JPH10334439A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10334439A
JPH10334439A JP14204097A JP14204097A JPH10334439A JP H10334439 A JPH10334439 A JP H10334439A JP 14204097 A JP14204097 A JP 14204097A JP 14204097 A JP14204097 A JP 14204097A JP H10334439 A JPH10334439 A JP H10334439A
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recording medium
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JP14204097A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
Hirohide Mizunoya
博英 水野谷
Katsumi Endo
克巳 遠藤
Takeshi Miyamura
猛史 宮村
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 媒体走行方向での出力差が少なく、且つ幅広
い帯域にわたって出力特性の良好な金属薄膜型の磁性層
を有する磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 支持体3上に、金属薄膜型の複数の磁性
層1、1’を有し、各磁性層の柱状構造2、2’が媒体
走行方向で法線に対して、隣接する磁性層の柱状構造の
成長方向と逆方向に傾斜した成長方向を有しており、且
つ、前記支持体3から最も遠い磁性層1の角形比が、該
磁性層1に隣接する磁性層1’の角形比よりも小さい磁
気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関す
る。更に詳しくは、出力特性に優れた金属薄膜型の磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、従来より磁性粉
末を含む磁性塗料をポリエチレンテレフタレート等から
なる基板(フィルム)に塗布して製造される塗布型の磁
気記録媒体が知られているが、塗布型の磁気記録媒体は
磁性粉の充填性に限界があり、磁気記録媒体の高密度
化、薄さの向上が困難である。
【0003】この高密度化を達成するために、磁性材料
の薄膜を基板上に直接形成するタイプのいわゆる金属薄
膜型の磁気記録媒体が提案されており、このタイプは塗
布型の磁気記録媒体にはない特性がある。金属薄膜型の
磁気記録媒体は、磁性体充填率が高いため、塗布型の磁
気記録媒体等と比べて薄膜で飽和磁化が大きく、高密度
記録に適したものとして種々の応用分野において利用さ
れている。こうした金属薄膜型の磁気記録媒体の製造に
おいては、特に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、C
o−Cr−Ni合金、Co−Cr−Ta合金、Fe−C
o−Ni合金、Fe−Co合金等の磁性材料を、基材に
斜めに蒸着する、いわゆる斜め蒸着法が主流となってい
る。更に、磁気特性を調節するために磁性層を多層構造
とする改良もまた種々行われている。
【0004】例えば特開昭63−9015号公報には、
Coを主成分とし、厚さの比率が特定の関係にある二層
の金属薄膜層を磁性層として有する磁気記録媒体が開示
されている。この磁気記録媒体は走行性などの耐久性と
電磁変換特性に優れたものであるとされている。また、
特開平6−139541号公報には、斜め蒸着により形
成された複数の磁性層を有する磁気記録媒体であって、
各磁性層のコラム構造の成長方向が隣接する磁性層のコ
ラム構造の成長方向と逆方向に傾斜しているものが開示
されている。この磁気記録媒体は、テープの走行方向に
関わらず良好な出力と保磁力が得られるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63−9015号公報のように、磁性層の厚さを規定す
るのみでは出力特性を向上させるには限界があり、しか
も今後予想される更なる高周波記録における出力特性の
向上は困難である。また、特開平6−111267号公
報は、媒体の走行方向による磁気特性の差を抑えること
を意図したものであるが、媒体の走行方向による磁気特
性の差を小さくし、且つ、低域から高域にわたっての広
い範囲での出力特性を向上させるという点では十分では
なかった。更に、テープの剛性の不均一性から、テープ
の走行のムラ(テンションの変化が大きい)が生じると
いう問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点に鑑み、低域から高域にわたる広い範囲での出力特
性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的として鋭
意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、支持体と、該支持体上
に形成された金属薄膜からなる複数の磁性層を有する磁
気記録媒体において、各磁性層の柱状構造が媒体走行方
向で法線に対して、隣接する磁性層の柱状構造の成長方
向と逆方向に傾斜した成長方向を有しており、且つ、前
記支持体から最も遠い磁性層の角形比(SqA )が、該
磁性層に隣接する磁性層の角形比(SqB )よりも小さ
いことを特徴とする磁気記録媒体を提供するものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体の磁性層を
図1により説明する。図1は、本発明の磁気記録媒体を
走行方向と平行な面から見た断面を示す略示図であり、
図1aは二層の磁性層が形成された例、図1bは三層の
磁性層が形成された例である。図1aの磁気記録媒体で
は二層の磁性層1、1’が形成されており、各層の柱状
構造2、2’は、斜線で模式的に表されている。各磁性
層1、1’の柱状構造2、2’は、互いに隣接する磁性
層の柱状構造の成長方向と、媒体の走行方向で法線Pに
対して逆方向に傾斜した成長方向を有する。図1中、3
は支持体である。本発明の磁気記録媒体は、支持体から
最も遠い磁性層(以下、最表層ということもある)の角
形比(SqA )が、該最表層に隣接する磁性層の角形比
(SqB )よりも小さいことを特徴とする。従って、図
1aの磁気記録媒体では、最表層1の角形比SqA が下
層の磁性層1’の角形比SqB よりも小さくなる。すな
わち、SqA <SqB となる。また、図1bのように三
層の磁性層1、1’、1''が形成されている場合も、同
様に、最表層1の角形比SqA がこれに隣接する磁性層
1’の角形比SqB よりも小さくなる。図1bの磁気記
録媒体では、最も支持体に近い磁性層1''の角形比は問
わない。
【0009】ここで、角形比(Sq)は、Sq=Br
(残留磁束密度)/Bs(飽和磁束密度)により定義さ
れ、Br(gauss) 、Bs(gauss) は磁束密度Bと磁界H
とのヒステリシス曲線から求めることができる。各磁性
層の角形比は、試料振動型磁力計(VSM)及び磁気ト
ルクメーターなどを用いて磁性層面内長手方向の角形比
を測定する。また、保磁力Hcについても磁性層面内長
手方向で測定する。
【0010】本発明においては、各磁性層の角形比が何
れも0.6〜0.99の範囲にあることが好ましい。ま
た、支持体から最も遠い磁性層の角形比(SqA )と該
磁性層に隣接する磁性層の角形比(SqB )がSqB
SqA ≧0.1の関係を満たすことがより好ましい。更
に好ましくは、SqB −SqA が0.15〜0.3であ
る。この関係を満たすと出力特性が更に良好となる。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、各磁性層の柱状
構造が隣接する磁性層の柱状構造と媒体走行方向で法線
に対して逆方向に傾斜しており、且つ、最表層の角形比
(SqA )が、該最表層に隣接する磁性層の角形比(S
B )よりも小さいことを特徴とし、この構造により、
低域から高域まで広い範囲で安定した出力を得ることが
できる。低域の記録は波長が長いため、テープ厚さの底
部まで記録波長が届く。従って下層部の磁化の方向性が
重要である。一方、高域の記録は、テープの表面記録で
あり、且つその方向性は垂直に近く長手方向の磁性の方
向性は必要ない。これらのことから、低域から高域にわ
たり高出力を得るためには、本発明のように最表層の角
形比(SqA )をこれに隣接する磁性層の角形比(Sq
B )よりも小さくし、且つ各磁性層の柱状構造が隣接す
る磁性層の柱状構造と媒体走行方向で法線に対して逆方
向に傾斜しており、これにより媒体の走行方向による磁
気特性の差が小さくなり、且つ低域から高域にわたる高
出力が得られる。また、本発明の磁気記録媒体は、各磁
性層の柱状構造が隣接する磁性層の柱状構造と媒体走行
方向で法線に対して逆方向に傾斜しているため、テープ
の剛性を均一にすることができる。
【0012】なお、本発明においては、各柱状構造の成
長方向の傾斜角度の限定はないが、30°〜70°程度
が一般的である。ここで、柱状構造の成長方向の傾斜角
度とは、柱状構造の成長方向と支持体平面とがなす角度
をいう。また、各柱状構造の傾斜角度の大小関係も問わ
ない。
【0013】本発明の磁気記録媒体の製造方法を簡単に
説明する。図2は磁性材料の蒸着に用いられる装置の一
例を示す略図である。この蒸着装置は、真空チャンバ2
1と、支持体22を搬送する円筒キャン23と、該円筒
キャン23の下方に配設され、該円筒キャン23上を搬
送される支持体22上に磁性金属を付着する蒸着手段
と、蒸着領域を規制する防着板24と、蒸着中にガスを
導入するガス導入管25を有する。ここで、蒸着手段
は、磁性金属26を収容したルツボ27と該ルツボ27
に設置された電子銃28である。またこの装置のチャン
バ内は図示しない真空手段により真空に保たれている。
【0014】真空チャンバ21内には、巻出ロール29
と巻取ロール30とが設けられ、巻出ロール29から巻
出されて巻取ロール30に巻取られる間で、支持体22
はキャン23の下側面に巻掛けられて走行するようにな
っている。キャン23の下方にはルツボ27(例えばM
gO製)が置かれ、この中にCo、Ni、Feなどの磁
性金属或いは磁性金属の合金26が入れられている。磁
性金属26に電子ビーム銃28から電子ビームを湾曲さ
せて照射し、これにより磁性金属26を加熱して蒸発さ
せるようになっている。そして、必要に応じてガス導入
管25から酸素ガスなどを蒸着領域に導入することによ
り、金属薄膜の柱状構造を酸化することができる。
【0015】本発明の磁気記録媒体を得るためには、図
2のような装置で下層の磁性層を形成した後、再度巻取
ロール30から巻出ロール29にフィルムをセットして
に蒸着することにより、磁性層の柱状構造が逆方向に傾
斜した上層の磁性層を形成することができる。三層以上
の磁性層を形成する場合も同じ要領で蒸着を行えばよ
い。
【0016】一般に図2のような装置を用いる場合、蒸
着条件(最小入射角θmin を含む)が同じであれば最大
入射角θmax を小さくした方が角形比が小さくなること
がわかっている。従って磁性層となる金属薄膜型の角形
比を調節するには、各磁性層を形成する際の最大入射角
θmax をコントロールすればよい。本発明の磁気記録媒
体のように、最表層(上層)の角形比(SqA )を、該
最表層に隣接する磁性層(下層)の角形比(SqB )よ
りも小さくするには、下層の磁性層を形成する際の最大
入射角θmax を、上層の磁性層を形成する際の最大入射
角θmax よりも大きくすればよい。また、電子銃からの
電子ビ−ムの原反長手方向及び/又は幅方向の振り幅で
角形比をコントロールすることもでき、一般に振り幅が
大きくなると角形比は小さくなる。更に、必要に応じて
酸素ガスの導入量その他の蒸着条件をコントロールし
て、保磁力(Hc)や飽和磁束密度(Bs)を調節する
こともできる。
【0017】本発明において、金属薄膜型の磁性層を形
成する磁性材料としては、通常の金属薄膜型の磁気記録
媒体の製造に用いられる強磁性金属材料が挙げられ、例
えばCo、Ni、Fe等の強磁性金属、また、Fe−C
o、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe
−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−L
a、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−P
t、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−A
l、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co
−Cr、Ni−Co−Cr等の強磁性合金が挙げられ
る。また、これら金属もしくは金属合金の窒化物、炭化
物、酸化物も好ましい。
【0018】高密度記録のためには磁気記録媒体の磁性
層は、斜め蒸着により基材上に形成することが好まし
い。斜め蒸着の方法は特に限定されず、従来公知の方法
に準ずる。蒸着の際の真空度は10-4〜10-7Torr
程度である。特に、酸化性ガスを導入して磁性層表面に
酸化物を形成することにより、耐久性の向上を図ること
ができる。
【0019】更に、支持体上にバックコート層を形成す
ることができる。バックコート層は、カーボンブラック
やバインダーを主成分とする厚さ0.2〜1.0μm程
度の塗布型のバックコート層でもよいし、蒸着法、直流
スパッタ法、交流スパッタ法、高周波スパッタ法、直流
マグネトロンスパッタ法、高周波マグネトロンスパッタ
法、イオンビームスパッタ法などのメッキ手段により、
真空中で金属又は半金属を支持体に付着させて形成され
た金属薄膜型のバックコート層でもよい。後者の場合、
バックコート層として付着する金属としては、いろいろ
考えられるが、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、
Coなど及びこれらの合金が用いられ、Al、CoやC
u−Al合金が好適である。更に蒸着時に酸化反応、炭
化反応等をさせた酸化膜、炭化膜などのようにセラミッ
クス化したものも好適である。また、バックコート層を
形成する半金属としては、Si、Ge、As、Sc、S
bなどが用いられ、Siが好適である。また、更に添加
物をドープし、導電率を向上させることは好ましい。金
属薄膜型のバックコート層の厚さは、0.05〜1.0
μm程度である。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体においては、
磁性層上に厚さが1〜50nmの保護膜が設けられるの
が好ましい。保護層を構成する材料として、Al等の金
属の酸化物、窒化物、あるいは炭化物などの他、SiC
等、及びそれを含む化合物などが考えられる。また、特
に、炭素膜、中でもダイヤモンドライクカーボンは好ま
しいものである。ダイヤモンドライクカーボンよりなる
保護層はフィジカルベーパーデポジション(PVD)法
又はケミカルベーパーデポジション(CVD)法により
形成される。特に、ECRプラズマCVD装置により形
成される。即ち、真空槽内に配設された支持体上の磁性
層に対してECRプラズマCVD装置を作動させ、磁性
層に炭化水素系ガスのプラズマを吹き付ける。これによ
り、磁性層表面に保護層(ダイヤモンドライクカーボン
層)が形成される。
【0021】更に、本発明の磁気記録媒体においては、
磁性層又は保護層上に適当な潤滑剤からなる潤滑剤層を
形成することが好ましい。特にパーフルオロポリエーテ
ル等のフッ素系の潤滑剤が好ましく、潤滑剤層の厚さは
0.5〜10nm程度である。潤滑剤としては、例えば
-[C(R)F-CF2-O]p-(但し、R はF,CF3, CH3などの基)、
特にHOOC-CF2(OC2F4)p(OCF2)q-OCF2COOH,F-(CF2CF2CF2
O)n-CF2CF2COOH等のカルボキシル基変性パーフルオロポ
リエーテル、HOCH2-CF2(OC2F4)p(OCF2)q-OCF2-CH2OH,HO
-(C2H4O)m-CH2-(OC2F4)p(OCF2)q-OCH2-(OCH2CH2)n-OH,
F-(CF2CF2CF2O)n-CF2CF2CH2OH等のアルコール変性パー
フルオロポリエーテルが挙げられる。分子量は500〜
50000のものが好ましい。具体的には、モンテカチ
ーニ社の商品名「FOMBLIN Z DIAC」や
「FOMBLIN Z DOL」、ダイキン工業社の商
品名「デムナムSA」等がある。
【0022】なお、本発明においては、バックコート層
上にも上記のような保護層、潤滑剤層の何れか一つ以
上、望ましくは保護層と該保護層上に潤滑剤層を形成す
ることが走行性の面から好ましい。
【0023】また、本発明の磁気記録媒体の支持体とな
る材料としては、通常の非磁性支持体が使用でき、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)のようなポリエステル;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン; セルロースト
リアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース
誘導体;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミ
ド;芳香族ポリアミド等のプラスチック等が使用され
る。これらの支持体の厚さは3〜50μm程度である。
【0024】本発明において、各磁性層の厚さは、2層
の場合、下層の磁性層の厚さが10〜200nm、上層
の磁性層の厚さが5〜100nmが好ましく、3層の場
合、下層の磁性層の厚さが10〜200nm、中間の磁
性層の厚さが10〜100nm、上層の磁性層の厚さが
5〜100nmが好ましい。また磁性層の数は高周波記
録型媒体程多い方が良いが、実用的な範囲としては2〜
5層が適当と考えられる。多層の磁性層は、一層ずつ形
成しても、二以上の装置を用いて連続的に成膜してもよ
い。
【0025】また、本発明の磁気記録媒体の保磁力は、
磁性層全体の保磁力として1300(Oe)以上である
のが好ましく、特に1500(Oe)以上が好ましい。
なお、最表層とこれに隣接する磁性層の保磁力の関係は
問わない。
【0026】本発明の磁気記録媒体は、最短記録波長が
0.4μm以下のような高周波の磁気記録に適してい
る。
【0027】
【実施例】以下実施例にて本発明を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】実施例1 (1)磁気テープの製造 図1の装置を用いて酸素ガスを導入しながら厚さ6.3
μmのPETフィルム上にCoを蒸着して下層のCo−
O系磁性層を形成した。この時の蒸着条件は、電子銃パ
ワー15kW、電子銃のフィルム長手走行方向の振り幅
1.5cm、フィルムの走行速度2.1m/分、酸素ガ
ス流量60SCCM、最大入射角θmax90°、最小入
射角θmin 56°であった。得られた下層磁性層の厚さ
は120nm、角形比(SqB )は0.94であった。
【0029】次いで、巻取ロール30からフィルムを再
び巻出29にセットし、同様に酸素ガスを導入しながら
Coを蒸着して下層のCo−O系磁性層上に、磁性層の
柱状構造が、媒体走行方向で法線に対して、隣接する下
層磁性層の柱状構造の成長方向と逆方向に傾斜するよう
な成長方向を有する上層のCo−O系磁性層を形成し
た。この時の蒸着条件は、電子銃のフィルム長手走行方
向の振り幅5.5cm、フィルムの走行速度2m/分、
酸素ガス流量51SCCM、最大入射角θmax 80°、
最小入射角θmin 55°とし、その他は下層磁性層と同
様とした。得られた上層磁性層の厚さは90nm、角形
比(SqA )は0.84であった。
【0030】次いで、公知の方法により、フィルムの磁
性層と反対の面にカーボンブラックとバインダーからな
る厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
【0031】次いで、磁性層上にフッ素系潤滑剤〔商品
名:AM2001(ダイキン工業社製)〕を厚さが1n
mとなるように付着して潤滑剤層を形成した。上記によ
り得られた、磁性層、フッ素系潤滑層及びバックコート
層が形成されたフィルムを8mm巾に裁断し、8mmV
TR用カセットケースにローディングし、8mmテープ
を得た。
【0032】(2)性能評価 上記で得られた8mmテープについて、市販の8mmV
TRを改造した装置にセットし、0.5MHz〜20M
Hzの周波数で記録したときの出力を測定した。出力の
評価は実施例1を基準とする相対評価とした。また、市
販のDLT3ドライブで走行させたときのテンションの
ムラを測定した。その際、テンションの変化が10%以
上のものを「×」、テンションの変化が5%以上10%
未満のものを「△」、テンションの変化が5%未満のも
のを「○」とした。結果を表1に示す。
【0033】実施例2 実施例1と同様に二層のCo−O系磁性層を形成し、8
mmテープを製造した。ただし、下層磁性層の蒸着条件
は、電子銃パワー10kW、電子銃のフィルム長手走行
方向の振り幅1cm、フィルムの走行速度0.8m/
分、酸素ガス流量28SCCM、最大入射角θmax 86
°、最小入射角θmin 58°であった。得られた下層磁
性層の厚さは100nm、角形比(SqB )は0.91
であった。また、上層磁性層の蒸着条件は、電子銃パワ
ー10kW、電子銃のフィルム長手走行方向の振り幅6
cm、フィルムの走行速度0.9m/分、酸素ガス流量
30SCCM、最大入射角θmax 77°、最小入射角θ
min 52°とし、その他は実施例1の上層磁性層と同様
とした。得られた上層磁性層の厚さは60nm、角形比
(SqA )は0.77であった。得られた8mmテープ
について、実施例1と同様の評価をした。その結果を表
1に示す。
【0034】実施例3 実施例1、2の方法に準じて、実施例1の上層磁性層
(角形比0.84)を下層磁性層とし、実施例2の上層
磁性層(角形比0.77)を上層磁性層とする8mmテ
ープを製造した。磁性層以外は実施例1と同様である。
得られた8mmテープについて、実施例1と同様の評価
をした。その結果を表1に示す。
【0035】実施例4 実施例2の方法に準じて、下層磁性層(角形比0.9
1)を形成し、図3の装置を用いて下層磁性層の上にF
e−C−O系の上層磁性層(角形比0.55、厚さ65
nm)を形成した。ここで、図3は上層磁性層の形成に
用いたイオンアシスト蒸着装置の要部であり、図3中、
31はキャンロール、32はベースフィルム、33はイ
オンガン、34は遮蔽板、35は電子銃、36はルツボ
であり、金属鉄を収容している。本例では、PETフィ
ルムの走行速度を0.8m/分、電子銃35のパワーを
8kW、イオンガン23の加速電圧を900V、酸素ガ
ス流量を5SCCMとした。その他は実施例1と同様に
して8mmテープを製造した。得られた8mmテープに
ついて、実施例1と同様の評価をした。その結果を表1
に示す。
【0036】比較例1 実施例1と同様に二層のCo−O系磁性層を形成し、8
mmテープを製造した。ただし、上下の磁性層を共に実
施例1の上層の条件で形成し、上下の磁性層の角形比が
共に0.96となるようにした。得られた8mmテープ
について、実施例1と同様の評価をした。その結果を表
1に示す。
【0037】比較例2 実施例1の上層の磁性層の成膜条件でCo−O系磁性層
を二層形成して8mmテープを製造した。このとき、下
層の磁性層を成膜した後、原反の巻き直しを行って、同
じ条件で上層の磁性層を成膜した。得られた8mmテー
プの角形比は上下の磁性層とも0.96であり、磁性層
の柱状構造の成長方向は媒体走行方向で法線に対して、
隣接する磁性層の柱状構造の成長方向と同じ方向に傾斜
している。得られた8mmテープについて、実施例1と
同様の評価をした。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果からもわかるように、本発明の
磁気記録媒体は、媒体の走行方向による出力の差が少な
く、且つ、広帯域で高出力である故、システムにおいて
正逆両方向で使用するオーディオテープ、切手サイズD
AT、DLTテープなどとして特に有利である。また、
先にも述べたように、本発明の磁気記録媒体は、各磁性
層の柱状構造が隣接する磁性層の柱状構造と媒体走行方
向で法線に対して逆方向に傾斜しているため、テープ全
体の剛性が長手方向で均一になり、テンションの変化が
少なく、実際のドライブ中の走行で安定である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の磁性層を示す断面略図
【図2】本発明の磁気記録媒体の磁性層を形成するため
の装置の例を示す略図
【図3】実施例4で用いたイオンアシスト蒸着装置の要
部を示す略図
【符号の説明】
1 …最上磁性層 1’…最上磁性層に隣接する磁性層 1''…最下磁性層 2,2’,2''…磁性層の柱状構造 21…真空容器 22…フィルム 23…冷却キャン 25…酸素ガス導入管 27…ルツボ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 宮村 猛史 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された金属
    薄膜からなる複数の磁性層を有する磁気記録媒体におい
    て、各磁性層の柱状構造が媒体走行方向で法線に対し
    て、隣接する磁性層の柱状構造の成長方向と逆方向に傾
    斜した成長方向を有しており、且つ、前記支持体から最
    も遠い磁性層の角形比(SqA )が、該磁性層に隣接す
    る磁性層の角形比(SqB )よりも小さいことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 各磁性層の角形比が何れも0.6〜0.
    99の範囲にある請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 支持体から最も遠い磁性層の角形比(S
    A )と該磁性層に隣接する磁性層の角形比(SqB
    がSqB −SqA ≧0.1の関係を満たす請求項1又は
    2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 最短記録波長が0.4μm以下の磁気記
    録に用いられる請求項1〜3の何れか1項記載の磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 保磁力が1300(Oe)以上である請
    求項1〜4の何れか1項記載の磁気記録媒体。
JP14204097A 1997-05-30 1997-05-30 磁気記録媒体 Pending JPH10334439A (ja)

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