JPH10325083A - フィブリルを有する繊維構造物の製造方法 - Google Patents
フィブリルを有する繊維構造物の製造方法Info
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- JPH10325083A JPH10325083A JP13641397A JP13641397A JPH10325083A JP H10325083 A JPH10325083 A JP H10325083A JP 13641397 A JP13641397 A JP 13641397A JP 13641397 A JP13641397 A JP 13641397A JP H10325083 A JPH10325083 A JP H10325083A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 繊維の表面がバクテリアセルロースにより被
覆されたフイブリルを有する織編物等の繊維構造物の製
造方法を提供する。 【解決手段】 織編物等を構成する繊維の表面でセルロ
ース産生菌を培養することにより,産生したバクテリア
セルロースで繊維表面を被覆し,しかる後に,フイブリ
ル化処理を施す。
覆されたフイブリルを有する織編物等の繊維構造物の製
造方法を提供する。 【解決手段】 織編物等を構成する繊維の表面でセルロ
ース産生菌を培養することにより,産生したバクテリア
セルロースで繊維表面を被覆し,しかる後に,フイブリ
ル化処理を施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,糸,織物,編物縫
製品等の繊維構造物を構成する繊維の表面がバクテリア
セルロースによって被覆されたフィブリルを有する繊維
構造物の製造方法に関するものである。
製品等の繊維構造物を構成する繊維の表面がバクテリア
セルロースによって被覆されたフィブリルを有する繊維
構造物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースには,従来より周知のよう
に,無機,有機ともに様々な溶媒が知られている。一般
的な例としては,キサントゲンザンテート(ビスコー
ス),銅アンモニア溶液,銅エチレンジアミン溶液,酒
石酸鉄ナトリウム濃硫酸,濃燐酸等の酸の溶液,トリメ
チル・ベンジルアンモニウム・ヒドロキシド等の第4級
アンモニウム塩基,ヒドラジン,N−メチル・モルホリ
ンオキサイド等のN−オキシド等がある。これらの溶媒
にセルロースを溶解して織物等に加工する方法は古くか
ら知られており,擬麻加工として木綿織物等に広く行わ
れている。一方,バクテリアセルロースの存在は比較的
古くから知られていたが,その利用に関しては,第2次
世界大戦頃のドイツで人工皮革用に用いられたり,その
セルロース皮膜の緻密性を利用して音響スピーカーや濾
過膜等に応用されたりしているにすぎない。
に,無機,有機ともに様々な溶媒が知られている。一般
的な例としては,キサントゲンザンテート(ビスコー
ス),銅アンモニア溶液,銅エチレンジアミン溶液,酒
石酸鉄ナトリウム濃硫酸,濃燐酸等の酸の溶液,トリメ
チル・ベンジルアンモニウム・ヒドロキシド等の第4級
アンモニウム塩基,ヒドラジン,N−メチル・モルホリ
ンオキサイド等のN−オキシド等がある。これらの溶媒
にセルロースを溶解して織物等に加工する方法は古くか
ら知られており,擬麻加工として木綿織物等に広く行わ
れている。一方,バクテリアセルロースの存在は比較的
古くから知られていたが,その利用に関しては,第2次
世界大戦頃のドイツで人工皮革用に用いられたり,その
セルロース皮膜の緻密性を利用して音響スピーカーや濾
過膜等に応用されたりしているにすぎない。
【0003】溶媒に溶解したセルロースは,擬麻加工に
応用された例からも分かるように,連続皮膜化しやすい
反面,皮膜が剛直で脆く,これを糸,織編物等の繊維構
造物に被覆させた場合には,剛直で粗硬な風合のものし
か得られず,実用耐久性にも乏しい。バクテリアセルロ
ースを繊維に被覆させる方法としては,バクテリアセル
ロースのフィルムを繊維布帛に接着するか,または微粉
砕したバクテリアセルロースをバインダーにより繊維表
面に接着する方法しかなく,このような方法では,上述
のごとく,粗硬な風合のものしか得ることはできなかっ
た。
応用された例からも分かるように,連続皮膜化しやすい
反面,皮膜が剛直で脆く,これを糸,織編物等の繊維構
造物に被覆させた場合には,剛直で粗硬な風合のものし
か得られず,実用耐久性にも乏しい。バクテリアセルロ
ースを繊維に被覆させる方法としては,バクテリアセル
ロースのフィルムを繊維布帛に接着するか,または微粉
砕したバクテリアセルロースをバインダーにより繊維表
面に接着する方法しかなく,このような方法では,上述
のごとく,粗硬な風合のものしか得ることはできなかっ
た。
【0004】また,ポリエステル,ポリアミド等のよう
な合成繊維は,その表面がフィブリル化することはな
く,木綿,レーヨン,ポリノジックレーヨン,溶剤紡糸
レーヨン,絹等のように揉み加工によるフィブリル化加
工を行うことができず,ふくらみ感に欠けたものしか得
られなかった。
な合成繊維は,その表面がフィブリル化することはな
く,木綿,レーヨン,ポリノジックレーヨン,溶剤紡糸
レーヨン,絹等のように揉み加工によるフィブリル化加
工を行うことができず,ふくらみ感に欠けたものしか得
られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みて行われたもので,構成繊維をバクテリアセ
ルロースで被覆しているにもかかわらず,風合が柔軟
で,しかもフィブリルによるふくらみ感を有する繊維構
造物を得ることを目的とするものである。
現状に鑑みて行われたもので,構成繊維をバクテリアセ
ルロースで被覆しているにもかかわらず,風合が柔軟
で,しかもフィブリルによるふくらみ感を有する繊維構
造物を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は,上述の目的を
達成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,「繊維構造物を構成する繊維の表面でセ
ルロース産生菌を培養することにより,産生したバクテ
リアセルロースで繊維表面を被覆し,しかる後に該繊維
構造物をフィブリル化処理することを特徴とするフィブ
リルを有する繊維構造物の製造方法」を要旨とするもの
である。
達成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,「繊維構造物を構成する繊維の表面でセ
ルロース産生菌を培養することにより,産生したバクテ
リアセルロースで繊維表面を被覆し,しかる後に該繊維
構造物をフィブリル化処理することを特徴とするフィブ
リルを有する繊維構造物の製造方法」を要旨とするもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下,本発明について詳細に説明
する。本発明でいう繊維構造物は,糸,織物,編物,不
織布,縫製品等を意味するものである。本発明では,上
述の繊維構造物を構成する繊維の表面でセルロース産生
菌を培養することにより,産生したバクテリアセルロー
スで繊維の表面を被覆する。
する。本発明でいう繊維構造物は,糸,織物,編物,不
織布,縫製品等を意味するものである。本発明では,上
述の繊維構造物を構成する繊維の表面でセルロース産生
菌を培養することにより,産生したバクテリアセルロー
スで繊維の表面を被覆する。
【0008】ここで用いる繊維は,セルロース系繊維,
蛋白質繊維,合成繊維等,いかなる種類の繊維でもよ
い。天然のセルロース系繊維としては木綿,麻,再生セ
ルロース系繊維としてはレーヨン,ポリノジック,溶剤
紡糸レーヨン等があり,蛋白質繊維としては絹,羊毛,
アンゴラ,モヘヤ,カシミヤ等が使用可能であり,また
合成繊維としてはポリエステル,ポリアミド,ポリアク
リロニトリル,ビニロン,ポリプロピレン,ポリエチレ
ン等が使用可能である。特にセルロース系,蛋白質系,
また,合成繊維の中でもポリアミド,ビニロンがセルロ
ース産生菌およびその産生したバクテリアセルロースに
対して親和性がよく,皮膜生成のしやすさ,皮膜の接着
力の観点から好ましく用いられる。
蛋白質繊維,合成繊維等,いかなる種類の繊維でもよ
い。天然のセルロース系繊維としては木綿,麻,再生セ
ルロース系繊維としてはレーヨン,ポリノジック,溶剤
紡糸レーヨン等があり,蛋白質繊維としては絹,羊毛,
アンゴラ,モヘヤ,カシミヤ等が使用可能であり,また
合成繊維としてはポリエステル,ポリアミド,ポリアク
リロニトリル,ビニロン,ポリプロピレン,ポリエチレ
ン等が使用可能である。特にセルロース系,蛋白質系,
また,合成繊維の中でもポリアミド,ビニロンがセルロ
ース産生菌およびその産生したバクテリアセルロースに
対して親和性がよく,皮膜生成のしやすさ,皮膜の接着
力の観点から好ましく用いられる。
【0009】本発明では上述の繊維の表面でセルロース
産生菌を培養するが,ここで用いるセルロース産生菌と
しては,酢酸菌(Acetobacter類),結核菌(Bacillus tu
ber-culosis ),ジフテリア菌(Bacillus diphtheria
e),枯草菌 ( Bacillus sub-tilis )を用いることが
できる。中でも,Acetobacter xylinum , Acetobactera
cetigenus, Acetobacter orleanese, Bacterium xylino
ides 等は,バクテリアセルロースの収率が高いので好
ましく用いられる。バクテリアセルロースで繊維の表面
を被覆する方法としては,セルロース産生菌を繊維表面
で培養すればよく,セルロース産生菌により産生したバ
クテリアセルロースが, 繊維表面を培養の過程で自然に
被覆することにより目的が達せられる。
産生菌を培養するが,ここで用いるセルロース産生菌と
しては,酢酸菌(Acetobacter類),結核菌(Bacillus tu
ber-culosis ),ジフテリア菌(Bacillus diphtheria
e),枯草菌 ( Bacillus sub-tilis )を用いることが
できる。中でも,Acetobacter xylinum , Acetobactera
cetigenus, Acetobacter orleanese, Bacterium xylino
ides 等は,バクテリアセルロースの収率が高いので好
ましく用いられる。バクテリアセルロースで繊維の表面
を被覆する方法としては,セルロース産生菌を繊維表面
で培養すればよく,セルロース産生菌により産生したバ
クテリアセルロースが, 繊維表面を培養の過程で自然に
被覆することにより目的が達せられる。
【0010】培養は,糸や織編物等の状態で,培養成分
を含むセルロース産生菌の混濁液を含浸させて,菌の育
成に最適の温湿度下で,所望の量のバクテリアセルロー
スが産生されるまで保持する。通常は,25〜38℃に
て24〜36時間の培養を行うとよい。その際,菌の特
性に応じて空気の流通を遮断したり,反対に空気を送り
込んだりして菌の活動をコントロールする。特にAcetob
acter xylinum, Acetobacter acetigenus, Acetobacter
orleanese, Bacterium xylinoides等は好気性であるの
で,積極的に空気や酸素を送風する方がよい。また,こ
れらの好気性の菌に対しては,過酸化水素水等の酸素発
生剤を同時に混合させる方法も積極的に酸素を供給する
手段として有効である。
を含むセルロース産生菌の混濁液を含浸させて,菌の育
成に最適の温湿度下で,所望の量のバクテリアセルロー
スが産生されるまで保持する。通常は,25〜38℃に
て24〜36時間の培養を行うとよい。その際,菌の特
性に応じて空気の流通を遮断したり,反対に空気を送り
込んだりして菌の活動をコントロールする。特にAcetob
acter xylinum, Acetobacter acetigenus, Acetobacter
orleanese, Bacterium xylinoides等は好気性であるの
で,積極的に空気や酸素を送風する方がよい。また,こ
れらの好気性の菌に対しては,過酸化水素水等の酸素発
生剤を同時に混合させる方法も積極的に酸素を供給する
手段として有効である。
【0011】セルロース産生菌を培養するための培養成
分としては,基質炭素源としてグルコース,シュークロ
ース,マルトース,フラクトース,マンニトール,転化
糖等の糖類,エタノール,グリセロール等のアルコール
類と,窒素源としてのバクトペプトン,酵母エキスが主
に用いられる。これらの培養成分は,水に溶解してセル
ロース産生菌に付与され,また,菌の性質により最適な
pHを維持できるように緩衝剤を添加する。セルロース
産生菌の培養時間については前述のとおりであるが,繊
維の種類,培養温度,培地成分によって異なるので,予
め予備試験をして最適の条件を求めておけば,極めて再
現性よくバクテリアセルロースの生産を行うことができ
る。
分としては,基質炭素源としてグルコース,シュークロ
ース,マルトース,フラクトース,マンニトール,転化
糖等の糖類,エタノール,グリセロール等のアルコール
類と,窒素源としてのバクトペプトン,酵母エキスが主
に用いられる。これらの培養成分は,水に溶解してセル
ロース産生菌に付与され,また,菌の性質により最適な
pHを維持できるように緩衝剤を添加する。セルロース
産生菌の培養時間については前述のとおりであるが,繊
維の種類,培養温度,培地成分によって異なるので,予
め予備試験をして最適の条件を求めておけば,極めて再
現性よくバクテリアセルロースの生産を行うことができ
る。
【0012】繊維表面を被覆するバクテリアセルロース
の量は,繊維重量に対して0.01%以上が好ましく,吸
湿性等の機能を付与する目的の場合,0.2%以上がさら
に好ましい。0.01%より少ないと,バクテリアセルロ
ースによる風合,外観,機能性等の効果が十分ではな
く,また,10.0%を超えると,繊維同士をバクテリア
セルロースの皮膜が接着してしまい,繊維構造物の柔軟
性を阻害してしまうので望ましくない。バクテリアセル
ロースの量は,培地の濃度と培養温度,時間によりコン
トロールされる。所望量のバクテリアセルロースが産生
されるまで菌を培養した後,繊維構造物を洗浄して余分
の培養成分とセルロース産生菌を洗い落とす。その際,
一旦繊維構造物を乾燥した後に洗浄すると,バクテリア
セルロースが配向,結晶化して,皮膜の強度,緻密性が
向上する。
の量は,繊維重量に対して0.01%以上が好ましく,吸
湿性等の機能を付与する目的の場合,0.2%以上がさら
に好ましい。0.01%より少ないと,バクテリアセルロ
ースによる風合,外観,機能性等の効果が十分ではな
く,また,10.0%を超えると,繊維同士をバクテリア
セルロースの皮膜が接着してしまい,繊維構造物の柔軟
性を阻害してしまうので望ましくない。バクテリアセル
ロースの量は,培地の濃度と培養温度,時間によりコン
トロールされる。所望量のバクテリアセルロースが産生
されるまで菌を培養した後,繊維構造物を洗浄して余分
の培養成分とセルロース産生菌を洗い落とす。その際,
一旦繊維構造物を乾燥した後に洗浄すると,バクテリア
セルロースが配向,結晶化して,皮膜の強度,緻密性が
向上する。
【0013】バクテリアセルロースの産生後,本発明で
は,繊維構造物をフィブリル化処理する。このフィブリ
ル化処理は,糸状,布帛状,縫製品状等で行うことがで
き,ワッシヤー加工機,気流式染色機,液流染色機等を
用いて揉み加工を施すことにより行う。フィブリル化の
度合いは,機械の種類や繊維構造物の種類により40〜
120℃で30〜180分間の範囲で適切な温度,時
間,回転速度を洗濯することにより調節できる。
は,繊維構造物をフィブリル化処理する。このフィブリ
ル化処理は,糸状,布帛状,縫製品状等で行うことがで
き,ワッシヤー加工機,気流式染色機,液流染色機等を
用いて揉み加工を施すことにより行う。フィブリル化の
度合いは,機械の種類や繊維構造物の種類により40〜
120℃で30〜180分間の範囲で適切な温度,時
間,回転速度を洗濯することにより調節できる。
【0014】このフィブリル化処理は,繊維構造物の染
色と兼ねて行ってもよい。繊維構造物を染色する際に
は,通常のセルロース染色用染料を用いることができ具
体的には,反応染料,直接染料,建染染料,ナフトール
染料,硫化染料等を使用することができるが,簡便性の
観点からは反応染料,直接染料が好ましく用いられる。
染色に際しては,通常のセルロース繊維の染色方法を用
いて染色することができる。染色は,糸や綿の状態,布
帛の状態,縫製品の状態のいずれの状態でも染色するこ
とができ,設備としては,オーバーマイヤー,噴射式カ
セ染機,ジッガー,ウインス,液流染色機,パディング
式染色機等,通常の染色設備を目的に応じて使用すれば
よい。本発明は以上の構成よりなるものである。
色と兼ねて行ってもよい。繊維構造物を染色する際に
は,通常のセルロース染色用染料を用いることができ具
体的には,反応染料,直接染料,建染染料,ナフトール
染料,硫化染料等を使用することができるが,簡便性の
観点からは反応染料,直接染料が好ましく用いられる。
染色に際しては,通常のセルロース繊維の染色方法を用
いて染色することができる。染色は,糸や綿の状態,布
帛の状態,縫製品の状態のいずれの状態でも染色するこ
とができ,設備としては,オーバーマイヤー,噴射式カ
セ染機,ジッガー,ウインス,液流染色機,パディング
式染色機等,通常の染色設備を目的に応じて使用すれば
よい。本発明は以上の構成よりなるものである。
【0015】
【作用】本発明のごとく,織編物等の繊維構造物を構成
する繊維の表面でセルロース産生菌を直接培養すると,
個々の繊維の表面に緻密なバクテリアセルロースの皮膜
が薄く均一に形成されるので,セルロースの溶液を付
与,乾燥する従来法に比べて格段に優れた柔軟性とハ
リ,コシを有する繊維構造物を得ることができ,このよ
うな状態の繊維構造物にフィブリル化処理を行うと,繊
維表面に形成されたバクテリアセルロースの皮膜の一部
がフィブリル化現象を起こして繊維表面にフィブリルが
形成されるので,ふくらみ感のある風合いが得られるよ
うになる。
する繊維の表面でセルロース産生菌を直接培養すると,
個々の繊維の表面に緻密なバクテリアセルロースの皮膜
が薄く均一に形成されるので,セルロースの溶液を付
与,乾燥する従来法に比べて格段に優れた柔軟性とハ
リ,コシを有する繊維構造物を得ることができ,このよ
うな状態の繊維構造物にフィブリル化処理を行うと,繊
維表面に形成されたバクテリアセルロースの皮膜の一部
がフィブリル化現象を起こして繊維表面にフィブリルが
形成されるので,ふくらみ感のある風合いが得られるよ
うになる。
【0016】
【実施例】次に,本発明の製造方法を実施例によってさ
らに具体的に説明するが,実施例における布帛の性能
は,下記の方法によって評価した。 (1)柔軟性 ハンドリングにより,相対的に次の5段階で評価した。 ◎:非常に良好,○:良好,△:普通,×:やや不良,
××:不良 (2)ハリ,コシ ハンドリングにより,相対的に次の3段階で評価した。 ○:良好, △:普通, ×:不良
らに具体的に説明するが,実施例における布帛の性能
は,下記の方法によって評価した。 (1)柔軟性 ハンドリングにより,相対的に次の5段階で評価した。 ◎:非常に良好,○:良好,△:普通,×:やや不良,
××:不良 (2)ハリ,コシ ハンドリングにより,相対的に次の3段階で評価した。 ○:良好, △:普通, ×:不良
【0017】(3)ふくらみ感 ハンドリングにより,相対的に次の3段階で評価した。 ○:良好, △:普通, ×:不良 (4)吸湿性 20℃×65%RHにて24時間調湿後,JIS L−
1096により測定した。
1096により測定した。
【0018】実施例1 被加工布帛として,十分に精練,漂白されたレーヨンフ
ィラメント150d/75f使いのフジエットを用意し
た。次に,下記処方1の培地成分の水溶液(pH=4.
6)にAcetobacter xylinum を1×105 個/ccの濃度
になるように加えて培養液を調整し,これを上述の織物
にピックアップ70%で含浸後,ポリエチレン製の袋に
入れて密閉し,30℃で48時間の培養を行うことによ
り,織物重量の0.49%のバクテリアセルロースを繊維
表面に産生させた。
ィラメント150d/75f使いのフジエットを用意し
た。次に,下記処方1の培地成分の水溶液(pH=4.
6)にAcetobacter xylinum を1×105 個/ccの濃度
になるように加えて培養液を調整し,これを上述の織物
にピックアップ70%で含浸後,ポリエチレン製の袋に
入れて密閉し,30℃で48時間の培養を行うことによ
り,織物重量の0.49%のバクテリアセルロースを繊維
表面に産生させた。
【0019】処方1 シュークロース 5.0%sol リン酸カルシウム 0.3%sol 硫酸マグネシウム・7水塩 0.05%sol カザミノ酸 0.8%sol フィチン酸 0.05%sol ピロロキノリンキノン(酸化補酵素) 0.001%sol
【0020】次に,この織物を濃度1.5%の炭酸ナトリ
ウム水溶液で60℃×30分間洗浄した後,120℃で
3分間乾燥した。ここでフィブリル化処理を染色と兼ね
て行うべく,ワッシャーを用いてこの織物を直接染料
(C.I. Direct Blue 12.0 % owf)にて100℃で30
分間染色し本発明の加工織物を得た。本発明との比較の
ため,本実施例で用いたものと同一の織物を用意し,こ
れにセルロース濃度2.5%のビスコース溶液をピックア
ップ80%にて含浸し,濃度80%の芒硝溶液中で不溶
化後,水洗,乾燥し,以下,本実施例と同一の条件で染
色することにより,従来法による比較用の加工織物(比
較例1)を得た。また,精練,漂白された未加工のフジ
エット(比較例2)を採集し,本実施例と同一の条件で
染色したものを用意し,本発明との比較に供した。
ウム水溶液で60℃×30分間洗浄した後,120℃で
3分間乾燥した。ここでフィブリル化処理を染色と兼ね
て行うべく,ワッシャーを用いてこの織物を直接染料
(C.I. Direct Blue 12.0 % owf)にて100℃で30
分間染色し本発明の加工織物を得た。本発明との比較の
ため,本実施例で用いたものと同一の織物を用意し,こ
れにセルロース濃度2.5%のビスコース溶液をピックア
ップ80%にて含浸し,濃度80%の芒硝溶液中で不溶
化後,水洗,乾燥し,以下,本実施例と同一の条件で染
色することにより,従来法による比較用の加工織物(比
較例1)を得た。また,精練,漂白された未加工のフジ
エット(比較例2)を採集し,本実施例と同一の条件で
染色したものを用意し,本発明との比較に供した。
【0021】本発明および比較用の織物について性能を
評価し,その結果を合わせて表1に示した。
評価し,その結果を合わせて表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】表1より明らかなごとく,本発明の加工織
物は,優れた柔軟性とハリ,コシを有し,バクテリアセ
ルロースのフィブリル化による独特のふくらみ感を有し
ていた。
物は,優れた柔軟性とハリ,コシを有し,バクテリアセ
ルロースのフィブリル化による独特のふくらみ感を有し
ていた。
【0024】実施例2 被加工布帛として,十分に精練,漂白された木綿100
%の40番単糸使いのブロード織物を用意した。次に,
下記処方2の培地成分の水溶液(pH=6.0)に Aceto
bacter acetigenus を4.5×104 個/ccの濃度になる
ように加えて培養液を調整し,これを上述の織物にピッ
クアップ200%で含浸後,ポリエチレン製の袋に入れ
て密閉し,29℃で48時間の培養を行うことにより,
織物重量の1.7%のバクテリアセルロースを繊維表面に
産生させた。
%の40番単糸使いのブロード織物を用意した。次に,
下記処方2の培地成分の水溶液(pH=6.0)に Aceto
bacter acetigenus を4.5×104 個/ccの濃度になる
ように加えて培養液を調整し,これを上述の織物にピッ
クアップ200%で含浸後,ポリエチレン製の袋に入れ
て密閉し,29℃で48時間の培養を行うことにより,
織物重量の1.7%のバクテリアセルロースを繊維表面に
産生させた。
【0025】処方2 D−グルコース 2%sol バクトペプトン 0.5%sol 酵母エキス 0.5%sol クエン酸 0.115%sol リン酸水素2ナトリウム 0.27%sol 次にこの織物を濃度1.5%の炭酸ナトリウム水溶液で6
0℃×30分間洗浄した後,120℃で3分間乾燥し,
続いて気流染色機を用いて30℃で1時間の揉み加工を
行うことによりフィブリル化処理を行い,本発明の加工
織物を得た。
0℃×30分間洗浄した後,120℃で3分間乾燥し,
続いて気流染色機を用いて30℃で1時間の揉み加工を
行うことによりフィブリル化処理を行い,本発明の加工
織物を得た。
【0026】本発明との比較のため,本実施例で用いた
ものと同一の織物を用意し,これにセルロース濃度1.5
%の銅アンモニア溶液をピックアップ80%にて含浸
後,水中で不溶化して銅アンモニアを除去し,以下,本
実施例と同一条件のフィブリル化処理を行うことによ
り,従来法による比較用の加工織物(比較例3)を得
た。また,精練,漂白された未加工のブロード織物(比
較例4)を採集し,本実施例と同一条件で染色したもの
を用意し,本発明との比較に供した。
ものと同一の織物を用意し,これにセルロース濃度1.5
%の銅アンモニア溶液をピックアップ80%にて含浸
後,水中で不溶化して銅アンモニアを除去し,以下,本
実施例と同一条件のフィブリル化処理を行うことによ
り,従来法による比較用の加工織物(比較例3)を得
た。また,精練,漂白された未加工のブロード織物(比
較例4)を採集し,本実施例と同一条件で染色したもの
を用意し,本発明との比較に供した。
【0027】本発明および比較用の織物について性能を
評価し,その結果を合わせて表2に示した。
評価し,その結果を合わせて表2に示した。
【0028】
【表2】
【0029】表2より明らかなごとく,本発明の加工織
物は,優れた柔軟性とハリ,コシを有し,ナイロン特有
の柔軟性に加えて,バクテリアセルロースのフィブリル
化によるふくらみ感を有していた。
物は,優れた柔軟性とハリ,コシを有し,ナイロン特有
の柔軟性に加えて,バクテリアセルロースのフィブリル
化によるふくらみ感を有していた。
【0030】実施例3 被加工布帛として,十分に精練,漂白されたポリエステ
ルフィラメント150d/75f使いのタフタを用意し
た。次に前記処方2の培地成分の水溶液(pH=6.0)
にAcetobacter acetigenusを7.5×104 個/ccの濃度
になるように加えて培養液を調整し,これを上述の織物
にピックアップ100%で含浸後,ポリエチレン製の袋
に入れて密閉し,28℃で48時間の培養を行うことに
より,織物重量の2.0%のバクテリアセルロースを繊維
表面に産生させた。次に,この織物を濃度1.5%の炭酸
ナトリウム水溶液で60℃×30分間洗浄した後,12
0℃で3分間乾燥し,続いて液流染色機を使用して,分
散染料(C.I. Dispers Red 73 1.5% owf)と直接染料
(C.I. Direct Blue1 1.0% owf)を用いて130℃で
30分間の染色をフイブリル化処理と兼ねて行うことに
より本発明の加工織物を得た。
ルフィラメント150d/75f使いのタフタを用意し
た。次に前記処方2の培地成分の水溶液(pH=6.0)
にAcetobacter acetigenusを7.5×104 個/ccの濃度
になるように加えて培養液を調整し,これを上述の織物
にピックアップ100%で含浸後,ポリエチレン製の袋
に入れて密閉し,28℃で48時間の培養を行うことに
より,織物重量の2.0%のバクテリアセルロースを繊維
表面に産生させた。次に,この織物を濃度1.5%の炭酸
ナトリウム水溶液で60℃×30分間洗浄した後,12
0℃で3分間乾燥し,続いて液流染色機を使用して,分
散染料(C.I. Dispers Red 73 1.5% owf)と直接染料
(C.I. Direct Blue1 1.0% owf)を用いて130℃で
30分間の染色をフイブリル化処理と兼ねて行うことに
より本発明の加工織物を得た。
【0031】本発明との比較のため,平均粒度15μm
に微粉砕したバクテリアセルロースをポリメタクリル酸
樹脂バインダー濃度3%の溶液に1%混入し,この溶液
を本実施例で用いた織物にピックアップ80%にて含
浸,乾燥後,本実施例と同一条件で染色することによ
り,従来法による比較用の加工織物(比較例5)を得
た。また,精練,漂白された未加工のタフタ(比較例
6)を採集し,本実施例と同一条件で染色したものを用
意し,本発明との比較に供した。
に微粉砕したバクテリアセルロースをポリメタクリル酸
樹脂バインダー濃度3%の溶液に1%混入し,この溶液
を本実施例で用いた織物にピックアップ80%にて含
浸,乾燥後,本実施例と同一条件で染色することによ
り,従来法による比較用の加工織物(比較例5)を得
た。また,精練,漂白された未加工のタフタ(比較例
6)を採集し,本実施例と同一条件で染色したものを用
意し,本発明との比較に供した。
【0032】本発明および比較用の織物について性能を
評価し,その結果を合わせて表3に示した。
評価し,その結果を合わせて表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】表3より明らかなごとく,本発明の加工織
物は,優れた柔軟性とハリ,コシ,ふくらみ感を有して
いた。また,本発明の織物は,比較例5の織物と同様の
玉虫効果を有しながら,比較例5の織物に比べていらつ
き感がなくクリーンに染色されていた。この加工織物
は,未加工のポリエステルタフタの約10倍の吸湿性を
有していた。
物は,優れた柔軟性とハリ,コシ,ふくらみ感を有して
いた。また,本発明の織物は,比較例5の織物と同様の
玉虫効果を有しながら,比較例5の織物に比べていらつ
き感がなくクリーンに染色されていた。この加工織物
は,未加工のポリエステルタフタの約10倍の吸湿性を
有していた。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば,風合が柔軟なハリ,コ
シ,並びに,ふくらみ感のある繊維構造物を得ることが
できる。また,吸湿性のない合成繊維に応用すれば,吸
湿性を付与することもできる。
シ,並びに,ふくらみ感のある繊維構造物を得ることが
できる。また,吸湿性のない合成繊維に応用すれば,吸
湿性を付与することもできる。
Claims (1)
- 【請求項1】 繊維構造物を構成する繊維の表面でセル
ロース産生菌を培養することにより,産生したバクテリ
アセルロースで繊維表面を被覆し,しかる後に該繊維構
造物をフィブリル化処理することを特徴とするフィブリ
ルを有する繊維構造物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13641397A JPH10325083A (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | フィブリルを有する繊維構造物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13641397A JPH10325083A (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | フィブリルを有する繊維構造物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10325083A true JPH10325083A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=15174589
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13641397A Pending JPH10325083A (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | フィブリルを有する繊維構造物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10325083A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002142796A (ja) * | 2000-11-09 | 2002-05-21 | Forestry & Forest Products Research Institute | セルロース膜の製造法 |
JP2009007721A (ja) * | 2007-06-29 | 2009-01-15 | Tokai Senko Kk | 複合構造体及びその製造方法 |
CN103184601A (zh) * | 2011-12-31 | 2013-07-03 | 中原工学院 | 细菌纤维素纤维基纳米碳纤维纱的制备方法 |
JP2019180406A (ja) * | 2018-04-09 | 2019-10-24 | サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエスSanko Tekstil Isletmeleri San. Ve Tic. A.S. | 染色された生体高分子及びその物品を製造する方法 |
-
1997
- 1997-05-27 JP JP13641397A patent/JPH10325083A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002142796A (ja) * | 2000-11-09 | 2002-05-21 | Forestry & Forest Products Research Institute | セルロース膜の製造法 |
JP4677580B2 (ja) * | 2000-11-09 | 2011-04-27 | 独立行政法人森林総合研究所 | セルロース膜の製造法 |
JP2009007721A (ja) * | 2007-06-29 | 2009-01-15 | Tokai Senko Kk | 複合構造体及びその製造方法 |
CN103184601A (zh) * | 2011-12-31 | 2013-07-03 | 中原工学院 | 细菌纤维素纤维基纳米碳纤维纱的制备方法 |
JP2019180406A (ja) * | 2018-04-09 | 2019-10-24 | サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエスSanko Tekstil Isletmeleri San. Ve Tic. A.S. | 染色された生体高分子及びその物品を製造する方法 |
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