JPH10327612A - 人工種子製造装置 - Google Patents

人工種子製造装置

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JPH10327612A
JPH10327612A JP13685597A JP13685597A JPH10327612A JP H10327612 A JPH10327612 A JP H10327612A JP 13685597 A JP13685597 A JP 13685597A JP 13685597 A JP13685597 A JP 13685597A JP H10327612 A JPH10327612 A JP H10327612A
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JP
Japan
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supply
nozzle
air cylinder
passage
enclosure
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JP13685597A
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Inventor
Yoichi Ido
洋一 井戸
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人工種子を構成するゲル化剤や組織培養物等
に接触する部分を必要に応じて滅菌処理を施せるように
容易に取り外せるようにすること。 【解決手段】 供給、加工、及び、搬送の各ユニット3
1,33,35の各動力源として、モータ等の電気配線
よりも配線系の着脱性が向上するエアシリンダ31c,
33m,35aを用い、固定リング37gにより培養物
容器31aを架台37に対して着脱でき、ジョイント部
材31mにより供給ロッド31bや供給チップ31h
を、架台37で支持されたエアシリンダ31cに対して
着脱でき、取付用ボルト35gにより架台37に固着さ
れたロッドレスエアシリンダ35aに対して、吸引ノズ
ル35cを支持フレーム35bごと着脱でき、取付用ボ
ルト37jにより架台37に対して、加工ノズル33d
を供給シリンダ33aごと着脱できると共に、被覆物タ
ンク5を本体3に対して着脱できる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不定胚等の組織培
養物を内部に封入しカプセル化した人工種子を製造する
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学反応によりゲル化する能力を持った
ゲル化剤の内部に不定胚等の組織培養物を封入した人工
種子を製造する方法や装置については、従来から種々の
技術が提案されており、その一つとして、特開平7−2
64904号公報の種子類似物作成装置がある。
【0003】図17は上述した種子類似物作成装置の側
面図であり、図17中全体符号100で示す種子類似物
作成装置は、基台101から立設された二股の支柱10
3,105と、これら支柱103,105のうち一方の
支柱103上にブラケット107を介して保持された封
入物容器109と、他方の支柱105上に取付台111
を介して保持された被覆物吐出機構113とを備えてい
る。
【0004】また、種子類似物作成装置100は、一方
の支柱103の上部において回転軸115を介して回転
可能に支持された回転板117と、この回転板117に
より保持された複数の封入物吸引チップ119と、回転
軸115を介して回転板117を回転させる回転駆動機
構121等を備えている。
【0005】上述した各部についてさらに詳細に説明す
ると、前記封入物容器109は、下部がすり鉢状を呈し
上方に開放された器により構成されていて、その内部に
は培養液(図示せず)が貯留されており、この培養液中
に組織培養物(図示せず)が浸漬されている。
【0006】また、封入物容器109の下部には、一方
の支柱103によって支持された昇降用アクチュエータ
123の供給ロッド125が連結されており、この供給
ロッド125が昇降用アクチュエータ123の作動によ
り昇降されて、封入物容器109の下部を挿通して内部
に出没するように構成されている。
【0007】前記被覆物吐出機構113は、図18に種
子類似物作成装置100の正面図で示すように、バルブ
部127、駆動部129、及び、被覆物タンク131で
構成されている。
【0008】前記バルブ部127は、図19に拡大縦断
面図で示すように、バルブ本体133とバルブケース1
35とを有しており、このうち、バルブ本体133に
は、被覆物タンク131内のゲル化剤(図示せず)が駆
動部129の作動によって供給される貯留室137と、
この貯留室137内に供給されるゲル化剤の被覆物タン
ク131側への逆流を防止する逆止弁139とが設けら
れている。
【0009】一方、バルブケース135には、封入物吸
引チップ119により封入物容器109から搬送された
組織培養物が投下されるプランジャ挿入孔141と、こ
のプランジャ挿入孔141に挿入される筒状のノズルプ
ランジャ143とを有しており、このノズルプランジャ
143は、スプリング145により付勢されて、ノズル
プランジャ143の先端部147がプランジャ挿入孔1
41の下端に形成された弁座149を閉じるように構成
されている。
【0010】そして、上述したバルブ部127は、バル
ブ本体133の貯留室137から通路151を介してプ
ランジャ挿入孔141とノズルプランジャ143との環
状の隙間153にゲル化剤が流入することで、その流入
圧によりノズルプランジャ143がスプリング145の
付勢力に抗して上昇し、これによりノズルプランジャ1
43の先端部147が弁座149を開いて、隙間153
内のゲル化剤が、プランジャ挿入孔141の下端におい
て球状となって滴下し、その後、プランジャ挿入孔14
1の間口に僅かなゲル化剤が被膜となって残るように構
成されている。
【0011】また、バルブ部127は、封入物吸引チッ
プ119により封入物容器109から搬送された組織培
養物を、筒状のノズルプランジャ143の内部通路15
5に上方から投下することで、プランジャ挿入孔141
の被膜状のゲル化剤に受け止められ、隙間153内のゲ
ル化剤がプランジャ挿入孔141の下端から流出し球状
となって滴下する際に、組織培養物がゲル化剤の内部に
封入されるように構成されている。
【0012】前記駆動部129は、図20に一部截断拡
大正面図で示すように、ステッピングモータ157と、
このステッピングモータ157の出力軸159にギア列
161を介して結合されたスクリューシャフト163
と、このスクリューシャフト163に噛合されたスライ
ダ165と、このスライダ165に連結されたロッド1
67と、このロッド167の先端に連結された加圧プラ
ンジャ169とを備えている。
【0013】そして、駆動部129は、ステッピングモ
ータ157が駆動されることにより、出力軸159の回
転がギア列161を介して伝わったスクリューシャフト
163が回転し、これと噛合するスライダ165が、不
図示のガイドレールによりスクリューシャフト163と
一緒に回転するのを規制されてスクリューシャフト16
3の軸方向に移動することで、ロッド167と共に加圧
プランジャ169がステッピングモータ157の出力軸
159の軸方向に往復移動するように構成されている。
【0014】また、上述した加圧プランジャ169は、
バルブ部127のバルブ本体133に形成された不図示
のシリンダ孔に挿入されており、従って、駆動部129
は、ステッピングモータ157の駆動により出力軸15
9の軸方向に加圧プランジャ169が往復移動すること
で、この加圧プランジャ169がバルブ本体133のシ
リンダ孔(図示せず)を介して貯留室137に出没する
ように構成されている。
【0015】尚、前記被覆物タンク131は、図18に
示す移送管171及び継手173を介して、図19に示
すように、バルブ部127のバルブ本体133に設けら
れた逆止弁139の弁座175に連通している。
【0016】前記回転板117は、図21に周辺部を含
む部分の拡大平面図で示すように、円盤状を呈してお
り、回転板117の外縁寄り60゜ずつ位相をずらした
6箇所には、エアシリンダ177が各々立設されてい
る。
【0017】前記封入物吸引チップ119は6本設けら
れており、各封入物吸引チップ119は、図17及び図
18にそれぞれ示すように、その先端を下方に向けた状
態で、回転板117を挿通する各エアシリンダ177の
ピストンロッド179の先端に基部が連結されており、
各エアシリンダ177が作動することで昇降するように
構成されていると共に、エア配管181,183を介し
て連結された不図示の空圧源により、封入物吸引チップ
119の内部が正圧及び負圧とされるように構成されて
いる。
【0018】前記回転駆動機構121は、図17に示す
ように、回転板117の回転中心に回転軸115を介し
て出力軸(図示せず)が連結されたステッピングモータ
で構成されており、回転駆動機構121が回転板117
を60゜ずつ回転させることで、6本のうち1本の封入
物吸引チップ119が、回転板117の周方向におい
て、バルブケース135に対応する箇所に配置され、こ
の封入物吸引チップ119に回転板117の回転中心を
挟んで対向する、つまり、回転板117の180゜位相
をずらした外縁箇所の封入物吸引チップ119が、封入
物容器109に対応する箇所に配置されるように構成さ
れている。
【0019】尚、図18中引用符号185は、被覆物タ
ンク131内のゲル化剤の残量を検出する残量検出セン
サを示す。
【0020】以上のように構成された特開平7−264
904号公報の種子類似物作成装置100による人工種
子の製造動作は、次の通りである。
【0021】まず、ステッピングモータ157により加
圧プランジャ169をバルブ本体133の貯留室137
内に進出させて、逆止弁139の弁閉により被覆物タン
ク131側へ逆流できない貯留室137、通路151、
及び、バルブケース135の隙間153内のゲル化剤を
加圧させる。
【0022】すると、加圧プランジャ169で加圧され
たゲル化剤によりノズルプランジャ143が上方に移動
して弁座149が開き、貯留室137から通路151を
経て隙間153に押し出されたゲル化剤が、加圧プラン
ジャ169の移動量に応じてプランジャ挿入孔141の
下端から押し出され、自重により球状になってプランジ
ャ挿入孔141からその下方の硬化剤槽に滴下されると
共に、プランジャ挿入孔141の間口に僅かなゲル化剤
が被膜となって残る。
【0023】これと共に、プランジャ挿入孔141から
の滴下により量が減少したゲル化剤の隙間153内での
圧力が下がり、ノズルプランジャ143がスプリング1
45の付勢力により元の位置に降下して弁座149が閉
じる。
【0024】そこで、ステッピングモータ157により
加圧プランジャ169を元の位置に退避させて、ノズル
プランジャ143により弁座149が閉じたバルブケー
ス135の隙間153、これに連通する通路151、及
び、逆止弁139が閉じた状態の貯留室137の内部を
負圧とさせる。
【0025】すると、逆止弁139が開いて被覆物タン
ク131からゲル化剤が吸入補給され、プランジャ挿入
孔141から滴下されたゲル化剤と略同量のゲル化剤が
補給されると、加圧プランジャ169による加圧前の圧
力に貯留室137が戻って逆止弁139が閉じる。
【0026】次に、6本のうち1本の封入物吸引チップ
119を封入物容器109の真上に位置させ、且つ、こ
の封入物吸引チップ119から180゜位相をずらした
回転板117の外縁箇所の封入物吸引チップ119をバ
ルブケース135の真上に位置させる。
【0027】そして、この状態で、ステッピングモータ
157により加圧プランジャ169をバルブ本体133
の貯留室137内に進出させて、隙間153内のゲル化
剤を加圧プランジャ169の移動量に応じてプランジャ
挿入孔141の下端から押し出させる。
【0028】一方、ステッピングモータ157による加
圧プランジャ169の移動と並行して、バルブケース1
35の真上の封入物吸引チップ119の基部が連結され
たエアシリンダ177のピストンロッド179を伸長さ
せて、この封入物吸引チップ119をバルブケース13
5側に降下させ、封入物吸引チップ119の先端がノズ
ルプランジャ143の内部通路155のすぐ上に到達し
たならば、封入物吸引チップ119の降下を停止させ、
封入物吸引チップ119の内部に正圧をかけて先端に吸
着された組織培養物を内部通路155に上方から投下さ
せる。
【0029】すると、封入物吸引チップ119から投下
された組織培養物が、プランジャ挿入孔141の下端で
被膜となったゲル化剤上に載り、プランジャ挿入孔14
1の下端から押し出されたゲル化剤が自重により球状に
なる際に、被膜上の組織培養物がゲル化剤に内包される
と共に、内部にかかる正圧で封入物吸引チップ119か
ら噴出される空気が気泡となってゲル化剤に内包され、
この気泡と組織培養物とを内包した球状のゲル化剤がプ
ランジャ挿入孔141からその下方の硬化剤槽に滴下さ
れ、硬化剤と反応したゲル化剤が硬化して、人工種子が
製造される。
【0030】そして、プランジャ挿入孔141からの滴
下による隙間153内のゲル化剤の減少に伴いノズルプ
ランジャ143が弁座149が閉じた後、エアシリンダ
177のピストンロッド179を収縮させて封入物吸引
チップ119を元の位置に上昇させると共に、ステッピ
ングモータ157により加圧プランジャ169を元の位
置に退避させ、負圧状態になって逆止弁139が開いた
貯留室137内に被覆物タンク131から、プランジャ
挿入孔141から滴下されたゲル化剤と略同量のゲル化
剤を吸入補給させる。
【0031】また、上述したゲル化剤による組織培養物
の被覆から人工種子の製造までの工程を、被覆物吐出機
構113とバルブケース135の真上の封入物吸引チッ
プ119とが行っている間には、これと並行して、封入
物容器109の真上の封入物吸引チップ119の基部が
連結されたエアシリンダ177のピストンロッド179
が伸長されて、この封入物吸引チップ119が封入物容
器109側に降下されつつ、封入物容器109の供給ロ
ッド125が昇降用アクチュエータ123により封入物
吸引チップ119側に上昇される。
【0032】すると、封入物容器109内の培養液に浸
漬された組織培養物が供給ロッド125の先端に載った
ままこの先端が培養液面から上方に突出して停止し、培
養液面よりも上の位置で封入物吸引チップ119の先端
が供給ロッド125の先端に接近して、供給ロッド12
5先端上の組織培養物が、内部に負圧のかかった封入物
吸引チップ119の先端に吸引、吸着される。組織培養
物が封入物吸引チップ119の先端に吸着されたなら
ば、封入物吸引チップ119と供給ロッド125とを各
々元の位置に戻す。
【0033】尚、今まで説明した一対の封入物吸引チッ
プ119による組織培養物の吸着とゲル化剤による被覆
との並行動作が済むと、回転駆動機構121により回転
板117が60゜回転され、回転後にバルブケース13
5と封入物容器109との真上に各々位置する一対の封
入物吸引チップ119において、組織培養物の吸着とゲ
ル化剤による被覆との並行動作が再度行われ、これが済
むと、回転駆動機構121により回転板117が再度6
0゜回転されて、回転後にバルブケース135と封入物
容器109との真上に各々位置する一対の封入物吸引チ
ップ119において、組織培養物の吸着とゲル化剤によ
る被覆との並行動作が再度行われる。
【0034】そして、回転板117が回転駆動機構12
1により60゜×3回の合計180゜回転されると、反
対方向に回転板117が180゜回転され、さらにその
方向に60゜回転板117が回転され、その後は、この
状態と、この状態からさらに60゜回転板117が回転
された状態と、この状態から60゜×2回の合計120
゜回転板117がさらに回転された状態との各状態の下
で、バルブケース135と封入物容器109との真上に
各々位置する一対の封入物吸引チップ119において、
組織培養物の吸着とゲル化剤による被覆との並行動作が
各々行われる。
【0035】この種子類似物作成装置は、組織培養物の
封入漏れや複数個の組織培養物が1つのゲル化剤内に封
入されるといった封入工程上のばらつきを防止すること
ができ、しかも、ゲル化剤による組織培養物の被覆径を
自動的に任意の大きさに変えられるようにすることがで
きる点において、それ以前に提案された同種の技術より
も優れていると言える。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た種子類似物作成装置100は、回転板117をステッ
ピングモータからなる回転駆動機構121により回転さ
せる構成であり、また、被覆物吐出機構113の駆動部
129が、バルブ本体133のシリンダ孔内で加圧プラ
ンジャ169をステッピングモータ157により往復移
動させる構成であったため、次のような不具合があっ
た。
【0037】つまり、回転駆動機構121とステッピン
グモータ157のいずれにおいても、動作用のパルス信
号を供給する必要上、半田付けによる電気配線が必要不
可欠となり、従って、これら回転駆動機構121やステ
ッピングモータ157、乃至、これらの周辺機構を含む
部分を容易に分解、再組み付けすることは、電気配線の
取り外し及び再接続を考慮すると非常に困難である。
【0038】このため、被覆物吐出機構113や回転駆
動機構121を基台101に対して着脱可能に構成し
て、被覆物タンク131のように、必要に応じて基台1
01から外してオートクレーブ、つまり、高圧蒸気滅菌
することができなかった。
【0039】従って、上述した種子類似物作成装置10
0では、被覆物吐出機構113や回転駆動機構121、
ひいては、これらの部分を用いて製造される人工種子自
体が雑菌により汚染されてしまうのを防ぐために、一番
効果のある滅菌処理を施すことができず、それよりもは
るかに効果が劣るのを承知の上で、基台101に固着し
た状態でも可能なアルコール拭き上げによる殺菌処理を
まめに行うしかないという不具合があった。
【0040】尚、上述した滅菌処理が施せないという不
具合は、駆動部129部分に限らず、被覆物タンク13
1内のゲル化剤に接触する可能性のある残量検出センサ
185や、球状となったゲル化剤に組織培養物と共に内
包される気泡の基ともなり得る、封入物吸引チップ11
9の先端からノズルプランジャ143の内部通路155
に組織培養物を投下させるための正圧空気が通過する、
エア配管181,183についても同様に言えることで
あった。
【0041】即ち、特開平7−264904号公報の種
子類似物作成装置100では、特に、その部分が雑菌に
汚染されると人工種子自体も雑菌に汚染されてしまうと
いった重要な構造部分については、オートクレーブによ
る滅菌処理を施せるように、必要時に基台101に対し
て容易に着脱することができる構造部分が、殆どないと
いう不具合があった。
【0042】また、回転駆動機構121により回転板1
17を60゜ずつ回転させるためや、被覆物吐出機構1
13のステッピングモータ157により加圧プランジャ
169を、人工種子の1つ分に応じた量のゲル化剤がプ
ランジャ挿入孔141から滴下されるストロークで移動
させるために、回転駆動機構121やステッピングモー
タ157に与える駆動パルス数を制御する駆動回路系の
構成が複雑になってしまい、装置のコストアップを招い
てしまうという不具合があった。
【0043】本発明は前記事情に鑑みなされたもので、
本発明の目的は、人工種子を構成するゲル化剤や組織培
養物等に接触する部分を、必要に応じて滅菌処理を施す
ために取り外すのが容易になるように、これらの部分を
着脱性に富んだ簡略な構造とするために、これを阻害す
る複雑な動作部分を極力なくし、できれば、それに応じ
て動作制御の簡略化も合わせて図ることができる人工種
子製造装置を提供することにある。
【0044】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載した本発明の人工種子製造装置は、培養
液と共に収容された封入物容器内の不定胚等の封入物が
搬送ノズルに吸着保持される供給箇所と、前記封入物を
被覆剤により被覆する被覆部に対して前記搬送ノズルが
吸着保持した封入物を受け渡す受渡箇所との間で、前記
搬送ノズルを搬送しつつ、該搬送ノズルが吸着保持した
封入物を前記受渡箇所において受け渡すのに同期して、
前記封入物を被覆するのに用いた量の前記被覆剤を前記
被覆部に補給し、前記封入物を前記被覆剤により被覆し
た内包物を作成する人工種子製造装置において、前記封
入物容器内の前記封入物を前記搬送ノズルに吸着保持さ
せる供給ユニット中の供給用動力源と、前記搬送ノズル
を前記供給箇所と受渡箇所との間で搬送する搬送ユニッ
ト中の搬送用動力源と、前記被覆剤を前記被覆部に補給
する補給ユニット中の補給用動力源とを、エア配管を介
したエアの供給により作動するエアシリンダにより各々
構成し、前記供給ユニット、前記搬送ユニット、及び、
前記補給ユニットの各々の、前記封入物及び前記被覆剤
のうち少なくとも一方に接触するユニット部分と、前記
搬送ノズル及び前記封入物容器とを、前記封入物及び前
記被覆剤のいずれとも接触しない架台に対して各々着脱
可能に構成したことを特徴とする。
【0045】また、請求項2に記載した本発明の人工種
子製造装置は、前記供給ユニットが、前記供給用動力源
を構成し前記架台に固設された前記エアシリンダに対し
て着脱可能に連結され、該エアシリンダの作動により前
記培養液の内部と該培養液の外部の前記供給箇所との間
で往復移動される供給部材を有しており、前記培養液の
内部から前記供給箇所に移動される前記供給部材により
前記封入物容器内の前記封入物が支持されて、該封入物
が前記供給箇所に供給されるように構成されているもの
とした。
【0046】さらに、請求項3に記載した本発明の人工
種子製造装置は、前記搬送ユニットが、前記搬送用動力
源を構成し前記架台に固設された前記エアシリンダに対
して着脱可能に連結されて前記搬送ノズルを支持し、前
記エアシリンダの作動により、前記搬送ノズルが前記供
給箇所に位置する箇所と該搬送ノズルが前記受渡箇所に
位置する箇所との間で往復移動される支持部材を有して
いるものとした。
【0047】また、請求項4に記載した本発明の人工種
子製造装置は、前記補給ユニットが、前記被覆部に補給
される前記被覆剤が該被覆部に向けて通流される補給用
通路を内部に有し前記架台に着脱可能に取着された補給
ブロックと、前記補給用通路に連通するように前記補給
ブロックに形成された圧力調整用通路と、前記補給用動
力源を構成する前記エアシリンダに対して着脱可能に連
結されて前記圧力調整用通路に配設され、前記エアシリ
ンダの作動により前記圧力調整用通路内で往復移動され
る補給用ピストンとを有しており、該補給用ピストンが
前記圧力調整用通路内で往復移動することで、前記補給
用通路内が、該補給用通路内の前記被覆剤が前記被覆部
に向けて補給される正圧状態と、前記被覆部に補給され
る前記被覆剤が該被覆剤の供給源側から前記補給用通路
内に流入する負圧状態とに切り換わるように構成されて
いるものとした。
【0048】請求項1に記載した本発明の人工種子製造
装置によれば、供給ユニット、搬送ユニット、及び、補
給ユニットの各々の動力源がいずれもエアシリンダであ
ることから、これら駆動源を作動させるための配線系が
いずれもエアチューブとなり、モータ等の電力により作
動する動作源を用いる場合のように、半田付け等により
接続された電気配線を外すという、着脱性の妨げとなる
ような機械的接続部分がなくなる。
【0049】従って、エアチューブの配管を継手部分等
において一旦外すことで、供給ユニット、搬送ユニッ
ト、及び、補給ユニットの各々の、封入物と直接、或
は、培養液を介して接触するユニット部分、又は、被覆
剤と接触するユニット部分を、同じく封入物や被覆剤に
接触する搬送ノズル及び封入物容器と共に、封入物及び
被覆剤のいずれとも接触しない架台に対して各々簡単に
着脱できる構造とし、架台側に取り付けたままアルコー
ルを用いた拭き上げ等により殺菌処理するよりも数段除
菌性に優れた、オートクレーブによる滅菌処理をこれら
に施すことが可能となる。
【0050】しかも、請求項1に記載した本発明の人工
種子製造装置によれば、供給ユニット、搬送ユニット、
及び、補給ユニットの各々の動力源をいずれもエアシリ
ンダとすることで、封入物容器内の封入物を搬送ノズル
に吸着保持させる際、搬送ノズルを前記供給箇所と受渡
箇所との間で搬送する際、及び、被覆剤を被覆部に補給
する際の、エアシリンダの作動量を、ピストンロッドの
伸縮量により構造的に決定して、エアシリンダに対する
エアの供給量等を細かく制御する必要がない。
【0051】従って、モータ等の電力により作動する動
作源を用いる場合のように、必要な作動量とするために
電力供給の時間や量等を細かく制御するための複雑な制
御系を用いる必要がなく、よって、制御系の複雑化とそ
れに伴う制御系のコスト上昇とを防止することが可能と
なる。
【0052】また、請求項2に記載した本発明の人工種
子製造装置によれば、供給ユニットのうち供給部材のみ
が封入物容器内の封入物に直接、或は、培養液を介して
接触し、供給用動力源を構成するエアシリンダは封入物
容器内の封入物には接触せず、しかも、エアシリンダに
対して供給部材が着脱可能に連結されていることから、
供給部材をエアシリンダから外すという簡単な作業で、
供給ユニット中の封入物と接触する供給部材を、オート
クレーブによる滅菌処理を施せるように、封入物に全く
接触しないエアシリンダや架台側から独立させた状態に
することが可能となる。
【0053】さらに、請求項3に記載した本発明の人工
種子製造装置によれば、搬送ユニットのうち支持部材と
搬送ノズルが封入物に接触し、搬送用動力源を構成する
エアシリンダは封入物には接触せず、しかも、エアシリ
ンダに対して支持部材が搬送ノズルごと着脱可能に連結
されていることから、支持部材をエアシリンダから外す
という簡単な作業で、搬送ユニット中の封入物と接触す
る支持部材と搬送ノズルとを、オートクレーブによる滅
菌処理を施せるように、封入物に全く接触しないエアシ
リンダや架台側から独立させた状態にすることが可能と
なる。
【0054】また、請求項4に記載した本発明の人工種
子製造装置によれば、補給ユニットのうち、補給用通路
が形成された補給ブロックと、この補給用通路に連通す
る補給ブロックの圧力調整用通路に配設される補給用ピ
ストンとが被覆剤に接触し、補給用動力源を構成するエ
アシリンダは被覆剤には接触せず、しかも、架台に対し
て補給ブロックが着脱可能に取着されており、その上、
エアシリンダに対して補給用ピストンが着脱可能に連結
されている。
【0055】よって、補給ブロックを架台から外すと共
に補給用ピストンをエアシリンダから外すという簡単な
作業で、補給ユニット中の被覆剤と接触する補給ブロッ
クと補給用ピストンとを、オートクレーブによる滅菌処
理を施せるように、封入物に全く接触しない架台やエア
シリンダ側から独立させた状態にすることが可能とな
る。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の人工種子製造装置
の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0057】図1は本発明の一実施形態に係る人工種子
製造装置の正面図であり、図1中引用符号1で示す本実
施形態の人工種子製造装置は、本体3、被覆物タンク
5、及び、トラップ7等を備えている。
【0058】前記本体3は、図2に平面図で示すよう
に、人工種子とする組織培養物を供給する供給ユニット
31と、この供給ユニット31から供給される組織培養
物をゲル化剤で被覆する加工ユニット33と、供給ユニ
ット31から加工ユニット33に組織培養物を搬送する
搬送ユニット35と、これら供給ユニット31、加工ユ
ニット33、及び、搬送ユニット35が取り付けられる
架台37とを備えている。
【0059】前記架台37は、略矩形状の基板37a
と、この基板37aの上方に配置された略L字状の棚板
37bと、基板37aから立設され棚板37bの三隅を
支持する3本の支柱37cと、図3に側面図で示すよう
に、基板37aの前後方向の略中間箇所から立設されて
棚板37bの前端寄り部分を支持する壁板37dとを有
している。
【0060】前記供給ユニット31は、図1に示すよう
に、培養物容器31a、供給ロッド31b、及び、エア
シリンダ31cを有している。
【0061】前記培養物容器31a(封入物容器に相
当)の内部は、図4に供給ユニット31の要部縦断面図
で示すように、下半部がすり鉢状を呈し、上半部が筒状
を呈していて、この上半部に、培養物容器31aの内部
と外部とを水平に連通させるドレン孔31eが貫設され
ており、この培養物容器31aの内部には、ドレン孔3
1eの下縁を液面L1の最高位置として培養液Lが貯留
され、この培養液L中に組織培養物S(封入物に相当)
が浸漬されている。
【0062】また、培養物容器31aの下部には雄ねじ
部31fが形成されており、この雄ねじ部31fの略中
央には、培養物容器31aの内部と外部とを上下に連通
させるロッド孔31gが貫設されている。
【0063】そして、培養物容器31aは、図3に示す
ように、壁板37dから水平に突設された支持板37e
の先部に略U字状に形成された、図4に示す嵌合部37
fに、上方から雄ねじ部31fを挿入した状態で、下方
から嵌合部37fに挿入したナット状の固定リング37
gを雄ねじ部31fに螺着し締め付けることで、支持板
37e上に着脱可能に取着される。
【0064】前記供給ロッド31bは、培養物容器31
a内の組織培養物Sを培養液Lの液面L1よりも上方、
つまり、培養液Lの外方に引き上げるためのもので、培
養物容器31aのロッド孔31gの内径に対応する外径
で形成されていて、このロッド孔31gに下方から挿通
されており、供給ロッド31bの先端には供給チップ3
1hが取着されている。
【0065】前記供給チップ31hは、図5に一部截断
拡大正面図で示すように、すり鉢状の凹部31jを先端
に有しており、この凹部31jには、図6に供給チップ
31hの拡大平面図で示すように、8本の排液溝31k
が放射状に形成されていて、各排液溝31kは、図5に
示すように、底面が略水平に延在しているか、或は、供
給チップ31hの外周面に近づくにつれて次第に下がる
ように、凹部31jとは逆向きに僅かに傾斜している。
【0066】尚、本実施形態では、供給ロッド31bと
供給チップ31hとで、請求項中の供給部材が構成され
ている。
【0067】前記エアシリンダ31c(供給用動力源に
相当)は、供給ロッド31bを介して供給チップ31h
を、図4に示す培養物容器31aの上縁よりも上方の伸
長位置H1(供給箇所に相当)と、培養物容器31aの
内部に突出しない退避位置H3との間で昇降させるもの
で、不図示のピストンロッドが供給ロッド31bの基端
にジョイント部材31mを介して連結されており、エア
シリンダ31cの上端は、図3に示すように、支持板3
7eよりも下方の壁板37d箇所から水平に突設された
支持フレーム37hにより支持されている。
【0068】尚、図4に示すように、培養物容器31a
のロッド孔31gの下端寄り部分には、ロッド孔31g
と供給ロッド31bとの間からの培養液Lの液漏れを防
止するシール用のOリング31nが螺着されており、培
養物容器31aのドレン孔31eには、不図示のドレン
受けに至るドレンホース31pが外側から連結されてい
る。
【0069】前記加工ユニット33は、図2に示すよう
に、供給シリンダ33a、押出シリンダ33b、供給量
調整部33c、及び、加工ノズル33dを有している。
【0070】前記供給シリンダ33aは、図7に加工ユ
ニット33の要部拡大横断面図で示すように、シリンダ
ボディ33e(補給ブロックに相当)に貫設された通路
33f(補給用通路に相当)の両端に逆止弁33g,3
3hを各々接続すると共に、通路33fの途中からシリ
ンダボディ33eの側方にピストン通路33j(圧力調
整用通路に相当)を連通させて形成されており、このピ
ストン通路33j内にはピストン33k(補給用ピスト
ンに相当)が配設されている。
【0071】前記逆止弁33g,33hは、逆止弁33
gから通路33fを経て逆止弁33h側に向かう流体の
通過を可能とし、その逆向きの、逆止弁33hから通路
33fを経て逆止弁33g側に向かう流体の通過を不能
とするように構成されている。
【0072】従って、供給シリンダ33aは、ピストン
33kがピストン通路33j内を通路33fに近づくよ
うに移動することで、通路33f内の流体の圧力が上昇
して逆止弁33hから通路33fの外部に、ピストン3
3kの移動ストロークに応じた量の流体が流出し、ピス
トン33kがピストン通路33j内を通路33fから離
れるように移動することで、通路33f内の流体の圧力
が下降して逆止弁33gから通路33f内に、ピストン
33kの移動ストロークに応じた量の流体が流入するよ
うに構成されている。
【0073】尚、図3中引用符号37jは、下方から棚
板37bに挿通されて供給シリンダ33aのシリンダボ
ディ33eに螺着される取付用ボルトを示す。
【0074】前記押出シリンダ33bは、図8に拡大平
面図で示し、且つ、図9に一部截断拡大側面図で示すよ
うに、シリンダボディの両端からピストンロッド33D
を突出させたデュアルロッド式のエアシリンダ33m
(補給用動力源に相当)と、シリンダボディの一端側に
おいてピストンロッド33Dの端部に連結されたジョイ
ント部材33nとを有しており、このジョイント部材3
3nに供給シリンダ33aのピストン33kの基部が着
脱可能に連結されている。
【0075】そして、本実施形態では、押出シリンダ3
3bと、供給シリンダ33aのうちシリンダボディ33
eのピストン通路33j及びピストン33kとで、請求
項中の補給ユニットが構成されている。
【0076】前記供給量調整部33cは、シリンダボデ
ィの他端側にねじ止めされた調整ブロック33pと、こ
の調整ブロック33pにねじ込まれた調整ボルト33r
と、調整ブロック33pの外方に位置する調整ボルト3
3r部分に螺着されたストッパナット33sと、調整ボ
ルト33rの先端に突き当たるように調整ブロック33
pに形成されたロッド穴33tとを有しており、調整ブ
ロック33pをエアシリンダ33mのシリンダボディに
ねじ止めした状態で、ジョイント部材33nが連結され
た側とは反対側のピストンロッド33Dの端部が、ロッ
ド穴33tに挿入されている。
【0077】この供給量調整部33cは、調整ブロック
33pへの調整ボルト33rのねじ込み量を調整するこ
とで、ロッド穴33tの内部でピストンロッド33Dの
端部が調整ボルト33rの先端に当接する位置が変わっ
て、ピストンロッド33Dにジョイント部材33nを介
して連結されたピストン33kの、ピストン通路33j
内における移動ストロークが調整され、調整後にストッ
パナット33sを締め付けて調整ブロック33pに当て
付けることで、調整ボルト33rが調整ブロック33p
に対して現在のねじ込み位置に固定されるように構成さ
れている。
【0078】前記加工ノズル33d(被覆部に相当)
は、図10に加工ユニット33の要部拡大縦断面図で示
すように、逆止弁33hに連結されたノズルブロック3
3vと、このノズルブロック33vの上面に取着される
ノズルキャップ33wとを有している。
【0079】前記ノズルブロック33vの上面には、下
面側に向かうにつれて内径が階段状に小さくなる平面視
円形状の凹部33xが形成されていて、この凹部33x
は、底部に貫設された通孔33yを介してノズルブロッ
ク33vの下方に開放されており、また、凹部33xの
最小径部分は、ノズルブロック33vに形成された通路
33zと逆止弁33hとを介して供給シリンダ33aの
通路33fに連通している。
【0080】前記ノズルキャップ33wは、ノズルブロ
ック33vの上面に取着した状態で凹部33x内に突出
する弁体33Aを有していて、この弁体33Aには、ノ
ズルブロック33vの上面にノズルキャップ33wを取
着した状態で通孔33yと同心上に位置する投入孔33
Bが、通孔33yと略同じ内径で上下方向に貫設されて
おり、弁体33Aの外側で且つ凹部33xの最小径部分
の内側に、通孔33y,33z、及び、投入孔33Bに
それぞれ連通する環状のゲル収容室33Cが画成されて
いる。
【0081】そして、加工ノズル33dは、通路33z
を通ってゲル収容室33Cに流入する流体がゲル収容室
33Cに充満した状態で、通路33zを通ってゲル収容
室33Cに流体がさらに流入することで、弁体33Aと
凹部33xとの間に環状に形成される上下方向の隙間V
を通って通孔33yにゲル収容室33C内の流体が流出
し、ゲル収容室33Cへのさらなる流体の流入が止まる
ことで、ゲル収容室33Cから通孔33yへの流体の流
出が、流体の粘度や表面張力も相まって、一種の流量調
整弁として機能する隙間Vにより妨げられて、ゲル収容
室33C内に流体が滞留すると共に、ゲル収容室33C
から通孔33yに流出した流体の大半が自重により球状
となって滴下し、残りの一部の流体が通孔33yに被膜
状となって残るように構成されている。
【0082】また、加工ノズル33dは、供給シリンダ
33aのシリンダボディ33eに逆止弁33hを介して
支持されており、図3に示すように、取付用ボルト37
jをシリンダボディ33eから外し、ピストン33kを
ジョイント部材33nから外すと共に、逆止弁33gか
ら後述するチューブ53(図1参照)を外すことで、供
給シリンダ33aと一緒に棚板37bから外すことがで
きるように構成されている。
【0083】前記搬送ユニット35は、図2に示すよう
に、マグネット式のロッドレスエアシリンダ35aと、
支持フレーム35bと、吸引ノズル35cとを有してい
る。
【0084】前記ロッドレスエアシリンダ35a(搬送
用動力源に相当)は、ガイドシャフト35dと平行に配
置された中空ロッド35eへのエアの供給方向を切り換
えることにより、中空ロッド35e内で不図示のマグネ
ット付きピストンが往復移動し、このピストンに追従し
て、図11に一部截断拡大側面図で示すように、ガイド
シャフト35d及び中空ロッド35eが挿通されたマグ
ネット付きのスライダ35fが、これらガイドシャフト
35d及び中空ロッド35eに案内されつつ往復移動す
るように構成されており、その両側部が架台37の棚板
37b上に固着されている。
【0085】尚、前記スライダ35fの上面略中央に
は、図12にロッドレスエアシリンダ35aの拡大平面
図で示すように、ねじ孔35tが形成されており、図1
2に示し、且つ、図13にロッドレスエアシリンダ35
aの拡大側面図で示すように、ねじ孔35tから等間隔
のスライダ35f上面箇所には、位置決めピン35vが
各々立設されている。
【0086】前記支持フレーム35b(支持部材に相
当)は、図14にロッドレスエアシリンダ35aへの取
付状態における拡大平面図で示すように、前後方向に長
辺を配置した略L字状を呈しており、図11に示すよう
に、長辺部分の前後方向における略中間箇所がスライダ
35f上に配置されていて、取付用ボルト35gによっ
てスライダ35fに着脱可能に取着されている。
【0087】そして、支持フレーム35bの長辺部分の
取付用ボルト35gが挿通される箇所には、図15に単
品の拡大平面図で示すように、スライダ35fのねじ孔
35tに対応するボルト孔35wが形成されており、そ
の前後の箇所には、スライダ35fの各位置決めピン3
5vに対応する2つの位置決め孔35xが形成されてい
る。
【0088】前記支持フレーム35bは、スライダ35
fの各位置決めピン35vを対応する各位置決め孔35
xに差し込んで、ボルト孔35wに挿通した取付用ボル
ト35gをスライダ35fのねじ孔35tに螺着するこ
とで、スライダ35fの移動方向と直交する前後方向に
支持フレーム35bの長辺部分が延在するように、スラ
イダ35fに対して位置決めされるように構成されてい
る。
【0089】さらに、図14に示すように、支持フレー
ム35bの後部に位置する短辺部分には除菌フィルタ3
5hが配設されており、短辺部分と長辺部分との境界部
分には、3つの接続口35k,35m,35nを有する
ユニオン継手35jが配設されていて、このユニオン継
手35jの内部には、3つの接続口35k,35m,3
5nを相互に連通する通路(図示せず)が設けられてい
る。
【0090】前記吸引ノズル35c(搬送ノズルに相
当)は、図11に示すように、支持フレーム35bの前
端に先端を下に向けて取着されていて、図14に示すよ
うに、ユニオン継手35jの接続口35mにチューブ3
5pを介して接続されており、吸引ノズル35cの先端
は、組織培養物Sを吸い込んだり、複数の組織培養物S
を同時に吸引、吸着することがないように、組織培養物
Sに応じた大きさで形成されている。
【0091】尚、ユニオン継手35jの接続口35kは
チューブ35rを介して除菌フィルタ35hに接続され
ており、さらにこの除菌フィルタ35hは、図1に示す
ように、チューブ35sと棚板37bのバルブ37kと
を介して、不図示の空圧源に接続されており、搬送ユニ
ット35は、空圧源から正圧のエアが必要に応じて供給
されると、除菌フィルタ35hで除菌された後にユニオ
ン継手35jを経て吸引ノズル35cから噴出されるよ
うに構成されている。
【0092】そして、前記搬送ユニット35は、ロッド
レスエアシリンダ35aによりスライダ35fと共に支
持フレーム35bを往復移動させることで、培養物容器
31aの真上であって供給チップ31hの伸長位置H1
と、加工ノズル33dのノズルキャップ33wに形成さ
れた投入孔33Bの真上の位置との間で、吸引ノズル3
5cが水平に移動するように構成されており、本実施形
態では、この投入孔33Bの真上の位置が、請求項中の
受渡箇所に相当している。
【0093】前記被覆物タンク5は、組織培養物Sを被
覆するゲル化剤J(被覆剤に相当)が収容されるもの
で、蓋51により密閉されており、この蓋51には、供
給シリンダ33aの逆止弁33gに一端が接続されたチ
ューブ53が挿通されていて、このチューブ53の他端
は被覆物タンク5の内部の底面付近に至っている。
【0094】また、前記蓋51にはもう1本チューブ5
5が挿通されていて、このチューブ55の一端は、被覆
物タンク5の内部において、ゲル化剤Jの液面J1に到
達しないように蓋51にごく近い箇所に配置されてい
る。
【0095】そして、前記被覆物タンク5は、チューブ
55から内部に供給される正圧の除菌エアの圧力によ
り、内部のゲル化剤Jがチューブ53を介して供給シリ
ンダ33aの逆止弁33gに圧送されるように構成され
ている。
【0096】前記トラップ7は、図16に拡大縦断面図
で示すように、ハウジング71、キャップ73、フィル
タ75、及び、ドレンバルブ77を有している。
【0097】前記ハウジング71は、上方に開口71a
を有しており、ハウジング71の内部は隔壁71bによ
って上半部と下半部とに区画されていて、この隔壁71
bに形成された連通孔71cを介して上半部とした半部
とが連通しており、ハウジング71の下半部には、ハウ
ジング71の外部と連通するドレン孔71dが形成され
ている。
【0098】前記キャップ73はハウジング71の開口
71aに螺着されてこれを密閉するもので、このキャッ
プ73には、開口71aを密閉した状態でハウジング7
1の内部に連通する吸入口73a及び排出口73bが各
々形成されており、このうち吸入口73aは、チューブ
73cを介して支持フレーム35bのユニオン継手35
jのうち接続口35nに接続されており、また、排出口
73bは、チューブ73dを介して、図2に示すよう
に、棚板37bの真空発生器37mに接続されている。
【0099】前記フィルタ75は、図16に示すよう
に、例えば市販のスポンジ等の通気性のある多孔質材で
形成されており、ハウジング71の隔壁71bよりも上
半部側の内部部分に充填されている。
【0100】そして、前記フィルタ75にはチューブ7
5aが挿通されていて、このチューブ75aの一端はキ
ャップ73の吸入口73aに接続され、他端はフィルタ
75の外方において隔壁71bの連通孔71cに臨んで
おり、このチューブ75aにより吸入口73aが、フィ
ルタ75を通さずにハウジング71の隔壁71bよりも
下半部側の内部部分に直接連通するように構成されてい
る。
【0101】前記ドレンバルブ77は、ツマミ77aを
ひねることで内部の不図示のボール弁が通路(図示せ
ず)を開閉するように構成されており、この内部通路が
ハウジング71の外方においてドレン孔71dに連通す
るようにハウジング71に取着されている。
【0102】そして、前記トラップ7は、真空発生器3
7mが必要に応じて作動し負圧が発生すると、吸引ノズ
ル35cから吸引された流体が、ユニオン継手35j及
び吸入口73aを経てハウジング71の内部に引き込ま
れて、チューブ75aを通ってハウジング71内の下半
部に落下し、この流体のうち、液体がハウジング71の
底部に滞留すると共に、気体がフィルタ75を通過し排
出口73bを経て真空発生器37m側に引き込まれるよ
うに構成されている。
【0103】また、トラップ7は、必要に応じてツマミ
77aをひねりドレンバルブ77のボール弁を開くこと
で、ハウジング71の底部に滞留した液体がドレン孔7
1d及びドレンバルブ77を通って、ハウジング71の
外部に排出されるように構成されている。
【0104】尚、図1引用符号9は、基板37aのうち
加工ノズル33dの通孔33yの真下の基板37a箇所
に配設されたサンプル受けを示し、このサンプル受け9
の内部には硬化剤(図示せず)が貯留されている。
【0105】次に、上述のように構成された本実施形態
の人工種子製造装置1の動作(作用)について説明す
る。
【0106】人工種子の製造を始めるに当たっては、ま
ず、培養物容器31a内に組織培養物Sを培養液Lと共
に入れるが、この際、培養液Lを入れているうちにその
液面L1がドレン孔31eに達すると、それ以上培養液
Lを入れてもドレン孔31eからドレンホース31pを
経てドレン受けに流れ出て、液面L1がドレン孔31e
の下縁以下に常に保たれるので、培養液Lをどこまで入
れても大丈夫かを意識して入れる必要はない。
【0107】尚、組織培養物Sは培養液Lよりも十分大
きい比重であるため、培養液Lと一緒に組織培養物Sが
ドレン孔31eからドレンホース31pを経てドレン受
けに流れ出ることはない。
【0108】そして、培養物容器31a内に組織培養物
Sと培養液Lとを入れるのと並行して、押出シリンダ3
3bのエアシリンダ33mによりピストンロッド33D
を、その端部が調整ボルト33rの先端に当接するまで
移動させて、ピストン33kをピストン通路33j内の
通路33fから離間させ、これにより負圧となった通路
33f内に、被覆物タンク5から圧送されたゲル化剤J
を逆止弁33gを介して流入させて、通路33f内をゲ
ル化剤Jで充満させる。
【0109】さらに、押出シリンダ33bのエアシリン
ダ33mによりピストンロッド33Dを移動させて、ピ
ストン33kをピストン通路33j内の通路33fに最
も接近した位置に移動させ、これにより圧力が上がった
通路33f内のゲル化剤Jを、ピストン33kの移動ス
トロークに応じた量だけ逆止弁33h及び通路33zを
介してノズルブロック33vのゲル収容室33Cに流入
させる。
【0110】すると、ゲル収容室33Cに流入したゲル
化剤Jが、ノズルキャップ33wの弁体33Aと凹部3
3xとの上下の隙間を通って通孔33yに流出し、自重
により次第に球状に形を変えて通孔33yの真下のサン
プル受け9に滴下され、その後、通孔33yの間口に僅
かなゲル化剤Jが被膜となって残る。
【0111】尚、本実施形態では、ノズルキャップ33
wの投入孔33B及びノズルブロック33vの通孔33
yの内径と、ノズルキャップ33wの弁体33Aと凹部
33xとの上下の隙間Vの形状及び大きさが、ゲル化剤
Jの粘度を考慮に入れて、ピストンロッド33Dの移動
に伴う通路33f内の負圧状態において、ゲル収容室3
3C内のゲル化剤Jの通孔33y側への流出が隙間Vに
より妨げられて、ゲル化剤Jがゲル収容室33C内に滞
留できる値に設定されている。
【0112】次に、エアシリンダ31cにより供給ロッ
ド31bを収縮させて供給チップ31hを退避位置H3
に位置させる。すると、すり鉢状を呈する培養物容器3
1aの下半部によって中央に寄せ集められた組織培養物
Sが、供給チップ31hの凹部31jに載る。
【0113】そこで、この状態のまま、ロッドレスエア
シリンダ35aにより吸引ノズル35cを供給チップ3
1hの伸長位置H1に移動させ、次いで、エアシリンダ
31cにより供給チップ31hを退避位置H3から伸長
位置H1に移動させて、凹部31jに組織培養物Sが載
ったまま、培養物容器31a内の培養液Lの液面L1か
ら上方に供給チップ31hを突出させる。
【0114】このとき、凹部31jにすくい上げられた
培養物容器31a内の培養液Lは、排液溝31kを通っ
て供給チップ31hの外方に流出し、凹部31j内に溜
まったままとなることはない。
【0115】そして、供給チップ31hが伸長位置H1
に達したならば、真空発生器37mを作動させて吸引ノ
ズル35cを流体の吸引状態とする。すると、供給チッ
プ31hの凹部31jに載った組織培養物Sが1つだ
け、吸引ノズル35cに吸引、吸着される。
【0116】このとき、組織培養物Sに付着した培養液
Lが吸引ノズル35cに万一吸い込まれたとしても、そ
の培養液Lはトラップ7に引き込まれてハウジング71
内の底部に滞留され、その先の真空発生器37m側に達
することはない。
【0117】また、吸引ノズル35cの先端は組織培養
物Sの大きさに応じて形成されているため、吸引ノズル
35cの先端には、供給チップ31hの凹部31jに組
織培養物Sが載っていない場合を除き、組織培養物Sが
必ず1つだけ吸引、吸着される。
【0118】尚、真空発生器37mの作動により吸引ノ
ズル35cを流体の吸引状態とするのは、エアシリンダ
31cにより供給チップ31hを退避位置H3から伸長
位置H1に移動させる前の段階であってもよい。
【0119】そして、供給チップ31hの凹部31jに
載った組織培養物Sが吸引ノズル35cに1つだけ吸
引、吸着されたならば、真空発生器37mを作動させた
まま、エアシリンダ31cにより供給ロッド31bを収
縮させて供給チップ31hを伸長位置H1から退避位置
H3に移動させると共に、ロッドレスエアシリンダ35
aにより吸引ノズル35cを、供給チップ31hの伸長
位置H1から、ノズルキャップ33wの投入孔33Bの
真上の位置に移動させる。
【0120】次に、真空発生器37mの作動を停止させ
ると共に、空圧源を作動させて正圧のエアを吸引ノズル
35cに供給し、吸引ノズル35cの先端から投入孔3
3Bに向けて正圧のエアを噴出させて、吸引ノズル35
cの先端に吸着された組織培養物Sを吸引ノズル35c
の真下の投入孔33Bに投下させ、投下された組織培養
物Sを被膜となった通孔33yのゲル化剤J上に到達さ
せる。
【0121】続いて、押出シリンダ33bのエアシリン
ダ33mによりピストンロッド33Dを移動させて、ピ
ストン33kをピストン通路33j内の通路33fに最
も接近した位置に移動させ、これにより圧力が上がった
通路33f内のゲル化剤Jを、ピストン33kの移動ス
トロークに応じた量だけ逆止弁33h及び通路33zを
介してノズルブロック33vのゲル収容室33Cに流入
させる。
【0122】すると、ゲル収容室33Cに流入したゲル
化剤Jが、ノズルキャップ33wの弁体33Aと凹部3
3xとの上下の隙間を通って通孔33yに流出し、通孔
33yで被膜となったゲル化剤Jが、ゲル化剤J上に到
達した組織培養物Sと、吸引ノズル35cから投入孔3
3Bに噴出された投入孔33B内のエアとを内包しつ
つ、このエアの噴出圧とゲル化剤Jの自重とにより次第
に球状に形を変える。
【0123】そして、組織培養物Sと気泡とを内包した
球状のゲル化剤Jが、通孔33yの真下のサンプル受け
9に滴下され、その内部の硬化剤中に浸漬されて反応し
たゲル化剤Jが硬化して人工種子となる。
【0124】以上の動作が済んだならば、空圧源の作動
を停止させて吸引ノズル35cへの正圧のエアの供給を
停止させた後、ロッドレスエアシリンダ35aにより吸
引ノズル35cを供給チップ31hの伸長位置H1に移
動させると共に、押出シリンダ33bのエアシリンダ3
3mの作動によりピストン33kをピストン通路33j
内の通路33fから離間させて、被覆物タンク5から逆
止弁33gを介して流入されるゲル化剤Jで通路33f
内を充満させる。
【0125】そして、ロッドレスエアシリンダ35aに
より吸引ノズル35cを供給チップ31hの伸長位置H
1に移動させると共に、真空発生器37mの作動により
吸引ノズル35cを流体の吸引状態にし、その後、エア
シリンダ31cによる供給チップ31hの退避位置H3
から伸長位置H1への移動とそれ以降の動作を、上述し
た通りに繰り返して行うことで、サンプル受け9内の硬
化剤中に製造された人工種子が順次貯留されて行く。
【0126】尚、先に説明したように、吸引ノズル35
cが吸着した組織培養物Sに培養液Lが付着していて
も、その培養液Lが吸引ノズル35cに吸い込まれた後
にトラップ7に引き込まれてハウジング71内の底部に
滞留されるので、吸引ノズル35cからノズルキャップ
33wの投入孔33Bに組織培養物Sを投下させる時点
では、組織培養物Sに培養液Lがまだ付着している可能
性は極めて少ない。
【0127】しかも、投下された組織培養物Sが加工ノ
ズル33dの内部において、被膜となった通孔33yの
ゲル化剤J上に到達するまでの間に通過する部分は、ノ
ズルキャップ33wの投入孔33Bの内部だけであり、
この投入孔33Bには、図19に示す従来の種子類似物
作成装置100のノズルプランジャ143のように弁機
能を持たせていないので、人工種子の1つ分に応じた量
のゲル化剤Jを球状にしながら滴下させるために、投入
孔33Bの上下長さをある程度大きくする必要もない。
【0128】従って、組織培養物Sに培養液Lが付着し
ている可能性が元々極めて少なく、しかも、万一付着し
ていたとしても組織培養物Sが通過する投入孔33Bの
上下長さが小さいことから、吸引ノズル35cから投入
孔33Bに組織培養物Sを投下させる際に、投入孔33
Bに組織培養物Sが付着することはない。
【0129】そして、人工種子製造装置1の使用を開始
した後における、組織培養物Sやゲル化剤Jと接触する
部分の除菌は、次のようにして行う。
【0130】つまり、組織培養物Sやこれが浸漬される
培養液Lと接触する培養物容器31aは、雄ねじ部31
fに対する固定リング37gの締め付けを緩めて架台3
7の支持板37eから外して、ドレンホース31pと一
緒にオートクレーブにより滅菌処理し、培養物容器31
a内で組織培養物Sや培養液Lと接触する供給ロッド3
1bや供給チップ31hは、エアシリンダ31cのピス
トンロッドからジョイント部材31mごと外して、単体
で滅菌処理する。
【0131】また、組織培養物Sと接触する吸引ノズル
35cは、取付用ボルト35gを外してロッドレスエア
シリンダ35aのスライダ35fから支持フレーム35
bごと外し、さらに、ユニオン継手35jの接続口35
nからチューブ73cを外すと共に、除菌フィルタ35
hからチューブ35rを外して、支持フレーム35b
や、この支持フレーム35b上の除菌フィルタ35h及
びユニオン継手35jと一緒に滅菌処理する。
【0132】一方、ゲル化剤Jと接触する加工ユニット
33の供給シリンダ33aと加工ノズル33dは、取付
用ボルト37jを外して棚板37bから供給シリンダ3
3aのシリンダボディ33eを外すと共に、押出シリン
ダ33bのジョイント部材33nからピストン33kの
基部を外して、チューブ53を介して逆止弁33gに接
続された被覆物タンク5とその蓋51、及び、この蓋5
1に接続されたチューブ55、そして、ジョイント部材
33nから外したピストン33kと一緒に滅菌処理す
る。
【0133】尚、本実施形態の人工種子製造装置1にお
いては、本体3の供給ユニット31、加工ユニット3
3、及び、搬送ユニット35の各ユニットにおける動作
部分の駆動源が、エアシリンダ31c,33m及びロッ
ドレスエアシリンダ35aと、いずれも、圧縮エアを動
力源とするものであることから、それらを上述した動作
の通りに作動させるための制御は、各ロッドの位置を検
出するためのセンサとその検出結果に応じてシーケンス
処理を行う一般的なシーケンサという、簡単な構成及び
内容のもので十分可能である。
【0134】このように本実施形態の人工種子製造装置
1によれば、人工種子製造装置1の本体3において、供
給ユニット31の培養物容器31a内の供給チップ31
hとこれに連なる供給ロッド31bをエアシリンダ31
cにより昇降させて、培養液L中に浸漬された組織培養
物Sを培養液Lから引き上げさせ、この供給チップ31
hから組織培養物Sを吸引、吸着する搬送ユニット35
の吸引ノズル35cを、支持フレーム35bと共にロッ
ドレスエアシリンダ35aにより移動させて、吸着した
組織培養物Sを培養物容器31aから加工ユニット33
の加工ノズル33dに搬送、投下させ、この加工ノズル
33dに通路33fを介して連なる供給シリンダ33a
のピストン33kを、エアシリンダ33mによりピスト
ン通路33j内で往復移動させて、吸引ノズル35cに
人工種子1つ分のゲル化剤Jを補給する構成とした。
【0135】そして、上述した構成により、電力により
作動するモータ等を動力源として電気配線を施すより
も、配線系の着脱性を向上させて、固定リング37gに
より培養物容器31aを架台37の支持板37eに対し
て着脱し、ジョイント部材31mにより供給ロッド31
bや供給チップ31hを、架台37の支持フレーム37
hで支持されたエアシリンダ31cに対して着脱すると
共に、取付用ボルト35gにより架台37の棚板37b
に固着されたロッドレスエアシリンダ35aに対して、
吸引ノズル35cを支持フレーム35bごと着脱し、さ
らに、取付用ボルト37jにより架台37の棚板37b
に対して、加工ノズル33dを供給シリンダ33aごと
着脱すると共に、被覆物タンク5を本体3に対して着脱
する構成とした。
【0136】このため、組織培養物Sやゲル化剤Jと接
触する部分に殺菌よりも除菌性に富んだオートクレーブ
による滅菌処理を施競るように、これらの部分を、組織
培養物Sやゲル化剤Jのいずれとも接触しない架台37
側から独立させることができる。
【0137】しかも、全ての動力源がエアシリンダで構
成できることから、これらの動作量を構造的に決定する
ことが可能となり、従って、電力により作動するモータ
等を動力源とする場合に比べて、動作量を決定するため
の制御を簡単にし、制御系の複雑化とそれに伴う制御系
のコスト上昇とを防止することができる。
【0138】尚、培養物容器31a内の培養液Lからこ
の培養液Lに浸漬された組織培養物Sを引き上げるため
の構成は、本実施形態で示した、エアシリンダ31cの
ピストンロッドに連結された供給チップ31hとこれに
連なる供給ロッド31bとの昇降によるものでなく、他
の構成であってもよいが、このような構成を採用するこ
とで、エアシリンダ31cのピストンロッドから供給ロ
ッド31bを外すという簡単な作業で、供給ユニット3
1中の組織培養物Sと接触する供給チップ31hと供給
ロッド31bとを架台37側から独立させた状態にする
ことができるので、有利である。
【0139】また、吸引ノズル35cを供給チップ31
hの伸長位置H1とノズルキャップ33wの投入孔33
Bの真上の位置との間で移動させるための構成は、本実
施形態で示した、ロッドレスエアシリンダ35aと、そ
のスライダ35fに着脱可能に連結されて吸引ノズル3
5cを支持し、スライダ35fと共に往復移動する支持
フレーム35bとを有するものでなく、他の構成であっ
てもよいが、このような構成を採用することで、スライ
ダ35fから支持フレーム35bを外すという簡単な作
業で、搬送ユニット35中の組織培養物Sと接触する吸
引ノズル35cを架台37側から独立させた状態にする
ことができるので、有利である。
【0140】さらに、加工ノズル33dにゲル化剤Jを
補給するための構成は、本実施形態で示した、加工ノズ
ル33dに通路33fを介して連なる供給シリンダ33
aのピストン33kを、エアシリンダ33mによりピス
トン通路33j内で往復移動させるものでなく、他の構
成であってもよいが、このような構成を採用すること
で、架台37の棚板37bから供給シリンダ33aのシ
リンダボディ33eを外すと共に、加工ノズル33dを
エアシリンダ33mからピストン33kを外すという簡
単な作業で、加工ユニット33中のゲル化剤Jと接触す
る加工ノズル33dや供給シリンダ33aを架台37側
から独立させた状態にすることができるので、有利であ
る。
【0141】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載した
本発明の人工種子製造装置によれば、培養液と共に収容
された封入物容器内の不定胚等の封入物が搬送ノズルに
吸着保持される供給箇所と、前記封入物を被覆剤により
被覆する被覆部に対して前記搬送ノズルが吸着保持した
封入物を受け渡す受渡箇所との間で、前記搬送ノズルを
搬送しつつ、該搬送ノズルが吸着保持した封入物を前記
受渡箇所において受け渡すのに同期して、前記封入物を
被覆するのに用いた量の前記被覆剤を前記被覆部に補給
し、前記封入物を前記被覆剤により被覆した内包物を作
成する人工種子製造装置において、前記封入物容器内の
前記封入物を前記搬送ノズルに吸着保持させる供給ユニ
ット中の供給用動力源と、前記搬送ノズルを前記供給箇
所と受渡箇所との間で搬送する搬送ユニット中の搬送用
動力源と、前記被覆剤を前記被覆部に補給する補給ユニ
ット中の補給用動力源とを、エア配管を介したエアの供
給により作動するエアシリンダにより各々構成し、前記
供給ユニット、前記搬送ユニット、及び、前記補給ユニ
ットの各々の、前記封入物及び前記被覆剤のうち少なく
とも一方に接触するユニット部分と、前記搬送ノズル及
び前記封入物容器とを、前記封入物及び前記被覆剤のい
ずれとも接触しない架台に対して各々着脱可能に構成し
た。
【0142】このため、供給ユニット、搬送ユニット、
及び、補給ユニットの各々の動力源がいずれもエアシリ
ンダであることから、これら駆動源を作動させるための
配線系がいずれもエアチューブとなり、モータ等の電力
により作動する動作源を用いる場合のように、半田付け
等により接続された電気配線を外すという、着脱性の妨
げとなるような機械的接続部分がなくなる。
【0143】従って、エアチューブの配管を継手部分等
において一旦外すことで、供給ユニット、搬送ユニッ
ト、及び、補給ユニットの各々の、封入物と直接、或
は、培養液を介して接触するユニット部分、又は、被覆
剤と接触するユニット部分を、同じく封入物や被覆剤に
接触する搬送ノズル及び封入物容器と共に、封入物及び
被覆剤のいずれとも接触しない架台に対して各々簡単に
着脱できる構造とし、架台側に取り付けたままアルコー
ルを用いた拭き上げ等により殺菌処理するよりも数段除
菌性に優れた、オートクレーブによる滅菌処理をこれら
に施すことができる。
【0144】しかも、供給ユニット、搬送ユニット、及
び、補給ユニットの各々の動力源をいずれもエアシリン
ダとすることで、封入物容器内の封入物を搬送ノズルに
吸着保持させる際、搬送ノズルを前記供給箇所と受渡箇
所との間で搬送する際、及び、被覆剤を被覆部に補給す
る際の、エアシリンダの作動量を、ピストンロッドの伸
縮量により構造的に決定して、エアシリンダに対するエ
アの供給量等を細かく制御する必要がない。
【0145】従って、モータ等の電力により作動する動
作源を用いる場合のように、必要な作動量とするために
電力供給の時間や量等を細かく制御するための複雑な制
御系を用いる必要がなく、よって、制御系の複雑化とそ
れに伴う制御系のコスト上昇とを防止することができ
る。
【0146】また、請求項2に記載した本発明の人工種
子製造装置によれば、前記供給ユニットが、前記供給用
動力源を構成し前記架台に固設された前記エアシリンダ
に対して着脱可能に連結され、該エアシリンダの作動に
より前記培養液の内部と該培養液の外部の前記供給箇所
との間で往復移動される供給部材を有しており、前記培
養液の内部から前記供給箇所に移動される前記供給部材
により前記封入物容器内の前記封入物が支持されて、該
封入物が前記供給箇所に供給されるように構成した。
【0147】このため、供給ユニットのうち供給部材の
みが封入物容器内の封入物に直接、或は、培養液を介し
て接触し、供給用動力源を構成するエアシリンダは封入
物容器内の封入物には接触せず、しかも、エアシリンダ
に対して供給部材が着脱可能に連結されていることか
ら、供給部材をエアシリンダから外すという簡単な作業
で、供給ユニット中の封入物と接触する供給部材を、オ
ートクレーブによる滅菌処理を施せるように、封入物に
全く接触しないエアシリンダや架台側から独立させた状
態にすることができる。
【0148】さらに、請求項3に記載した本発明の人工
種子製造装置によれば、前記搬送ユニットが、前記搬送
用動力源を構成し前記架台に固設された前記エアシリン
ダに対して着脱可能に連結されて前記搬送ノズルを支持
し、前記エアシリンダの作動により、前記搬送ノズルが
前記供給箇所に位置する箇所と該搬送ノズルが前記受渡
箇所に位置する箇所との間で往復移動される支持部材を
有している構成とした。
【0149】このため、搬送ユニットのうち支持部材と
搬送ノズルが封入物に接触し、搬送用動力源を構成する
エアシリンダは封入物には接触せず、しかも、エアシリ
ンダに対して支持部材が搬送ノズルごと着脱可能に連結
されていることから、支持部材をエアシリンダから外す
という簡単な作業で、搬送ユニット中の封入物と接触す
る支持部材と搬送ノズルとを、オートクレーブによる滅
菌処理を施せるように、封入物に全く接触しないエアシ
リンダや架台側から独立させた状態にすることができ
る。
【0150】また、請求項4に記載した本発明の人工種
子製造装置によれば、前記補給ユニットが、前記被覆部
に補給される前記被覆剤が該被覆部に向けて通流される
補給用通路を内部に有し前記架台に着脱可能に取着され
た補給ブロックと、前記補給用通路に連通するように前
記補給ブロックに形成された圧力調整用通路と、前記補
給用動力源を構成する前記エアシリンダに対して着脱可
能に連結されて前記圧力調整用通路に配設され、前記エ
アシリンダの作動により前記圧力調整用通路内で往復移
動される補給用ピストンとを有しており、該補給用ピス
トンが前記圧力調整用通路内で往復移動することで、前
記補給用通路内が、該補給用通路内の前記被覆剤が前記
被覆部に向けて補給される正圧状態と、前記被覆部に補
給される前記被覆剤が該被覆剤の供給源側から前記補給
用通路内に流入する負圧状態とに切り換わるように構成
した。
【0151】このため、補給ユニットのうち、補給用通
路が形成された補給ブロックと、この補給用通路に連通
する補給ブロックの圧力調整用通路に配設される補給用
ピストンとが被覆剤に接触し、補給用動力源を構成する
エアシリンダは被覆剤には接触せず、しかも、架台に対
して補給ブロックが着脱可能に取着されており、その
上、エアシリンダに対して補給用ピストンが着脱可能に
連結されている。
【0152】よって、補給ブロックを架台から外すと共
に補給用ピストンをエアシリンダから外すという簡単な
作業で、補給ユニット中の被覆剤と接触する補給ブロッ
クと補給用ピストンとを、オートクレーブによる滅菌処
理を施せるように、封入物に全く接触しない架台やエア
シリンダ側から独立させた状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る人工種子製造装置の
正面図である。
【図2】図1の人工種子製造装置の平面図である。
【図3】図1の人工種子製造装置の側面図である。
【図4】図1の供給ユニットの要部縦断面図である。
【図5】図4の供給チップの一部截断拡大正面図であ
る。
【図6】図4の供給チップの拡大平面図である。
【図7】図2の加工ユニットの要部拡大横断面図であ
る。
【図8】図2の押出シリンダの拡大平面図である。
【図9】図2の押出シリンダの一部截断拡大側面図であ
る。
【図10】図2の加工ユニットの要部拡大縦断面図であ
る。
【図11】図2の搬送ユニットの一部截断拡大側面図で
ある。
【図12】図2のロッドレスエアシリンダの拡大平面図
である。
【図13】図2のロッドレスエアシリンダの拡大側面図
である。
【図14】図2の支持フレームのロッドレスエアシリン
ダへの取付状態における拡大平面図である。
【図15】図2の支持フレーム単品の拡大平面図であ
る。
【図16】図1のトラップの拡大縦断面図である。
【図17】従来例に係る種子類似物作成装置の側面図で
ある。
【図18】図17の種子類似物作成装置の正面図であ
る。
【図19】図18のバルブ部の拡大縦断面図である。
【図20】図18の駆動部の一部截断拡大正面図であ
る。
【図21】図17の回転板とその周辺部分の拡大平面図
である。
【符号の説明】
1 人工種子製造装置 31 供給ユニット 31a 培養物容器(封入物容器) 31b 供給ロッド 31c エアシリンダ(供給用動力源) 31h 供給チップ 33b 押出シリンダ(補給ユニット) 33d 加工ノズル(被覆部) 33e シリンダボディ(補給ブロック) 33j ピストン通路(補給ユニット、圧力調整用通
路) 33k ピストン(補給ユニット、補給用ピストン) 33m エアシリンダ(補給用動力源) 35a ロッドレスエアシリンダ(搬送用動力源) 35b 支持フレーム(支持部材) 35c 吸引ノズル(搬送ノズル) 37 架台 H1 伸長位置(供給箇所) J ゲル化剤(被覆剤) L 培養液 S 組織培養物(封入物)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養液と共に収容された封入物容器内の
    不定胚等の封入物が搬送ノズルに吸着保持される供給箇
    所と、前記封入物を被覆剤により被覆する被覆部に対し
    て前記搬送ノズルが吸着保持した封入物を受け渡す受渡
    箇所との間で、前記搬送ノズルを搬送しつつ、該搬送ノ
    ズルが吸着保持した封入物を前記受渡箇所において受け
    渡すのに同期して、前記封入物を被覆するのに用いた量
    の前記被覆剤を前記被覆部に補給し、前記封入物を前記
    被覆剤により被覆した内包物を作成する人工種子製造装
    置において、 前記封入物容器内の前記封入物を前記搬送ノズルに吸着
    保持させる供給ユニット中の供給用動力源と、前記搬送
    ノズルを前記供給箇所と受渡箇所との間で搬送する搬送
    ユニット中の搬送用動力源と、前記被覆剤を前記被覆部
    に補給する補給ユニット中の補給用動力源とを、エア配
    管を介したエアの供給により作動するエアシリンダによ
    り各々構成し、 前記供給ユニット、前記搬送ユニット、及び、前記補給
    ユニットの各々の、前記封入物及び前記被覆剤のうち少
    なくとも一方に接触するユニット部分と、前記搬送ノズ
    ル及び前記封入物容器とを、前記封入物及び前記被覆剤
    のいずれとも接触しない架台に対して各々着脱可能に構
    成した、 ことを特徴とする人工種子製造装置。
  2. 【請求項2】 前記供給ユニットは、前記供給用動力源
    を構成し前記架台に固設された前記エアシリンダに対し
    て着脱可能に連結され、該エアシリンダの作動により前
    記培養液の内部と該培養液の外部の前記供給箇所との間
    で往復移動される供給部材を有しており、前記培養液の
    内部から前記供給箇所に移動される前記供給部材により
    前記封入物容器内の前記封入物が支持されて、該封入物
    が前記供給箇所に供給されるように構成されている請求
    項1記載の人工種子製造装置。
  3. 【請求項3】 前記搬送ユニットは、前記搬送用動力源
    を構成し前記架台に固設された前記エアシリンダに対し
    て着脱可能に連結されて前記搬送ノズルを支持し、前記
    エアシリンダの作動により、前記搬送ノズルが前記供給
    箇所に位置する箇所と該搬送ノズルが前記受渡箇所に位
    置する箇所との間で往復移動される支持部材を有してい
    る請求項1又は2記載の人工種子製造装置。
  4. 【請求項4】 前記補給ユニットは、前記被覆部に補給
    される前記被覆剤が該被覆部に向けて通流される補給用
    通路を内部に有し前記架台に着脱可能に取着された補給
    ブロックと、前記補給用通路に連通するように前記補給
    ブロックに形成された圧力調整用通路と、前記補給用動
    力源を構成する前記エアシリンダに対して着脱可能に連
    結されて前記圧力調整用通路に配設され、前記エアシリ
    ンダの作動により前記圧力調整用通路内で往復移動され
    る補給用ピストンとを有しており、該補給用ピストンが
    前記圧力調整用通路内で往復移動することで、前記補給
    用通路内が、該補給用通路内の前記被覆剤が前記被覆部
    に向けて補給される正圧状態と、前記被覆部に補給され
    る前記被覆剤が該被覆剤の供給源側から前記補給用通路
    内に流入する負圧状態とに切り換わるように構成されて
    いる請求項1、2又は3記載の人工種子製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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AU2005201786B2 (en) * 2004-06-30 2007-11-29 Weyerhaeuser Company Method and system for producing manufactured seeds
US7568309B2 (en) 2004-06-30 2009-08-04 Weyerhaeuser Nr Company Method and system for producing manufactured seeds

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