JPH10327809A - ソーセージ類の製造法 - Google Patents

ソーセージ類の製造法

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JPH10327809A
JPH10327809A JP9146446A JP14644697A JPH10327809A JP H10327809 A JPH10327809 A JP H10327809A JP 9146446 A JP9146446 A JP 9146446A JP 14644697 A JP14644697 A JP 14644697A JP H10327809 A JPH10327809 A JP H10327809A
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protein
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圭介 柘植
Jiro Kanamori
二朗 金森
Masahiko Samoto
将彦 佐本
Takeshi Akasaka
武志 赤坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ソーセージ類製造の際、脂肪と加水を高配合に
しても製品の品質(乳化安定度、硬さ、外観、食感な
ど)が優れ、しかも製造時の作業性が良いソーセージ類
の製造法を提供すること。 【解決手段】分離大豆蛋白と多糖類の相乗効果により、
課題が解決できる。分離大豆蛋白に、その2.5〜20
重量%の多糖類(グァーガム又は、及びローカストビー
ンガムなど)を含ませて、分離大豆蛋白の5〜9倍重量
の高配合の水や脂肪と共に、せん断力で乳化物(エマル
ジョン)を調製し、又は調製せずに所定配合のソーセー
ジ類を作ることを特徴とするソーセージ類の製造法であ
り、上記の課題を解決したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高配合の脂肪分や
水分で安定に乳化出来て、且つ、製品の品質を改良する
ことの出来る大豆蛋白質と多糖類を配合したソーセージ
類の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】比較的安価で栄養価の高い分離大豆蛋白
(以下、SPIという)は、大豆粉末や濃縮大豆蛋白に
比べ高い乳化能およびゲル形成能を有し、コストダウン
のため水及び脂肪を乳化する目的で、従来よりソーセー
ジ、蒲鉾等の練り製品に使用されてきた。一方、SPI
とほぼ同様の用途で、乳由来の蛋白であるナトリウムカ
ゼイネート(以下、カゼイネートと言う)が用いられて
いるが、ソーセージ用には高粘度型のものが採用されて
いる。当該高粘度型カゼイネートは明バン(KAl (SO
4)2.12H2O)を用いた特定のものであるが、通常のカゼ
イネート(低粘度型)やSPIに比べて等重量当たりの
乳化容量の点で高粘度型カゼイネートが優れており、こ
のためソーセージ類の場合は、より脂肪を高配合にし得
る高粘度型カゼイネートが広く用いられているのが現状
である。しかしながらカゼイネートを用いて高脂配合に
した場合には、ソーセージの食感が柔らかく弾力性のな
いものに成り易い難点があり、その改善が求められてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記の問題
点に鑑み、SPIの乳化容量を高粘度型カゼイネートと
同等ないしそれ以上にまで向上させ且つ良好な食感を得
ることが出来ないか種々検討を行ったがカゼイネートの
様に明バンを用いることによっては達成出来ず、特定の
増粘多糖類を用いることによって、及び脂肪分を高配合
にて乳化状態良く配合出来、且つ製品の食感が硬く歯切
れの良いものに改良されたソーセージ類の製造が得られ
ることを見出し、この発明に到達した。
【0004】すなわち、SPI及びカゼネートをソーセ
ージ類に用いる場合は、予め蛋白質/水/動物脂の水中
油型乳化物を作っておき、これを生地に練り込む製法が
推奨されているが、本発明者の知見によれば従来のSP
Iと高粘度型カゼイネートの乳化容量の差は、この乳化
物の調製時において端的に示される。すなわち、等配合
にて調製した場合、高粘度型カゼイネート由来の乳化物
はSPI由来品に比べて乳化状態が良く、詳細には、例
えば、SPIを1に対して豚脂6及び水6の重量比でス
テァン社製高速サイレントカッターを用いて生地を練り
直ちに水懸濁して、乳化物の粒度分布をレーザ回折式粒
度分布測定装置により測定すると高粘度型カゼイネート
はSPIに比べ、粒子径が均一に分布し、粒子径の中央
値も顕著に低いことが明らかとなった。
【0005】なお、この試験法によればカゼイネートで
も、ハム用漬け込み液等の用途に用いられる通常のカゼ
イネート(低粘度型)は、高粘度型に比べ、乳化適性が
低いことが判っている。
【0006】そして更に研究を重ねた結果、本発明者ら
は、高速撹拌装置(サイレントカッター等)で剪断しな
がら乳化させた乳化物の乳化状態は、乳化剤である蛋白
質が本来有している乳化容量に加えて、乳化物生地の粘
性が大きく関わってくるという知見を得た。すなわち、
SPIは高粘度型カゼイネートと同程度の潜在的な乳化
容量を有しているにもかかわらず、生地に対してカゼイ
ネートのような高粘性を付与し得ないために、硬く、乳
化状態の良好な乳化物を作ることが出来ない。
【0007】そこで、乳化物製造時に種々の増粘剤と大
豆蛋白質の併用を試みた結果、グアーガムもしくはロー
カストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガムな
どの特定の増粘多糖類を用いることによって乳化物の乳
化状態が飛躍的に向上するという事実を見出したのであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、分
離大豆蛋白、その各々5〜9重量倍の脂肪及び水、並び
に増粘多糖類を加えるソーセージ類の製造法であり、増
粘多糖類は、より詳しくは分離大豆蛋白0.97、増粘
多糖類0.03、豚脂6、及び水6の重量比で調製した
乳化物の粒子径中央値(レーザ回折式粒度分布測定装置
により測定した粒子径中央値)を4μm未満にするもの
を用いるソーセージ類の製造法である。より具体的に
は、当該課題を解決するために従来技術には無かった高
い配合の脂肪と加水をSPIに対して5〜9重量倍で用
い、それをソーセージ類には乳化物として39%(実施例1
の場合)、51%(実施例5の場合)、39%(実施例6の場
合)など高い配合で使用し、かつ、加熱したソーセージ
類で離脂離水が無く、硬く、歯切れの良い食感を保つこ
とを達成した。この場合、ソーセージ配合で通常使われ
る澱粉類や肉原料が吸収する加水分は別途であり、上記
の乳化物配合での加水分には含ませてはいない。用いる
増粘多糖類のグアーガム、ローカストビーンガムは容易
に入手出来て、価格も比較的に安価である。この様にし
て、食品原料とりわけ、ソーセージ類原料としては最も
安価な水や脂肪(豚脂)を離脂離水さすこと無しにソー
セージ類原料に用い、上記の品質を確保して、大きなコ
ストダウンを果たし経済効果を成し遂げるものである。
【0009】ソーセージ類については色々な分類法があ
り、俗に字引が出来る程あると言われているが本発明で
言うソーセージとしては、JAS(日本農林規格)にい
う、1. ソーセージ、2. 混合ソーセージ、3. 魚肉ソ
ーセージを含むものとする。更に詳しく記すと上記1の
中にはボロニアソーセージ、フランクフルトソーセー
ジ、ウインナーソーセージ、リオナソーセージ、レバー
ソーセージ及びレバーペーストなどを含むクックドソー
セージや、加圧加熱ソーセージ、セミドライソーセー
ジ、無塩漬ソーセージなどがある。上記2の中には混合
ソーセージ、加圧加熱混合ソーセージを含み、上記3の
中には普通魚肉ソーセージ、特種魚肉ソーセージなどが
ある。
【0010】増粘多糖類は通常、食品に適度な粘度を与
え食感を改良する、あるいは保水性付与、凍結変性防
止、液状食品の分散懸濁安定性あるいは生地の安定性付
与等の目的で、アイスクリーム、シャーベット、ゼリ
ー、ソース類、飲料、ドウ生地等に用いられているが、
ソーセージ類の生地に単独で有効量混合すると、独特
の、好ましからざる、べた付いた食感を生じる傾向があ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】鋭意研究の結果、ほとんどの多糖
類が、ソーセージに対して従来の様な好ましくないべた
付いた食感を生じた中で、グアーガム、ローカストビー
ンガム及びタマリンドシードガムなどの食感は良く、そ
の中でもグアーガムは、SPIに対して適当量用いるこ
とによって、べた付いた食感を感じさせないばかりか、
むしろ、カゼイネート由来品では達成されることの不可
能な、硬く、且つ歯切れの良い食感に改良し得るという
事実に至った。かくして、本発明によれば、ソーセージ
の調製時にSPIと共にグアーガムを併用した水中油型
乳化物を原材料に用いることで、従来に比べ経済性に優
れた配合で、なお且つ食感の良好なソーセージの製造が
可能となる。また、乳化物調製経由ではなくて、直接練
り生地にグアーガムやローカストビーンガムなどを調合
したSPIを粉体添加する方法でソーセージを調製して
も、高脂配合にて上記の食感が得られた。
【0012】この発明に用いるSPIは、製品の歩留と
品質を妨げない程度に出来るだけ加水分解を受けていな
いものが望ましく、数値的には、蛋白質の加水分解度の
指標である、0.22M トリクロロ酢酸水溶液に可溶な蛋白
質%/ 全蛋白質(以下T.C.A.N.%と略す)が15%以下で
あることが好ましい。この値が15%を越える(すなわ
ち,加水分解度が増す)と蛋白質自体の粘性が顕著に低
下するため、増粘多糖類を添加してもその効果は見られ
ず、むしろ乳化能は顕著に低下する。従来のソーセージ
類の製造においては不適であった、水溶性の低い、また
ゲル形成能の低いSPIでも上記の課題は達成される
が、蛋白質含量が50重量%以下では不適である。ソーセ
ージ総重量に対するSPIの配合率は、0.5 〜4.0 重量
%が望ましい。
【0013】増粘多糖類としては、その0.03重量部
とSPIを0.97重量部、豚脂6、水6から成る乳化
物をステファン社製高速カッターUMC−5E型を用い
て2 〜10℃で調製した場合、乳化物粒子径の中央値が4
μm未満になる増粘多糖類を使用するのがよく、高粘度
型カゼイネートを使用するのとほぼ同等かそれ以上の品
質の乳化物を得ることができる。好ましくはグアーガム
又はローカストビーンガムなどであり、グアーガムが食
感を改良するという点で最も好ましい。それらの使用量
は増粘多糖類の種類に応じて多少異なるがSPIの1重
量部、豚脂5〜9重量部及び水5〜9重量部との乳化物
にして測定する乳化物粒子径の中央値が5μm以下、好
ましくは3μm以下にする量がよく、特にグアーガム又
はローカストビーンガムの場合の量はSPI添加重量に
対し2.5 〜20% 、好ましくは3-15重量%の範囲で置換さ
れるのが適当である。それ以上置換した場合、多糖類的
な、べと付いた食感が感じられる様になり、好ましくな
い。
【0014】次に、ソーセージの製造法を記す。チョッ
ピング( 肉挽き) した赤身肉(豚肉等)、脂肪( 豚脂
等)、水、澱粉類、SPI、増粘多糖類、食塩、調味料
をミキシング(或いはカッティング)し、ケーシング
(詰め袋)に充填後、加熱してソーセージを得ることが
できる。このときSPIおよび増粘多糖類はソーセージ
生地に直接粉体混合することもできるが、好ましくはS
PI、増粘多糖類、水および豚脂から成る水中油型乳化
物を調製し、それを肉と練り込む方法が良く、この方法
に依れば、より乳化状態の良い製品の調製が可能であ
る。ただし、SPIと増粘多糖類を含む水中油型乳化物
を調製する場合は2〜10℃の低温で行うべきであり、
15〜25℃の常温付近で調製する場合は増粘多糖類の
効果に乏しい。なおSPIおよび増粘多糖類は生地へ添
加する前に予め調合しておく方が粉のダマ形成を防止す
るという点で好ましい。このとき、乾燥品同士を粉体混
合しても、SPI製造途中の溶液の段階で増粘多糖類を
混合してもよい。
【0015】
【実施例】以下に、実施例および比較例を例示して本発
明効果をより明瞭にするが、本発明はこれらの例示に制
約されるものではない。
【0016】実験例1及び対照例1 加水分解度の低いSPI(T.C.A.N.%=4 )に対し、表1
に示すような種々の多糖類を、粉体総重量に対し3 重量
%になるように予め混合しておき、その各混合物の40g
に対し、6重量倍の氷水240g、豚脂240gを用意し、これ
らを合わせてステファン社製高速カッターで5 分間剪断
しながらカッティングを行い、品温が7℃の水中油型乳
化物を得た。対照例1として別に多糖類無添加品及び蛋
白質素材粉末として全量カゼイネート品(DMV 社製カゼ
イネートEM-HV 、ソーセージ用高粘度型)を用意し、上
記の方法で品温が7℃の乳化物を得た。それぞれの乳化
物の乳化状態を、島津製作所製のレーザ回折式粒度分布
測定装置により測定した乳化粒子径中央値(メジアン径
μm と以下、略称する。)で表し、メジアン径値が小さ
いほど食感が良く乳化も良好で安定であった。メジアン
径値の再現性が得られるように乳化物の仕上がりの品温
を2〜10℃になる様に氷水の氷と水の割合を適切に修
正することが必要である。又、2〜10℃はソーセージ
類のカッティング仕上げの生地の品温とも概して一致す
るものである。測定結果を表1に示す。
【0017】
【表1】 ───────────────────────────────── 増粘多糖類 メジアン径( μm) 乳化物の状態 ───────────────────────────────── 官能評価で硬さ度 無添加 11.4 4位 + タマリンドシードガム 3.0 2 +++ サイリュームシードガム 3.7 2 +++ グアーガム 2.3 1 ++++ キサンタンガム 3.5 2 +++ ローカストビーンガム 2.4 1 ++++ アルギン酸ナトリウム 4.7 3 ++ カラギーナン 3.6 2 +++ グルコマンナン 3.0 2 +++ 高粘度型カゼイネート置換区 2.3 1 ++++ ( 高粘度型カゼイネートには増粘多糖類無添加。以下も同じ意味) ───────────────────────────────── この結果、増粘多糖類は乳化物の乳化状態を明らかに向
上させ、グアーガム及びローカストビーンガム各添加区
は高粘度型カゼイネート区に匹敵することを示した。本
発明で、増粘多糖類を含むSPIと脂肪及び水から成る
乳化物のメジアン径値の採用基準は高粘度型カゼイネー
トと脂肪及び水から成る乳化物のメジアン径値と同等の
値で判断し採用するものとした。
【0018】実施例1及び比較例1 実験例1の乳化粒子径3.0 μm 以下の乳化物(タマリン
ドシードガム品、グアーガム品、ローカストビーンガム
品及びグルコマンナン品)に対し、表2に示す配合で豚
肉モモ赤身、氷水、馬鈴薯澱粉、塩類および調味料を加
え、ステファン社製高速カッターで剪断しながらカッテ
ィングした後、塩化ビニル製ケーシングに充填して78℃
の湯浴中で30分間ボイルした。比較例1としてSPIの
多糖類無添加品及び高粘度型カゼイネートの多糖類無添
加品の乳化物を用いて、上記方法にてソーセージを調製
した。調製品の離脂離水の状態、食感を評価した。また
調製品を1cm 厚に輪切りし、その小片を用い、山電社製
レオナー(RE-33005)にて破断応力および破断変形を測
定した。また測定値より、破断応力と破断歪形の積を
(ゼリー強度)、破断応力と破断歪形の商を(歯切れ良
さ)として表した。評価及び測定結果を表3に示す。
【0019】
【表2】 ───────────────────────────────── ソーセージの配合 % ───────────────────────────────── 乳化物 (蛋白類若しくは多糖類調合品) 3.00 (豚脂) 18.00 (水) 18.00 豚モモ赤身 47.00 氷水 7.00 馬鈴薯澱粉 4.50 塩類 (食塩) 1.50 (亜硝酸Na) 0.01 (重合リン酸塩) 0.40 (L-アスコルビン酸Na) 0.04 調味料 (グルタミン酸モノNa) 0.25 (白胡椒) 0.30 ───────────────────────────────── 合計 100.00 ─────────────────────────────────
【0020】
【表3】 ソーセージの評価 離脂離水の有無 食感評価(対無添加) ───────────────────────────────── 無添加品 僅かに有り タマリンドシードガム品 なし 無添加品と同程度。 グアーガム品 なし 硬く、歯切れ良い。 ローカストビーンガム品 なし 硬く、歯切れ良い。 グルコマンナン品 なし 硬いが、舌にべとつきあり。 高粘度型カゼイネート品 なし 軟らかい。 ───────────────────────────────── ソーセージの測定結果 破断応力 破断歪率 ゼリー強度 歯切れ良さ ───────────────────────────────── (gf) (cm) (gf×cm) (gf/cm ) 無添加品 354 0.44 156 805 タマリンドシードガム品 366 0.44 157 832 グアーガム品 461 0.42 194 1098 ローカストビーンガム品 470 0.45 212 1044 グルコマンナン品 423 0.45 190 940 高粘度型カゼイネート品 248 0.37 92 653 ───────────────────────────────── この結果、SPIに増粘多糖類を調合することにより、
増粘多糖類無添加時の離脂離水は解消された。増粘多糖
類の中でもグアーガム及びローカストビーンガムは、ソ
ーセージの食感をかたく、歯切れ良いものに改良した。
他の増粘多糖類は概ねソーセージを硬くはしたが、多糖
類的な独特なべとつき若しくは例えばグルコマンナン品
の場合の様にざらつきを付与しており、グアーガム及び
ローカストビーンガム以外では、食感改良は不充分であ
った。
【0021】実施例2及び比較例2 加水分解度の異なる4種類のSPIに、実施例1と同様
に、グアーガムを蛋白粉末総重量に対し3重量%になる
ように予め混合しておき、それぞれの40g に対して水24
0g、豚脂240g(三者の比は1:6:6)を用意し、これ
らを合わせてステファン社製高速カッターで5分間、剪
断しながらカッティングを行い、乳化物を得た。比較例
2として、各々のSPIのグアーガム無添加品を用意
し、上記方法で乳化物を得た。それぞれの乳化物の乳化
状態を、島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置
により測定した平均乳化粒子径値で表した。測定結果を
表4に示す。ここでT.C.A.N.%とは、前記のように0.22
Mトリクロロ酢酸溶液に可溶な蛋白質%/全蛋白質を表
し、各蛋白質はケルダール窒素を測定する等の方法によ
り定量する。T.C.A.N.%値は蛋白質の加水分解度に比例
する指数である。
【0022】
【表4】 乳化物の評価と測定結果 ───────────────────────────────── グアーガム無添加区 グアーガム添加区 T.C.A.N.% メジアン径 生地状態 メジアン径 生地状態 ───────────────────────────────── SPI-A 区 4 11.4(μm) 軟らかい 2.3(μm) 硬い SPI-B 区 8 13.6 軟らかい 2.4 硬い SPI-C 区 15 22.5 半液状 2.4 若干軟らか SPI-D 区 20 乳化せず 液状 21.5 液状 ───────────────────────────────── この結果より、SPIのT.C.A.N.%値が15以下の区にお
いては高粘度型カゼネート(表1より)に匹敵する乳化
状態を有しているが、加水分解度が小さいもの程、乳化
が良い。20を越えると乳化状態は顕著に低下する。
【0023】実施例3及び比較例3 T.C.A.N.%値が4である加水分解度の低いSPIに、実
施例2と同様にグアーガムを蛋白質素材粉末に対して3
重量%になるように予め混合しておき、比較例3として
高粘度型カゼイネートおよびハムピックル用低粘度型カ
ゼイネート(DMV 社製EM-LV )も準備し、上記3点の各
40g に対し、水240g、豚脂240gの配合、水280g、豚脂28
0gの配合、水320g、豚脂320gの配合を用意し、これらの
各配合でステファン社製高速カッターにて5分間剪断し
ながらカッテングを行い、乳化物を得た。それぞれの乳
化物の乳化状態をレーザ回折式粒度分布測定装置により
測定した平均乳化粒子径で表した。測定結果を表5に示
す。
【0024】
【表5】 乳化物の平均乳化粒子径測定結果 ───────────────────────────────── 水/豚脂240g 280g 320g 蛋白類の6倍区 7倍区 8倍区 ───────────────────────────────── 3 %グアーガム含SPI 2.3 2.9 4.6 高粘度型カゼイネート 2.3 2.8 4.3 低粘度型カゼイネート 3.2 5.9 11.5 ───────────────────────────────── この結果、グアーガム3重量%置換SPIが高加水、高
加脂の配合においても高粘度型カゼネートと同等の乳化
能を有していることが検証できた。
【0025】実施例4及び比較例4 T.C.A.N.%値が4であるSPIにグアーガムを粉体総重
量に対し、3、5、10、15、20、25、30重量%になる様
に予め置換混合しておき、その各々の30g に対して水24
0g、豚脂240g(三者の比は1:8:8)を用意し、これ
らを各配合でステファン社製高速カッターにて5分間、
剪断しながらカッティングを行い、乳化物を得た。比較
例4として、先例と同様に、高粘度型カゼイネートを用
意し、上記方法で乳化物を得た。それぞれの乳化物の乳
化状態を、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定し
た平均乳化粒子径で表した。測定結果を表6に示す。
【0026】
【表6】 乳化物(8倍加脂加水)の評価と測定結果 ───────────────────────────────── グアーガム置換度( %) メジアン径 乳化物の状態 ───────────────────────────────── 官能評価で硬さ度 無置換 20.1( μm) 4位 + 3 4.6 2 ++ 5 3.0 2 ++ 10 2.5 1 +++ 15 2.2 1 +++ 20 2.0 1 +++ 25 2.0 1 +++ 30 2.0 1 +++ 高粘度型カゼイネート 4.3 2 ++ ───────────────────────────────── この結果、SPIに対しグアーガム3%置換品が高粘度
型カゼイネートに相当するメジアン径値を有し、同等の
乳化能を有していることが確認された。また、グアーガ
ム5%以上置換SPIでは高粘度型カゼイネートの乳化
物乳化粒子径より小さく、乳化能が上回ることを示し
た。又、グアーガム置換度20%以上のSPIではメジア
ン径値減少の効果は見られなかった。
【0027】実施例5及び比較例5 実施例4の乳化物に対し、表7に示す配合で豚肉モモ赤
身、氷水、馬鈴薯澱粉、塩類および調味料を加え、ステ
ファン社製高速カッターで剪断しながらカッティングし
た後、塩化ビニル製ケーシングに充填して78℃、30分間
ボイルした。比較例5としてSPIの多糖類無添加品及
び高粘度型カゼイネートの多糖類無添加品の乳化物を用
いて、上記方法にてソーセージを調製した。調製品の離
脂離水の状態、食感を評価した。また調製品を1cm 厚に
輪切りし、その小片を用い、山電社製レオナー(RE-330
05)にて破断応力および破断変形を測定した。また測定
値より、破断応力と破断変形の積を(ゼリー強度)、破
断応力と破断変形の商を(歯切れ良さ)として表した。
評価及び測定結果を表8に示す。
【0028】
【表7】 ───────────────────────────────── ソーセージの配合 % ───────────────────────────────── 乳化物(8倍加脂加水) (蛋白質若しくは多糖類調合品) 3.00 (豚脂) 24.00 (水) 24.00 豚モモ赤身 41.00 氷水 1.00 馬鈴薯澱粉 4.50 塩類 (食塩) 1.50 (亜硝酸Na) 0.01 (重合リン酸塩) 0.40 (L-アスコルビン酸Na) 0.04 調味料 (グルタミン酸モノNa) 0.25 (白胡椒) 0.30 ───────────────────────────────── 合計 100.00 ─────────────────────────────────
【0029】
【表8】 ソーセージの評価 ───────────────────────────────── グアーガム置換率(%) 離脂離水の有無 食感評価(対無置換区) ───────────────────────────────── 無置換区 有り 3 なし 硬く、歯切れ良い 5 なし 硬く、最も歯切れ良い 10 なし 硬く、歯切れ良い 15 なし 若干軟らかい 20 なし 軟らかい 25 なし 軟らかく、べと付きあり 30 なし 軟らかく、べと付きあり 高粘度型カゼイネート区 なし 軟らかい ───────────────────────────────── ソーセージの測定結果 破断応力 破断歪率 ゼリー強度 歯切れ良さ ───────────────────────────────── (gf) (cm) (gf×cm) (gf/cm ) 無置換区 324 0.44 143 736 3 432 0.42 181 1029 5 445 0.42 187 1060 10 422 0.43 181 981 15 404 0.42 170 962 20 352 0.40 141 880 25 288 0.41 118 702 30 294 0.39 115 754 高粘度カゼイネート 242 0.37 90 654 ───────────────────────────────── グアーガム置換率3 〜10%の範囲で、グアーガム添加品
は高配合の豚脂を安定に乳化し、硬く、歯切れのいい食
感に改良した。20%以上の範囲では乳化は安定であった
が、食感が軟らかくべと付いたものとなり、食感改良は
達成されない。
【0030】実施例6及び比較例6 T.C.A.N.%値が4であるSPIに対し、実施例1と同様
に、グアーガムを蛋白粉末総重量に対し3重量%になる
ように予め混合しておき、これを用いて表9に示す配合
でソーセージを調製した。ソーセージ生地に対するSPI
の添加方法は、乳化物調製経由ではなくて、直接練り生
地に粉体添加する方法で行った。比較例6として、別に
グアーガム無添加品を用意し、実施例5と同様の方法で
ソーセージを調製した。出来たソーセージの評価及び測
定を、前記所定の方法で行った。評価及び測定結果を表
10に示す。
【0031】
【表9】 ───────────────────────────────── ソーセージの配合 % ───────────────────────────────── 蛋白質/多糖類調合品 3.00 豚脂 18.00 水 18.00 豚モモ赤身 47.00 水 7.00 馬鈴薯澱粉 4.50 塩類 (食塩) 1.50 (亜硝酸Na) 0.01 (重合リン酸塩) 0.40 (L-アスコルビン酸Na) 0.04 調味料 (グルタミン酸モノNa) 0.25 (白胡椒) 0.30 ───────────────────────────────── 合計 100.00 ─────────────────────────────────
【0032】
【表10】 ──────────────────────────────── ソーセージの評価 離脂離水の有無 食感評価(対無置換区) ──────────────────────────────── 無置換区 若干有り 3 %グアーガム品 なし 硬く、歯切れ良い ──────────────────────────────── ソーセージの測結果 破断応力 破断歪率 ゼリー強度 歯切れ良さ ──────────────────────────────── (gf) (cm) (gf×cm) (gf/cm ) 無置換区 336 0.44 148 764 3 %グアーガム品 449 0.42 189 1069 ──────────────────────────────── この結果、グアーガム3%置換区は、ソーセージ生地へ
粉体添加する方法であっても、高配合の豚脂を安定に乳
化し、かたく、歯切れの良い食感にソーセージを改良し
た。
【0033】実施例7および比較例7 T.C.A.N.%値が4であるSPIに対し、SPI製造工程
の大豆蛋白質溶液の段階(乾燥前)で、溶液乾燥重量当
たり3重量%になる様に予め溶解混合し、噴霧乾燥して
SPIを得た。別に比較例7として、SPIに対しグア
ーガムを粉体重量当たり3重量%になる様に粉体混合し
たものを用意した。この2品を用いて、実施例1と同法
で乳化物を作り、これを用いたソーセージを、前記の表
2に示す配合にて調製した。以上の乳化物2品及びソー
セージ2品を前記の所定の方法で評価、測定した。測定
結果を表11および表12に示す。
【0034】
【表11】 乳化物の評価と測定結果 平均粒子径( μm) 生地状態 ───────────────────────────────── 実施例7 2.3 硬い 比較例7 2.3 硬い ─────────────────────────────────
【0035】
【表12】 ソーセージの評価 離脂離水の有無 食感評価(対無添加) ───────────────────────────────── 実施例7 なし 硬く、歯切れ良い 比較例7 なし 硬く、歯切れ良い ───────────────────────────────── ソーセージの測定結果 破断応力 破断変形 ゼリー強度 歯切れ良さ ───────────────────────────────── (gf) (cm) (gf×cm) (gf/cm ) 実施例7 454 0.42 191 1081 比較例7 461 0.42 194 1098 ───────────────────────────────── この結果より、グアーガム添加SPIはその調合方法の
違いにも関わらず同等の機能と効果を示した。
【0036】
【発明の効果】蛋白質の加水分解度指数T.C.A.N.%値が
15以下の分離大豆蛋白に、その3〜15重量%のグアーガ
ムなどの増粘多糖類を含ませた分離大豆蛋白1重量部を
脂肪5〜9重量部、水5〜9重量部の高脂高加水の高配
合でも、ステファン社製高速カッターなどの剪断力で水
中油型乳化物を調製し、また調製せずに、脂肪を安定に
乳化し、硬く、歯切れの良い食感のソーセージ類を調製
することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐本 将彦 茨城県筑波郡谷和原村絹の台4丁目3番地 不二製油株式会社つくば研究開発センタ ー内 (72)発明者 赤坂 武志 茨城県筑波郡谷和原村絹の台4丁目3番地 不二製油株式会社つくば研究開発センタ ー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分離大豆蛋白、その各々5〜9重量倍の脂
    肪及び水、並びに増粘多糖類を加えるソーセージ類の製
    造法。
  2. 【請求項2】増粘多糖類は、分離大豆蛋白0.97、増
    粘多糖類0.03、豚脂6、及び水6の重量比で調製し
    た乳化物の粒子径中央値(レーザ回折式粒度分布測定装
    置により測定した粒子径中央値)を4μm未満にするも
    のである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】増粘多糖類がグアーガム又はローカストビ
    ーンガムである請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】増粘多糖類の使用量が、共に加える分離大
    豆蛋白、脂肪及び水との乳化物にして測定する粒子径中
    央値で5 μm以下とする量である請求項1又は3記載の
    製造法。
  5. 【請求項5】0.22Mトリクロロ酢酸可溶の蛋白質%
    /全蛋白質が15以下である分離大豆蛋白に対し、その
    2.5〜20重量%のグアーガム又はローカストビーン
    ガムを用いる請求項1、3又は4記載の製造法。
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JP2009017806A (ja) * 2007-07-11 2009-01-29 Ginga Foods Corp 切れ目入りソーセージ及びその製造方法
JP2018007637A (ja) * 2016-07-15 2018-01-18 味の素株式会社 挽肉加工食品の製造方法

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