JPH10327732A - 害虫駆除テープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 果木や庭木などの樹木にとりつく害虫を効果
的に駆除し、かつ人体はもとより、自然環境にも優しい
害虫駆除用テープを提供する。 【解決手段】 長尺テープ（２）裏面に粘着剤（３）を
施し、その表面には石灰や酸化マグネシュームを主剤と
するアルカリ防虫剤（６）を塗着した、アルカリ防虫剤
（６）面に剥離紙（７）を介在させて巻芯（８）にロー
ル巻きして防虫駆除テープ（１ａ）を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、果木や庭木などの
樹木にとりつく害虫を効果的に駆除し、かつ人体はもと
より、自然環境にも優しい害虫駆除用テープに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、蜜柑や林檎などの果木や、庭
木や植樹済みの若い樹木などにとりついて枯れ死の要因
を招く、ナメクジやカタツムリ、カミキリ虫、夜盗虫な
ど様々な害虫を駆除するためには、農薬の散布や塗布な
どがよく知られるところであり、その作業は今でも欠か
せないものである。しかし近年は、その農薬の使用量が
多くなることによる、人体や環境への悪影響を考慮して
農薬以外による様々な害虫駆除方法が取り入れられた
り、関連する技術も提供されている。

【０００３】害虫駆除に関する公知されている技術の中
にも様々あるが、その一部を例に上げると次のような技
術がある。まず、特開昭５９−１３０１２２号に示され
るものは、農薬を必要としない虫徐け障害装置として成
されたものであり、害虫であるカタツムリなどが樹木の
幹にとりついて登るのを防ぐ手段として、薄い銅箔板や
プラスチックなどを材質とする帯び状の薄板左右辺よ
り、スリットとなる切れ目を当間隔に多数設けて、中間
部を有する数多くの片状板を形成した帯び板を形成し、
その各片状板を一方側にほぼ直角に曲げてコの字状の障
壁を設けた帯び片を、地面より適度な高さの樹木の幹に
巻きつけて取り付けることで、カタツムリが幹にとりつ
いて樹木に登るのをコの字状の障壁板により防止して、
カタツムリなどの害虫による樹木の枯れ死の要因を除
く、虫徐け障害防止装置としている技術である。

【０００４】さらに特開昭５９−２５６３５号に見られ
るものは（図５に示す）、農薬つきテープとして示され
るものであり、まず長尺紙テープ面の両耳部分に粘着剤
を塗布して、その中間に農薬を塗布したテープの中間部
の農薬塗布部に、臭気発散穴を当間隔に列設した帯状テ
ープを形成したものを、巻芯に巻き取った農薬つきテー
プなどもあり、使用方法は蜜柑や林檎、他の樹木の幹回
りに農薬塗布面を樹木側にするようにして巻きつけて、
テープの内側に塗着した農薬液や臭いが発散穴より出る
ことで、樹木の幹にとりついて登ろうとするカミキリ虫
などの害虫を防除する目的とするものである。

【０００５】

【発明が解決しょうとする課題】以上のように、果木を
初めとする大切な樹木の枯れ死の要因を招く様々な害虫
駆除技術が公知されているが、いずれも次に示すような
一長一短があるものであり、実際に供するに際しては難
しい課題があるものである。まず、公知とする特開昭５
９−１３０１２２号に示される技術は、農薬を必要とし
ない害虫駆除装置であるが、その装置の形成方法は、薄
い銅箔板などを主材とする帯び状の板片左右よりスリッ
トを設けて数多くの片状板を形成して、各片状板を外方
にコの字状に折り曲げて障壁を形成した帯び板を、樹木
の幹回りに巻きつけることで、害虫の取り付きや幹へ登
るのを障壁をもって防ぐ方式である。

【０００６】しかし障壁材を形成する素材は、銅箔板な
どを採用し、かつ帯び板状の板片には、数多くのスリッ
トを有する片状板をそれぞれコの字状に折り曲げて障壁
を成すものであるので、材料のコスト高に加え、スリッ
トの加工やコの字状の折り曲げ作業の面倒があり、材料
や加工のコスト高、樹木への取りつけなど面倒な作業が
多く、装置の複雑さや扱いにくさも避けられないもので
ある。

【０００７】加えて素材は銅箔板やビニールなどの素材
を採用しているので、自然環境のなかで一定期間経て痛
んだりして障壁機能を果たさなくなった場合は、新しい
ものと取り替えたりする必要があるが手間もかかり面倒
である。また放置すればいずれ落下するが素材的にも容
易に分解せずに残るので、片ずけなけれならない面倒も
ある。このように素材のコスト高や扱いの点で面倒な要
因が多く、簡便さに欠ける要素が多いので、例えば、蜜
柑や林檎など大量に使用することが多い業務用などの場
合は、その障壁部材はもとより、取り付けの手間などの
経費は無視できないほど大きな負担となり、広く零細農
家にも容易に採用しやすいものといえるものではない。

【０００８】次に、特開昭５９−２５６３５号に見られ
る技術は、いわゆる粘着テープ面中央に農薬を塗布した
部分に、農薬臭の発散穴を当間隔に多数設けたものを、
樹木の幹に巻きつけることで害虫などが幹に登るのを防
ぐ方法であるが、この場合、確かに散布方式などに比べ
大量の農薬は必要としないが、しかし農薬を塗布したも
のであるので、人体や環境に悪影響を与えない要因は減
っても無くなった訳ではなく、また農薬を塗布したもの
であるので保管や取り扱い、使用場所や方法にも注意を
怠らないようにしなければならない。

【０００９】また、この農薬テープを樹木に取りつける
使用方法は、幹に巻きつけるだけの簡便さはあるが、塗
布した農薬は樹木に巻きついたテープ面の内側、つまり
樹木側に設けられているので、農薬効果を発揮させるた
めに設けた複数の臭気発散穴より発散した農薬臭によ
り、幹を登る害虫を駆除する方式であるが、一般に樹木
は風や雨など常時、影響を受ける自然の中にあるもので
あるので、害虫に農薬効果を与えるには相当量の農薬臭
が発散穴より出ていないと、風により直に吹き飛ばされ
るので農薬による駆除効果は少ないものである。

【００１１】加えて、発散穴はテープ面に多数設けなく
てはならないのでコスト高要因を呈し、またテープが切
れ易くなるのを防ぐために、発散穴の間隔は適度に空け
て設ける必要から、発散穴の近くにきた害虫は農薬臭の
影響を受けるが、発散穴の間に位置する害虫には、前述
のような風などのことと相まってほとんど農薬による駆
除効果を与えることはきわめて少なく、効果的な害虫駆
除手段といえるものではなかった。さらに農薬は幹に巻
きつけた面に位置するので、樹皮面にも悪い影響を与え
るものであり、雨などにより流れ出る農薬も少ないとは
いえ、長年に渡れば土壌を汚すし、環境にも良くないこ
とは農薬散布の場合と同じものである。

【００１２】使用場所に於ても、山奥などの樹木などに
使用する場合はよいとしても、果木や庭木など民家に近
い場所にある樹木などに使用する際は、子供や幼児など
が届かない高い位置に取りつけたり、落下した場合は直
に片付けるなど常に注意していないと、子供や幼児が有
害な農薬に手や体が触れたりする危険要素を呈するもの
である。また一定期間経ると粘着力が低下して落下した
ものを放置した場合、農薬成分が土壌に染み込むなどし
て残留するので、前記のことと合わせて人体にも環境に
も優しい害虫駆除部材といえるものではなく、欠点や不
便、危険要素の多いものであった。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
従来の防虫部材のもつ欠点や不便を解消し、かつ、人体
や環境にも優しい害虫駆除手段を施したものであり、そ
の発明を形成する構成は次のようなものである。樹木の
幹に取りついて上方に登るナメクジやカタツムリや、そ
の他の害虫を効果的に阻止する駆除部材は簡便に巻きつ
けられる粘着テープ方式とし、まず害虫駆除テープの素
材は紙や布などの長尺のテープ裏面に粘着剤を施し、さ
らにその表面には、害虫に刺激効果を与える強アルカリ
性を成す石灰や酸化マグネシュームなどに、澱粉質など
を主材とするバインダーを加えて練り込んだ防虫剤を、
前記の粘着剤つきテープ表面に塗着させて形成した害虫
駆除テープとする。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明を形成する害虫駆除テープ
（１）は、紙や布など素材とする長尺のテープ（２）裏
面に粘着剤（３）を塗布し、さらにその表面には強アル
カリ性を有する石灰（４）や酸化マグネシュームに、バ
インダー（５）を混入したアルカリ防虫剤（６）をテー
プ（２）の表面に塗着して害虫駆除防虫テープ（１）を
形成しているので、使用する際は害虫駆除防虫テープ
（１）の粘着剤（３）面を樹皮側に当てがいながら、幹
の根元から適宜上方部に害虫駆除防虫テープ（１）端部
が少し重なるようにズラしながら３〜４回巻きつけるだ
けで、容易に樹木の幹周囲に適宜な幅の強アルカリ被覆
層（Ａ）を施すことができる。

【００１５】このようにすることで、幹の根元より這上
がってきたナメクジやカタツムリ、夜盗虫などはこのア
ルカリ被覆層（Ａ）に達して触れると、石灰（４）や酸
化マグネシュームの強アルカリ性による強い刺激作用を
害虫に与えることになり、とりわけナメクジやカタツム
リのような粘液性の害虫にはアルカリ刺激以外に、石灰
（４）と粘液の水気との反応による発熱刺激も与えるの
で一層不快感を与え、しかも、巻きつけた害虫駆除テー
プ（１）による強アルカリ被覆層（Ａ）は適宜に幅広く
幹周囲を覆っているので、それを乗り越えるまでには至
らずに登るのを諦めて退散する結果を呈す害虫駆除テー
プ（１）とするものである。

【００１６】

【実施例】

実施例１ 本発明の実施例を図１に示す一部省略斜視図、図２の要
部拡大断面図及び図３に示す使用状態例斜視図を参照し
ながら説明する。本発明に於ける害虫駆除テープ（１）
は、樹木の幹に巻きつけるだけの簡便方式とするため
に、紙又は布などを素材とする幅２〜５センチ程度の帯
状のテープ（２）とし、その裏面に粘着剤（３）を、さ
らに、強アルカリ性を成す石灰（４）又は酸化マグネシ
ュームに、澱粉質のバインダー（５）を適量混入した害
虫刺激剤（以下、アルカリ防虫剤（６）と称す）を、前
記のテープ（２）表面に厚さ１〜２ミリ程度に塗着して
本発明による害虫駆除テープ（１）を構成している。

【００１７】テープ（２）面に施すアルカリ防虫剤
（６）は、石灰（４）又は酸化マグネシュームをテープ
（２）表面に塗着安定させるために、澱粉質のバインダ
ー（５）を混入した練ものを塗着しているが、これ以外
にテープ（２）両面に粘着剤を塗布したテープ片面に、
強アルカリ性の石灰（４）や酸化マグネシユームを塗着
させる方法を採用してもよい。

【００１８】実施例２ 実施例２を図４に示す斜視図を参照して説明する。実施
例２は、前記実施例１に示す構成と基本は同じである
が、テープ（２）裏面に粘着剤（３）を、表面にアルカ
リ防虫剤（６）を塗着する害虫駆除テープ（１）は、さ
らに長尺のテープ（２）を採用して、その塗着したアル
カリ防虫剤（６）面に剥離紙（７）を介在させて巻芯
（８）にロール巻きして、実施例２の防虫駆除テープ
（１ａ）を構成している。

【００１９】本発明による害虫駆除テープ（１）は以上
のような構成として、テープ（２）表面に塗着する害虫
刺激剤は、酸性土壌質の特に多い日本に対応して強アル
カリ性を有する石灰（４）や酸化マグネシユームなど採
用したタイプであるが、これ以外に、アルカリ性土壌質
に対応する害虫駆除テープとする場合は、テープ（２）
面に施す害虫刺激剤は、アルカリ部質に代えてレモンエ
キスや酢酸などを主剤とする強酸性剤を主剤とする防虫
剤を塗着するタイプを採用してもよい。またテープ
（２）の素材は布や紙などは土壌に還元されやすいので
好ましいが、フイルムなど合成樹脂製であってもよい
し、さらにテープ（２）の幅や長さいずれも特に限定す
るものではない。

【００２０】

【発明の効果】本発明による害虫駆除テープは以上のよ
うな構成としたものであるので、次のような従来には見
られない効果や長所を発揮するものである。まず、樹木
の幹にこの害虫駆除テープを施す方法は、粘着テープを
巻きつける要領で、樹木の根元から適宜上がった幹周囲
に、テープの端が少し重なるようにズラしながら数１０
センチ程度の幅になるよう３〜４回巻きつけるだけでき
わめて簡単に取りつけられる。

【００２１】しかも、この害虫駆除テープには人体に有
害な農薬など施していないので、巻きつける際テープ面
に触れても、人体に害を与える心配は全くなく安心して
取り扱え、かつ取りつけた後一定期間すると、雨や風な
ど自然条件の中にあるのでテープの粘着度は落ちて自然
に落下するが、この場合も農薬は含まないので片付ける
面倒もなくそのまま放置すればよい。またテープの素材
が紙や布などの場合は速やかに腐ったり分解して土壌に
帰る上、塗布されている部質が土壌に染み込んでも、石
灰や酸化マグネシユームのアルカリ特性により、酸性土
壌の中和作用効果があり、また苦土肥料となる相乗効果
をも得て土壌の改良や樹木に好結果をもたらすことがで
きる。

【００２２】加えて、害虫駆除テープは樹木などに巻き
つけて害虫の這上がるのを防ぐものであるが、樹木以外
に温室栽培などの入り口のフレームなどに貼りつけたり
して多様な使い方もできる。さらに駆除テープの形成は
きわめてシンプルで、かつ人体に有害な部質を含まない
ので、製造に於ける低コスト化はもとより、保管や輸
送、管理などにも危険要因を呈さない、安全で取り扱い
易い害虫駆除テープとすることができるので、安価にし
て広く市場に提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１を示す一部省略斜視図。

【図２】実施例１の要部拡大断面図。

【図３】本発明品の使用状態例斜視図。

【図４】実施例２を示す斜視図。

【図５】従来品例を示す斜視図。

【符号の説明】

１，１ａ・・害虫駆除テープ、２・・テープ、３・・粘
着剤、４・・石灰、５バインダー、６・・アルカリ防虫
剤、７・・剥離紙、８・・巻芯、Ａ・・アルカリ被覆層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 害虫駆除テープは、適宜な幅と長さを成
   すテープ裏面に粘着剤を施し、その表面には、害虫に刺
   激効果を与える強アルカリ性を有する石灰を主材とする
   アルカリ防虫剤を塗着した構成であることを特徴とする
   害虫駆除テープ。
2. 【請求項２】 害虫駆除テープに施すアルカリ防虫剤塗
   着面に、剥離紙を介在させて芯体に巻きつけた構成であ
   る請求項１記載の害虫駆除テープ。
3. 【請求項３】 テープの表面に施すアルカリ防虫剤が、
   石灰に代えて酸化マグネシュームを主材とした構成であ
   る、請求項１又は請求項２に記載の害虫駆除テープ。