JPH10330163A - 非還元性誘電体磁器組成物 - Google Patents

非還元性誘電体磁器組成物

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JPH10330163A
JPH10330163A JP9138938A JP13893897A JPH10330163A JP H10330163 A JPH10330163 A JP H10330163A JP 9138938 A JP9138938 A JP 9138938A JP 13893897 A JP13893897 A JP 13893897A JP H10330163 A JPH10330163 A JP H10330163A
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貴夫 温品
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幸宏 西
Takashi Ito
伊藤  隆
Akihiro Kaneuchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、還元性霧囲気で低温焼成可能で、
しかも、誘電率が高く、しかも、誘電率の温度係数が安
定し、高周波領域(例えばGHz帯)でのQ値がQfで
8000以上の非還元性誘電体磁器組成物を提供する。 【解決手段】本発明は、(CaO)X (Zr1-y ・Ti
y )O2 で表される複合酸化物と、該複合酸化物100
重量部に対して、マンガン化合物をMnCO3 換算で
1.0〜5.0重量部と、aLi2 O−bB2 3 −c
Al2 3 で表されるガラス成分を0.5〜5重量部を
含み、0.95≦x≦1.05、0.01≦y≦0.1
0、15≦a≦55、25≦b≦65、0<c≦20、
a+b+c=100の範囲である非還元性誘電体磁器組
成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波領域(GH
z帯)でも使用可能な積層コンデンサ等に適した温度補
償用誘竃体磁器組成物に関するものであり、その特性は
高周波領域に至るまでQが高く、誘電率εの温度依存性
が小さい。更に銀や銅などを内部電極として、同時焼成
が可能な低温焼結性に優れた非還元性誘電体磁器組成物
に関するものである
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミックコンデンサは、誘
電体磁器原料粉末からなるセラミックグリーンシートの
表面に、パラジウム系(パラジウム単体またはAg−パ
ラジウム合金)等の貴金属の導電性ペーストを用いて、
内部電極となる所定パターンの導体膜を印刷し、この複
数のセラミックグリーンシートを積層・圧着して所定形
状に裁断して、この積層体を1200〜1300℃、酸
化性雰囲気中で焼結処理し、その後、積層体の端面に、
銀などから成る外部電極下地導体膜を600〜800℃
で焼きつけを行い、この下地導体膜の表面にNi、Sn
などのメッキ層を形成していた。
【0003】近年、移動体通信の発展に伴い、積層セラ
ミックコンデンサにおいても、高周波化が要求されてい
る。即ち、高周波動作の回路における使用可能領域が広
く、しかも、高周波動作の回路中で損失抵抗が低く、高
周波領域においてもQが充分に高く、誘電率εの温度依
存性が小さいことが重要となる。
【0004】例えば、高周波動作の回路における使用可
能領域が広く、損失抵抗が低くするためには、内部電極
や外部電極に高い導電率の材料を用いる必要があり、そ
の材料としてAgやCuが例示できる。
【0005】さらに、構造的には、誘電体セラミック層
と内部電極とが交互に積層し、製造工程的には、誘電体
セラミック層と内部電極とが一体的に焼結されるため、
AgやCuの融点を越えない1000℃以下の焼成温度
で、誘電体セラミック層が充分に焼結可能な材料を用い
る必要がある。
【0006】しかも、内部外部電極にCuを用いる場
合、Cuの酸化を防止するために焼結雰囲気を中性又は
還元性雰囲気とする必要があり、誘電体材料が還元反応
しないように材料を設定しなくてはならない。
【0007】この様な誘電体磁器組成物として従来から
種々の提案が行われている。
【0008】例えば、CaZrO3 系主成分に対して添
加剤としてのMnO2 を添加した材料系で、中性又は還
元性雰囲気での焼成が可能となる非還元性温度補償用誘
電体磁器組成物が提案されている(第1の従来例:特公
昭57−39001号)。
【0009】また、Ca(Zr・Ti)系主成分に対し
て添加剤としてのMnO2 の存在と、主成分原料の沈殿
生成法の改善によって、低損失で共振周波数の温度係数
が零に近い高周波用誘電体磁器組成物としていた(第2
の従来例:特開平1−120709号)。
【0010】さらに、(Ca・Sr・Ba)(Zr・T
i)系の材料において、測定周波数10〜11GHzで
のQが2500〜2800(Qfで25000〜300
00)であるマイクロ波用誘電体磁器組成物が提案され
ている(第3の従来例:特公昭61−15530号)。
【0011】さらに、(CaSr)(ZrTi)+Mn
2 +SiO2 系の主成分に(Li2 O−RO)−(B
2 3 −SiO2 )RO:SrO、BaO、CaO系の
成分の添加された非還元性誘電体磁器組成物が提案され
ており、1000℃以下で焼結することが可能で、1M
Hz、1Vrmsの測定条件でのQ値が3000程度
で、しかも、安定した誘電率εの温度依存性を得ること
ができるものであった(第4の従来例:特開平5−21
7426号)。
【0012】さらに、(Ba・Ca・Sr)+Si+Z
r+Al+Ti糸磁器において、900℃以下の温度の
焼成で緻密に焼結可能であり、しかも1MHz、1Vr
msの測定条件下でのQ値が3000程度の誘電体磁器
組成物が提案されている(第5の従来例:特開平5−1
90020号)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、何れの誘電体
磁器組成物も高周波用積層コンデンサの磁器材料として
は充分なものではなかった。
【0014】例えば、上述の第1及び第2の従来例で
は、焼成温度が1300℃以上と高温での焼結処理を行
う必要があり、AgやCuなどの比較的融点の低い材料
を内部電極に用いることができなかった。AgやCuで
内部電極を構成した積層セラミックコンデンサでは、焼
結処理中にAgやCuが溶出してしまうためである。
【0015】その結果、内部電極の材料としてPd系を
用いなければならず、コスト高になってしまい、内部電
極の損失抵抗を低くすることが困難であった。
【0016】また、第3従来例では、高周波領域でのQ
値が、10〜11GHzで2500〜2800と十分な
値を示すものの、焼成温度が1450℃以上必要であ
り、前者同様に内部電極にAgやCuを用いることがで
きなかった。
【0017】また、第4の従来例では、1000℃以下
の温度で焼成することができ、AgやCuを内部電極と
して使用することができても、1MHz、1Vrmsの
測定条件における円盤状プレス単板のQ値が3000程
度であり、高周波領域(GHz帯)で使用するには不満
足なものであった。
【0018】さらに、第5の従来例では、さらに900
℃以下での焼成を可能なものとしているが、第4の従来
例と同様1MHz、1Vrmsの測定条件における円盤
状プレス単板のQ値が3000程度であり、高周波領域
で使用するには不満足なものである。
【0019】結局、従来から種々提案されている高周波
用組成物は、高周波領域において高Q値化と1000℃
以下での低温焼成化は、相反する関係にあった。
【0020】本発明は、1000℃以下の還元性霧囲気
でも焼成可能な、且つ誘電率が高く、しかも、誘電率の
温度係数が安定し、高周波領域(例えばGHz帯)での
Q値がQfで8000以上となり、特に高周波領域での
Q値が大幅に向上されるものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一般式
(CaO)X (Zr1-y ・Tiy )O2 で表される複合
酸化物と、該複合酸化物100重量部に対してマンガン
化合物をMnCO3 換算で1.0〜5.0重量部と、a
Li2 O−bB2 3 −cAl2 3 より構成されるガ
ラス成分を0.5〜5重量部を含み、 0.95≦x≦1.05 0.01≦y≦0.10 15≦a≦55 25≦b≦65 0<c≦20 a+b+c=100 の範囲にあることを特徴とする非還元性誘電体磁器組成
物である。
【0022】換言すれば、本発明は、主成分が(Ca
O)X (Zr1-y ・Tiy )O2 系で表される非還元性
誘電体磁器組成物であって、低温焼成化するために添加
していたガラス成分のSiO2 が、還元され易い性質を
持っていることから削除したことと、主成分の電気的な
特性(特にGHz帯でのQ値)を低下させることなく低
温焼成化を達成させるための成分として、Li2 O−B
2 3 を添加したこと、さらに、Li2 O−B2 3
ガラスの耐湿性に関する問題点を解消するために、A1
2 3 を加えた3成分系ガラスにしたことを特徴とした
非還元性誘電体磁器組成物と言える。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、主成分が(CaO)
X (Zr1-y ・Tiy )O2 系の非還元性誘電体磁器組
成物であるため、高周波の諸特性に内部電極、外部電極
材料として欠かせることの出来ないAgやCuを用いる
ことができる。
【0024】同時に、マンガン化合物を所定量添加する
ことにより、高周波動作特性が安定する。
【0025】また、(CaO)X (Zr1-y ・Tiy
2 系の非還元性誘電体磁器組成物にLi2 O−B2
3 −Al2 3 のガラス成分を所定量含有することによ
り、高周波領域における高Q値化と、1000℃以下で
の低温焼成化を同時に実現したものである。
【0026】即ち、従来の誘電体磁器材料を還元性雰囲
気で焼成すると、低温焼結を目的としたガラス成分のS
iO2 が還元されてしまい、絶縁抵抗、特には誘電体積
失などの電気特性を劣化させてしまうという問題点に対
して、B2 3 −Li2 O系のガラスにより構成された
成分を主成分に対して必要量添加するとことにより、高
周波領域でのQ値が従来例に比較して格段に向上する。
尚、Li2 O−B2 3 系ガラスの問題点であった耐湿
性について、Al2 3 を加えた3成分系のガラス成分
にしたことにより、耐湿性についても解消した誘電体磁
器組成物となる。
【0027】これによって、1000℃以下の還元性霧
囲気でも焼成可能な、且つ誘電率が高く、しかも、誘電
率の温度係数が安定し、高周波領域(例えばGHz帯)
でのQ値がQfで8000以上となり、特に高周波領域
でのQ値が大幅に向上されるものである。
【0028】本発明の誘電体磁器組成物は、例えば(C
aO)X (Zr1-y ・Tiy )O2で示される主成分に
対して、硼素含有化合物とアルカリ金属含有化合物とア
ルミナ含有化合物とMn含有化合物を添加含有するもの
である.上述の硼素黍含有化合物としては金属硼素、B
2 3 、コレマナイト、CaB2 3 等が例示できる。
【0029】また、アルカリ金属としては、Li、N
a、Kが例示でき、この中でもLiが特に望ましい。
【0030】アルカリ金属含有化合物としては、上記ア
ルミナ金属の炭酸塩、酸化物等が例示できる。
【0031】また、アルミナ含有化合物としては、金属
アルミニウム、Al2 3 、しゅう酸アルミニウム等が
例示できる。
【0032】さらに、Mn含有化合物としては炭酸マン
ガンであっても、酸化マンガンでも良い。
【0033】
【実施例】以下、本発明の非還元性誘電体磁器組成物の
実施例を詳説する。
【0034】まず、(CaO)X (Zr1-y ・Tiy
2 にマンガン化合物が添加された主成分を作成するた
め、炭酸カルシウム(CaCO3 )、二酸化チタン(T
iO2 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )を秤量し、さ
らに、炭酸マンガン(MnCO3 )を秤量し、各粉末を
混合して、主成分原料を作成する。
【0035】尚、各々の粉末は、主成分原料を、(Ca
O)X (Zr1-y ・Tiy )O2 及びこの(CaO)X
(Zr1-y ・Tiy )O2 100重量部に対して、Z重
量部の炭酸マンガン(MnCO3 )を添加した時、各々
x、y、zが、表1中の値になるように秤量する。
【0036】また、ガラス成分の原料としてアルミナ
(Al2 3 )、硼酸(B2 3 )、炭酸リチウム(L
2 CO3 )粉末を用意し、夫々所定範囲になるように
調合して、水と共にポールミルに入れ、混式で十分に攪
拌混合して混合物を得る。そして、この混合物を乾燥し
た後、白金坩堝に入れて1000℃に加熱し、溶融した
混合物を水中に摘下して急冷しガラスを得た。その後、
このガラス成分を粉砕して平均粒径1μm程度の微粉末
とする。
【0037】尚、各粉末は、ガラス成分をaAl2 3
−bB2 3 −cLi2 CO3 として表した時、各々
a、b、cが表1中の値になるように秤量する。
【0038】上述の主成原料(炭酸マンガンを添加した
(CaO)X (Zr1-y ・Tiy )O2 系材料)と上述
のガラス微粉末(aAl2 3 −bB2 3 −cLi2
CO3 )を、表1に示す添加量となるように添加し、湿
式混合にて約20時間攪拌混合し、乾燥後、混合物を得
た。
【0039】この混合粉末に有機バインダー(PVA)
を5wt%加えて、十分に混合し、乾燥後40メッシュ
の網目を通過する程度に造粒した。
【0040】この造粒粉を1ton/cm2 の圧力で直
径12mm、厚み2mmの円盤状のプレス単板に成るよ
うに加圧成形した。
【0041】このようにして得られた成形体を50℃/
時間の割合で昇温し、400℃で5時間保持してバイン
ダーを焼失させた。その後、還元性(窒素一水素(0.
1〜5容量%)雰囲気中で、300℃/時間の割合で昇
温して、1000℃で2時間保持した。その後、自然冷
却して、300℃以下になると投入ガスを止め、磁器素
体を取り出した。この様にして得られた単板状の磁器素
体両面に、インジウムとガリウムより成る金属を塗布
し、電極とし、コンデンサユニット(試料)を作成し
た。
【0042】このようにして得られた試料の電気的特性
を自動ブリッジ法による測定器にて1MHz、1Vrm
s、25℃の条件下で、第4の評価項目であるQ値を測
定した。また容量値から第1の評価項目である誘電率を
算出した。
【0043】また、第3の評価項目である比抵抗(絶縁
抵抗)については、25℃の条件下で、250VDC印
加後の1分値にて評価を行った。
【0044】第5の評価項目であるQf値は、2枚の平
行金属板間に誘電体円柱を挟んで構成されるTEモード
共振器による方法で25℃の条件下での共振周波数
(7.5GHz近傍)と、上述のQ値より算出した。
【0045】第2の評価項目である誘電率の温度特性
は、次式より求めた。
【0046】即ち、誘電率の温度特性=((C85
25)×106 )/C25×(C85−C25)尚、単位は、
ppm/℃であり、C85は85℃における誘電率であ
り、C25は25℃における誘電率である。
【0047】第6の評価項目である耐湿信頼性は、85
℃/85%RHにて96時間放置経過後のQfの変化率
を求めた。そして変化率の判定基準としては、±3%以
内ならば二重丸とし、±3〜5%ならば丸、±5%以上
のものをバツとした。尚±5%以内のものを判定OKと
した理由は測定誤差を考慮したものある。
【0048】尚、xの値、ガラス成分の添加量、ガラス
成分のb及びcの値次第では、上述の1000℃で焼結
しない試料については、電気特性等を測定するには到ら
ない。
【0049】上述の主成分及びガラス成分の組成比率、
ガラス成分の添加量、電気的な特性及び耐湿試験の判定
を表1に記載する。尚、表中試料番号に*印を付した試
料は本発明の範囲外である。
【0050】
【表1】
【0051】(CaO)X (Zr1-y ・Tiy )O2
表される主成分と、該主成分100重量部に対してマン
ガン化合物をMnCO3 換算でz重量部と、aLi2
−bB2 3 −cAl2 3 より構成されるガラス成分
を0.5〜5重量部を含む非還元性誘電体磁器組成物に
おいて、試料番号1〜6は、y=0.03、z=3重量
部、モル組成が35Li2 O−55B2 3 −10Al
2 3 のガラス成分を1重量部にして、x=0.94〜
1.06とした。
【0052】その結果、試料番号1(xが0.95未
満)では、特にQfが2300となり、高周波用非還元
性誘電体磁器組成物として満足できないものとなってし
まう。
【0053】また、試料番号6(xが1.05を越え
る)では、1000℃で焼結されないものとなってしま
う。
【0054】試料番号7〜11は、x=0.98、z=
3重量部、モル組成が35Li2 O−55B2 3 −1
0Al2 3 のガラス成分を1重量部にして、y=0.
00〜0.11とした。
【0055】その結果、試料番号7(yが0.00)で
は、誘電率の温度係数の絶対値が30ppmを越えてし
まう。また、試料番号11(yが0.10を越える)で
も誘電率の温度係数の絶対値が30ppmを越えてしま
う。従って、温度係数の安定化の上で、yは0以上0.
10以下が良好な範囲となる。
【0056】試料番号12〜15は、x=1.00、y
=0.03とした主成分に対して、MnCO3 を0〜6
重量部添加とした。尚、ガラス成分はモル組成が35L
2 O−55B2 3 −10Al2 3 のガラス成分を
1重量部にした。
【0057】その結果、試料番号12(MnCO3 を添
加しない)、試料番号15(xが1.05を越える)で
は、高周波におけるQfが3000以下と非常に低い値
となり、高周波用非還元性誘電体磁器組成物として満足
できないものとなってしまう。従って、Qf値から、マ
ンガン化合物は、MnCO3 換算で1.0〜5.0重量
部が良好な範囲となる。
【0058】試料番号16〜21は、x=1.00、y
=0.03とした主成分に対して、MnCO3 を3重量
部添加し、モル比35Li 2 O−55B2 3 −10
Al2 3 で表されるガラス成分を添加量を0.4〜6
重量部夫々添加した。
【0059】その結果、試料番号16(主成分に対して
ガラス成分を0.4重量部添加した)では、1000℃
で焼結されないものとなってしまう。また、試料番号2
1(主成分に対してガラス成分を6重量部添加した)で
は、高周波数におけるにQfが3000以下と非常に低
い値となり、高周波用非還元性誘電体磁器組成物として
満足できないものとなってしまう。従って、焼結性及び
Qf値から、特定モル比率のガラス成分は、主成分に対
して0.5〜5重量部が良好な範囲となる。
【0060】試料番号22〜29は、x=1.00、y
=0.03とした主成分に対して、MnCO3 を3重量
部添加し、aLi 2 O−bB2 3 −cAl2 3
表されるガラス成分の添加量を主成分に対して2重量部
添加し、そのモル比a、b、cの値を種々変えた。
【0061】また、試料番号30〜32は、ガラス成分
を主成分に対して1重量部添加し、そのモル比a、b、
cの値を種々変えた。
【0062】試料番号22、23のように、Li 2
のモル比aが14mol%以下となると、1000℃で
焼結されにくく、特にQf値の劣化を引き起こす。
【0063】また、試料番号29、31、35のよう
に、B2 3 のモル比bが24mol%以下となって
も、1000℃で焼結されにくく、特にQf値の劣化を
引き起こす。
【0064】さらに、試料番号28、34、37のよう
に、Al2 3 を含まないガラス成分では、耐湿試験の
結果、Qf値の変化率が±5%以上となり、Qf値が安
定した非還元性誘電体磁器組成物となならない。
【0065】尚、試料番号27、33、38(Al2
3 のモル比cが1mol%)では、一応、耐湿気試験の
結果では、Qf値の変化率が±3〜5%であり、良品の
範囲であるが、特性的には不安定のものとなってしま
う。
【0066】また、試料番号35〜38のように、Li
2 Oのモル比aが55mol%を越えてしまうと、Q
f値が劣化し、高周波用非還元性誘電体磁器組成物とし
て満足しなくなる。
【0067】試料番号23、26のように、B2 3
モル比bが65mol%を越えてしまうと、比抵抗の低
下及びQf値の劣化を引き起こしてしまう。
【0068】試料番号22、24、30、31のよう
に、Al2 3 のモル比cが20molを越えてしまう
と、1000℃で焼結されないものとなってしまう。
【0069】以上のように、1000℃という低温焼成
可能な非還元性誘電体磁器組成物であって、誘電体率が
25以上で、温度係数の絶対値が30ppm以内で、Q
f値が8000以上で、且つ耐湿試験後の変化率が良好
とするためには、(CaO)X (Zr1-y ・Tiy )O
2 で表される複合酸化物と、該複合酸化物100重量部
に対して、マンガン化合物をMnCO3 換算で1.0〜
5.0重量部と、aLi2 O−bB2 3 −cAl2
3 で表されるガラス成分を0.5〜5重量部を含み、 0.95≦x≦1.05 0.01≦y≦0.10 15≦a≦55 25≦b≦65 0<c≦20 a+b+c=100 の範囲にあることが重要となる。
【0070】尚、高周波特性のQf値が12000以上
で、非常に安定した非還元性誘電体磁器組成物が要求さ
れる場合には、マンガン化合物をMnCO3 換算での添
加量をZ重量部とすれば、 0.98≦x≦1.00 0.02≦y≦0.04 2.0≦z≦4.0 30≦a≦40 50≦b≦60 5≦c≦15 a+b+c=100 として、ガラス成分の添加量を0.8〜1.2重量部と
すればよい。
【0071】尚、表には記載していないが、aLi2
−bB2 3 −cAl2 3 のモル比率が、a=30、
b=60、c=10やa=30、b=55、c=15と
した試料にについても、Qf値が12000以上で、非
常に安定した非還元性誘電体磁器組成物となることを確
認した。
【0072】
【発明の効果】以上のように、(CaO)(Zp・T
i)+MnCO3 による主成分とLi2O−B2 3
Al2 3 系ガラスを所定組成比率及びモル比率で、所
定量添加したたため、内部電極に高周波電気特性に優
れ、且つ低融点材料であるCuやAgを用いることがで
き、誘電率25以上、誘電率の温度係数が±30ppm
以内、比抵抗が1013以上、Q値が10000以上で、
しかも、高周波領域(例えばGHz帯)でのQ値がQf
で8000以上の非還元性誘電体磁器組成物となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金内 明宏 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (CaO)X (Zr1-y ・Tiy )O2
    で表される複合酸化物と、 該複合酸化物100重量部に対して、マンガン化合物を
    MnCO3 換算で1.0〜5.0重量部と、aLi2
    −bB2 3 −cAl2 3 で表されるガラス成分を
    0.5〜5重量部を含み、 0.95≦x≦1.05 0.01≦y≦0.10 15≦a≦55 25≦b≦65 0<c≦20 a+b+c=100 の範囲にあることを特徴とする非還元性誘電体磁器組成
    物。
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