JPH10325320A - 2サイクル内燃機関 - Google Patents

2サイクル内燃機関

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JPH10325320A
JPH10325320A JP9134150A JP13415097A JPH10325320A JP H10325320 A JPH10325320 A JP H10325320A JP 9134150 A JP9134150 A JP 9134150A JP 13415097 A JP13415097 A JP 13415097A JP H10325320 A JPH10325320 A JP H10325320A
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control valve
chamber
combustion chamber
passage
fuel
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Takaharu Kurosaki
隆晴 黒崎
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    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2サイクル内燃機関において、燃焼室内混合
気の吹抜けを阻止して、燃費および排気浄化性能を高め
るともに、広い回転域にわたって燃料の供給を適正化し
て、良好な燃焼が得られるようにする。 【解決手段】 燃焼室と該燃焼室に隣接するチャンバー
部との連通路に、該連通路を開閉自在に制御する制御弁
を配設するとともに、連通路を介して燃焼室に燃料また
は混合気を、チャンバーに高圧縮ガスを、それぞれ噴出
もしくは充填する2サイクル内燃機関において、制御弁
32は、連通路21に設けられる第1制御弁32a と第2制御
弁32b とからなり、第1制御弁32a は、圧縮工程途中で
連通路21を閉塞させ、第2制御弁32b は、掃気開口15、
41閉塞時に連通路21を連通させ、第1制御弁32a と第2
制御弁32b とは、回転体(回転弁本体)43の周方向に連
続して並設された回転弁32として構成され、第1制御弁
32a を構成する回転弁部の周方向切欠き43a 深さが、第
2制御弁32b を構成する回転弁部の周方向切欠き43b深
さより深くされたことを特徴とする2サイクル内燃機関
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、燃焼室内混合
気の吹抜けを阻止して、燃費および排気浄化性能を高め
た2サイクル内燃機関に関し、さらに詳しくは、燃焼室
と該燃焼室に隣接するチャンバー部との連通路に、該連
通路を開閉自在に制御する制御弁を配設するとともに、
該連通路を介して前記燃焼室に燃料または混合気を、前
記チャンバーに高圧縮ガスを、それぞれ噴出もしくは充
填する2サイクル内燃機関において、広い回転域にわた
って燃料の供給が適正に行なわれるようにした2サイク
ル内燃機関に関する。
【0002】
【従来技術】従来の2サイクル内燃機関では、気化器等
により供給された燃料が吸入空気と混合され、この混合
気がクランク室内に吸入された後、掃気開口を介して燃
焼室に供給され、排気開口の開放時期が掃気開口の開放
時期よりも早く(排気開口の開口上縁が掃気開口の開口
上縁より高い)設定されているため、燃焼室内に供給さ
れた混合気が排気通路に排出され、いわゆる、吹抜けが
生じ易かった。
【0003】この吹抜けは、排気チャンバーの排気脈動
効果により、抑制されるものの、全運転域に亘っては、
抑制は困難であり、その結果、燃費と排気浄化性能とに
影響が出ていた。
【0004】これを解決するものとして、特開平3−1
00318号公報および特開平5−302521号公報
の2サイクル内燃機関があった。
【0005】特開平3−100318号公報に記載され
た2サイクル内燃機関では、クランク室に逆止弁を介し
て高圧室が接続され、該高圧室と燃焼室とは空気通路で
もって接続され、該空気通路の下端に電磁弁が介装さ
れ、該空気通路の上端には、燃焼室に向って燃料を噴射
し得る燃料噴射弁が設けられている。
【0006】また、特開平5−302521号公報に記
載された2サイクル内燃機関では、クランクケースとシ
リンダブロックとに隣接してチャンバーが配設され、ク
ランク室とチャンバーとの間に吸気制御弁が介装される
とともに、該チャンバーとシリンダの燃焼室との間に掃
気制御弁が介装され、該チャンバー内に向って燃料を噴
射する燃料噴射弁が設けられている。
【0007】
【解決しようとする課題】しかしながら、特開平3−1
00318号公報記載の2サイクル内燃機関において
は、シリンダ側壁に燃焼室に臨んで燃料供給用開口を設
け、該開口に向けて垂直に直に燃料噴射弁を配設してい
るため、噴霧は反対側の排気開口側のシリンダ壁に衝突
して、そこに付着し易い。
【0008】また、ピストンと噴霧が干渉しないよう
に、噴霧時期を早めると、排気開口に吹き抜け易くな
り、逆に噴霧時期を遅らせるために燃料供給用開口を高
い位置に配設すると、燃料噴射弁が直接高温の燃焼ガス
に曝され、噴射弁に高い耐熱性が要求される。
【0009】また、特開平5−302521号公報記載
の2サイクル内燃機関においては、掃気制御弁から噴射
される混合気は、全ての掃気開口を介して燃焼室に供給
される構造とされているため、混合気の排気開口からの
吹抜けが避けられない。
【0010】本出願人は、これら従来のものが有する問
題点を解決したものとして、先に特願平8−26936
6号の出願をした。このものにおいては、図12に図示
されるように、燃焼室013 の側方に燃料噴射装置に連な
るチャンバー020 が並設され、該チャンバー020 と燃焼
室013 との連通路021 に、該連通路021 を開閉自在に制
御する制御弁が配設され、該連通路021 を介して燃焼室
013 に燃料が、チャンバー020 に高圧縮ガスが、それぞ
れ供給もしくは充填されるようになっている。
【0011】そして、前記連通路021 は、共通の1つの
連通路021 からなり、前記制御弁は、一定の深さの周方
向切欠き032aをもった回転弁032 として構成され、該回
転弁032 は、掃気開口015 、041 閉塞時に前記連通路02
1 を連通させ、圧縮工程途中で前記連通路021 を閉塞さ
せ、該連通路021 の閉塞時点より前に、チャンバー020
と燃焼室013 との圧力バランスに基づいて、燃焼室013
への燃料の流れとチャンバー020 への高圧縮ガスの流れ
とが入れ替わるようになっている。03はシリンダブロッ
ク、017 は排気開口、022 は混合気供給用(燃料供給
用)兼高圧縮ガス取入れ用開口である。
【0012】本出願人による前記出願のものは、前記の
ように構成されているので、掃気初期に空気のみによる
掃気が行なわれ、混合気がそのまま燃焼室013 内を通過
して排気通路016 へ排出される吹抜けが未然に阻止され
る。また、燃焼室013 に供給される燃料(濃混合気)
は、燃焼室013 内で適正な濃度の混合気となり、良好な
燃焼が得られるので、高水準の燃費と、高い排気浄化性
能が達成され得る。
【0013】しかしながら、本出願人による前記出願の
ものは、制御弁を構成する回転弁032 の周方向切欠き03
2aの深さが一定とされていたので、燃焼室013 に燃料が
流れる時と、チャンバー020 に高圧縮ガスが流れる時と
で、通路断面積は同じであった。
【0014】この通路断面積は、燃料供給時、燃焼室01
3 内での燃料の霧化を良くするため、必要以上に大きく
することはできない。そこで、必要量の燃料を供給する
のに、この通路断面積で不足する場合には、燃料が供給
されている間のクランク回転角度を大きくして、すなわ
ち、燃料供給時間を長くして、燃料供給の時間面積を稼
ぐことにより、対処することができた。
【0015】これに対して、燃焼室013 からチャンバー
020 への高圧縮ガスの充填時には、高圧縮ガスが充填さ
れている間のクランク回転角度を大きくとることができ
ず、特に高回転域では、時間面積が足りなくなり、チャ
ンバー020 への高圧縮ガスの充填量が不足することがあ
った。
【0016】
【課題を解決するための手段および効果】本願の発明
は、前記のような難点を克服した2サイクル内燃機関の
改良に係り、その請求項1に記載された発明は、燃焼室
と該燃焼室に隣接するチャンバー部との連通路に、該連
通路を開閉自在に制御する制御弁を配設するとともに、
前記連通路を介して前記燃焼室に燃料または混合気を、
前記チャンバーに高圧縮ガスを、それぞれ噴出もしくは
充填する2サイクル内燃機関において、前記連通路は、
共通の1つの連通路からなり、前記制御弁は、前記連通
路に設けられる第1制御弁と第2制御弁とからなり、前
記第1制御弁は、圧縮工程途中で前記連通路を閉塞さ
せ、前記第2制御弁は、掃気開口閉塞時に前記連通路を
連通させ、前記第1制御弁と前記第2制御弁とは、回転
体の周方向に連続して並設された回転弁として構成さ
れ、前記第1制御弁を構成する回転弁部の周方向切欠き
深さが、前記第2制御弁を構成する回転弁部の周方向切
欠き深さより深くされたことを特徴とする2サイクル内
燃機関である。
【0017】請求項1に記載された発明は、前記のよう
に構成されているので、第1制御弁を構成する回転弁部
の通路断面積を、第2制御弁を構成する回転弁部の通路
断面積より大きくすることができ、第1制御弁が連通路
を連通させている間のクランク回転角度が、第2制御弁
が連通路を連通させている間のクランク回転角度より小
さくても、燃焼室からチャンバーへの高圧縮ガスの充填
の時間面積を稼ぐことができるので、十分な量の高圧縮
ガスがチャンバーに充填されて、燃焼室への燃料供給に
必要とされる空気量を広い回転域にわたって確保するこ
とができ、適正な燃料の供給と良好な噴霧が得られて、
良好な燃焼が行なわれる。
【0018】また、前記制御弁が設けられる部位は、シ
リンダ孔に至るシリンダ壁厚が比較的薄い部位である
が、該部位に形成される連通路を必要以上に大きくする
ことなく、前記のとおり、燃焼室からチャンバーへの高
圧縮ガスの充填の時間面積を稼ぐことができるので、各
種開口や部品のレイアウト上の自由度が増し、2サイク
ル内燃機関の製造が容易になる。
【0019】また、請求項2記載のように請求項1記載
の発明を構成することにより、第1制御弁が連通路を連
通させている間のクランク回転角度と、第2制御弁が連
通路を連通させている間のクランク回転角度とに差が生
じて、前者が後者より小さくなっても、第1制御弁を構
成する回転弁部の周方向切欠きにより形成される通路断
面積と、第2制御弁を構成する回転弁部の周方向切欠き
により形成される通路断面積とに差を生じさせて、前者
が後者より大きくなるようにすることによって、容積流
量に相当する時間面積を、燃料の供給と高圧縮ガスの充
填とについて、バランスさせることができるので、十分
な量の高圧縮ガスがチャンバーに充填されて、燃焼室へ
の燃料供給に必要とされる空気量に見合った空気量を広
い回転域にわたって確保することができ、適正な燃料の
供給と良好な噴霧が得られて、良好な燃焼が行なわれ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、先ず、図1ないし図11に
図示される本願の請求項1および請求項2に記載された
発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形
態における火花点火式2サイクル内燃機関の縦断側面
図、図2は図1の要部の拡大図、図3は、図1のIII −
III 線で切断した横断側面図であって、混合気供給・高
圧縮ガス取入れ用開口部分の横断面を重ねて示す図、図
4は回転弁の縦断面図、図5は図4のV−V線で切断し
た断面図、図6はクランク角とチャンバー圧力との関係
を示した線図、図7ないし図10は、本火花点火式2サ
イクル内燃機関の各工程時の状態を示した図、図11
は、本火花点火式2サイクル内燃機関の運転サイクルを
示した説明図である。
【0021】これらの図において、火花点火式2サイク
ル内燃機関1は、図示されない自動二輪車に搭載される
もので、該火花点火式2サイクル内燃機関1では、クラ
ンクケース2の上方にシリンダブロック3およびシリン
ダヘッド4が順次重ねられて、相互に一体に結合されて
いる。
【0022】また、シリンダブロック3に形成されたシ
リンダ孔5にピストン6が上下に摺動自在に嵌装され、
該ピストン6とクランク軸8とは連接棒7によって相互
に連結されており、ピストン6の昇降に伴なってクラン
ク軸8が回転駆動されるようになっている。
【0023】さらに、車体後方から前方に指向した吸気
通路10がクランクケース2の吸気通路10に接続され、該
吸気通路10にはスロットル弁(図示されず)とリード弁
12とが直列に介装され、スロットル弁は図示されない連
結手段を介してスロットルグリップ(図示されず)に連
結されており、スロットルグリップを一方向へ捩ると、
スロットル弁の開度が増大するようになっている。
【0024】さらにまた、クランクケース2およびシリ
ンダブロック3には、シリンダ孔5の上部とクランク室
9とを連通する左右2本ずつ、合計4本の空気供給用掃
気通路14と、後述する混合気供給用(燃料供給用)兼高
圧縮ガス取入れ用開口22下方に開口する後方の空気供給
用掃気通路40との、全部で5本の空気供給用掃気通路が
形成され、それらのシリンダ孔5側の端部は、開口15、
41とされて、該シリンダ孔5に開口している。空気供給
用掃気通路40は、リード弁12の後流側のクランクケース
2の吸気通路10に直接連なっている。
【0025】排気通路16のシリンダ孔5側排気開口17
は、これら空気供給用掃気通路14、40の開口15、41より
高い位置にまで延びて、後述する混合気供給用(燃料供
給用)兼高圧縮ガス取入れ用開口22と対抗する位置に配
置されている。18は排気通路16の排気開口17上縁近くに
設けられた、排気断面積ならびに排気タイミングを可変
とする排気制御弁である。シリンダ孔5の上方の略半球
形状の燃焼室13は、排気開口17寄りにオフセットされ、
該燃焼室13に点火栓19が配設されている。
【0026】車体後方寄りに位置して、燃焼室13側方の
シリンダブロック3には、チャンバー20が並設されてい
る。そして、該チャンバー20と燃焼室13(シリンダ孔5
の上方部分)とを連通する連通路21の途中の弁収納孔23
には、回転弁(制御弁)32が回転自在に嵌装され、該回
転弁32は、図示されない伝動機構により、クランク軸8
と反対方向 (図1で時計方向) に同一回転速度で回転駆
動されるようになっている。
【0027】前記連通路21には、燃焼室13からチャンバ
ー20に高圧縮ガスが、また、チャンバー20から燃焼室13
に混合気もしくは高圧縮ガスが流れる。そして、該連通
路21における高圧縮ガスと混合気の流れは、回転弁32
と、燃焼室13とチャンバー20との圧力バランスとによ
り、それぞれ所定のタイミングで連通・遮断制御され
る。
【0028】図11から明らかなとおり、排気開口17の
閉塞後、連通路21が連通されて、燃焼室13からチャンバ
ー20に高圧縮ガスが充填されている間は短く、この間の
クランク回転角度は小さいのに対して、掃気開口15、41
の閉塞後、連通路21が連通されて、チャンバー20から燃
焼室13に混合気が供給されている間は長く、この間のク
ランク回転角度は大きい。
【0029】図6には、このように連通路21を各流体が
流れ、入れ替わる間の、クランク角とチャンバー20内圧
力との関係が図示されている。
【0030】前記連通路21の燃焼室13との連通部位であ
る混合気供給用(燃料供給用)兼高圧縮ガス取入れ用開
口22は、充分な量の高圧縮ガスのチャンバー20への取り
込みを容易にするため、また、燃料の霧化をよくするた
めに、その縦方向長さが大きくされ、通路断面積が通路
途中のそれよりかなり大きくされて、燃焼室13に向けて
大きく広がった形状とされている(図1および図2参
照)。
【0031】前記連通路21は、本実施形態においては、
回転弁32の制御部をはさんで、燃焼室13側の連通路21a
と、チャンバー20側の斜上方に向いた連通路21bと、該
連通路21bに対し直角に折曲され斜上方に向いた連通路
21cとの3つの部分から構成されており、該連通路21c
の端部が開口42を介してチャンバー20と連接されている
(図2および図3参照)。なお、チャンバー20側の連通
路21b、連通路21c、開口42からなる連通路系は、該チ
ャンバー20を挟んで左右(図3において上下)対称に一
対設けられている。
【0032】そして、チャンバー20の左右両側に配置さ
れた図示されない2つの燃料噴射装置から噴射された燃
料は、左右両翼の前記連通路21bを通って、チャンバー
20内の高圧縮ガスを連通路21cを介して吸引しながら、
濃混合気となって、回転弁32の制御部、連通路21a、開
口22を介して燃焼室13へと噴射される。44は前記燃料噴
射装置の取付け孔である。
【0033】図4および図5には、回転弁32の断面図が
示されている。回転弁32の素材をなす回転体(回転弁本
体)43の外周には、所定幅、所定長の深さの異なる2つ
の円弧状の切欠き43a 、43b が、深い方の切欠き43a は
回転弁32の回転方向後方に、浅い方の切欠き43b は回転
弁32の回転方向前方に、それぞれ位置するようにして、
連続して並んで形成されている。
【0034】そして、深い方の切欠き43a により形成さ
れる回転弁部が第1制御弁(高圧縮ガス充填制御弁)32
a を、また、浅い方の切欠き43b により形成される回転
弁部が第2制御弁(混合気噴射制御弁)32b を、それぞ
れ構成している。
【0035】両制御弁32a 、32b の通路断面積は、前記
のとおり、切欠き深さの相違により、第1制御弁32a の
通路断面積の方が、第2制御弁32b の通路断面積より大
きい。第2制御弁32b の先端は、混合気の噴霧が円滑に
なされるように、段差をなくして形成されている。
【0036】第1制御弁32a 、第2制御弁32b の開閉、
すなわち、連通路21の連通・閉塞のタイミングは、次の
ようになされる。図11をも参照して、第2制御弁32b
は、掃気開口15、41の閉塞時に連通路21を連通させ、チ
ャンバー20から燃焼室13内に混合気を供給、噴射せしめ
る。また、第1制御弁32a は、圧縮工程途中所定のタイ
ミングにて連通路21を閉塞させ、燃焼室13からチャンバ
ー20への高圧縮ガスの充填を停止せしめる。
【0037】この間、連通路21は、連続して連通状態に
置かれるが、排気工程の終了後、燃焼室13の圧力とチャ
ンバー20の圧力とが等しくなってバランスして以降は、
連通路21内の流れは、チャンバー20から燃焼室13への混
合気の供給から、燃焼室13からチャンバー20への高圧縮
ガスの充填へと入れ替わる。そして、丁度この時点に
て、第2制御弁32b を介した連通路21の連通状態から、
第1制御弁32a を介した連通路21の連通状態へと、連通
路21の連通状態が切り替わる。
【0038】前記のとおり、燃焼室13からチャンバー20
への高圧縮ガスの充填時間は短く、この間のクランク回
転角度は小さいのに対して、チャンバー20から燃焼室13
への混合気の供給時間は長く、この間のクランク回転角
度は大きい。
【0039】しかしながら、前記のとおり、第1制御弁
32a の通路断面積の方が、第2制御弁32b の通路断面積
より大きいので、第1制御弁32a を介した連通路21の連
通状態において該連通路21を流れる高圧縮ガスの量は、
第2制御弁32b を介した連通路21の連通状態において該
連通路21を流れる混合気の量に見合った量となり、容積
流量に相当する時間面積でみると、燃焼室13への混合気
の供給の時間面積と、チャンバー20への高圧縮ガスの充
填の時間面積とを、略バランスさせることができる。
【0040】図示の火花点火式2サイクル内燃機関1
は、前記のように構成されているので、次のように作動
する。図示されないスタータモータにより、クランク軸
8が図1にて反時計方向へ回転駆動されると、図11に
図示されるように、上死点(TDC)前90°の時点にて
排気開口17がピストン6により閉塞されて圧縮工程に入
る。
【0041】そして、上死点(TDC)前略75°の時点
にて、燃焼室13の圧力とチャンバー20の圧力とがバラン
スして、連通路21内の流れが、チャンバー20から燃焼室
13への混合気の供給から、燃焼室13からチャンバー20へ
の高圧縮ガスの充填へと入れ替わる。連通路21の連通状
態も、前記のとおり、第2制御弁32b を介した連通路21
の連通状態から、第1制御弁32a を介した連通路21の連
通状態へと切り替わる。高圧縮ガスは、連通路21の燃焼
室13側端部の混合気供給用兼高圧縮ガス取入れ用開口22
から取り入れられ、連通路21、第1制御弁32a を介して
チャンバー20へと充填される。
【0042】その後、まもなくして開口22がピストン6
により閉塞され、チャンバー20への高圧縮ガスの充填が
終了する。さらに燃焼室13が圧縮され、上死点前所定タ
イミングにて点火栓19が点火され、また、ピストン6の
上昇によりクランク室9は膨張を続けて、吸気が続行さ
れる(図9)。
【0043】そして、上死点(TDC)に達した以後、
燃焼室13内の混合気が燃焼して膨張するとともに、ピス
トン6の下降によりクランク室9は圧縮され、クランク
室9内の空気は圧縮される(図10)。さらに、上死点
(TDC)から90°経過した時点 (排気制御弁18の上下
位置で変動する) で、排気開口17が開放され、燃焼ガス
が排気通路16より排出される。
【0044】さらにまた、上死点(TDC)から約122
°経過した時点で、ピストン6の下降により掃気開口1
5、41が開口され、クランク室9内の圧縮された空気
(燃料を含んでいない) が空気供給用掃気通路14、40を
介して掃気開口15、41より燃焼室13内に流入し、燃焼室
13内の既燃焼ガスが排気開口17の方に向って押し出さ
れ、空気のみによる掃気が行なわれ、それと同時に燃料
噴射装置(図示されず)より燃料が、連通路21bに向け
て噴出される(図7)。
【0045】次に、下死点(BDC)から約58°経過し
た時点で掃気開口15、41がピストン6の上昇により閉塞
され、掃気開口15、41からの空気の流入による掃気が停
止されるとともに、ほぼこの時点から、第2制御弁32b
が連通路21を開通させ、混合気が開口22から燃焼室13内
に噴射され、残留既燃ガスを掃気し、同時に、ピストン
6の上昇によるクランク室9の膨張でもって、吸気通路
10よりリード弁12を介してクランク室9内に空気が吸入
される。なお、前記残留既燃ガスの掃気に際し、混合気
の吹抜けはほとんどない(図8)。
【0046】本実施形態における火花点火式2サイクル
内燃機関1は、前記のように構成され、前記のように作
動するので、次のような効果を奏することができる。本
火花点火式2サイクル内燃機関1では、掃気初期に空気
のみによる掃気が行なわれるので、混合気がそのまま燃
焼室13内を通過して排気通路16へ排出される吹抜けが未
然に阻止され、燃費の向上と未燃ガスによる大気汚染の
防止が達成され得る。
【0047】また、チャンバー20に充填された空気と燃
料噴射装置より噴射された燃料とにより連通路21内にお
いて生成される混合気は、濃い混合気であり、これが、
空気供給用掃気通路14、40を通過した燃料を含まない空
気によって充分に掃気された燃焼室13内に流入するの
で、該燃焼室13内で適正な濃度の混合気となり、良好な
燃焼が得られて、高水準の燃費と、高い排気浄化性能が
達成され得る。
【0048】また、第1制御弁32a を構成する回転弁部
の通路断面積を、第2制御弁32b を構成する回転弁部の
通路断面積より大きくしているので、第1制御弁32a が
連通路21を連通させている間のクランク回転角度(高圧
縮ガスの充填時間に相当)が、第2制御弁32b が連通路
21を連通させている間のクランク回転角度(混合気の供
給時間に相当)より小さくても、燃焼室13からチャンバ
ー20への高圧縮ガスの充填量を増やすことができ、容積
流量に相当する時間面積でみた場合、燃焼室13への混合
気の供給とチャンバー20への高圧縮ガスの充填とについ
て、両者の量を略バランスさせることができる。
【0049】したがって、十分な量の高圧縮ガスがチャ
ンバー20に充填されて、燃焼室13への燃料供給に必要と
される空気量を広い回転域にわたって確保することがで
きることとなり、適正な燃料の供給と良好な噴霧が得ら
れて、良好な燃焼が行なわれる。
【0050】また、前記回転弁(制御弁)32が設けられ
る部位は、シリンダ孔5に至るシリンダ壁厚が比較的薄
い部位であるが、該部位に形成される連通路21を必要以
上に大きくすることなく、前記のとおり、燃焼室13から
チャンバー20への高圧縮ガスの充填の時間面積を稼ぐこ
とができるので、各種開口や部品のレイアウト上の自由
度が増し、2サイクル内燃機関1の製造が容易になる。
【0051】本実施形態において、燃焼室13とチャンバ
ー20とを連通する連通路21と、該連通路21に配設される
回転弁(制御弁)32との組合せは、一組とされたが、同
様の組合せが複数組、収納孔23内に該回転弁32の軸方向
に並設されて使用されてもよく、そのために、前記一組
が複数組に分割されて、各組間が気密に僅かの距離を隔
てて使用されるようにしてもよい。このようにすると、
噴霧燃料によりきめの細かな指向性を付与することが容
易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の請求項1および請求項2に記載された発
明の一実施形態における火花点火式2サイクル内燃機関
の縦断側面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】図1のIII −III 線で切断した横断側面図であ
って、混合気供給用兼高圧縮ガス取入れ用開口部分の横
断面を重ねて示した図である。
【図4】図1の実施形態において、回転弁の縦断面図で
ある。
【図5】図4のV−V線で切断した断面図である。
【図6】図1の実施形態において、クランク角とチャン
バー圧力との関係を示した線図である。
【図7】図1の実施形態において、火花点火式2サイク
ル内燃機関の運転状態を示した図である。
【図8】図1の実施形態において、火花点火式2サイク
ル内燃機関の他の運転状態を示した図である。
【図9】図1の実施形態において、火花点火式2サイク
ル内燃機関のさらに他の運転状態を示した図である。
【図10】図1の実施形態において、火花点火式2サイ
クル内燃機関のさらに他の運転状態を示した図である。
【図11】図1の実施形態において、火花点火式2サイ
クル内燃機関の運転サイクルを示した説明図である。
【図12】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1…火花点火式2サイクル内燃機関、2…クランクケー
ス、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…
シリンダ孔、6…ピストン、7…連接棒、8…クランク
軸、9…クランク室、10…吸気通路、12…リード弁、13
…燃焼室、14…空気供給用掃気通路、15…掃気開口、16
…排気通路、17…排気開口、18…排気制御弁、19…点火
栓、20…チャンバー、21…連通路、22…混合気供給用
(燃料供給用)兼高圧縮ガス取入れ用開口、23…弁収納
孔、32…回転弁(制御弁)、32a …第1制御弁(高圧縮
ガス充填制御弁)、32b …第2制御弁(混合気噴射制御
弁)、40…空気供給用掃気通路、41…掃気開口、42…開
口、43…回転体(回転弁本体)、43a …円弧状切欠き、
43b …円弧状切欠き、44…取付け孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02B 25/16 F02B 25/16 R 25/20 25/20 Z F02M 69/00 F02M 69/00 350P

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室と該燃焼室に隣接するチャンバー
    部との連通路に、該連通路を開閉自在に制御する制御弁
    を配設するとともに、前記連通路を介して前記燃焼室に
    燃料または混合気を、前記チャンバーに高圧縮ガスを、
    それぞれ噴出もしくは充填する2サイクル内燃機関にお
    いて、 前記制御弁は、前記連通路に設けられる第1制御弁と第
    2制御弁とからなり、 前記第1制御弁は、圧縮工程途中で前記連通路を閉塞さ
    せ、 前記第2制御弁は、掃気開口閉塞時に前記連通路を連通
    させ、 前記第1制御弁と前記第2制御弁とは、回転体の周方向
    に連続して並設された回転弁として構成され、 前記第1制御弁を構成する回転弁部の周方向切欠き深さ
    が、前記第2制御弁を構成する回転弁部の周方向切欠き
    深さより深くされたことを特徴とする2サイクル内燃機
    関。
  2. 【請求項2】 前記第1制御弁が連通路を連通させてい
    る間のクランク回転角度に相当する時間と、前記第1制
    御弁を構成する回転弁部の周方向切欠きにより形成され
    る通路断面積との積が、前記第2制御弁が連通路を連通
    させている間のクランク回転角度に相当する時間と、前
    記第2制御弁を構成する回転弁部の周方向切欠きにより
    形成される通路断面積との積と、略バランスするように
    されたことを特徴とする請求項1記載の2サイクル内燃
    機関。
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