JPH10331957A - 歯車対および歯面形状設定方法 - Google Patents

歯車対および歯面形状設定方法

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JPH10331957A
JPH10331957A JP14229097A JP14229097A JPH10331957A JP H10331957 A JPH10331957 A JP H10331957A JP 14229097 A JP14229097 A JP 14229097A JP 14229097 A JP14229097 A JP 14229097A JP H10331957 A JPH10331957 A JP H10331957A
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tooth surface
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JP14229097A
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Ichiro Taruya
一郎 樽谷
Hirofumi Tani
裕文 谷
Taiki Maki
泰希 牧
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一対の歯車がかみ合って回転する歯車対におい
て、一対の歯車間の伝達トルクの広い変化領域にわたっ
てギヤノイズが低減されるように歯面形状を改良する。 【解決手段】各歯車の無負荷時実際歯面形状を、各かみ
合い位置において当該歯車の歯面が相手歯車の歯面と接
触する接触領域の長さが相手歯車の歯面から当該歯車の
歯面への負荷の大きさに応じて変化するパターンが、一
対の歯車間の伝達誤差と一対の歯車間の伝達トルクとの
関係がかみ合い位置にかかわらず一定となるパターンと
なる形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の歯車がかみ
合って回転する歯車対およびその歯車対における各歯車
の歯面形状を設定する方法に関するものであり、特に、
歯面形状によってギヤノイズを低減する技術の改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】歯車対においては一般に、基準歯面(例
えば円筒歯車においてはインボリュート曲面)に対する
歯面修整がギヤノイズ低減等を目的として行われて実際
歯面が製作される。歯面修整には例えば、歯すじ方向に
おいて中高となるように歯面を修整するクラウニング
や、歯丈方向において中高となるように歯面を修整する
歯形丸みがある。この歯面修整は、一対の歯車間の伝達
トルクの広い変化領域にわたってギヤノイズが低減され
るように行われるのが理想である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に問題となるギヤ
ノイズの原因は、伝達トルクが一定の条件で歯車のかみ
合いが進行したときの、歯のかみ合い位置の進行に沿っ
た伝達誤差の変動である。したがって、ギヤノイズを低
減するためには、ある伝達トルクの下でかみ合いが進行
しても、伝達誤差が変動しないようにする必要がある。
また、前述したように、そのような伝達誤差の変動抑制
を伝達トルクの広い変化領域にわたって実現することが
理想である。
【0004】しかしながら、従来の歯面修整は、歯面を
修整する形状の単純さから、伝達トルクの狭い変化領域
のみにおいて、例えば、伝達トルクの特定のねらい値の
みにおいて伝達誤差の変動を抑制することしかできなか
った。
【0005】例えば、前述したクラウニングや歯形丸み
といった歯面修整を行った歯車における伝達誤差と伝達
トルクとの関係は、図20にグラフで概念的に示すよう
に、伝達トルクの特定のねらい値以外の領域では、かみ
合い位置によって異なってしまう。そのため、従来の歯
面修整を行った歯車対には、伝達トルクの広い変化領域
にわたってギヤノイズを低減することができないという
問題があった。
【0006】また、従来の歯面修整においては、伝達ト
ルクの特定のねらい値でギヤノイズが低減されるように
作業者による試行錯誤によって歯面修整量を決めなけれ
ばならない。そのため、この従来の歯面修整には、歯車
設計に長い時間や多くのコストが必要であるという問題
もあった。
【0007】本発明は、以上の事情を背景としてなされ
たものであり、その課題は、伝達トルクの広い変化領域
にわたってギヤノイズを低減することができる歯車対を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段,課題解決手段,作用およ
び効果】その課題を解決するために、請求項1の発明
は、一対の歯車がかみ合って回転する歯車対において、
各歯車の歯面形状を、前記一対の歯車間の回転伝達誤差
(以下、単に「伝達誤差」ともいう。)と一対の歯車間
の伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ
一定となる形状としたことを要旨とする。
【0009】歯車の一歯面全体の歯面形状は、各かみ合
い位置に対応する接触領域に対応する個別の歯面形状の
集合として構成される。個別歯面形状は、無負荷時と負
荷時とで異なる。無負荷時の個別歯面形状には、基準歯
面形状と実際歯面形状とがある。一般に歯車では、一対
の歯車が無負荷状態でかみ合って各々等速回転すること
を想定した場合に一方の歯車の各歯と線接触しながら回
転する相手歯車の各歯が存在するが、これをもって両歯
車の各々の基準歯面形状とする。一方、実際歯面形状
は、基準歯面形状に対して隔たり(修整量)を有するも
のである。
【0010】図18には、接触線を含んで歯面に直角な
面で歯を切断した断面図が示されている。そして、同図
には、無負荷時実際歯面形状と無負荷時基準歯面形状と
の相対的な位置関係が示されている。さらに、歯車にあ
る大きさで負荷が加えられたために無負荷時実際歯面形
状が弾性変形して伝達誤差が生じた状態での負荷時実際
歯面形状も示されている。同図から明らかなように、無
負荷時実際歯面形状の隔たりと歯面の弾性変形量と伝達
誤差との間には、伝達誤差が隔たりと弾性変形量との和
に等しくなるという関係が成立する。ここに、「弾性変
形量」は、歯のコンプライアンスと歯面の接触領域上の
各位置における分布荷重との積の総和を接触領域全体に
ついて求めることにより得られる。したがって、図19
においてを付した矩形枠内に概念的に示すように、歯
のコンプライアンスが分かっていれば、無負荷時実際歯
面形状の隔たりeと分布荷重pと接触領域の長さSと伝
達誤差δとの間に一定の関係(第1の関係)が成立す
る。
【0011】また、歯車における分布荷重pのトルク成
分の総和を接触領域全体について求めれば、歯車の伝達
トルクTが得られる。したがって、同図においてを付
した矩形枠内に概念的に示すように、分布荷重pと接触
領域の長さSと伝達トルクTとの間にも一定の関係(第
2の関係)が成立する。
【0012】また、図18に示すように、接触線方向位
置のうち、弾性変形量が0であり、伝達誤差が隔たりと
等しい2つの位置が、接触領域の両端位置となり、その
両端位置間の距離が接触領域の長さSとなる。したがっ
て、図19においてを付した矩形枠内に概念的に示す
ように、隔たりeと伝達誤差δと接触領域の長さSとの
間にも一定の関係(第3の関係)が成立する。
【0013】すなわち、接触領域の長さSという概念と
分布荷重pという概念とを採用することにより、それら
2つの概念を媒介として隔たりeと伝達誤差δと伝達ト
ルクTとが相互に関連付けられるのである。
【0014】また、接触領域の長さSと、歯車の各歯が
その接触領域全体において相手歯車から受ける歯面負荷
との間には、一般に、接触領域が長いほど歯面負荷が大
きいという関係が成立する。また、歯面負荷と伝達トル
クTとの間には、歯面負荷が大きいほど伝達トルクTが
大きいという関係が成立する。よって、接触領域の長さ
Sと伝達トルクTとの間には、接触領域が長いほど伝達
トルクTが大きいという関係が成立する。したがって、
同図においてを付した矩形枠内に概念的に示すよう
に、接触領域の長さSと伝達トルクTとの間にも一定の
関係(第4の関係)が成立する。
【0015】また、同図においてを付した矩形枠内に
概念的に示すように、伝達誤差の目標値δ* と伝達トル
クの目標値T* との間にも一定の関係(第5の関係)が
成立する。ただし、この関係は歯車の設計者によって決
定されるものである。
【0016】以上説明した5つの関係を利用すれば、各
かみ合い位置につき、伝達誤差δと伝達トルクTとの目
標の関係を実現するための接触領域の長さSが得られ
る。ただし、歯車対は一般に、様々な大きさの伝達トル
クTが与えられた状況で使用されるため、各かみ合い位
置につき、接触領域の長さSが伝達トルクTすなわち歯
面負荷の大きさと伝達誤差δとに応じて変化するパター
ンが得られることになる。そして、それぞれの伝達トル
クTと伝達誤差とでの接触領域の長さSが得られれば、
その接触領域の長さSに対応する無負荷時実際歯面形状
が得られる。
【0017】具体的には、例えば、図19に示すよう
に、伝達誤差δの目標値δ* と接触領域の長さSの暫定
値とが与えられれば、それら目標値δ* と暫定値Sとか
ら、第3の関係に従い、隔たりeの暫定値が決まる。さ
らに、それら目標値δ* と暫定値Sと暫定値eとから、
第1の関係に従い、分布荷重pが決まり、その分布荷重
pと暫定値Sとから、第2の関係に従い、伝達トルクT
の暫定値が決まる。一方、与えられた伝達誤差δの目標
値δ* から、第5の関係に従い、伝達トルクTの目標値
* が決まる。そして、暫定値Tと目標値T* とを比較
し、その比較結果に基づき、第4の関係に従って暫定値
Sを変更すれば、新たな暫定値Tが決まる。暫定値Sの
変更を暫定値Tが目標値T* と等しくなるまで行えば、
目標値δ*と目標値T* との関係が実現される接触領域
の長さSの最終値が得られ、その最終値Sと目標値δ*
とから、第3の関係に従い、隔たりeの最終値すなわち
無負荷時実際歯面形状が得られることになる。
【0018】ある目標値δ* に対応する隔たりeが決定
されたならば、次の目標値δ* に対応する隔たりeが決
定されることになるが、このように、既に決定された隔
たりeが存在する場合には、次のようにして次の隔たり
eが決定される。
【0019】ところで、目標値δ* と目標値T* との関
係は一般に、目標値δ* が増加するにつれて目標値T*
も増加する関係に決定される。したがって、次の目標値
δ*がそのある目標値δ* より増加すれば、第3,第1
および第2の関係に従い、暫定値Tが増加することとな
り、よって、第4の関係に従い、暫定値Sも増加するこ
とになる。ただし、暫定値Sは、暫定値Tに応じて直ち
に決定されるわけではなく、まず、暫定値Sの前回値か
らの増加量が暫定的に決定され、その暫定増加量の下に
第3の関係に従って暫定値eが決定され、さらに、第1
および第2の関係に従って暫定値Tが決定され、その暫
定値Tと目標値T* との比較結果に応じ、かつ、第4の
関係に従って暫定増加量が変更され、そのような比較お
よび変更を数回行った後に最終増加量が決定されること
になる。最終増加量が決定されたならば、第3の関係に
従い、その最終増加量の下に新たな隔たりeの最終値が
得られることになり、この際に、前回以前に得られた接
触領域の長さSも隔たりeも変更されることはない。
【0020】そのような無負荷時実際歯面形状の取得を
歯車のかみ合い位置すべてにつき、伝達誤差δと伝達ト
ルクTとの関係がほぼ同じように実現されるように行え
ば、かみ合い位置にかかわらず伝達誤差δと伝達トルク
Tとの関係(例えば、横軸と縦軸との一方に伝達誤差
δ、他方に伝達トルクTが取られたグラフにおいて1本
の連続線で表される関係)がほぼ一定となる無負荷時実
際歯面形状が得られることになる。
【0021】以上の知見に基づき、請求項1の発明に係
る歯車対においては、各歯車の歯面形状が、伝達誤差と
伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ一
定となる形状とされている。
【0022】したがって、この請求項1の発明によれ
ば、伝達トルクの広い変化範囲にわたってギヤノイズを
低減することができる歯車対が得られるという効果が得
られる。
【0023】この請求項1の発明の一実施態様は、一対
の歯車の少なくとも一方に対してそれの基準歯面形状に
対する歯面修整が行われた歯車対であって、その少なく
とも一方の歯車に対して行われる歯面修整の量の和が、
伝達誤差と伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわ
らずほぼ一定となるように決定されている態様である。
【0024】この態様の一形態は、一方の歯車のみに対
して歯面修整が行われた歯車対であって、一方の歯車の
歯面形状は、基準歯面形状であり、他方の歯車の歯面形
状は、それの基準歯面形状に対して歯面修整が行われた
修整歯面形状であり、かつ、その歯面の修整量が、伝達
誤差と伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわらず
ほぼ一定となるように決定されている形態である。
【0025】別の形態は、いずれの歯車に対しても歯面
修整が行われた歯車対であって、一方の歯車の歯面形状
は、それの基準歯面形状に対して第1修整量で歯面修整
が行われた修整歯面形状であり、他方の歯車の歯面形状
は、それの基準歯面形状に対して第2修整量で歯面修整
が行われた修整歯面形状であり、それら第1修整量と第
2修整量との和が、伝達誤差と伝達トルクとの関係がか
み合い位置にかかわらずほぼ一定となるように決定され
ている形態である。
【0026】なお付言すれば、上記実施態様および各形
態における歯面修整は例えば、次のような歯面修整方法
により実施することができる。それは、一対の歯車がか
み合って回転する歯車対の少なくとも一方の歯車に対し
て歯面修整を行う方法であって、(a) 一方の歯車の基準
歯面形状を、相手歯車の歯面形状に基づき、当該歯車と
相手歯車とが無負荷状態において各々等速回転すること
を想定した場合に当該歯車の歯面と相手歯車の歯面とが
互いに接触する少なくとも1本の接触線を含むように決
定する基準歯面決定工程と、(b) 前記一方の歯車のみに
ついてそれの基準歯面形状に対して歯面修整を行う場合
の修整量を、伝達誤差と伝達トルクとの関係がかみ合い
位置にかかわらずほぼ一定となるように決定する修整量
決定工程と、(c) 決定された修整量に基づいて前記一対
の歯車の少なくとも一方に対して歯面修整を行う修整工
程とを含むことを特徴とする歯面修整方法である。そし
て、この歯面修整方法を実施する場合には、作業者の勘
や経験にたよって修整量を決定することが不要となり、
作業者による試行錯誤を重ねた上で修整量を決定するこ
とも不要となる。したがって、この歯面修整方法によれ
ば、伝達トルクの広い変化領域にわたってギヤノイズが
低減される理想的な歯面修整が実現されるとともに、特
別な知識なしでも短時間で歯面修整量を決定可能である
という効果が得られる。また、この歯面修整方法によれ
ば、相手歯車との関係において接触線さえ特定すること
ができれば、歯車の種類を問わず、修整量を決定可能で
あるという効果も得られる。
【0027】請求項2の発明は、請求項1に記載の歯車
対において、前記各歯車の歯面形状を、相手歯車との接
触領域の長さが歯面負荷の大きさに応じて変化するパタ
ーンが伝達誤差と伝達トルクとの関係がかみ合い位置に
かかわらずほぼ一定のパターンとなる形状としたことを
要旨とする。
【0028】この請求項2の発明によれば、請求項1の
発明の望ましい一実施態様が提供されるという効果が得
られる。
【0029】この請求項2の発明の一実施態様は、一対
の歯車の少なくとも一方に対してそれの基準歯面形状に
対する歯面修整が行われた歯車対であって、その少なく
とも一方の歯車に対して行われる歯面修整の量の和が、
各かみ合い位置において接触領域の長さが歯面負荷の大
きさに応じて変化するパターンが伝達誤差と伝達トルク
との関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ一定のパター
ンとなるように決定されている態様である。
【0030】この態様の一形態は、一方の歯車のみに対
して歯面修整が行われた歯車対であって、一方の歯車の
歯面形状は、基準歯面形状であり、他方の歯車の歯面形
状は、それの基準歯面形状に対して歯面修整が行われた
修整歯面形状であり、かつ、その歯面の修整量が、各か
み合い位置において接触領域の長さが歯面負荷の大きさ
に応じて変化するパターンが伝達誤差と伝達トルクとの
関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ一定のパターンと
なるように決定されている形態である。
【0031】別の形態は、いずれの歯車に対しても歯面
修整が行われた歯車対であって、一方の歯車の歯面形状
は、それの基準歯面形状に対して第1修整量で歯面修整
が行われた修整歯面形状であり、他方の歯車の歯面形状
は、それの基準歯面形状に対して第2修整量で歯面修整
が行われた修整歯面形状であり、それら第1修整量と第
2修整量との和が、各かみ合い位置において接触領域の
長さが歯面負荷の大きさに応じて変化するパターンが伝
達誤差と伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわら
ずほぼ一定のパターンとなるように決定されている形態
である。
【0032】なお付言すれば、上記実施態様および各形
態における歯面修整は例えば、次のような歯面修整方法
により実施することができる。それは、一対の歯車がか
み合って回転する歯車対の少なくとも一方の歯車に対し
て歯面修整を行う方法であって、(a) 一方の歯車の基準
歯面形状を、相手歯車の歯面形状に基づき、当該歯車と
相手歯車とが無負荷状態において各々等速回転すること
を想定した場合に当該歯車の歯面と相手歯車の歯面とが
互いに接触する少なくとも1本の接触線を含むように決
定する基準歯面決定工程と、(b) 前記一方の歯車のみに
ついてそれの基準歯面形状に対して歯面修整を行う場合
の修整量を、当該歯車と相手歯車とが負荷状態でかみ合
って回転する場合に各かみ合い位置において当該歯車の
歯面と相手歯車の歯面とが前記各接触線上において互い
に接触する線状の接触領域の長さが相手歯車の歯面から
当該歯車の歯面への負荷の大きさに応じて変化するパタ
ーンがそれら一対の歯車間の回転伝達誤差と一対の歯車
間の伝達トルクとの関係がかみ合い位置にかかわらずほ
ぼ一定のパターンとなるように決定する修整量決定工程
と、(c) 決定された修整量に基づいて前記一対の歯車の
少なくとも一方に対して歯面修整を行う修整工程とを含
むことを特徴とする歯面修整方法である。そして、この
歯面修整方法を実施する場合には、作業者の勘や経験に
たよって修整量を決定することが不要となり、作業者に
よる試行錯誤を重ねた上で修整量を決定することも不要
となる。したがって、この歯面修整方法によれば、伝達
トルクの広い変化領域にわたってギヤノイズが低減され
る理想的な歯面修整が実現されるとともに、特別な知識
なしでも短時間で歯面修整量を決定可能であるという効
果が得られる。また、この歯面修整方法によれば、相手
歯車との関係において接触線さえ特定することができれ
ば、歯車の種類を問わず、修整量を決定可能であるとい
う効果も得られる。
【0033】請求項3の発明は、一対の歯車がかみ合っ
て回転する歯車対における各歯車の歯面形状を設定する
方法において、各歯車の歯面形状を、前記一対の歯車間
の回転伝達誤差と一対の歯車間の伝達トルクとの関係が
かみ合い位置にかかわらずほぼ一定となる形状に設定す
ることを要旨とする。
【0034】この請求項3の発明によれば、伝達トルク
の広い変化領域にわたってギヤノイズを低減することが
できる歯面形状が設定されるという効果が得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な一
実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態である
歯車対は、本出願人が開発した歯面修整方法を実施する
ことにより製作される。以下、歯車対の説明に先立ち、
その歯面修整方法を説明するが、まず、背景的な技術を
説明する。
【0036】円筒歯車,ハイポイドギヤ,ベベルギヤ等
の歯車が相手歯車とかみ合って回転する場合、当該歯車
の各歯面上の接触点においては、各歯の歯面が弾性変形
しない限り(無負荷である限り)、図17にはすば歯車
を一例として示すように、相手歯車との相対速度ベクト
ルが歯面法線ベクトルに直角となるという条件が成立す
る。また、歯車対のあるかみ合い位置(ある回転角)に
おいて、当該歯車が相手歯車に等速回転運動を伝達する
と仮定すれば、上記条件が成立する点は、当該歯車の歯
面に線として現れる。例えば円筒歯車のうち平歯車につ
いては、回転軸に平行な直線として現れ、また、円筒歯
車のうちはすば歯車については、同図に示すように、回
転軸と交差する直線として現れる。このような線は一般
に、幾何学的接触線(以下、単に「接触線」という。)
と呼ばれる。
【0037】円筒歯車は、歯面上の接触線の位置,接触
線上の点の位置にかかわらず、歯面法線ベクトルが空間
に固定された同一平面上にありかつ同じ方向を向く点
で、そのようにならないハイポイドギヤやベベルギヤと
相違する。しかしながら、歯車の種類を問わず接触線が
存在する。したがって、相手歯車の歯面形状さえ分かれ
ば、必ず当該歯車の接触線が分かり、ひいては、当該歯
車が相手歯車に等速回転運動を伝える歯面形状も分かる
ことになる。
【0038】次に、この歯面修整方法のうちの特徴的な
技術を概略的に説明する。前述のように、無負荷時実際
歯面形状の隔たりとして修整量eと分布荷重pと接触領
域の長さSと伝達誤差δとの間に第1の関係が成立し、
分布荷重pと接触領域の長さSと伝達トルクTとの間に
第2の関係が成立し、修整量eと伝達誤差δと接触領域
の長さSとの間に第3の関係が成立し、接触領域の長さ
Sと伝達トルクTとの間に第4の関係が成立し、伝達誤
差δの目標値δ* と伝達トルクTの目標値T* との間に
第5の関係が成立する。
【0039】この歯面修整方法においては、それら5つ
の関係を利用することにより、一方の歯車の修整量e
が、当該歯車の各歯の各部位における弾性変形特性に基
づき、各かみ合い位置における接触領域の長さSが歯面
負荷の大きさに応じて変化するパターンが伝達誤差δと
伝達トルクTとの関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ
一定のパターンとなるように決定される。具体的には、
まず、伝達誤差δの目標値δ* と接触領域の長さSの暫
定値とが与えられ、それら目標値δ* と暫定値Sとか
ら、第3の関係に従い、修整量eの暫定値が求められ
る。さらに、それら暫定値Sと暫定値eとから、第1の
関係に従い、分布荷重pが求められ、その分布荷重pと
暫定値Sとから、第2の関係に従い、伝達トルクTの暫
定値が求められる。一方、与えられた目標値δ* から、
第5の関係に従い、伝達トルクTの目標値T* が求めら
れる。そして、暫定値Tと目標値T* とが互いに比較さ
れ、その比較結果に基づき、第4の関係に従って暫定値
Sが変更され、それにより、新たな暫定値Tが求められ
る。暫定値Sの変更が暫定値Tが目標値T* と等しくな
るまで行われ、その結果、目標値δ* と目標値T* との
関係が実現される接触領域の長さSの最終値が得られ、
その最終値Sと目標値δ* とから、第3の関係に従い、
修整量eの最終値が得られることになる。
【0040】ある目標値δ* に対応する修整量eが決定
されたならば、次の目標値δ* に対応する修整量eが決
定されることになるが、このように、既に決定された修
整量eが存在する場合には、次のようにして次の修整量
eが決定される。
【0041】ところで、目標値δ* と目標値T* との関
係は一般に、目標値δ* が増加するにつれて目標値T*
も増加する関係に決定される。したがって、次の目標値
δ*がそのある目標値δ* より増加すれば、第3,第1
および第2の関係に従い、暫定値Tが増加することとな
り、よって、第4の関係に従い、暫定値Sも増加するこ
とになる。ただし、暫定値Sは、暫定値Tに応じて直ち
に決定されるわけではなく、まず、暫定値Sの前回値か
らの増加量が暫定的に決定され、その暫定増加量の下に
第3の関係に従って暫定値eが決定され、さらに、第1
および第2の関係に従って暫定値Tが決定され、その暫
定値Tと目標値T* との比較結果に応じ、かつ、第4の
関係に従って暫定増加量が変更され、そのような比較お
よび変更を数回行った後に最終増加量が決定されること
になる。最終増加量が決定されたならば、第3の関係に
従い、その最終増加量の下に新たな修整量eの最終値が
得られることになり、この際に、前回以前に得られた接
触領域の長さSも修整量eも変更されることはない。
【0042】次に、この歯面修整方法を図1のフローチ
ャートに基づいて具体的に説明する。この歯面修整方法
においては、まず、基準歯面決定工程S1において、一
対の歯車の基準歯面を相手歯車との関係において、か
つ、前記接触線を含むように決定する。なお、当該歯車
が円筒歯車である場合には、基準歯面はインボリュート
曲面に決定される。次に、修整量決定工程S2におい
て、その決定された基準歯面に対する修整量eを前述の
ようにして決定する。その後、修整工程S3において、
その決定された修整量eで歯車対に対して作業者が歯面
修整を行う。なお、歯面修整は、一対の歯車双方につ
き、かつ、各歯車に対して例えば上記修整量eの半値ず
つで行うことができるが、本実施形態においては、一対
の歯車のうち駆動歯車のみに対して修整量eで行われ
る。以上で、歯車対についての歯面修整が完了する。
【0043】図2には、修整量決定工程S2の詳細がフ
ローチャートで表されている。まず、目標関係決定工程
S11において、歯車対が、かみ合い位置(回転角θ)
にかかわらず一定に保つべき伝達誤差δと伝達トルクT
との関係を目標関係として決定する。ここに、「伝達誤
差」は、歯車対において駆動歯車に対する被動歯車の相
対的な回転遅れ角として定義されている。したがって、
「伝達誤差」は、各歯の弾性変形量が増加するにつれて
増加する。図3には、伝達誤差δと伝達トルクTとの目
標関係の一例がグラフで示されている。本実施形態にお
いては、伝達誤差δに応じて伝達トルクTが増加する関
係が目標の関係とされている。次に、データ入力工程S
12において、その決定された目標関係を表すデータが
コンピュータに入力される。
【0044】図4に示すように、コンピュータ10は、
よく知られているように、CPU(処理装置の一例)1
2とROM(メモリの一例)14とRAM(メモリの別
の例)16とを含むように構成されている。このコンピ
ュータ10の入力側には、キーボード,マウス,デジタ
イザ等、データをコンピュータ10に入力する入力装置
18が接続され、一方、出力側には、ディスプレイ,プ
リンタ,プロッタ等、データをコンピュータ10から出
力する出力装置20が接続されている。また、コンピュ
ータ10には、補助記憶装置22も接続されている。補
助記憶装置22は、修整量決定に必要なプログラム,デ
ータ等を記憶してコンピュータ10に供給する機能や、
コンピュータ10から出力されたデータを保存する機能
を有する。
【0045】そして、このデータ入力工程S12におい
ては、上記決定された目標関係が離散化されたデータ、
すなわち、伝達誤差δn (n=1,2,・・・,
MAX )と伝達トルクTn (n=1,2,・・・,n
MAX )との組み合わせを表すデータとしてコンピュータ
10に入力される。入力されたデータは、RAM16ま
たは補助記憶装置22に記憶される。
【0046】その後、修整決定工程S13において、図
5にフローチャートで表されている修整量決定プログラ
ムがコンピュータ10により実行される。本プログラム
は、記録媒体としてのROM14または補助記憶装置2
2にコンピュータ10により読み取り可能に記憶されて
いる。以下、本プログラムの内容を説明するが、まず、
概略的に説明する。
【0047】図6に示すように、歯車については一般
に、歯面変位に関して次の式(1) が成立する。 ∫K(x,ξ)p(ξ)dξ=cos α(x)cos β
(x)r(x)δn −e(x) また、トルクに関して次の式(2) が成立する。 ∫p(ξ)cos α(ξ)cos β(ξ)r(ξ)dξ=T ただし、 δn :整数nに対応する伝達誤差(角度)の目標値 T :伝達トルク(必ずしも伝達トルクTn の目標値と
一致しない) Sn :整数nに対応する、各かみ合い位置における接触
線上の接触領域の長さ(ただし、図7に示すように、前
回値からの増加量と定義する。) x:接触線上の位置をそれの中心位置を0として表す変
数 ξ:接触線上の位置をそれの中心位置を0として表す変
数 K(x,ξ):歯のコンプライアンス(接触線上の各位
置ξに単位荷重をそれぞれ作用させたときの位置xにお
ける歯の弾性変形量) p(ξ):分布荷重(接触線上の各位置ξにおいて、歯
面法線方向にかつ接触線上の単位長さ当たりに作用する
荷重) α(x),α(ξ):図6に示すように、分布荷重p
(x),p(ξ)の作用点を通り、かつ、その作用点か
ら歯車の回転軸Zに下ろした垂線Lに直角であり、か
つ、回転軸Zに平行な平面PL1と、位置x,ξにおけ
る歯面法線ベクトルNとの成す角度 β(x),β(ξ):同図に示すように、垂線Lを含
み、かつ、平面PL1と直角な平面PL2と、位置x,
ξにおける歯面法線ベクトルNとの成す角度 r(x),r(ξ):歯車の位置x,ξにおける半径
(x,ξの関数) e(x):歯車の歯面形状の位置xにおける修整量(x
の関数) ∫〔 〕dξ:変数ξに関する接触領域の長さS1 から
n までの積分値
【0048】上記式(1) および(2) を補足説明すれば、
式(1) は、歯のコンプライアンスK(x,ξ)と伝達誤
差δn と修整量e(x)とから分布荷重p(ξ)が得ら
れることを表し、また、式(2) は、分布荷重p(ξ)か
ら伝達トルクTが得られることを表している。歯のコン
プライアンスK(x,ξ)は、歯車についてFEM解析
を実行するとともにヘルツの接触理論を適用することに
よって取得することができる。すなわち、式(1) は前記
第1の関係を表し、式(2) は前記第2の関係を表してい
るのである。
【0049】伝達誤差δn を歯面法線方向における直線
変位量に換算した換算伝達誤差歯面変位量をD(δn
で表すこととすれば、修整量e(x)と接触領域の長さ
nと換算伝達誤差D(δn )との間の関係は、図7の
(a) ,(b) および(c) に示すグラフで表される。このこ
とを式で表せば、整数nが1のときには、図の(a) に示
すように、 x1 =S1 e(x1 )=D(δ1 ) なる式が得られる。また、整数nが2のときには、図の
(b) に示すように、 x2 =S1 +S2 e(x2 )=D(δ1 ) なる式が得られる。よって、整数n(≧3)については
一般に、図の(c) に示すように、 xn =S1 +S2 ・・・+Sn-1 +Sn e(S1 +S2 ・・・+Sn-1 +Sn )=D(δn ) なる式が得られる。すなわち、同図は、前記第3の関係
を表しているのである。なお、換算伝達誤差D(δn
は、上記式(1) の右辺の第1項と一致する。
【0050】したがって、伝達誤差δn が決定されれば
直ちに、修整量e(x)のうち、その関数がx=S1
1 +S2 ,・・・,ΣSn であるときの値は決定され
るが、修整量e(x)がそれら離散値以外の領域でどの
ような値を取るのかは決定されず、よって、修整量e
(x)の関数式は特定されない。そこで、本実施形態に
おいては、修整量e(x)の関数式が1次関数式である
と仮定されている。すなわち、歯車の歯面形状が折れ線
で近似させられるのである。したがって、伝達誤差δn
が決定されれば直ちに、修整量e(x)の関数式が特定
されることになる。
【0051】したがって、整数nの下、伝達誤差δn
接触領域の長さSn の暫定値とが与えられれば、それら
伝達誤差δn と暫定値Sn とから修整量e(x)の暫定
式が得られる。その修整量e(x)の暫定式に基づき、
上記式(1) および(2) を用いることにより、伝達トルク
Tの暫定値が得られ、さらに、図8に示すように、その
暫定値Tが伝達トルクTの目標値Tn と等しくなるよう
に暫定値Sn を変更して修整量e(x)の暫定式を変更
することにより、修整量e(x)の最終式が得られる。
【0052】以上の知見に基づき、本修整量決定プログ
ラムは、修整量e(x)を決定するのであり、以下、そ
の内容を図5を参照して具体的に説明する。
【0053】まず、プログラムステップS101(以
下、単に「S101」で表す。他のプログラムステップ
についても同じとする。)において、歯車対のある回転
角θiに関して(すなわち、一歯面上のある接触線に関
して)、整数nの値が1に初期化される。次に、S10
2において、互いに対応する伝達誤差δn (今回はn=
1)と伝達トルクTn (今回はn=1)とがRAM16
等から読み出される。前記第5の関係が読み出されるの
である。その後、S103において、接触領域の長さS
n の暫定値が初期値に決定される。
【0054】続いて、S104において、接触領域の長
さSn の最終値が決定される。具体的には、S104a
において、前述のようにして接触領域の長さSn の暫定
値に対応する伝達トルクTの暫定値が演算される。次
に、S104bにおいて、その暫定値Tが伝達トルクT
の目標値Tn と比較される。そして、その暫定値Tが目
標値Tn より小さい場合には、S104cにおいて、暫
定値Sn が現在値より所定値だけ大きな値に変更され、
目標値Tn と等しい場合には、暫定値Sn が最終値に決
定され、目標値Tn より大きい場合には、暫定値Sn
現在値より所定値だけ小さな値に変更される。前記第4
の関係に従い、暫定値Sn が暫定値Tが目標値Tn に近
づく向きに所定値で変更されるのである。
【0055】以上のようにして接触領域の長さSn の最
終値が決定されたならば、S105において、整数nが
1増加させられ、続いて、S106において、整数nの
現在値が最大値nMAX 以下であるか否かが判定される。
今回は最大値nMAX 以下であると仮定すれば、判定がY
ESとなり、S102に戻り、新たな整数nの下にS1
02〜S106が実行される。
【0056】S102〜S106の実行が何回も繰り返
された結果、整数nの現在値が最大値nMAX を超えたな
らば、S106の判定がNOとなり、S107におい
て、当該歯車の回転角θi が次の回転角θi+1 に変更さ
れ、以後、S101〜S106の実行がその次の回転角
θi+1 について実行される。
【0057】そして、かみ合いの1周期全体について本
プログラムが実行されたならば、本プログラムの今回の
実行が終了し、それにより、歯車対のかみ合いの1周期
分の修整量eが決定されることになる。
【0058】なお、歯車対の各かみ合い位置(回転角
θ)において、一方の歯車と相手歯車とかみ合う歯の数
が1個の場合もあれば、複数個の場合もある。各かみ合
い位置において、接触線の数が1本の場合もあれば、複
数本の場合もあるのである。そして、後者の場合には、
本プログラムは、歯車対の各回転角θにつき、複数本の
接触線すべてについてそれぞれ実行されることになる。
また、後者の場合には、S104aにおいて、複数本の
接触線におけるすべての歯面負荷の和を考慮して伝達ト
ルクTの暫定値が演算されることになる。
【0059】以上、歯面修整方法を説明したが、次に、
本実施形態である歯車対を説明する。図9に示すよう
に、この歯車対30は、一対のはすば歯車32,34が
かみ合って回転する歯車対である。それらはすば歯車3
2,34のうち32が駆動歯車、34が被動歯車であ
る。この歯車対30は、自動車のトランスミッションに
おける如く、伝達トルクTが時間的に変動する状況で使
用され、また、自動車のトランスミッションに使用され
る歯車対の如き諸元を有し、その諸元は図10に表で示
されている。また、この歯車対30について設計上要求
される伝達誤差δと伝達トルクTとの関係は図11にグ
ラフで表されている。この歯車対30においては、被動
歯車34の実際歯面が基準歯面とされるのに対して、駆
動歯車32の実際歯面が基準歯面に対して歯面修整が行
われた修整歯面とされている。なお、歯面修整は被動歯
車34に対して行ってもよく、また、駆動歯車32と被
動歯車34との双方に対して行ってもよい。
【0060】この歯車対30について図5の修整量決定
プログラムが実行され、それにより、駆動歯車32の修
整量e(x)があるかみ合い位置において図12にグラ
フで表されているように求められた。すなわち、あるか
み合い位置における接触線上での歯面形状が求められた
のであり、この歯面形状は、あるかみ合い位置において
接触領域の長さSが伝達トルクTに応じて変化するパタ
ーンを反映したものであると考えることができるのであ
る。また、別のかみ合い位置についても修整量決定プロ
グラムが順に実行され、それにより、すべてのかみ合い
位置について修整量e(x)が求められ、その結果、駆
動歯車32の一歯面全体の歯面形状が図13に3次元グ
ラフで表されているように3次元的に求められた。この
3次元グラフにおいて歯幅方向位置の寸法は、駆動歯車
32の歯面上における歯幅方向位置を歯幅方向中心位置
からの距離として示している。このことは後述の図14
についても同じである。さらに、その歯面形状を表すデ
ータである基礎データを駆動歯車32の製作に必要な格
子状データである歯車製作用データに再構成するため、
基礎データに対して補間処理や平滑化処理が行われ、そ
の結果、歯車製作用データが図14にグラフで表される
ものとして得られた。
【0061】歯車製作用データに基づいて製作された駆
動歯車32を含む歯車対30の実際の伝達誤差δと伝達
トルクTとの関係が図15にグラフで表されている。こ
のように、かみ合い位置にかかわらず、伝達誤差δと伝
達トルクTとの関係が一定となっている。なお、図にお
いて「1/4位置」は、かみ合いの1周期において1/
4に当たるかみ合い位置を意味している。「2/4位
置」,「3/4位置」および「4/4位置」についても
同様である。
【0062】図16には、伝達トルクTと伝達誤差δの
振幅Aとの関係がグラフで示されている。図において
は、本実施形態である歯車対の振動特性(実線で示
す。)が、歯面修整方法の一従来例が実施された歯車対
の振動特性(破線で示す。)と対比して示されている。
グラフから明らかなように、従来の歯車対においては、
伝達トルクTが約25〔Nm〕と約120〔Nm〕のと
きには、振幅Aが0となり、ギヤノイズが発生しない
が、それ以外の領域では、振幅Aがかなり大きくなり、
大きなギヤノイズが発生する。これに対して、本実施形
態である歯車対においては、伝達トルクTの広い変化領
域にわたって振幅Aが十分に0に近い状態となってお
り、ギヤノイズが十分に小さく抑えられる。また、ギヤ
ノイズは伝達トルクTが100〔Nm〕以下の軽〜中負
荷領域で特に問題になるが、従来の歯車対においては、
振幅Aが大きくなり、大きなギヤノイズが発生してしま
うのに対して、本実施形態の場合には、振幅Aが1〔μ
rad〕以下となり、ギヤノイズがほとんど発生しな
い。
【0063】したがって、本実施形態によれば、伝達ト
ルクの広い変化領域にわたってギヤノイズが低減される
という効果が得られる。
【0064】以上、本発明の一実施形態を図面に基づい
て詳細に説明したが、この他にも、特許請求の範囲を逸
脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,
改良を施した形態で本発明を実施することができるのは
もちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である歯車対を製作するた
めに実施される歯面修整方法を示すフローチャートであ
る。
【図2】図1におけるS2の詳細を示すフローチャート
である。
【図3】上記歯車対に係る伝達誤差δと伝達トルクTと
の関係の一例を示すグラフである。
【図4】上記修整量決定工程を実施するために使用され
るコンピュータおよびその周辺機器を示すブロック図で
ある。
【図5】図2におけるS13の詳細を修整量決定プログ
ラムとして示すフローチャートである。
【図6】上記歯車対の歯を示す斜視図である。
【図7】図5の修整量決定プログラムにおける修整量e
(x)と接触領域の長さSn と換算伝達誤差D(δn
との関係を説明するためのグラフである。
【図8】上記関係を説明するための別のグラフである。
【図9】上記歯車対を示す斜視図である。
【図10】上記歯車対の諸元を表形式で示す図である。
【図11】上記歯車対における伝達誤差δと伝達トルク
Tとの目標の関係を示すグラフである。
【図12】上記歯車対における接触線方向位置xと修整
量eとの関係を示すグラフである。
【図13】上記歯車対における歯幅方向位置と歯丈方向
位置と修整量eとの関係を示すグラフである。
【図14】図13に示す関係をそれに適当な処理を施し
た状態で示すグラフである。
【図15】上記歯車対における伝達誤差δと伝達トルク
Tとの実際の関係を各かみ合い位置に関連付けて示すグ
ラフである。
【図16】上記歯車対の振動特性を従来の歯車対の振動
特性と対比して示すグラフである。
【図17】歯車における幾何学的接触線を示す斜視図で
ある。
【図18】歯車の無負荷時基準歯面形状と無負荷時実際
歯面形状との関係を説明するための断面図である。
【図19】歯車対における伝達誤差δと伝達トルクTと
無負荷時実際歯面形状の無負荷時基準歯面形状からの隔
たりeと接触領域の長さSと歯面の分布荷重pとの関係
を概念的に示す図である。
【図20】従来の歯面修整を行った歯車対において伝達
誤差と伝達トルクとの関係がその歯車対のかみ合い位置
によって変化する様子を示すグラフである。
【符号の説明】
30 歯車対 32 駆動歯車 34 被動歯車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 裕文 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 牧 泰希 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の歯車がかみ合って回転する歯車対に
    おいて、 各歯車の歯面形状を、前記一対の歯車間の回転伝達誤差
    と一対の歯車間の伝達トルクとの関係がかみ合い位置に
    かかわらずほぼ一定となる形状としたことを特徴とする
    歯車対。
  2. 【請求項2】前記各歯車の歯面形状を、各かみ合い位置
    において当該歯車の歯面が相手歯車の歯面と接触する線
    状の接触領域の長さが相手歯車の歯面から当該歯車の歯
    面への負荷の大きさに応じて変化するパターンが、前記
    一対の歯車間の回転伝達誤差と一対の歯車間の伝達トル
    クとの関係がかみ合い位置にかかわらずほぼ一定のパタ
    ーンとなる形状としたことを特徴とする請求項1に記載
    の歯車対。
  3. 【請求項3】一対の歯車がかみ合って回転する歯車対に
    おける各歯車の歯面形状を設定する方法において、 各歯車の歯面形状を、前記一対の歯車間の回転伝達誤差
    と一対の歯車間の伝達トルクとの関係がかみ合い位置に
    かかわらずほぼ一定となる形状に設定することを特徴と
    する歯面形状設定方法。
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