JPH1034850A - 多層積層体およびその製造方法 - Google Patents

多層積層体およびその製造方法

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JPH1034850A
JPH1034850A JP19817396A JP19817396A JPH1034850A JP H1034850 A JPH1034850 A JP H1034850A JP 19817396 A JP19817396 A JP 19817396A JP 19817396 A JP19817396 A JP 19817396A JP H1034850 A JPH1034850 A JP H1034850A
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resin
multilayer laminate
thermoplastic resin
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JP19817396A
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Kazuhiko Minowa
一彦 簑輪
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Japan Polyolefins Co Ltd
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NIPPON PORIOREFUIN KK
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で、表皮ダメージが少なく、剛性や耐衝
撃性などの基本的な力学的性質と流動性に優れ、特に表
皮材端末を留め金具で固定する際に割れが発生しない基
材に、表皮材を貼り合わせた多層積層体。 【解決手段】 プロピレン系樹脂と、−80℃以下に主
鎖の局所的な振動を有する熱可塑性樹脂と、無機充填剤
とを含有し、前記熱可塑性樹脂の混合割合(B重量%)
と前記無機充填剤の混合割合(C重量%)が、C≦3
5、0.01B2+5≦C≦10B、の関係を満たす範囲
にあり、JIS K7210に準ずるメルトフローレートが、温
度230℃、荷重2.16kgの条件で10g/10分
以上80g/10分未満である基材と、表皮材とを有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂組成物からなる
基材に表皮材を貼り合わされてなる多層積層体に関する
もので、特に、自動車内装部品などに用いられるものに
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車内装部品などの自動車分野をはじ
め、建材分野、家電分野、OA機器分野等においては、
その剛性等の諸物性と、外観や触感等とを高めるべく、
また、軽量でまた成形の容易さを図るべく、ポリプロピ
レン等の基材と、その基材の表面に貼り合わせた軟質塩
化ビニルや織布等からなる表皮材とからなる多層積層体
が広く使用されている。このような多層積層体として
は、例えば、次のようにして製造される。ポリプロピレ
ン等の樹脂を用いて射出成形等で予め基材を成形し、こ
の基材の表面に接着剤を塗布した後、真空成形で表皮材
を貼りつける方法、または、圧縮成形機の金型間に、表
皮材を設置し、ついで金型を閉じる寸前で基材を供給
し、圧縮成形して貼り合わせる表皮一体成形法などがあ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような多層積層体
においては、一般に、表皮材に余裕をもたせて基材に貼
り合わせることがなされている。その為、製品周部に表
皮材が余るため、端末処理として、表皮材を基材の裏面
に巻き込んで固定することがなされる。そのような固定
は、作業性、コスト、作業環境の点から、留め金具(ス
テープル、ホッチキスの針など)を打ち込んで固定する
ことが好んで用いられている。しかしながら、基材とし
て単純なプロピレン系樹脂を用いた多層積層体である
と、耐タッカー性が低い為、留め金具を打ち込むことに
より、基材が割れてしまうおそれがある。そこで、その
ような不具合の発生を防止する為、分子量の高いプロピ
レン系樹脂や、エチレン−プロピレンゴム等のゴム含有
量の多いプロピレン系樹脂が基材として用いられる。し
かしながら、分子量の高いプロピレン系樹脂であると、
流動性が低下することから、成形時にショートショット
等の成形不良が発生しやすい。また、エチレン−プロピ
レンゴムなどのゴム含有量の多いプロピレン系樹脂であ
ると、剛性が低下してしまう。また、上述した圧縮成形
による表皮一体成形法の場合、高温(約230〜250
℃)の溶融樹脂が表皮材に接触することになるので、表
皮材がダメージを受けやすい。そこで、低温で成形を行
う必要があり、その為、より高流動性のプロピレン系樹
脂を使用する必要がある。しかし、そのような高流動性
のプロピレン系樹脂であると、耐タッカー性が低く、留
め金具の打込みによって割れが発生しやすい。したがっ
て、端末処理に対しても、留め金具以外の固定方法、例
えば接着剤等を利用しなければならず、作業性、コス
ト、作業環境などにおいて問題のあるものであった。本
発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、基材に
表皮材を貼り合わせた多層積層体において、軽量で、表
皮ダメージが少なく、剛性や耐衝撃性などの基本的な力
学的性質と流動性に優れ、特に表皮材端末を留め金具で
固定する際に割れが発生しない基材に、表皮材を貼り合
わせた多層積層体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の多層積層体は、
プロピレン系樹脂と、−80℃以下に主鎖の局所的な振
動を有する熱可塑性樹脂と、無機充填剤とを含有し、前
記熱可塑性樹脂の混合割合(B重量%)と前記無機充填
剤の混合割合(C重量%)が、 C≦35 0.01B2+5≦C≦10B の関係を満たす範囲にあり、JIS K7210に準ずるメルト
フローレートが、温度230℃、荷重2.16kgの条
件で10g/10分以上80g/10分未満である基材
と、表皮材とを有することを特徴とするものである。こ
の多層積層体であると、留め金具を適用して表皮材を基
材に固定したものとできる。熱可塑性樹脂としては、ポ
リエチレンが好適である。本発明の多層積層体の製造方
法は、プロピレン系樹脂と、−80℃以下に主鎖の局所
的な振動を有する熱可塑性樹脂と、無機充填剤とを含有
し、前記熱可塑性樹脂の混合割合(B重量%)と前記無
機充填剤の混合割合(C重量%)が、C≦35、0.0
1B2+5≦C≦10B、の関係を満たす範囲にあり、J
IS K7210に準ずるメルトフローレートが、温度230
℃、荷重2.16kgの条件で10g/10分以上80
g/10分未満である樹脂組成物を溶融状態にして、表
皮材の設置された金型内に供給し、賦形して基材とする
と共に、表皮材と貼り合わせた後、基材を冷却、固化さ
せることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明者らは上記課題を解決する
ために鋭意検討を重ねた結果、基材に表皮材を貼り合わ
せた多層積層体において、−80℃以下に主鎖の局所的
な振動(tanδのピーク)を有する熱可塑性樹脂とプロ
ピレン系樹脂および無機充填剤とを含有した樹脂組成物
からなる基材に表皮材を貼り合わせた多層積層体によっ
て解決できることを見い出した。以下、本発明を具体的
に説明する。 〔基材〕本発明においては、基材として、プロピレン系
樹脂と熱可塑性樹脂と無機充填剤とを含有した樹脂組成
物が使用される。そのプロピレン系樹脂としては、例え
ば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重
合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、耐衝撃性
ポリプロピレン等の各種プロピレン重合体が挙げられ
る。中でも、耐衝撃性ポリプロピレンが剛性と耐衝撃性
のバランスから好ましい。プロピレン系樹脂は1種類で
も、2種類以上混合しても使用することができる。
【0006】本発明の基材中に使用される熱可塑性樹脂
は、−80℃以下に主鎖の局所的な振動、即ち、tanδ
のピークを有するものでなければならない。すなわち、
分子中の主鎖に−80℃以下で分子運動可能なセグメン
トを有する熱可塑性樹脂である。主鎖の局所的な振動を
示す温度(tanδのピーク)は、固体粘弾性測定装置
(「レオバイブロン」オリエンテック製)を用いて周波
数110Hz、昇温速度2℃/分の条件によりピーク温
度として測定される。分子中の主鎖に−80℃以下で分
子運動可能なセグメントを有する熱可塑性樹脂の具体例
として、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレンな
どの各種ポリエチレン、6,6ナイロンやまた両端末ブ
ロックがポリスチレンからなりかつ中央ブロックがエチ
レンセグメントからなるトリブロック共重合体であるス
チレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる(参照:
「高分子実験学、高分子の固体構造II」第518頁、共
立出版)。中でもプロピレン系樹脂との相溶性や力学的
特性とのバランスから各種ポリエチレンが好適である。
中低圧法ポリエチレンの具体例としては、高密度ポリエ
チレンや、エチレンにプロピレン、ブテン、ヘキセン、
4−メチルペンテンなどのα−オレフィンを共重合した
エチレン共重合体がある。また、高圧法ポリエチレンに
は、低密度ポリエチレンや、エチレンに酢酸ビニル、各
種(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸などの
不飽和二重結合と各種官能基を有する単量体を共重合し
たエチレン共重合体などがある。
【0007】基材の樹脂組成物に、−80℃以下に主鎖
の局所的な振動(tanδのピーク)を有する熱可塑性樹
脂を混合することで、表皮材を留め金具で固定する際の
割れの発生を低減できる。これは、留め金具を固定する
際の衝撃特性を粘弾性的性質の観点から見ると、より低
温衝撃性、即ち低温に力学分散が要求されることから、
−80℃以下に主鎖の局所的な振動を有する熱可塑性樹
脂を混合することで低温衝撃性が向上したためと考えら
れる。本発明の基材中に使用される無機充填剤は、多層
積層体の強度を向上させるもので、具体例として、タル
ク、マイカ、シリカ、ガラス繊維、グラファイト、炭酸
カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0008】本発明において、プロピレン系樹脂と熱可
塑性樹脂と無機充填剤の総和中、−80℃以下に主鎖に
局所的な振動(tanδのピーク)を有する熱可塑性樹脂
の混合割合(これをB重量%とする)と無機充填剤の混
合割合(これをC重量%とする)は、 C≦35 C≦10B C≧0.01B2+5 の関係を満たす範囲が好ましい。無機充填剤の混合割合
が、C>35の範囲では重量アップとなり実用的でな
い。また−80℃以下に主鎖に局所的な振動(tanδの
ピーク)を有する熱可塑性樹脂の混合割合と無機充填剤
の混合割合が、C>10Bの範囲では留め金具で固定す
る際に割れが発生し、また、C<0.01B2+5では剛
性が不足するため実用に耐えられない。本発明の基材の
JIS K7210に準ずるメルトフローレート(MFR)は、
温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したとき
に、10g/10分以上かつ80g/10分未満であ
り、より好ましくは20g/10分以上、60g/10
分未満である。メルトフローレートが80g/10分以
上では表皮材を留め金具で固定する際に割れが発生する
ため実用に耐えられない。また10g/10分未満では
流動性が不十分なために、成形時にショートショットな
どの成形不良が発生する。尚、本発明の基材には、その
諸特性を損なわない範囲内で、一般にオレフィン系樹脂
などに用いられる抗酸化剤、帯電防止剤、ブロッキング
防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤や不飽和カルボ
ン酸を共重合またはグラフト重合したオレフィン系樹脂
などの相溶化材を添加してもよい。
【0009】〔表皮材〕本発明で使用される表皮材は、
その多層積層体の用途に応じて適宜選択されるもので、
特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル
や熱可塑性エラストマー、ポリウレタン等の軟質シー
ト、またはこれらに樹脂発泡体を接着した多層体、及び
不織布、織布、布、ファブリック、またはこれらに樹脂
発泡体を接着した多層体が用いられる。樹脂発泡体とし
ては、オレフィン系樹脂発泡体、ウレタン樹脂発泡体、
塩化ビニル樹脂発泡体などが挙げられ、織布及び不織布
にはポリエステル、ポリアミドなどからなるものが適用
され得る。
【0010】本発明の表皮材と基材とを有した多層積層
体であると、剛性、耐衝撃性などの多層積層体としての
基本的な力学的性質を有し、しかも大幅な重量増を伴う
ことがなく、軽量である。また、流動性に優れて成形性
が良好で、また、低温で成形することができ、表皮材に
ダメージを与えず、外観が悪化を防止できる。また、端
末処理として、留め金具を打ち込んでも割れにくい。
【0011】〔製造方法〕本発明の多層積層体は、少な
くとも上述した基材と表皮材とを積層一体化することに
より製造され、その製造方法としては特に限られるもの
ではない。例えば、射出成形や圧縮成形によって予め成
形した基材に接着剤を吹きつけ、その基材を真空機構を
有する金型にセットし、次いで表皮材を赤外線等のヒー
ターで加熱軟化させながら金型を閉じ、負圧にすること
で基材と表皮材からなる多層積層体を得る方法や、スタ
ンピング成形機(圧縮成形機)の金型間に予め表皮材を
セットし、金型を開いた状態で基材の原料となる溶融樹
脂を供給し、型締めを行うことによって1工程で基材と
表皮材からなる多層積層体を得る方法などが好適であ
る。スタンピング成形機にはホットランナーを介して樹
脂を金型内に供給する射出圧縮方式やダイヘッドまたは
押出機本体を2次元的に移動させながら金型内に樹脂を
供給するホットフロースタンピング方式がある。この圧
縮成形による方法であると、工程数が少なく、製造の簡
易化ないしコストダウンを図ることができる。基材に従
来既知の材料を使用すると、溶融樹脂の熱によって表皮
材がダメージを受けたり、また、そのダメージを防止す
るための低温成形を可能とすべく高流動性の樹脂を使用
することによる耐タッカー性の低下などの不具合があっ
た。しかし、本発明の基材の樹脂材料であると、剛性等
の諸物性の低下を伴うことなく、低温においても高い流
動性を有し、かつ高い耐タッカー性を発揮するので、従
来なし得なかった優れた多層積層体を圧縮成形による一
体成形によって得ることが可能となる。
【0012】
【実施例】以下、実施例により更に詳しく説明するが、
本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。以下に示す基材と表皮材とを貼り合わせて各種の多
層積層体を製造し、それぞれについて諸特性を試験し
た。 〔基材〕プロピレン系樹脂として次の3種のプロピレン
系樹脂を用いた。 (I−1):230℃、2.16kgのメルトフローレ
ートが50g/10分で、エチレン−プロピレンエラス
トマー(tanδのピーク温度は−50〜−60℃)を2
2重量%含有する耐衝撃性ポリプロピレン(「MK71
2H」日本ポリオレフィン(株)製)。但し、−80℃
以下にtanδのピークをもたない。 (I−2):230℃、2.16kgのメルトフローレ
ートが120g/10分で、エチレン−プロピレンエラ
ストマーを15重量%含有する耐衝撃性ポリプロピレ
ン。 (I−3):230℃、2.16kgのメルトフローレ
ートが8.0g/10分で、エチレン−プロピレンエラ
ストマーを18重量%含有する耐衝撃性ポリプロピレン
(「MK311」日本ポリオレフィン(株)製)。
【0013】−80℃以下に主鎖の局所的な振動(tan
δ)を有する熱可塑性樹脂として、次の3種の熱可塑性
樹脂を用いた。 (II−1):190℃、2.16kgのメルトフローレ
ートが8g/10分で、密度が0.96g/cm3の高密度
ポリエチレン(「6080」日本ポリオレフィン(株)
製)。tanδのピーク温度は−120℃。 (II−2):190℃、2.16kgのメルトフローレ
ートが7g/10分で、密度が0.917g/cm3の低密
度ポリエチレン(「L170」日本ポリオレフィン
(株)製)。 (II−3):スチレン−ブタジエンブロック共重合体を
水素添加して得られる230℃、2.16kgのメルト
フローレートが12g/10分のスチレン系熱可塑性エ
ラストマー(「H1042」旭化成製)。無機充填剤と
して、平均粒径が3μmのタルク(「5000SA」林
化成製)を用いた。
【0014】これらのプロピレン系樹脂組成物、熱可塑
性樹脂、無機充填剤を使用して、表1に示す組成の各種
の樹脂組成物(A−1〜11)を調製した。尚、表1
中、各樹脂組成物の上段が上記各成分の種別であり、下
段が混合割合(重量%)である。また、各樹脂組成物に
ついて、JIS K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16
kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR:g/
10min)を併記した。
【0015】
【表1】
【0016】〔表皮材〕表皮材として、ポリ塩化ビニル
シート(厚み0.5mm)と発泡倍率15倍のポリプロ
ピレン発泡体(「PPSM」東レ製、厚み3mm)を積
層したものを使用した。 〔製造方法〕75mmφの射出ユニットを有する500
トン能力の成形機で、射出圧縮方式のスタンピング成形
が可能な縦型圧縮成形機(「MCM500」高橋精機工
業所製)と、大きさ500×600mmの平板金型を用
い、金型内に表皮材をセットした状態で、平均肉厚が
2.5mmになるように、溶融状態の上記基材用の樹脂
組成物を供給し、次いで加圧圧縮して表皮材と基材から
なる多層積層体を射出圧縮成形した。尚、射出ユニット
の設定温度180℃、樹脂供給時の金型クリアランス3
0mm、加圧力200トンの同一条件とした。 〔試験方法〕各多層積層体について、成形した際の樹脂
組成物の充填状態と、表皮ダメージとして表面の外観を
目視にて観察した。また、各多層積層体の比重と、曲げ
弾性率を測定した。曲げ弾性率は、ASTM D790の曲げ試
験方法に準拠し、射出成形にて長さ127mm、幅1
2.7mm、厚み6.4mmの試験片を作製し、スパンを
100mm、曲げ速度2mm/分の条件で行った。ま
た、耐タッカー性として、各多層積層体を0℃の環境試
験室に24時間放置し、0℃の条件で表皮一体成形体の
外周の表皮端末を折り返し、打込み装置(「エアネイラTA-20
A/1031J」MAX社製)を用い、5kg/cm3で留め金具
(「J1061」)を50発均等に打ち込み、基材の割
れた数をカウントした。この試験を2回行ない、100
発中、基材の割れた数を計測した。試験結果を表2に示
す。
【0017】
【表2】
【0018】実施例1〜5の多層積層体はいずれも、樹
脂をフル充填でき、表皮ダメージが少なく、剛性は実用
レベル(18000kg/cm2以上)にあり、表皮材を
留め金具で固定するタッカー作業でも割れが全く発生し
なかった。しかしながら、−80℃以下にtanδのピー
クをもつ熱可塑性樹脂を含まない樹脂組成物で基材を成
形した比較例1の多層積層体であると、表皮材を留め金
具で固定するタッカー作業により割れが発生し、実用に
耐えられる表皮一体成形体が得られなかった。また、熱
可塑性樹脂の混合割合が多い(0.01B2+5>C)基
材(A−7)を用いた比較例2の多層積層体は剛性不足
し、製品として実用に耐えられる表皮一体成形体ではな
かった。一方、無機充填剤の混合割合が多い(C>10
B)基材(A−8)を用いた比較例3の多層積層体は、
表皮材を留め金具で固定するタッカーにより割れが発生
し、実用に耐えられる表皮一体成形体が得られなかっ
た。
【0019】また、無機充填剤の混合割合が35重量%
よりも多い基材(A−9)を用いた比較例4の多層積層
体も、表皮材を留め金具で固定するタッカーにより割れ
が発生し、実用に耐えられる表皮一体成形体が得られな
かった。また、MFRが高い基材(A−10)を用いた
比較例5の多層積層体は、表皮材を留め金具で固定する
タッカーにより割れが発生し、実用に耐えられる表皮一
体成形体が得られなかった。特定の熱可塑性樹脂を含ま
ず、また、MFRが小さい基材(A−11)を用いた比
較例6の多層積層体は、流動性不足のためショートショ
ットとなり、また成形時の剪断により樹脂発熱が生じ
(実温:210〜220℃)、表皮破れが発生し、実用
に耐えられる表皮一体成形体ではなかった。
【0020】
【発明の効果】本発明の多層積層体であると、軽量で、
剛性や耐衝撃性などの基本的な力学的性質に優れてい
る。また、流動性に富んでいるので成形性に優れてい
る。特に、低温でも成形することができるので、表皮材
にダメージを与えることがない。その上、耐タッカー性
が高く、留め金具を打ち込んでも割れが発生しにくい。
したがって、表皮材と基材とを留め金具で固定すること
ができるので、作業性、コスト、作業環境等において有
利である。さらに、本発明における基材であると、高い
流動性を保ちつつ低温成形が可能で、しかも耐タッカー
性に優れていることから、表皮材と基材とを1工程の圧
縮成形にて貼り合わせ且つ成形することができ、製造工
程の簡易化ないしコストダウンを図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 105:16 B29L 31:58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系樹脂と、−80℃以下に主
    鎖の局所的な振動を有する熱可塑性樹脂と、無機充填剤
    とを含有し、 前記熱可塑性樹脂の混合割合(B重量%)と前記無機充
    填剤の混合割合(C重量%)が、 C≦35 0.01B2+5≦C≦10B の関係を満たす範囲にあり、JIS K7210に準ずるメルト
    フローレートが、温度230℃、荷重2.16kgの条
    件で10g/10分以上80g/10分未満である基材
    と、表皮材とを有することを特徴とする多層積層体。
  2. 【請求項2】 表皮材を基材に固定する留め金具を具備
    していることを特徴とする請求項1記載の多層積層体。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンであ
    ることを特徴とする請求項1記載の多層積層体。
  4. 【請求項4】 プロピレン系樹脂と、−80℃以下に主
    鎖の局所的な振動を有する熱可塑性樹脂と、無機充填剤
    とを含有し、前記熱可塑性樹脂の混合割合(B重量%)
    と前記無機充填剤の混合割合(C重量%)が、 C≦35、0.01B2+5≦C≦10B、の関係を満た
    す範囲にあり、JIS K7210に準ずるメルトフローレート
    が、温度230℃、荷重2.16kgの条件で10g/
    10分以上80g/10分未満である樹脂組成物を溶融
    状態にして、表皮材の設置された金型内に供給し、賦形
    して基材とすると共に、表皮材と貼り合わせた後、基材
    を冷却、固化させることを特徴とする多層積層体の製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001182215A (ja) * 1999-10-15 2001-07-03 Bridgestone Corp ユニットルームの天井パネル
JP2001193218A (ja) * 1999-10-15 2001-07-17 Bridgestone Corp ユニットルームの収納パネル

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001182215A (ja) * 1999-10-15 2001-07-03 Bridgestone Corp ユニットルームの天井パネル
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