11のコートゴムの
加硫前50%伸長時の単位断面積当たりの引張り強さを
Mc、厚さをGcとすると共に、補強層16の加硫前5
0%伸長時の単位断面積当たりの引張り強さをMr、厚
さをGrとし、さらに補強層16の配置領域をスプライ
ス近傍の非スプライス部としたとき、スプライス部のΣ
(Mi×Gi) /スプライス近傍の非スプライス部のΣ(Mi×
Gi) の比が0.7〜1.3(i=c 、r)の関係を満足す
るようにすればよい。
【0017】例えば、図2において、スプライス部のΣ
(Mi×Gi) =Mc×Gc+Mc×Gc=2×(Mc×G
c)となり(スプライス部ではカーカス層が2層となっ
ているため)、スプライス近傍の非スプライス部のΣ(M
i×Gi) =Mc×Gc+Mr×Grとなる。
【0018】補強層16、第2補強層17、および補助
層18のそれぞれとしては、その材質が特に限定される
ものではないが、例えば、空気透過防止性のあるブチル
ゴムであってもよく、また、ゴムに比して軽量であって
かつ空気透過防止性を有する熱可塑性樹脂を主成分とす
る樹脂フィルムを用いてもよい。この樹脂フィルムを構
成する熱可塑性樹脂は、空気透過係数が25×10-12c
c・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下,好ましくは5×10
-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下で、ヤング率が1〜
500MPa 、好ましくは10〜300MPaのもので
ある。空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2 ・se
c ・cmHgを越えると、タイヤ空気圧を保持するため空気
透過防止層の厚さを厚くしなければならず、タイヤの軽
量化が図れなくなる。また、フィルムのヤング率が1M
Pa未満ではタイヤ成型時にシワなどが発生して成形加
工性が低下し、500MPaを越えると耐久性に問題が
生じるため好ましくない。
【0019】この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
アミド系樹脂(例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン
66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン1
1(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン61
0(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロ
ン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66
/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンM
XD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T
共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66
/PPS共重合体)、及びそれらのN−アルコキシアル
キル化物、例えば6−ナイロンのメトキシメチル化物、
6−610−ナイロンのメトキシメチル化物、612−
ナイロンのメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂
(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイ
ソフタレート(PE10)、PET/PEI共重合体、
ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート
(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレン
ジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体な
どの芳香族ポリエステル)、ポリニトリル系樹脂(例え
ば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチクリロ
ニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(A
S)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタク
リロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体)、ポリ
メタクリレート系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル)、ポリビニ
ル系樹脂(例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール
(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(E
VOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化
ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩
化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体)、セルロー
ス系樹脂(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロー
ス)、フッ素系樹脂(例えば、ポリフッ素化ビニリデン
(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロ
ルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチ
レン/エチレン共重合体)、イミド系樹脂(例えば、芳
香族ポリイミド(PI)などを挙げることができ、2種
以上であってもよい。
【0020】また、上記の熱可塑性樹脂にエラストマー
をブレンドした樹脂フィルムを用いてもよい。前記熱可
塑性樹脂とブレンドすることができるエラストマー成分
としては、熱可塑性樹脂成分とブレンドした状態で組成
物をなし、結果として上記空気透過係数及びヤング率を
有するものであれば、その種類及び量は特に限定されな
い。
【0021】この熱可塑性樹脂とブレンドするエラスト
マーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物
(例えば、NR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、
BR(高ジスBR及び低シスBR)、NBR、水素化N
BR、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えば、エ
チレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン
酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、II
R、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー
共重合体)、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、
含ハロゲンゴム(例えば、Br−IIR、CI−II
R、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化
物(Br−IPMS)、CR、ヒドリンゴム(CHR・
CHC)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、
塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポ
リエチレン(M−CM))、シリコンゴム(例えば、メ
チルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチ
ルフェニルビニルシリコンゴム)、含イオウゴム(例え
ば、ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニ
リデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系
ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含
フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴ
ム)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系エラ
ストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラ
ストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラ
ストマー)などを挙げることができ、2種以上であって
もよい。
【0022】前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマ
ー成分との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当
な相溶化剤を添加するのが好ましい。系に相溶化剤を混
合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマー成分と
の界面張力が低下し、その結果、分散層を形成している
ゴムの粒子が微細になることから両成分の特性はより有
効に発現されることになる。そのような相溶化剤として
は一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又
は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又
はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニ
ル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基
等を有した共重合の構造をとるものとすることができ
る。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成
分の種類によって選定すれば良いが、通常使用されるも
のにはスチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体
(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM:E
PDM/スチレン又EPDM/アクリロニトリルグラフ
ト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレ
イン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることが
できる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はない
が、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラスト
マー成分の総和)100重量部に対して、0.5 〜10重量
部が良い。
【0023】熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンド
する場合の特定の熱可塑性樹脂(A)とエラストマー成
分(B)との組成比は、特に限定はなく、フィルムの厚
さ、耐空気透過性、柔軟性のバランスで適宜決めればよ
いが、好ましい範囲は重量比(A)/(B)で10/9
0〜90/10、更に好ましくは15/85〜90/1
0である。
【0024】本発明に係わるポリマー組成物(樹脂フィ
ルム30)は、上記必須ポリマー成分に加えて、本発明
のタイヤ用ポリマー組成物の必要特性を損なわない範囲
で前記した相溶化剤ポリマーなどの他のポリマーを混合
することができる。他ポリマーを混合する目的は、熱可
塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性を改良するた
め、材料のフィルム成型加工性を良くするため、耐熱性
向上のため、コストダウンのため等であり、これに用い
られる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、
ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、AB
S、SBS、ポリカーボネート(PC)等が挙げられ
る。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィ
ン共重合体、そのマレイン酸変性体、又はそのグリシジ
ル基導入体なども挙げることができる。本発明に係わる
ポリマー組成物には、更に一般的にポリマー配合物に配
合される充填剤、カーボンブラック、石英粉体、炭酸カ
ルシウム、アルミナ、酸化チタンなどを上記空気透過係
数及びヤング率の要件を損なわない限り任意に配合する
こともできる。
【0025】また、前記エラストマー成分は熱可塑性樹
脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に
加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時
間)等は、添加するエラストマー成分の組成に応じて適
宜決定すればよく、特に限定されるものではない。加硫
剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いるこ
とができる。具体的には、イオン系加硫剤としては粉末
イオウ、沈降イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオ
ウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、ア
ルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例え
ば、0.5〜4phr 〔ゴム成分(ポリマー)100重量
部あたりの重量部〕程度用いることができる。
【0026】また、有機過酸化物系の加硫剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキ
サイド、2,4−ビクロロベンゾイルパーオキサイド、
2,Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチ
ルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメ
ート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チ
オウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、
ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
【0027】また、加硫促進助剤としては、一般的なゴ
ム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華
(5phr 程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれら
のZn塩(2〜4phr 程度)等が使用できる。熱可塑性
エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂成
分とエラストマー成分(ゴムの場合は未加硫物)とを2
軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス
相)を形成する熱可塑性樹脂中にエラストマー成分を分
散相(ドメイン)として分散させることによる。エラス
トマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加
し、エラストマー成分を動的に加硫させてもよい。ま
た、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合
剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよい
が、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可
塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機と
しては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、
バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。な
かでも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練およびエ
ラストマー成分の動的加硫には、2軸混練押出機を使用
するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用
し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度
は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。ま
た、混練時の剪断速度は1000〜7500 sec-1であ
るのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、
また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は1
5秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製され
たポリマー組成物は、次に押出し成形またはカレンダー
成形によってシート状のフィルムに形成される。フィル
ム化の方法は、通常の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラ
ストマーをフィルム化する方法によればよい。
【0028】このようにして得られるフィルムは、熱可
塑性樹脂(A)のマトリクス中にエラストマー成分
(B)が分散相(ドメイン)として分散した構造をと
る。かかる状態の分散構造をとることにより、熱可塑の
加工が可能となり、かつベルト補強層としてのフィルム
に十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十
分な剛性を併せ付与することができると共に、エラスト
マー成分の多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と
同等の成形加工性を得ることができるため、通常の樹脂
用成形機、即ち押出し成形、またはカレンダー成形によ
って、フィルム化することが可能となる。
【0029】これらフィルムと相対するゴム層との接着
は、通常のゴム系、フェノール樹脂系、アクリル共重合
体系、イソシアネート系等のポリマーと架橋剤を溶剤に
溶かした接着剤をフィルムに塗布し、加硫成形時の熱と
圧力により接着させる方法、または、スチレンブタジエ
ンスチレン共重合体(SBS)、エチレンエチルアクリ
レート(EEA)、スチレンエチレンブチレンブロック
共重合体(SEBS)等の接着用樹脂を熱可塑性フィル
ムと共に共押出、或いはラミネートして多層フィルムを
作製しておき、加硫時にゴム層と接着させる方法があ
る。溶剤系接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系
(ケムロック220・ロード社)、塩化ゴム系(ケムロ
ック205、ケムロック234B)、イソシアネート系
(ケムロック402)等を例示することができる。
【0030】なお、本発明では、上記実施形態におい
て、2層のベルト層13を配置した例を示したが、それ
に限定されず、ベルト層を3層以上設けた複数のベルト
層を配置するものであっても好適に用いることができ
る。図13に従来における補強層の配置の一例を示す。図
13では、スプライス部15を除くことなく、カーカス層
11の内側にタイヤ2周に亘って補強層16を2重に配
置し、補強層16の端部をスプライスしている。
【0031】
【実施例】図1に示すタイヤ構造を有すると共に表1、
表2に示すカーカス層のスプライス部構造を有するタイ
ヤサイズ:165SR13の空気入りタイヤを製造した
(標準例1、実施例1〜10、比較例1〜6)。得られ
た各タイヤについて、下記の方法により空気洩れ試験
(圧力低下率)、およびサイドウォール部バンピーサイ
ド測定を行った。この結果を表1に示す。
【0032】空気洩れ試験法(圧力低下率):初期圧力
200kPa、室温21℃、無負荷条件にて3ヵ月間放
置する。内圧の測定間隔は4日毎とし、測定圧力Pt、
初期圧力P0 、経過日数tとして、次の式
【0033】
【数1】
【0034】に回帰してα値を求める。得られたαを用
い、t=30(日)を代入し、 β=〔1−exp(−αt)〕×100 を得る。βを1ヵ月当たりの圧力低下率(%/月)とす
る。サイドウォール部バンピーサイド測定法 :各タイヤを1
0本作製し、これをJATMA規格で規定された標準リ
ムに装着し、ついでJATMA規格で規定された最大空
気圧で空気を封入し、24時間経過後にタイヤ最大幅位
置のサイドウォール部の凹凸量をタイヤ全周で測定し
た。このデータから、タイヤ全周について周方向の長さ
1cmにおける変位のP−P値(ピーク・トウ・ピーク
値)を求め、バンピーサイド量とした。さらに資料タイ
ヤ10本の平均値を求め、標準例1を100として指数
化した。指数値が小さいほどバンピーサイドが少なく、
サイドウォール部の外観が良好である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1において、比較例1および実施例1〜
2は、補強層のタイヤ周方向長さB/カーカス層スプラ
イス部のタイヤ周方向長さAを変化させた場合であり、
B/A≧1の場合(実施例1〜2)がバンピーサイドが
少ないことが判る。比較例2〜3および実施例3〜5
は、スプライス部のΣ(Mi×Gi) /スプライス近傍の非
スプライス部のΣ(Mi×Gi) =Hを変化させた場合であ
り、Hが0.7〜1.3の場合(実施例3〜5)がバン
ピーサイドが少ないことが判る。
【0038】比較例4〜5および実施例6〜7は、補強
層のない部分の長さX/スプライス部のタイヤ周方向長
さAを変化させた場合であり、X/A=0.5〜1.5
の場合(実施例6〜7)がバンピーサイドが少ないこと
が判る。表2において、実施例8〜9および比較例6
は、補強層のない部分の長さX’/タイヤ内周長を変化
させた場合であり、X’/タイヤ内周長が1.12%以
下の場合(実施例8〜9)がバンピーサイドが少ないこ
とが判る。
【0039】実施例10では、エラストマー(エクソン
化学、EXXPRO 89−4)とナイロン11(アト
ケムリルサンBMNO)、ナイロン6・66共重合体
(東レCM6041)を60/29/11の重量比率
で、2軸混練機にて混練し、樹脂成分中にエラストマー
成分を分散させた後、エラストマー100重量部に対
し、連続的に、亜鉛華0.4重量部、ステアリン酸亜鉛
2重量部、ステアリン酸1重量部を動的加硫系として添
加し、熱可塑性エラストマーを作製した。さらに、これ
を押出成形し、フィルムに成形した。スプライス部には
空気透過防止層が貼付されてないが、ブチルゴムよりも
空気透過性が低いフィルムを使用したので、圧力低下率
が良好であった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の空気入りタ
イヤは、カーカス層のスプライス部のタイヤ周方向両側
にスプライス部に隣接して補強層を配置し、各補強層の
タイヤ周方向長さBをスプライス部のタイヤ周方向長さ
Aに対してB/A≧1にすると共に、スプライス部の剛
性とカーカス層と補強層を合わせた剛性とを実質的に等
しくしたため、スプライス部に起因するタイヤユニフォ
ーミティの悪化およびサイドウォール部に発生する外観
不良を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例の子午線方向半
断面図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図11】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の空気入りタイヤのカーカス層のスプラ
イス部の一例を示す断面図である。
【図13】従来の空気入りタイヤのカーカス層のスプライ
ス部の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ビードコア 11 カーカス層 11c カ
ーカスコード 12 トレッド部 13 ベルト層 14 空気透
過防止層 15 スプライス部 16 補強層 17 第2補
強層 18 補助層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21/00 LBM C08L 21/00 LBM 23/16 LCY 23/16 LCY 27/02 LEM 27/02 LEM 33/12 LJD 33/12 LJD 33/18 LJN 33/18 LJN

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対のビードコア間にカーカス層が
    装架され、該カーカス層のタイヤ周方向の一端部と他端
    部が重ね合わさってスプライス部を形成した空気入りタ
    イヤにおいて、前記スプライス部のタイヤ周方向両側に
    該スプライス部に隣接して補強層を配置し、各補強層の
    タイヤ周方向長さBを前記スプライス部のタイヤ周方向
    長さAに対しB/A≧1にすると共に、前記スプライス
    部の剛性と前記カーカス層と前記補強層を合わせた剛性
    とを実質的に等しくした空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記カーカス層のコートゴムの加硫前5
    0%伸長時の単位断面積当たりの引張り強さをMc、カ
    ーカス層の厚さをGcとすると共に、前記補強層の加硫
    前50%伸長時の単位断面積当たりの引張り強さをM
    r、厚さをGrとし、さらに前記補強層の配置領域をス
    プライス近傍の非スプライス部としたとき、スプライス
    部のΣ(Mi ×Gi) /スプライス近傍の非スプライス部の
    Σ(Mi ×Gi) の比が0.7〜1.3(i =c 、r)の関係
    を満足する請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記カーカス層のスプライス部を除いて
    補強層をタイヤ1周に亘って配置した請求項1又は2記
    載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記補強層が空気透過防止性の熱可塑性
    樹脂を主成分とする樹脂フィルムからなる請求項1、
    2、又は3記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂、
    ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタク
    リレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹
    脂、フッ素系樹脂及びイミド系樹脂の群から選ばれた少
    なくとも1種である請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記樹脂フィルムがエラストマーを含有
    する請求項4又は5記載の空気入りタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記エラストマーがジエン系ゴム、オレ
    フィン系ゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム及び熱可塑性
    エラストマーの群から選ばれた少なくとも1種である請
    求項6記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007105470A1 (ja) * 2006-02-27 2007-09-20 The Yokohama Rubber Co., Ltd. 空気入りタイヤの製造方法

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WO2007105470A1 (ja) * 2006-02-27 2007-09-20 The Yokohama Rubber Co., Ltd. 空気入りタイヤの製造方法
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