JPH10338187A - 浮体構造物の係留連結装置 - Google Patents

浮体構造物の係留連結装置

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JPH10338187A
JPH10338187A JP16527097A JP16527097A JPH10338187A JP H10338187 A JPH10338187 A JP H10338187A JP 16527097 A JP16527097 A JP 16527097A JP 16527097 A JP16527097 A JP 16527097A JP H10338187 A JPH10338187 A JP H10338187A
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JP
Japan
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mooring
floating
pile
floating body
mantle tube
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Application number
JP16527097A
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English (en)
Inventor
Takahiko Sasajima
隆彦 笹島
Tetsuya Hayakawa
哲也 早川
Naoki Nakazawa
直樹 中澤
Takashi Terajima
貴志 寺島
Kouichi Yamasumi
浩一 山角
Kazuya Azuma
一哉 東
Shoji Hamaoka
荘司 浜岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HOKKAIDO KAIHATSUKYOKU KAIHATS
HOKKAIDO KAIHATSUKYOKU KAIHATSU DOBOKU KENKYUSHO
NISHIMURAGUMI KK
OHOOTSUKU RIYUUHIYOU KAGAKU KE
OHOOTSUKU RIYUUHIYOU KAGAKU KENKYUSHO KK
Nishimura Gumi Co Ltd
Pacific Consultants Co Ltd
Original Assignee
HOKKAIDO KAIHATSUKYOKU KAIHATS
HOKKAIDO KAIHATSUKYOKU KAIHATSU DOBOKU KENKYUSHO
NISHIMURAGUMI KK
OHOOTSUKU RIYUUHIYOU KAGAKU KE
OHOOTSUKU RIYUUHIYOU KAGAKU KENKYUSHO KK
Nishimura Gumi Co Ltd
Pacific Consultants Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浮体式構造物を係留連結する方法として、水
底地盤などにアンカー、シンカーなどを係留鎖、係留索
などにより係留するなどの方法が行われている。しか
し、アンカー、シンカーなどを係留鎖、係留索などによ
り係留する方法では、波浪や潮汐流などにより、上下動
に加えて水平方向の移動が避けられないが、水平方向の
移動量を抑制することができない。 【解決手段】 頭頂部が水面4の下に没しているように
水底地盤1に植設された杭3の外周に取付けた可動体5
を介して、水面4の変動によっても杭3から外れない長
さを有する外套管6を嵌合させると共に、外套管6の頭
頂面6Bに係留支柱8を取付け、係留支柱8と浮体2と
を係留連結部分が可動となるように構成された係留部材
9でつなぎ止めてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮体式桟橋、浮体
式岸壁、浮体式物揚場など沿岸部、または港湾、漁港な
ど施設に隣接する浮体式構造物の係留・連結装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のものにあっては、下記の
ようなものになっている。従来、浮体式構造物を係留連
結する方法として、水底地盤などにアンカー、シンカー
などを係留鎖、係留索などにより係留する方法と、杭ま
たはドルフィンに係留する方法があり、各々の方法につ
いて幾多の発明や考案がなされてきた。本発明は、上記
のうち杭に係留する方法に属するもので、これまで行わ
れてきた方法の問題点を解決するためのものである。浮
体を杭または支柱などに係留する方法については、例え
ば実開昭56−146696号、特開昭61−2296
86号などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたも
のにあっては、下記のような問題点を有していた。 1.アンカー、シンカーなどを係留鎖、係留索などによ
り係留する方法では、波浪や潮汐流などにより、上下動
に加えて水平方向の移動が避けられなかったことから、
水平方向の移動量を抑制するものとして、杭またはドル
フィンなどに係留する方法が考案されてきたが、すべて
の杭の頭頂部を常に水面下にあるように施工するとい
う、工法について明確に示し技術的位置付けをしたもの
はなかった。 2.特開昭61−229686号などに見られるよう
な、浮体または浮体を係留する部分に杭を貫通させる構
造のものについては、水平方向の移動を抑制し、浮体の
上下動に対して追随することから安定した係留方法とし
て有効ではあるが、波浪や船の航行波などによる動揺を
受けた場合、浮体と杭の突出部分との相対的な移動量が
大きく、浮体構造による施設を利用する人が誤って杭に
接触した場合などに身体に損傷を受けるなどの危険があ
った。近年、漁業従事者の高齢化が進み小型船を使用す
る場合などに際し、潮位が下がった状態になると小型船
と固定型の岸壁や物揚場との高低差が大きくなり、安全
な乗降や荷揚げ作業などができなくなってきており、小
型船との高低差の少ない浮体構造の岸壁や物揚場を提供
しようとするときに、突出する杭との接触事故などの危
険は解決されるべき課題であった。
【0004】3.水上に突出した杭の頭頂部分は酸化に
よる腐食劣化で強度低下が起こることから杭の断面を、
劣化を見込んで増厚するなどの措置をとるのが一般的手
段であった。 4.水面上に突出した杭などは、酸化など経年劣化によ
り錆や汚損が進み、美観的にも劣化することが避けられ
なかった。また、平坦な海岸構造物や港湾・漁港施設に
隣接する構造物として突出する構造の係留連結装置は、
経年劣化がない場合でも景観を損ねるものであった。 5.実開昭56−146696号で、浮体の中央部に凹
陥部を形成して、水底に立設されたドルフィンの頂部を
緩衝体を介して嵌合させてなる構造について考案されて
いるが、浮体が大型になった場合などに嵌合させる場合
の施工性に難があり、嵌合した後においても浮体中央に
おいて嵌合させる構造であることから、浮体の動揺が大
きい場合にドルフィンにかかる負担が極めて大きいこ
と、また、浮体の上下方向に相当の長さがない構造物の
場合、ドルフィン頂部を浮体に貫通させるようにしなけ
れば干満などによる水位の変動に対して嵌合させた部分
が外れるなど安定係留に難があり、適用できる条件が極
めて限定されるものであった。また、この構造の浮体構
造物について2以上の任意数の浮体を連結係留するに
は、係留作業時に、先に係留した浮体が中央に位置する
嵌合させた部分を中心として回転するなどにより、浮体
設置時の施工が著しく困難となるなど連結使用には適さ
ないものと言えた。
【0005】6.従来の杭またはドルフィンに係留する
構造のものについて、浮体を任意数を連結して一連の構
造物とする場合、水位の変動、波浪などによる浮体の動
揺を含めて、どの係留連結部位においても安全にかつ同
じように係留できる簡単な方法について述べられたもの
はない。また、杭やドルフィンが浮体の側面から外側に
配置されるものは、浮体構造物と隣接する施設との間、
浮体施設と係留しようとする船などの間に杭やドルフィ
ンが位置することから、隣接構造物や係留船などと浮体
構造物との間隙が大きくなり、乗降時、歩行移動時など
における水中転落の危険を回避できないものであった。 7.杭が連結部分を貫通してなる構造のものは、上下動
によって浮体が杭から遊離しないために、最大水位に加
えて動揺によって上昇する高さ以上に杭頭を突出させる
必要があり、岸壁や物揚場などの作業を伴う構造物とし
て広い平面を形成しようとする場合など、浮体を任意の
数連結する場合は連結部位毎に突出した杭が障害物とな
る。この課題を解決するには杭やドルフィンの断面を大
きくとり、一体となった大きな浮体構造物を係留するこ
ととなり、工事が大型になり対応できる起重機船なども
大型となり、施工コストも増大することから広く普及す
るには難があった。
【0006】8.水面に突出した、または浮体を貫通す
る構造において、水底地盤に打込んだ杭に係留連結する
方法は、いずれも水面上もしくは水面に極めて近い部位
において連結する構造であることから、水面が氷結する
寒冷地において、厳寒時には連結部分も含め氷結した一
体の氷盤を形成し、水位の上昇や上下動による繰り返し
の浮揚力による杭の引き抜き作用を受けることは避けら
れないものである。杭構造物の氷盤の浮揚力による引き
抜き作用による損壊は、河口などに掛かった杭構造の木
製橋梁など小型の橋脚、流木止などで幾多の事例がある
が、杭と接触している水が氷結し杭と一体となった大き
な氷盤を形成、これが干満や河川水位の上昇などで大き
な浮揚力を受け、杭そのものを上方に引き上げる。氷盤
が厚みを増すと、浮力により更に上方に引き上げられ
る。また、河口付近など干満の差異などにより水位の上
下動を繰り返すところでは頻繁に引き抜き作用が繰り返
されることから、橋梁上部などの上載荷重を有している
にもかかわらず杭が支持力を保ち得ない位置まで引き抜
かれて容易に損壊に至ったものである。
【0007】杭が構造物を貫通する場合であっても杭と
構造物の間隙にある水が凍結して一体化し、水位の変動
などに対して浮体だけが上下動することができなくなる
ため、水面に杭が突出する従来の方法は、いずれも寒冷
地において冬期間、氷結による浮揚力で杭そのものが引
き抜かれ損壊する問題を解決するものではなかった。杭
が貫通しない構造の実開昭56−146696号におい
ては、浮体を取り囲む水面が浮体と一体の大きな氷盤を
形成した場合、氷盤が浮体の中央に対して非対称に付着
した場合などに嵌合された部位に偏荷重が掛かることに
なり、ドルフィンほか当該係留構造を破壊に至らしめる
恐れがある。非対称に付着した事例に限らず、氷結した
場合に浮体が上方に持ち上げられることとなり、嵌め合
わせが外れるもしくは結合部分が浅くなり係留する浮体
の動揺を支えられなくなるなど、係留機能を損なうこと
が危惧されるものであった。本願は、従来の技術の有す
るこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目
的とするところは、上述の問題を解決できるものを提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は下記のようになるものである。第1発明
は、頭頂部が常に水面4の下に没しているように水底地
盤1に植設された杭3の外周に取付けた可動体5を介し
て、潮位などによる水面4の変動によっても杭3から外
れない十分の長さを有する縦筒6Aと頭頂面6Bからな
る外套管6を被せるように嵌合させると共に、外套管6
の頭頂面6Bに係留支柱8を取付け、係留支柱8と浮体
2とを係留連結部分が可動となるように構成された係留
部材9でつなぎ止めてなる浮体構造物の係留連結装置で
ある。第2発明は、頭頂部が常に水面4の下に没してい
るように水底地盤1に植設された中空の杭31に、上方
から当該中空の杭31の外径との間隙を小さくとった内
径をもつ縦筒61Aと頭頂面61Bからなる外套管61
を昇降自在に嵌着せしめ、中空の杭31の頭頂部31A
の中心には連結支柱11を垂下せしめ、連結支柱11に
は中空の杭31の内周面に当接作用する可動体5を取付
けると共に、外套管61の頭頂面61Bに係留支柱8を
取付け、係留支柱8と浮体2とを係留連結部分が可動と
なるように構成された係留部材9でつなぎ止めてなる浮
体構造物の係留連結装置である。
【0009】この場合、下記のように構成することがで
きる。 A.係留支柱8と係留部材9を用いず、外套管6あるい
は外套管61を浮体2の下面に取付け、外套管6は杭3
に、また、外套管61は中空の杭31に嵌合させるよう
構成されている。 B.外套管の頭頂部付近に小孔7を1個または複数設け
る。 C.外套管に電蝕防止材10を取付ける。 D.浮体2を2以上の任意数を係留連結して構成する浮
体構造物について、相隣合う浮体の辺2A,2Bの何れ
か一方の上表面付近に蝶番など可動となる連結部材12
Aで連結し、他方を自由端として相隣合う浮体の辺の上
表面に掛かるように構成された踏掛け板12を設置する
ようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づ
き図面を参照して説明する。図1は本発明の請求項1の
係留連結装置を用いて浮体構造物を係留した状態の横断
面図で、1は水底地盤、2は浮体、3は杭、4は水面、
5は可動体、6は外套管、8は係留支柱、9は係留部
材、10は電蝕防止材、12は踏掛け板である。図2は
2以上の任意数の浮体を連結係留した状態の平面図で、
2は浮体、8は係留支柱、9は係留部材、12は踏掛け
板、2A,2Bは相隣合う浮体の辺である。図3は図1
に示した係留連結装置の拡大断面図で、2は浮体、3は
杭、5は可動体、6は外套管、7は小孔、8は係留支
柱、9は係留部材、10は電蝕防止材である。
【0011】図4は請求項2の係留連結構造の断面図
で、1は水底地盤、2は浮体、31は中空の杭、4は水
面、5は可動体、61は外套管、7は小孔、8は係留支
柱、9は係留部材、10は電蝕防止材、11は連結支柱
である。図5は請求項3の係留連結構造の断面図で、1
は水底地盤、2は浮体、3,31は杭、4は水面、5は
可動体、6,61は外套管、13は隣接構造物である。
本発明による係留連結装置は、図2の実施例のように浮
体に対する杭の位置を状況に対応して変えることで、浮
体同士を連結しない方向については浮体の側辺から杭が
出ないように杭を配することで、岸壁などとして使用す
る場合に船の係留などに支障がなくなる。一方、浮体を
連結する方向については、係留支柱が係留連結する浮体
同士の中心部位になるように配することで、係留連結作
業が容易になるほか浮体からの応力の偏在も小さくする
ことができる。
【0012】1.本発明のものの施工方法は下記の通り
である。 イ.水平方向の動揺を抑制するための水底地盤1に打込
んだまたは建込んだ杭3の頭頂部をすべて浮体構造物を
構築しようとする場所の最干時の水面4以下の高さとす
るなど、常に水面下に没する位置まで打込むまたは建込
む。もしくは打込みまたは建込み後、杭3の上部を切断
して常に水面下に没する高さに切り揃える。 ロ.杭3の頭頂部より少し下がった位置に可動体5を取
付ける。 ハ.浪などの影響も含む水位の上下によっても連結部分
が外れない十分な長さを有し、予め頭頂部の中央付近に
係留支柱8を取付けた外套管6を杭3に被せるようにし
て嵌合させる。 ニ.作業船などにより曳航、または大型の起重機などに
吊り下げられた浮体2を当該係留連結する部位を合わせ
る位置に誘導し、少なくとも両端となる接合部が可動と
なるように係留部材9により、浮体2と係留支柱8を係
留連結する。
【0013】2.2以上の任意数の浮体を係留連結する
場合も同様の作業手順で行うことにより、求める平面積
など必要規模の浮体構造物を容易に施工することが可能
となる。また、任意数の浮体を係留連結する場合、相隣
合う浮体の辺2A,2Bとの間に踏掛け板12を設置す
る。 3.図4は中空の杭31に外套管61の中心部付近に垂
下取付けた連結支柱11の下端付近に可動体5を取付
け、中空の杭31の中空部に挿入嵌合させてなる係留連
結装置であり、杭が中空である場合に実施できるもの
で、外套管61の内径を中空の杭31の外径よりわずか
に大きくとれば嵌合できることから、外套管の部材断面
が小さくなり経済的効果が増大する。また、連結支柱1
1は外套管の頭頂面を貫通して係留支柱8と一体とする
こともでき、連結支柱と係留支柱の取付け部分の強度の
増大が図られる。 4.図4について、中空の杭31の外径と外套管61の
内径の間の間隙を小さく取る。外套管61の頭頂面付近
に小孔7を任意の個数設けて空気が流通できるようにす
る。 5.図5について、浮体2の各隅部に近い下面に外套管
6,61を取付け、起重機船などにより吊り下ろして外
套管6,61と杭3,31を嵌合させて係留する構成
で、他の構造物に隣接設置する、または2以上の任意数
の浮体を係留連結する場合の隣接構造物や浮体との間隙
を小さく取ることができる。
【0014】本発明は上記のような特徴を備えているか
ら、次のような作用が期待できる。 1.水底地盤1に打込んだ杭3の頭頂部は常に水面4の
下に没しており、上下動による移動量は杭3と外套管6
との間に形成される間隙の上下の範囲で起こり、係留連
結部分も浮体の上表面より下方に位置することから、係
留連結部分のいずれも浮体構造物の上表面より突出しな
い。 2.その他、次に記載する特徴を有する。 イ.イオンの溶出による電蝕の防止は、亜鉛板などの電
蝕防止材10を取付け、電蝕防止材10を随時更新する
ことで経年劣化を防止できる。 ロ.水上に杭が突出する従来の工法と比較すると、水底
地盤1から上方の杭が短くなることから杭3に対する作
用が小さくなり、杭3の径、厚さなど断面積を小さくと
ることが可能となる。さらに、作用力が小さくなること
により杭3の根入れ長さも短くすることができる。
【0015】ハ.外套管6は水位の上下動による連結が
解けない十分な嵌合長さを有することから、水平方向の
移動ばかりでなく、上下方向の移動に対しても安定した
係留が可能であり、浮体2と杭3との相対的な変位はす
べて水中連結部分で起こることから、浮体を利用する者
にとって杭と接触する事故などの危険は解消される。 ニ.波浪などによる浮体の動揺で曲げや剪断などの応力
が作用した場合は、可動体5及び係留部材9の結合部の
働きで緩和されることから、構造物としての破壊などに
対する作用が小さくなる。 ホ.寒冷地における氷結による氷盤の浮揚力によって起
こる引き抜き作用に対しては、氷結は水面下数十センチ
メートルより深くなることは殆どないことから、氷盤は
外套管6に接触した水深の範囲で形成されることにな
る。そのため、浮揚力が繰り返し作用した場合でも外套
管6の上下動のみで解消されることから、杭3そのもの
が引き抜かれる作用は受けないので構造物の氷結による
損壊は起こらない。
【0016】ヘ.潮汐流など水平方向の動きの影響が少
なく上下方向の動きが主である場所などに本発明を使用
する場合には、図4の実施例のように外套管61の内径
と中空の杭31の外径との間隙を少なく取り、任意数設
けた小孔7により空気などを流通させることにより、水
面の上下動が激しい場合などにおいて、上向きの作用を
受けて間隙が広がろうとする場合は内部の圧力が下がっ
てこれを引き戻そうとする作用力が働き、下向きの作用
を受けて間隙が狭まろうとするときは内部圧力が高まり
押し戻そうとする作用力が働く。このように中空の杭3
1と外套管61の間に形成される間隙が水面の上下動に
対し逆の作用となって働くため、この間隙が緩衝装置の
働きをする。これにより港内においてもよく起こる船舶
の航行波などの衝撃的な動きが緩和される。このように
小孔7の数、孔径などを適宜調整する事により連結部分
が緩衝装置の働きをなし、浮体が上下に激しく動揺する
場合の衝撃が和らげられる。
【0017】ト.杭3と外套管6の間隙が極めて小さい
構造とする場合には、図3の連結方法においても同様の
作用が期待できる。 チ.杭が水上に突出しないことから経年劣化による酸化
腐蝕の影響を受けない。また、突出物がないことから構
造物としての景観がよいものとなる。 リ.2以上の任意数の浮体を係留連結する場合に、相隣
合う浮体の間隙に踏掛け板12を設置することにより、
その位置の上表面では浮体の動揺時においても浮体と浮
体の間に形成される間隙が生じない。 ヌ.係留支柱8、係留部材9を用いないで、外套管6を
浮体2の各隅部付近に取付けて構成するものでは、踏掛
け板12など付帯構造物を設置しない場合でも、隣接構
造物や係留連結した浮体2との間隙が小さい。
【0018】
【発明の効果】本発明は、上述の通り構成されているの
で次に記載する効果を奏する。 1.本発明の係留連結装置を用いて浮体式の岸壁や桟
橋、物揚場などを構築しようとする場合、頭頂部が水面
下にあるように水底地盤1に杭3を打込む、または建込
む、もしくは打込みまたは建込み後、切り揃える。可動
体5を図3の実施例では杭3の頭頂部付近、図4の実施
例では連結支柱11の下端部付近に取付ける。外套管
6,61に予め係留支柱8、図4の実施例では連結支柱
11も合わせて取付けた後、杭3,31に被せるように
嵌合させる。浮体を曳航または吊り下げて係留位置まで
移動し、係留部材により係留支柱に係留連結する。この
一連の手順で示した通り、施工する過程においてそれぞ
れの作業が簡素化され、極めて安全に作業を進めること
が可能となる。 2.浮体2の上表面に杭や係留連結装置などが突出しな
いことから、浮体構造物を利用した桟橋、岸壁、物揚場
などにおいて平坦で水平移動が少なく、杭に接触するこ
とがなく作業性のよい構造物を提供できる。また、係留
する船などと同じような上下動をすることから相対的に
移動量の少ない状態となり、小型船などの乗降や荷揚げ
や荷卸しの作業などに最適であることから、高齢化が進
む漁業従事者が漁船の乗降や荷の揚げ卸しなどの作業を
安全に行うことができる施設として、低天端型岸壁(潮
位変動型の小型船用岸壁)を提供するなど広く利用する
ことができる。
【0019】3.杭及び外套管が常に水中に没している
ので酸化腐蝕が起こらないことから、増厚などの腐蝕劣
化を見込まない小さい断面形状とすることができる。ま
た、作用が小さく根入れ長さも短くできるなど経済的な
効果が増大する。 4.杭や係留連結装置が浮体構造物の上表面から突出し
ないことから、経年劣化による酸化(錆)などの汚損が
目立たず、美観を損ねることがない。また、浮体構造物
の上表面に杭などが突出しないので景観を損ねることも
ない。 5.外套管6の長さを十分にとることで、水面の上下動
で嵌合部分が外れることなく、係留連結を浮体の各隅部
などで均等に作用力が働く部位で行うことにより、実開
昭56−146696号のように杭や嵌合部分に大きな
負担が集中してかかることが回避される。
【0020】6.2以上の任意数の浮体を係留・連結し
て、一連の岸壁や物揚場などを構築する場合に、図2の
実施例のように杭3を打込むに当たり、全方向に浮体同
士を係留連結する位置にある杭3は、係留支柱8を係留
する浮体2の各隅部から等距離になるように配置し、隣
接する構造物や船などを係留する側面に位置する杭3は
係留支柱8を当該側面より外側に突出しない位置に配置
することで、隣接構造物や係留する船との間隙が小さく
なり、乗降時や移動歩行時に間隙から水中転落する危険
を回避できる構造物となる。さらに、踏掛け板12で相
隣合う浮体の間隙を覆う形に設置することによって浮体
から浮体に移動する場合の作業性が高く、大きなドルフ
ィンや杭断面を使用しない工法で大型の単体型構造物に
近い機能を有するものとなる。 7.既設の構造物と隣接する、または2以上の任意数の
浮体を係留連結して使用する場合において、図5の実施
例のように浮体の各隅部付近の下面に外套管6を取付
け、杭3と嵌合させた構成の係留連結装置では、浮体と
他の構造物との間隙を小さくすることができるので、踏
掛け板12を設置しない場合であっても、使用できる浮
体構造の岸壁や桟橋として利用することができる。
【0021】8.杭やドルフィンが水上に突出している
従来の構造物と比較して杭の長さが短いこと、また、大
きな構造物を構築する場合でも上表面に係留連結部分が
突出しないことから、必要に応じて2以上の任意数の浮
体を連結することで目的を達する。従って、大きな構造
物を構築する場合にあっても単体の浮体を大きくするこ
となく、杭の断面形状、また、杭の根入れ長さを大きく
する必要がないことから、経済的効果は高く、漁港など
の高齢化対索の付帯施設としても広く利用できる。 9.氷結する水域での浮揚力による杭の引き抜き損壊が
防止されることから、水面が氷結する地域での小型船の
係留などにかかる浮体式桟橋や浮体式岸壁などを構築す
る場合に広く利用でき、氷結水域における杭に係留する
構造物の耐久性が著しく向上する。
【0022】10.杭と外套管の間隙を小さくとり、小
孔7を任意数設けたものは、杭と外套管の間に生じる間
隙の果たす上下動の緩和作用により、浮体構造物の衝撃
的な動揺が押さえられることから、これを利用する者に
とってショックの少ない浮体式桟橋や岸壁、物揚場など
の施設とすることができる。 11.本発明による係留連結装置を利用した浮体構造物
を、干満の水位差の大きい場合の固定型岸壁と、係留し
ようとする小型船などとの間に設置した場合、乗降が極
めて安全且つ容易になる他、荷揚げなどの作業も一旦浮
体構造物に行い、しかる後に固定型岸壁などに設置した
機械で取込む。または、水位の上昇を待って浮体構造物
と固定型岸壁などとの段差が小さくなってから行うこと
などにより、作業を容易に行うことができることで産業
分野に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の略図的縦断面図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】図1の要部拡大断面図である。
【図4】第2発明の断面図である。
【図5】他の実施例の略図的断面図である。
【符号の説明】
1 水底地盤 2 浮体 3,31 杭 4 水面 5 可動体 6,61 外套管 7 小孔 8 係留支柱 9 係留部材 10 電蝕防止材 11 連結支柱 12 踏掛け板 13 隣接構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 597088188 株式会社オホーツク流氷科学研究所 北海道紋別市元紋別25番地2先 (72)発明者 笹島 隆彦 北海道札幌市北区北8条西2丁目1番1 北海道開発局内 (72)発明者 早川 哲也 北海道札幌市豊平区平岸1条3丁目(番地 なし) 北海道開発局開発土木研究所内 (72)発明者 中澤 直樹 東京都渋谷区神宮前2丁目8番2号 パシ フィックコンサルタンツ株式会社内 (72)発明者 寺島 貴志 東京都渋谷区神宮前2丁目8番2号 パシ フィックコンサルタンツ株式会社内 (72)発明者 山角 浩一 北海道紋別郡湧別町栄町133番地の1 株 式会社西村組内 (72)発明者 東 一哉 北海道紋別郡湧別町栄町133番地の1 株 式会社西村組内 (72)発明者 浜岡 荘司 北海道紋別市元紋別25番地2先 株式会社 オホーツク流氷科学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 頭頂部が常に水面(4)の下に没してい
    るように水底地盤(1)に植設された杭(3)の外周に
    取付けた可動体(5)を介して、潮位などによる水面
    (4)の変動によっても杭(3)から外れない十分の長
    さを有する縦筒(6A)と頭頂面(6B)からなる外套
    管(6)を被せるように嵌合させると共に、外套管
    (6)の頭頂面(6B)に係留支柱(8)を取付け、係
    留支柱(8)と浮体(2)とを係留連結部分が可動とな
    るように構成された係留部材(9)でつなぎ止めてなる
    ことを特徴とする浮体構造物の係留連結装置。
  2. 【請求項2】 頭頂部が常に水面(4)の下に没してい
    るように水底地盤(1)に植設された中空の杭(31)
    に、上方から当該中空の杭(31)の外径との間隙を小
    さくとった内径をもつ縦筒(61A)と頭頂面(61
    B)からなる外套管(61)を昇降自在に嵌着せしめ、
    中空の杭(31)の頭頂部(31A)の中心には連結支
    柱(11)を垂下せしめ、連結支柱(11)には中空の
    杭(31)の内周面に当接作用する可動体(5)を取付
    けると共に、外套管(61)の頭頂面(61B)に係留
    支柱(8)を取付け、係留支柱(8)と浮体(2)とを
    係留連結部分が可動となるように構成された係留部材
    (9)でつなぎ止めてなることを特徴とする浮体構造物
    の係留連結装置。
  3. 【請求項3】 係留支柱(8)と係留部材(9)を用い
    ず、外套管(6)あるいは外套管(61)を浮体(2)
    の下面に取付け、外套管(6)は杭(3)に、また、外
    套管(61)は中空の杭(31)に嵌合させる構成であ
    る請求項1または請求項2記載の浮体構造物の係留連結
    装置。
  4. 【請求項4】 外套管の頭頂部付近に小孔(7)を1個
    または複数設けた請求項1ないし請求項3のいずれかに
    記載の浮体構造物の係留連結装置。
  5. 【請求項5】 外套管に電蝕防止材(10)を取付けた
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の浮体構造物
    の係留連結装置。
  6. 【請求項6】 浮体(2)を2以上の任意数を係留連結
    して構成する浮体構造物について、相隣合う浮体の辺
    (2A,2B)の何れか一方の上表面付近を蝶番など可
    動となる連結部材(12A)で連結し、他方を自由端と
    して相隣合う浮体の辺の上表面に掛かるように構成され
    た踏掛け板(12)を設置するようにした請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の浮体構造物の係留連結装
    置。
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