JPH1034375A - アルミニウム合金のろう付方法 - Google Patents
アルミニウム合金のろう付方法Info
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Abstract
ルクーラの流体通路構成部材、ラジエーターヘッダーな
どを得るための強度に優れたアルミニウム合金部材を的
確にろう付けする。 【構成】 被ろう付材に金属粉末含有非腐食性フラック
ス層を用いてろう付処理するとき、ろう付材がMnを0.
8重量%以上含有し、金属粉末はその大きさが平均10
μm 以下で最大30μm 以下のものを用いる。
Description
ろう付方法に係り、熱交換器の積層型エバポレータや積
層型オイルクーラの流体通路構成部材、ラジエーターヘ
ッダーなどを得るための強度性に優れたアルミニウム合
金部材について的確なろう付けを達成することのできる
方法を提供しようとするものである。
えば特開昭61−79752号公報に示されている如く
であって、張出し加工部ないしは絞り加工部を有する1
対の素材板により冷媒流通部たる管路を形成したものと
して並設し、前記冷媒流通部に熱交換を促進するフイン
をろう付けしたものとして製造される。然してこのよう
な熱交換器のろう付には耐食性を有すると共に強度の高
い3003に代表されるAl−Mn系合金からなる芯材と、
Al−Si系合金からなる皮材とをクラッドした所謂ブレー
ジングシートが使用されている。
ッド材を使用しないでろう付けする方法についてもそれ
なりの提案がなされており、そうした方法の1つに弗化
アルミニウムカリウム系の非腐食性弗化物フラックスと
金属珪素粉末の混合物でろう付けすることが米国特許第
5100048号に発表されている。即ちこの方法では
アルミニウム材料表面に塗布された珪素がろう付温度で
アルミニウム材料中へ急速に拡散し、アルミニウム材料
表層部がAl−Si共晶組成近くになると溶融(共晶温度:
577℃)し、ろうとなって部材相互間に流動集中しフ
ィレットを形成して接合がなされる。
均粒子寸法が30〜50μmの金属珪素粉末の混合物が
ドライパウダーまたは水やアルコール等の揮発性液体に
懸濁して塗布され、該混合物の配合は重量比で0.1〜
3:1程度で、混合物の塗布量は5〜30g/m2、ろう
付温度は577℃以上、その時間は2〜5分であるが、
最適条件としては珪素約30%の混合物を20〜30g
/m2塗布し、またろう付用材料としては純Al材やAl−1
%Mn材などが示されている。
ラックスと金属珪素粉末の混合物でのろう付法はコスト
ダウンが可能であるが、従来の3000系合金にそのま
ま適用すると、形成されるフィレットがブレージングシ
ートに比べて小さくなり、熱交換器組付け時の部材同士
の間隙が大きいと結合不良を生ずる可能性が高い。然し
てこれを防ぐためには、部材同士の間隙をできるだけ
小さくすること、フラックスと金属珪素粉末の混合物
の塗布量を多くすること、があるが、そのは部材を成
形加工する金型精度および加工歪みの関係から自ずから
限界があり、一方そのはコスト高になるのに加えて、
成形加工された部材に混合物を塗布する際に必然的に生
じる、珪素粉末過多付着箇所での部材の局部的な溶解が
大きくなる危険性が増大する不利が認められる。
従来技術における課題を解決することについて仔細な研
究を重ねた結果、上記したようなろう付け時においてフ
ィレット形成の不充分な状況について光顕組織やX線像
などを用いて検討し、上述したような非腐食性フッ化物
系フラックスと金属珪素粉末の混合物でのろう付け時に
フィレット形成が不充分となる場合はフラックス中Si粉
末粒子の寸法が大きい場合であり、この場合には局部的
に凹所を生じ、またMnが溶解したろう組成は流動性が劣
り、上記したような局部的凹所に生成ろうが溜り、また
部材間に集中し難いものであることを確認し、それらの
関係を解消することに成功したものであって以下の如く
である。
粉末含有非腐食性フラックス層を用いてろう付処理する
にあたり、該ろう付材がMnを0.8重量%以上含有し、
前記金属粉末はその大きさが平均10μm 以下で最大3
0μm 以下のものを用いることを特徴としたアルミニウ
ム合金のろう付け方法。
合金粉末またはこれらを主体とした粉末であることを特
徴とした前記(1)項に記載のアルミニウム合金のろう
付け方法。
下で、最大20μm 以下であることを特徴とした前記
(1)項または(2)項の何れか1つに記載のアルミニ
ウム合金のろう付け方法。
に仔細を説明すると、先ず本発明で用いる非腐食性フラ
ックスはLiF 、NaF 、KF、CaF2、AlF3、SiF4等の弗化物
の粉末混合物、もしくはこれらを溶融後粉末としたも
の、あるいは上記弗化物の錯化合物、たとえばKAlF4 、
K2AlF5(K2AlF5 ・H2O)、K3AlF6、K2SiF6等の単味もしく
は混合物またはこれらを溶融後粉末としたもの等であっ
て、このような弗化物系のフラックスは何れのものもア
ルミニウムに対して塩化物の如き腐食性を持たない。ま
たこれらのものの粉末の寸法は平均で0.1〜30μm
程度のもので、好ましくは平均で1〜10μmである。
金属としては珪素の他10〜30%Zn含有する珪素−亜
鉛合金等がある。そしてこのような金属粉末を前記フラ
ックスの粉末と混合してスラリーとして被ろう付部材に
塗布する。この場合、珪素粉末の他に1〜30%の亜鉛
粉末や2〜20%の銅粉末を添加混合して塗布してもよ
い。
のような手法があり、そのスラリーとしては混合物を
水、アルコール、溶剤に懸濁したものであって、密着性
を高めるためのバインダー(アクリル系樹脂等)、界面
活性剤等を添加したものが用いられる。 成形加工された部材を熱交換器などに組付け後、スラ
リー中に浸漬、またはスプレー塗布(内部はスラリーを
流す) 成形加工された部材をスラリー中に浸漬、またはスプ
レー塗布、粉体のまま静電塗布(その後、熱交換器など
に組付け) 板材をスラリー中に浸漬、またはスプレー塗布、ロー
ラー塗布、粉体のまま静電塗布(その後、部材に成形加
工し、熱交換器などに組付け)
末含有非腐食性フラックスを用いたろう付け処理につい
て多くの実地的検討を重ねた結果、それぞれのろう付け
状態においてそれなりに異ることが確認され、そうした
ろう付け結果の如何についてその材料との関係を詳細に
研究したところ、上述したようなろう付けは何れにして
もSiまたはSi合金粉末粒子とアルミニウム合金母材との
間における反応によってろうが形成されるものであるこ
とから、前記のようなSiまたはSi合金粉末の粒度分布が
ろう付け結果に影響するものと推定された。
と、先ず本発明者等がこのような検討に当って一般的に
用いたアルミニウム合金材の具体的な成分組成は次の表
1に示すようなA1050合金−H18材およびA30
03合金−H14材であって、その厚さは何れも1mm
のものである。
うなA、B、Cを準備し、これらのSi粉末と非腐食性フ
ラックス(商品名:ノコロックフラックス)を重量比
1:2の割合で混合したものを用い、55×25mmの
下板と25×25mmの縦板(端面切削)を溶剤蒸気洗
浄による脱脂後に逆T字型試験片としてセットして実施
した。
クスはイソプロピルアルコールに400g/リットルの
割合で懸濁したスラリーとして準備し、これを図1に示
すような縦板1と下板2よりなる逆T字型試験片の下板
2片面に20±1g/m2の塗布量で浸漬塗布3し、下板
の端面と裏面は刷毛によって除去したものとして図1の
ように準備したものを赤外線加熱炉に装入し高純度窒素
ガス雰囲気(露点−40℃以下、流量10リットル/m
in)で、昇温速度50℃/min、600℃×3mi
nの加熱をなし、次いで冷却速度50℃/minで常温
まで冷却したろう付けをなした。
う付試験片10についてのろう付性評価は、試験片の外
観観察、フィレットA1 、A2 に関する断面積〔フィレ
ット断面積:(A1 +A2 )/2〕および下板の断面観
察(エロージョンの程度)によって実施した。即ち試験
片ろう付接合部分の外観観察において、下板が表1の1
050材の場合は表2のA、B、CいずれのSi粉末によ
るものでも十分な大きさのフィレットが形成されてい
た。これに対し、下板が表1の3003材ではSi粒径の
最も大きいSi粉末Aではフィレットがほとんど形成され
ておらず、粒径が次に大きい粉末Bではフィレットは形
成されているものの満足できるものではなかった。一
方、Si粉末の平均粒径が3μm と最も小さいCの試験片
のフィレットは十分大きかった。より具体的に示すと、
ろう付されたフィレットの断面積について測定した結果
は次の表3のようであり、1050材ではSi粉末粒径の
影響が殆ど見られないのに対し、3003材の場合には
粒径の減少と共にフィレット断面積は増大している。
て、下板が表1の1050材の場合は表2のSi粉末A、
Bによるものは粗面化状態が観察され、特にAのものが
著しかったが、下板が表1の3003材ではA、Bいず
れも1050材よりも平滑であった。表2のCのSi粉末
を用いたものは下板が表1の何れの材料であっても下板
表面はより平滑であることが知られた。
を観察したところ、Si粉末AとB、特にAのものは相当
に深い侵食状態が認められ、下板が3003材の場合に
は侵食部がろうによって埋められていた。これに対し1
050材では、侵食部にはろうがほとんど残存しておら
ず、これらの観察結果は上記の下板表面状態の外観観察
結果とよく対応していた。即ち、Si粒子が大きい場合、
3003材では生成した溶融ろうが侵食部に留まって接
合部への流動がほとんど生じなかったことによりフィレ
ットが小さくなったといえ、この原因は、Si粉末と下板
との反応によって生成するろうの組成が、1050材で
生成される流動性の良好なAl−Si二元共晶、或いはAl−
Si−Fe三元共晶とは異なり、3003材では流動性の低
いAl−Si−Mn三元共晶、或いはAl−Si−Mn−Fe四元共晶
になったためと考えられる。なお、Si粒子による下板の
侵食部の凹凸の大きさをエロージョン深さとして測定し
た結果は次の表4に示す如くであって、Si粉末が細かく
なるにつれて小さくなり、表2のCの微粉によるものは
1050材、3003材ともほとんど無視できる程度の
ものであった。即ち、生成するろうの流動性が劣るAl−
Mn系合金のろう付では、フラックス中のSi粉末を微細に
することによってろうの流動の抵抗となる下板表面の凹
凸を軽減することができ、その結果、生成したろうが容
易にろう付接合部まで流動して大きなフィレットを形成
することができる。
Mn量を0.8重量%以上としたのは、0.8重量%未満
だとSi粉末粒子と反応して生成するろうの流動性がそれ
ほど低下せず、平均粒径が30μm 以上と比較的大きい
従来技術のSi粉末を用いても十分な大きさのフィレット
が形成されるからである。Mn量の上限は特に規制される
ものではないが、鋳造時に巨大な初晶金属間化合物が生
成して加工性を低下させることのない2.0重量%程度
が目安となる。
実施例について説明すると、本発明者等は次の表5に示
すようなSi粒子寸法のものを配合重量比が非腐食性フラ
ックスに対し1:2の割合に混合されたものを準備し
た。
性フラックスを用いてろう付けすべく準備されたアルミ
ニウム合金板の成分組成およびろう付後の強度は次の表
6に示す如くである。
た非腐食性フラックスと前記表6に示したアルミニウム
合金板を用いて夫々前記したようなろう付け条件により
ろう付けしたものについて、前記したようなフィレット
断面積〔図2に示したような(A1 +A2 )/2〕を求
めた結果を要約して示すと次の表7に示す如くである。
ト断面積が大であって、強度性に優れろう付けがなされ
ていることを確認することができ、このような本発明例
のものに対し比較例ル及びヲは何れもフィレット断面積
が小で、また該フィレット部およびSi配合フラックスの
塗布、ろう付けされた下板のエロージョン程度が好まし
くないものであることが確認された。また、比較例リ及
びヌはMn含有量が少ないため、Si粒径の大きなフラック
スを用いても大きなフィレットが形成されているが、ろ
う付後の強度が低い。
金属珪素またはその合金粉末の如きを配合した非腐食性
フラックスを用いたアルミニウム合金のろう付けをなす
に当り、そのフィレット形成機構を解明して好ましい強
度性を確保したろう付けを適切に形成し熱交換機器など
に採用するのに適したろう付け機材を的確に提供し得る
ものがあるから工業的にその効果の大きい発明である。
部材の組付け状態を示した端面図である。
ろう付け部材の端面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 少くとも一方の被ろう付材に金属粉末含
有非腐食性フラックス層を用いてろう付処理するにあた
り、該ろう付材がMnを0.8重量%以上含有し、前記金
属粉末はその大きさが平均10μm 以下で最大30μm
以下のものを用いることを特徴としたアルミニウム合金
のろう付け方法。 - 【請求項2】 前記金属粉末はSi粉末若しくはSi合金粉
末またはこれらを主体とした粉末であることを特徴とし
た請求項1に記載のアルミニウム合金のろう付け方法。 - 【請求項3】 金属粉末の大きさが平均5μm 以下で、
最大20μm 以下であることを特徴とした請求項1また
は2の何れか1つに記載のアルミニウム合金のろう付け
方法。
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