JPH10340808A - ボンド軟磁性体及びそれを用いた点火コイル - Google Patents

ボンド軟磁性体及びそれを用いた点火コイル

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JPH10340808A
JPH10340808A JP9151754A JP15175497A JPH10340808A JP H10340808 A JPH10340808 A JP H10340808A JP 9151754 A JP9151754 A JP 9151754A JP 15175497 A JP15175497 A JP 15175497A JP H10340808 A JPH10340808 A JP H10340808A
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soft magnetic
temperature
magnetic material
iron
resin binder
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JP9151754A
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Kazunori Tawara
一憲 田原
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Hitachi Metals Magtech Co Ltd
Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
Hitachi Metals Magtech Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
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    • H01F1/28Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder dispersed or suspended in a bonding agent

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボンド軟磁性材料では、磁性粒子間の空隙率
が大きく、密度が低いため、高い実効透磁率が得られな
い。 【解決手段】 樹脂結合材の耐熱性が低いといわれる
が、成形後に不活性ガス中で高温硬化を行うことによ
り、ハイドロパーオキサイドの発生を防止し、高い実効
透磁率のボンド軟磁性を得た。また、ハイドロパーオキ
サイドの発生が顕著でなければ、空気中で短時間の高温
効果を行うことで、実効透磁率の高いボンド軟磁性体を
得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は従来に比して高い電
気抵抗率と実効透磁率と磁束密度とを備えた改良された
ボンド軟磁性体およびそれを用いた点火コイルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】永久磁石を軟磁性磁心の空隙部に挿入す
ることにより、点火コイル等の電磁コイルに蓄積される
エネルギーを増大する提案は、例えば、特開昭59−1
67006号、実開昭48−49425号などに開示さ
れている。しかしながら、これらに用いられている軟磁
性体は、電気抵抗率10μΩcm程度のケイ素鋼板を絶
縁層を介して積層したものである。しかし、ケイ素鋼板
の板厚が規格内に仕上がっていても、ロット内及びロッ
ト間のバラツキは必ず存在するため、積層後に所定の寸
法公差内に入れることが難しく、精度の高い公差を規定
することができない。高い精度の寸法公差が要求される
場合には、広いケイ素鋼板の中央部のみを使用するなど
の工夫が必要になり、原材料費が高価になる。さらに、
所定の形状にするため、ケイ素鋼板にはプレスによる打
抜き工程が必要であるが、この際に僅かであってもバリ
が発生する。バリの発生状況は通常不均一であるため、
積層する際に、表裏を交互に積層するとか、180度回
転させた状態で交互に積層するなどの工夫がなされる
が、この様な積層方法を用いても、積層後の高い精度の
寸法公差を満足することは極めて困難である。積層する
理由は、前記の様に、ケイ素鋼板の電気抵抗率が低いた
め、発生する渦電流を減少させて、いわゆる鉄損を少な
くすることが必要だからである。上述の欠点を除き、鉄
損を少なくするには、軟磁性粉末を樹脂分で結合したボ
ンド軟磁体を用いる方法がある。この場合、樹脂分及び
空隙により、軟磁性粉末充填率が低下する。その結果、
実効透磁率μ及び飽和磁化Bsが低下するため、実用化
に難点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、精度
の高い寸法公差を有し、例えば鉄損の少ない点火コイル
用部材等に好適な高い電気抵抗率、高出力に有利な実効
透磁率μ及び飽和磁束密度Bsを有するボンド軟磁性体
及びそれを用いた高効率の点火コイルを提供することに
ある。すなわち、本発明は従来に比べて軟磁性粉末の充
填率を大幅に高くすることが可能な軟磁性コンパウンド
を作製し、加圧成形後、独特の特長ある加熱硬化処理を
採用したことによりパーオキサイド等の生成を抑えなが
らボンド軟磁性体の高密度化を実現し、高い寸法精度と
ともに高電気抵抗率、高μ、高Bsを具備したボンド軟
磁性体及びそれを用いた高効率、高出力型の点火コイル
を提供するものである。本発明のボンド軟磁性体を採用
することにより、上記従来のケイ素鋼板を打抜き、積層
するというような繁雑な製造工程が不要となる。また、
本発明のボンド軟磁性体はほぼ軟磁性粒子のひとつひと
つが基本的に樹脂及び/又は表面処理剤により絶縁隔離
されて高密度化後もこの状態に保持されるので25℃で
測定した電気抵抗率は0.2〜1.0Ωcmという高い
電気抵抗率であり、汎用のケイ素鋼の電気抵抗率の約1
4倍以上に高くなる。従って、点火コイルに用いた場
合渦電流損失を小さく抑えることができる。本発明のボ
ンド軟磁性体は、その他例えばトランス用コア、スピー
カ用磁気回路のポールピース等にも好適なものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明のボンド軟磁性体は、軟磁性粉末と樹脂結合材とから
なるとともに、不活性ガス雰囲気において、(前記樹脂
結合材の空気中における重量減少速度が毎分1%に達す
る温度ー100℃)から(前記樹脂結合材の空気中にお
ける重量減少速度が毎分1%に達する温度+300℃)
までの温度域に加熱保持されて形成されたことを特徴と
するボンド軟磁性体である。加熱硬化処理温度域を、
(前記樹脂結合材の空気中における重量減少速度が毎分
1%に達する温度ー50℃)から(前記樹脂結合材の空
気中における重量減少速度が毎分1%に達する温度+1
00℃)とするとより好ましい。ここで、前記樹脂結合
材の空気中における重量減少速度が毎分1%に達する温
度とは、空気中において公知の加熱手段を用いて加熱昇
温され所定温度に保持された状態において樹脂結合材の
重量減少速度が毎分1%に達する温度をいう。上記の特
長ある加熱硬化処理によってパーオキサイド等の生成を
抑えて高い電気抵抗率を保持しながらボンド軟磁性体が
緻密化し、同時に高μ、高Bsが実現される。ここで、
(前記樹脂結合材の空気中における重量減少速度が毎分
1%に達する温度ー100℃)よりも加熱硬化温度が低
いと緻密化および歪取りが困難となり、(前記樹脂結合
材の空気中における重量減少速度が毎分1%に達する温
度+300℃)を越えるとパーオキサイド等の生成が顕
著となり電気抵抗率が急減するので、いずれも好ましく
ない。
【0005】また、本発明は、軟磁性粉末と樹脂結合材
とからなるとともに、空気中において、(前記樹脂結合
材の空気中における重量減少速度が毎分1%に達する温
度ー100℃)から(前記樹脂結合材の空気中における
重量減少速度が毎分1%に達する温度+100℃)まで
の温度域に加熱保持されて形成されたことを特徴とする
ボンド軟磁性体である。加熱硬化処理を、(前記樹脂結
合材の空気中における重量減少速度が毎分1%に達する
温度ー30℃)から(前記樹脂結合材の空気中における
重量減少速度が毎分1%に達する温度+50℃)とする
とより好ましい。上記の空気中での加熱硬化処理温度域
ではパーオキサイド等の生成は少なく抑えられるので高
い電気抵抗率を保持できるとともにボンド軟磁性体が緻
密化して高密度となり、同時に高μ、高Bsが実現され
る。ここで、(前記樹脂結合材の空気中における重量減
少速度が毎分1%に達する温度ー100℃)よりも加熱
硬化温度が低いと緻密化および歪取りが困難であり、
(前記樹脂結合材の空気中における重量減少速度が毎分
1%に達する温度+100℃)を越えると樹脂結合材の
劣化が顕著となり電気抵抗率が急減するので、いずれも
好ましくない。
【0006】また、本発明は、100メッシュアンダー
の鉄及び/又は鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結
合材とからなるボンド軟磁性体であって、6.9g/c
c以上の密度を有するとともに24℃における飽和磁束
密度Bsが15kG以上であり、さらに25℃における
電気抵抗率が0.2〜1.0Ωcmの範囲にあり、かつ
1kHzにおける実効透磁率μが150以上であること
を特徴とするボンド軟磁性体である。本発明のボンド軟
磁性体を構成する軟磁性粒子は各々が樹脂結合材中にほ
ぼ孤立して分散しているとともに軟磁性粒子と樹脂結合
材との界面は密着しているので高電気抵抗率と高密度と
を保持しており、さらにコンパウンド化の前に軟磁性粉
末粒子に行う熱処理と成形されたボンド軟磁性体に行う
加熱硬化処理とによってボンド軟磁性体を構成する軟磁
性粒子の残留歪みは従来に比べて非常に低く抑えられて
高μ、高Bsのものとなっている。
【0007】150℃までの耐熱性を確保するために、
上記樹脂結合材として熱硬化性樹脂を用いると好まし
い。
【0008】また、本発明は、100メッシュアンダー
の鉄及び/又は鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結
合材とからなるボンド軟磁性体製の磁心と、前記磁心に
巻回されて通電される励磁用の一次コイルと、前記磁心
に巻回されて一次コイルの通電電流の遮断により電磁誘
導出力を発生させる二次コイルとを備えた点火コイルで
あって、前記磁心が6.9g/cc以上の密度を有する
とともに、24℃における飽和磁束密度Bsが15kG
以上であり、さらに25℃における電気抵抗率が0.2
〜1.0Ωcmの範囲にあり、かつ1kHzにおける実
効透磁率μが150以上であることを特徴とする点火コ
イルである。本発明によれば、ボンド軟磁性体を用いた
点火コイルとして、従来に比べて鉄損が少なく高効率、
高出力のものを容易に提供可能である。
【0009】また、本発明は、100メッシュアンダー
の鉄及び/又は鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結
合材とからなるとともに一部に設けられた空隙部を介し
て閉磁路を形成したボンド軟磁性体製の磁心と、前記磁
心に巻回されて励磁のために通電される一次コイルと、
前記磁心に巻回されて一次コイルの通電電流の遮断によ
り電磁誘導出力を発生させる二次コイルと、前記磁心の
空隙部に配置されて一次コイルの通電による励磁極性方
向と反対極性に磁化された永久磁石とを備えた点火コイ
ルであって、前記磁心が、6.9g/cc以上の密度を
有するとともに24℃における飽和磁束密度Bsが15
kG以上であり、さらに前記磁心の25℃における電気
抵抗率が0.2〜1.0Ωcmの範囲にありかつ1kH
zにおける実効透磁率μが150以上であることを特徴
とする点火コイルである。本発明によれば、永久磁石と
ボンド軟磁性体を用いた点火コイルとして、従来に比べ
て鉄損が少なく高効率、高出力のものを容易に提供可能
である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のボンド軟磁性体を構成す
る軟磁性粉末として好適な鉄又は鉄基合金粉末は、製造
法(例えば、アトマイズ法、水素還元法、電解法、カー
ボニル法、粉砕法等)によって軟磁気特性が大きく影響
される。図2は、後述する実施例及び比較例によって作
製したボンド軟磁性体の第1象限における印加磁場H
(kOe)に対する磁化の立上りを磁束密度B(kG)
で示したものである。純粋な鉄の最大透磁率は2×10
5にも及ぶが、結晶中に含まれる不純物、格子欠陥、転
移、歪等が蓄積するとμは著しく低下し、保磁力Hcも
増加して軟磁性体として好適なものではなくなる。特
に、ボンド軟磁性体は結合材として樹脂分を含むため、
軟磁性体粒子間に間隙が生じ、これが大きくμを低下さ
せる。ボンド軟磁性体のμを大とするためには、 (1)軟磁性粉末粒子の充填率を高くする。 (2)軟磁性粉末粒子は不純物が少なく、熱処理によ
り、転移、欠陥、歪等を極力除去したものを用いる。 (3)成形時に成形圧によって主に軟磁性粉末粒子に生
じた歪を歪取りを兼ねた加熱硬化処理で極力除去する。
ことが必要である。(1)、(2)については、例えば
不純物の少ないアトマイズ法で作製した100メッシュ
アンダーの球状の鉄又は鉄基合金の軟磁性粉末を不活性
ガス雰囲気中で熱処理することで対処した。この熱処理
の条件は例えばAr及び/又はN2中での800〜95
0℃が好ましく、850〜900℃がより好ましい。熱
処理温度が800℃未満では本発明の目標とするμ、B
sを得ることが困難であり、950℃を越えると軟磁性
粉末粒子相互が焼結凝集化し真球度が著しく低下するの
でいずれも好ましくない。また、本発明のボンド軟磁性
体の製造に際して、球状の鉄及び/又は鉄基合金の軟磁
性粉末粒子を用いてその100メッシュ以下の略最密充
填に適した粒径分布とすることによりその軟磁性粉末粒
子がほぼ最密充填に近い密度に充填されたボンド軟磁性
体を実現できるとともに後述の表面処理剤の寄与もある
がコンパウンド中への軟磁性体粒子の均一分散性(すな
わちひとつひとつの軟磁性体粒子へのほぼ均一な樹脂被
覆性)が実現して高い電気抵抗率と密度とが得られ、さ
らに混練容易性、成形容易性等を確保する上で非常に有
効である。(3)については、本発明の特長ある加熱硬
化(高温)処理を行うことで対処した。
【0011】一般に樹脂(高分子)は、耐熱性に劣ると
いわれている。しかし耐熱性には2種類ある。ひとつ
は、一般的な耐熱性で、非晶質樹脂では、ガラス転移点
Tgが、結晶性樹脂では融点Tm(=△H/△S)が高
いことが耐熱性に優れることになる。融解エンタルピー
△Hは、分子間力に比例し、融解エントロピー△Sは、
樹脂の剛直性に反比例するため、構造的には、シート、
ラダー、ネットワークの構造が耐熱性に優れるという物
理的性質を有する。他の一つは、熱安定性に優れること
である。これは、分解温度が高いことである。分解は不
可逆的な化学変化であり、分解反応にはポリマーのもつ
各種の要素が影響を与える。例えば、原子間の結合エネ
ルギーや高分子の骨格構造がもつ共鳴エネルギーが重要
となる。ポリマーの熱分解反応は化学反応であるので、
K=Aexp(−E/kT)が成立する。活性化エネル
ギーEは原子間の結合エネルギーに対応すると考えら
れ、これが大であれば熱分解反応速度定数Kは小さくな
る。本発明で重要となる耐熱性は、この不可逆な化学反
応である。
【0012】
【表1】
【0013】表1に、L.Paulingによる結合エ
ネルギーを示す。表1からわかるように、C−F結合
は、C−H結合に対して結合エネルギーが6.6kal
/mol大きく、熱安定性が良いことを示しているが、
C−Hの結合エネルギー自体も大であることがわかる。
しかし、本発明のボンド軟磁性体の製造に際し、バイラ
ジカルである酸素O2のある状態の熱分解ではO2は炭化
水素に対してハイドロパーオキサイドを生成して、熱分
解を助長するので好ましくないことがわかった。従っ
て、本発明のボンド軟磁性体の製造に際し実質上O2
存在しないN2及び/又はAr中などの不活性ガス雰囲
気(例えば下記純度以上の不活性ガスを用いた場合
等。)で加熱することによって、炭化水素の熱分解反応
が抑制され熱分解温度は高くなる。真空中に保持するこ
とによりO2を排除する方法もあるが、真空中では揮発
性分解生成物がポリマー中から表面に出てくるミーンフ
リーパスが大となるため好ましくない。但し、不活性ガ
ス雰囲気中のO2を完全に排除することは困難であり、
前記不活性ガス雰囲気の純度は、工業的に入手が容易な
通常99.99%程度で十分である。高温下でのポリマ
ーの分解に際し、その物性に大きな影響を与える反応
は、主鎖の切断および橋かけ反応である。前者は、さら
に主鎖のランダム分解と解重合とに分けられる。主鎖の
切断反応も停止反応も、通常、溶媒の“かご”の中で進
み、主鎖の切断は、生じたポリマーラジカルが溶媒の
“かご”から抜け出したときに完了するが、この確率は
非常に小さい。解重合の場合にも重合と解重合が同時に
進行し、平衡状態となる。従って、不活性ガス雰囲気下
での樹脂分の熱分解温度がボンド軟磁性体の歪取り焼鈍
温度(加熱硬化温度)に対応できる樹脂結合材を選定す
ることにより、μを高くすることができる。さらに、空
気中で加熱硬化する場合にはパーオキサイドの生成が少
なく電気抵抗率が本発明のボンド軟磁性体の前記実用許
容範囲(25℃において0.2〜1.0Ωcm)に保持
される加熱硬化処理条件を設定することが重要である。
【0014】本発明者は鋭意検討の結果、上記加熱硬化
処理条件の目安として、表2に示す樹脂結合材の空気中
における重量減少率が毎分1%に達する温度をベースと
することが有効であることを見出した。一般に熱硬化性
樹脂は、この値が大であり好ましい。本発明に好適な耐
熱性樹脂は、例えば、ポリ−Pキシレン、ポリP−フェ
ニレン、ポリチアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリ
トリアゾール、ポリベンゾイミダゾール、芳香族ポリイ
ミド、芳香族ポリアミドイミド、エポキシ樹脂及びフェ
ノール樹脂などである。製造コスト面から見ると、耐熱
性に若干の難点があるが、フェノール樹脂とエポキシ樹
脂がより好ましいといえる。
【0015】
【表2】
【0016】
【実施例】鉄及び鉄基合金を代表する軟磁性金属粉末と
して、アトマイズ法で作製後N2雰囲気の850〜90
0℃で焼鈍を施した100メッシュ以下の球状鉄粉を用
いることで、後述の通り良好な軟磁気特性のボンド軟磁
性体が得られた。好適な樹脂結合材の具体例としてフェ
ノール樹脂及びエポキシ樹脂を主とした構成の実施例を
下記するが、下記実施例により本発明が限定されるもの
ではない。
【0017】(実施例1)上記鉄粉4kgに対して3−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10gをn−
ヘキサン50gに溶解した液を添加し、ヘンセルミキサ
で混合後、100℃×1.5時間乾燥させる表面処理を
行った。表面処理後の鉄粉99重量部に対し、ノボラッ
クフェノール樹脂/ヘキサメチレンテトラミン=10/
1の重量比率の樹脂分0.6重量部、潤滑剤としてステ
アリン酸アミン0.4重量部を配合し、ニーダにより1
00〜110℃で30分混練した。次いで、32メッシ
ュアンダーに解砕してコンパウンドとした。次に、成形
圧6ton/cm2で外径22mm×内径18mm×厚
み5mmのリング形状、及び外径1.2mm×厚み6m
mの円柱状のものを成形した。次いで、これらの成形体
にそれぞれAr中500℃×30分及び空気中500℃
×10分間の加熱硬化処理を行った。次に、上記の加熱
硬化させたリング状成形体に巻線を施し測定したμの周
波数変化を図3に示す。図3において、Ar中で加熱硬
化したものは4kHz以下でμ≧300の高い値を示
し、1kHzでのμ=311である。また、空気中で加
熱硬化したものではμは若干低下したが、1kHzでの
μ=297を得た。このμの差は、空気中では樹脂分の
減少がAr中よりも多いため、加熱硬化保持時間を短く
する必要があり、空気中で加熱硬化したものの方が歪の
残存量が多いためと推定される。図2のAは、上記の円
柱状成形体で測定した磁束密度Bの磁場変化であるが、
B−H特性はAr中と空気中の加熱硬化による有意差は
見出されなかった。
【0018】(比較例1)ここで、上記リング状成形体
に対し、空気中で500℃×30分の加熱硬化を施した
ものは図2のAと同様のBーH特性を示したが、その加
熱硬化した成形体の樹脂分においてパーオキサイドが多
く発生して炭化が起こったためと推定される電気抵抗率
の急減(前述の汎用ケイ素鋼レベル相当)が認められ、
点火コイル等に不適なものとなった。
【0019】(比較例2)実施例1と同様にして成形体
を得た後、空気中150℃で加熱硬化を行ったもののμ
の周波数変化を図5に、B−H変化を図2のCにそれぞ
れ示す。図3と図5を比較して明らかなように、μは実
施例1の高温硬化を行った時の1/3程度に低下し、従
来知られているボンド軟磁性体相当のμとなった。ま
た、図2よりB−H特性も実施例1に比較して低下した
ことがわかる。μ及びBがこのように低下する理由は、
硬化体(加熱硬化したボンド軟磁性体)の密度差も歪以
外に大きく影響している。この比較例2のものの硬化体
密度は6.70〜6.72g/ccであるが、本発明の
ボンド軟磁性体では従来不可能であった6.90g/c
c以上のものを安定に提供可能であり、より好ましくは
7.10g/cc以上、特に好ましくは7.20〜7.
39g/cc(実施例1のもの)にまで密度を高くした
緻密なボンド軟磁性体を提供可能である。本発明のボン
ド軟磁性が高い密度を有するのは、従来にない高密度の
ボンド軟磁性体であっても前記の球状粒子と特長ある加
熱硬化条件と表面処理剤とを併用したことで軟磁性体粒
子と樹脂結合材との界面にミクロな空隙がほとんど見ら
れず両者が密着したミクロ組織を実現できているからで
ある。
【0020】(実施例2)実施例1と同様の鉄粉4kg
に対して3−アミノプロピルトリエトキシシラン10g
をn−ヘキサン50gに溶解した液を添加し、実施例1
と同様にして表面処理を行った。表面処理後の鉄粉99
重量部に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂/ジア
ミノジフェニルスルホン=3/1の重量比率の樹脂分
0.8重量部、潤滑剤としてステアリン酸アミド0.2
重量部を配合し、ニーダーにより実施例1と同様にして
コンパウンドを作製し成形を行った。得られた成形体
に、それぞれAr中450℃×30分及び空気中450
℃×10分の加熱硬化処理を行った。実施例1に比べて
加熱硬化温度を下げた理由は、空気中においてこの実施
例2で用いたエポキシ樹脂の重量減少率が毎分1%に達
する温度がフェノール樹脂に比べて約85〜90℃低い
ためである。加熱硬化したもののμの周波数特性を図4
に示すが、図3に比較して測定した周波数範囲において
最大で60程度μが低下している。図4において、Ar
中加熱硬化のものの1kHzでのμ=250であり、空
気中加熱硬化のもののそれはμ=235であった。この
図4のものの密度は7.20〜7.32g/ccである
ので、成形時の歪が上記500℃での加熱硬化の場合と
比較して若干多く残存するものと考えられる。また、図
2のEがこの実施例2のもののB−H特性である。図2
に示すようにAに比較してBの立上がりが遅い理由はμ
が低いためであると解釈される。磁場5kOeでのBs
は、この実施例2のAr中、空気中加熱硬化のいずれも
実施例1のものとほぼ同じであり、鉄粒子の顕著な酸化
は生じていないと判断できる。
【0021】(比較例3)実施例2と同様にして得られ
た成形体を空気中150℃で加熱硬化させた。このもの
の密度は6.60〜6.62g/ccと低く、μも図5
に示すように低下しており、またB−H特性も図2のD
に示すように比較例2のものと同レベルである。
【0022】実施例1、2と比較例1〜3を比べて明ら
かなように、樹脂の種類が異なっても、本発明の特長あ
る加熱硬化条件を採用することによってボンド軟磁性体
の電気抵抗率、μ、Bs(B)の著しい向上を実現でき
ている。これは、本発明の特長ある加熱硬化温度(上記
実施例では450〜500℃)域では重合に寄与しない
潤滑剤が揮散することや樹脂の一部も揮散することによ
り、加熱硬化時にパーオキサイド等の生成を抑えながら
緻密化の収縮を促進できるとともに軟磁性粒子の残留歪
みを従来よりも低く抑えられるためであると考えられ、
25℃における電気抵抗率はいずれも0.2〜1Ωcm
程度であって汎用ケイ素鋼の約104倍以上高くなるこ
とから、渦電流損失も小となる極めて有用なものであ
る。
【0023】図6に実施例1のArガス中加熱硬化した
ものを50mTで振動させたときのヒステリシス損失P
hv及び渦電流損失Pevの周波数変化を示すが、鉄及
び/又は鉄基合金の軟磁性粉末を充填したボンド軟磁性
体として従来に比して損失が非常に少ないものである。
【0024】本発明の点火コイルの磁心形状として最も
単純な形状は棒状であるが、用途に応じて種々の磁心形
状を採用可能である。
【0025】図7は本発明の点火コイルの一態様を説明
する要部断面図である。図7の点火コイル20におい
て、1はボンド軟磁性体製の磁心であり、空隙10を介
して閉磁路を形成している。閉磁路を形成した状態を模
式的に矢印の磁束ΦMで示した。2は縦20mm×横8
mm×磁化方向厚み1.2mmの長方形板状の希土類磁
石(日立金属(株)製のSmCo5型異方性焼結磁石:
H18B等であり、耐熱性および下記の薄肉対応から室
温でのiHc≧25kOeのものが好ましく、iHc≧
30kOeのものがより好ましい。)であり、図示のよ
うに着磁されて磁心1の受け皿部1aの平面上に接着さ
れておりかつ磁心1bに当接して磁気空隙10に隙間無
く配置してある。ここで、磁気空隙10のギャップを極
力小さくして希土類磁石2の磁化方向厚みを1.0〜
3.0mmとするのが好ましい。磁化方向厚みが1.0
mm未満であると希土類磁石2の動作点が低下し一次コ
イル3と逆極性の磁化力を十分にボンド軟磁性体製の磁
心1に加えることが困難となることや巻線作業が困難を
極め、3.0mmを越えると高価な希土類磁石2の体積
が増えてコストパーフォーマンスが悪くなるので、いず
れも好ましくない。なお、希土類磁石2は必要に応じて
磁心1bと隙間をあけて配置してもよい。また、点火コ
イル20には一次コイル3および二次コイル4が巻回さ
れていて、1次コイル3に通電する以前に、希土類磁石
2の磁化力により、一次コイル3の通電による磁化力と
は逆向きに磁心1を負方向の最大使用磁束密度にまで磁
化しておく。次に点火コイル20の使用時には、一次コ
イル3に励磁電流を流すことにより、希土類磁石2とは
逆方向の磁化力を発生させ、磁心1を正方向の最大使用
磁束密度にまで磁化する。この状態で、点火時期におい
て1次コイル3の励磁電流を遮断すれば、二次コイル4
には電磁誘導出力が発生して接続された点火コイル20
のプラグ(図示省略)に高効率、高出力の電気火花を発
生させるようになっている。なお、磁心1の寸法公差は
±0.1mmに抑えられて、高寸法精度になっている。
【0026】本発明の軟磁性体製の磁心を用いた点火コ
イルの特長を下記の実施例及び比較例により説明する。 (実施例3、比較例4)上記図7の点火コイル20の構
成において、ボンド軟磁性体製の磁心1として、形状が
異なる以外は実施例1のAr中加熱硬化処理したものと
同一条件で形成した磁心を配置した場合(実施例3)
と、形状が異なる以外は比較例1の空気中加熱硬化処理
したものと同一条件で形成した磁心を配置した場合(比
較例4)とで、渦電流損失及び二次コイル4からの出力
電圧を比較評価したところ、実施例3が比較例4に比べ
て渦電流損失が約20%小さく、かつ出力電圧が数kV
高いことがわかった。このように、本発明のボンド軟磁
性体を配置した点火コイルは、従来に比べて高効率、高
出力の点火コイルであることが確認された
【0027】次に、図1は、本発明のボンド軟磁性体を
用いた点火コイルの基本的な磁気動作を説明するための
動作特性図である。図中にボンド軟磁性体の磁化曲線を
併せて示す。点火コイルの巻線部の磁心上に巻数nの一
次コイルを巻回し、負方向の磁束−φを生じさせる永久
磁石の磁化とは逆向きの磁束+φが巻線部の磁心中に生
じるように、一次コイルに励磁電流Ipを流した場合に
おける一次コイルの蓄積エネルギーは、図1のハッチン
グ部の面積Wで表され、その大きさは、 W=(1/2)・(2φ)・nIp=φ・nIp である。Wを最大にするためには、磁心の負の飽和点C
点まで永久磁石の磁化力によって磁心を磁化する必要が
ある。次に、Ipにより生じる磁化力nIpにより、図
1の右上の正の磁束の飽和点T点又はその近傍まで磁心
を磁化した場合において、その材質及び形状によって与
えられる永久磁石のもつ最大エネルギーEMとWで示さ
れる一次コイルの蓄積エネルギーとの関係はEM=W/
2である。巻線部の磁心断面積及び最大使用磁束密度を
それぞれSs及びBsとすると W=(1/2)・2・Bs・Ss・nIp=Bs・Ss
・nIp である。一方、永久磁石の最大エネルギー積は(BH)
maxで表され、永久磁石の最大エネルギーの理論値E
Mは、SM,lMをそれぞれ永久磁石の磁化方向に垂直な
断面積及び磁化方向の長さとすると、EM=(BH)m
ax・(SM・lM)で表される。従って、永久磁石の動
作点として、(BH)maxを与える動作点もしくはそ
の近傍の動作点が選定される。従って、一次コイルの蓄
積エネルギーWは W=2EM=2(BH)max・(SM・lM) となり、ボンド軟磁性体からなる磁心の断面積Ssと永
久磁石の断面積SMとの比率は、 SM/Ss=Bs・nIp/2(BH)max・lM となる。本発明のボンド軟磁性体のBsはJISに規定
されている汎用ケイ素鋼のそれよりも高くすることも可
能で、好ましくはBs=15.0〜19.5kG、より
好ましくは17.0〜19.5kGというボンド軟磁性
体として従来のものに比べて大幅に向上した高い値を保
有している。従って、NdFeB系又はSmCo系永久
磁石を用いて、図1のC点にまで負方向に飽和させるた
めには、SMを大きくする必要がある。この点から、上
記図7において、磁心1の巻線部の断面積(Ss)と希
土類磁石の磁化方向に垂直な断面積(SM)とがSM>S
sであることが好ましい。これは、(BH)max近傍
の磁束密度Bは、高くても10kG程度であるからであ
る。
【0028】点火コイルに要求されるボンド軟磁性体の
特性は、渦電流の発生を極力抑えるために電気抵抗率が
高いこと、Bsが高く、ヒステリシス損失を小さくする
ため保磁力Hcは小さいことである。これらの性質は、
トランス用コア、スピーカ用磁気回路部品、モータ用の
ハウジングやコイル用コアに用いる場合にも共通する要
求仕様である。点火コイルは、自動車のエンジン回りに
使用されるため、耐熱性は140℃、望ましくは150
℃が必要である。渦電流の発生は、電気抵抗率が低い程
大となるため、軟磁性体として用いる鉄又は鉄基合金粉
末粒子のひとつひとつが、無機又は有機の電気的絶縁物
で包まれることが必要である。そのためには、アミノシ
ランカップリング剤、チタン系カップリング剤、リン酸
塩、パーヒドロポリシラザン等で鉄又は鉄基合金粉末の
表面処理を行うことが望ましい。また、一次コイルへの
励磁電流の接続と遮断時には速やかなBsの反転が必要
であり、そのためには、実効透磁率μが大である程望ま
しい。
【0029】図8は本発明の点火コイルの他の態様を示
す要部断面図である。図8の点火コイル30は、支持用
の貫通穴15を有した本発明のボンド軟磁性体製の磁心
11と、縦10mm×横10mm×磁化方向厚み5mm
の直方体形状の希土類磁石12(例えば日立金属製のN
d−Fe−B系異方性焼結磁石:HS30EH等。)
と、縦8mm×横8mmの正方形断面を有した磁心11
のコイル巻回部11aに巻回された図示省略の一次コイ
ル、二次コイルを備えている。希土類磁石12と一次、
二次コイルの関係は上記図7と同様であり、高効率でか
つ高出力の点火コイルを構成可能である。
【0030】図9は本発明の点火コイルのさらに他の態
様を示す要部断面図である。図9の点火コイル40は、
支持用の貫通穴25を有した本発明のボンド軟磁性体製
の磁心21と、縦8mm×横8mmの正方形断面を有し
た磁心21のコイル巻回部21aに巻回された図示省略
の一次コイル、二次コイルを備えている。点火コイル4
0では永久磁石を用いていないが、本発明のボンド軟磁
性体の特長によって、従来のボンド軟磁性体を用いた場
合に比べて高出力、高効率の点火コイルを構成すること
が可能である。
【0031】図10は本発明の点火コイルを構成する磁
心部の一態様を示す断面図である。図10の磁心部50
は、本発明による棒状のボンド軟磁性体製の磁心51
と、その両端に配置された異方性希土類ボンド磁石52
(例えばNd−Fe−B系のもの)と、磁心51の巻回
部51aに巻回された図示省略の一次コイル、二次コイ
ルを有して構成されている。希土類ボンド磁石52と一
次コイル、二次コイルとの関係は上記図7と同様であ
り、高効率でかつ高出力の点火コイルを構成し得る。
【0032】図11は本発明の点火コイルのさらに他の
態様を説明する要部断面図である。図11の点火コイル
100において、61、61’は本発明のボンド軟磁性
体製の磁心であり、空隙68、68’を介して閉磁路を
形成している。閉磁路を形成した状態を模式的に矢印の
磁束ΦM’で示した。62,62’は縦20mm×横8
mm×磁化方向厚み1.2mmの長方形板状の希土類磁
石(日立金属(株)製のSm2Co17型異方性焼結磁
石:H30CH等)であり、図示のように着磁されて磁
心61の受け皿部61a、61a’の平面上に各々接着
されておりかつ磁心61b、61b’に当接して磁気空
隙68、68’に隙間無く配置してある。この構成によ
って一次コイル63、二次コイル64を磁心61に巻回
したあとでその両端に希土類磁石62、62’を配置で
きるので巻線作業が容易となる特長を有している。な
お、希土類磁石62、62’は必要に応じて磁心61
b、61b’と隙間をあけて配置してもよい。この構成
において、点火時期において1次コイル63の励磁電流
を遮断すれば、二次コイル64には電磁誘導出力が発生
して接続された点火コイル100のプラグ(図示省略)
に高効率、高出力の電気火花を発生させるようになって
いる。
【0033】上記実施例では樹脂結合材として熱硬化性
樹脂を主とした場合を記載したが、本発明のボンド軟磁
性体に用いる樹脂結合材に公知の熱可塑性樹脂及び/又
はゴム(好ましくは耐熱性のもの)を用いることも可能
であり、上記の特長ある加熱条件を採用することにより
本発明のボンド軟磁性体を形成し得る。また、本発明の
ボンド軟磁性体における軟磁性粉末粒子と樹脂結合材の
配合比率、ボンド軟磁性体の成形条件等は限定されるも
のではなく、前述した通り、密度が6.9g/cc以上
で、24℃における飽和磁束密度Bsが15kG以上で
あり、かつ25℃における電気抵抗率が0.2〜1.0
Ωcmの範囲にあるとともに、1kHzにおける実効透
磁率μが150以上であるボンド軟磁性体を実現可能な
適宜の製造条件を選択可能である。
【0034】本発明の点火コイルにおいて永久磁石を用
いた場合、永久磁石を用いずに従来のボンド軟磁性体製
磁心のみを配置した点火コイルに比較して約40%の重
量比率で同等の点火(火花エネルギーの発生)を行うこ
とができ、小型軽量化が可能である。また、上記図9の
永久磁石を用いない本発明の点火コイルにおいても、永
久磁石を用いない従来のボンド軟磁性体製の磁心からな
る点火コイルに比べて、高効率でかつ高出力のものを提
供可能である。
【0035】上記実施例では希土類磁石を用いた例を記
載したが、他の公知の永久磁石を用いてもよい。
【0036】
【発明の効果】本発明のボンド軟磁性体は、その製造工
程において、上記の特長ある加熱硬化処理を行うことに
よって、樹脂結合材の劣化を抑えて緻密化を促進しなが
ら成形時に発生する鉄及び/又は鉄基軟磁性合金粉末粒
子の歪を除去できるので、高い電気抵抗率、高いμ、高
いBsを有した優れたものであり、例えば車両用内燃機
関の点火コイルや、トランス用コア、スピーカ用磁気回
路のポールピース等に好適な極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボンド軟磁性体と永久磁石を組み合わ
せた点火コイルの基本的磁気回路の動作説明図である。
【図2】実施例及び比較例で得られたボンド軟磁性体の
磁束密度Bの磁場変化を示す。
【図3】結合材にフェノール樹脂を用いて500℃で硬
化した本発明のボンド軟磁性体の実効透磁率μの周波数
変化を示す。
【図4】結合材にエポキシ樹脂を用いて450℃で硬化
した本発明のボンド軟磁性体の実効透磁率μの周波数変
化を示す。
【図5】高温硬化を行わない場合の実効透磁率の周波数
変化を示す。
【図6】本発明のボンド軟磁性体のうち、結合材にフェ
ノール樹脂を用いAr中500℃で硬化したもののヒス
テリシス損失Phvおよび渦電流損失Pevの周波数変
化を示す。
【図7】本発明の点火コイルの一態様を示す要部断面図
である。
【図8】本発明の点火コイルの他の態様を示す要部断面
図である。
【図9】本発明の点火コイルのさらに他の態様を示す要
部断面図である。
【図10】本発明の点火コイルを構成する磁心部の一態
様を示す要部断面図である。
【図11】本発明の点火コイルのさらに他の態様を示す
要部断面図である。
【符号の説明】
1、1a,1b、11,11a,21,21a,51,
51a,61,61a’、61’ ボンド軟磁性体から
なる磁心、2,12,52,62,62’ 永久磁石、
3,63 一次コイル、4,64 二次コイル、10,
68,68’空隙、15,25 穴、20,30,4
0,100 点火コイル、50 磁心部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性粉末と樹脂結合材とからなるとと
    もに、不活性ガス雰囲気において、(前記樹脂結合材の
    空気中における重量減少速度が毎分1%に達する温度ー
    100℃)から(前記樹脂結合材の空気中における重量
    減少速度が毎分1%に達する温度+300℃)までの温
    度域に加熱保持されて形成されたことを特徴とするボン
    ド軟磁性体。
  2. 【請求項2】 軟磁性粉末と樹脂結合材とからなるとと
    もに、空気中において、(前記樹脂結合材の空気中にお
    ける重量減少速度が毎分1%に達する温度ー100℃)
    から(前記樹脂結合材の空気中における重量減少速度が
    毎分1%に達する温度+100℃)までの温度域に加熱
    保持されて形成されたことを特徴とするボンド軟磁性
    体。
  3. 【請求項3】 100メッシュアンダーの鉄及び/又は
    鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結合材とからなる
    ボンド軟磁性体であって、 6.9g/cc以上の密度を有するとともに、24℃に
    おける飽和磁束密度Bsが15kG以上であり、さらに
    25℃における電気抵抗率が0.2〜1.0Ωcmの範
    囲にあり、かつ1kHzにおける実効透磁率μが150
    以上であることを特徴とするボンド軟磁性体。
  4. 【請求項4】 前記樹脂結合材が熱硬化性樹脂を主とし
    て構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載のボンド軟磁性体。
  5. 【請求項5】 100メッシュアンダーの鉄及び/又は
    鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結合材とからなる
    ボンド軟磁性体製の磁心と、前記磁心に巻回されて通電
    される励磁用の一次コイルと、前記磁心に巻回されて一
    次コイルの通電電流の遮断により電磁誘導出力を発生さ
    せる二次コイルとを備えた点火コイルであって、 前記磁心が6.9g/cc以上の密度を有するととも
    に、24℃における飽和磁束密度Bsが15kG以上で
    あり、さらに25℃における電気抵抗率が0.2〜1.
    0Ωcmの範囲にあり、かつ1kHzにおける実効透磁
    率μが150以上であることを特徴とする点火コイル。
  6. 【請求項6】 100メッシュアンダーの鉄及び/又は
    鉄基合金の軟磁性球状粉末粒子と樹脂結合材とからなる
    とともに一部に設けられた空隙部を介して閉磁路を形成
    したボンド軟磁性体製の磁心と、前記磁心に巻回されて
    通電される励磁用の一次コイルと、前記磁心に巻回され
    て一次コイルの通電電流の遮断により電磁誘導出力を発
    生させる二次コイルと、前記磁心の空隙部に配置されて
    一次コイルの通電による励磁極性と反対極性に磁化され
    た永久磁石とを備えた点火コイルであって、 前記磁心が6.9g/cc以上の密度を有するととも
    に、24℃における飽和磁束密度Bsが15kG以上で
    あり、さらに25℃における電気抵抗率が0.2〜1.
    0Ωcmの範囲にあり、かつ1kHzにおける実効透磁
    率μが150以上であることを特徴とする点火コイル。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006339525A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Alps Electric Co Ltd コイル封入圧粉磁心
JP2008172162A (ja) * 2007-01-15 2008-07-24 Denso Corp 点火コイル用の軟磁性体
JP2008171964A (ja) * 2007-01-11 2008-07-24 Hanshin Electric Co Ltd 内燃機関用点火コイル
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CN111886779A (zh) * 2018-03-30 2020-11-03 爱知制钢株式会社 电动机及励磁元件

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