JPH1033670A - 貯血槽および送血機構付貯血槽ならびに人工心肺装置 - Google Patents

貯血槽および送血機構付貯血槽ならびに人工心肺装置

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JPH1033670A
JPH1033670A JP8208898A JP20889896A JPH1033670A JP H1033670 A JPH1033670 A JP H1033670A JP 8208898 A JP8208898 A JP 8208898A JP 20889896 A JP20889896 A JP 20889896A JP H1033670 A JPH1033670 A JP H1033670A
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tube
outflow
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯血槽内部の貯血量が所定値以下になった場
合に、貯血槽より流出する血液流量を減少させることが
できる貯血槽およびそれを備える送血機構付貯血槽およ
び人工心肺装置を提供する。 【解決手段】 貯血槽1は、血液流入口11と、血液流
出口12を有する血液流出部8と、血液流入口および血
液流出部と連通する貯血部17とを備える。血液流出部
8は、貯血部内の血液量が所定値以下となったときに、
血液流出部より流出する血液量を規制する血液流出量規
制機構14を備える。血液流出量規制機構14は、血液
より比重の低い浮子41と、浮子と棒状部材42により
接続された血液より比重の高い弁部材43からなる弁体
と、血液流出部8の開口部に設けられた弁座部45と、
弁部材を弁座部に誘導するための誘導部材44とを有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工肺などに用い
られる体外血液循環回路中において血液を一時的に貯留
する貯血槽および送血機能を備える送血機構付貯血槽さ
らに貯血槽を備えた人工心肺装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、開心術の際に、生体肺に代わり血
液中の二酸化炭素を除去し、血液に酸素を添加するため
に、人工肺を組み込んだ体外循環回路が用いられてい
る。この体外循環回路では、患者の静脈より脱血し、人
工肺によりガス交換を行った後、この血液を再び患者の
動脈に戻す体外血液循環が行われる。体外循環回路に
は、術野から血液を吸引し、異物を除去した後、返血す
るカーディオトミーラインが設けられる。このような人
工肺体外血液循環回路には、脱血した血液を一時的に貯
留しておくための貯血槽や、術野から吸引された血液を
濾過し、一時的に貯留しておくためのカーディオトミー
リザーバーが設置され、回路内の血液量を調整し、返血
量を一定に保つための緩衝機能を果している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】体外血液循環時に貯血
槽内の血液がゼロになると、送血ポンプにより空気が体
外循環血液回路に空気が送り込まれることになるので、
貯血槽に液面センサを設けて、貯血槽内の貯血量の管理
を行っている。そして、液面センサにより貯血量が所定
値以下であることが検知された場合、送血ポンプによる
送血を一時中断し、貯血量の回復を待つといったことが
行われる。しかし、送血中断は、人工肺を含む回路内全
体での血液停滞となり好ましいものではない。
【0004】そこで、本発明の課題は、貯血槽内部の貯
血量が少なくとも所定値以下になった場合に、貯血槽よ
り流出する血液流量を減少させることができる貯血槽お
よびそれを備える送血機構付貯血槽および人工心肺装置
を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するもの
は、血液流入口と、血液流出口を有する血液流出部と、
前記血液流入口および前記血液流出部と連通する貯血部
とを備える貯血槽であって、前記血液流出部には、前記
貯血部内の血液量が所定値以下となったときに、前記血
液流出部より流出する血液量を規制する血液流出量規制
機構を備える貯血槽である。そして、前記血液流出量規
制機構は、例えば、前記貯血部内の血液量が所定値以下
となる以前の血液流量の1/8〜7/8となるように、
血液流量を規制するものである。また、前記血液流出量
規制機構は、例えば、血液より比重の低い浮子と、該浮
子と所定距離離間するように棒状部材により接続され、
血液より比重の高い弁部材とを備える弁体と、前記血液
流出部の開口部に設けられた弁座部と、前記弁部材を該
弁座部に誘導するための誘導部材とを有し、前記弁座部
もしくは前記弁部材は、前記弁部材と前記弁座部が密着
した状態において、前記貯血部と前記血液流出口側とを
連通する狭小な通路を備えるものである。さらに、前記
貯血部の外部に設けられた把持部と、前記弁体と該把持
部とを接続する接続部材とからなる弁部材密着状態解放
機構を備えていてもよい。
【0006】また、上記目的を達成するものは、血液流
入口と、第1の血液流出口を有する第1血液流出部と、
前記第1の血液流出部より所定距離下方に設けられた第
2の血液流出部と、前記血液流入口および前記血液流出
部と連通する貯血部とを備える貯血槽であって、前記第
1の血液流出部は、少なくとも前記貯血部内の血液面が
該第1の血液流出部より下方となった状態において、前
記第1の血液流出部を閉塞する弁体を有し、かつ、前記
第2の血液流出部は、前記第1の血液流出口より流出可
能な血液流出量より、十分に少ない血液流出しか許容し
ない血液流出部となっている貯血槽である。そして、前
記第2の血液流出部は、例えば、前記第1の血液流出口
より流出可能な血液流出量の1/8〜7/8の血液流出
しか許容しないものである。また、前記弁体は、例え
ば、血液より比重の低い弁部材と、前記第1の血液流出
部に設けられた弁座部と、前記弁部材を前記弁座部に誘
導するための誘導部材とからなるものである。さらに、
前記貯血部の外部に設けられた把持部と、前記弁部材と
該把持部とを接続する接続部材とからなる弁部材密着状
態解放機構を備えていてもよい。また、前記第2の血液
流出口もしくはその付近は、前記第1の血液流出口に比
べて、内径が細径となっていてもよい。さらに、前記第
1の血液流出部は、第1の血液チューブを備え、前記第
2の血液流出部には、第2の血液チューブを備え、該第
2の血液チューブは、前記第1の血液チューブより内径
が細径となっているものであってもよい。
【0007】また、上記目的を達成するものは、上記の
貯血槽と、遠心ポンプと、前記貯血槽の前記血液流出口
と前記遠心ポンプとを接続する血液チューブとを備える
送血機構付貯血槽である。そして、前記血液チューブ
は、クランプ可能な柔軟部を有することが好ましい。
【0008】また、上記目的を達成するものは、上記の
貯血槽と、遠心ポンプと、前記貯血槽の前記血液流出口
と前記遠心ポンプとを接続する血液チューブとを備え、
該血液チューブは、分岐しており、分岐チューブの一方
が前記第1の血液流出口に接続され、分岐チューブの他
方が前記第2の血液流出口に接続されている送血機構付
貯血槽である。そして、前記第2の血液流出口に接続さ
れた分岐チューブは、前記第1の血液流出口に接続され
た分岐チューブより、内径が細径であり、前記第1の血
液流出口に接続された分岐チューブは、クランプ可能な
柔軟部を有することが好ましい。
【0009】また、上記目的を達成するものは、上記の
送血機構付貯血槽と、該送血機構付貯血槽に取り付けら
れた人工肺と、該人工肺と前記送血機構付貯血槽の遠心
ポンプとを接続する血液チューブとを備える人工心肺装
置である。
【0010】
【発明の実施の形態】そこで、本発明の貯血槽を図面に
示す実施例を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の
貯血槽を備える人工心肺装置の一実施例の側面図であ
る。図2は、図1に示した人工心肺装置の部分断面図で
ある。本発明の貯血槽1は、血液流入口11と、血液流
出口12を有する血液流出部8と、血液流入口11およ
び血液流出部8と連通する貯血部17とを備える。血液
流出部8には、貯血部17内の血液量が所定値以下とな
ったときに、血液流出部より流出する血液量を規制する
血液流出量規制機構14を備えている。図1および図2
に示す人工心肺装置50は、上記の本発明の貯血槽1
と、貯血槽1より下流に設けられた送血ポンプ2と、送
血ポンプ2より下流に設けられた人工肺3を有する。
【0011】貯血槽1は、内部に形成された貯血空間で
ある貯血部17と、この貯血部17の上部と連通する血
液流入口11、貯血部17の下部と連通する血液流出口
12、貯血部17の上部と連通する吸引手段接続ポート
13、貯血部17の上部と連通する心内血吸引用チュー
ブ接続ポート15を備える。血液流入口11には、脱血
チューブが、また、心内血吸引用チューブ接続ポート1
5には、心内血吸引用チューブが接続される。
【0012】貯血槽1は、図1および図2に示すよう
に、硬質樹脂により形成された貯血槽ハウジング本体5
3aと蓋体53bとで構成されるハウジングを有してい
る。蓋体53bは、図1および図2に示すように、ハウ
ジング本体53aの上部開口を覆うように、ハウジング
本体53aの上端に嵌合されている。蓋体53bは、脱
血チューブが接続される血液流入口11、吸引手段接続
用ポート13、心内血吸引用チューブ接続ポート15を
有している。吸引手段接続用ポート13は、心内血吸引
用チューブ接続ポート15より流入する心内血の吸引と
貯血槽内部を陰圧にするために用いられる。
【0013】貯血槽のハウジング53を構成する部材と
しては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−スチ
レン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合
体等が好適に使用できる。特に、ポリカーボネート、ア
クリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルが好まし
い。そして、貯血槽ハウジング内部には、図2に示すよ
うに、血液を一時的に貯留しておくための貯血部17が
形成されている。この貯血部17の容積は、特に限定さ
れないが、通常、成人用では、3000〜5000ml
程度であり、小児用では、1000〜2500mlであ
る。また、ハウジングは、貯血量や内部に貯留している
血液の状態を容易に確認できるように、実質的に透明ま
たは半透明であることが好ましい。
【0014】ハウジング53は、下方に突出する突出部
53cを有する。突出部53cは、断面積狭小部であ
り、貯血量低下時における貯血量または貯血量の変化を
正確かつ容易に把握できるようにするためのものであ
る。そして、図1に示すように、突出部は、先端に向か
ってより断面積が小さくなっている。ハウジング本体5
3a内には、血液流入口11より流入した血液を濾過す
るための心内血濾過フィルター57と、血液流入口11
より流入した血液を濾過する静脈血フィルター54が設
けられている。ハウジング本体53aの下方に突出する
突出部53cの下部に血液流出部8が形成されている。
血液流出部8には、貯血部17内の血液量が所定値以下
となったときに、血液流出部より流出する血液量を規制
する血液流出量規制機構14が設けられている。血液量
が所定値とは、約50ml以上が好適である。
【0015】そして、血液流出量規制機構14は、貯血
部17内の血液量が所定値以下となる以前の血液流量の
1/8〜7/8となるように、血液流量を規制するもの
であることが好ましい。特に、1/4〜1/2となるよ
うに血液流量を規制するものであることが好ましい。
【0016】この実施例の貯血槽1は、貯血槽の血液流
出部の拡大断面図である図3に示すような血液流出量規
制機構14を備える。血液流出量規制機構14は、血液
より比重の低い浮子41と、浮子41と所定距離離間す
るように棒状部材42により接続された血液より比重の
高い弁部材43からなる弁体と、血液流出部8の開口部
に設けられた弁座部45と、弁部材43を弁座部45に
誘導するための誘導部材44とを有する。棒状部材42
は、浮子41と弁部材43間の距離が実質的に変わらな
い程度の硬質材料により形成されている。なお、棒状部
材42は、多少の可撓性を有するものであってもよい。
【0017】弁部材43が貯留血液の下方に沈もうとす
る重力に比べて、浮子41は、貯留血液より十分に大き
い浮力を受けるように作成されているので、弁体は、貯
血部17内の血液量が第1の所定値以上であれば、図1
および図2に破線で示すように、弁部材43が誘導部材
44の上枠部44bに当接する状態となり、それ以上上
方へは移動しない。また、この状態において、浮子41
に与えられる浮力が、送血ポンプより与えられる吸引力
より勝るため、弁体は、血液流出口側に吸引されること
なく、その状態を保持する。そして、この状態では、浮
子41も血液面より露出せず、貯留血液内に位置(埋
没)する。
【0018】そして、貯血部17内の血液量が第1の所
定値以下となり、血液面が下降すると、浮子41が血液
面より露出し、さらに、血液面が下降すると、浮子41
とともに弁体も下降する。そして、貯血部17内の血液
量が第2の所定値以下となるほど血液面が下降すると、
弁部材43と血液流出口との距離が近くなり、送血ポン
プより弁部材43に与えられる吸引力が、浮子41に与
えられる浮力より勝り、弁部材43は、血液流出口側に
吸引され、弁座部45に密着する。これにより、血液流
出部の血液流路の大部分が閉塞される。しかし、送血ポ
ンプの吸引力により、弁部材43が弁座部45に密着し
た状態において、弁座部45は、図3のB−B断面図で
ある図5に示すように、貯血部17と血液流出口12側
とを連通する狭小な通路46を備える。このため、血液
流出部の血液流路が完全に閉塞されることなく、この狭
小な通路46から血液が流出する。このため、弁部材4
3が弁座部45に密着した状態以降、言い換えれば、貯
血部17内の血液量が第2の所定値以下となった以降
は、少量の血液のみ流出し、貯血部17内の血液の減少
が極めてゆるやかになり、貯血部17内の貯血量が急激
にゼロになることを防止できる。さらに、貯血部17内
の貯血量がゼロになるまでの時間を長くでき、この間
に、貯血量の回復も期待できる。
【0019】浮子41は、比重が1.03〜0.1のも
のが使用され、具体的には、合成樹脂により、中空に形
成したものが好適である。浮子41の形状はどのような
ものでもよく、例えば、図示するような球体が好適であ
る。弁部材43としては、比重が1.03〜10.0程
度のものが使用でき、具体的には、比重調整剤を添加し
た合成樹脂により、中実もしくは中空に形成したものが
好適である。比重調整剤としては、金属粉末などが使用
できる。弁部材43の形状はどのようなものでもよく、
例えば、図示するような球体が好適である。また、棒状
部材42は、一端が浮子41内に挿入され固定され、他
端が、弁部材43内に挿入され固定されている。棒状部
材42は、合成樹脂もしくはステンレス、チタン、チタ
ン合金などの金属により形成される。
【0020】浮子、弁部材および棒状部材の形成材料と
しては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−スチレン共重
合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の合
成樹脂もしくはステンレス、チタン、チタン合金などの
金属が好適に使用できる。
【0021】弁体(浮子、棒状部材および弁部材)は、
血液中を浮遊するので、その表面が抗血栓性表面となっ
ていることが好ましい。抗血栓性表面は、抗血栓性材料
を弁体の表面に被覆もしくは固定することにより形成す
ることができる。抗血栓性材料としては、ヘパリン、ポ
リアルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸エ
ステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体(例
えば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタクリレ
ート])、疎水性セグメントと親水性セグメントの両者
を有するブロックまたはグラフト共重合体(例えば、H
EMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HE
MA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共
重合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアクリレー
ト]のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピロリド
ン]−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/
AA[アクリル酸]のブロック共重合体、さらにこのブ
ロック共重合体にアミノ基を有するポリマーを混合した
ブレンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使用でき
る。好ましくは、HEMA−スチレン−HEMAのブロ
ック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレ
ート]のブロック共重合体、HEMA−MMA/AA
[アクリル酸]のブロック共重合体などが使用できる。
【0022】弁座部45は、図3に示すように、血液流
出口側に向かって縮径するテーパー状内面を備え、この
テーパー状内面に、貯血部17側と血液流出口側とを連
通するための溝46が設けられている。この溝が、上記
の狭小な通路46を形成する。溝46は、一つでもよい
が、好ましくは、複数(具体的には 2〜8個)を等角
度間隔に設けることである。図5における溝の面積(溝
の弁部材との接触部での断面積の総和)は、図5におけ
る弁部材43がない状態の弁座部45の断面積の1/2
50〜2/3程度が好適である。この範囲であれば、下
流に設けられる人工肺内での血液凝固を防止できる程度
の血液流通を確保するとともに、貯血部内の貯血量の減
少を十分にゆるやかなものとすることができる。また、
この弁座部45の表面も、上記のような抗血栓性表面と
なっていることが好ましい。抗血栓性表面は、上述のよ
うな方法により形成される。
【0023】誘導部材44は、この実施例では、上方に
延びる籠状のものであり、具体的には、図3および図3
のA−A線断面図である図4に示すように、4本の横枠
44aと横枠の上端に設けられこれらを連結する上枠4
4bを有する。4本の横枠44aの下端は、弁座部45
(血液流出部の開口部)を取り囲むように、弁座部45
の周縁もしくは貯血槽ハウジングの底面に固定されてい
る。上枠の中央部には、棒状部材42を挿通するための
開口44cを有する。誘導部材44内に収納された弁部
材43は、誘導部材44より離脱することなく、かつ誘
導部材44内を摺動可能となっている。
【0024】なお、上述の実施例では、狭小な血液通路
が、弁座部45の溝により形成されているが、これに限
られるものではな。例えば、図6および図6のC−C線
断面図である図7に示すように、弁部材43の外面に形
成された溝43aにより、送血ポンプの吸引力により、
弁部材43が弁座部45に密着した状態において、貯血
部17側と血液流出口12側とを連通する狭小な通路が
形成されるものでもよい。この実施例では、弁部材43
は、中央より下方に斜めに延びる複数の溝43aを有し
ている。弁座部45は、血液流出口側に向かって縮径す
るテーパー状であり、かつ平滑な内面となっている。図
7における溝43aの面積(溝の弁部材との接触部での
断面積の総和)は、図7における弁部材43がない状態
の弁座部45の断面積の1/250〜2/3程度が好適
である。
【0025】また、図8に示す貯血槽4のように、貯血
部17の外部に設けられた把持部48と、弁体と把持部
48とを接続する接続部材47とからなる弁部材密着状
態解放機構を備えるものであってもよい。この実施例の
貯血槽4では、弁体の一部である浮子41は、リング状
の把持部48材と線状の接続部材47により連結されて
いる。線状の接続部材47は、十分に柔軟であり、かつ
十分な長さを有し、弁体の移動を妨げないものとなって
いる。線状部材は、合成繊維、天然繊維、金属繊維、無
機繊維、金属線材などにより紐状に形成されたものが好
適である。また、この線状の接続部材47の表面も、上
記のような抗血栓性表面となっていることが好ましい。
抗血栓性表面は、上述のような方法により形成される。
なお、この実施例では、線状の接続部材47は、浮子4
1に固定されているが、これに限られるものではなく、
弁体のどこでもよく、弁体の接続部材42もしくは弁部
材43に固定されていてもよい。
【0026】また、図1及び図2に示すように、貯血槽
1の下方には、送血ポンプ2が取り付けられている。図
1及び図2に示す実施例では、送血ポンプとして、遠心
ポンプが用いられている。遠心ポンプ2は、内部に回転
体を備えるポンプ部23と、回転体を外部より非接触状
態で回転させるためのポンプ駆動部24とにより構成さ
れている。遠心ポンプとしては、公知のものが使用でき
る。なお、送血ポンプとしては、定圧ポンプ、ローラー
ポンプ、ペリスタルリックポンプ、ベローズポンプなど
が使用される。定圧ポンプは、一定の圧力で流体を送液
する。定圧ポンプ手段は、定圧ポンプとこの定圧ポンプ
を駆動させるためのモータからなり、定圧ポンプとして
は、遠心ポンプ、タービンポンプ、スクリューポンプな
どが使用できる。特に、遠心ポンプが、血液損傷を与え
ることが少ないなどの理由により好適である。
【0027】送血ポンプ2の血液流入口21は、血液チ
ューブ16により貯血槽1の血液流出口12と接続さ
れ、ポンプ2の血液流出口22は、血液チューブ25に
より人工肺の血液流入口31に接続されている。送血ポ
ンプ2が作動することにより、貯血槽1の貯血部17内
の血液は、人工肺に送血される。血液チューブ16の中
央部は、鉗子などによりクランプ可能な柔軟部16aと
なっている。弁部材43が弁座部45に密着した状態に
おいて、血液チューブの柔軟部16aをクランプする
と、一時的に、送血ポンプより弁部材に与えられる吸引
力が弱まり、浮子41に与えられる浮力により、弁部材
43が弁座部45より解放され、弁体が上方に移動す
る。よって、このような柔軟部16aを有することによ
っても、弁部材43の密着状態を容易に解放することが
できる。
【0028】人工肺3は、図2に示すように、熱交換器
付中空糸膜型人工肺であり、人工肺部3aと熱交換器部
3bを備え、熱交換器部が上流側で人工肺が下流側とな
っている。この実施例の熱交換器部3bは、血液流入ポ
ート31と、血液導出ポート52と、熱媒体流入ポート
37と、熱媒体流出ポートとを有する熱交換器ハウジン
グ55と、熱交換器ハウジング55内に収納された複数
の熱交換用管体58と、熱交換用管体58の両端部を熱
交換器ハウジング55の内面に液密に固着する熱交換器
内隔壁57a,57bとを備える。そして、熱交換器ハ
ウジング55内には、血液流入ポート31および血液導
出ポート52と連通し、管体58の外面と熱交換器ハウ
ジング55の内面と熱交換器内隔壁57a,57bの内
側面により形成された血液流通室と、熱媒体流入ポート
37および熱媒体流出ポート(図示せず)と連通し、管
体58内部により形成された熱媒体流通室とを有してい
る。熱交換器の血液導出ポート52は人工肺の血液導入
ポート62と接続チューブ70により接続されている。
【0029】熱交換用管体58としては、熱伝導率の高
い金属管(例えば、ステンレス管、アルミ管、銅管)あ
るいは樹脂管が好適に使用できる。管体58の内径は、
0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmであり、
このような管体26が、約20本〜1000本の細管束
に形成され、熱交換器ハウジング55内(この実施例で
は、内筒部内)に収納されている。管体58相互の距離
としては、管体58の外径、内筒部の内径などにより異
なるが、0.1mm〜10mm、好ましくは0.5mm
〜5mm程度である。熱交換用管体58の両端部は、端
面を閉塞しない状態で熱交換器内隔壁57a,57bに
より、熱交換器ハウジング55の内面に液密に固着され
ている。
【0030】なお、熱交換器としては、このような熱交
換用管体の内部に血液が流れるタイプ(血液内部灌流
型)のものに限定されず、熱交換器用管体の外側に血液
が流れるタイプ(血液外部灌流型)のものであってもよ
い。また、熱交換器付人工肺としては、上記のように熱
交換器を血液が通過した後、人工肺に流入するタイプの
ものに限られず、人工肺を血液が通過した後に、熱交換
器を通過するものであってもよい。
【0031】人工肺部3aは、血液導入ポート62と血
液流出口32を有する人工肺ハウジング60と、人工肺
ハウジング60内に挿入された多数のガス交換用中空糸
膜からなる中空糸膜束66と、中空糸膜束66の両端部
を人工肺ハウジング60の両端部に液密に固定する隔壁
64a,64bと、中空糸内部と連通し、かつ一方の隔
壁64aの外側に形成されたガス流入部59aと、中空
糸内部と連通し、かつ他方の隔壁64bの外側に形成さ
れたガス流出部59bを備える。人工肺ハウジング60
の形成材料としては、ポリカーボネート、アクリル樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、アク
リル−スチレン共重合体、アクリル−ブチレン−スチレ
ン共重合体など種々のものが使用できる。特に好ましく
は、ポリカーボネート、アクリル樹脂・ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル樹脂である。
【0032】人工肺ハウジング60の内部に収納された
中空糸膜束66は、多数の中空糸膜からなり、中空糸膜
は中空糸膜壁を貫通する多数の微細孔を有している。中
空糸膜はこの微細孔を介してO2添加およびCO2除去を
行うことができ、いわゆるガス交換膜として機能する。
中空糸膜としては、肉厚が5〜80μm、好ましくは1
0〜60μm、空孔率20〜80%、好ましくは30〜
60%、微細の孔径が0.01〜5μm、好ましくは
0.01〜1μm程度、内径が100〜1000μm、
好ましくは100〜300μmのものが好適に使用され
る。中空糸膜を形成する材質としては、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
スルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテー
ト等の疎水性高分子が使用でき、好ましくは、疎水性高
分子であり、特に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂で
あり、より好ましくは、ポリプロピレンである。具体的
には、延伸法または固液相分離法などにより微細孔を形
成させたポリプロピレン製中空糸膜が望ましい。
【0033】中空糸膜は、人工肺ハウジング60内部を
全体に広がって、10,000〜80,000本収納さ
れている。中空糸膜の両端部は、それぞれ端面開口が閉
塞されない状態で隔壁64a,64bにより人工肺ハウ
ジング60の端部に液密に固着されている。隔壁64
a,64bは、中空糸膜束66を液密に固着すると共
に、人工肺ハウジング60内を、中空糸膜の外面と人工
肺ハウジング60の内面と隔壁64a,64bの内側面
とにより形成される血液流通室と、中空糸膜の内部に形
成されるガス流通室とに区画している。隔壁64a,6
4bを形成する材料としては、高分子ポッティング剤
(例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム)などが好適
に使用できる。
【0034】人工肺ハウジング60の上下端付近には、
ガス流通室と連通するガス流入口33、ガス流出口34
がそれぞれ設けられている。ガス流入口33から導入さ
れた酸素ガスは、ガス流通室(中空糸膜の内部空間)を
経てガス導出部に流入し、ガス流出口34より排出され
る。なお、人工肺としては、このように、中空糸の外部
に血液が流れ、内部にガスが流れるタイプ(血液外部灌
流型)のものに限定されず、中空糸膜の内部に血液が流
れるタイプ(血液内部灌流型)のものであってもよい。
さらに、人工肺は、多孔質中空糸膜を用いたものに限ら
れず、例えば、多孔質平膜を用いたものでもよい。さら
に、この実施例の装置では、人工肺のガス流出口と前記
貯血槽の貯血部とが連通しているが、これに限られるも
のではなく、図7にも示したように、人工肺のガス流通
室と貯血槽の貯血部とを連通させたものでもよい。この
場合、人工肺として中空糸膜の内部に血液が、外部にガ
スが流れるタイプ(血液内部灌流型)のものを用いるこ
とが好ましい。このタイプの人工肺では、中空糸膜の外
面とハウジングの内面間にガス流通室が形成されるの
で、ハウジングの側面にポートを形成することにより、
容易に、貯血槽の貯血部との連通用ポートを作成するこ
とができる。
【0035】次に、図9に示す本発明の貯血槽を備える
人工心肺装置について説明する。図9は、本発明の貯血
槽を備える人工心肺装置80の他の実施例の側面図であ
る。この実施例の貯血槽5は、血液流入口11と、第1
の血液流出口12aを有する第1の血液流出部81と、
第1の血液流出部81より所定距離下方に設けられた第
2の血液流出部82と、血液流入口11および血液流出
部81、82と連通する貯血部17とを備える。第1の
血液流出部81は、少なくとも貯血部17内の血液面が
第1の血液流出部より下方となった状態において、第1
の血液流出部81を閉塞する弁体83を有し、第2の血
液流出部82は、第1の血液流出口12aより流出可能
な血液流出量より、十分に少ない血液流出しか許容しな
い低血液流出量用の血液流出部となっている。
【0036】この実施例の人工心肺装置80は、上記の
ような貯血槽5と、貯血槽5より下流に設けられた送血
ポンプ2と、送血ポンプ2より下流に設けられた人工肺
3を有する。貯血槽5は、上述した実施例の貯血槽と基
本構成は同じである。相違する部分を中心に説明する。
説明のない部分は、図1及び図2に示し、説明した貯血
槽と同じである。貯血槽5は、内部に形成された貯血空
間である貯血部17と、この貯血部17の上部と連通す
る血液流入口11、貯血部17の下部と連通する血液流
出口12、貯血部17の上部と連通する吸引手段接続ポ
ート13、貯血部17の上部と連通する心内血吸引用チ
ューブ接続ポート15と、貯血部17の上部と連通する
人工肺ガス流出口接続ポート14を備える。血液流入口
11には、脱血チューブが、また、心内血吸引用チュー
ブ接続ポート15には、心内血吸引用チューブが接続さ
れる。
【0037】貯血槽5は、図9に示すように、硬質樹脂
により形成された貯血槽ハウジング本体53aと蓋体5
3bとで構成されるハウジングを有している。蓋体53
bは、ハウジング本体53aの上部開口を覆うように、
ハウジング本体53aの上端に嵌合されている。蓋体5
3bは、脱血チューブが接続される血液流入口11、吸
引手段接続用ポート13、心内血吸引用チューブ接続ポ
ート15を有している。吸引手段接続用ポート13は、
心内血吸引用チューブ接続ポート15より流入する心内
血の吸引と貯血槽内部を陰圧にするために用いられる。
【0038】ハウジング本体53aは、段差部と、この
段差部より下方に突出する突出部を有する。段差部に第
1の血液流出口12aを有する第1の血液流出部81が
形成されている。また、段差部より下方に突出する突出
部の下部に、第2の血液流出部82が形成されている。
第1の血液流出部81には、図10に示すような、弁体
83が設けられている。弁体83は、血液より比重の低
い弁部材84(ボール弁)と、第1の血液流出部の開口
部に設けられた弁座部85と、弁部材84を弁座部85
に誘導するための誘導部材86とからなる。
【0039】弁部材84は、貯留血液の下方に沈もうと
する重力に比べて、貯留血液より、この重力より大きい
浮力を受けるように形成されている。このため、弁部材
84は、貯血部17内の血液量が第1の所定値以上(血
液面が、誘導部材86より上方)であれば、図9に破線
で示すように、誘導部材86の上枠部に当接した状態と
なるとともに、それ以上上方へは移動しない。また、こ
の状態において、弁部材84に与えられる浮力が、送血
ポンプより与えられる吸引力より勝るため、弁体は、血
液流出口12a側に吸引されることなく、その状態を保
持する。そして、この状態では、弁部材84は血液面よ
り露出せず、貯留血液内に位置(埋没)する。そして、
貯血部17内の血液量が第1の所定値以下となり、血液
面が下降すると、弁部材84が血液面より露出し、さら
に、これより血液面が下降すると、弁部材84は下降す
る。そして、貯血部17内の血液量が第2の所定値以下
となるほど血液面が下降すると、弁部材84と血液流出
口との距離が近くなり、送血ポンプより弁部材84に与
えられる吸引力が、弁部材84に与えられる浮力より勝
り、弁部材84は、血液流出口側に吸引され、弁座部8
5に密着する。これにより、血液流出部の血液流路が閉
塞される。
【0040】弁部材84は、比重が1.03〜10.0
のものが使用され、具体的には、合成樹脂により、中空
もしくは中実に形成したものが好適である。弁部材84
の形状は、弁座部85と実質的に気密に密着できるもの
であれば、どのようなものでもよく、例えば、図示する
ようなボール弁が好適である。弁部材84を形成する合
成樹脂としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−スチ
レン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合
体等が好適に使用できる。
【0041】弁部材84は、血液中を浮遊するので、そ
の表面が抗血栓性表面となっていることが好ましい。抗
血栓性表面は、抗血栓性材料を弁体の表面に被覆もしく
は固定することにより形成することができる。抗血栓性
材料としては、上述したものが好適に使用できる。
【0042】弁座部85は、図10に示すように、第1
の血液流出部81の開口部に固定されたリング状部材で
ある。このリング状の弁座部85は、弾性材料により形
成されている。弾性材料としては、シリコンゴム,ポリ
ウレタン,加硫化ゴム、イソプレンゴム、エチレン・プ
ロピレンゴム、スチレンーブタジエン系エラストマーな
どのエラストマーが好適に使用できる。このような弾性
材料からなるリング状の弁座部85を用いることによ
り、弁部材84との気密密着がより確実となる。
【0043】誘導部材86は、この実施例では、上方に
延びる籠状のものであり、具体的には、図10および図
10のD−D線断面図である図11に示すように、4本
の横枠86aと横枠86aの上端に設けられ、これらを
連結する上枠86bを有する。4本の横枠86aの下端
は、弁座部85および第1の血液流出部81の開口部を
取り囲むように、ハウジングの底面に固定されている。
誘導部材86内に収納された弁部材84は、誘導部材8
6より離脱することなく、かつ誘導部材86内を摺動可
能となっている。
【0044】また、図12に示すように、貯血槽6で
は、貯血部17の外部に設けられた把持部48と、弁部
材84と把持部48とを接続する接続部材47とからな
る弁部材84密着状態解放機構を備える。弁部材84
は、リング状の把持部48材と線状の接続部材47によ
り連結されている。線状の接続部材47は、十分に柔軟
であり、かつ十分な長さを有し、弁体の移動を妨げない
ものとなっている。線状部材は、合成繊維、天然繊維、
金属繊維、無機繊維、金属線材などにより紐状に形成さ
れたものが好適である。また、この線状の接続部材47
の表面も、上記のような抗血栓性表面となっていること
が好ましい。抗血栓性表面は、上述のような方法により
形成される。
【0045】さらに、図12に示す貯血槽6では、第2
の血液流出部82にも、貯血部17内の血液面が第2の
血液流出部に到達した状態、言い換えれば、貯血部17
内の血液量が実質的にゼロになった状態において、第2
の血液流出部82を閉塞する弁体89が設けられてい
る。これにより、もし、貯血槽内の貯血量がゼロになっ
ても、送血ポンプにより、空気のみが人工肺に送られる
ことを防止できる。弁体89としては、図10及び図1
1に示し説明したものが好適に使用できる。また、第1
の血液流出部81に設けられる弁体83および第2の血
液流出部82に設けられる弁体83は、上述したような
構造のものに限られるものではなく、血液面に対応し
て、それぞれの血液流出部を閉塞できるものであれば、
どのような構造のものであってもよい。
【0046】貯血槽5の下方には、送血ポンプ2が取り
付けられている。図9に示す実施例では、送血ポンプと
して、遠心ポンプが用いられている。送血ポンプとして
は、定圧ポンプ、ローラーポンプ、ペリスタルリックポ
ンプ、ベローズポンプなどが使用される。送血ポンプ2
の血液流入口21は血液チューブ16により貯血槽5の
血液流出口に接続され、ポンプ2の血液流出口22は、
血液チューブ25により人工肺の血液流入口31に接続
されている。送血ポンプ2が作動することにより、貯血
槽5の貯血部17内の血液は、人工肺に送血される。血
液チューブ16は、二股に分岐しており、分岐した一方
が第1の血液チューブ(第1の分岐チューブ)17、他
方が第2の血液チューブ(第2の分岐チューブ)18と
なっている。第1の血液チューブ17は、第1の血液流
出口12aに接続され、第2の血液チューブ18は、第
2の血液流出口12bに接続されている。そして、第2
の血液チューブ18は、第1の血液チューブ17より十
分に細径となっている。弁体83が解放状態において
は、血液はほとんど第1の血液流出口12aを通り、血
液ポンプに流れる。しかし、弁体83が閉塞した後は、
血液は第2の血液流出口を通り血液ポンプに流れる。
【0047】このような状態、言い換えれば、貯血部1
7内の血液量が第2の所定値以下となったときに、血液
流出部より流出する血液量は、細径の第2の血液チュー
ブを通過可能な量に規制される。第2の血液チューブを
通過可能な血液流量は、貯血部17内の血液量が所定値
以下(第2の所定値以下)となる以前の血液流量の1/
8〜7/8となるように、血液流量を規制するものであ
ることが好ましい。特に、1/4〜1/2となるように
血液流量を規制するものであることが好ましい。具体的
には、第2の血液チューブの内径は、第1の血液チュー
ブの内径の1/10〜1/1程度であることが好まし
い。また、所定値(第2の所定値)とは、約300ml
程度が好適である。
【0048】なお、この実施例では、第2の血液チュー
ブを第1の血液チューブより細径のものとすることによ
り、小流量の血液流路を形成しているが、これに限られ
るものではない。第2の血液流出口もしくはその付近
を、前記第1の血液流出口に比べて細径なものとするこ
とにより、小流量の血液流路を形成してもよい。具体的
には、第2の血液流出部が有する下方に延びる血液ポー
ト(第2の血液チューブとの接続部)全体の内径を、第
1の血液流出部が有する下方に延びる血液ポート(第1
の血液チューブとの接続部)の全体の内径より十分に細
径のものとしてもよく、さらに、第2の血液流出口を第
1の血液流出口に比べて細径のものとしてもよい。
【0049】また、第1の血液チューブ17の中央部
は、鉗子などによりクランプ可能な柔軟部17aとなっ
ている。弁部材84が弁座部85に密着した状態におい
て、血液チューブの柔軟部17aをクランプすると、一
時的に、送血ポンプより弁部材84に与えられる吸引力
が弱まり、弁部材84に与えられる浮力により、弁部材
84が弁座部85より解放され上方に移動する。よっ
て、このような柔軟部17aを有することによっても、
弁部材84の密着状態を容易に解放することができる。
送血ポンプ2、熱交換器付人工肺3については、上述し
たものと同じである。
【0050】
【発明の効果】本発明の貯血槽は、血液流入口と、血液
流出口を有する血液流出部と、前記血液流入口および前
記血液流出部と連通する貯血部とを備える貯血槽であっ
て、前記血液流出部には、前記貯血部内の血液量が所定
値以下となったときに、前記血液流出部より流出する血
液量を規制する血液流出量規制機構を備えるものであ
る。よって、この貯血槽では、貯血部内の血液量が所定
値以下になると、血液流出量規制機構によりそれ以降
は、血液の流出量が規制されるため、少量の血液のみ貯
血槽より流出し、貯血部内の血液の減少がゆるやかにな
り、貯血部内の貯血量が急激にゼロになることを防止で
きる。さらに、貯血部内の貯血量がゼロになるまでの時
間を長くでき、この間に、貯血量の回復も期待できる。
【0051】また、本発明の貯血槽は、血液流入口と、
第1の血液流出口を有する第1血液流出部と、前記第1
の血液流出部より所定距離下方に設けられた第2の血液
流出部と、前記血液流入口および前記血液流出部と連通
する貯血部とを備える貯血槽であって、前記第1の血液
流出部は、少なくとも前記貯血部内の血液面が該第1の
血液流出部より下方となった状態において、前記第1の
血液流出部を閉塞する弁体を有し、かつ、前記第2の血
液流出部は、前記第1の血液流出口より流出可能な血液
流出量より、十分に少ない血液流出しか許容しない血液
流出部となっているものである。この貯血槽では、貯血
部内の血液量が所定値以下になると、第1の血液流出部
からの血液の流出が停止され、かつ、第1の血液流出口
より流出可能な血液流出量より、十分に少ない血液流出
しか許容しない第2の血液流出部のみから血液が流出す
る。このため、血液の流出量が規制されるため、少量の
血液のみ貯血槽より流出し、貯血部内の血液の減少がゆ
るやかになり、貯血部内の貯血量が急激にゼロになるこ
とを防止できる。さらに、貯血部内の貯血量がゼロにな
るまでの時間を長くでき、この間に、貯血量の回復も期
待できる。また、本発明の送血機構付貯血槽および人工
心肺装置は、上記のような貯血槽を備えているので、上
記のような効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の貯血槽を備える人工心肺装置
の一実施例の側面図である。
【図2】図2は、図1に示した人工心肺装置の部分断面
図である。
【図3】図3は、図1に示した貯血槽の血液流出部付近
の拡大断面図である。
【図4】図4は、図3のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図3のB−B線断面図である。
【図6】図6、本発明の他の実施例の貯血槽の血液流出
部付近の拡大断面図である。
【図7】図7は、図6のC−C線断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例の貯血槽を備える
人工心肺装置の側面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施例の貯血槽を備える
人工心肺装置の側面図である。
【図10】図10は、図9に示した貯血槽の血液流出部
付近の拡大断面図である。
【図11】図11は、図10のD−D線断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施例の貯血槽を備
える人工心肺装置の側面図である。
【符号の説明】
1 貯血槽 2 送血ポンプ 3 人工肺 4 貯血槽 5 貯血槽 14 血液流出量規制機構 17 貯血部 33 ガス流入口 34 ガス流出口 41 浮子 42 接続部材 43 弁部材 44 誘導部材 45 弁座部 46 血液通路 50 人工心肺装置 80 人工心肺装置

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液流入口と、血液流出口を有する血液
    流出部と、前記血液流入口および前記血液流出部と連通
    する貯血部とを備える貯血槽であって、前記血液流出部
    には、前記貯血部内の血液量が所定値以下となったとき
    に、前記血液流出部より流出する血液量を規制する血液
    流出量規制機構を備えることを特徴とする貯血槽。
  2. 【請求項2】 前記血液流出量規制機構は、前記貯血部
    内の血液量が所定値以下となる以前の血液流量の1/8
    〜7/8となるように、血液流量を規制するものである
    請求項1に記載の貯血槽。
  3. 【請求項3】 前記血液流出量規制機構は、血液より比
    重の低い浮子と、該浮子と所定距離離間するように棒状
    部材により接続され、血液より比重の高い弁部材とを備
    える弁体と、前記血液流出部の開口部に設けられた弁座
    部と、前記弁部材を該弁座部に誘導するための誘導部材
    とを有し、前記弁座部もしくは前記弁部材は、前記弁部
    材と前記弁座部が密着した状態において、前記貯血部と
    前記血液流出口側とを連通する狭小な通路を備えるもの
    である請求項1または2に記載の貯血槽。
  4. 【請求項4】 前記貯血部の外部に設けられた把持部
    と、前記弁体と該把持部とを接続する接続部材とからな
    る弁部材密着状態解放機構を備える請求項1ないし3の
    いずれかに記載の貯血槽。
  5. 【請求項5】 血液流入口と、第1の血液流出口を有す
    る第1血液流出部と、前記第1の血液流出部より所定距
    離下方に設けられた第2の血液流出部と、前記血液流入
    口および前記血液流出部と連通する貯血部とを備える貯
    血槽であって、前記第1の血液流出部は、少なくとも前
    記貯血部内の血液面が該第1の血液流出部より下方とな
    った状態において、前記第1の血液流出部を閉塞する弁
    体を有し、かつ、前記第2の血液流出部は、前記第1の
    血液流出口より流出可能な血液流出量より、十分に少な
    い血液流出しか許容しない血液流出部となっていること
    を特徴とする貯血槽。
  6. 【請求項6】 前記第2の血液流出部は、前記第1の血
    液流出口より流出可能な血液流出量の1/8〜7/8の
    血液流出しか許容しないものである請求項5に記載の貯
    血槽。
  7. 【請求項7】 前記弁体は、血液より比重の低い弁部材
    と、前記第1の血液流出部に設けられた弁座部と、前記
    弁部材を前記弁座部に誘導するための誘導部材とからな
    るものである請求項5または6に記載の貯血槽。
  8. 【請求項8】 前記貯血部の外部に設けられた把持部
    と、前記弁部材と該把持部とを接続する接続部材とから
    なる弁部材密着状態解放機構を備える請求項5ないし7
    のいずれかに記載の貯血槽。
  9. 【請求項9】 前記第2の血液流出口もしくはその付近
    は、前記第1の血液流出口に比べて細径である請求項5
    ないし8のいずれかに記載の貯血槽。
  10. 【請求項10】 前記第1の血液流出部は、第1の血液
    チューブを備え、前記第2の血液流出部には、第2の血
    液チューブを備え、該第2の血液チューブは、前記第1
    の血液チューブより細径である請求項5ないし9のいず
    れかに記載の貯血槽。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし4のいずれかに記載の
    貯血槽と、遠心ポンプと、前記貯血槽の前記血液流出口
    と前記遠心ポンプとを接続する血液チューブとを備える
    ことを特徴とする送血機構付貯血槽。
  12. 【請求項12】 前記血液チューブは、クランプ可能な
    柔軟部を有する請求項11に記載の送血機構付貯血槽。
  13. 【請求項13】 請求項5ないし9のいずれかに記載の
    貯血槽と、遠心ポンプと、前記貯血槽の前記血液流出口
    と前記遠心ポンプとを接続する血液チューブとを備え、
    該血液チューブは、分岐しており、分岐チューブの一方
    が前記第1の血液流出口に接続され、分岐チューブの他
    方が前記第2の血液流出口に接続されていることを特徴
    とする送血機構付貯血槽。
  14. 【請求項14】 前記第2の血液流出口に接続された分
    岐チューブは、前記第1の血液流出口に接続された分岐
    チューブより、内径が細径であり、前記第1の血液流出
    口に接続された分岐チューブは、クランプ可能な柔軟部
    を有する請求項13に記載の送血機構付貯血槽。
  15. 【請求項15】 請求項11ないし14のいずれかに記
    載の送血機構付貯血槽と、該送血機構付貯血槽に取り付
    けられた人工肺と、該人工肺と前記送血機構付貯血槽の
    遠心ポンプとを接続する血液チューブとを備えることを
    特徴とする人工心肺装置。
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