JPH10334634A - 磁気テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉蓋の開閉が滑らかな高品質の磁気テープ
カセットを安定生産するできるようにすること。 【解決手段】 磁気テープカセット２０の開閉蓋２７
は、アウターリッド２９、トップリッド３０、インナー
リッド３１の３枚のリッドから構成される。トップリッ
ド３０に突設される一対の上蓋スライドピン３０ｄは、
上カセットハーフ２４ａの上蓋ガイド溝３３に外周面が
接触する円筒状の回転ローラ４０と、この回転ローラ４
０をアーム部３０ｃに回転自在に支持するローラ支軸４
１とを具備した構成とされ、摺動抵抗が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオテープレコ
ーダーの如き磁気記録再生装置やその他各種の情報処理
装置等に使用される磁気テープカセットに関するもの
で、詳しくは、カセット本体前面の開口部を開閉自在に
覆う開閉蓋が、３枚のリッドから構成される形式の磁気
テープカセットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化に伴い、磁気
テープカセット及びビデオテープレコーダー（以下、Ｖ
ＴＲという）がコンパクトになってきている。その結
果、ＶＴＲは風景や人物等の撮影取りのように屋外で使
用される機会が多くなってきた。そこで、磁気テープカ
セットも特に屋外使用を考慮して、耐塵埃対策としてテ
ープの前面及び裏面をそれぞれ覆う２枚または３枚のリ
ッドからなる開閉蓋が実用化されている。

【０００３】図４乃至図６は、カセット本体前面の開口
部を開閉自在に覆う開閉蓋が３枚のリッドで構成される
磁気テープカセットの従来例を示したものである。この
磁気テープカセット１は、前面にＶＴＲ等の装置側のテ
ープ引き出し部材挿入用の開口部２を備えたカセット本
体４と、前記カセット本体４前面に設けられたテープガ
イドによって前記開口部２に張架された磁気テープ５
と、携帯時等に前記開口部２に張架されている磁気テー
プ５が覆われるように前記カセット本体４の前面側に組
み付けられた開閉蓋７とを備えた構成をなしている。

【０００４】前記カセット本体４は、上カセットハーフ
４ａと下カセットハーフ４ｂとで構成されている。ま
た、前記開閉蓋７は、アウターリッド（前蓋）９とトッ
プリッド（上蓋）１０とインナーリッド（後蓋）１１と
の３枚のリッドで構成されている。前記アウターリッド
９は、前記開口部２に張架された磁気テープ５の前面側
を覆う前蓋板９ａと、この前蓋板９ａの両側から張り出
した側板部９ｂとを備えている。そして、前記側板部９
ｂには支軸ピン９ｃが突設されていて、該支軸ピン９ｃ
が上カセットハーフ４ａの前面寄りの両側面部のピン支
持孔に回転自在に嵌合支持される。従って、アウターリ
ッド９は、前記支軸ピン９ｃを中心に回動自在である。

【０００５】前記トップリッド１０は、前記開口部２に
張架された磁気テープ５の上方を覆う上蓋板１０ａと、
この上蓋板１０ａの前縁側の両端を前記前蓋板９ａの上
端縁に回転自在に連結する前蓋連結部１０ｂと、前記上
蓋板１０ａの後端縁から延出したアーム部１０ｃに突設
されて上カセットハーフ４ａの両側面部に形成されてい
る上蓋ガイド溝１３に摺動自在に係合する一対の上蓋ス
ライドピン１０ｄとを備えている。

【０００６】このトップリッド１０は、前記アウターリ
ッド９の開蓋時には、前記前蓋連結部１０ｂの支軸ピン
９ｃ回りの旋回移動に伴って、上蓋スライドピン１０ｄ
が上蓋ガイド溝１３に沿って移動する。即ち、図６に示
すように、トップリッド１０は、アウターリッド９の開
蓋動作に従動して、カセット本体４の上面と略平行に、
カセット本体４の後端側に退避する。前記インナーリッ
ド１１は、前記開口部２に張架された磁気テープ５の後
面側を覆う内蓋板１１ａと、この内蓋板１１ａの上縁を
前記上蓋板１０ａに回転自在に連結する上蓋連結部１１
ｂと、前記内蓋板１１ａの下縁側両端部から突出して下
カセットハーフ４ｂの内側面部に形成されている内蓋ガ
イド溝１５に摺動自在に係合する一対の内蓋スライドピ
ン１１ｃとを備えている。

【０００７】このインナーリッド１１は、アウターリッ
ド９の開蓋時には、前記トップリッド１０の移動に上蓋
連結部１１ｂが追従し、該上蓋連結部１１ｂの移動に伴
って、内蓋スライドピン１１ｃが内蓋ガイド溝１５上を
移動する。即ち、図６に示しているように、インナーリ
ッド１１はトップリッド１０の開蓋動作に従動して、開
口部２の上方で前記トップリッド１０の内面に重なる位
置に退避する。

【０００８】上述の如き磁気テープカセット１は、ＶＴ
Ｒ装置に装填されると、装置側に装備された開蓋ピン
（図示せず）によってアウターリッド９の側板部９ｂが
上方に突き上げられ、その時のアウターリッド９の開蓋
動作に従動して、トップリッド１０，インナーリッド１
１が開蓋動作をする。ＶＴＲ装置から磁気テープカセッ
ト１を取り出す際には、装填時とは逆に、各リッドが閉
蓋動作する。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、アウターリッ
ド９の開蓋動作にトップリッド１０、インナーリッド１
１を従動させる上述の開閉蓋７の場合、トップリッド１
０に装備した上蓋スライドピン１０ｄとカセット本体４
側の上蓋ガイド溝１３との間の摺動性や、インナーリッ
ド１１に装備した内蓋スライドピン１１ｃとカセット本
体４側の内蓋ガイド溝１５との間の摺動性が悪いと、ス
ムーズに蓋を開閉することができなくなる虞がある。

【００１０】そこで、従来では、前述した各スライドピ
ン１０ｄ，１１ｃを有する各リッド１０，１１を、摺動
性を高めるための添加剤が混入された樹脂で成形した
り、あるいは、前記ガイド溝１３，１５を有する各カセ
ットハーフ４ａ，４ｂを、摺動性を高めるための添加剤
が混入された樹脂で成形することが行われてきた。しか
し、このような対応では、樹脂原料に対する添加剤の混
入分散を適正に維持・管理することが難しく、摺動性に
ばらつきが生じ易いという問題があった。

【００１１】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、カセット本体前面の開口部を開閉自在に
覆う開閉蓋が３枚のリッドから構成される形式の磁気テ
ープカセットであって、開閉蓋の各リッドに装備される
スライドピンとカセット本体側に装備されるガイド溝と
の間の摺動性にばらつきが生じることを防止して、開閉
蓋の開閉が滑らかな高品質の磁気テープカセットを安定
生産することのできる磁気テープカセットを提供するこ
とである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、カ
セット本体内に磁気テープを巻回して回動自在に取付け
られた一対のリールと、前記カセット本体前面の開口部
を開閉自在に覆うために取り付けられた開閉蓋とを備え
た磁気テープカセットにおいて、前記開閉蓋が、前記開
口部に張架された磁気テープの前面側を覆う前蓋板と前
記カセット本体の前面寄りの両側面部に軸支された前記
前蓋板の両側から張り出した側板部とを備えたアウター
リッドと、前記開口部に張架された磁気テープの上方を
覆う上蓋板とこの上蓋板の前縁側の両端を前記前蓋板の
上端縁に回動自在に連結する前蓋連結部と前記上蓋板の
後端縁から延出したアーム部に突設されてカセット本体
の両側面部に形成されている上蓋ガイド溝に摺動自在に
係合する一対の上蓋スライドピンとを備えたトップリッ
ドと、前記開口部に張架された磁気テープの後面側を覆
う内蓋板とこの内蓋板の上縁を前記上蓋板に回動自在に
連結する上蓋連結部と前記内蓋板の下縁側両端部から突
出してカセット本体の内側面部に形成されている内蓋ガ
イド溝に摺動自在に係合する一対の内蓋スライドピンと
を備えたインナーリッドとによって構成されており、前
記トップリッドの一対の上蓋スライドピン及び前記イン
ナーリッドの一対の内蓋スライドピンの少なくとも一方
のスライドピン対が、前記カセット本体側の各ガイド溝
に外周面が接触する回転ローラと、該回転ローラを回転
自在に支持するローラ支軸とを具備した構成とされてい
ることを特徴とする磁気テープカセットにより達成され
る。

【００１３】上記構成によれば、アウターリッドの開閉
動作に従動してトップリッドやインナーリッドが開閉動
作する際には、これらの各リッドに装備された上蓋スラ
イドピン及び内蓋スライドピンがカセット本体側の上蓋
ガイド溝及び内蓋ガイド溝上を移動するが、その時に少
なくとも一方のスライドピンとガイド溝との間に作用す
る摺動抵抗（摩擦力）は、該スライドピンを構成してい
るガイドローラの回転により大幅に、かつ、確実に低減
される。

【００１４】また、本発明の上記目的は、カセット本体
内に磁気テープを巻回して回動自在に取付けられた一対
のリールと、前記カセット本体前面の開口部を開閉自在
に覆うために取り付けられた開閉蓋とを備えた磁気テー
プカセットにおいて、前記開閉蓋が、前記開口部に張架
された磁気テープの前面側を覆う前蓋板と前記カセット
本体の前面寄りの両側面部に軸支された前記前蓋板の両
側から張り出した側板部とを備えたアウターリッドと、
前記開口部に張架された磁気テープの上方を覆う上蓋板
とこの上蓋板の前縁側の両端を前記前蓋板の上端縁に回
動自在に連結する前蓋連結部と前記上蓋板の後端縁から
延出したアーム部に突設されてカセット本体の両側面部
に形成されている上蓋ガイド溝に摺動自在に係合する一
対の上蓋スライドピンとを備えたトップリッドと、前記
開口部に張架された磁気テープの後面側を覆う内蓋板と
この内蓋板の上縁を前記上蓋板に回動自在に連結する上
蓋連結部と前記内蓋板の下縁側両端部から突出してカセ
ット本体の内側面部に形成されている内蓋ガイド溝に摺
動自在に係合する一対の内蓋スライドピンとを備えたイ
ンナーリッドとによって構成されており、前記トップリ
ッドの一対の上蓋スライドピン及び前記インナーリッド
の一対の内蓋スライドピンの少なくとも一方のスライド
ピン対、或いは、前記カセット本体側の上蓋ガイド溝及
び内蓋ガイド溝の少なくとも一方のガイド溝部分が、そ
の他の部位よりも摺動性に優れる樹脂で二色成形されて
いることを特徴とする磁気テープカセットにより達成さ
れる。この場合、上記スライドピン対、或いは、ガイド
溝部分は、ＰＯＭ，フッ素樹脂等で成形し、残りの部分
は、ＰＳ（ポリスチレン），ＡＢＳ，ＧＰＰＳ等の樹脂
で成形する。

【００１５】上記構成によれば、各ガイド溝を装備する
カセットハーフの樹脂材料全体に摺動性を高めるための
添加剤を混入・分散させる場合とは異なり、ガイド溝の
部分に対する添加剤の分散量が均一に保てないために摺
動性にばらつきを生じるということがなく、摺接部分に
優れた摺動性を安定して確保することができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態に係る磁気テープカセットを詳細に説明す
る。図１は本発明の一実施形態に係る磁気テープカセッ
トにおける開閉蓋とカセット本体との関係を示す分解斜
視図、図２は図１に示した磁気テープカセットにおける
要部の拡大斜視図、図３は図２のＡ−Ａ線に沿う断面図
である。

【００１７】本実施形態の磁気テープカセット２０は、
前面にＶＴＲ等の装置側のテープ引き出し部材挿入用の
開口部２２を形成したカセット本体２４と、該カセット
本体２４を構成する上カセットハーフ２４ａ及び下カセ
ットハーフ２４ｂと、前記下カセットハーフ２４ｂ内に
回転自在に配置された一対のリール２３，２５と、この
両リール２３，２５に巻回されて前記下カセットハーフ
２４ｂの前面に設けられたテープガイドによって前記開
口部２２に張架された磁気テープ５と、携帯時等に前記
開口部２２に張架されている磁気テープ５が覆われるよ
うに前記カセット本体２４の前面側に組み付けられた開
閉蓋２７とを備えた構成をなしている。尚、これらの上
下のカセットハーフ２４ａ，２４ｂ間には、磁気テープ
５が巻装されたリール２３，２５以外にも種々の部品が
収容されるが、図１では、それらの収容部品を省略して
いる。

【００１８】また、開閉蓋２７は、アウターリッド２９
とトップリッド３０とインナーリッド３１との３枚のリ
ッドで構成されている。前記アウターリッド２９は、前
記開口部２２に張架された磁気テープ５の前面側を覆う
前蓋板２９ａと、この前蓋板２９ａの両側から張り出し
た側板部２９ｂとを備えている。そして、前記側板部２
９ｂの内壁面には支軸ピン２９ｃが突設されており、該
支軸ピン２９ｃが上カセットハーフ２４ａの前面寄りの
両側面部のピン支持孔３２に回転自在に嵌合支持され
る。従って、アウターリッド２９は、前記支軸ピン２９
ｃを中心に回動可能である。

【００１９】前記トップリッド３０は、前記開口部２２
に張架された磁気テープ５の上方を覆う上蓋板３０ａ
と、この上蓋板３０ａの前縁側の両端を前記前蓋板２９
ａの上端縁に回転自在に連結する前蓋連結部３０ｂと、
前記上蓋板３０ａの後端縁から延出したアーム部３０ｃ
に突設されて上カセットハーフ２４ａの両側面部に形成
されている上蓋ガイド溝３３に摺動自在に係合する一対
の上蓋スライドピン３０ｄとを備えている。

【００２０】本実施形態の場合、前記前蓋連結部３０ｂ
は、前蓋板２９ａの上縁両端部に穿設された係止孔２９
ｄに嵌入されるピンである。前記アウターリッド２９の
開蓋時、前記トップリッド３０は、前記前蓋連結部３０
ｂの支軸ピン２９ｃ回りの旋回移動に伴って、上蓋スラ
イドピン３０ｄが上蓋ガイド溝３３に沿って移動し、カ
セット本体２４の上面と略平行に、カセット本体２４の
後端側に退避する。

【００２１】前記インナーリッド３１は、前記開口部２
２に張架された磁気テープ５の後面側を覆う内蓋板３１
ａと、この内蓋板３１ａの上縁を前記上蓋板３０ａに回
転自在に連結する上蓋連結部３１ｂと、前記内蓋板３１
ａの下縁側両端部から突出してカセット本体２４の内側
面部に形成されている内蓋ガイド溝３５に摺動自在に係
合する一対の内蓋スライドピン３１ｃとを備えている。
本実施形態の場合、前記上蓋連結部３１ｂは、図１に示
すように、上蓋板３０ａの内面側にに突設された支持片
３０ｅ上の支持孔３０ｆに嵌入されるピンである。

【００２２】アウターリッド２９の開蓋時、前記インナ
ーリッド３１が、前記トップリッド３０の移動に上蓋連
結部３１ｂが追従し、該上蓋連結部３１ｂの移動に伴っ
て、内蓋スライドピン３１ｃが内蓋ガイド溝３５上を移
動する。即ち、インナーリッド３１はトップリッド３０
の開蓋動作に従動して、開口部２２の上方で前記トップ
リッド３０の内面に重なる位置に退避する。

【００２３】即ち、上述の磁気テープカセット２０は、
ＶＴＲ装置に装填すると、ＶＴＲ装置側に装備された開
蓋ピン（図示せず）によってアウターリッド２９の側板
部２９ｂが上方に突き上げられ、その時のアウターリッ
ド２９の開蓋動作に連動して、トップリッド３０とイン
ナーリッド３１が開蓋動作をする。ＶＴＲ装置から磁気
テープカセット２０を取り出す際には、装填時とは逆
に、各リッドが閉蓋動作する。

【００２４】また、本実施形態の磁気テープカセット２
０では、前記トップリッド３０に突設される前記上蓋ス
ライドピン３０ｄが、図２及び図３に示すように、前記
上カセットハーフ２４ａの上蓋ガイド溝３３に外周面が
接触する円筒状の回転ローラ４０と、この回転ローラ４
０をアーム部３０ｃに回転自在に支持するローラ支軸４
１とを具備した構成とされている。

【００２５】前記ローラ支軸４１は、前記アーム部３０
ｃに穿設された支持孔３０ｇを挿通する軸部４１ａと、
該軸部４１ａの基端部に設けられてアーム部３０ｃに当
接するフランジ部４１ｂと、前記軸部４１ａの先端に装
備されて前記回転ローラ４０に挿通する一対の弾性片４
１ｃと、各弾性片４１ｃの先端部から半径方向外方に突
出して回転ローラ４０の抜け止めをする係止爪４１ｄと
を備えている。前記係止爪４１ｄの部分の外径は、前記
支持孔３０ｇ及び回転ローラ４０の内径よりも大きい
が、一対の弾性片４１ｃを軸中心側に弾性変形させるこ
とで、これら支持孔３０ｇ及び回転ローラ４０に容易に
挿通することができる。前記回転ローラ４０及びローラ
支軸４１は、いずれも樹脂製で、好ましくは、前記回転
ローラ４０は摺動抵抗の小さな樹脂材料（例えば、ＰＯ
Ｍ，フッ素樹脂など）で形成するとよい。一方、その他
の部分は、ＡＢＳ，ＰＳ，ＧＰＰＳ等の一般的に用いら
れている樹脂を用いれば良い。

【００２６】また、図示していないが、前記インナーリ
ッド３１に突設される前記内蓋スライドピン３１ｃも、
前記上蓋スライドピン３０ｄの場合と同様に、前記下カ
セットハーフ２４ｂの内蓋スライド溝３５に外周面が接
触する円筒状の回転ローラと、この回転ローラを回転自
在に支持するローラ支軸とを具備した構成とされてい
る。

【００２７】さらに、本実施形態の磁気テープカセット
２０では、前記上下のカセットハーフ２４ａ，２４ｂの
成形には二色成形法を適用し、前記トップリッド３０や
インナーリッド３１に突設された上蓋スライドピン３０
ｄや内蓋スライドピン３１ｃが摺動自在に係合する上蓋
ガイド溝３３や内蓋ガイド溝３５の対応部分（図２にお
いて、網かけを施した範囲Ｄの部分）が、図２に示すよ
うに、その他の部位よりも摺動性に優れる樹脂（例え
ば、ＰＯＭ，フッ素樹脂など）で形成されている。

【００２８】即ち、本実施形態の磁気テープカセット２
０では、アウターリッド２９の開閉動作に従動してトッ
プリッド３０やインナーリッド３１が開閉動作する際、
これらの各リッドに装備された上蓋スライドピン３０ｄ
及び内蓋スライドピン３１ｃは、カセット本体２４側の
上蓋ガイド溝３３及び内蓋ガイド溝３５上を移動する
が、そのときに各スライドピン３０ｄ，３１ｃと各ガイ
ド溝３３，３５との間に作用する摺動抵抗（摩擦力）
は、各スライドピン３０ｄ，３１ｃを構成している回転
ローラ４０の回転により大幅に、かつ、確実に低減され
る。しかも、二色成形法により各カセットハーフ２４
ａ，２４ｂのガイド溝３３，３５の対応部分は摺動抵抗
の小さい樹脂て形成されており、各ガイド溝３３，３５
自体が優れた摺動性を有しているので、前記回転ローラ
４０との間の摺動抵抗をさらに低減させる。

【００２９】従って、前記スライドピン３０ｄ，３１ｃ
を回転ローラ４０を有した構造とする第１の対策による
摺動抵抗の低減と、カセット本体２４の成形に二色成形
法を利用して各ガイド溝３３，３５の対応部分を他の部
分よりも摺動性に優れた樹脂で形成するという第２の対
策による摺動抵抗の低減とが相乗して、開閉蓋２７の開
閉動作時には、各スライドピン３０ｄ，３１ｃと各ガイ
ド溝３３，３５との間に優れた摺動性を確保すると共
に、摺動性にばらつきが生じることを確実に防止するこ
とができ、開閉蓋２７の開閉が滑らかな高品質の磁気テ
ープカセット２０を安定生産することが可能になる。

【００３０】なお、上記実施形態では、各スライドピン
３０ｄ，３１ｃと各ガイド溝３３，３５との間の摺動性
を向上させるために、各スライドピン３０ｄ，３１ｃを
回転ローラ４０を備えた構造とする第１の対策と、各ガ
イド溝３３，３５の対応部分を他の部分よりも摺動性に
優れた樹脂で二色成形する第２の対策とを講じたが、上
記第１の対策に代えて、各スライドピン３０ｄ，３１ｃ
を他の部分よりも摺動性に優れた樹脂で二色成形する第
３の対策を講じるようにしてもよい。勿論、本発明はこ
れら対策のうち少なくとも一つの対策を講じれば良いこ
とは言うまでもない。

【００３１】又、通常、トップリッド３０は、インナー
リッド３１よりも部品が大きく、さらに、アウターリッ
ド２９の開閉動作に最初に追従するため、トップリッド
３０の上蓋スライドピン３０ｄに作用する摺動抵抗が、
開閉蓋２７の開閉性能の優劣により大きな影響力を持
つ。そこで、上述した第１乃至第３の対策は、トップリ
ッド３０に装備される上蓋スライドピン３０ｄと、それ
に対応する上蓋ガイド溝３３とに限って、講じるように
してもよい。

【００３２】

【発明の効果】本発明の磁気テープカセットによれば、
アウターリッドの開閉動作に従動してトップリッドやイ
ンナーリッドが開閉動作する際には、これらの各リッド
に装備された上蓋スライドピン及び内蓋スライドピンが
カセット本体側の上蓋ガイド溝及び内蓋ガイド溝上を移
動するが、その時に少なくとも一方のスライドピンとガ
イド溝との間に作用する摺動抵抗（摩擦力）は、該スラ
イドピンを構成しているガイドローラの回転により大幅
に、かつ、確実に低減される。

【００３３】また、本発明の磁気テープカセットによれ
ば、トップリッドの一対の上蓋スライドピン及び前記イ
ンナーリッドの一対の内蓋スライドピンの少なくとも一
方のスライドピン対、或いは、前記カセット本体側の上
蓋ガイド溝及び内蓋ガイド溝の少なくとも一方のガイド
溝部分が、その他の部位よりも摺動性に優れる樹脂で二
色成形されているので、各ガイド溝を装備するカセット
ハーフの樹脂材料全体に摺動性を高めるための添加剤を
混入・分散させる場合とは異なり、ガイド溝の部分に対
する添加剤の分散量が均一に保てないために摺動性にば
らつきを生じるということがなく、摺接部分に優れた摺
動性を安定して確保することができる。

【００３４】従って、開閉蓋の開閉動作時に、開閉蓋の
各リッドに装備されるスライドピンとカセット本体側に
装備されるガイド溝との間の摺動性にばらつきが生じる
ことを防止することができ、開閉蓋の開閉が滑らかな高
品質の磁気テープカセットを安定生産することが可能に
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る磁気テープカセット
における開閉蓋とカセット本体との関係を示す分解斜視
図である。

【図２】図１に示した磁気テープカセットにおける要部
の拡大斜視図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】従来の３枚リッド式の磁気テープカセットの組
み立て状態の斜視図である。

【図５】図４の３枚リッド式の蓋が閉じている状態を示
す断面図である。

【図６】図４の３枚リッド式の蓋が開いた状態を示す断
面図である。

【符号の説明】

２０ 磁気テープカセット ２２ 開口部 ２４ カセット本体 ２７ 開閉蓋 ２９ アウターリッド ３０ トップリッド ３０ｄ 上蓋スライドピン ３１ インナーリッド ３１ｃ 内蓋スライドピン ３３ 上蓋ガイド溝 ３５ 内蓋ガイド溝 ４０ 回転ローラ ４１ ローラ支軸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カセット本体内に磁気テープを巻回して
   回動自在に取付けられた一対のリールと、前記カセット
   本体前面の開口部を開閉自在に覆うために取り付けられ
   た開閉蓋とを備えた磁気テープカセットにおいて、 前記開閉蓋が、前記開口部に張架された磁気テープの前
   面側を覆う前蓋板と前記カセット本体の前面寄りの両側
   面部に軸支された前記前蓋板の両側から張り出した側板
   部とを備えたアウターリッドと、前記開口部に張架され
   た磁気テープの上方を覆う上蓋板とこの上蓋板の前縁側
   の両端を前記前蓋板の上端縁に回動自在に連結する前蓋
   連結部と前記上蓋板の後端縁から延出したアーム部に突
   設されてカセット本体の両側面部に形成されている上蓋
   ガイド溝に摺動自在に係合する一対の上蓋スライドピン
   とを備えたトップリッドと、前記開口部に張架された磁
   気テープの後面側を覆う内蓋板とこの内蓋板の上縁を前
   記上蓋板に回動自在に連結する上蓋連結部と前記内蓋板
   の下縁側両端部から突出してカセット本体の内側面部に
   形成されている内蓋ガイド溝に摺動自在に係合する一対
   の内蓋スライドピンとを備えたインナーリッドとによっ
   て構成されており、 前記トップリッドの一対の上蓋スライドピン及び前記イ
   ンナーリッドの一対の内蓋スライドピンの少なくとも一
   方のスライドピン対が、前記カセット本体側の各ガイド
   溝に外周面が接触する回転ローラと、該回転ローラを回
   転自在に支持するローラ支軸とを具備した構成とされて
   いることを特徴とする磁気テープカセット。
2. 【請求項２】 カセット本体内に磁気テープを巻回して
   回動自在に取付けられた一対のリールと、前記カセット
   本体前面の開口部を開閉自在に覆うために取り付けられ
   た開閉蓋とを備えた磁気テープカセットにおいて、 前記開閉蓋が、前記開口部に張架された磁気テープの前
   面側を覆う前蓋板と前記カセット本体の前面寄りの両側
   面部に軸支された前記前蓋板の両側から張り出した側板
   部とを備えたアウターリッドと、前記開口部に張架され
   た磁気テープの上方を覆う上蓋板とこの上蓋板の前縁側
   の両端を前記前蓋板の上端縁に回動自在に連結する前蓋
   連結部と前記上蓋板の後端縁から延出したアーム部に突
   設されてカセット本体の両側面部に形成されている上蓋
   ガイド溝に摺動自在に係合する一対の上蓋スライドピン
   とを備えたトップリッドと、前記開口部に張架された磁
   気テープの後面側を覆う内蓋板とこの内蓋板の上縁を前
   記上蓋板に回動自在に連結する上蓋連結部と前記内蓋板
   の下縁側両端部から突出してカセット本体の内側面部に
   形成されている内蓋ガイド溝に摺動自在に係合する一対
   の内蓋スライドピンとを備えたインナーリッドとによっ
   て構成されており、 前記トップリッドの一対の上蓋スライドピン及び前記イ
   ンナーリッドの一対の内蓋スライドピンの少なくとも一
   方のスライドピン対が、その他の部位よりも摺動性に優
   れる樹脂で二色成形されていることを特徴とする磁気テ
   ープカセット。
3. 【請求項３】 カセット本体内に磁気テープを巻回して
   回動自在に取付けられた一対のリールと、前記カセット
   本体前面の開口部を開閉自在に覆うために取り付けられ
   た開閉蓋とを備えた磁気テープカセットにおいて、 前記開閉蓋が、前記開口部に張架された磁気テープの前
   面側を覆う前蓋板と前記カセット本体の前面寄りの両側
   面部に軸支された前記前蓋板の両側から張り出した側板
   部とを備えたアウターリッドと、前記開口部に張架され
   た磁気テープの上方を覆う上蓋板とこの上蓋板の前縁側
   の両端を前記前蓋板の上端縁に回動自在に連結する前蓋
   連結部と前記上蓋板の後端縁から延出したアーム部に突
   設されてカセット本体の両側面部に形成されている上蓋
   ガイド溝に摺動自在に係合する一対の上蓋スライドピン
   とを備えたトップリッドと、前記開口部に張架された磁
   気テープの後面側を覆う内蓋板とこの内蓋板の上縁を前
   記上蓋板に回動自在に連結する上蓋連結部と前記内蓋板
   の下縁側両端部から突出してカセット本体の内側面部に
   形成されている内蓋ガイド溝に摺動自在に係合する一対
   の内蓋スライドピンとを備えたインナーリッドとによっ
   て構成されており、 前記カセット本体側の上蓋ガイド溝及び内蓋ガイド溝の
   少なくとも一方のガイド溝部分が、その他の部位よりも
   摺動性に優れる樹脂で二色成形されていることを特徴と
   する磁気テープカセット。