JPH10330827A - 電縫鋼管用鋼の製造方法 - Google Patents

電縫鋼管用鋼の製造方法

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JPH10330827A
JPH10330827A JP9142298A JP14229897A JPH10330827A JP H10330827 A JPH10330827 A JP H10330827A JP 9142298 A JP9142298 A JP 9142298A JP 14229897 A JP14229897 A JP 14229897A JP H10330827 A JPH10330827 A JP H10330827A
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英明 山村
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明博 宮坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】介在物組成と大きさを制御することによって電
縫溶接部の欠陥の少ない、割れ抵抗性の高く、靭性の高
い電縫鋼管用鋼を製造する。 【解決手段】酸素を250ppm以下とした溶鋼に、T
i含有量が10〜70%のFe、Mn、Si合金を添加
して脱酸し、Ti:0.010〜0.2%、C:0.0
1〜0.35%、Si:0.02〜0.5%、Mn:
0.1〜2.0%、Al:0.006%以下、P:0.
015%以下、S:0.008%以下、あるいはさら
に、Ca、Cu、NI、Cr、Mo、Nb、Vを必要に
応じて含有する鋼を連続鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電縫鋼管用鋼に係
わり、さらに詳しくはたとえば石油・天然ガス掘削、あ
るいは輸送用等の電報鋼管において電縫溶接部での超音
波探傷欠陥の少ない、割れ抵抗の高く、靱性の高い電縫
鋼管用鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年生産される石油・天然ガス中には、
硫化水素を含む場合が非常に多く、さらに海水、淡水な
どの水が共存する場合には鋼表面で起こる腐食に基づく
減肉だけではなく、腐食によって鋼表面で発生した水素
が鋼中に侵入することによって破壊を起こすことがあ
り、問題となっている。この破壊は高張力鋼に古くから
認められる硫化物応力割れとは異なり、外部からの付加
応力がなくとも発生が認められる。
【0003】この破壊は、環境中から侵入した水素が母
材中に存在する圧延方向に長く伸びたMnSなどのA系
硫化物系介在物と地鉄との境界に集積してガス化し、そ
のガス圧によって発生するもので、前記MnSなどのA
系硫化物系介在物が鋭い切り欠きとなり、これを割れの
核として板面平行割れに成長し、この板面平行割れが板
厚方向に連結されるものである。この種の割れを以下
「水素膨れ割れ」とよぶ。
【0004】こうした水素膨れ割れに対する抵抗の高い
鋼について従来から様々な研究がなされ、種々の鋼が提
案されている。それらは例えば特公昭57−17065
号公報あるいは特公昭57−16184号公報などにそ
の代表例がみられるごとくCuやCo添加による割れ防
止、極低S化によるMnSの減少、Caあるいは希土類
元素などの添加によるSの固定などを利用するものであ
ってこれらの技術によって現在までにかなり厳しい環境
にまで耐え得る鋼が開発されている。
【0005】ところで、電縫鋼管はホットコイルなどの
鋼板を成形し電縫溶接するものであって、いうまでもな
く鋼板との決定的な相違は溶接部および溶接熱影響部が
存在することである。この電縫溶接部ではMnSなどの
硫化物系介在物が存在しない場合でも電縫溶接部に水素
膨れ割れを生じることがあり、しかも電縫溶接部の場合
には板面垂直割れ型の水素膨れ割れであることが母材部
と異なっており、母材の板面平行型水素膨れ割れと同等
あるいはそれ以上に重大な欠陥である。しかも、この割
れは従来の水素膨れ割れに対する対策鋼を使用した電縫
鋼管であっても発生し、上述の様な技術では防止できな
い。
【0006】一方において近年石油・天然ガスが産出さ
れる地域はアラスカ、ロシア、北極海といった極寒地ま
で広がっており、こうした地域で使用されるラインパイ
プには母材および電縫溶接部の両方において低温靱性が
優れていることが要求される。このとき産出流体に硫化
水素を含む場合には低温靱性とともに耐サワー性も必要
であることはいうまでもない。
【0007】電縫鋼管においては、溶接部の靱性が母材
に比べて低下するため電縫溶接部も含めて靱性の優れた
電縫鋼管についても従来から様々な研究がなされ、種々
の方法および鋼管が提案されている。それらは、たとえ
ば特開昭54−136512号公報、特開昭57−14
0823号公報、特公昭58−53707号公報あるい
は特公昭58ー53708号公報等にその代表例がみら
れるごとく熱延工程の仕上げ温度および巻き取り温度の
管理による素材の靱性向上、造管後冷却速度の制限によ
る結晶粒度の制御、固溶Nの減少,NbあるいはVによ
る結晶粒の微細化などを利用するものであって、これら
の技術によって現在までに靱性のかなり優れた電縫鋼管
が開発されている。
【0008】しかしながらこれらの電縫鋼管は通常の環
境で使用されるものであって、硫化水素や水を含んだい
わゆるサワー環境で使用することを考慮したものではな
い。また、耐サワー電縫鋼管の電縫溶接部の電縫衝合部
において靱性が母材に比べて著しく劣る場合がある。こ
の場合上述の各種技術をもってしても改善されない。
【0009】このような、電縫鋼管の電縫溶接部の水素
膨れ割れおよび靱性低下の原因は電縫衝合部およびその
両側の熱影響部に存在する板状のCaO,Al2 3
主成分とする酸化物系介在物であり、母材中に予め存在
した球状に近いこの酸化物系介在物が電縫溶接時の熱影
響によって鋼の融点近くにまで加熱されたうえスクイズ
ロールによって両側から加圧されるために板状に変形し
て生成したものである。このような変形した介在物は電
縫衝合部およびその両側の熱影響部を超音波探傷した際
に特に欠陥となって検出される。また上述のCaO,A
2 3 を主成分とする酸化物系介在物は鋼板の圧延時
に延ばされて電縫溶接部以外でも欠陥の原因となる。
【0010】そこで、特公昭63−16461号では、
従来より主に脱酸を目的として添加されてきたAlを極
力減少させ、Tiを脱酸元素として使用することによっ
て圧延時や電縫溶接時に変形しやすい介在物の生成を防
止し、超音波探傷欠陥の少ない、母材および電縫溶接部
の耐サワー性と靱性に優れた電縫鋼管用鋼を提案してい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】今後、石油・天然ガス
資源の枯渇が懸念され、その産出地域の環境は更に厳し
くなり、また産出流体の硫化水素含有量も多くなること
が予想される。こうした状況で使用されるラインパイプ
には母材および電縫溶接部の両方においてこれまで以上
の低温靱性、耐サワー性が要求されるようになるが、こ
れまでの技術では十分ではないことが判明した。
【0012】本発明は、上記のような従来の物の欠点、
すなわち電縫衝合部靱性の低下および電縫溶接部の板面
垂直型水素膨れ割れが溶接熱影響部に存在する板状の酸
化物系介在物によって発生することを解決するためにな
された物であって、溶鋼中の酸素を250ppm以下に
制限した溶鋼に10〜70%のTiを含むTi合金を添
加して脱酸することによって鋼中の酸化物系介在物の組
成および径を制御する超音波探傷欠陥の発生の少ない耐
サワー性と靱性の優れた電縫鋼管用鋼の製造方法を提供
する物である。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記課題を解
決するための本発明の要旨とするところは、転炉で溶製
して出鋼した溶鋼を真空脱ガスおよび/もしくはMn,
Siによる脱酸を行って溶鋼中の酸素を250ppm以
下とし、次いで化学組成がTi:10〜70重量%の成
分と残部はFe、Mn、Siのうち1種または2種以上
および不可避的不純物とからなる合金を溶鋼に添加し、
重量%でTi:0.010〜0.2%、C:0.01〜
0.35%、Si:0.02〜0.5%、Mn:0.1
〜2.0%を含有し、かつAl:0.006%以下、
P:0.015%以下、S:0.008%以下に制限
し、あるいはさらに(a)Ca:0.0005〜0.0
2%、(b)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1〜
1.0%、Cr:0.2〜3.0%の1種または2種以
上、または(c)Mo:0.10〜1.0%、Nb:
0.01〜0.15%、V:0.01〜0.15%の1
種または2種以上の(a)、(b)、(c)いずれか〜
3者を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなる
鋼を連続鋳造することを特徴とする電縫鋼管用鋼の製造
方法である。
【0014】
【作用】最初に本発明において各成分範囲を前述のごと
く限定した理由を以下に述べる。まずCは、鋼の強度を
最も安定して向上させる基本的な元素であるため、強度
確保のためには0.01%以上含有させることが必要で
あるが、0.35%を越えると鋼の靱性に対しては好ま
しくない影響があるので、0.01〜0.35%とし
た。
【0015】次にSiは強度を向上させる元素であるの
で0.02%以上含有すべきであるが、靱性確保のため
上限の含有量を0.5%以下とすべきである。また、M
nは強度上必要な元素なので0.1%以上含有すべきで
あるが、溶接性および靱性確保のためには、上限含有量
を2.0%とすべきである。
【0016】TiはAlに代えて脱酸に使用する主要な
元素であり、チタン酸化物を主成分とする複合介在物は
電縫溶接時に著しく変形しにくいが、0.01%未満で
はチタン酸化物はCaO、SiO2 、MnOと複合した
介在物を生成する。この介在物はCaOとAl2 3
主成分とする酸化物系介在物と同様変形しやすく、電縫
溶接時の熱影響によって鋼の融点近くにまで加熱された
うえスクイズロールによって両側から加圧され板状に変
形して、電縫鋼管の電縫溶接部の水素膨れ割れおよび靱
性低下を招く。一方、Tiが0.2%を越えると靱性を
低下させるために、Tiは0.01〜0.2%とすべき
である。
【0017】一方、AlはCaおよびOと結合して変形
しやすい介在物を生成するために、0.006%以下に
制限すべきであり、少ないほど好ましい。また、Pは母
材の水素膨れ割れを伝播しやすくさせる元素であるの
で、0.015%以下とすべきである。さらに、SはM
nと結合して母材部の水素誘起割れの起点となるMnS
を作るので、母材部の耐サワー性確保のためには0.0
08%以下に押さえなければならない。
【0018】以上が基本成分系であるが、本発明ではこ
のほかにそれぞれの用途に応じて(a)Ca、(b)C
u、Ni、Crの1種以上、(b)Mo、Nb、Vの1
種以上の(a)、(b)、(c)のいずれか〜3者を含
有させることができる。
【0019】まず、Caは鋼中のSをCaSとして固定
してMnSの生成を防止することによって母材の耐サワ
ー性向上に非常に有効な元素であり、母材の耐サワー性
が特に要求される場合には0.0005%以上含有する
ことが必要であるが、0.02%を越えるとCaS−C
aOを主成分とする大型介在物を形成するので上限含有
量は0.02%とすべきである。
【0020】次に、Cu、NiおよびCrは、いずれも
母材の耐食性向上と鋼中への水素侵入量減少の効果を有
する。Cuは0.20%未満では効果がなく、0.60
%を越えると熱間加工性に悪影響を及ぼすので、0.2
0〜0.60%の範囲に限定する。Niは0.1%未満
では効果がなく、1.0%を越えると硫化物応力腐食割
れを誘発するおそれがあるので、0.1〜1.0%の範
囲に限定する。Crは0.2%未満では効果がなく、
3.0%を越えると鋼の靱性を低下させるので0.2〜
3.0%の範囲に限定する。
【0021】さらにMo、NbおよびVはいずれも鋼の
強度を向上させる元素であって、Moは0.10%以
上、NbおよびVは0.01%以上含有させることによ
って同等の強度向上効果を示すが、Moは1.0%、N
bおよびVは0.15%を越えて添加すると靱性を低下
させるおそれがあるため、Moは0.10〜1.0%、
NbおよびVは0.01〜0.15%の範囲に限定し
た。
【0022】上述の各合金成分はそれぞれ単独に、ある
いは併用しても、上記の制限範囲内において本発明が目
的とする効果になんら支障を与えるものではない。不純
物のうちN量は0.010%を越えると溶接性に問題を
生じるので好ましくないものであって、0.010%以
下であれば鋼の材質に著しい影響を及ぼさないが、歪み
時効の影響や円周溶接部の靱性なども考慮すると少ない
程良い。
【0023】一方、O量はCaの大部分が酸化物となら
ずにSの固定に有効に利用されるには0.010%以下
で少ない程良い。Tiで脱酸した鋼はチタン酸化物を含
む介在物を含有する。このチタン酸化物が主成分である
介在物は電縫溶接時に著しく変形しにくく、電縫鋼管の
電縫溶接部の水素膨れ割れおよび靱性低下を防止するこ
とが可能である。
【0024】本発明者らはチタン酸化物を主成分とする
組成の種々の大きさの介在物を分散させた鋼を実験室的
に溶製、鋳造し、通常の方法で圧延を行って11mm厚
の鋼板とし、通常の工程によって電縫鋼管とした。これ
らの電縫管の電縫溶接部を含んで厚さ9mm、幅20m
m、長さ100mmの試験片を採取し、耐サワー性の評
価に供した。また、母材からも同様な寸法、形状、採取
方法の試験片を採取して耐サワー性の評価試験に供し
た。 耐サワー性の評価試験としては上記の試験片をH
2 Sを飽和させた5%NaCl水溶液に0.5%CH3
COOHを添加した溶液(温度25℃、pH2.8〜
3.8)中に98時間浸漬し割れを測定した。割れの発
生の有無は電縫溶接部を含む試験片では試験片の断面に
ついて超音波探傷し、その後の断面の検鏡観察によって
判定した。
【0025】こうして観察した割れ部の介在物厚み、
幅、長さから変形を受ける前の鋳片内の介在物の大きさ
を算出した結果、割れ部の介在物はいずれも200μm
より大きかったことが判った。欠陥が発生しなかった部
分を切断し鋼中の介在物の大きさを測定したが、これに
は200μm 以下の介在物が検出された。以上のことよ
り、割れを発生させないためには介在物の大きさを20
0μm 以下とすることが必要であることが推測されたた
め、200μm 以下のチタン酸化物を主成分とする組成
の介在物のみを分散させた鋼を実験室的に溶製、鋳造
し、通常の方法で圧延を行って鋼板とし、通常の工程に
よって電縫鋼管とした。これらの電縫管の電縫溶接部の
耐サワー性の評価試験を行い、超音波探傷して割れの発
生を検査したところ割れは発生していなかった。したが
って、チタン酸化物が主成分の粒径が200μm 以下の
酸化物系介在物を鋼中に含有せしめることが有効であ
る。
【0026】しかしながら、通常の製造方法で製造した
場合には、チタン酸化物が主成分で粒径が200μm 以
下の酸化物系介在物のみを鋼中に含有せしめること事は
困難である。そこで、本発明者らは種々の実験検討を行
った結果、脱酸時の過飽和度を小さくすると生成する介
在物の個数及び介在物径が小さくなることが判明した。
過飽和度はTiと酸素の積で決まるので、過飽和度を小
さくする方法として脱酸合金中のTi含有量を低くする
ことと脱酸時の溶鋼中の酸素を低くすることが有効であ
る。脱酸合金中のTi含有量が高い場合には溶鋼中に添
加した脱酸合金の周囲にTi濃度の高い部分が生成して
過飽和度が高くなるので、Ti含有量の低い脱酸合金を
使用する。
【0027】さらに、酸素濃度と合金中Ti含有量を変
化させた実験・検討を行い、酸素濃度および合金中Ti
含有量が低くなるにしたがって介在物径は小さくなり、
酸素を250ppm以下とし、かつ、Ti含有量が70
%以下の合金で脱酸することで、最大でも200μm 以
下の介在物となることを見いだした。Ti含有量が高く
なると介在物径が大きくなるとともに、脱酸時にチタン
酸化物の割合の高い介在物が生成し、それが溶鋼中に残
存し混在する。Ti濃度が低すぎると合金量が多くなり
すぎ、溶鋼温度の低下が起こって溶鋼の凝固や鋳造が困
難になったり、添加に時間がかかり生産性に障害を与え
る。Ti含有量が高い場合には少量ずつ添加すると部分
的に過飽和度の高い部分が少なくなり有効である。
【0028】また、TiをFeやSi、Mnとの合金と
することで、Tiの活量を下げるとともに部分的に濃度
の高い領域を減少させるために、過飽和度が一層減少
し、微小な介在物の生成を促進する。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の製造法についてさらに詳
細に説明する。まず、転炉で目標とする0.01〜0.
35%のCを含む溶鋼溶製する。この際、溶鋼中のCが
目標とするC濃度より高い場合には出鋼後に真空脱ガス
装置等による脱炭処理を行い所定のC濃度まで低減し、
目標とするC濃度より低い場合には出鋼後にCを添加し
て所定のC濃度とする。また、溶鋼を出鋼する際必要に
応じてFe−Mnを投入してもよい。
【0030】次に、出鋼した溶鋼をMn,Siおよび/
または真空脱ガス処理による予備脱酸を行って溶鋼中の
酸素を250ppm以下とする。Alは低い方がよいの
で、Fe−MnやFe−Siを添加してMn,Siによ
り脱酸を行う。Mn,Siの添加量は脱酸時に添加する
Ti合金中に含まれるSiやMnによって増加する量を
考慮して添加する。また、MnやSiは脱酸力が弱いの
で製品によっては目標範囲内では溶鋼中の酸素を250
ppm以下にすることが困難な場合があるので、その際
には真空脱ガス処理により真空脱酸を行い酸素を下げ
る。この際、必要があればC源を溶鋼中に添加してもよ
い。
【0031】溶鋼中の酸素が250ppmより高くなる
と、Ti合金を多量に添加することが必要になり、後述
するように脱酸時の過飽和度が大きくなりすぎ、Ti添
加時に高融点粗大なチタン酸化物が多数生成し、さらに
これらが凝集して大きな介在物となる。このようにして
溶鋼中の酸素を250ppm以下に調整した溶鋼に、化
学組成がTi:10〜70重量%の成分と残部はFe、
Mn、Siのうち1種または2種以上および不可避的不
純物とからなる合金を添加して、Tiを溶鋼成分として
0.010〜0.2%含有させる。さらに、他の成分を
調整するのに必要な合金を添加して、所定の成分とす
る。
【0032】このようにして溶製した溶鋼中にはチタン
酸化物が主成分で最大でも200μm 以下の介在物のみ
を含有すし、この溶鋼は通常と同じ方法でタンディッシ
ュを通して、連続鋳造機で鋳造することが可能である。
さらに、この鋳片を通常と同じ方法で熱間圧延まま、あ
るいは熱間圧延直後の制御冷却工程、さらには圧延材を
焼準、焼き戻しあるいは焼き入れ、焼き戻しする等通常
の鋼材に使用される製造工程を適用して鋼板にした後、
通常の工程によって電縫鋼管とする。さらに、この電縫
鋼管の一部または全体に焼準、焼き戻しあるいは焼き入
れ、焼き戻しする工程を適用しても良い。いずれの工程
を適用または併用するかは高度、靱性などの特性確保の
必要に応じて決定すればよい。
【0033】
【実施例】表1は本発明および比較する従来法の鋼の製
造方法例である。270トン転炉で溶製した溶鋼を表1
に示す方法で溶製し、表2に示す成分とした鋼を連続鋳
造機で鋳造した鋳片を常法により12.7mm厚の鋼板
に熱間圧延した後、通常の工程によって外径406mm
の電縫鋼管とした。本発明法でも従来法と同様に問題な
く製造が可能であった。
【0034】鋳片の一部を採取し、断面を調査し、介在
物の組成、大きさ、形状を調査した。その結果を表1に
示す。本発明法では鋳片内にはチタン酸化物を主体とす
る組成で、かつ、200μm 以下の大きさの球形の介在
物が検出されており、Al2O3,CaOを主成分とす
る介在物は検出されなかった。鋼管の超音波探傷および
耐サワー性の評価試験を行った結果を表1に併せて示
す。本発明法をによって製造した鋼管では超音波探傷欠
陥の発生が少なく、さらに電縫部および母材において水
素膨れ割れは発生しておらず、かつ電縫部においても靱
性の低下は非常に小さいのに対して、比較法を使用した
鋼管では超音波探傷欠陥が多く、板面垂直型の水素膨れ
割れが発生するとともに電縫部の靱性が著しく低下して
いる。なお、B1〜B3は本発明法と同じ方法を適用し
たものであるが、本発明の限定範囲を超えたものであ
り、B4、B5は従来法である。
【0035】
【発明の効果】本発明は、電縫鋼管部での欠陥が少な
く、pHが低く厳しい環境においても水素膨れ割れがな
くかつ低温靱性の良好な耐サワー性に優れた高靱性電縫
鋼管用鋼の製造方法を提供することを可能ならしめたも
のであり、産業の発展に貢献するところきわめて大なる
ものがある。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電縫鋼管用鋼の製
造方法に係わり、さらに詳しくはたとえば石油・天然ガ
ス掘削、あるいは輸送用等の電縫鋼管において電縫溶接
部での超音波探傷欠陥の少ない、割れ抵抗の高く、靱性
の高い電縫鋼管用鋼の製造方法に関する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z 38/26 38/26

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉で溶製して出鋼した溶鋼を真空脱ガ
    スおよび/もしくはMn,Siによる脱酸を行って溶鋼
    中の酸素を250ppm以下とし、次いで化学組成がT
    i:10〜70重量%の成分と残部はFe、Mn、Si
    のうち1種または2種以上および不可避的不純物とから
    なる合金を溶鋼に添加し、重量%でTi:0.010〜
    0.2%、C:0.01〜0.35%、Si:0.02
    〜0.5%、Mn:0.1〜2.0%を含有し、かつA
    l:0.006%以下、P:0.015%以下、S:
    0.008%以下に制限し、あるいはさらに(a)C
    a:0.0005〜0.02%、または(b)Cu:
    0.2〜0.6%、Ni:0.1〜1.0%、Cr:
    0.2〜3.0%の1種または2種以上、または(c)
    Mo:0.10〜1.0%、Nb:0.01〜0.15
    %、V:0.01〜0.15%の1種または2種以上の
    (a)、(b)、(c)のいずれか〜3者を含有し、残
    部は鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造する
    ことを特徴とする電縫鋼管用鋼の製造方法。
JP14229897A 1997-05-30 1997-05-30 電縫鋼管用鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3549365B2 (ja)

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CN103642967A (zh) * 2013-11-18 2014-03-19 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 一种转炉生产高铬钢的方法
CN112342342A (zh) * 2020-10-19 2021-02-09 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 一种管线钢的冶炼方法
JP2021098881A (ja) * 2019-12-24 2021-07-01 日本製鉄株式会社 溶鋼の脱硫方法

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