JPH1033859A - ミシンおよびワーク搬送装置 - Google Patents

ミシンおよびワーク搬送装置

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JPH1033859A
JPH1033859A JP19345896A JP19345896A JPH1033859A JP H1033859 A JPH1033859 A JP H1033859A JP 19345896 A JP19345896 A JP 19345896A JP 19345896 A JP19345896 A JP 19345896A JP H1033859 A JPH1033859 A JP H1033859A
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JP
Japan
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ring
work
moving
shaped electrode
rotating
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JP19345896A
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Masaru Saito
勝 斉藤
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Juki Corp
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Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、どの様な模様を加工する場合で
も、その加工方向と加工手段の向きとを適正な向きにし
たまま、連続して加工することの出来るミシンおよびワ
ーク搬送装置を提供する。 【解決手段】 ワークWを加工する加工手段N,M3
と、ワークWをXY平面上に保持する保持手段50と、
前記XY平面のX方向およびY方向に対して前記加工手
段N,M3と保持手段50との位置を相対的に移動可能
にするXY移動手段30と、前記XY平面に略垂直な軸
を中心とする回転方向に対して、前記加工手段N,M3
と保持手段50との相対的な向きを障害なく何回転でも
回転可能にする無制限回転手段10とを備えたミシンM
およびワーク搬送装置100である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ワークを加工す
る加工手段と、ワークをXY平面上に保持する保持手段
と、前記加工手段あるいは前記保持手段をXY方向に移
動させる移動手段とを備えたミシンおよびワーク搬送装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、XY移動機構によってワーク
或はワークを加工する加工手段をXY両方向へ移動させ
るミシンとして、例えば、所定の模様を縫うための模様
縫いミシンや、布団綴じに使用される工業用ミシン等が
知られている。この内、模様縫いミシンでは、ミシン針
および釜(加工手段)を固定させておく一方、被縫製物
(ワーク)をXY移動機構によってXY両方向へ移動さ
せるようにして、被縫製物にXY方向に広がる模様を縫
製することが可能になっている。また、布団綴じに使用
される工業用ミシン(例えば、実公昭60−16372
号に開示の布団等のミシン装置)では、被縫製物の方を
固定させておく一方、ミシンの上機構と下機構とを別体
に設けると共にこれら上機構と下機構とを同調させてX
Y両方向へ移動可能にし、それにより、布団等の被縫製
物にXY方向の縫製を行うことが可能になっている。
【0003】しかしながら、このようなXY移動機構を
用いた技術においては、ワークの搬送方向によってはき
れいな縫い目が形成されないことがあり、それにより、
縫製品質の低下を招くという問題があった。例えば、図
12〜図14に示すように、ワークをA方向、すなわ
ち、縫い針Nに形成された糸通し孔Naと対向する位置
において回転釜Kのモーメントに並行な方向(以下、こ
の方向を正送り方向と称す)へ搬送した場合には、上糸
I1と下糸I2とが適正に結接され、縫い目端部の揃っ
たきれいな縫い目(パーフェクトステッチ)が形成され
る(図13(a),図14(a)参照)。しかし、ワー
クをB方向(逆送り方向と称す)あるいは、B方向の傾
斜方向へ移動させた場合には、上糸ループが撚れた状態
で下糸と結接され、前後の縫い目の端部にずれの生じ
る、いわゆるヒッチステッチが形成されることがある
(図13(b),図14(b)参照)。このようなヒッ
チステッチが形成されると、模様の外観が著しく損なわ
れ、品質の低下を招くという問題が発生する。また、ヒ
ッチステッチを継続させて形成した場合には、糸切れが
発生するという問題点もあった。
【0004】このような問題点を解決するため、本出願
人は、先に、縫い針の昇降経路を中心として回動する回
動台に、ワークを保持するXY移動機構を取り付けた、
模様縫いミシンのワーク搬送装置(特開平5−2772
698号)を提案した。このような模様縫いミシンのワ
ーク搬送装置によれば、針落ちデータに基づいてXY移
動機構がX,Y両方向に移動すると共に、ワークの縫目
の形成方向がヒッチステッチが形成される領域にくると
判断されると、ワークの縫い目の形成方向が上述した正
送り方向と一致するように回動台が所定角度回転され
て、ヒッチステッチが形成されないようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
模様縫いミシンのワーク搬送装置では、回動台にXY駆
動機構の駆動モーターやワークを保持するための電磁石
等が設けられ、その配線等によって回動台の回転範囲に
は制限があり、事実上180度程度の回転しか出来ない
のが現状である。従って、例えば、縫いパターンが渦巻
き模様のような場合では、回動台を同方向へ複数回転さ
せる必要があったため、上記の技術では縫製することが
出来ないという問題があった。また、このような問題を
回避する方法として、縫い目がヒッチステッチ領域を通
過した後、回動モーターを逆回転させて回動台を回動前
の位置に復帰させるようにすることで、渦巻模様のよう
な縫いパターンも縫製可能としたものもあるが、このよ
うな方法では、回動モーターを逆回転させている間、縫
製を一旦停止させなければならないという問題が生じ
る。
【0006】この発明は、上記問題点を解決するためな
されたもので、どの様な模様を加工する場合でも、その
加工方向と加工手段の向きとを適正な向きにしたまま、
連続して加工することの出来るミシンおよびワーク搬送
装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、ワークを加工する加工手段
と、前記ワークをXY平面上に保持する保持手段と、前
記XY平面のX方向およびY方向に対して前記加工手段
と保持手段との位置を相対的に移動可能にするXY移動
手段と、前記XY平面に略垂直な軸を中心とする回転方
向に対して、前記加工手段と保持手段との相対的な向き
を障害なく何回転でも回転可能にする無制限回転手段と
を備えたミシンを構成としている。
【0008】この請求項1記載の発明によれば、ワーク
とワークを加工する加工手段とがXY移動手段によって
X,Y両方向に相対的に移動可能なので、ワークの加工
位置をXY方向に自由に取ることが出来る。更に、ワー
クと加工手段との相対的な向きが無制限回転手段によっ
てワーク面に略垂直な軸を中心に障害なく何回転でも回
転可能なので、ワークの加工方向に対する加工手段の向
きを、常に連続して、適正な向きに保ち続けることが出
来る。従って、例えば渦巻状の模様を縫製(加工)する
場合、従来では、ワークを回動させる回動機構に回転角
度の制限があって縫製できなかったり、縫製を一時停止
して回動機構を逆回転させなくてはいけなかったのに対
して、この発明によれば、加工手段を適正な向きにした
まま連続して加工を行うことが出来る。それにより、縫
製物の生産性が大幅に向上する。
【0009】具体的には、ワークを加工する加工手段と
は、例えば、被縫製物を縫製するミシンの上機構(ミシ
ン針、天秤、駆動機構など)並びに下機構(釜、ルーパ
ー、駆動機構など)等のことであり、その他、布等を切
断するカッターやレーザー等も含まれる。また、上記の
XY移動手段は、前記加工手段と保持手段とを相対的に
移動可能にすれば良く、例えば、加工手段を固定する一
方、保持手段をXY移動手段に取り付けたり、加工手段
をXY移動手段に取り付ける一方、保持手段を固定した
り、或は、加工手段および保持手段の両方を別個のXY
移動手段に取り付けたりして達成される。XY移動手段
は、XY方向に移動可能なXY移動機構、並びに、X方
向およびY方向に駆動させるXモーターおよびYモータ
ーなどの電動機から構成される。また、上記の無制限回
転手段は、前記加工手段と保持手段との相対的な向きを
上記のように回転可能にすれば良く、例えば、保持手段
はそのままで加工手段を無制限回転手段に取り付けた
り、保持手段を無制限回転手段に取り付けて加工手段は
そのままにしたり、或は、加工手段と保持手段との両方
をそれぞれ別個の無制限回転手段に取り付けたりして達
成される。また、加工手段や保持手段がXY移動手段に
取り付けられている場合には、そのXY移動手段を無制
限回転手段に取り付けても良いし、或いは、加工手段や
保持手段を無制限回転手段に取り付けて、その無制限回
転手段をXY移動手段に取り付けるようにしても良い。
上記の無制限回転手段は、前記XY平面にほぼ垂直な軸
を中心に回動可能な回動機構、この回動機構を駆動させ
るモーターなどの電動機などから構成される。また、こ
の無制限回転手段に取り付けられる手段に電気装置が含
まれる場合には、回動機構の外側に回転方向に沿ったリ
ング状の電極を設けて、このリング状の電極に前記電気
装置を電気的に接続して回動機構と共に回転させ、その
リング状の電極に絶えず接触するように設けた接触端子
によって外部から電流を流すようにする、いわゆるスリ
ップリング構造の配線構造を適用すれば良い。また、加
工手段を無制限回転手段に取り付けるとして、例えばミ
シンの針と釜のように、加工手段が上機構と下機構との
ように保持手段の上下に別れて設けられている場合に
は、それら加工手段の上機構と下機構との加工上の駆動
(例えばミシン針の昇降や釜の回転)を独立駆動とし、
ベルトやプーリーにより保持手段の外側を介してそれら
上機構と下機構との加工上の駆動を同調させたり、或
は、電気的な制御によって同調させるようにした上で、
それら上機構と下機構の両方をそれぞれ別体の無制限回
転手段に取り付け、それら別体の無制限回転手段をベル
トやプーリーにより保持手段の外側を介してそれら上機
構と下機構との回転駆動を同調させたり、或は、電気的
な制御によって同調させるようにすれば良い。なお、加
工手段の上機構と下機構とを独立駆動とすることは、従
来例で記載した通り、公知の技術である。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
ミシンにおいて、前記無制限回転手段が、回転可能とす
る手段を取り付け回転駆動する円柱体と、上下方向に重
ねられるように前記円柱体に外嵌し前記回転可能とする
手段に電線を介して接続される複数のリング状電極と、
前記円柱体の回転中を通して前記リング状電極に接触し
外部から前記回転可能とする手段に通電する接触端子
と、前記リング状電極と対をなし該リング状電極と前記
円柱体との間に介設される複数のリング状のセパレータ
ーとを備え、セパレーターに、上下方向に重ねられたリ
ング状電極を分離させるつばと、これらリング状電極か
ら伸びる前記電線を円柱体とリング状電極との間を通し
て逃がす溝とが設けられている構成とした。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
のミシンにおいて、前記リング状電極に金メッキ処理を
行い、前記接触端子にカーボン導体を用いた構成とし
た。
【0012】請求項4記載の発明は、ワークをXY平面
上に保持する保持手段と、この保持手段を前記XY平面
のX方向およびY方向に対して移動可能にするXY移動
手段と、このXY移動手段を前記XY平面に略垂直な軸
を中心とする回転方向に対して障害なく何回転でも回転
可能にする無制限回転手段とを備えたワーク搬送装置を
構成としている。
【0013】この請求項4記載の発明によれば、例えば
ミシンや裁断機などの加工手段にこのワーク搬送装置を
取り付けてワークを加工する場合に、ワークを保持する
保持手段がXY移動手段によってX,Y両方向に移動可
能なので、ワークの加工位置をXY方向に自由に取るこ
とが出来る。更に、そのXY移動手段が無制限回転手段
によってワーク面に略垂直な軸を中心に障害なく何回転
でも回転可能なので、加工手段の向きを自由に回転させ
て、ワークの加工方向に対する加工手段の向きを、常に
連続して、適正な向きに保ち続けることが出来る。従っ
て、例えば加工手段により渦巻状の模様を縫製(加工)
する場合、従来では、ワークを回動させる回動機構に回
転角度の制限があって縫製できなかったり、縫製を一時
停止して回動機構を逆回転させなくてはいけなかったの
に対して、この発明によれば、加工手段を適正な向きに
したまま連続して加工を行うことが出来る。それによ
り、縫製物の生産性が大幅に向上する。また、保持手段
をXY移動手段に取り付け、このXY移動手段を無制限
回転手段に取り付けているので、複雑な構成(ミシンの
上機構と下機構の独立駆動など)を必要とせず、単純な
構成で実現可能である。また、ワークの搬送装置を単体
として構成できるので、例えばミシンや裁断機などの加
工手段と別体にした上で、着脱可能にすることも出来
る。
【0014】具体的には、上記のXY移動手段は、XY
方向に移動可能なXY移動機構、並びに、X方向および
Y方向に駆動させるXモーターおよびYモーターなどの
電動機から構成される。また、上記の無制限回転手段
は、前記XY平面にほぼ垂直な軸を中心に回動可能な回
動機構、この回動機構を駆動させるモーターなどの電動
機、前記Xモーター、Yモーターおよび前記保持手段の
電動機等に回転に障害なく通電させるための、上述した
スリップリング構造の配線構造などから構成される。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項4記載の
ワーク搬送装置において、前記無制限回転手段が、回転
可能とする手段を取り付け回転駆動する円柱体と、上下
方向に重ねられるように前記円柱体に外嵌し前記回転可
能とする手段に電線を介して接続される複数のリング状
電極と、前記円柱体の回転中を通して前記リング状電極
に接触し外部から前記回転可能とする手段に通電する接
触端子と、前記リング状電極と対をなし該リング状電極
と前記円柱体との間に介設される複数のリング状のセパ
レーターとを備え、セパレーターに、上下方向に重ねら
れたリング状電極を分離させるつばと、これらリング状
電極から伸びる前記電線を円柱体とリング状電極との間
を通して逃がす溝とが設けられている構成とした。
【0016】この請求項5および上記の請求項2に記載
の発明によれば、回転可能にする或る手段を、回転駆動
する円柱体に取り付け、この手段と電気的に接続された
リング状電極を前記円柱体に外嵌し、この円柱体の回転
中を通して、接触端子がリング状電極に接触して外部か
ら通電を行うので、円柱体に取り付けた手段に通電した
まま、配線等の障害なく、何回転でも、円柱体に取り付
けられた手段を回転させることができる。また、そのリ
ング状電極が複数設けられているので、そのリング状電
極分の配線を取ることが出来る。更に、リング状電極と
円柱体との間にセパレーターが介設され、このセパレー
ターには上下方向に重ねられたリング状電極を分離させ
るつばが設けられているので、このつばによって、上下
のリング状電極を確実に絶縁することが出来ると共に、
上下のリング状電極の電気的な干渉を防ぐことが出来
る。また、上記のセパレーターには、リング状電極から
伸びる電線を円柱体とリング状電極との間を通して逃が
す溝が設けられているので、この溝に電線を通してリン
グ状電極と円柱体に取り付けた前記手段とを配線できる
上、前記円柱体が回転する際に、この溝に通された電線
がセパレーターに引っかかるので、前記円柱体の回転に
伴ってセパレーターとリング状電極とが共に回転するこ
とになる。従って、円柱体にセパレーターとリング状電
極とを組み付ける際に、接着剤等による接着固定を必要
とせず、円柱体にセパレーターを介してリング状電極を
順に外嵌していくだけで組み付けられ、その組み付け作
業の作業性が向上したものになっている。
【0017】具体的には、上記の円柱体は、内部を空洞
にした筒状のものでも良い。上記のセパレーターは、例
えば工業用プラスチックなど、絶縁性を有し成形しやす
い材料により容易に形成可能である。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
のワーク搬送装置において、前記リング状電極に金メッ
キ処理を行い、前記接触端子にカーボン導体を用いた構
成とした。
【0019】この請求項6および上記の請求項3に記載
の発明によれば、摺動接触をしているリング状電極に金
メッキ処理をほどこし、接触端子をカーボン導体とした
ので、抵抗値を低くおさえ、リング状電極の表面にでき
る酸化膜を防止し、耐久性を向上させることが出来る。
【0020】具体的には、上記の金メッキは、純金メッ
キから銅などの不純物を含ませた硬質金メッキまで、そ
の金の純度には制限されるものでないが、硬質メッキと
することで耐久性を大幅に向上させることが出来る。ま
た、カーボン導体は、黒鉛の単結晶からグラファイト繊
維を形状加工したものまで、カーボンを用いた導体であ
れば、どのような形体のものでも良い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図1〜図11の図面を参照しながら説明する。図
1は、この発明の実施の形態であるミシンMおよびワー
ク搬送装置100を示す側面図である。図2には、図1
のワーク搬送装置の部分斜視図を示す。この実施の形態
のミシンMは、ミシンMの加工手段(縫い針Nや釜K)
の方を固定しておき、ワーク(被縫製物)Wの方をワー
ク搬送装置100によってXY方向に移動可能で且つミ
シン針Nの昇降経路をほぼ中心に回転可能にしたもので
ある。このミシンMは、立体形状のワークを縫製可能な
ポスト型ミシンであり、ミシンベッドM2にワークを支
持するポストM3が立設されている。このポストM3内
には縫い針Nとの協働によって縫目を形成する回転釜K
(図2)およびこの回転釜Kを回転させる回転伝達機構
等が収容されている。ミシンMのアーム部M1には、縫
い針Nを昇降させる伝達機構や、ミシンMを駆動させる
ミシンモーターMMD(図7)、並びに、ミシンMやワ
ーク搬送装置100を制御する制御回路80(図7)等
が収容されている。
【0022】このミシンMのミシンベッドM2上には、
ポストM3を囲むように固定された取付台1が設けら
れ、この取付台1にワークを移動および回転させるワー
ク搬送装置100が取り付けられている。このワーク搬
送装置100は、ワークWを配線等の障害なく何回でも
回転可能にする回転手段10と、ワークWをX方向とY
方向の両方にスライド可能にするXY移動手段30と、
ワークWを保持する保持手段としてのクランプ部50と
から構成されている。クランプ部50は、図1のクラン
プ部50を示す部分平面図である図3(a)とその正面
図である図3(b)にも示すように、ワーク支持部5
1、ワーク支持板52、ワーク固定枠53、および、ソ
レノイド55等から構成されている。ワーク支持板52
は、中央の縫製範囲をくり抜いて形状に形成され、ワー
ク支持部51の上に取り付けられている。このワーク支
持板52の下にはソレノイド55が取り付けられてお
り、また、このソレノイド55のシャフト55aにはワ
ーク固定枠53が昇降可能な状態で取り付けられてい
る。そして、このソレノイド55を作動させて、ワーク
固定枠53を昇降させることにより、ワーク支持板52
とワーク固定枠53との間にワークを挟み、ワークWを
縫い針Nの昇降経路と直交し、且つ、前記ポストM3の
上面と同一の高さとなるXY平面(水平面)上に保持し
得るようになっている。
【0023】XY移動手段30は、回動台31、X移動
台33、X移動用モーター34、Y移動台37、およ
び、Y移動用モーター38等から構成されている。これ
ら回動台31、X移動台33およびY移動台34は、そ
れぞれポストM3を囲む矩形の枠体状に形成されてい
る。X移動台33は、回動台31に設けられたレール部
5a,5bに直動型ベアリング6a,6bを介して取り
付けられており、X方向へ移動可能になっている。Y移
動台37は、X移動台33に設けられた図示しないレー
ル部に直動型ベアリングを介して取り付けられており、
Y方向へ移動可能になっている。そして、このY移動台
37にクランプ部50のワーク支持部51が固定されて
いる。なお、X方向およびY方向とは、ワークを保持し
ているXY平面上において直交する2方向を示してい
る。
【0024】回動台31のX方向に沿った2隅には、そ
れぞれプーリー(図示略)とX移動用モーター34が取
り付けられ、このX移動用モーター34の回動シャフト
にはプーリー34aが固定されている。これらX方向に
沿った2つのプーリー(図示略のプーリーとプーリー3
4a)にはタイミングベルト35が掛け渡されていて、
このタイミングベルト35に上記のX移動台33が固定
されている。そして、X移動用モーター34を作動させ
ることにより、タイミングベルト35がX方向に沿って
移動して、X移動台33がX方向に移動するようになっ
ている。同様に、X移動台33のY方向に沿った2隅に
は、それぞれプーリー(図示略)とY移動用モーター3
8が取り付けられ、このY移動用モーター38の回動シ
ャフトにはプーリー38aが固定されている。これらY
方向に沿った2つのプーリー(図示略のプーリーとプー
リー38a)にはタイミングベルト39が掛け渡されて
いて、このタイミングベルト39に上記のY移動台37
が固定されている。そして、Y移動用モーター38を作
動させることにより、タイミングベルト39がY方向に
沿って移動して、Y移動台37がY方向に移動するよう
になっている。また、回動台31には、X移動台33の
移動が限界に来たことを検知するセンサー(図示略)が
設けられ、同様に、X移動台33にはY移動台37の移
動が限界に来たことを検知するセンサー(図示略)が設
けられている。
【0025】回転手段10は、回動軸受け11、回動プ
ーリー12、筒状体13、リング状電極15,15…、
接触配線17,17…,20,20…、固定台19,2
2、回動用ローラー25、および、タイミングベルト2
6等から構成され、配線等の障害なく、この回転手段1
0に取り付けられたXY移動手段30やクランク部50
に外部から通電したまま、一方向に何回でも回転可能に
なっている。図4には、この回転手段10の筒状体13
から上の部分を示す分解斜視図を、図5にはリング状電
極15およびセパレーター16等の分解斜視図を、図6
には筒状体13にリング状電極15とセパレーター16
等を組み付けた状態の部分断面図を示す。回動軸受け1
1は環状の軸受けで、縫い針Nの昇降経路を中心に取付
台1に取り付けられている。回動プーリー12はこの回
動軸受け11の外周面にベアリングを介して取り付けら
れ、この回動プーリー12の上面に筒状体13が固定さ
れている。また、この回動プーリー12と、回動用モー
ター25の回動シャフトに固定されたプーリー25aと
の、2つのプーリーにはタイミングベルト26が掛け渡
され、この回動用モーター25を作動させることによ
り、回動プーリー12および筒状体13が回転するよう
になっている。この筒状体13の上部には、XY移動手
段30の回動台31が固定されている。
【0026】筒状体13はポストM3を囲むように中空
円筒状に形成されている。図4〜図6にも示すように、
この筒状体13には、一番下にスペーサー14が外嵌さ
れ、その上に複数のリング状電極15,15…がそれぞ
れスペーサー16,16…を介して外嵌されている。こ
れらリング状電極15,15…は環状に形成された導体
で、その外周面には硬質金メッキ処理が施され、内周面
にはリード線24,24…がそれぞれ接続されている。
これらリード線24,24…がそれぞれXY移動手段3
0に取り付けられたX移動用モーター34、Y移動用モ
ーター38および前述のセンサー、並びに、クランク部
50のソレノイド55に配線接続されている。セパレー
ター16,16…は、それぞれのリング状電極15,1
5…と対をなすリング状のもので、リング状電極15,
15…の内側に嵌合すると共に筒状体13の外側に外嵌
するようになっている。これらセパレーター16,16
…には、上下のリング状電極15,15に間隔を設ける
ためのつば16mと、リング状電極15,15…から伸
びるリード線24,24…を通す溝16nとが形成され
ている。
【0027】その内、つば16mは、例えば、セパレー
ター16,16…の下側を径方向に延出させた円形のも
ので、リング状電極15をセパレーター16に嵌めたと
きに、このつば16mの外周側がリング状電極15より
も径方向に若干飛び出す大きさになっている。この飛び
出した部分が、後述する接触配線17,20の接触部分
18,21をリング状電極15に摺接させたときに、そ
の接触部分18,21のガイドとなって、接触部分1
8,21の位置がリング状電極15からずれないように
なっている。なお、つばを設ける位置およびその形状
は、図示例のものに限られず、適宜変更可能である。ま
た、上下のセパレーター16,16に突出片と係合溝と
をそれぞれ設け、それら係合によって一連のセパレータ
ー16,16…が伴って回転し空回転が起こらないよう
にしても良い。また、溝16nは、例えば、セパレータ
ー16の縦方向に、つば16mの部分を除いてスリット
状に設けられたものである。この溝16nがつば16m
の部分には設けられてないことから、セパレーター16
の形状の歪みが防止されるようになっている。これらセ
パレーター16,16…は、例えば工業用プラスチック
など、絶縁性と強度を有し成形容易な部材から形成され
ている。筒状体13の下側に外嵌しているスペーサー1
4は、回動プーリー12とリング状電極15,15…と
の間に間隔を設けると共に、リング状電極15を回動プ
ーリー12等から絶縁させるためのものである。このス
ペーサー14には突出片14aが形成されており、この
突出片14aがその上のセパレーター16の溝16nと
係合して、筒状体13が回転したときにそのセパレータ
ー16が空回転しないようになっている。このスペーサ
ー14は、例えば工業用プラスチックなど、絶縁性と強
度を有し成形容易な部材から形成され、筒状体13に例
えば接着剤等により接着固定されている。
【0028】接触配線17…,20…は、板バネの一端
に直方体状の接触部材18…,21…を取り付け、その
接触部材18…,21…の一面(リング状電極16,1
6…へ接触される面)に接触端子としてのカーボンブラ
シ(図示略)が取り付けられて構成される。カーボンブ
ラシは導電性を有すグラファイト繊維をブラシ状に加工
したもので、このカーボンブラシにミシンM本体側の制
御回路80からのリード線が配線接続されている。そし
て、このカーボンブラシ18…,21…をリング状電極
15,15…に軽く押圧した状態で、板バネの他端側が
固定台19,22に取り付けられ、それにより、リング
状電極15,15…が回転する間中、カーボンブラシ1
8…,21…が板バネの付勢によりリング状電極15,
15…に接触(電気的接触)するようになっている。固
定台19,22はミシンベッドM2上に固定されてい
る。なお、接触端子をリング状電極15,15…に接触
させる構造は、接触端子(カーボンブラシ18…,21
…)をスプリングバネ等を介して板材に取り付け、この
スプリングバネにより接触端子を付勢して絶えずリング
状電極15,15…に接触させるようにしても良い。
【0029】これら接触配線17…,20…は、1つの
リング状電極15に対して2つの接触配線17,20が
接触するように構成され、これら2つの接触配線17,
20は電気的に接続されたものになっている。このよう
な構成により、接触配線17又は20の飛びによる瞬間
的な断線が、他方の接触配線17又は20によってカバ
ーされるようになっている。また、接触配線17…,2
0…の板ばねは、その取付け側の幅を広くしてL字形に
形成されており、その幅がある側を外側にして細い側を
2つ並べ、その幅のある側を固定台19,22に取り付
けている。同様に、もう2つ板ばねも1組にして、長さ
を変えて固定台19,22に取り付けている。このよう
にすることで、幅のない所に幾つもの接触配線が取り付
けられるようになっている。また、固定台19,22と
接触配線17…,20…の板ばねとは、絶縁体のスペー
サーをはさむことによりそれぞれ電気的に絶縁されてい
る。上述してきたように、この回転手段10によれば、
回動用ローラー25の作動によって筒状体13がタイミ
ングベルト26を介して回転可能になっていると共に、
その回転中を通して接触配線17,17…,20,20
…がリング状電極15,15…に接触して、この回転手
段10に取り付けられたXY移動手段30やクランク部
50に外部から通電を行い、配線等の障害もなく、外部
からの通電を行ったまま、一方向に何回でも回転可能に
なっている。
【0030】図7には、ミシンMの本体内部に設けられ
ミシンMの駆動制御およびワーク搬送装置100の駆動
制御を行う制御回路80の概略図を示す。この制御回路
80は、CPU82、図示しないRAM、ROMおよび
入出力ポート、並びに、ミシンモーター駆動回路MM
D、モーター駆動回路85,86,87、電磁石駆動回
路88等から構成されている。ミシンモーター駆動回路
MMDは、CPU82からの信号を受けて、ミシンモー
ターMMにその入力信号に応じて図示しない電源から駆
動電流を出力させるものである。モーター駆動回路8
5,86,87は、それぞれCPU82からの信号を受
けて、X移動用モーター34、Y移動用モーター38、
回転用モーター25にその入力信号に応じた量のパルス
信号をそれぞれ出力するものである。それにより、X移
動用モーター34、Y移動用モーター38、回転用モー
ター25の回転量が制御されるようになっている。電磁
石駆動回路88は、CPU82からの信号に基づいてク
ランク部50のソレノイド(ワーク保持電磁石)55に
駆動電流を流す回路である。XY移動手段30のセンサ
ー40は図示しない入出力ポート等を介してCPU82
に接続されている。
【0031】これらモーター駆動回路85とX移動用モ
ーター34とを接続する配線、モーター駆動回路86と
Y移動用モーター38とを接続する配線、電磁石駆動回
路88とワーク保持電磁石55とを接続する配線、並び
に、CPU82とセンサー40とを接続する配線が、接
触配線17d〜a,20d〜a、リング状電極15d〜
aおよびリード線24d〜a等によりそれぞれ構成され
ている。CPU82は、図示しないRAMを作業領域に
しROM中に書き込まれたプログラムに従って演算処理
をしたり、入出力ポートからセンサー40の検出信号を
入力する処理、ミシン駆動回路MMD、モーター駆動回
路85〜87、電磁石駆動回路88に制御信号を出力す
る処理を行う。RAM(図示略)中には、縫製する模様
の針落ち位置のデータ等が記憶されている。ROM(図
示略)中には、RAM中に書かれた模様縫いの針落ち位
置のデータに基づき、縫製方向を正送り方向にするため
の演算プログラムや、センサー40からの信号を入力し
たり、ミシン駆動回路MMD、モーター駆動回路85〜
87、電磁石駆動回路88に演算処理に基づく制御信号
を出力させるためのメインプログラム等が書き込まれて
いる。
【0032】この実施の形態のミシンMおよびワーク搬
送装置100は、上記のように構成され、その障害なく
何回でも回転可能な回転手段10と、XY方向に移動可
能なXY移動手段30等により、以下のようにして、ヒ
ッチステッチの発生を防ぎ、縫製をストップすることな
く、全ての縫目にパーフェクトステッチを形成すること
が可能なようになっている。先ず、図8に、パーフェク
トステッチ領域とヒッチステッチ領域との説明図を示
す。縫い目の端部がきれいに揃ったパーフェクトステッ
チ(図13(a),図14(a)参照)と、上糸ループ
が撚れた状態で下糸と結接され前後の縫い目の端部にず
れの生じるヒッチステッチ(図13(b),図14
(b)参照)とが、形成される領域は次の通りである。
すなわち、針Nの針孔Naの向きに対してワークWがほ
ぼ直角方向で且つ回転釜Kのモーメントに並行な方向
(図中のA方向、即ち正送り方向)に進む場合にはパー
フェクトステッチが形成され、その逆方向(図中のB方
向)に進む場合にはヒッチステッチが発生する。しかし
ながら、パーフェクトステッチとヒッチステッチはワー
クの進行方向が必ずしもA、B方向と一致する方向のみ
で形成されるのではなく、図中における、A方向の基点
0を中心とするAα1からAα2の角度範囲θPではパ
ーフェクトステッチが形成され、この領域以外のB方向
の基点0を中心とするAα1からAα2の角度範囲θH
(斜線部)ではヒッチステッチが発生することが実験的
に知られている。
【0033】図9には、具体的な模様パターンにおけ
る、パーフェクトステッチ領域とヒッチステッチ領域と
の説明図を示す。図中、XY平面はクランク部50に保
持されたワーク面であり、縫い針Nの昇降経路と直交す
る平面となっている。X軸方向はX移動台33が移動す
る方向、X軸と直交するY軸方向はY移動台37が移動
する方向、(X0,Y0)は前記座標の原点を表してい
る。上記のパーフェクトステッチ領域およびヒッチステ
ッチ領域のことを図9の具体的な模様パターンにおいて
説明すれば、縫い針Nが、順次、針落ち点(X1,Y
1),(X2,Y2),(X3,Y3)‥‥(Xm,Y
m)‥‥(Xn,Yn)‥‥に落ちていき、且つ、図9
中のAB方向に対する縫い針Nの向きが、図8のものと
同じで、変更されないとすれば、点(Xn,Yn)と点
(Xm,Ym)間の曲線部でヒッチステッチが発生し、
その他の部分ではパーフェクトステッチが形成されるこ
とになる。
【0034】従来の、XY移動手段および回動手段を備
えたミシンにおいては、回動手段の回転角度に制限があ
ったため、このような場合、例えばヒッチステッチ領域
に来たときに回動手段を回動させて補正を行い、ヒッチ
ステッチ領域を過ぎたときに回転手段を逆に回動させて
その向きを元に戻すようにしている。すなわち、縫い針
Nを、順次、針落ち点(X1,Y1)‥‥に落としてい
くと共に、針落ち位置が点(Xn,Yn)に来たとき
に、回動手段を図中の時計回り方向へ90度回動させ、
針落ち位置が点(Xm,Ym)に来たときに、回動手段
を図中の反時計回り方向へ90度回動させて元に戻す。
それにより、針落ち点(X1,Y1),(X2,Y
2),(X3,Y3)‥‥(Xm,Ym)‥‥(Xn,
Yn)‥‥間の全ての縫い目においてパーフェクトステ
ッチが形成されていた。しかしながら、上記のように、
回動手段が大きく(例えば90度)回動するときには、
その回動動作に時間が掛かるため、一旦縫い動作を中止
する必要があった。
【0035】この実施の形態のミシンMにおいて、この
ような模様パターンを縫製するときには、先ず、制御回
路80のRAM中に記憶された上記の針落ち点(X1,
Y1)‥‥のデータに基づき、CPU82で演算処理が
行われ、常にパーフェクトステッチが形成されるよう
に、縫い針Nの1回の昇降動作毎における、X移動台3
3のX方向への移動位置、Y移動台37のY方向への移
動位置、回動台31の回動量がそれぞれ算出される。そ
の算出パターンは一通りではないが、例えば、X移動台
33の移動位置、および、Y移動台37の移動位置は、
順次、縫い針Nの針落ち位置と針落ち点(X1,Y1)
‥‥とが重なるように算出され、一方、回動台31の回
動量は、ワークの送り方向が常に正送り方向となるよう
に算出される。そして、上記の算出結果に基づき、縫い
針Nが昇降動作をする毎に、制御回路80からX移動用
モーター34、Y移動用モーター38および回動用モー
ター25に上記算出結果に応じた量のパルス信号が出力
され、それら算出結果に応じた量だけ、X移動台33、
Y移動台37および回動台31が移動あるいは回動を行
う。
【0036】すなわち、縫い針Nが、順次、針落ち点
(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)‥‥
(Xm,Ym)‥‥(Xn,Yn)‥‥に落ちていくと
共に、それら全ての針落ち点において、ワークの送り方
向が正送り方向となるように、回動台31が少量ずつ回
転する。従って、針落ち点(X1,Y1),(X2,Y
2),(X3,Y3)‥‥(Xm,Ym)‥‥(Xn,
Yn)‥‥間の全ての縫い目においてパーフェクトステ
ッチが形成されることは勿論のこと、更には、その全て
の針落ち点において、回動台31が少しずつ回動するの
で、回動のために縫い動作を止める必要がなく、なだら
かに縫製が行われる。この縫製動作では、その縫い始め
と縫い終わりで回動台31が一方向に240度程度回転
しており、従来のミシンでは不可能な動作である。
【0037】図10には、本発明のミシンの優位性が顕
著に現れる縫い模様の模式図を示す。本発明に係るミシ
ンの優位性が顕著に現れる例として、図10に示すよう
な渦巻き模様の縫製を挙げることが出来る。この模様の
縫製を、上記のような算出パターンを用いて行えば、回
動台31は少量ずつ回転して、その縫い始めから縫い終
わりにかけて、一方向に3回の回転を行うことになる。
そして、言うまでもなく全ての縫目でパーフェクトステ
ッチが形成され、更に、ワークの送り方向の変更のため
に縫い動作を止める必要なく、なだらかに縫製を行うこ
とが出来る。このような縫製は、従来のものでは不可能
である。なお、針落ちデータに基づく、縫い針Nの1回
の昇降動作が行われる毎の、X移動台33のX方向への
移動位置、Y移動台37のY方向への移動位置、回動台
31の回動量の算出方法は、上記した布の送りを常に正
送りにする算出パターンに限られず、例えば、パーフェ
クトステッチ領域がθP(図8)の角度範囲あることを
利用して、回動台31の回動量が全体的により少なくな
るように算出パターンを補正したり、適宜変更可能であ
る。
【0038】以上のように、この実施の形態のミシンM
およびワーク搬送装置100によれば、XY移動手段3
0によって、ワークの加工位置をXY方向に自由に取る
ことが出来ると共に、回転手段10によって、ワークの
送り方向に対する加工手段(縫い針Nおよび釜K)の向
きを、常に連続して、適正な向き(例えば正送り方向)
に保ち続けることが出来る。それにより、加工手段を適
正な向きにしたまま連続して加工を行うことが出来るの
で、縫製物の生産性が大幅に向上する。また、ワークの
向きを回転させる回転手段10は、その回転中を通し
て、接触配線17…,20…がリング状電極15,15
…に接触して外部からXY移動手段30およびクランク
部50に通電を行うことが出来るので、配線等の障害な
く、通電をしたまま、何回転でも、ワークの向きを回転
させることができる。また、そのリング状電極15,1
5…が複数設けられているので、そのリング状電極分の
配線を取ることが出来る。
【0039】更に、セパレーター16,16…に設けら
れたつば16m,16m…によって、上下のリング状電
極15,15を確実に絶縁することが出来ると共に、上
下のリング状電極15,15の電気的な干渉を防ぐこと
が出来る。また、セパレーター16,16…に溝16
n,16n…が設けられているので、その溝16n,1
6n…にリード線24,24…を通してリング状電極1
5,15と筒状体13に取り付けたXY移動手段30お
よびクランク部50とを配線することが出来る。また、
筒状体13が回転する際に、この溝16n,16n…に
通されたリード線24,24…がセパレーター16,1
6…に引っかかるので、筒状体13の回転に伴わせてセ
パレーター16,16…とリング状電極15,15…と
を共に回転させることが出来る。従って、筒状体13に
セパレーター16,16…とリング状電極15,15…
との組み付けが、筒状体13にセパレーター16,16
…を介してリング状電極15,15…を順に外嵌してい
くだけで組み付けられるので、接着剤等による接着固定
を必要とせず、その組み付け作業の作業性が向上したも
のになっている。また、摺動接触をしているリング状電
極15,15…の接触面に金メッキ処理をほどこし、接
触配線17…,20…の接触端子をカーボンブラシとし
ているので、抵抗値を低くおさえ、リング状電極の表面
にできる酸化膜を防止し、耐久性を向上させることが出
来る。
【0040】なお、本発明はこの実施の形態のミシンM
およびワーク搬送装置100に限られるものではなく、
例えば、この実施の形態では模様縫いを行うポスト型の
ミシンに適用したが、例えば、カッターやレーザー等を
用いて布の切断および加工を行う裁断機に適用しても良
い。図11には、レーザーの向きについて説明する模式
図を示す。レーザーの光の波の振動を進行方向に垂直な
面に対して見ると、(a)の円偏光、(b)の楕円偏
光、または(c)の直線偏光に分類できる。これらの
内、直線偏光の振動は、振動する向きが一定の方向でし
かないが、通過光量が最も多い。円偏光の振動は、振動
する向きがどの方向に対しても一様であるが、通過光量
は直線偏光の半分である。そのため、レーザーの向きを
適正なものに制御できるのであれば、直線偏光を用いて
加工したほうが効果的である。CO2レーザーのような
ガスレーザーの中には、(c)の直線偏光のものがあ
る。この直線偏光のレーザーを偏光フィルターを使用し
て円偏光に変換すると、通過光量が落ちる。そこで、本
発明を適用すれば、直線偏光のレーザーを使用して、ワ
ークの送り方向をレーザーの直線偏光面に対し常に一定
の方向を維持しながら加工できるので、高精度で効率の
良い加工が行える。
【0041】また、この実施の形態では、配線等の障害
なく何回でも回転可能な配線構造として、縦方向に積み
重ねられたリング状電極15,15…に接触配線17,
17…を接触させる構造を示したが、例えば、回動する
円盤に、径のことなる複数のリング状電極を回動の中心
点を同一にして取り付け、接触端子を放射線上に配置し
て、それらリング状電極と接触端子を接触させるように
しても、同様の効果が得られる。また、回動する方に接
触端子を設け、外部に固定する方にリング状の電極を配
置しても同様の効果が得られる。また、この実施の形態
では、加工手段(縫い針Nや釜K)の方を固定し、ワー
クの方をXY移動可能で且つ何回でも回転可能な構造に
したが、例えば、ワークの方をXY移動可能にし、加工
手段の方を何回でも回転可能な構造にしても、同様の効
果が得られる。また、ワークの方は固定し、加工手段の
方をXY移動可能で且つ何回でも回転可能な構造にして
も、同様の効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ワーク
の加工位置をXY方向に自由に取ることが出来ると共
に、ワークの加工方向に対する加工手段の向きを、常に
連続して、適正な向きに保ち続けることが出来る。従っ
て、例えば、従来では、渦巻状の模様を縫製(加工)す
る場合、ワークを回動させる回動機構に回転角度の制限
があって縫製できなかったり、縫製を一時停止して回動
機構を逆回転させなくてはいけなかったのに対して、こ
の発明によれば、加工手段を適正な向きにしたまま連続
して加工を行うことが出来る。それにより、縫製物の生
産性が大幅に向上する。また、例えば、直線偏光のレー
ザーを使用して、ワークを切断(加工)する場合、ワー
クの送り方向をレーザーの直線偏光面に対し常に一定の
方向を維持しながら加工できるので、高精度な加工を維
持しつつ効率良い加工が行える。
【0043】請求項4に記載の発明によれば、例えばミ
シンや裁断機等の加工手段にこのワーク搬送装置を取り
付けた場合、ワークの加工位置をXY方向に自由に取る
ことが出来ると共に、ワークの加工方向に対する加工手
段の向きを、常に連続して、適正な向きに保ち続けるこ
とが出来る。従って、加工手段を適正な向きにしたまま
連続して加工を行うことが出来るので、縫製物の生産性
が大幅に向上する。また、単純な構成で実現可能であ
り、例えばミシンや裁断機に着脱可能にすることも出来
る。
【0044】請求項2と請求項5に記載の発明によれ
ば、円柱体の回転中を通して、接触端子がリング状電極
に接触して外部から円柱体に取り付けられた手段に通電
を行うので、通電したまま、配線等の障害なく、何回転
でも、円柱体に取り付けられた手段を回転させることが
できる。また、そのリング状電極が複数設けられている
ので、そのリング状電極分の配線を取ることが出来る。
更に、セパレーターに設けられたつばによって、上下の
リング状電極を確実に絶縁することが出来ると共に、上
下のリング状電極の電気的な干渉を防ぐことが出来る。
また、セパレーターに溝が設けられているので、その溝
に電線を通してリング状電極と円柱体に取り付けた前記
手段とを配線できる。また、前記円柱体が回転する際
に、この溝に通された電線がセパレーターに引っかかる
ので、前記円柱体の回転に伴なわせてセパレーターとリ
ング状電極とを共に回転させることが出来る。従って、
円柱体にセパレーターとリング状電極とを組み付ける際
に、接着剤等による接着固定を必要とせず、円柱体にセ
パレーターを介してリング状電極を順に外嵌していくだ
けで組み付けられるので、その組み付け作業の作業性が
向上したものになっている。
【0045】請求項3と請求項6に記載の発明によれ
ば、摺動接触をしているリング状電極に金メッキ処理を
ほどこし、接触端子をカーボン導体としているので、抵
抗値を低くおさえ、リング状電極の表面にできる酸化膜
を防止し、耐久性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態であるミシンおよびワー
ク搬送装置を示す側面図である。
【図2】図1のワーク搬送装置の部分を示す部分斜視図
である。
【図3】図1のクランプ部の部分を示すもので、(a)
はその平面図、(b)は正面図である。
【図4】図1の回転手段の筒状体から上の部分を示す分
解斜視図である。
【図5】図4のリング状電極およびセパレーター等を分
離させた状態の分解斜視図である。
【図6】図4の筒状体にリング状電極とセパレーター等
を組み付けた状態を示す部分断面図である。
【図7】図1のミシンの本体内部に設けられミシンの駆
動制御およびワーク搬送装置の駆動制御を行う制御回路
の概略図である。
【図8】パーフェクトステッチ領域とヒッチステッチ領
域とを示す説明図である。
【図9】具体的な模様パターンにおいて、パーフェクト
ステッチ領域とヒッチステッチ領域とを説明する説明図
である。
【図10】本発明に係るミシンの優位性が顕著に現れる
縫い模様を示した模式図である。
【図11】レーザーの偏光の種類を示すもので、(a)
は円偏光を示す模式図、(b)は楕円偏光を示す模式
図、(c)は直線偏光を示す模式図である。
【図12】パーフェクトステッチの形成とヒッチステッ
チの発生を説明するため、ミシンの縫い針および釜とワ
ークの送り向きの関係を示した平面図である。
【図13】パーフェクトステッチ(a)およびヒッチス
テッチ(b)を示す断面図である。
【図14】パーフェクトステッチ(a)およびヒッチス
テッチ(b)を示す平面図である。
【符号の説明】
M ミシン N 縫い針 M3 ポスト K 釜 10 回転手段 13 筒状体 15 リング状電極 16 セパレーター 16n セパレーターの溝 16m セパレーターのつば 17 接触配線 18 接触部 25 回動用モーター 30 XY移動手段 33 X移動台 34 X移動用モーター 37 Y移動台 38 Y移動用モーター 50 クランク部(保持手段) 55 保持用ソレノイド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークを加工する加工手段と、 前記ワークをXY平面上に保持する保持手段と、 前記XY平面のX方向およびY方向に対して前記加工手
    段と保持手段との位置を相対的に移動可能にするXY移
    動手段と、 前記XY平面に略垂直な軸を中心とする回転方向に対し
    て、前記加工手段と保持手段との相対的な向きを障害な
    く何回転でも回転可能にする無制限回転手段とを備えた
    ことを特徴とするミシン。
  2. 【請求項2】 前記無制限回転手段は、 回転可能とする手段を取り付け回転駆動する円柱体と、 上下方向に重ねられるように前記円柱体に外嵌し前記回
    転可能とする手段に電線を介して接続される複数のリン
    グ状電極と、 前記円柱体の回転中を通して前記リング状電極に接触し
    外部から前記回転可能とする手段に通電を行う接触端子
    と、 前記リング状電極と対をなし該リング状電極と前記円柱
    体との間に介設される複数のリング状のセパレーターと
    を備え、 前記セパレーターには、上下方向に重ねられたリング状
    電極を分離させるつばと、これらリング状電極から伸び
    る前記電線を前記円柱体とリング状電極との間を通して
    逃がす溝とが設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記リング状電極には金メッキ処理がな
    され、 前記接触端子にはカーボン導体が用いられていることを
    特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 【請求項4】 ワークをXY平面上に保持する保持手段
    と、 この保持手段を前記XY平面のX方向およびY方向に対
    して移動可能にするXY移動手段と、 このXY移動手段を前記XY平面に略垂直な軸を中心と
    する回転方向に対して障害なく何回転でも回転可能にす
    る無制限回転手段とを備えたことを特徴とするワーク搬
    送装置。
  5. 【請求項5】 前記無制限回転手段は、 回転可能とする手段を取り付け回転駆動する円柱体と、 上下方向に重ねられるように前記円柱体に外嵌し前記回
    転可能とする手段に電線を介して接続される複数のリン
    グ状電極と、 前記円柱体の回転中を通して前記リング状電極に接触し
    外部から前記回転可能とする手段に通電を行う接触端子
    と、 前記リング状電極と対をなし該リング状電極と前記円柱
    体との間に介設される複数のリング状のセパレーターと
    を備え、 前記セパレーターには、上下方向に重ねられたリング状
    電極を分離させるつばと、これらリング状電極から伸び
    る前記電線を前記円柱体とリング状電極との間を通して
    逃がす溝とが設けられていることを特徴とする請求項4
    に記載のワーク搬送装置。
  6. 【請求項6】 前記リング状電極には金メッキ処理がな
    され、 前記接触端子にはカーボン導体が用いられていることを
    特徴とする請求項5に記載のワーク搬送装置。
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WO2015111099A1 (ja) 2014-01-27 2015-07-30 三菱電機株式会社 縫製物移動装置及びそのミシン
CN109706630A (zh) * 2019-01-29 2019-05-03 佛山职业技术学院 一种压紧旋转机构的气缸杆与旋转轴连接结构

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WO2015111099A1 (ja) 2014-01-27 2015-07-30 三菱電機株式会社 縫製物移動装置及びそのミシン
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