JPH1035165A - 複写防止印刷冊子体 - Google Patents

複写防止印刷冊子体

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JPH1035165A
JPH1035165A JP8189669A JP18966996A JPH1035165A JP H1035165 A JPH1035165 A JP H1035165A JP 8189669 A JP8189669 A JP 8189669A JP 18966996 A JP18966996 A JP 18966996A JP H1035165 A JPH1035165 A JP H1035165A
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JP
Japan
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copy
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paper
copying
printing layer
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Application number
JP8189669A
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English (en)
Inventor
Masaru Takahashi
勝 高橋
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
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Publication of JPH1035165A publication Critical patent/JPH1035165A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】読み易く、かつ、その複写を防止することが可
能な印刷物の冊子体を提供することにある。 【解決手段】白色系シート状物22上に蛍光色素を含む
インキにより構成された複写不可印刷層26を設けた頁
を、本文の頁とする冊子体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は複写を防止する印
刷物の冊子体に関し、更に詳しくは蛍光色素を含むイン
キにより寝印刷された複写を防止する印刷物の冊子体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より複写を防止する印刷物として
は、濃い赤茶色、濃いボルドー色、濃いセピア色等の有
色シート状物に、黒色等の色で各種情報を印刷すること
により、シート状物の濃度と印刷された情報の濃度の差
を小さくし、複写した後には複写紙全体が黒色になり、
複写用紙上の情報が肉眼では判別できなくなるものが知
られている。
【0003】また、他の複写を防止する印刷物として、
複写すると、複写紙上に肉眼で視認可能に「コピー禁
止」等の文字が現れる隠し画像をシート状物の表面に設
け、その上に各種情報を印刷したものが提供されてい
る。この隠し画像は、複写を防止したい旨を表示する
「コピー禁止」の文字や図形等のキャラクタを構成する
第1区画と、そのキャラクタの周囲の背景を構成する第
2区画からなり、第1区画を構成するパターンと第2区
画を構成するパターンは、形状や大きさが相違するが面
積が同一になるよう設定されている。従って、複写前は
第1区画と第2区画の濃度が同じに視認され隠し画像は
視認できない。
【0004】しかし、複写した後には第1区画のパター
ンと第2区画のパターンの形状や大きさの影響で、第1
区画と第2区画の濃度(複写後の各パターンの面積)が
相違し、「コピー禁止」等の文字が複写用紙上に肉眼で
視認可能に現れる。そして、この隠し画像は印刷された
各種情報の主要部と重なることで、複写用紙上の情報が
肉眼では判別できなくなるものである。このような隠し
画像を有する印刷物としては、例えば、特公昭64−5
835号、特公平2−51742号、特公平3−329
74号、特開昭63−62797号、特開平2−296
79号に開示されたものが知られている。
【0005】しかしながら、前記した従来技術の複写を
防止する印刷物は、いずれの場合においてもシート状物
は有色であり、印刷された情報との濃度差が小さく、情
報自体が非常に読みにくいという課題があった。
【0006】すなわち、印刷物と呼ばれる、シート状物
の上に設けられた印刷層の形状は、一般に、刺激駆動型
と概念駆動型の形状に別れ、概念駆動型の認知が可能な
印刷層の形状は、可視情報(例えば文字、記号等)を構
成している。このような印刷物にあっては、その価値が
専らその可視情報に依存しており、その印刷層の構造や
形状による装飾効果には価値が少ないことから、コピー
機等の複写機で複写して装飾効果を大きく減じても、そ
の複写用紙上に形成された複写層の形状が概念駆動可能
な状態で再現、つまり可視情報として再現されていれば
良く、冊子体の一種である本等において、その可視情報
が複写されることが往々にして発生していた。
【0007】これに対し、有価証券等の偽造防止技術
は、印刷層の構造や形状による装飾効果の相違をとらえ
て真偽を判別するものであり、可視情報自体を失わさせ
るものではなく、更に、高価なため本等の複写に対して
は何ら防止を行なうことができず、そのため、安価でか
つ可視情報としての複写を困難にするために前記した従
来技術の複写を防止する印刷物が提供されていた。
【0008】しかし、これらの複写を防止する印刷物
は、複写用紙上での可視情報としての再現阻止を重視す
るあまり、シート状物を有色とし、その上に印刷層を設
けたため、印刷層とその背景となるシート状物の濃度差
が通常の印刷物に比較して極端に小さくなり、印刷層の
可視情報としての肉眼での視認が難しくなり、非常に読
みにくいという課題を有することとなった。
【0009】このことは、可視情報を速やかに容易に伝
達することを目的とし、読みやすくするために可視情報
の形状(書体)、大きさ、それらの間隔、読む流れなど
に工夫を重ねてきた本等の冊子にとって、その目的自体
に矛盾することであり、その結果、従来の複写を防止す
る印刷物は極めて限定された用途にしか展開がなされな
かった。
【0010】また、従来より蛍光色素を使用した印刷物
は、その複写が容易でなく、コピー機等の複写機で正確
に再現できない現象は知られていたが、蛍光色素は耐光
性が極めて低く、光にあてておくと簡単に減色してしま
うため、複写防止に有効という事実が知られているにも
かかわらず、複写を防止する印刷物に採用することは困
難であるという課題があった。つまり、蛍光インキは使
用期限が短い印刷物にしか採用できず、使用期限の長い
印刷物には使用されておらず、蛍光インキ使用の目的も
複写防止ではなく蛍光インキの持つあざやかな色彩を利
用することにあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は上記事情に
鑑み案出されたものであって、本願発明の課題となると
ところは、読み易く、かつ、その複写を防止することが
可能な印刷物の冊子体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に本願発明の請求項1は、印刷層を有する白色系シート
状物を折り畳んでなる折丁と、該折丁を複数整列してな
る本文と、該本文をくるむ表紙を有する複写防止印刷冊
子体おいて、前記印刷層の少なくとも一部は、蛍光色素
を含むインキにより構成され、前記表紙は不透明な素材
で構成されていることを特徴としている。
【0013】すなわち、本願発明の請求項1によれば、
白色系シート状物の上に印刷層を設けているため、印刷
層とその背景となるシート状物に濃度の差が大きく一般
の印刷物と大差ないため、印刷層で表現される可視情報
を容易に読み取ることが可能である。また、印刷層は複
写で正確に再現できない蛍光色素を含むため、複写をし
ても不正確な複写しか得れず、可視情報は極めて読み取
りにくくなり、例え読み取れたとしても読者に多大の労
力が発生するため、複写をする意思自体を抑制すること
で複写を防止することが可能である。
【0014】更に、本文が不透明な表紙にくるまれてい
るため、蛍光色素を含むインキの印刷層は外部に露出せ
ず、光が当たらないため蛍光色素の耐光性の低い点を補
うことが可能であり、更にまた、複数の折丁を整列して
本文とするため、本文の各頁どうしが押しつけられた状
態となり、各頁どうしの隙間から光が差し込むことを防
止することが可能であり、更にまた冊子体であるため、
通常は一つの頁を読んだ後直ちに次の頁を捲るため、一
つの頁が光にさらされる時間を非常に短くすることが可
能である。
【0015】ここで白色系とは白に近い色のことであ
り、例えば黄味、茶味、青味、赤味等若干の薄色がつい
ていても、読む際に大きな影響がなければ構わない。ま
たここでシート状物とは印刷を施すことが可能でかつ折
り曲げが可能なシートであればよく、例えば紙、合成
紙、プラスチックフィルム、プラスチックシート等の公
知のものが使用され、中でも上質紙、コート紙、アート
紙、微コート紙等の紙類が好んで使用される。またここ
で折丁とは、シート状物を折り畳んだものであって、そ
の頁数としては例えば表裏で4頁、8頁、16頁、32
頁、64頁、128頁等のものが一般的であるが、特殊
なものも製作可能でありこれに限定するものではない。
またここで整列とは、折丁を折り目で重ねる場合と折丁
を横に並べる場合がある。
【0016】またここで表紙とは、印刷を施すことが可
能でかつ本文に対し光をある程度遮断する程度の不透明
性をもっていれば良く、例えば紙、合成紙、不透明プラ
スチックフィルム、不透明プラスチックシート等の公知
のものが使用され、中でも上質紙、コート紙、アート
紙、微コート紙、板紙、段ボール等の紙類やそれらの組
合せが好んで使用される。またここで、本文をくるむと
は、表紙が本文の表面及び裏面を覆っている状態をい
い、本文の側面は露出していても構わない。またここで
冊子体とは、例えば書籍、雑誌、カタログ、パンフレッ
ト等があるがこれに限定するものではない。
【0017】またここで蛍光色素の主なものは、昼光蛍
光顔料という有機顔料の一種であって、蛍光性を有する
染料を合成樹脂に溶かし込んで固溶体とし、これを微粉
化してつくられる。蛍光性の染料としては、酸性染料、
塩基性染料及び油溶染料が用いられ、基体の合成樹脂と
しては、トルエンスルホンアミド・メラミン樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂などが使われる。またここで印刷と
は、公知の印刷手法の全てが使用可能であり、例えばオ
フセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、シルク印刷等
があるがこれに限定するものでは無い。
【0018】また本願発明の請求項2は、前記印刷層の
一部は、少なくとも概念駆動型形状をしており、該概念
駆動型形状印刷層の少なくとも一部が蛍光色素を含むイ
ンキにより構成されていることを特徴としている。
【0019】すなわち、本願発明の請求項2によれば、
複写で正確に再現できない蛍光色素を含むインキの印刷
層は、少なくともその一部が概念駆動型形状(例えば文
字、記号等)をしているため、複写を行うと概念駆動型
形状のインキ層が複写用紙上に正確に再現できないこと
となる。この概念駆動型形状のインキ層が例えば文字や
記号の場合、文字や記号は一文字一文字では全体として
の概念を伝達することができず、その全てが揃ってはじ
めて意味を成すため、一部分であっても複写用紙上に再
現されなければ、それで複写した目的を達成することが
困難となり、有効に複写を防止することが可能である。
【0020】特に、文字や記号の場合、光沢の少ない黒
色が最も読みやすいのは周知の事実であり、それに比較
した場合には蛍光色素を含むインキで印刷した文字や記
号が比較的読みにくくなることを避けることは出来ず、
文字や記号の重要部分等に限定して蛍光色素を含むイン
キで印刷すれば、冊子全体としての読みやすさを低下さ
せずに複写を防止することが可能である。尚、例えば冊
子が教科書、学習参考書又は資料集の場合、数式、定
理、ポイント等の重要部分を蛍光色素を含むインキで印
刷することで、重要部分を読者に強く印象づけると同時
に複写を防止することが可能である。
【0021】また本願発明の請求項3は、前記蛍光色素
を含むインキにより構成されている概念駆動型形状印刷
層は、複数の点形状、線形状又はそれらの組合せ形状の
印刷部分の集合により構成されていることを特徴として
いる。
【0022】すなわち、本願発明の請求項3によれば、
蛍光色素を含むインキにより構成されている概念駆動型
形状印刷層は、複数の点形状、線形状又はそれらの組合
せ形状の印刷部分の集合により構成されているため、複
写により再現される可視情報をより不正確にすること
で、可視情報は極めて読み取りにくくなり、例え読み取
れたとしても読者に更に多大の労力が発生するため、複
写をする意思自体を強く抑制することで複写を防止する
ことが可能である。
【0023】つまり、コピー機等の複写機は、複写すべ
き原稿等に光をあて、その投影画像を光導電性の感光ド
ラムに投影し、ドラム上を帯電部分と非帯電部分に分
け、その帯電を利用してトナーをドラムに付着させ、そ
れを複写用紙に転写することで複写を行っている。従っ
てその原理上、原稿上の小さな点や線は光の拡散による
影響で不正確な投影画像となり、結果として、小さな点
や線の正確な再現が困難となる。前記の従来技術におい
て、複写用紙上に肉眼で視認可能に「コピー禁止」等の
文字が現れる隠し画像はこの不正確な再現を利用したも
のである。
【0024】本願発明の請求項3は、これを蛍光色素を
含むインキにより構成されている概念駆動型形状印刷層
に利用したもので、点又は線の印刷層に蛍光色素が含ま
れていることで、光の拡散の度合いが大きくなり、コピ
ー等の感光ドラムに点や線の投影画像が再現されず、複
写用紙上の可視情報の一部が欠落することで、複写によ
り再現される可視情報をより不正確にし、可視情報は極
めて読み取りにくくなり、例え読み取れたとしても読者
に更に多大の労力が発生するため、複写をする意思自体
を強く抑制することで複写を防止することが可能とな
る。
【0025】特に、概念駆動型形状印刷層である可視情
報(例えば文字や記号)は非常に似通った形状をしてお
り、かつ、小さな形状の相違で異なる概念を伝えるた
め、例え一部でも欠落すると概念を伝えることが不可能
となり、複写をする意思自体を強く抑制することで複写
を防止することが可能となる。
【0026】ここで、点形状又は線形状とは、印刷技術
の中で網点と呼ばれているもので、例えばスクエアドッ
ト、チェーンドット、ラウンドドット、砂目、FMスク
リーン等のランダムドットパターン、縦万線、横万線等
がある。また、その大きさは線数とその線数での再現%
で表現され、本願発明で使用する線数としては50〜1
000線/インチの範囲、好ましくは150〜300線
/インチの範囲であって一般の印刷では175線/イン
チが最も多く用いられている。そして各線数での点1個
の大きさは0〜100%の範囲で変動する。本願発明で
の使用範囲は30〜80%、好ましくは40〜70%の
範囲であり、本願発明での点形状又は線形状の形状と大
きさの表現を例示すると、175線のスクエアドットで
50%という表現となる。尚、FMスクリーンの場合、
一定の大きさの点の密度で濃淡を表すため、線数という
概念はなく、ただ濃淡を表す概念として%を使用する。
その点の大きさは約20ミクロンで、これは175線/
インチの2%の網点に相当する。
【0027】また本願発明の請求項4は、前記蛍光色素
を含むインキにより構成されている概念駆動型形状印刷
層は、点形状の印刷部分がランダムドットパターン状に
配置されていることを特徴としている。
【0028】すなわち、本願発明の請求項4によれば、
点形状の印刷部分がFMスクリーン等ランダムドットパ
ターン状に配置されているため、概念駆動型形状印刷層
(例えば文字、記号等)の可視情報を、複写防止機能を
低下させずに違和感無く、読みやすくすることが可能で
ある。これは、前記のスクエアドット、チェーンドッ
ト、ラウンドドット等の配置は、例えばスクエアドット
の50%が市松模様になるように、点の中心が定まって
いる。そして、その点の中心間の間隔はパターンと線数
で決定されており、点1個の大きさはその中心より何%
の範囲で点を再現するかを定めているにすぎない。その
ため、例えば文字等の場合、その輪郭に規則的な凹凸が
発生し、規則的な凹凸であるがために肉眼で違和感を感
じてしまい、読みにくくなってしまう。
【0029】これに対して、FMスクリーン等ランダム
ドットパターン状の配置は、一定の大きなエリアを設定
し、そのエリア内の点の総面積を演算し、これをランダ
ムな点の配置に置き換えて点の密度で濃淡を表すもので
あって、その特徴は定まった中心と規則性を持たない所
にある。その結果、文字等の場合、その輪郭に規則的な
凹凸が発生せず、肉眼で違和感を感じることもなく、複
写防止機能を低下させずに違和感無く、読みやすくする
ことが可能である。なお、FMスクリーン等ランダムド
ットパターン状の配置を行なうシステム(プログラム)
としては日本のランドット(大日本スクリーン製造株式
会社)、イスラエルのフルトーン(サイテックス社)、
ドイツのダイヤモンドスクリーン(ライノタイプヘル
社)、クリスタルラスター(アグファゲバルト社)があ
る。
【0030】また本願発明の請求項5は蛍光色素が青色
系であることを特徴としている。すなわち、本願発明の
請求項5によれば、蛍光色素が青色系であるため、可視
情報を読みやすくすることが可能である。つまり、黄色
系の場合はコピー等の複写機で再現しにくい反面、読者
が読みにくく、赤色系の場合は読者が読みやすい反面、
コピー等の複写機で再現が容易であり、青色系がある程
度コピー等の複写機で再現しにくく、かつ、読者が読み
やすいためである。ここで青色系とは、主に400〜6
00nmの範囲の波長の光を反射し、600〜700n
mの範囲の波長の光を吸収するものをいう。
【0031】また本願発明の請求項6は前記シート状物
は白色系上質紙であることを特徴としている。すなわ
ち、本願発明の請求項6によれば、シート状物は白色系
上質紙であるため、他の物に比較して光が乱反射しやす
く、光の拡散の度合いが大きくなり、コピー等の感光ド
ラムに点や線の投影画像が再現されず、複写用紙上の可
視情報の一部が欠落することで、複写により再現できる
可視情報をより不正確にし、可視情報は極めて読み取り
にくくなり、例え読み取れたとしても読者に更に多大の
労力が発生するため、複写をする意思自体を強く抑制す
ることで複写を防止することが可能となる。
【0032】つまり、最も好んで使用される白色系のシ
ート状物は紙であるが、その紙は大きく分けて上質紙、
コート紙、アート紙に分類される。ここで、上質紙とは
漂白した植物繊維を絡ませただけの紙であり、コート紙
とは上質紙の表面に鉱物性白色顔料と接着剤となる樹脂
の混合体を塗布して、その表面の平滑性を向上させたも
のであり、アート紙とはコート紙より塗膜を厚くしたも
のである。上質紙の場合その表面に何ら塗膜が無く絡ん
だ植物繊維が剥き出しのため表面の凹凸が大きく光が乱
反射して光沢を持っていない。それに対し、コート紙と
アート紙は植物繊維の絡んだ凹凸を塗膜で埋めているた
め表面の乱反射が少なく光沢を持っている。
【0033】従って、シート状物が白色系上質紙である
ため、より光の乱反射が大きく光が拡散し、コピー等の
感光ドラムに点や線の投影画像が再現されず、複写用紙
上の可視情報の一部が欠落することで、複写により再現
できる可視情報をより不正確にし、可視情報は極めて読
み取りにくくなり、例え読み取れたとしても読者に更に
多大の労力が発生するため、複写をする意思自体を強く
抑制することで複写を防止することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を図
面に従って説明する。図1は本願発明の外観を示す概念
図である。図1において、1は複写防止印刷冊子体、2
は表紙、3は本文、4は折丁、5は裏表紙、6は背表
紙、7は表表紙、8は裏表紙5と背表紙6を連接する折
り線、9は背表紙6と表表紙7を連接する折り線、10
は折丁4の背部分、11は本文の天側面、12は本文の
小口側面、13は本文の地側面である。図1において、
複写防止印刷冊子体1は無線綴じ本の形態を採用してお
り、折丁4を背部分10で揃えて横に重ねて整列させ、
その背部分10を矢印Aの方向で背表紙6にホットメル
ト等接着剤で接着して冊子体とする。無線綴じの場合、
接着の前に背部分10にガリ等切り込み、又は、背部分
10自体をカットして折丁4内側の頁を露出させて接着
するのが一般的で、本文3と表紙2を接着した後、裏表
紙5を矢印B方向に、背表紙6を矢印C方向に綴じて一
体となし、本文の天側面11、本文の小口側面12、本
文の地側面13の三方を、本文3と表紙2を重ねて断裁
して冊子体とする。
【0035】本実施の形態では無線綴じ本を例示してい
るが、本願発明の冊子体はこれに限定するものでは無
く、例えば、糸かがり、サイドミシン、中ミシン、無線
綴じ上製本、アジロ綴り、中綴じ、平綴じ、アジロ綴
じ、合紙、南京製本、フランス表紙等がある。特に代表
的なものについて説明すると平綴じは、無線綴じの折丁
を針金で綴じたものであり、中綴じは週刊誌等で良く採
用される綴じ方であるが、表紙は背表紙が無く表表紙と
裏表紙を直接折り線で連接したものを使用し、複数の折
丁を背部分で重ねて整列させ、そこに表紙の折り線を重
ね、折丁の背部分と表紙の折り線を針金又は糸で貫いて
綴じて三方を断裁して冊子体とするものである。
【0036】図1において、表紙2は裏表紙5、背表紙
6、表表紙7を折れ線8、折れ線9で連接してなり、不
透明な素材で構成されている。表紙を構成する不透明な
素材としては、例えば紙、合成紙、不透明プラスチック
フィルム、不透明プラスチックシート等の公知のものが
使用され、中でも上質紙、コート紙、アート紙、微コー
ト紙、板紙、段ボール等の紙類やそれらの組合せが好ん
で使用される。ただし、それらの組合せにおいては全体
として不透明な構成であれば良く、一つ一つの素材に不
透明性は必要が無く、例えば紙とプラスチックフィルム
の組合せにおいて、紙が不透明であれば、プラスチック
フィルムは透明でも良い。
【0037】これらの紙において本願発明で使用される
範囲は、例えば、上質紙としては52.3g/m2 〜2
09.3g/m2 、コート紙としては73.3g/m2
〜183.8、アート紙としては79.1g/m2 〜1
57.0g/m2 、アートポストとしては186.1g
/m2 〜279.0g/m2 、板紙としては160g/
2 〜465.0g/m2 、白ボールとしては270g
/m2 〜600g/m 2 等の間が一般的であるが、これ
に限定するものでは無く、光をある程度遮断できれば良
い。つまり、上質紙としては52.3g/m2 を下回る
と紙が薄いため遮光性が低下し、表紙としての使用は若
干限定されたものとなるが、コート紙の73.3g/m
2 、アート紙の79.1g/m2 を下回っても、表面に
塗布された鉱物性白色顔料と接着剤となる樹脂の混合体
により遮光性が保持されるため、表紙としてある程度使
用可能であり、板紙段ボール等は遮光性による限定がほ
とんど無く表紙に使用できる。
【0038】また、表紙の素材の組合せとしては、例え
ば、紙の表面に塩化ビニールやポリエチレン等の透明プ
ラスチックシートを貼り合わせた場合、文庫本・親書本
・コミック本の様に板紙の表紙を更にコート紙でカバー
としてくるんだ場合、ハードカバー本の様に紙・布・ビ
ニールシート等に板紙を貼り合わせ、更にコート紙でカ
バーとしてくるんだ場合等、一般的に書籍として使用さ
れている組合せが採用できる。
【0039】図1において、折丁4はシート状物を折り
畳んで構成してあり、シート状物とは印刷を施すことが
可能でかつ折り曲げが可能なシートであればよく、例え
ば紙、合成紙、プラスチックフィルム、プラスチックシ
ート等の公知のものが使用され、中でも上質紙、コート
紙、アート紙、微コート紙等の紙類が好んで使用され
る。これらの紙において本願発明で使用される範囲は、
例えば、上質紙としては52.3g/m2 〜209.3
g/m2 、コート紙としては73.3g/m2 〜18
3.8、アート紙としては79.1g/m2 〜157.
0g/m2 、アートポストとしては186.1g/m2
〜279.0g/m2 、の間が一般的であるが、これに
限定するものでは無く、折り畳み可能であれば他の重量
でも良い。また、シート状物はその表裏に印刷が施され
ており、折った後の頁数は、例えば表裏で4頁、8頁、
16頁、32頁、64頁、128頁等のものが一般的で
あるが、特殊なものも製作可能でありこれに限定するも
のではない。尚、冊子体の全ての頁を複写防止可能な印
刷物で構成する必要が無いことは言うまでもなく、その
一部の頁が複写防止可能な印刷物で有れば良い。
【0040】図2は本願発明の複写防止機能を示す概念
図である。図2において、20は複写防止印刷物である
冊子体の本文の頁、21は本文の頁20を原稿としてコ
ピー機等複写機で複写した複写紙、22は本文の頁20
の基体であるシート状物、23は複写紙の基体となる複
写用紙、24はシート状物22の上に設けられた概念駆
動型の認知が可能な形状をした印刷層、25は複写用紙
23上に形成された複写層、26は蛍光色素を含むイン
キにより構成された複写不可印刷層、27は複写不可印
刷層を複写して形成された再現不可複写層、28は蛍光
色素を含まないインキにより構成された複写可能印刷
層、29は複写可能印刷層を複写して形成された再現可
能複写層である。
【0041】図2において、原稿となる冊子体の本文の
頁20はシート状物22とその上に設けられた印刷層2
4よりなり、印刷層24は複写不可印刷層26と複写可
能印刷層28により構成されている。また、複写紙21
は複写用紙23とその上に形成された複写層25よりな
り、複写層25は再現不可複写層27と再現可能複写層
29より構成されている。
【0042】ここでシート状物22は、白色系の紙、合
成紙、プラスチックフィルム、プラスチックシート等の
公知のものが使用され、中でも上質紙、コート紙、アー
ト紙、微コート紙等の紙類が好んで使用される。印刷層
24はインキで構成され、公知の印刷手法で印刷され
る。また、複写不可印刷層26は蛍光色素である昼光蛍
光顔料という有機顔料を含んだインキにより構成されて
おり、複写可能印刷層28は蛍光色素を含まない通常の
インキ、例えば黒色インキ等で構成されている。また複
写紙21は紙等の複写用紙23の上に粉体トナーを融着
して複写層25を形成するのが一般的であるが、予め複
写用紙の上にジアゾ系感材・銀塩系感材・色材を包含し
たマイクロカプセル等を塗布しておき、光反応で感材を
変色させるタイプもあり、その場合は変色した感材部分
が複写層25となる。
【0043】図2に示す様に、冊子体の本文の頁20を
コピー機等複写機で複写すると、複写可能印刷層28は
再現可能複写層29として複写用紙23上に形成される
が、複写不可印刷層26は再現不可複写層27として概
念駆動を行えない形状でしか形成されておらず、本文の
頁20の印刷層24は複写紙21には一部が欠落した状
態で再現されてしまい、複写の目的が達成できなくなっ
ている。また、本文の頁20の印刷層24は、全てが複
写不可印刷層26で構成されておらず、複写可能印刷層
28の間に配置されているため、全体としての読みやす
さは低下しておらず、例えば数式や重要ポイントに複写
不可印刷層26を採用すれば、違和感無く全体としての
読みやすさは逆に向上する。無論、本願発明はこれに限
定するものでは無く、印刷層24の全てを複写不可印刷
層26で構成しても、全体としての読みやすさは大きく
低下するものではない。尚、図2は概念図のため、複写
可能印刷層28は「ひらがな」、複写不可印刷層26は
「アルファベット」、再現可能複写層29は「ひらが
な」、再現不可複写層27は「点模様」で表している
が、実際の実施においては再現不可複写層27は「点模
様」となることは無く、図3に示す如くまばらな点のよ
うになる。
【0044】図3は図2の右上端を拡大した概念図であ
る。図3において、「お」「か」「さ」「し」の4文字
は再現可能複写層29であるため概念駆動が可能な形状
で再現されており、個々の文字として視認することが可
能である。しかし、図2の複写不可印刷層26である
「AAA」「BBB」に対応する再現不可複写層27は
概念駆動が可能な形状ではなく、まばらな点としてしか
再現されておらず、個々の文字として視認することさえ
困難である。そのため、文章全体として一つの概念を駆
動することが困難であり、複写を行なった目的を達成で
きなくなっている。
【0045】図4は本願発明の複写不可印刷層を示す拡
大概念図である。図4において、(a)はスクエアドッ
トパターン・175線/インチ・50%の線分の拡大概
念図であり、(b)はスクエアドットパターン・350
線/インチ・50%の線分の拡大概念図であり、(C)
はFMスクリーン・50%の線分の拡大概念図である。
図4において、30はシート状物、31はスクエアドッ
トパターン・175線/インチ・50%の175線複写
不可印刷層、32はスクエアドットパターン・350線
/インチ・50%の350線複写不可印刷層、33はF
Mスクリーン・50%のFMスクリーン複写不可印刷
層、34は点どうしの接点、35は一つの点がカバーす
るエリアである。
【0046】図4において(a)の175線複写不可印
刷層31は、線数とスクエアドットパターンで決定され
る中心点を中心に、エリア35の50%の面積を占める
四角の点でパターンが形成される。ここで、50%とは
黒部分の面積の比率のことであり、従って、スクエアド
ットパターン50%は市松模様となる。そのため、線分
の両辺に規則的な凹凸が目立ち、視認する際に違和感を
感じ、読みにくくなっている。この傾向は(b)の35
0線複写不可印刷層32でも同様に存在しており、35
0線複写不可印刷層32は線分状複写不可印刷層31の
倍の細かさであるが線分の両辺に規則的な凹凸が目立つ
ため、視認する際に違和感を感じ、読みにくくくなって
いる。それに対し(c)のFMスクリーン複写不可印刷
層33はランダムドットパターンのため、点の配置に中
心が無く、ランダムに配置されているため、線分の両辺
に規則的な凹凸が無く、視認する際に違和感を感じず、
読みやすくなっている。
【0047】図5は本願発明の第1の実施例の結果を示
す一覧表である。図5の表1は本願発明におけるインキ
の色相による影響を検討した結果であり、その実施条件
は、シート状物として米坪81.4g/m2 ・白色の上
質紙に、青色系蛍光インキ(商品名:TLブルー、東洋
インキ製造株式会社)が重量比80%で主成分としたイ
ンキ、赤色系蛍光インキ(商品名:TLマゼンダT1、
東洋インキ製造株式会社)が重量比80%で主成分とし
たインキ、黄色系蛍光インキ(商品名:TLイエローT
1、東洋インキ製造株式会社)が重量比80%で主成分
としたインキの3種類を枚葉オフセット印刷機で印刷し
た。その際の可視情報、すなわち印刷する絵柄は、カタ
カナ、ひらがな、アルファベット、選択した漢字を9
ポ、12ポ、14ポの3種類で並べ、書体は細明朝体と
し、これらの文字をスクエアドット・175線で、10
0%、75%、50%、40%の種類で作成して印刷を
おこなった。次にそうして作られた印刷物(原稿)の複
写は黒色粉体トナーを使用するコピー機(機種名:Vi
vace670、富士ゼロックス株式会社)を使用し
た。実施の評価は感応評価で、複写紙の再現性は、再現
の悪さの度合いを4段階で評価し、印刷物である原稿の
読みやすさは、3段階で評価を行っている。尚、原稿の
読みやすさは本願発明の目的により、文字、記号のみを
評価対象としている。
【0048】表1の実施において、複写紙上の再現性に
ついては、赤系蛍光色素を含むインキが最も正確に再現
されてしまい、複写紙において可視情報を識別できる率
が高いのに対して、黄系蛍光色素を含むインキは複写紙
において可視情報を識別できる率が低い。そして青系蛍
光色素を含むインキは、赤系蛍光色素と黄系蛍光色素の
中間に位置している。また、原稿の可読性においては、
黄系蛍光色素を含むインキは最も読みにくく、ついで赤
系蛍光色素を含むインキが読みにくく、青系蛍光色素を
含むインキが最も読みやすい結果となっている。従っ
て、表1より、青系蛍光色素を含むインキが、複写紙上
の再現性と原稿の可読性の両方のバランスが最も良い結
果となっている。
【0049】図6は本願発明の第2の実施例の結果を示
す一覧表である。図6の表1は本願発明におけるシート
状物による影響を検討した結果であり、その実施条件
は、シート状物として米坪81.4g/m2 ・白色の上
質紙、米坪79.1g/m2 ・白色のコート紙、米坪8
4.9g/m2 ・白色のアート紙の3種類の紙に、青色
系蛍光インキ(商品名:TLブルー、東洋インキ製造株
式会社)が重量比80%で主成分としたインキが重量比
80%で主成分としたインキで枚葉オフセット印刷機で
印刷した。その際の可視情報、すなわち印刷する絵柄
は、カタカナ、ひらがな、アルファベット、選択した漢
字を9ポ、12ポ、14ポの3種類で並べ、書体は細明
朝体とし、これらの文字をスクエアドット・175線
で、100%、75%、50%、40%の種類で作成し
て印刷をおこなった。次にそうして作られた印刷物(原
稿)の複写は黒色粉体トナーを使用するコピー機(機種
名:Vivace670、富士ゼロックス株式会社)を
使用した。実施の評価は感応評価で、複写紙の再現性
は、再現の悪さの度合いを4段階で評価し、印刷物であ
る原稿の読みやすさは、3段階で評価を行っている。た
だし、感応評価はあくまで各実施例毎に上げた印刷物及
び複写紙の範囲内での比較評価であって、各実施毎に独
立しており、表1と表2での評価結果は評価記号は同様
であっても、関連は無い。
【0050】表2の実施において、複写紙上の再現性に
ついては、コート紙及びアート紙が同様の再現性を示し
ており大きな差は感じられず、上質紙は複写紙において
可視情報を識別できる率が低い。また、原稿の可読性に
ついては、反射が抑えられる分だけ上質紙が良好であ
り、コート紙及びアート紙は読みにくい結果を得てい
る。従って、表2より表面を平滑にするための塗膜を有
さず、表面の凹凸が大きく光が乱反射して光沢を持って
いない方が、複写紙上の再現性及び原稿の可読性の両方
が最も良い結果となっており、特に紙等をシート状物と
して採用する場合には上質紙が良い結果となっている。
【0051】図7は本願発明の第3の実施例の結果を示
す一覧表である。図7の表3は本願発明における点又は
線/インチ配置と大きさによる影響を検討した結果であ
り、その実施条件は、シート状物として米坪81.4g
/m2 ・白色の上質紙に、青色系蛍光インキ(商品名:
TLブルー、東洋インキ製造株式会社)が重量比80%
で主成分としたインキが重量比80%で主成分としたイ
ンキで枚葉オフセット印刷機で印刷した。その際の可視
情報、すなわち印刷する絵柄は、カタカナ、ひらがな、
アルファベット、選択した漢字を9ポ、12ポ、14ポ
の3種類で並べ、書体は細明朝体とし、これらの文字を
FMスクリーン、スクエアドット・175線、スクエア
ドット・350線、チェーンドット・175線、チェー
ンドット・350線、ラウンドドット・175線、ラウ
ンドドット・350線、縦万線・175線、縦万線・3
50線、横万線・175線、横万線・350線で各々1
00%、75%、50%、40%の種類で作成して印刷
をおこなった。次にそうして作られた印刷物(原稿)の
複写は黒色粉体トナーを使用するコピー機(機種名:V
ivace670、富士ゼロックス株式会社)を使用し
た。実施の評価は感応評価で、複写紙の再現性は、再現
の悪さの度合いを4段階で評価し、印刷物である原稿の
読みやすさは、3段階で評価を行っている。ただし、感
応評価はあくまで各実施例毎に上げた印刷物及び複写紙
の範囲内での比較評価であって、各実施毎に独立してお
り、表1、表2、表3での評価結果は評価記号は同様で
あっても、関連は無い。
【0052】表3によれば、複写紙上の再現性について
は、FMスクリーンが最も可視情報を識別できる率が低
く、ついでスクエアドットが可視情報を識別できる率が
低くくなっている。スクエアドットの場合、50%と4
0%の間で顕著な差が発生しているが、これは単に大き
さの相違ではなく、スクエアドット50%の場合、市松
模様となるため、点どうしが接点(図4の接点34を参
照)を有しており、その接点が印刷の際に膨らむ傾向が
ある(この現象をトーンジャンブという)があり、その
部分が複写用紙上に再現されやすい現象を起こしていた
が、40%の場合は点どうしが接触せず、その結果、複
写用紙上に再現されやすい現象自体がなくなったものと
考えられる。尚、チェーンドット、ラウンドドット等は
点の形状が相違するためトーンジャンプ現象は別の%で
発生し、それらは、複写紙上の再現性に大きな影響を与
えない領域で発生しており、表3には表れていない。例
えばチェーンドットは菱形の点形状をしており、トーン
ジャンプは30%と70%で発生するが、30%では原
稿を読める可能性が小さく、70%では複写紙上の再現
性に影響を与えるほどのことは無い。
【0053】表3によれば、原稿の可読性については、
FMスクリーンが最も読みやすく、他の点又は線/イン
チの配置には大きな差が見受けられない。FMスクリー
ンが最も読みやすい理由としては、スクエアドット、チ
ェーンドット、ラウンドドット、縦万線、横万線は特定
のパターンの繰り返しであり、100%ベタの場合は特
定パターンが目立たないが、75%、50%、40%と
変更するに従って、そのパターンが目立ち、特に文字や
記号の縁部分において特定の凹凸が目立つようになり、
このことが、読みにくく感じる大きな原因の一つとなっ
ている。それに対して、FMスクリーンの場合、特定の
大きさ(約20ミクロン)の点をある程度ランダムに配
置しつつその密度で濃淡(本願の場合、%に相当)を表
すため、文字や記号の縁に特定の凹凸パターンが発生す
ることはなく、読みにくく感じることは無い。
【0054】図8は本願発明の第4の実施例の効果を示
す概念図である。図8は本願発明における光による影響
を検討した結果であり、その実施条件は、シート状物と
して米坪81.4g/m2 ・白色の上質紙に、青色系蛍
光インキ(商品名:TLブルー、東洋インキ製造株式会
社)が重量比80%で主成分としたインキが重量比80
%で主成分としたインキで枚葉オフセット印刷機で印刷
した。その際の可視情報、すなわち印刷する絵柄は、カ
タカナ、ひらがな、アルファベット、選択した漢字を9
ポ、12ポ、14ポの3種類で並べ、書体は細明朝体と
し、これらの文字をFMスクリーンで各々100%、7
5%、50%、40%の種類で作成して印刷をおこなっ
た。次にそうして作られた印刷物を折丁として本文をつ
くり、図1に示す複写防止印刷冊子体すなわち、無線綴
じ本を製造した。その際に表紙は米坪183.8g/m
2 ・コート紙を使用し、本文と表紙の接着はホットメル
ト接着剤を使用している。そして、無線綴じ本と、特に
遮光物を設けない印刷物を太陽光暴露試験を行い、その
結果を感応評価した。尚、気温、湿度の影響を除外する
ため、無線綴じ本と印刷物の両方は外気とはガラスで遮
断してある。
【0055】図8において、40はグラフの縦軸である
可読性、41は横軸である暴露時間、42は無線綴じ本
の本文頁の印刷層の変化、43は特に遮光物を設けない
印刷物の印刷層の変化を表している。図5において、太
陽光暴露試験の結果、無線綴じ本の断裁面、表紙におい
て、黄変は観察されるが本文頁の印刷層の変化42は暴
露時間41の経過に関係なく同等の可読性を維持してお
り、特に影響を受けていない。それに対して、特に遮光
物を設けない印刷物の印刷層の変化はかなり急激で、す
ぐに色があせて行き、それに伴って可読性が下がってお
り、とても長時間使用される印刷物の形態に採用できな
い。
【0056】
【発明の効果】本願発明の請求項1によれば、白色系シ
ート状物の上に印刷層を設けているため、印刷層とその
背景となるシート状物に濃度の差が大きく一般の印刷物
と大差ないため、印刷層で表現される可視情報を容易に
読み取ることが可能である。また、印刷層は複写で正確
に再現できない蛍光色素を含むため、複写をしても不正
確な複写しか得れず、可視情報は極めて読み取りにくく
なり、例え読み取れたとしても読者に多大の労力が発生
するため、複写をする意思自体を抑制することで複写を
防止することが可能であるという作用効果を奏する。
【0057】更に、本文が不透明な表紙にくるまれてい
るため、蛍光色素を含むインキの印刷層は外部に露出せ
ず、光が当たらないため蛍光色素の耐光性の低い点を補
うことが可能であり、更にまた、複数の折丁を整列して
本文とするため、本文の各頁どうしが押しつけられた状
態となり、各頁どうしの隙間から光が差し込むことを防
止することが可能であり、更にまた冊子体であるため、
通常は一つの頁を読んだ後直ちに次の頁を捲るため、一
つの頁が光にさらされる時間を非常に短くすることが可
能であるという作用効果を奏する。
【0058】また、本願発明の請求項2によれば、複写
で正確に再現できない蛍光色素を含むインキの印刷層
は、少なくともその一部が概念駆動型形状(例えば文
字、記号等)をしているため、複写を行うと概念駆動型
形状のインキ層が複写用紙上に正確に再現できないこと
となる。この概念駆動型形状のインキ層が例えば文字や
記号の場合、文字や記号は一文字一文字では全体として
の概念を伝達することができず、その全てが揃ってはじ
めて意味を成すため、一部分であっても複写用紙上に再
現されなければ、それで複写した目的を達成することが
困難となり、有効に複写を防止することが可能であると
いう作用効果を奏する。
【0059】特に、文字や記号の場合、光沢の少ない黒
色が最も読みやすいのは周知の事実であり、それに比較
した場合には蛍光色素を含むインキで印刷した文字や記
号が比較的読みにくくなることを避けることは出来ず、
文字や記号の重要部分等に限定して蛍光色素を含むイン
キで印刷すれば、冊子全体としての読みやすさを低下さ
せずに複写を防止することが可能である。尚、例えば冊
子が教科書、学習参考書又は資料集の場合、数式、定
理、ポイント等の重要部分を蛍光色素を含むインキで印
刷することで、重要部分を読者に強く印象づけると同時
に複写を防止することが可能であるという作用効果を奏
する。
【0060】また本願発明の請求項3によれば、蛍光色
素を含むインキにより構成されている概念駆動型形状印
刷層は、複数の点形状、線形状又はそれらの組合せ形状
の印刷部分の集合により構成されているため、複写によ
り再現される可視情報をより不正確にすることで、可視
情報は極めて読み取りにくくなり、例え読み取れたとし
ても読者に更に多大の労力が発生するため、複写をする
意思自体を強く抑制することで複写を防止することが可
能であるという作用効果を奏する。
【0061】つまり、コピー機等の複写機は、複写すべ
き原稿等に光をあて、その投影画像を光導電性の感光ド
ラムに投影し、ドラム上を帯電部分と非帯電部分に分
け、その帯電を利用してトナーをドラムに付着させ、そ
れを複写用紙に転写することで複写を行っている。従っ
てその原理上、原稿上の小さな点や線は光の拡散による
影響で不正確な投影画像となり、結果として、小さな点
や線の正確な再現が困難となる。前記の従来技術におい
て、複写用紙上に肉眼で視認可能に「コピー禁止」等の
文字が現れる隠し画像はこの不正確な再現を利用したも
のである。
【0062】本願発明の請求項3は、これを蛍光色素を
含むインキにより構成されている概念駆動型形状印刷層
に利用したもので、点又は線の印刷層に蛍光色素が含ま
れていることで、光の拡散の度合いが大きくなり、コピ
ー等の感光ドラムに点や線の投影画像が再現されず、複
写用紙上の可視情報の一部が欠落することで、複写によ
り再現される可視情報をより不正確にし、可視情報は極
めて読み取りにくくなり、例え読み取れたとしても読者
に更に多大の労力が発生するため、複写をする意思自体
を強く抑制することで複写を防止することが可能となる
という作用効果を奏する。
【0063】特に、概念駆動型形状印刷層である可視情
報(例えば文字や記号)は非常に似通った形状をしてお
り、かつ、小さな形状の相違で異なる概念を伝えるた
め、例え一部でも欠落すると概念を伝えることが不可能
となり、複写をする意思自体を強く抑制することで複写
を防止することが可能となるという作用効果を奏する。
【0064】また本願発明の請求項4によれば、点形状
の印刷部分がFMスクリーン等ランダムドットパターン
状に配置されているため、概念駆動型形状印刷層(例え
ば文字、記号等)の可視情報を、複写防止機能を低下さ
せずに違和感無く、読みやすくすることが可能であると
いう作用効果を奏する。
【0065】また本願発明の請求項5によれば、蛍光色
素が青色系であるため、可視情報を読みやすくすること
が可能であるという作用効果を奏する。つまり、黄色系
の場合はコピー等の複写機で再現しにくい反面、読者が
読みにくく、赤色系の場合は読者が読みやすい反面、コ
ピー等の複写機で再現が容易であり、青色系がある程度
コピー等の複写機で再現しにくく、かつ、読者が読みや
すいためである。
【0066】また本願発明の請求項6によれば、シート
状物は白色系上質紙であるため、他の物に比較して光が
乱反射しやすく、光の拡散の度合いが大きくなり、コピ
ー等の感光ドラムに点や線の投影画像が再現されず、複
写用紙上の可視情報の一部が欠落することで、複写によ
り再現できる可視情報をより不正確にし、可視情報は極
めて読み取りにくくなり、例え読み取れたとしても読者
に更に多大の労力が発生するため、複写をする意思自体
を強く抑制することで複写を防止することが可能となる
という作用効果を奏する。
【0067】つまり、最も好んで使用される白色系のシ
ート状物は紙であるが、その紙は大きく分けて上質紙、
コート紙、アート紙に分類される。ここで、上質紙とは
漂白した植物繊維を絡ませただけの紙であり、コート紙
とは上質紙の表面に鉱物性白色顔料と接着剤となる樹脂
の混合体を塗布して、その表面の平滑性を向上させたも
のであり、アート紙とはコート紙より塗膜を厚くしたも
のである。上質紙の場合その表面に何ら塗膜が無く絡ん
だ植物繊維が剥き出しのため表面の凹凸が大きく光が乱
反射して光沢を持っていない。それに対し、コート紙と
アート紙は植物繊維の絡んだ凹凸を塗膜で埋めているた
め表面の乱反射が少なく光沢を持っている。
【0068】従って、シート状物が白色系上質紙である
ため、より光の乱反射が大きく光が拡散し、コピー等の
感光ドラムに点や線の投影画像が再現されず、複写用紙
上の可視情報の一部が欠落することで、複写により再現
できる可視情報をより不正確にし、可視情報は極めて読
み取りにくくなり、例え読み取れたとしても読者に更に
多大の労力が発生するため、複写をする意思自体を強く
抑制することで複写を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の外観を示す概念図である。
【図2】本願発明の複写防止機能を示す概念図である。
【図3】図2の右上端を拡大した概念図である。
【図4】(a)〜(c)は本願発明の複写不可印刷層を
示す拡大概念図である。
【図5】本願発明の第1の実施例の結果を示す一覧表で
ある。
【図6】本願発明の第2の実施例の結果を示す一覧表で
ある。
【図7】本願発明の第3の実施例の結果を示す一覧表で
ある。
【図8】本願発明の第4の実施例の効果を示す概念図で
ある。
【符号の説明】
1…複写防止印刷冊子体、2…表紙、3…本文、4…折
丁、5…裏表紙、6…背表紙、7…表表紙、8…裏表紙
5と背表紙6を連接する折り線、9…背表紙6と表表紙
7を連接する折り線、10…折丁4の背部分、11…本
文の天側面、12…本文の小口側面、13…本文の地側
面、20…複写防止印刷物である冊子体の本文の頁、2
1…本文の頁20を原稿としてコピー機等複写機で複写
した複写紙、22…本文の頁20の基体であるシート状
物、23…複写紙の基体となる複写用紙、24…シート
状物22の上に設けられた概念駆動型の認知が可能な形
状をした印刷層、25…複写用紙23上に形成された複
写層、26…蛍光色素を含むインキにより構成された複
写不可印刷層、27…複写不可印刷層を複写して形成さ
れた再現不可複写層、28…蛍光色素を含まないインキ
により構成された複写可能印刷層、29…複写可能印刷
層を複写して形成された再現可能複写層、30…シート
状物、31…スクエアドットパターン・175線/イン
チ・50%の175線複写不可印刷層、32…スクエア
ドットパターン・350線/インチ・50%の350線
複写不可印刷層、33…FMスクリーン・50%のFM
スクリーン複写不可印刷層、34…点どうしの接点、3
5…一つの点がカバーするエリア、40…グラフの縦軸
である可読性、41…横軸である暴露時間、42…無線
綴じ本の本文頁の印刷層の変化、43…特に遮光物を設
けない印刷物の印刷層の変化

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】印刷層を有する白色系シート状物を折り畳
    んでなる折丁と、該折丁を複数整列してなる本文と、該
    本文をくるむ表紙を有する複写防止印刷冊子体おいて、 前記印刷層の少なくとも一部は、蛍光色素を含むインキ
    により構成され、前記表紙は不透明な素材で構成されて
    いることを特徴とする複写防止印刷冊子体。
  2. 【請求項2】前記印刷層の一部は、少なくとも概念駆動
    型形状をしており、 該概念駆動型形状印刷層の少なくとも一部が蛍光色素を
    含むインキにより構成されていることを特徴とする請求
    項1記載の複写防止印刷冊子体。
  3. 【請求項3】前記蛍光色素を含むインキにより構成され
    ている概念駆動型形状印刷層は、複数の点形状、線形状
    又はそれらの組合せ形状の印刷部分の集合により構成さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の複写防止印刷
    冊子体。
  4. 【請求項4】前記蛍光色素を含むインキにより構成され
    ている概念駆動型形状印刷層は、点形状の印刷部分がラ
    ンダムドットパターン状に配置されていることを特徴と
    する請求項2及至請求項3の何れか記載の複写防止印刷
    冊子体。
  5. 【請求項5】前記蛍光色素は、青色系であることを特徴
    とする請求項1及至請求項4の何れか記載の複写防止印
    刷冊子体。
  6. 【請求項6】前記シート状物は白色系上質紙であること
    を特徴とする請求項1及至請求項5の何れか記載の複写
    防止印刷冊子体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007245526A (ja) * 2006-03-16 2007-09-27 Dainippon Printing Co Ltd 電子ペン専用用紙

Cited By (1)

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JP2007245526A (ja) * 2006-03-16 2007-09-27 Dainippon Printing Co Ltd 電子ペン専用用紙

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