JPH10337514A - 浸漬塗布装置、および電子写真感光体の製造装置 - Google Patents

浸漬塗布装置、および電子写真感光体の製造装置

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JPH10337514A
JPH10337514A JP14925997A JP14925997A JPH10337514A JP H10337514 A JPH10337514 A JP H10337514A JP 14925997 A JP14925997 A JP 14925997A JP 14925997 A JP14925997 A JP 14925997A JP H10337514 A JPH10337514 A JP H10337514A
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lid
tank
coating tank
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貴弘 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布ムラ/ダレのない均一な膜厚の塗膜を形
成し得る浸漬塗布装置、および、これを用いた電子写真
感光体の製造装置を提供すること。 【解決手段】 塗布液を保持し、被塗物を浸漬する浸漬
塗布槽11と、その外周に設けられた塗布液受け皿12
と、浸漬塗布槽11底部から塗布液を供給し、該浸漬塗
布槽11上端開口部から塗布液を溢流させる液送手段P
とを有し、溢流した塗布液を塗布液受け皿12にて回収
し、再度前記液送手段Pにより前記浸漬塗布槽11に供
給することにより塗布液を循環させる浸漬塗布装置10
において、前記塗布液受け皿12上部に前記浸漬塗布槽
11の外周よりも大きな開口を有する蓋14を設け、前
記浸漬塗布槽11上端を前記蓋14の開口より突出させ
たことを特徴とする浸漬塗布装置、及びこれを用いた電
子写真感光体の製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浸漬塗布法により
被塗物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布装置、および、
浸漬塗布法により円筒状基体周面に電子写真感光体の構
成層を形成する電子写真感光体の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、円筒状の導電性基体
の周面に感光層となる材料(以下、単に「塗布液」とい
う)を塗布して製造される。塗布液の塗布方法は、図6
に示す浸漬塗布装置60を用い、塗布液を入れた浸漬塗
布槽61に、円筒状基体の長手方向を垂直にして円筒状
基体を所定の深さまで浸漬したのち引き上げ、次いで、
引き上げた円筒状基体を静止させて周面の塗布液を指触
乾燥し、その後熱風乾燥機等により乾燥し、塗膜を固化
する方法が採用されている。
【0003】そして、基体の塗布上下方向の塗膜の均一
性を得るために、塗布液の溶媒としては、通常、速乾性
の溶媒が用いられる。速乾性の溶媒を用いる事により、
塗布液の固化を短時間で行うことができるが、次の様な
理由により、速乾性溶剤を用いても膜厚/ムラダレが発
生する場合がある。
【0004】すなわち、特に速乾性の溶媒を用いると溶
剤蒸気濃度の発生が多くなり、浸漬塗布槽の塗布液面、
塗布液受け皿(フローパン)62内、および、被塗物自
体から発散される溶剤蒸気により、浸漬塗布槽上部の溶
剤蒸気濃度が高濃度になり、引き上げた円筒状基体周面
の塗布液の固化までに要する時間が増し、塗膜ムラ/ダ
レが大きくなる。
【0005】このような塗膜ムラ/ダレの回避策とし
て、浸漬塗布槽上部の溶剤蒸気濃度を低減すべく、1)
特開昭59−127049号等に記載されている様に、
円筒状基体が浸漬塗布槽中に浸漬している間に、塗布液
受け皿近傍に外部よりエアーを送り込み、塗布液受け皿
近傍より溶剤蒸気を同伴したエアーを排出し、浸漬塗布
槽から円筒状基体を引き上げた時の円筒状基体周辺の溶
剤蒸気濃度を事前に低減し、指触乾燥速度を促進させる
ものや、2)特開平3−151号等に記載されている様
に、塗布液受け皿近傍に溶剤蒸気排出口を具備し、ON
−OFF機構を付与した強制排気装置に連結し、浸漬塗
布槽から円筒状基体を引き上げた時の円筒状基体周辺の
溶剤蒸気濃度を制御するもの等が開示されており、これ
らにより膜厚ムラを抑制する事が行われている。
【0006】しかし、前者においては、浸漬塗布槽の塗
布液面より蒸発する溶剤蒸気の滞留を防止するには有効
であるが、円筒状基体引き上げ時に円筒状基体周面の塗
布膜より発生する溶剤蒸気を排出できないため、円筒状
基体周辺の溶剤蒸気濃度は上昇し塗膜ムラ/ダレが発生
してしまい、塗膜厚の均一化をはかるのは困難であっ
た。又、後者においては、ON−OFF動作による円筒
状基体周辺の溶剤蒸気濃度の追従に遅れが生じ、前記同
様、塗膜厚の均一化をはかるのは困難であった。
【0007】また、特開平8−220786号に、循環
塗布液を回収する塗布液受け皿の戻り配管に浸漬塗布槽
の塗布液面より低い位置に溶剤蒸気排出口を設け、溶剤
蒸気濃度をコントロールする方法などが提案されてい
る。しかし、特に多本塗りになった場合の浸漬塗布装置
全体の形状や複数の浸漬塗布槽と塗布液受け皿の位置関
係などの問題で、必ずしも理想的な排気ができない。即
ち、溶剤蒸気濃度をある程度低減する事は達成できて
も、複数の浸漬塗布槽と塗布液受け皿の位置関係等によ
り、引き上げられた各円筒状基体周辺の溶剤蒸気濃度に
バラツキが発生してしまい、各円筒状基体間、および円
筒状基体一本内の膜厚ムラ/ダレ抑制には、充分な効果
が得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の如く、浸漬塗布
装置では、円筒状基体を浸漬塗布槽の塗布液中に浸漬し
た後、塗布液より引き上げて塗膜を形成する際、浸漬塗
布槽の塗布液面、塗布液受け皿内、被塗物自体から発散
される溶剤蒸気により、浸漬塗布槽上部の溶剤蒸気濃度
が高濃度となるため、速乾性の溶剤を用いても塗膜の固
化が遅くなり、膜厚ムラ/ダレが生じ易くなる。従っ
て、その改善策として浸漬塗布槽上部の溶剤蒸気濃度を
低減する事が重要である。
【0009】本発明の目的は、塗布液受け皿内から発生
する溶剤蒸気と被塗物自体から発散される溶剤蒸気とを
分離し、塗布後引き上げた被塗物自体から発散される溶
剤蒸気を拡散しやすくすることにより、該被塗物周辺の
溶剤蒸気濃度を低下させ、塗布ムラ/ダレのない均一な
膜厚の塗膜を形成し得る浸漬塗布装置を提供すること、
更には、塗布ムラ/ダレのない均一な感光層等を形成し
得る電子写真感光体の製造装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
により達成される。即ち本発明は、 (1)塗布液を保持し、被塗物を浸漬する浸漬塗布槽
と、該浸漬塗布槽の外周に設けられた塗布液受け皿と、
前記浸漬塗布槽に塗布液を供給する液送手段と、を有
し、液送手段により浸漬塗布槽底部から塗布液を供給
し、該浸漬塗布槽上端開口部から塗布液を溢流させ、溢
流した塗布液を塗布液受け皿にて回収し、再度この塗布
液を前記液送手段により前記浸漬塗布槽に供給すること
により、塗布液を循環させる浸漬塗布装置において、前
記塗布液受け皿上部に前記浸漬塗布槽の外周よりも大き
な開口を有する蓋を設け、前記浸漬塗布槽上端を前記蓋
の開口より突出させたことを特徴とする浸漬塗布装置で
ある。 (2)浸漬塗布槽が円筒状であり、蓋の開口が円形であ
り、該浸漬塗布槽と蓋の開口とが同心円となるように配
したことを特徴とする(1)に記載の浸漬塗布装置であ
る。
【0011】(3)浸漬塗布槽の外径Dd(mm)と蓋
の開口径Fd(mm)とが、以下の関係を有することを
特徴とする(2)に記載の浸漬塗布装置である。 1<Fd/Dd≦1.5 Fd−Dd≧4(mm) (4)軸方向両端が開口し、蓋の開口径と同径以上の内
径を有し、かつ、外周に外部と連通する連通孔が設けら
れた円筒状フードを、蓋の開口の上部に該開口と同心円
となるように配したことを特徴とする(2)または
(3)に記載の浸漬塗布装置である。 (5)連通孔が、フードの外周の下端部および/または
その周辺部に設けられたことを特徴とする(4)に記載
の浸漬塗布装置である。
【0012】(6)連通孔が、フードの外周の全面に設
けられたことを特徴とする(4)に記載の浸漬塗布装置
である。 (7)フードの外周が、10μm〜1mmの開口径のメ
ッシュ状であることを特徴とする(4)に記載の浸漬塗
布装置である。 (8)浸漬塗布槽を複数有し、かつ蓋に浸漬塗布槽と同
数の開口が設けられたことを特徴とする(1)〜(7)
に記載の浸漬塗布装置である。
【0013】(9)電子写真感光体の構成層となる塗布
液を保持し、円筒状基体を浸漬する浸漬塗布槽と、該浸
漬塗布槽の外周に設けられた塗布液受け皿と、前記浸漬
塗布槽に塗布液を供給する液送手段と、を有し、液送手
段により浸漬塗布槽底部から塗布液を供給し、該浸漬塗
布槽上端開口部から塗布液を溢流させ、溢流した塗布液
を塗布液受け皿にて回収し、再度この塗布液を前記液送
手段により前記浸漬塗布槽に供給することにより、塗布
液を循環させ、前記浸漬塗布槽に浸漬した円筒状基体を
引き上げその周面に電子写真感光体の構成層を形成する
電子写真感光体の製造装置において、前記塗布液受け皿
上部に前記浸漬塗布槽の外周よりも大きな開口を有する
蓋を設け、前記浸漬塗布槽上端を前記蓋の開口よりも突
出させたことを特徴とする電子写真感光体の製造装置で
ある。 (10)浸漬塗布槽が円筒状であり、蓋の開口が円形で
あり、該浸漬塗布槽と蓋の開口とが同心円となるように
配したことを特徴とする(9)に記載の電子写真感光体
の製造装置である。
【0014】(11)浸漬塗布槽の外径Dd(mm)と
蓋の開口径Fd(mm)とが、以下の関係を有すること
を特徴とする(10)に記載の電子写真感光体の製造装
置である。 1<Fd/Dd≦1.5 Fd−Dd≧4(mm) (12)軸方向両端が開口し、蓋の開口径と同径以上の
内径を有し、かつ、外周に外部と連通する連通孔が設け
られた円筒状フードを、蓋の開口の上部に該開口と同心
円となるように配したことを特徴とする(10)または
(11)に記載の電子写真感光体の製造装置である。 (13)連通孔が、フードの外周の下端部および/また
はその周辺部に設けられたことを特徴とする(12)に
記載の電子写真感光体の製造装置である。
【0015】(14)連通孔が、フードの外周の全面に
設けられたことを特徴とする(12)に記載の電子写真
感光体の製造装置である。 (15)フードの外周が、10μm〜1mmの開口径の
メッシュ状であることを特徴とする(12)に記載の電
子写真感光体の製造装置である。 (16)浸漬塗布槽を複数有することを特徴とする
(9)〜(15)に記載の電子写真感光体の製造装置で
ある。
【0016】従来においては、浸漬塗布槽の塗布液面
(オバーフロー面)の高さを特に規定した技術は開示さ
れておらず、一般に前記オバーフロー面と塗布液受け皿
の上部に設けられた開口を有する蓋とは略同一の高さ、
または該蓋の方がやや高い位置に設定されている。これ
に対し、本発明は、浸漬塗布槽上の溶剤蒸気濃度を低下
させる手段として、浸漬塗布槽の塗布液面(オバーフロ
ー面)が、オバーフローした液を受ける塗布液受け皿
(フローパン)の壁より高く、塗布液受け皿の上部に設
けられた開口を有する蓋より突出している事を特徴とす
る。このような構成とすることにより、浸漬塗布槽の塗
布液面や被塗物自体から発生した溶剤蒸気の逃げ道を確
保することができ、浸漬塗布槽上部の溶剤濃度の低減を
図ることができる。即ち、塗布液の溶剤蒸気は一般に空
気より重く、浸漬塗布槽の塗布液面や被塗物自体から発
生した溶剤蒸気は、下方に逃げ道があればその方向に流
れだし、浸漬塗布槽上部に溶剤蒸気が滞留することな
く、溶剤濃度が低減される。また、塗布液受け皿で発生
した溶剤蒸気は、外部の空気の流れ等により上方に昇っ
て来ようとしても、塗布液受け皿上の蓋により遮断さ
れ、浸漬塗布槽上部まで上昇することなく、浸漬塗布槽
上部の溶剤の低濃度が確保できる。その結果、塗布むら
のない均一な膜厚の被塗物、例えば電子写真感光体を製
造することができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態を説明
する。図1は、本発明の浸漬塗布装置10の概略構成図
を示したものである。図1において、11は塗布液を保
持し、被塗物を浸漬する浸漬塗布槽であり、12は浸漬
塗布槽11の外周に設けられたフローパン(塗布液受け
皿)であり、さらに浸漬塗布装置10は浸漬塗布槽11
に塗布液を供給するポンプ等の液送手段Pを有してい
る。なお、本実施例では、フローパン12にて回収され
た塗布液を回収し、塗布液の濃度、粘度等を調製して次
の循環に備える塗布液回収槽15、および、液送手段P
の下流に塗布液中の不純物を取り除くフィルターFが備
えられている。塗布液回収槽15中の塗布液は液送手段
PによりフィルターFを介して浸漬塗布槽11底部から
供給される。浸漬塗布槽11では上端開口部から塗布液
が溢流し、この溢流した塗布液はフローパン12により
回収され、戻り配管13を通って塗布液回収槽15に送
られる。この回収された塗布液は、上記同様、再度液送
手段Pにより浸漬塗布槽11に供給され、浸漬塗布装置
10中を循環する。この浸漬塗布装置10は、フローパ
ン12の上部に浸漬塗布槽11の外周よりも大きな開口
を有する蓋14が設けられ、浸漬塗布槽11上端は蓋1
4の開口より突出している。
【0018】本発明において、フローパン12の蓋14
面からの浸漬塗布槽11上端の高さ(Dh)としては5
mm以上とすることが好ましく、より好ましくは10m
m〜50mm程度、さらに好ましくは10mm〜20m
m程度である。フローパン12の蓋14面からの浸漬塗
布槽11上端の高さ(Dh)が5mm未満であると、浸
漬塗布槽11上の溶剤蒸気を有効に逃がすことができな
いため好ましくない。
【0019】また、浸漬塗布槽11を円筒状、フローパ
ン12の蓋14の開口を円形とし、かつ該浸漬塗布槽1
1と蓋14の開口とが同心円となるように配し、蓋14
の開口径をFd(mm)、浸漬塗布槽11の外径をDd
(mm)とした場合に、以下の関係式を満たすようにす
るとさらに効果的である。 1<Fd/Dd≦1.5 Fd−Dd≧4(mm)
【0020】蓋14上に浸漬塗布槽11を突出させるた
め、蓋14の開口径Fdは浸漬塗布槽11の外径Ddよ
り大きくしなければならない(1<Fd/Dd)が、大
きすぎると、フローパン12で発生した溶剤蒸気を蓋1
4により分離する効率が薄れ、該溶剤蒸気が浸漬塗布槽
11上まで侵入し、本発明の目的を達しなくなる。この
ため、Fd/Ddとしては1.5以下であることが好ま
しく、より好ましくは1.4以下である。
【0021】また、浸漬塗布槽11上端開口部から溢流
した塗布液をフローパン12にて回収する構成であるた
め、浸漬塗布槽11と蓋14の開口との間には、溢流し
た塗布液がフローパン12に流れ込むためのある程度の
隙間が必要であり、この隙間は、塗布液の粘度や溢流の
程度にもよるが、少なくとも2mm以上とすること、即
ち、Fd−Dd≧4(mm)であることが好ましい。こ
の関係式としては、さらにFd−Dd≧10(mm)と
することが好ましく、Fd−Ddの値が小さすぎると浸
漬塗布槽11上端開口部から溢流した塗布液が、フロー
パン12に流れ込まずに、蓋14上に流れ出し、塗布液
の循環系に支障を来す。もちろん、Fd−Dd<4(m
m)であったとしても溢流した塗布液がフローパン12
に十分に流れ込むものであれば問題ない。
【0022】浸漬塗布槽11は、被塗物を浸漬し得るも
のであればその内径、長さ等如何なる大きさであっても
構わないが、電子写真感光体の構成層を塗布するに当た
っては、通常内径40〜260mm、長さ350〜60
0mm程度のものが用いられる。また、本発明の好まし
い条件は前述の如く浸漬塗布槽11の外径Ddにより規
定されるため、上記内径との関係で浸漬塗布槽11の円
筒の肉厚も問題となるが、該肉厚は塗布液を保持するに
十分な厚みが要求され、好ましくは0.5〜5mmの範
囲である。
【0023】本発明において、外風の影響による塗膜ム
ラを防止するには、外風を遮蔽するフード16を用いる
ことが好ましい。図2は、フード16を設けた浸漬塗布
装置20の概略構成図を示したものである。フード16
は軸方向の両端が開口した円筒状であり、かつ蓋14の
開口径と同径以上の内径を有するものである。フード1
6は蓋14の開口と略同心円となるように配され、突出
している浸漬塗布槽11の周囲を取り囲むような状態と
なる。フード16に外風を十分に遮蔽する効果を持たせ
るため、フローパン12の蓋14面からの浸漬塗布槽1
1上端の高さ(Dh)よりも十分に高い位置までフード
16が突出していることが必要であり、フード16の軸
方向の長さをHlとしたときに、Hl−Dh≧50(m
m)とすることが好ましく、Hl−Dh≧100(m
m)とすることがより好ましい。
【0024】図3(a)はフード16の一例を示す斜視
図である。フード16の外周の下端部には、フード16
内の溶剤蒸気濃度を低下させる手段として、外部と連通
する連通孔19が設けられている。この連通孔19はフ
ード16の外周の下端部よりもやや上方(下端部の周辺
部)に設けてもよいし、外周の全面に設けても構わな
い。塗布液の溶剤蒸気は通常空気よりも重く、発生した
溶剤蒸気は下方に流れ出すため、連通孔19はフード1
6の外周の下端部および/またはその周辺部に設けるこ
とが好ましい。図3(b)はフード16の他の一例を示
す斜視図である。フード16の外周はメッシュ状となっ
ており、このメッシュの開口が図3(a)の例における
連通孔19の役割を果たしている。該メッシュの開口径
としては、フード16に外風を十分に遮蔽し、かつフー
ド16内の溶剤蒸気濃度を十分に低下させる効果を持た
せるため、10μm〜1mmの範囲のものを用いること
が好ましい。
【0025】本発明においては、前記の浸漬塗布槽11
を複数有するものとして、同時に多数個の被塗物を処理
可能とすることも好ましい態様である。同時に多数個の
被塗物を処理可能とすることにより生産性の向上を図る
ことができる。図4は浸漬塗布槽11を8槽有し、8個
の被塗物を同時に処理できる浸漬塗布装置40の一例を
示す斜視図であり、図5はその断面図である。この浸漬
塗布装置40は、フローパン12の上部に浸漬塗布槽1
1の外周よりも大きな8個の開口18を有する蓋14が
設けられ、各浸漬塗布槽11上端は蓋14の各開口18
より突出している。本実施態様において、浸漬塗布装置
40は、前記図3(b)に示すメッシュ状のフード16
を蓋14それぞれの開口18の上部に設けている。な
お、図6において、左端の開口18上のフード16aは
取り外した状態で示し、フード16a内部の浸漬塗布槽
11aの状態がわかるようにしている。もちろん浸漬塗
布装置30の使用に際しては、該フード16aは開口1
8の上部に蓋14と接した状態で設置される。8本の浸
漬塗布槽11の底部からはパイプ17を介して送液手段
Pにより送られた塗布液が供給され、8本の浸漬塗布槽
11の上端開口部からは塗布液が溢流する。8本の浸漬
塗布槽11の外周には、前記溢流した塗布液全てを回収
するフローパン12が設けられ、回収された塗布液は戻
り配管13を通って不図示の塗布液回収層に送られ次の
循環に備える。このような浸漬塗布槽11を複数有する
浸漬塗布装置40においても、その種々の条件等は前記
単槽の場合と同様である。
【0026】本発明の浸漬塗布装置は、既述の如く電子
写真感光体に用いることが特に好ましいが、その他浸漬
塗布方法により塗布すべきあらゆる被塗物に対して適用
することができる。本発明の浸漬塗布装置は、速乾性の
溶媒を用い、均一な塗膜厚の塗布膜を設けたい場合に有
効な塗布装置であり、長尺の被塗物に対し特に好適であ
る。
【0027】次に、上述の浸漬塗布装置を電子写真感光
体の製造装置として用いた場合について説明する。電子
写真感光体には、基体上に感光性の塗膜(感光層)を設
けてなるが、その感光層構成の種類により、一つの感光
層に電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層型と、
感光層が電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物
質を含む電荷輸送層とに機能分離されている積層型とが
あり、さらに、必要に応じて電荷注入防止の目的で基体
と電荷発生層の間に干渉防止層、下引き層を設けたもの
もある。本発明の電子写真感光体の製造装置としては、
電子写真感光体のこれら何れの層を形成する場合にも適
用することができる。特に、本発明の電子写真感光体の
製造装置は、積層型電子写真感光体における電荷輸送層
や単層型電子写真感光体における感光層等の20μm以
上の厚膜層を得る場合に、その均一膜形成に顕著な効果
があり、優れた電子写真感光体を提供することができる
ものである。以下に、電子写真感光体の構成について説
明する。
【0028】基体としてはアルミニウム、ステンレス、
ニッケル等の金属材料、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリスチレン、フェノール樹脂等の高分子材料や硬
質紙等の絶縁材料に導電処理として導電物質を分散した
もの、金属箔の積層、金属の蒸着等の方法が挙げられ
る。また、基体の形状は円筒形で、通常、直径10〜2
00mmφ、長さ200〜500mmの範囲である。
【0029】基体上に設けられる電子写真感光体の構成
層について、以下感光層が積層型の場合と単層型の場合
に分けて説明する。 1.積層型の場合 前記基体の上には、通常下引き層が設けられる。下引き
層としてはアクリル系、メクアクリル系、塩化ビニル
系、酢酸ビニル系、エポキシ系、ポリウレタン系、フェ
ノール系、ポリエステル系、アルキッド系、ポリカーボ
ネイト系、シリコン系、メラミン系等各種樹脂類やジル
コニウム化合物、チタニウム化合物、シランカップリン
グ剤等を含有した上記樹脂類が挙げられる。下引き層の
塗膜の形成方法については後述する。
【0030】下引き層として、または基体上に下引き層
とは別にレーザ光源の干渉防止の目的で干渉防止層を設
けてもよい。干渉防止層としては、樹脂中に酸化チタン
等の金属酸化物を分散させたもの、或いは有機顔料等を
分散させもの等が挙げられる。干渉防止層の塗膜の形成
方法については後述する。
【0031】下引き層または干渉防止層の上には電荷発
生層および電荷輸送層が設けられる。これらの積層順序
としては、どちらが上になっても構わない。電荷輸送層
に含まれる電荷発生物質としては、アゾ顔料、ジスアゾ
顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、
インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシ
アニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレ
ニウム塩、三晶方型セレン等が挙げられる。
【0032】電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質として
は、主鎖または、側鎖にアントラセン、ピレン、フェナ
ントレン、コロネン等の多芳香族化合物または、インド
ール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾー
ル、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジ
アゾール、ピラゾリン、ヒアジアゾール、トリアゾール
等の含チッ素環式化合物の骨格を有する化合物、その
他、ヒドラゾン化合物等の正孔輸送物質が挙げられる。
【0033】電荷発生層および電荷輸送層の塗膜を形成
するための結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリ
アリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル
類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリエ
ステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリ
サルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセ
ルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエ
ステル類等が挙げられる。
【0034】干渉防止層、下引き層、電荷発生層、電荷
輸送層の塗膜の形成方法について説明する。これら各層
は、上記各成分を適当な溶媒に溶解または分散させて、
順次塗布する。塗布液溶剤(溶媒)としては、揮発性が
高く、且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好
適に用いられ、例えば、n−ブチルアミン、ジエチルア
ミン、エチレンジアミン、イソプロパホールアミン、ト
リエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベ
ンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン、ジメト
キシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオ
ン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロ
ロベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,
2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、1−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、
ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、エチルセル
ソルブ、メチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテー
ト等が挙げられる。
【0035】本発明において、この中でも特に電荷輸送
物質や結着剤樹脂の溶解力が高く蒸発速度の速い(速乾
性の)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等を用い
ることにより、特に本発明の効果が発揮される。塗布液
の粘度としては、膜厚、塗布速度等のねらいによって変
化させているが、100〜600mP・Sの範囲が好ま
しい。
【0036】上記のような各塗布液を前記図1、図2ま
たは図4に示す浸漬塗布装置10、20、40の浸漬塗
布槽11に仕込み、さらに送液手段Pにより浸漬塗布装
置10、20、40中を循環させる。そして、被塗物で
ある基体を長手方向を垂直にして浸漬塗布槽11に浸漬
させ、所定の速度で引き上げる。浸漬塗布槽11の上部
は本発明の効果により溶剤蒸気の濃度が低い状態に保た
れているため、速乾性の溶媒を用いた塗布液の場合には
引き上げ後即座に塗布液が乾燥し指触乾燥状態となり、
液ダレを起こすことなく、基体表面に均一な塗布膜が形
成される。特にフード16を設けた図2または図4に示
す浸漬塗布装置20、40を用いた場合には、外風によ
る影響も軽減され、周方向のムラも生じにくく、基体表
面に極めて均一な塗布膜を形成することができる。さら
に、熱風乾燥機等により乾燥することにより耐久性のあ
る塗布膜を得ることができる。このようにして、順次、
下引き層、干渉防止層、電荷発生層、電荷輸送層を形成
することにより電子写真感光体を製造することができ
る。
【0037】各層の膜厚は、溶媒の種類およびその塗布
液中の割合、被塗物の引き上げ速度等により適宜調整さ
れる。好ましい各層の膜厚の範囲としては、以下の通り
である。 下引き層 :0.1〜10μm程度 干渉防止層:1〜30μm程度 電荷発生層:0.05〜1μm程度 電荷輸送層:10〜30μm程度 尚、これらの各層の内、特に厚膜層を設けたい電荷輸送
層は本発明の浸漬塗布装置(電子写真感光体の製造装
置)を用いることが好ましいが、それ以外の層は、従来
公知の通常の浸漬塗布装置や、その他公知の塗布装置
(例えば、スプレー法によるもの、バーコート法による
もの等)により塗布しても構わない。
【0038】2.単層型の場合 単層型電子写真感光体を製造する場合の感光層の塗布液
は、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂を溶媒に混
合または分散させて調合される。用いることのできる電
荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂および溶媒は、積
層型の場合に用いたものと同様である。また、前述の下
引き層および/または干渉防止層は、単層型においても
設けてよく、その塗布液は積層型の場合に用いた下引き
層および/または干渉防止層物質と溶媒とを混合して調
合される。これら感光層の塗布液、および必要に応じて
設けられる下引き層の塗布液は、積層型の場合と同様に
して、本発明の浸漬塗布装置10、20、40により基
体上に塗布される。塗膜の膜厚の調整、下引き層および
干渉防止層の好ましい膜厚の範囲も積層型の場合と同様
であり、感光層の好ましい膜厚の範囲としては、20〜
40μm程度である。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の諸例で用いた化合物および塗布液
の組成は、以下の通りである。
【0040】
【化1】
【0041】
【化2】
【0042】 塗布液A(下引き層) 構造式(1)のジルコニウム化合物 20重量部 構造式(2)のシランカップリング剤 2重量部 構造式(3)のポリビニルブチラール樹脂 2重量部 1−ブタノール 70重量部 上記材料を混合、溶解したものを塗布液Aとした。
【0043】 塗布液B(電荷発生層) クロルガリウムフタロシアン 5重量部 構造式(6)の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5重量部 酢酸n−ブチル 200重量部 上記材料を1mmφのガラスビーズを用いたサンドミル
で2時間分散して得られた分散液を塗布液Bとした。
【0044】 塗布液C−1(電荷輸送層1) 構造式(4)の電荷輸送物質 1重量部 構造式(5)のポリカーボネイト樹脂 1重量部 モノクロルベンゼン 2重量部 テトラヒドロフラン 4重量部 上記材料を混合、溶解したものを塗布液C−1とした。
【0045】 塗布液C−2(電荷輸送層2) 構造式(4)の電荷輸送物質 1重量部 構造式(5)のポリカーボネイト樹脂 1重量部 モノクロルベンゼン 6重量部 ジクロロメタン 2重量部 上記材料を混合、溶解したものを塗布液C−2とした。
【0046】実施例1 湿式ホーニング処理によって表面粗度Raを0.18と
した84mmφ×340mmLの円筒状アルミ基体に浸
漬塗布装置(通常の塗布装置)を用いて塗布液A(下引
き層)を乾燥膜厚が1.0μmになるような引き上げ速
度で塗布し、自然乾燥2分間、乾燥温度150℃,10
分間乾燥した。次いで塗布液B(電荷発生層)を浸漬塗
布装置(通常の塗布装置)を用いて乾燥膜厚が0.2μ
mになるような引き上げ速度で塗布し、自然乾燥1分
間、乾燥温度100℃,10分間乾燥した。さらに塗布
液C−1(電荷輸送層)を図1の浸漬塗布装置10を用
いて乾燥膜厚が25μmになるような引き上げ速度で塗
布した。浸漬塗布装置10は、以下の条件に設定した。 ・蓋14面からの浸漬塗布槽11上端の高さ(以下、
「Dh」と表記し、後記比較例との区別のため数値の前
に「+」を付する):+10mm ・浸漬塗布槽11の外径(以下、「Dd」と表記す
る):110mmφ ・蓋14の開口径(以下、「Fd」と表記する):13
0mmφ その後、自然乾燥2分間、さらに熱風乾燥機により乾燥
温度135℃で40分間乾燥した。このようにして電子
写真感光体を作製した。
【0047】比較例1 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図6の
浸漬塗布装置60を用いる以外は実施例1と同様に電子
写真感光体を作製した。 ・蓋64面より浸漬塗布槽61上端を10mmダウン
(以下、このようにダウンする場合を、実施例1におけ
る記号Dhを用いて、数値の前に「−」を付することに
より表記する。即ち本例においては、Dh:−10m
m) ・浸漬塗布槽61の外径(以下、実施例1同様「Dd」
と表記する):110mmφ ・蓋64の開口径(以下、実施例1同様「Fd」と表記
する):130mmφ
【0048】実施例2 湿式ホーニング処理によって表面粗度Raを0.20と
した30mmφ×360mmLの円筒状アルミ基体に浸
漬塗布装置(通常の塗布装置)を用いて塗布液A(下引
き層)を乾燥膜厚が1.0μmになるような引き上げ速
度で塗布し、自然乾燥2分間、乾燥温度150℃,10
分間乾燥した。次いで塗布液B(電荷発生層)を浸漬塗
布装置(通常の塗布装置)を用いて乾燥膜厚が0.2μ
mになるような引き上げ速度で塗布し、自然乾燥1分
間、乾燥温度100℃,10分間乾燥した。さらに塗布
液C−2(電荷輸送層)を図1の浸漬塗布装置10を用
いて乾燥膜厚が24μmになるような引き上げ速度で塗
布した。浸漬塗布装置10は、以下の条件に設定した。 ・Dh:+20mm ・Dd:100mmφ ・Fd:130mmφ その後、自然乾燥2分間、さらに熱風乾燥機により乾燥
温度115℃で40分間乾燥した。このようにして電子
写真感光体を作製した。
【0049】比較例2 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図6の
浸漬塗布装置60を用いる以外は実施例2と同様に電子
写真感光体を作製した。 ・Dh:±0mm(蓋64面と浸漬塗布槽61上端を同
じ高さに合わせた) ・Dd:100mmφ ・Fd:130mmφ
【0050】実施例3 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図1の
浸漬塗布装置10を用いる以外は実施例1と同様にして
電子写真感光体を作製した。 ・Dh:+10mm ・Dd:100mmφ ・Fd:160mmφ
【0051】実施例4 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図2の
浸漬塗布装置20を用い、フード16としては図3
(a)タイプのもの(軸方向の長さHl:150mm、
内径:130mm)を用いる以外は実施例1と同様にし
て電子写真感光体を作製した。 ・Dh:+15mm ・Dd:110mmφ ・Fd:130mmφ
【0052】実施例5 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図2の
浸漬塗布装置20を用い、フード16としては図3
(b)タイプのもの(軸方向の長さHl:150mm、
内径:130mm、メッシュの開口径50μmφ)を用
いる以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製
した。 ・Dh:+15mm ・Dd:110mmφ ・Fd:130mmφ
【0053】比較例3 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図7の
浸漬塗布装置70を用い、フード16としては図3
(a)タイプのもの(軸方向の長さHl:150mm、
内径:130mm)を用いそれ以外は実施例1と同様に
して電子写真感光体を作製した。 ・Dh:−10mm ・Dd:110mmφ ・Fd:130mmφ
【0054】比較例4 電荷輸送層を形成する際、以下の条件に設定した図7の
浸漬塗布装置70を用い、フード16としては図3
(b)タイプのもの(軸方向の長さHl:150mm、
内径:130mm、メッシュの開口径50μmφ)を用
いそれ以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作
製した。 ・Dh:−10mm ・Dd:110mmφ ・Fd:130mmφ
【0055】[評価試験]実施例1〜5および比較例1
〜4の電子写真感光体について、その電荷輸送層の膜厚
を干渉膜厚計(MCPD−2000、大塚電子(株)
製)で測定して、塗膜の均一性の評価を実施した。評価
項目としては、1)上端部膜厚ダレ、2−a)面内周方
向ムラおよび2−b)面内軸方向ムラの三種類とし、以
下の評価方法および基準で評価を実施した。さらに、こ
れらの結果に基づいて以下の基準により総合判定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0056】[評価方法および評価基準]実施例1〜5
および比較例1〜4の電子写真感光体について、電荷輸
送層の塗膜形成時、浸漬塗布槽11に対し基体の軸方向
を垂直にして浸漬した際、上側となった端を上端とし、
下側となった端を下端とする。 1)上端部膜厚ダレ 図8は、実施例1の電子写真感光体の軸方向の膜厚の変
動を示すグラフである。横軸は電子写真感光体上端から
の距離を、縦軸は膜厚を示し、前記上端からの各距離に
おける膜厚をプロットしたものである。このグラフから
わかるように、上端から15mm程度までは膜厚は急激
に上昇し、15mm程度からは徐々に安定化し、50m
m程度からはほぼ一定の膜厚で安定する。実用に供する
電子写真感光体は、その両端は使用しないため、上端か
ら15mm程度までの膜厚の急激な変動は問題ない。し
かし、上端から15mm以降は実際に感光体として使用
に供する部分となる可能性があり、上端から15mm以
降の膜厚の不安定(膜厚ダレ)が特に問題となる。
【0057】従って、本評価では、実施例1〜5および
比較例1〜4の電子写真感光体について、上端から50
〜300mmの間の任意の数点を測定し、その平均値を
平均膜厚ta(μm)とし、一方、上端から15mmの
点における膜厚tx(μm)を測定し、ta−txの値
を上端部膜厚ダレとした。さらに以下の評価基準で評価
を行った。 ○:0.8μm未満 △:0.8μm以上1.1μm未満 ×:1.1μm以上
【0058】2)面内ムラ 図9は面内ムラの評価方法を説明するための電子写真感
光体の斜視図である。左側が電子写真感光体の上端、右
側が下端となっている。図示の如く、上端より軸方向に
50mmであって周方向に等間隔に4点(ABCD)の
膜厚を測定し、さらに上端より軸方向に170mmおよ
び290mmの各地点においても同様に各4点(A’
B’C’D’およびA”B”C”D”)、合計12点に
ついて膜厚を測定した。
【0059】2−a)周方向ムラ 上端より軸方向に170mmでの4点(A’B’C’
D’)における各膜厚の内、その最大値と最小値との差
を周方向ムラとした。 2−b)軸方向ムラ 上端より軸方向に50mmでの4点(ABCD)の測定
値、170mmでの4点(A’B’C’D’)の測定
値、および290mmでの4点(A”B”C”D”)の
測定値をそれぞれ平均し、得られた数値の最大値と最小
値との差を軸方向ムラとした。
【0060】さらに以下の評価基準で、面内ムラについ
ての評価を行った。 ○:周方向ムラが1.5μm以下、かつ、軸方向ムラが
1.0μm以下 ×:周方向ムラが1.5μmより大、または、軸方向ム
ラが1.0μmより大
【0061】3)総合判定 以上で得られた、1)上端部膜厚ダレ、および、2)面
内ムラの両評価結果に基づいて、以下の基準で総合判定
を行った。 ○:上端部膜厚ダレおよび面内ムラの評価が共に「○」
のもの △:上端部膜厚ダレが「○」のもの ×:上端部膜厚ダレが「△」または「×」のもの
【0062】
【表1】
【0063】以上の結果からわかるように、本発明の浸
漬塗布装置(電子写真の製造装置)を用いた実施例1〜
5は、いずれも上端部膜厚ダレの少ない均一な塗布面を
提供することができることがわかる。但し、Fd/Dd
が1.5を超える実施例3では、フローパン12からの
溶剤蒸気の影響によると思われる面内ムラがやや大きく
なっている。また、フード16を設けた実施例4および
5に対し、それを設けなかった実施例1および2は、外
風の影響によると思われる面内ムラ(特に周方向ムラ)
がやや大きくなっている。
【0064】
【発明の効果】以上説明した本発明の浸漬塗布装置によ
れば、浸漬塗布面のオバーフロー面が、溢流した液を受
けるフローパン壁より高く、フローパンの蓋より突出し
させたため、浸漬塗布槽上の溶剤蒸気濃度の低下が図ら
れ、被塗物の膜厚の均一化を達成することができる。ま
た、該塗布装置を電子写真感光体の製造装置として用い
れば、感光層の膜厚の均一な、感光体特性に優れた電子
写真感光体を工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる浸漬塗布装置を示
す概略構成図である。
【図2】本発明のフードを設けた実施形態にかかる浸漬
塗布装置を示す概略構成図である。
【図3】図2におけるフードの具体例を示す斜視図であ
り、(a)は下端部に連通孔を設けた例、(b)はフー
ド全体がメッシュ状の例である。
【図4】本発明の浸漬塗布槽を8槽有する実施形態にか
かる浸漬塗布装置を示す斜視図である。
【図5】図4の浸漬塗布装置の断面図である。
【図6】従来の浸漬塗布装置の一例を示す概略構成図で
ある。
【図7】比較例に用いた浸漬塗布装置を示す概略構成図
である。
【図8】実施例における上端部膜厚ダレの評価法を説明
するグラフである。
【図9】実施例における面内ムラの評価法を説明する図
である。
【符号の説明】
10、20、40、60、70:浸漬塗布装置 11、61:浸漬塗布槽 12、62:フローパン(塗布液受け皿) 13、63:戻り配管 14、64:蓋 15、65:塗布液回収層 16、16a:フード 17、67:パイプ 18:開口 19:連通孔 P:液送手段 F:フィルター

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗布液を保持し、被塗物を浸漬する浸漬
    塗布槽と、該浸漬塗布槽の外周に設けられた塗布液受け
    皿と、前記浸漬塗布槽に塗布液を供給する液送手段と、
    を有し、液送手段により浸漬塗布槽底部から塗布液を供
    給し、該浸漬塗布槽上端開口部から塗布液を溢流させ、
    溢流した塗布液を塗布液受け皿にて回収し、再度この塗
    布液を前記液送手段により前記浸漬塗布槽に供給するこ
    とにより、塗布液を循環させる浸漬塗布装置において、
    前記塗布液受け皿上部に前記浸漬塗布槽の外周よりも大
    きな開口を有する蓋を設け、前記浸漬塗布槽上端を前記
    蓋の開口より突出させたことを特徴とする浸漬塗布装
    置。
  2. 【請求項2】 浸漬塗布槽が円筒状であり、蓋の開口が
    円形であり、該浸漬塗布槽と蓋の開口とが同心円となる
    ように配したことを特徴とする請求項1に記載の浸漬塗
    布装置。
  3. 【請求項3】 浸漬塗布槽の外径Dd(mm)と蓋の開
    口径Fd(mm)とが、以下の関係を有することを特徴
    とする請求項2に記載の浸漬塗布装置。 1<Fd/Dd≦1.5 Fd−Dd≧4(mm)
  4. 【請求項4】 軸方向両端が開口し、蓋の開口径と同径
    以上の内径を有し、かつ、外周に外部と連通する連通孔
    が設けられた円筒状フードを、蓋の開口の上部に該開口
    と同心円となるように配したことを特徴とする請求項2
    または3に記載の浸漬塗布装置。
  5. 【請求項5】 連通孔が、フードの外周の下端部および
    /またはその周辺部に設けられたことを特徴とする請求
    項4に記載の浸漬塗布装置。
  6. 【請求項6】 連通孔が、フードの外周の全面に設けら
    れたことを特徴とする請求項4に記載の浸漬塗布装置。
  7. 【請求項7】 フードの外周が、10μm〜1mmの開
    口径のメッシュ状であることを特徴とする請求項4に記
    載の浸漬塗布装置。
  8. 【請求項8】 浸漬塗布槽を複数有し、かつ蓋に浸漬塗
    布槽と同数の開口が設けられたことを特徴とする請求項
    1〜7に記載の浸漬塗布装置。
  9. 【請求項9】 電子写真感光体の構成層となる塗布液を
    保持し、円筒状基体を浸漬する浸漬塗布槽と、該浸漬塗
    布槽の外周に設けられた塗布液受け皿と、前記浸漬塗布
    槽に塗布液を供給する液送手段と、を有し、液送手段に
    より浸漬塗布槽底部から塗布液を供給し、該浸漬塗布槽
    上端開口部から塗布液を溢流させ、溢流した塗布液を塗
    布液受け皿にて回収し、再度この塗布液を前記液送手段
    により前記浸漬塗布槽に供給することにより、塗布液を
    循環させ、前記浸漬塗布槽に浸漬した円筒状基体を引き
    上げその周面に電子写真感光体の構成層を形成する電子
    写真感光体の製造装置において、前記塗布液受け皿上部
    に前記浸漬塗布槽の外周よりも大きな開口を有する蓋を
    設け、前記浸漬塗布槽上端を前記蓋の開口よりも突出さ
    せたことを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
  10. 【請求項10】 浸漬塗布槽が円筒状であり、蓋の開口
    が円形であり、該浸漬塗布槽と蓋の開口とが同心円とな
    るように配したことを特徴とする請求項9に記載の電子
    写真感光体の製造装置。
  11. 【請求項11】 浸漬塗布槽の外径Dd(mm)と蓋の
    開口径Fd(mm)とが、以下の関係を有することを特
    徴とする請求項10に記載の電子写真感光体の製造装
    置。 1<Fd/Dd≦1.5 Fd−Dd≧4(mm)
  12. 【請求項12】 軸方向両端が開口し、蓋の開口径と同
    径以上の内径を有し、かつ、外周に外部と連通する連通
    孔が設けられた円筒状フードを、蓋の開口の上部に該開
    口と同心円となるように配したことを特徴とする請求項
    10または11に記載の電子写真感光体の製造装置。
  13. 【請求項13】 連通孔が、フードの外周の下端部およ
    び/またはその周辺部に設けられたことを特徴とする請
    求項12に記載の電子写真感光体の製造装置。
  14. 【請求項14】 連通孔が、フードの外周の全面に設け
    られたことを特徴とする請求項12に記載の電子写真感
    光体の製造装置。
  15. 【請求項15】 フードの外周が、10μm〜1mmの
    開口径のメッシュ状であることを特徴とする請求項12
    に記載の電子写真感光体の製造装置。
  16. 【請求項16】 浸漬塗布槽を複数有することを特徴と
    する請求項9〜15に記載の電子写真感光体の製造装
    置。
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