JPH1034499A - 設備能力情報の取得方法および生産管理システム - Google Patents

設備能力情報の取得方法および生産管理システム

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JPH1034499A
JPH1034499A JP19324396A JP19324396A JPH1034499A JP H1034499 A JPH1034499 A JP H1034499A JP 19324396 A JP19324396 A JP 19324396A JP 19324396 A JP19324396 A JP 19324396A JP H1034499 A JPH1034499 A JP H1034499A
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Japan
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JP19324396A
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Takashi Shimizu
隆 清水
Satoru Serizawa
哲 芹沢
Yoshihiro Kondo
善洋 近藤
Sunao Suzuki
直 鈴木
Takahiko Furuishi
隆彦 古石
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Hitachi Ltd
Hitachi Information and Control Systems Inc
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Hitachi Ltd
Hitachi Information and Control Systems Inc
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    • Y02P90/30Computing systems specially adapted for manufacturing

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  • General Factory Administration (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】生産設備の能力変化に対応した最適な運転形態
を決定できる生産管理システムを提供する。 【解決手段】センサー2の状態情報を受けて次に行うべ
き動作を決定してアクチュエーター3に指令を発行する
工程管理計算機4、工程管理計算機4へ生産計画データ
14を伝達する通信機構15、設備能力解析機構12、
トラッキング制御機構183を含む進行管理機構18及
び運転最適化機構16を備える。設備能力解析機構12
は設備の動作状況から作業対象物の到着、作業の完了を
把握し、現実の作業待ち時間と作業所要時間を各作業毎
に解析し、設備能力統計情報13に出力する。運転最適
化機構16は設備能力統計情報13と生産計画データか
らシミュレーションを行い、最適運転形態を決定する。
進行管理機構18はこの最適運転形態をもとに生産を進
行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生産管理システムに
係り、特に設備能力情報を利用する生産工程の管理方式
に関する。
【0002】
【従来の技術】加工、組立、搬送などの装置を使用して
製品の生産をする工場においては、生産工程に従って各
設備の運転効率が最大となるよう管理される。特に、作
業対象物を上流から下流へと流しながら生産するフロー
ライン形式では、ピッチタイムと呼ばれる各工程の所要
時間を均一にすることで各工程に設置された設備の遊休
時間の最少化がはかられる。実際には、各種の制約によ
り所要時間の長い工程が存在するため、並列化するなど
してバランスを取っている。
【0003】各生産工程の所要時間は、製品の作業に要
する設備の所要時間を計測して標準時間を設定し、生産
計画はこの標準時間をもとに全体の所要時間を見積もっ
ている。たとえば、特開平5−233296号では、最
大生産数や段取り替え時間の設備能力情報をもとに、生
産計画の立案を支援するエキスパートシステムが提案さ
れている。この標準時間ないし設備能力の把握では、異
常対応時間の取り扱いが難しく、通常は経験や勘によっ
て定めた余裕時間を加味している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
生産計画は予め設定された標準時間をもとに立案してい
る。しかし、作業者の習熟や各装置の径年変化等によ
り、異常頻度を含む実際の設備能力が変化するので、徐
々に標準時間のずれを生じる。しかし、標準時間の見直
しは、実態に則した計測に長時間を要し生産上の煩わし
さを伴うので、実際には稀にしか行なわれず、計画と設
備能力の差は生産管理者が感覚的に判断して対処してい
るのが実情である。
【0005】また、工場全体の生産効率や労務管理上か
らは、必ずしも設備をフル稼動するばかりが最善とはい
えない。与えられる生産計画が設備能力に比べて軽い場
合は、並列設備の一部を休ませて、運転担当人員や電力
費を節減する方が望ましいことも多い。一方、生産計画
が設備能力をオーバーしている場合は、不足稼働時間の
算定にもとづく、時間外勤務による運転担当人員の確保
を含む生産計画が求められる。
【0006】このように、工場全体の効率的でスムーズ
な生産計画には、設備の経年変化や異常の種類や頻度、
さらには運転員の熟練程度などによって変化する設備能
力の現状を、正しく反映した標準時間の設定と更新が必
要になるが、従来技術においてはこの点の十分な考慮が
なされていない。
【0007】本発明の目的は、現状の設備能力を反映し
た設備能力情報の取得と、その情報にもとづく生産管理
方式を提供することにある。これにより、操業状況の予
測や各設備の最適な運転形態の決定に基づく、効率的で
スムーズな生産管理が実現できる。ここで、前記作業待
時間と前記作業所要時間は、各設備の動作状態から取得
したワークの到着時刻及び作業完了時刻から求める。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の方法を
実現する生産管理システムは、生産計画と設備能力情報
にもとづいて複数の設備からなる製品生産ラインの運転
形態を決定し、センサーから設備の動作状態を受信して
生産の進行をオンラインに管理しながら次に行なう動作
指令を発行する工程管理計算機に、前記設備の動作状態
からワークの到着とその作業の完了をオンラインに把握
し、作業待時間と作業所要時間を各作業毎に算出して蓄
積するとともに、この蓄積データの平均値などから各設
備の現状の設備能力を求める設備能力解析機構を設けた
ことを特徴とする。
【0009】上記した本発明の他の目的は、上記の生産
管理システムにおいて、前記設備の動作状態からワーク
の到着とその作業の完了をオンラインに把握し、作業待
時間と作業所要時間を各作業毎に算出して蓄積するとと
もに、この蓄積データの平均値から各設備の現状の設備
能力情報を求める設備能力解析機構と、前記運転形態に
ついて予め複数のモデルを備え、前記設備能力情報を与
えて生産計画に対する各モデルのシミュレーションを実
行して最適な運転形態を決定する運転最適化機構を、前
記工程管理計算機に設けたことを特徴とする。
【0010】上記生産管理システムにおいて、前記統計
値は前記作業待時間及び前記作業所要時間の平均値μや
分散値σ2であり、各々の平均値μや分散値σ2を正規乱
数Zと組合せた式(1)により求まる進行時間tによっ
て、前記シミュレーションを実行する。
【0011】
【数2】t=μ+(σ・Z) …(1) これによって、前記作業待時間や前記作業所要時間の実
際に近い分布を再現でき、シミュレーションの精度が向
上できる。
【0012】また、上記生産管理システムにおいて、前
記設備の動作状態をイベント情報として通知する状態監
視機構と、ワーク毎の生産の進行を示し、前記イベント
情報の受信によって更新されるトラッキングデータを発
行する進行管理機構を前記工程管理計算機に設け、前記
設備能力解析機構は、前記イベント情報に対応するワー
クを前記トラッキングデータを参照して識別して、前記
ワークの到着とその作業の完了を把握できるようにした
ことを特徴とする。
【0013】さらに、前記運転最適化機構は、前記生産
ライン中における同一工程が複数の並列の設備を備えて
いる場合に、前工程から移動して来るワークをスタート
からの経過時間が少ない設備に分岐させるようにシミュ
レーションすることを特徴とする。
【0014】本発明によれば、生産設備のリアルタイム
な動作状態の蓄積をもとに、現状を正確に反映した設備
能力情報を簡単に取得でき、スムーズで効率のよい生産
管理に資することができる。
【0015】さらに、オンラインに取得した設備能力情
報をもとに、生産計画を実行する最適な運転形態を決定
できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
したがって詳細に説明する。なお、各図を通して同等の
構成要素には同一の符号を付している。
【0017】図1は、一実施形態による生産管理システ
ムの構成図を示す。生産管理システムは、最終的に製品
となる作業対象物の加工や組立てを行う設備1、設備1
の動作状態を取り込む各種のセンサー2、設備1に向か
って物理的あるいは電気的に動作するアクチュエーター
3、センサー2の状態情報を受けて次に行う動作を決定
してアクチュエーター3に指令を発行する工程管理計算
機4、工程管理計算機4と生産計画や生産実績の送受信
を行う上位計算機5から構成される。上位計算機5は生
産計画データの生成処理、生産実績データの後処理など
を通して、資材部門や出荷担当部門などの他部門と連系
し、調整を行なっている。
【0018】センサー2からの状態情報を判断して指令
を発行する処理のうち、単純なものは設備制御装置6が
自律的に実行する場合もある。その場合でも、工程管理
計算機4は設備1の動作状態を判断して、大局的には動
作指令を発行する処理を実行しているため、システムに
設備制御装置6が介在するかどうかは本質的な違いでは
ない。
【0019】以下では、作業対象物(ワーク)の加工、
あるいは部品の組付けなどのまとまった処理を作業と呼
び、一つの作業は設備を構成する装置のいくつかの動作
の積み重ねで実現されるものとする。
【0020】生産管理システムにおける工程管理計算機
4の構成と処理の流れを説明する。図中、矩形のブロッ
クは処理機構、楕円のブロックは情報ないしその記憶手
段を表わしている。
【0021】状態監視機構11は、センサー2や設備制
御装置6からの状態情報を監視し、状態変化があった場
合にイベント情報を発生する。設備能力解析機構12
は、設備状態監視機構11からのイベント情報の蓄積と
分析を行い、設備1の各装置現状の能力を求めて設備能
力統計情報13に出力する。
【0022】通信機構15は、生産計画データ14を上
位計算機5から受信する。また、進行管理機構18が出
力する完成製品の品番や個数などの実績情報を、生産実
績データ21として上位計算機5に送信する。運転最適
化機構16は、設備能力統計情報13と生産計画データ
14をもとにシミュレーションを行い、効率が最大とな
る運転モデルを求めて最適運転モデル情報17に出力す
る。
【0023】進行管理機構18は、状態監視機構11か
らのイベント情報に対応して次に行う動作指示を決定す
るが、実行する作業は生産計画データ14から導かれ、
最適運転モデル情報17に従って実行する作業を具体的
な動作指示に展開する。また、トラッキングデータ19
をイベント情報に連動して更新し、作業対象物の位置や
状態を管理する。動作指示機構20は、進行管理機構1
8が発行する動作指示をアクチュエーター3や設備制御
装置6に伝達する。
【0024】マンマシンインターフェイス機構22は、
作業者や運転管理者と工程管理計算機がコミュニケーシ
ョンする手段であり、生産進行に関して人間系への情報
提供や人間の判断による中断・状態変更などを行う。ま
た、運転最適化機構16に対する各種の制約条件の設
定、最適化結果の確認表示、設定変更後の再試行なども
行う。
【0025】次に、設備能力解析機構12の構成につい
て説明する。動作実績収集機構121は、状態監視機構
11からのイベント情報に発生時刻を付加し、必要十分
な一定期間あるいは一定件数の情報を動作履歴データ1
22として蓄積する。このとき、イベント情報のもとに
なっている作業対象物を識別するために、トラッキング
データ19を参照する動作実績解析機構123は、動作
履歴データ122を一日の操業終了などのタイミングで
解析し、各設備の装置毎及び作業毎に、作業対象物の到
着間隔、所要作業時間などの統計値を算出し、設備能力
統計情報13に出力する。ここで、動作実績収集機構1
21はイベント発生時刻からイベント間の時間を計算す
るため、ステーション別記憶変数124を持つ。
【0026】次に、運転最適化機構16の構成について
説明する。運転モデルデータ161は、システムの設備
1が取り得る複数の運転形態を表現したモデルデータ群
である。最適モデル決定機構162は、設備能力統計情
報13を入力して各運転モデルデータ161のシミュレ
ーションを行い、最適なモデルを選択して最適運転モデ
ル情報17に出力する。
【0027】次に、進行管理機構18の構成について説
明する。生産計画進行データ181は、生産計画データ
14と同じ内容に加えて、計画ごとに生産投入個数と生
産完了個数を保持する。トラッキング制御機構183は
作業指示管理機構182を通じて状態監視機構11から
のイベントを受け取り、例えばそれがライン先頭での投
入であった場合、生産計画進行データ181から製品名
を識別するとともに生産投入個数をカウントアップし、
トラッキングデータ19に投入された作業対象物の情報
を作成する。さらに製品別作業対応表184から、ここ
で実行すべき作業内容を引き出し、作業指示管理機構1
82に作業指示を行なう。
【0028】作業指示管理機構182はこの作業指示を
受けると、予め組込まれた手順に従って、その作業を構
成する複数の動作指示を順次、動作指示機構20に発行
し、組込まれた手順に従って動作完了確認を行なう。こ
のときトラッキング制御機構183は、指示した作業の
完了の待状態であることを、トラッキングデータ19の
当該作業対象物の状態情報として管理する。
【0029】図2は、生産ラインの全体イメージを示す
ものである。作業対象物は最初に工程1に投入され、工
程2、工程3と経て最終の工程nで全作業完了品とな
る。ここで、各工程で作業を実施する場所は作業ステー
ションと呼ばれる。作業ステーションには工作装置、組
立て装置などが設置され、作業ステーション間は搬送装
置によって作業対象物の運搬を行う。生産工場によって
は工作、組立、搬送を部分的に人手による場合もある
が、取決められた運用手順に従って工程管理計算機の管
理の下に進行するので、ここでは特に区別しない。
【0030】工程によっては作業ステーションを複数持
ち、同じ作業を並行して実施できるように建設する場合
がある。これは、工程毎に作業の所要時間が異なるの
で、所要時間の長い工程を並列化して、所要時間の短い
工程で発生する滞留待ち時間を短くするためである。例
えば、作業ステーション2−1,2−2,2−3は工程
2に対応する同じ作業を並行して実施可能である。
【0031】図3に製品と作業の対応表の例を示す。一
般的に生産ラインは何種類かの製品に対応できるものが
多く、製品が違えば同一の作業ステーションでも作業の
内容が異なることもある。この例では製品の種類はA,
B,Cであり、製品と工程の組合わせ毎に、A1,A
2,A3,An,B1といった作業の識別コードを割当
て、これに予め作業指示手順を結び付けておくことで、
複数の製品が混在する生産形態にも対応できる。例え
ば、A1の作業は下部フレームのセットとバーコード貼
付け、A2の作業はねじ穴開け、といった内容になる。
【0032】図4に、作業ステーションのイメージを示
す。設備はこのような作業ステーションがいくつか設置
され、コンベアや自動搬送車などによる搬送装置が仲介
して生産ラインが構成される。
【0033】図5に、複数の設備からなる生産システム
の例を示す。端末22aはマンマシンインターフェイス
機構22の一部を構成する。
【0034】図6に、生産計画データと最適運転モデル
情報の例を示す。同図(a)の生産計画データ14は製
品Aを10個作り、次に製品Bを20個作り、...と
いう形式で1件の計画を構成し、投入ステーションの工
程1(図2)がこの通りに作業を行う。工程2以降では
上流工程から流れて来た作業対象物を識別して必要な作
業を行う。作業対象物の識別についてはトラッキング追
跡による識別、バーコード読取りによる個体識別などが
行われている。
【0035】同図(b)の最適運転モデル情報17は、
どの設備を稼動するかを示す情報で、工程2では2−1
〜2−3、工程3では3−1,3−3が稼働される。生
産計画データ14と最適運転モデル情報17は当日分に
ついて示されれば十分なことも多いが、部品手配などは
生産より先行するため、図示のように翌日の生産計画ま
で用意することもある。
【0036】図7に、トラッキング追跡のイメージと生
産計画進行データの例を示す。トラッキング制御機構1
83が行うトラッキング追跡は、生産ラインのイメージ
を計算機内のデータモデルで表現するものである。同図
(a)のトラッキングデータファイル19の各々は、図
2の各ステーションをそれぞれモデル化していて、作業
対象物はファイル内のレコードとして、その作業対象物
の製品名、バーコードなどの個体識別情報、作業の進
度、検査結果データなどを要素データとして書き込まれ
る。
【0037】今、工程1のステーション1−1で作業対
象物の投入と同時に重複しないバーコードが発行される
と、それをイベント情報として状態監視機構11を通し
て進行管理機構18に連絡される。これを受けて、トラ
ッキング制御機構183はステーション1−1に対応す
るファイルに、バーコードをキーとするレコードを登録
する。また、トラッキング制御機構183は生産計画進
行データ181を参照して、例えば1月8日の1番めの
生産計画が6個まで投入済みであったならば、今投入さ
れた作業対象物が7個めであることを検知できる。これ
により、今投入した作業対象物の製品名が判るので、登
録レコードに必要な情報を書き込み、ステーションへの
作業指示を決定することができる。もちろん、同図
(b)のように、生産計画進行データ181の生産投入
個数データを+1カウントする。
【0038】図7(a)の識別記号A007の作業対象
物はまさに上記の状態にある。この後、作業完了のイベ
ント情報により、レコード内の作業の進度などを更新し
てステーション1−1の処理完了となる。
【0039】次に、作業対象物は工程2への分岐部に到
着し、それを知らせるイベント情報が発生する。工程2
は同じステーションが3つあるので、トラッキング制御
機構183は稼動可能な空いているステーションを選ん
で移動の指示を出すと同時に、前記の作業対象物のレコ
ードをステーション1−1から移動先のステーションの
ファイルへ移動させる。図中の識別記号A005の作業
対象物がまさにその状態にある。
【0040】このように、生産設備上を移動する作業対
象物と同じイメージを、計算機内のデータモデルとして
持つ手法をトラッキング処理と呼び、制御や画面の状態
表示が容易となる。各ステーションに対応するファイル
の集合が、トラッキングデータ19となる。なお、分岐
部では移動指示のみ行い、指示されたステーションへ到
着したというイベントでレコードを移動させる方法でも
良い。
【0041】トラッキング処理を実行すると、作業対象
物の追い越しが発生しない搬送ルート上ではステーショ
ン間に複数の作業対象物が滞留していたとしても、各ス
テーションのレコードを先入れ先出しで処理すれば作業
対象物の把握ができる。この場合は、バーコードなどの
読取りは必要なく、光電管などで到着だけ検知すればよ
い。一方、合流部や手作業ステーションでは搬送順序を
維持させるのは運用上無理があるため、順序の入れ代わ
りを許容する方法が普通である。例えば工程2直後の合
流部では順序の入れ代わりが発生し得る。入れ代わりが
あっても、その下流でバーコードやIDカードを読み取
って個体識別を行い、レコードの位置ではなく識別情報
をもとにデータを移動させることにより、実物と計算機
上のデータモデルを一致させることができる。
【0042】図8に、トラッキングデータ処理のフロー
チャートを示す。センサー2や設備制御装置6からのデ
ィジタル信号や通信データから抽出されたイベント情報
は進行管理機構18へ渡される。トラッキング制御機構
183はイベントを判定し(S101)、連動して行う
べき作業指示処理、搬送指示処理へ分岐する。ここで
は、工程1から工程2へ移動する作業対象物が分岐部へ
到着したイベントを例に説明する。
【0043】まず、作業対象物の内容を明らかにするた
めステーション1−1のトラッキングデータファイルか
ら情報レコードを参照する(S102)。次に、移動先
である工程2の稼動可能な空きステーションの検索を行
う(S103)。次に、空きステーションの有無を判定
し(S104)、空きが有れば選択したステーションへ
の分岐を指示し(S105)、トラッキングデータファ
イル19の当該作業対象物の情報レコードを工程2の分
岐指示先ステーションへ移動する(S106)。そし
て、作業進度を到着待ちに変更して終了する。その後、
実際に作業対象物が分岐先へ到着すると、新に到着のイ
ベントが発生し、ステップS101からの処理が繰り返
される。
【0044】一方、S104で空き無しと判定された場
合は、工程2の何れかのステーションが空くのを待つ必
要があるので、トラッキングデータは何も変更せず(S
107)、一定時間後に再度処理を行うためのリトライ
タイマーをセットし(S108)て、処理を終了する。
1リトライタイマーのセット時間に達すると割り込みが
発生し(S109)、再度S102からの処理を試み
る。
【0045】図9に、動作実績収集機構の処理フローを
示す。ここでは、時刻を取扱う変数として、今回作業対
象物到着時刻a1、前回作業完了時刻b0、今回作業完
了時刻b1を用いる。a1及びb0は作業ステーション
毎に独立して存在し継続的に保持するために、ステーシ
ョン別記憶変数124として記憶される。
【0046】動作実績収集機構123は、まずイベント
が発生した作業ステーションを識別し、該当作業ステー
ションの変数a1とb0をステーション別記憶変数12
4から取り出す(S201)。その後、イベントの種類
を判定し(S202)、イベントが作業対象物到着の場
合は変数a1に現在時刻をセットし(S203)、変数
a1とb0を次回処理のために記憶し(S204)、終
了する。
【0047】一方、イベントが作業完了の場合は、変数
b1に現在時刻をセットし(S205)、a1とb0の
時間差から作業待時間、b1とa1の時間差から作業所
要時間を求める(S206)。次に、作業待時間、作業
所要時間などを編集して動作履歴データ122に追加す
る(S207)。さらに、今回の作業完了時刻b1を前
回作業完了時刻b0に代替し(S208)、変数a1と
b0を次回処理のために記憶して終了する。以上と同様
の処理を、全ての作業ステーションについて行なう。な
お、工程1の投入ステーションでは、作業対象物到着の
イベントには作業対象物投入のイベントが相当する。
【0048】この処理例で求めたものは、前回の作業対
象物の作業が完了してから今回の作業対象物が到着する
までの作業待時間と、今回作業対象物が到着してからそ
の作業が完了するまでの作業所要時間である。図10
に、作業待時間と作業所要時間のタイムチャート、図1
1に、動作履歴データの例と適用している最適運転モデ
ル情報の例を示す。この作業待時間には、作業ステーシ
ョン間の搬送時間と遊休時間を含んでいる。
【0049】動作実績解析機構123は、このように蓄
積した動作履歴データ122から、作業ステーション名
別、作業実施製品別に、作業待時間と作業所要時間を抽
出して、現状の設備能力を反映した作業別の平均作業待
時間及び平均作業所要時間や、分散(σ2)などの統計
情報を求め、設備能力統計情報13に出力する。
【0050】最適モデル決定機構162は、設備能力統
計情報13の平均値を入力とする生産計画進行のシミュ
レーションを実行する。その時間進行は、図11で示し
たような実際の作業待時間や作業所要時間の分布を再現
することが望ましいが、乱数との組み合わせで比較的簡
単にシミュレーションすることができる。
【0051】すなわち、作業待時間や作業所要時間の分
布を正規分布あるいは指数分布であると仮定すると、設
備能力統計情報13の平均、分散などのデータと一様乱
数を組み合わせることで、実際に近い時間進行を再現で
きる。また、単純に時間分布のヒストグラムと乱数の組
み合わせでもよい。
【0052】図12に、運転モデルデータ(1)〜
(3)の例を示す。同図(a)〜(c)の各モデルは、
工程2の作業ステーションの稼動/非稼動を変えてい
る。最適モデル決定機構162は、モデル(1)〜
(3)について順次、設備能力統計情報13の平均値を
入力とするシミュレーションを実行する。
【0053】これにより、就業時間内に生産を完了でき
るどうか、就業時間内に完了できる場合設備を何台まで
休ませることができるか、就業時間内に完了できない場
合何人残業者が必要かなど、各モデルについて把握する
ことができる。また、同一工程内に処理効率の異なる作
業ステーションがある場合、さらには製品の種類によっ
てその効率が変化する場合、シミュレーションによって
最適の運転モデルを決定することができる。進行管理機
構18は、最適モデル決定機構162の出力である最適
運転モデル17を参照して、稼動する作業ステーション
を選択する。
【0054】次に、最適運転モデル決定の方法を具体的
なデータ例を比較して説明する。
【0055】図13に、動作履歴データと、それを用い
た運転モデルデータ(1)による所要時間シミュレーシ
ョンの結果を示す。ここでは、動作履歴データ122の
計測値は簡略化して、各作業ステーションについて一つ
しか示していない。したがって、設備能力統計情報12
3は履歴データ122そのものとして扱う。
【0056】図13(b)のシミュレーションテーブル
のように、作業対象物を順次各作業ステーション2−1
〜2−3に割り振って投入し、各々の作業待時間および
作業所要時間を加算することで、4個の製品Aを作業す
るステーション2−1の所要時間は434.0秒、3個
の製品Aを作業するステーション2−2、2−3の所要
時間はそれぞれ348.9秒、327.6秒と、ほぼ均
等に割り振られている。結局、10個の製品Aを作業す
る工程2の所要時間は434.0秒となる。
【0057】なお、工程1の作業ステーションは一つし
かないので、工程2の作業対象物がほぼ同時にスタート
するシミュレーション結果は誤差を含んでいる。しか
し、ピッチタイム一つ分程度であり許容範囲である。な
お、厳密を要する場合には、動作履歴データ122に作
業対象物到着時刻を保存するようにし、これをもとにス
タート時刻をずらせば、より正確なシミュレーションが
可能になる。
【0058】図14に、運転モデルデータ(2)による
同様な所要時間シミュレーションの結果を示す。このモ
デル(2)では作業ステーション2−3は稼働しない。
この例では、10個の製品Aを作業する工程2の所要時
間は547.0秒となる。
【0059】運転員の指示する選択基準は、終了時間内
に完了する場合とそうでない場合など、条件に応じて予
め複数の組合せが用意されている。さらに生産計画と設
備能力の関係や運転員確保などの種々のケースに応じた
選択基準に従って、最適モデルの決定が行なわれる。
【0060】たとえば選択基準が最短所要時間であれ
ば、運転モデルデータ1が選択される。さらに、終業時
間までに完了できる場合に運転人員を最小化するのであ
れば、運転モデルデータ2が選択される。実際には、一
日の全生産計画、全作業工程について所要時間のシミュ
レーションを行ない、生産計画については一日の合計所
要時間を評価する。また、作業工程については最も所要
時間の長いところが問題となる。
【0061】ところで、同一工程内の各ステーションに
おける所要時間のシミュレーションに極端に差のある場
合、作業対象物の投入を修正する必要がある。図15
に、運転モデルデータ(2)について、別の動作履歴デ
ータと修正された所要時間シミュレーションの結果を示
す。また、図16に作業ステーション別の所要時間のタ
イムチャートを示す。
【0062】この方法は、作業対象物が次に投入される
べき時刻を、前工程から移動して来るワークをスタート
からの経過時間で評価し、経過時間の少ない方へ先発の
作業対象物を投入するようにしたものである。これによ
って、各ステーションの所要時間を均等化し、全体とし
ての所要時間を短縮している。
【0063】上記例では、シミュレーションに使用した
所要時間および待ち時間を1回の計測による履歴データ
で説明したが、蓄積された履歴データの平均値や分散値
を用いることによって、現状の設備能力が正確に反映さ
れ、シミュレーションの精度が向上する。
【0064】さらに、待時間または作業所要時間の平均
値μと分散σ2など、設備能力の統計情報に正規乱数z
を組合せることで、上記した式(1)で求まる時間のば
らつきを発生させ、実際の状況に近いシミュレーション
が可能になる。
【0065】図17に、この時間によるシュミレーショ
ンの例を示す。図15と同様、前工程から移動して来る
ワークをスタートからの経過時間で評価し、経過時間の
少ない方へ先発のワークを投入するようにしている。図
15の例では、作業所要時間と待時間は作業ステーショ
ンと製品名の組合せ毎に一定としたが、本例での所要時
間と待時間は式(1)によるばらつきを発生させたもの
となっている。その結果、図15とは異なる移動先指示
となっており、生産ラインで発生するリズムの乱れを擬
似的に再現したものとなる。
【0066】なお、計算機上で一様乱数Uから正規乱数
zを簡単に得る方法としては、「パソコンによるデータ
解析(朝倉書店;1988;p131)」等に周知のよ
うに、(0,1)上の12個の一様乱数U1,U
2,..U12に対して式(2)の変換を行なう。
【0067】
【数3】 N=(U1+U2+...+U12)−6 …(2) このNが近似的に正規乱数zとなる。
【0068】このように、作業待時間や作業所要時間の
分布を乱数と組合わせることで近似し、より実際に近い
時間進行を再現しながらシミュレーションできる。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、生産設備を効率良く運
用することができ、また、予め操業終了時間も現実的に
推定できるので人員手配などがスムーズに進行する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による生産管理システムの
構成図。
【図2】複数の工程からなる生産ラインのイメージ図。
【図3】製品別作業対応表のデータ構成の一例を示す説
明図。
【図4】作業ステーションの一例を示すイメージ図。
【図5】複数の設備からなる生産システムの概略の構成
図。
【図6】生産計画データと最適モデル情報の一例を示す
テーブル。
【図7】トラッキング追跡機構のトラッキング追跡を示
す説明図。
【図8】トラッキング制御機構の処理フロー図。
【図9】動作実績収集機構の処理フロー図。
【図10】作業所要時間を示すタイムチャート。
【図11】動作履歴データと最適運転モデル情報の一例
を示すテーブル。
【図12】運転モデルデータ(1)〜(3)の例を示す
テーブル。
【図13】運転モデルデータ(1)の具体例と、その所
要時間シミュレーションの結果を示すテーブル。
【図14】運転モデルデータ(2)の具体例と、その所
要時間シミュレーションの結果を示すテーブル。
【図15】運転モデルデータ(2)の別の具体例と、経
過時間把握による所要時間シミュレーションの結果を示
すテーブル。
【図16】経過時間把握によるシミュレーション結果の
タイムチャート。
【図17】乱数を用いたシミュレーション結果のタイム
チャート。
【符号の説明】 1…設備、2…センサー、3…アクチュエーター、4…
工程管理計算機、5…上位計算機、11…状態監視機
構、12…設備能力解析機構、13…設備能力統計情
報、14…生産計画データ、15…通信機構、16…運
転最適化機構、17…最適運転モデル情報、18…進行
管理機構、19…トラッキング制御機構、20…動作指
示機構、21…生産実績データ、22…マンマシンイン
ターフェイス機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 善洋 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立情報制御システム内 (72)発明者 鈴木 直 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立情報制御システム内 (72)発明者 古石 隆彦 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立情報制御システム内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の設備からなる製品生産ラインの運
    転を、生産計画に基づいて管理する生産管理システムに
    おいて、 前記設備の加工や組立などの作業毎に、ワークの作業待
    時間と作業所要時間をオンラインに蓄積し、終業時など
    の所定タイミングに蓄積した作業待時間と作業所要時間
    の統計値から各設備の作業能力を同定することを特徴と
    する設備能力情報の取得方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記作業待時間と作業所要時間は、各設備の動作状態か
    ら取得したワークの到着時刻及び作業完了時刻から求め
    ることを特徴とする設備能力情報の取得方法。
  3. 【請求項3】 生産計画と設備能力情報にもとづいて複
    数の設備からなる製品生産ラインの運転形態を決定し、
    センサーから設備の動作状態を受信して生産の進行をオ
    ンラインに管理しながら次に行なう動作指令を発行する
    工程管理計算機を備えた生産管理システムにおいて、 前記工程管理計算機は、前記設備の動作状態からワーク
    の到着とその作業の完了をオンラインに把握し、作業待
    時間と作業所要時間を各作業毎に算出して蓄積するとと
    もに、この蓄積データの統計値から各設備の現状の設備
    能力を求める設備能力解析機構を設けたことを特徴とす
    る生産管理システム。
  4. 【請求項4】 生産計画と設備能力情報にもとづいて複
    数の設備からなる製品生産ラインの運転形態を決定し、
    センサーから設備の動作状態を受信して生産の進行をオ
    ンラインに管理しながら次に行なう動作指令を発行する
    工程管理計算機を備えた生産管理システムにおいて、 前記設備の動作状態からワークの到着とその作業の完了
    をオンラインに把握し、作業待時間と作業所要時間を各
    作業毎に算出して蓄積するとともに、この蓄積データの
    統計値から各設備の現状の設備能力情報を求める設備能
    力解析機構と、 前記運転形態について予め複数のモデルを備え、前記設
    備能力情報を与えて生産計画に対する各モデルのシミュ
    レーションを実行して最適な運転形態を決定する運転最
    適化機構を、前記工程管理計算機に設けたことを特徴と
    する生産管理システム。
  5. 【請求項5】 請求項3または4において、 前記統計値は、前記作業待時間及び前記作業所要時間の
    平均値μや分散値σ2であり、各々の平均値μや分散値
    σ2を正規乱数zと組合せた式(1)により求まる進行
    時間tによって、前記シミュレーションを実行すること
    を特徴とする生産管理システム。 【数1】t=μ+(σ・Z) …(1)
  6. 【請求項6】 請求項3、4または5において、 前記設備の動作状態をイベント情報として通知する状態
    監視機構と、ワーク毎の生産の進行を示し、前記イベン
    ト情報の受信によって更新されるトラッキングデータを
    発行する進行管理機構を前記工程管理計算機に設け、 前記設備能力解析機構は、前記イベント情報に対応する
    ワークを前記トラッキングデータを参照して識別して、
    前記ワークの到着とその作業の完了を把握できるように
    したことを特徴とする生産管理システム。
  7. 【請求項7】 請求項3、4、5または6において、 前記運転最適化機構は、前記生産ライン中における同一
    工程が複数の並列の設備を備えている場合に、前工程か
    ら移動して来るワークをスタートからの経過時間が少な
    い設備に分岐させるようにシミュレーションすることを
    特徴とする生産管理システム。
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