JPH10324643A - 消化管粘膜付着性抗ヘリコバクター・ピロリ組成物 - Google Patents

消化管粘膜付着性抗ヘリコバクター・ピロリ組成物

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JPH10324643A
JPH10324643A JP7634898A JP7634898A JPH10324643A JP H10324643 A JPH10324643 A JP H10324643A JP 7634898 A JP7634898 A JP 7634898A JP 7634898 A JP7634898 A JP 7634898A JP H10324643 A JPH10324643 A JP H10324643A
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洋子 秋山
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直樹 永原
Yoshikumi Kitano
愛矩美 北野
Masafumi Nakao
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Abstract

(57)【要約】 【課題】消化管において滯留時間の長く、優れた薬効を
示す製剤を提供する。 【解決手段】薬効成分と粘性物質の膨潤剤(例えば、カ
ードランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルース等)とを含有する消化管粘膜付着性医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】1983年にヘリコバクター
・ピロリ菌(Helicobacter pylori、以下、H.pylori、
ヘリコバクター・ピロリ、またはHPと略することもあ
る)が分離されて以来(Lancet、1, 1273(1983))、胃炎
や消化性潰瘍との関連が注目されている。これはHPが
健常人の胃粘膜および胃の上皮組織では通常認められな
いにもかかわらず(APMIS, 96, 84(1983))、慢性胃炎
あるいは胃潰瘍症例ではその陽性率が高いためである。
(Am. J. Gastroenterol., 32, 2283(1987))。胃・十
二指腸潰瘍の治癒率は、H2ブロッカーやプロトンポン
プインヒビター(以下PPIと略)の出現により飛躍的
に上昇したが、これらの薬剤を用いた適切な治療にもか
かわらず改善の見られない難治症例があり、大きな問題
となっている。これらの難治性胃潰瘍症例について検討
した報告(日消誌、89, 571 (1992))では、HPの産生
するアンモニアの影響と思われる胃粘膜内粘液の低下が
観察されている。またHPの持続感染が、潰瘍の治癒を
遅延させたり、あるいは潰瘍再発に関与しているとの報
告がある(Lancet, 335, 1233(1990)、N. Engl. J.Me
d., 328, 308 (1993))。種々の抗ヘリコバクター・ピ
ロリ活性を有する薬剤が胃、十二指腸潰瘍患者に投与さ
れてきた。たとえば、ヘリコバクター・ピロリに対する
抗菌剤としてアモキシシリン、メトロニダゾール、ビス
マス硝酸塩、またはテトラサイクリン等が単独あるいは
併用して用いられているが、その投与量はかなり大量
(例えばアモキシシリンを750mg、またはメトロニダ
ゾール500mgを1日3回づつ投与)のため、しばしば
下痢、腹痛、悪心等の副作用を伴う。
【0002】また、ヘリコバクター・ピロリ菌は自身の
産生する尿素分解酵素ウレアーゼにより尿素を分解して
アンモニアを生成することが生存に不可欠であるといわ
れている。従って、ウレアーゼ阻害剤であるヒドロキサ
ム酸誘導体(第15回メディカルケミストリーシンポジ
ウム、第4回医薬化学部会年会講演要旨集、167頁、
P−41)、ケイヒからの抽出物(日本薬学会、第11
7年会講演要旨集27〔H1〕9-5、p81(1997))、fluro
famide(Micro. Ecol. Health Dis. 4(suppl.)S145(19
91))のようなウレアーゼ阻害剤が抗ヘリコバクター・
ピロリ作用を有することが期待される。薬効成分の効果
をより有効に発揮させ、また副作用を軽減するために、
例えばアモキシシリンを胃粘膜付着性製剤とすることに
より、胃内でのアモキシシリンの滞留時間を延長し、ア
モキシシリンを適当な速さで放出し、薬効成分を生体に
より有効に利用させる試みが行われており(WO94/
00112号公報)、胃の中に薬効成分を滞留させ長時
間接触させることでヘリコバクター・ピロリの除菌率が
高くなることを示した(Scand. J. Gastroenterol. 29.
16-42(1994))。また、抗菌物質および抗潰瘍性物質
を、その少なくとも一方を胃粘膜付着性固形製剤とし
て、組み合わせてなる併用療法用製剤が作製されてお
り、該製剤では抗菌物質および抗潰瘍性物質の各薬効が
相乗的に増強されることが示されている(特開平7−1
26189号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の消化
管付着性製剤に比べて粘膜付着性に優れ、薬効成分の効
果を飛躍的に向上させた医薬組成物を提供するものであ
り、特に、抗ヘリコバクター・ピロリ活性、副作用、効
果持続時間等の点で優れた効果を示し、かつ、より安全
性の高い抗ヘリコバクター・ピロリ製剤あるいは消化性
潰瘍の予防、治療、再発防止剤、例えば、胃・十二指腸
潰瘍治療剤等を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる実情
に鑑み、鋭意検討した結果、例えば抗ヘリコバクター・
ピロリ剤等の消化管粘膜付着性医薬組成物に、水で粘性
を生じる物質の膨潤剤(例えば、カードランおよび/ま
たは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)を配合
することにより、予想外にその抗ヘリコバクター・ピロ
リ作用等の薬効成分の効果を増強し、かつ安全性が高く
消化管粘膜付着性に優れ、薬効成分の効果を飛躍的に向
上させた胃・十二指腸潰瘍治療剤等の医薬組成物が得ら
れることを初めて見出した。そしてこれらの知見に基づ
き本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、(1)水で粘性を生じる
物質の膨潤剤を含有する消化管粘膜付着性医薬組成物、
(2)水で粘性を生じる物質の膨潤剤がカードランおよ
び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであ
る前記(1)記載の医薬組成物、(3)ポリグリセリン
脂肪酸エステルおよび/または脂質を含むマトリックス
製剤である前記(2)記載の医薬組成物、(4)カード
ランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロ
ースがマトリックス中に含まれる前記(3)記載の医薬
組成物、(5)マトリックスが顆粒である前記(4)記
載の医薬組成物、(6)抗ヘリコバクター・ピロリ剤で
ある前記(1)記載の医薬組成物、(7)抗菌剤である
前記(1)記載の医薬組成物、(8)低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基含量
が約7.0乃至約13.0%である前記(2)記載の医
薬組成物、(9)脂質が硬化ヒマシ油である前記(3)
記載の医薬組成物、(10)ポリグリセリン脂肪酸エス
テルが重合度約2乃至約20のポリグリセリンと炭素数
約8乃至約40の脂肪酸とのエステルである前記(3)
記載の医薬組成物、(11)ポリグリセリン脂肪酸エス
テルおよび/または脂質を組成物中約20乃至約95重
量%含有する前記(3)記載の医薬組成物、(12)ポ
リグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質の含量
が医薬組成物中の薬物に対して約0.1乃至約100重
量倍である前記(3)記載の医薬組成物、(13)水で
粘性を生じる物質がマトリックス中に含まれる前記
(3)記載の医薬組成物、(14)水で粘性を生じる物
質を約0.5乃至約45重量%含有する前記(12)記
載の医薬組成物、(15)ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルのHLBが約1乃至約9である前記(3)記載の医薬
組成物、(16)抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質を
約10乃至約50重量%含有する前記(6)記載の医薬
組成物、(17)マトリックスが水で粘性を生じる物質
を含むコーティング剤で被覆されている前記(3)記載
の医薬組成物、(18)水で粘性を生じる物質がアクリ
ル酸系重合体またはその塩である前記(13)または
(17)記載の医薬組成物、(19)抗ヘリコバクター
・ピロリ作用物質がアモキシシリンである前記(16)
記載の組成物、(20)抗ヘリコバクター・ピロリ作用
物質がN−(ジアミノホスフィニル)−5−メチル−2−
チオフェンカルボン酸アミドである前記(16)の記載
組成物、(21)抗ヘリコバクター・ピロリ剤がトリプ
トファニルt−RNA合成酵素阻害剤である前記(6)
記載の組成物、(22)抗ヘリコバクター・ピロリ作用
物質がオキサゾロン誘導体である前記(16)記載の組
成物、(23)抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がイ
ンドールマイシンである前記(16)記載の組成物、
(24)カードランおよび/または低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロースを含有する、消化管付着性医薬組成
物用の消化管粘膜付着増強剤、(26)消化管粘膜付着
性医薬組成物の消化管粘膜付着性をカードランおよび/
または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの使用に
より増強する方法、(26)消化管粘膜付着性医薬組成
物の消化管粘膜付着増強剤としてのカードランおよび/
または低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの使用、
(27)ヘリコバクター・ピロリが関連する消化器系疾
患の予防、治療、再発防止剤である請求項6記載の医薬
組成物、(28)(i)低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルロース、(ii)アクリル酸重合体またはその塩、お
よび/またはカードラン(iii)ポリグリセリン脂肪
酸エステルおよび/または脂質、および(iv)抗ヘリ
コバクター・ピロリ作用物質からなる前記(3)記載の
医薬組成物、(29)(i)低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロースのヒドロキシプロポキシル基含量が約7.
0%乃至約13.0%であり、(ii)アクリル酸重合
体の分子量が約20万乃至約600万であり、(ii
i)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質
がベヘン酸テトラ(ヘキサ)グリセリドおよび/または
テトラグリセリンポリリシノレートであり、かつ(i
v)抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がインドールマ
イシンである前記(28)記載の医薬組成物、(30)
(i)ヒドロキシプロポキシル基含量が約7.0乃至約
13.0%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを
約1乃至約20重量部、(ii)分子量が約20万乃至
約600万のアクリル酸重合体を約1乃至約20重量
部、(iii)ベヘン酸テトラ(ヘキサ)グリセリドお
よび/またはテトラグリセリンポリリシノレートを約4
0乃至約90重量部、インドールマシンを約5乃至約4
0重量部含有する前記(3)記載の医薬組成物等に関す
る。
【0006】本発明の消化管粘膜付着性組成物として
は、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ作用を示す物質
(例えば、抗菌物質、ウレアーゼ阻害物質等)等の薬効成
分と水で粘性を生じる物質(以下、粘性物質ということ
もある)の膨潤剤(例えば、カードランおよび/または
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)を含有する
組成物であり、例えば、消化管粘膜に付着および/また
は消化管内に滞留(少なくとも胃等の消化管の粘膜に付
着および/または胃内に滞留)する、薬効成分(例え
ば、抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質)を適当な速度
で放出し、増強された薬効活性(抗ヘリコバクター・ピ
ロリ活性等)を発揮する組成物であることができる。こ
のような組成物としては、例えば、(a)代表的な薬効
成分である抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質と(d)
粘性物質以外に(b)カードランおよび/または低置換
度ヒドロキシプロピルセルロースを含有したもの、また
(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂
質を含有する組成物等がある。また、その形状も、本発
明の目的が達成される限り特に限定されないが、固形の
ものが好ましく、とりわけマトリックス状またはマトリ
ックスを含有するもの等が好ましい。例えば、上記
(a),(b)と(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび
(d)粘性物質を配合してなる消化管粘膜付着性マトリッ
クス;上記(a),(b)成分と(c)脂質および(d)粘性物
質を配合してなる消化管粘膜付着性マトリックス等が該
マトリックスの好ましい例示である。より好ましくは、
(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合してなる消化
管粘膜付着性マトリックス等が用いられる。前記(a)乃
至(d)の4成分を含有する消化管粘膜付着性マトリック
スとしては、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたは脂質
を含むマトリックスの中に粘性物質が分散しているも
の、またはそのマトリックスが粘性物質で被覆されてい
るもの等が好ましい。消化管粘膜付着性マトリックスの
融点は例えば約30乃至約120℃、好ましくは約40
乃至約120℃である。
【0007】本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸
エステルとしては、ポリグリセリンと脂肪酸のエステル
であるかぎりモノエステルまたはポリエステル(ジエス
テル、トリエステル等)のいずれでもよい。ポリグリセ
リン脂肪酸エステルは、結晶多形を示さず、しかも薬効
成分との相互作用が殆どないという特性を有するため、
共存する薬効成分が殆ど失活せず、長期にわたり安定に
保持される。ポリグリセリンは、「1分子中にn個(環
状)〜(n+2)個(直鎖・分枝状)の水酸基と、(n
―1)個(直鎖・分枝状)〜n個(環状)のエーテル結
合を有する多価アルコール」{“ポリグリセリンエステ
ル”阪本薬品工業株式会社編集、発行(1994年10月4
日)}であり、直鎖もしくは分枝状のいずれでもよい。
例えば下記式
【化1】 (式中、nは重合度を示し、2以上の整数である。)で
表される化合物等が使用できる。nは通常、約2乃至約
50、好ましくは約2乃至約20、さらに好ましくは約
2乃至約10である。該ポリグリセリンの具体例として
は、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリ
セリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタ
グリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカ
グリセリン、ペンタデカグリセリン、エイコサグリセリ
ン、トリアコンタグリセリン等が挙げられる。これらポ
リグリセリンの中で例えば、テトラグリセリン、ヘキサ
グリセリン、デカグリセリン等が汎用される。脂肪酸と
しては、例えば、炭素数約8乃至約40、好ましくは約
12乃至約25、さらに好ましくは約15乃至約22の
飽和または不飽和脂肪酸等が挙げられる。該脂肪酸とし
ては、例えばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、
リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、カプリル酸、
カプリン酸、ベヘン酸等が好ましい。
【0008】ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例と
しては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド、
カプリル酸モノ(デカ)グリセリド、カプリル酸ジ(ト
リ)グリセリド、カプリン酸ジ(トリ)グリセリド、ラ
ウリン酸モノ(テトラ)グリセリド、ラウリン酸モノ
(ヘキサ)グリセリド、ラウリン酸モノ(デカ)グリセ
リド、オレイン酸モノ(テトラ)グリセリド、オレイン
酸モノ(ヘキサ)グリセリド、オレイン酸モノ(デカ)
グリセリド、オレイン酸ジ(トリ)グリセリド、オレイ
ン酸ジ(テトラ)グリセリド、オレイン酸セスキ(デ
カ)グリセリド、オレイン酸ペンタ(テトラ)グリセリ
ド、オレイン酸ペンタ(ヘキサ)グリセリド、オレイン
酸デカ(デカ)グリセリド、リノール酸モノ(ヘプタ)
グリセリド、リノール酸ジ(トリ)グリセリド、リノー
ル酸ジ(トリ)グリセリド、リノール酸ジ(テトラ)グ
リセリド、リノール酸ジ(ヘキサ)グリセリド、ステア
リン酸モノ(ジ)グリセリド、ステアリン酸モノ(テト
ラ)グリセリド、ステアリン酸ペンタ(テトラ)グリセ
リド、ステアリン酸モノ(デカ)グリセリド、ステアリ
ン酸トリ(テトラ)グリセリド、ステアリン酸ペンタ
(ヘキサ)グリセリド、ステアリン酸トリ(ヘキサ)グ
リセリド、ステアリン酸デカ(デカ)グリセリド、パル
ミチン酸モノ(テトラ)グリセリド、パルミチン酸モノ
(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸モノ(デカ)グリ
セリド、パルミチンテ酸トリ(テトラ)グリセリド、パ
ルミチン酸トリ(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸セ
スキ(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸ペンタ(テト
ラ)グリセリド、パルミチン酸ペンタ(ヘキサ)グリセ
リド、パルミチン酸デカ(デカ)グリセリド、ポリグリ
セリン縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリンポ
リリシノレート)等が挙げられる。
【0009】好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルと
しては例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(例
えば阪本薬品工業(株)製、商品名HB−310、理研
ビタミン(株)製、ポエムJ−46B等)、ステアリン酸
ペンタ(テトラ)グリセリド(例えば阪本薬品工業(株)
製、商品名PS−310等)、ステアリン酸モノ(テト
ラ)グリセリド(例えば阪本薬品工業(株)製、商品名M
S−310等)、ステアリン酸ペンタ(ヘキサ)グリセ
リド(例えば阪本薬品工業(株)製、商品名PS−500
等)、ステアリン酸モノ(デカ)グリセリド、ポリグリ
セリン縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリンポ
リリシノレート(例えば、テトラグリセリンポリリシノ
レート(例えば阪本薬品工業(株)製、商品名CRS−7
5等)等))またはそれらの混合物等が挙げられる。上
記のポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で、または2
種以上、好ましくは2ないし3種の混合物として用いら
れる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの分子量は、通常
約200乃至約5000、好ましくは約300乃至約3
000、より好ましくは約2000乃至約3000であ
る。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB(親水性親
油性バランス(Hydrophile-lipophile balance))は通
常約1乃至約22、好ましくは約1乃至約15、さらに
好ましくは約1乃至約9、とりわけ好ましくは約1乃至
約4程度である。HLBの異なる2種以上のポリグリセ
リン脂肪酸エステルを適宜混合して目的とするHLBを
調整してもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHL
Bを調整すると、薬効成分の放出性、および溶出性をコ
ントロールできる。
【0010】ポリグリセリン脂肪酸エステルは、薬効成
分(例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質等)、
粘性物質、粘性物質の膨潤剤(例えば、カードランおよ
び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)
の選択、組み合わせおよび組成物の形態等に応じて適宜
選択することができるが、好ましくは常温(約15℃)
で固型のものが使用される。ポリグリセリン脂肪酸エス
テルの融点は、例えば、約15℃乃至約80℃、好まし
くは約30℃乃至約75℃、さらに好ましくは約45℃
乃至約75℃程度である。ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルは、薬効成分、医薬組成物の形態に応じて適宜選択す
ることができるが、グリセリンの重合度が約2乃至約1
6である種々のグリセリン重合体のものが好ましく、特
に約2乃至約10のものが好ましい。また、その(重合
度+2)個の水酸基の少なくとも1つ、好ましくは約6
0%以上、好ましくは約80%以上に脂肪酸がエステル
結合したものである。該脂肪酸は飽和型が好ましい。炭
素数約6乃至約22個、さらに好ましくは約15乃至約
25個、とりわけ好ましくは約18個乃至約22個の飽
和脂肪酸である。エステル化結合する脂肪酸は同じ種類
のものでも、異なる種類のものでもよい。2種以上のポ
リグリセリン脂肪酸エステルを混合物として使用してす
る固形の本発明組成物を製造する場合、最終目的物であ
る組成物が常温で固型である限り、液状のポリグリセリ
ン脂肪酸エステルと併用してもよい。消化管粘膜付着性
マトリックスとして、ポリグリセリン脂肪酸エステルが
用いられる場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用
量は、例えば、組成物中約5乃至約98重量%、好まし
くは約20乃至約95重量%、より好ましくは約40乃
至約95重量%である。また、例えば重量換算で、組成
物中の薬効成分に対して約0.01乃至約15000
倍、好ましくは約0.1乃至約1000倍であり、より
好ましくは約0.1乃至約100倍である。
【0011】本発明に用いられる脂質としては、融点約
40乃至約120℃、好ましくは約40乃至約90℃の
ものが挙げられる。脂質としては、例えば、炭素数約1
4乃至約22の飽和脂肪酸(例えばミリスチン酸、ステ
アリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸またはその塩(例え
ばナトリウム塩、カリウム塩));炭素数約16乃至約
22の高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ス
テアリルアルコール等);上記脂肪酸とのモノグリセリ
ド,ジグリセリド、トリグリセリド(例えば、1−モノ
ステアリン、1−モノパルミチン)等である脂肪酸グリ
セリンエステル;油脂類(例えば、ヒマシ油、綿実油、
牛脂等油脂およびこれらの硬化油);ロウ(例えば、ミ
ツロウ、カルナウバロウ、鯨ロウ等);炭化水素類(例
えば、パラフィン、マイクロクリスタリン等);ホスホ
リピッド(例えば、水添レシチン等)等が挙げられる。
これらの脂質の中でも、例えば油脂類、ロウ類、炭素
数、約14乃至約22の飽和脂肪酸、炭素数約16乃至
約22の高級アルコール、炭化水素類等が好ましく、さ
らに硬化綿実油、硬化ヒマシ油、硬化大豆油、カルナウ
バロウ、ステアリン酸、ステアリルアルコール、マイク
ロクリスタリンワックス等が好ましい。特に好ましくは
硬化ヒマシ油、カルナウバロウである。消化管粘膜付着
性マトリックスとして脂質が用いられる場合、脂質の使
用量は、例えば、組成物中約5乃至約98重量%、好ま
しくは約20乃至約95重量%、より好ましくは約40
乃至約95重量%である。また、例えば重量換算で、組
成物中の薬物に対して約0.01乃至約15000倍、
好ましくは約0.1乃至約1000倍であり、より好ま
しくは約0.1乃至約100倍である。前記ポリグリセ
リン脂肪酸エステルおよび脂質は混合して用いてもよ
く、例えばポリグリセリン脂肪酸エステルとロウ類、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルと硬化油等が用いられる。
具体的にはベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド、ステ
アリン酸ペンタ(テトラ)グリセリド、ステアリン酸ペ
ンタ(ヘキサ)グリセリト、カルナウバロウ、硬化ヒマ
シ油、マイクロクリスタリンワックス、ポリグリセリン
縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリンポリリシ
ノレート(例えば、テトラグリセリンポリリシノレート
等))等から選ばれた2種またはおよび3種以上の混合
物である。
【0012】本発明組成物として、ポリグリセリン脂肪
酸エステルおよび/または脂質に粘性物質を配合してな
る消化管粘膜付着性マトリックス等に用いられる場合、
ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび脂質の総使用量
は、例えば、組成物中約5乃至約98重量%、好ましく
は約20乃至約95重量%、より好ましくは約40乃至
約95重量%である。また、例えば重量換算で、組成物
中の薬物に対して約0.01乃至約15000倍、好ま
しくは約0.1乃至約1000倍であり、より好ましく
は約0.1乃至約100倍である。さらに前記ポリグリ
セリン脂肪酸エステルを含むマトリックスに、脂質を含
有させてもよい。脂質としては、製剤上許容しうる水不
性溶物質であり、かつ薬物の溶出速度を調整する作用を
有するものが用いられる。例えば前記した脂質が挙げら
れる。脂質とポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用す
る場合、脂質およびポリグリセリン脂肪酸エステルの使
用量は、消化管粘膜への付着性が損なわれない範囲であ
ればよく、例えば、重量換算で、上記した総使用量の範
囲内で、脂質はポリグリセリン脂肪酸エステルの約0.
01乃至約1000倍、好ましくは約0.1乃至約20
0倍、さらに好ましくは約0.1乃至約100倍、とり
わけ好ましくは約1乃至約10倍である。
【0013】本発明に用いられる薬効成分としては、消
化管粘膜から吸収されるもの、消化管内において直接的
にあるいは間接的に作用するものであればよく、例えば
抗ヘリコバクター作用物質などが挙げられる。抗ヘリコ
バクター作用物質としては、例えばヘリコバクター属菌
(特にヘリコバクター・ピロリ菌)に対する直接的にあ
るいは間接的に抗菌活性を有する抗菌作用物質であれば
よく、例えば抗菌物質や、ヘリコバクター属菌の生存に
不可欠であるといわれているウレアーゼを阻害するウレ
アーゼ阻害物質等が挙げられる。このような抗菌物質と
しては例えばペニシリン系抗生物質(例えばアモキシシ
リン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナ
ム)、セファロスポリン系抗生物質、マクロライド系抗
生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシ
ン、ロキスロマイシン、アジスロマイシン等)、テトラ
サイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミ
ノサイクリン等)、アミノグリコシド系抗生物質(例え
ば、ゲンタマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン
等)、ビスマス塩(例えば、酢酸ビスマス、クエン酸ビ
スマス、サリチル酸ビスマス等)、イミダゾール系化合
物(例えば、メトロニダゾール、チニダゾール、ミコナ
ゾール等)、キノロン系化合物(例えば、オフロキサシ
ン、サイプロキサン等)、トリプトファニル t−RNA
合成阻害物質(例えば、オキサゾロン誘導体、なかでも
インドールマイシン等)が用いられ、中でもペニシリン
系抗生物質、マクロライド系抗生物質、イミダゾール系
化合物、トリプトファニル t−RNA合成阻害物質が好
ましく、とりわけアモキシシリン、クラリスロマイシ
ン、インドールマイシン等が繁用される。ウレアーゼ阻
害物質としてはヒドロキサム酸誘導体(例えば、アセト
ヒドロキサム酸、前記医薬化学部会年会講演要旨集に記
載あるいは引用された化合物等)、リン酸アミド誘導体
(例えば、Flurofamide(前記 Micro. Ecol. Health Di
s.)、Phenylphosphorodiamidate化合物A(参考例2の
化合物)等)、Phosphate、Tiol類(例えば、2-Mercapto
etanol等)、ホウ酸、ハロゲン(例えば、Fluoride
等)、ケイヒからの抽出物(前記日本薬学会講演要旨集)
が挙げられる。
【0014】本発明に用いられる、粘性物質の膨潤剤は
後述する粘性物質を膨潤させるか、あるいは水分による
粘性物質の膨潤を促進するものであって、製剤的に許容
される物質であれば特に制限されないが、例えばカード
ラン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が好ま
しく用いられる。本発明組成物における、粘性物質の膨
潤剤の使用量は消化管粘膜付着性組成物総重量の約0.
5乃至約50重量%、好ましくは約1乃至約40重量
%、さらに好ましくは約1乃至約30重量%である。
【0015】本発明に用いられるカードランは微生物
(Alcaligenes faecalis var myxogenes 等)が産生する
直鎖の水不溶性多糖類(β−1,3−グルカン)であり、
カードラン10C3K,13140,12607,12
665,13127,13256,13259,136
60(New Food Industry, 20巻,No.10,49頁
(1978年))等が知られているが、製剤基剤あるい
は賦形剤等として製剤学上用い得るものであればいずれ
でもよく、例えば、カードランN(食品添加物)等が好
ましく用いられる。本発明組成物におけるカードランの
使用量は消化管粘膜付着性組成物総重量の約0.5乃至
約50重量%、好ましくは約1乃至約40重量%、さら
に好ましくは約1乃至約30重量%である。
【0016】本発明に用いられる低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロースは、セルロースの水酸基がヒドロキシ
プロポキシル基で置換されており、ヒドロキシプロポキ
シル基の含量が5.0乃至16.0%と規定されている
(第12改正日本薬局方)。ヒドロキシプロポキシル基
の含量が前記の範囲内であれば本発明に用いることがで
きるが、例えばL−HPC(信越化学工業(株))等が用
いられ、特に、ヒドロキシプロポキシル基の含量が約
7.0乃至約13.0%のものが好ましく用いられる。
具体的には、その範囲で置換基の含量および粒度を変化
させた品種、例えば、LH−11(ヒドロキシプロポキ
シル基10.0乃至12.9%、粒度150μmパス98
%以上、180μm オン0.5%以下)、LH−20
(ヒドロキシプロポキシル基13.0乃至16.0%、粒
度75μm パス90%以上、106μm オン1.0%以
下)、LH−21(ヒドロキシプロポキシル基10.0乃
至12.9%、粒度75μm パス90%以上、106μ
m オン1.0%以下)、LH−22(ヒドロキシプロポ
キシル基7.0乃至9.9%、粒度75μm パス90%
以上、106μm オン1.0%以下)、LH−31(ヒ
ドロキシプロポキシル基10.0乃至12.9%、平均
粒子径30μm 以下、粒度45μm パス50%以上、7
5μm オン5.0%以下)等を用いることができ、より
好ましくはLH−22またはLH−31が用いられる。
本発明組成物における低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロースの使用量は、消化管粘膜付着性組成物総重量の約
0.5乃至約50重量%、好ましくは約1乃至約40重
量%、さらに好ましくは約1乃至約30重量%である。
【0017】本発明に用いられる粘性物質は、水により
粘性が発現し、消化管粘膜に対して付着性を示すととも
に、製剤的に許容される物質であれば特に制限されない
が、水により膨潤し、著しく増粘する物質が好ましい。
粘性物質としては、例えば合成ポリマー、天然粘性物質
等が挙げられる。該合成ポリマーとしては20℃におけ
る該ポリマーの2%水溶液の粘度が、約3乃至約500
00cps、好ましくは約10乃至約30000cps、さら
に好ましくは約15乃至約30000cpsを示すものが
好適である。但し、中和により増粘する塩基性あるいは
酸性のポリマーの場合には、20℃のおける0.2%中
和液の粘度が、約100乃至約500000cps、好ま
しくは約100乃至約200000cps、さらに好まし
くは約1500乃至約100000cpsを示すポリマー
が好ましい。粘性物質の粘度は、ブルックフィールド型
回転粘度計(Brookfield viscometer)をもちいて20℃
で測定するものとする。上記ポリマーとしては、好まし
くは酸性ポリマーが挙げられ、その例としては、カルボ
キシル基、スルホ基またはこれらの塩を有する、ポリマ
ーが挙げられる。特に好ましくは、カルボキシル基また
はその塩を有するポリマーである。
【0018】カルボキシル基またはその塩を有するポリ
マーとしては、例えばアクリル酸を構成モノマーとする
アクリル酸系重合体(共重合体も含む)とその塩(以
後、単にアクリル酸重合体と記載することもある)が好
ましく挙げられる。該塩としては、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、等の1価の金属塩、マグネシウム、カルシウム
塩等の2価の金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
アクリル酸系重合体またはその塩としては、カルボキシ
ル基を約58乃至約63重量%を含み、分子量約20万
乃至約600万、好ましくは約100万乃至約600
万、さらに好ましくは約100万乃至約500万のポリ
マーが挙げられる。好ましいアクリル酸系重合体または
その塩には、アクリル酸単独重合体とその塩も含まれ
る。このようなポリマーは、日本薬局方外医薬品成分規
格(1986年10月)にカルボキシビニルポリマーと
して記載されている。前記アクリル酸系重合体の具体例
としては、例えばカーボマー(商品名:カーボポール
(以下、カーボポールと称する)ザ・ビーエフグッドリ
ッチ社(The B.F. Goodrich Company)940、93
4、934P.941、1342、974P、971P
(NF XVIII)、EX214等、ハイビスワコー103、
104、105、204(和光純薬株式会社)、NOV
EON AA1(The B. F. Goodrich Company)、カル
シウムポリカーボフィル(USP XXIII)等が挙げられ
る。
【0019】天然粘性物質としては例えばムチン、カン
テン、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸
ナトリウム、ローストビンガム、キサンタンガム、トラ
ガントガム、キトサン、プルラン、ワキシースターチ、
スクラルフェート、カードラン、セルロースおよびその
誘導体(例、セルローススルフェート等)が挙げられ
る。好ましくはヒドロキシプロピルセルロースおよびヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。本
発明で用いられる粘性物質としては、アクリル酸系重合
体またはその塩が好ましい。これらの粘性物質は、単独
であるいはこれらの2種以上を併用してもよい。本発明
組成物における粘性物質の使用量は、消化管粘膜付着性
医薬組成物中、例えば、約0.005乃至約99重量
%、好ましくは約0.5乃至約45重量%、さらに好ま
しくは約1乃至約30重量%、特に好ましくは約1乃至
約25重量%、とりわけ好ましくは約1乃至20重量%
である。例えばポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/
またはは脂質を含むマトリックス中に粘性物質が分散し
ている場合、粘性物質は全重量の約0.005乃至約9
5重量%、好ましくは約0.5乃至約30重量%、さら
に好ましくは約1乃至約25重量%、とりわけ好ましく
は約1乃至約20重量%であり、マトリックスが粘性物
質で被覆されている場合、全重量の約0.005乃至約
95重量%、好ましくは約0.5乃至約30重量%、さ
らに好ましくは約1乃至約25重量%、なかでも好まし
くは約1乃至約20重量%である。
【0020】本発明組成物が、粘性物質の膨潤剤として
カードランを含有する場合、カードランは粘性物質とし
ても用いうるので、該組成物は他の粘性物質を含有する
ことなく消化管粘膜付着性を有することができる。この
場合、カードランは付着性の付与の目的で、上記の範囲
を超えて配合してもよい。前記ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/または脂質を含むマトリックスの中に粘
性物質が分散している消化管粘膜付着性組成物として
は、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂
質、粘性物質、カードランおよび/または低置換度ヒド
ロキシプロピルセルロースおよび薬物が組成物中に分散
していればよい。分散方法は自体公知の方法が採用され
る。
【0021】以下に、消化管粘膜付着組成物の製造方法
を示す。 1)消化管粘膜付着性組成物が常温で固型である場合、
消化管粘膜付着性固型組成物の製造方法としては自体公
知の手段が採用される。例えば、ポリグリセリン脂肪酸
エステルおよび/または脂質を融点以上に加熱して溶融
し、粘性物質および抗ヘリコバクター・ピロリ剤、カー
ドランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロースを同時にまたは別々に添加して分散した後、冷却
する方法が挙げられる。加熱温度は例えば、約40℃乃
至約150℃、好ましくは約50℃乃至約110℃、さ
らに好ましくは約50℃乃至約100℃である。前記の
方法は慣用の造粒機等を用いればよく、例えば、噴霧冷
却、例えば、スプレーチリング等により球形の固型剤
(例、顆粒剤、細粒剤)とするのが望ましい。スプレー
チリングは、例えば、10乃至6000回転/分、好ま
しくは900乃至6000回転/分、より好ましくは1
000乃至5000回転/分の高速回転ディスク上に一
定流速で、溶融したポリグリセリン脂肪酸エステルおよ
び/または脂質中に粘性物質、カードランおよび/また
は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび薬物が
分散した混合物を滴下することにより、行うことができ
る。例えば、回転ディスクとしては、例えば、直径5乃
至100cm好ましくは、直径10乃至20cmの平滑
円盤、例えば、アルミニウム製円盤等が使用できる。ま
た、溶融した前記混合物の滴下速度は、所望する粒径に
応じて選択できるが、通常、約1g乃至約1000g/
分、好ましくは約2g乃至約200g/分、とりわけ好
ましくは約5g乃至約100g/分である。このように
して得られた粒状物は、より真球に近いため、後工程で
のコーティング時に、均一なコーティング被膜を効率よ
く形成できる。
【0022】前記方法以外に、例えば、ポリグリセリン
脂肪酸エステルおよび/または脂質中に粘性物質および
カードランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピル
セルロースおよび薬物を練合等により分散して造粒する
ことにより調製する方法等を採用してもよい。この際使
用する溶媒としては、慣用の溶媒(例えば、メタノー
ル、アセトニトリル、クロロホルム等)が挙げられる。
さらに例えば溶融造粒法を用いて該固型組成物を製造し
てもよい。溶融造粒法としては、ポリグリセリン脂肪酸
エステルおよび/または脂質を、それらの融点近傍、例
えば融点から約5℃下回る温度範囲で加熱溶融し、上記
スプレーチリング等の造粒工程に付し、細粒とし、これ
と粘性物質および抗ヘリコバクター・ピロリ剤およびカ
ードランおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルロースを所望の温度で加熱しながら浮遊または混合さ
せて消化管粘膜付着性マトリックスとする方法等が挙げ
られる。この場合には、薬物に対する熱の作用を抑制で
きるので、薬物がペプチドやタンパク等であっても、そ
の成分の失活を抑制しながら固型組成物を容易に得るこ
とができる。
【0023】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/ま
たは脂質を含むマトリックスが粘性物質で被覆されてい
る固型組成物は、該固型組成物が粘性物質単独、または
粘性物質および粘性物質の膨潤剤(例えば、カードラン
および/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
等)、好ましくは粘性物質単独、または粘性物質および
粘性物質の膨潤剤(例えば、カードランおよび/または
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)を含有する
コーティング剤で被覆されていればよい。コーティング
剤は前記ポリグリセリン脂肪酸エステル、前記脂質およ
び水不溶性ポリマーの少なくとも1つの成分を含んでい
てもよい。この場合、前記固型組成物中の成分に対して
相溶性に乏しいか、相溶しない粘性物質を用いると、粘
性物質が分散した被膜で固型組成物を被覆できる。さら
にコーティング剤は、前記添加物を含有していてもよ
い。
【0024】水不溶性ポリマーとしては、例えば、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースフタレート(日本薬局
方第12改正)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネート(信越化学工業(株)製)、カル
ボキシメチルエチルセルロース(フロイント産業社製,
CMEC、日本薬局方外医薬品成分規格1986)、セ
ルロースアセテートトリメリテート(イーストマン(Ea
stman)社製)、セルロースアセテートフタレート(日本
薬局方第12改正)、エチルセルロース(旭化成(株)社
製)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(レー
ムファルマ社製、商品名、オイドラギットRS−10
0、RL−100、RL−PO、RS−PO、RS−3
0D、RL−30D)、メタアクリル酸アクリル酸エチ
ルコポリマー(レームファルマ社製、商品名、オイドラ
ギットL100−55)、メタアクリル酸メタアクリル
酸メチルコポリマー(レームファルマ社製、商品名、オ
イドラギットL100、S−100)、オイドラギット
L30D−55、オイドラギット NE−30D(レー
ムファルマ社製)、ポリビニルアセテート(カラルコン
(COLORCON)社製)等が挙げられる。これらの
水不溶性ポリマーは1種またはこれらの2種以上の混合
物が用いられる。
【0025】コーティング剤中の粘性物質の使用量は、
コーティング剤中の固型分全体の約0.005乃至約1
00重量%、好ましくは約0.05乃至約95重量%、
さらに好ましくは約0.05乃至約30重量%、より好
ましくは約1乃至約10重量%である。またコーティン
グ剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂質およ
び水不溶性ポリマーの少なくとも1つの成分と粘性物質
を併用する場合、粘性物質の使用量は、コーティング剤
中の固型成分全体に対して、約0.05乃至約95重量
%、好ましくは約0.5乃至約95重量%、より好まし
くは約0.5乃至約30重量%、さらに好ましくは約5
乃至約30重量%、とりわけ好ましくは約5乃至約25
%である。さらにコーティング剤において、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、脂質および水不溶性ポリマーから
選択された2種以上の成分を併用してもよく、この場
合、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質
の総量1重量部に対して、他の成分の使用量は約0.0
001乃至約1000重量部、好ましくは約0.01乃
至約100重量部、さらに好ましくは約0.01乃至約
10重量部である。コーティング剤の被覆量は、固型組
成物の種類、所望する粘膜に対する付着性等に応じて選
択できる。固型組成物に対するコーティング量は、例え
ば錠剤では、約0.1乃至約30重量%、好ましくは約
0.5乃至約20重量%であり、細粒剤では約0.1乃至
約100重量%、好ましくは約1乃至約50重量%であ
る。
【0026】被覆に際しては、必要に応じて、一般的に
用いられる前記添加剤をコーティング剤に添加して被覆
してもよく、コーティング剤と、前記添加剤をそれぞれ
別々に用いて被覆してもよい。添加剤の使用量は例えば
コーティング剤の固型分に対して約0.1乃至約70重
量%、好ましくは約1乃至約50重量%、より好ましく
は約20乃至約50重量%である。被覆方法としては、
自体公知の方法、例えば、パンコーティング法、流動コ
ーティング法、転動コーティング法等が採用できる。コ
ーティング剤が水または有機溶媒を含む溶液または分散
液である場合には、スプレーコーティング法も採用でき
る。前記水または有機溶媒の種類は特に制限されず、例
えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール類;アセトン等のケトン類;クロロホル
ム、ジクロロメタン、トリクロロメタン等のハロゲン化
炭化水素類等が使用できる。コーティング剤において、
ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質を用
いる場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/また
は脂質と必要に応じてその他の添加剤とを加熱溶融して
混合し、水と混和して乳化した後、固型組成物の表面に
噴霧し、乾燥することにより、被覆組成物としてもよ
い。またコーティングパンのような装置で、予熱した固
型組成物にコーティング剤を投入して溶融、展延させる
ことにより被覆組成物としてもよい。固型組成物は、通
常約25乃至約60℃、好ましくは約25乃至約40℃
で被覆することができる。
【0027】被覆に要する時間は、コーティング方法、
コーティング剤の特性や使用量、固型組成物の特性等を
考慮して適宜選択できる。消化管粘膜付着性固型組成物
において、消化管内で前記粘性物質による粘膜付着性が
確保される限り、必要に応じて、さらに、該固型組成物
は慣用の胃溶解性または水溶性被覆等で被覆されていて
もよい。本発明の消化管粘膜付着性組成物を含むマトリ
ックスは通常、そのまま、または適当な剤形の製剤にし
て経口的に投与することができる。かかる経口投与用の
固形製剤の剤形としては、例えば細粒剤、顆粒剤、丸
剤、前記細粒剤または顆粒剤を打錠した錠剤、カプセル
内に前記細粒剤や顆粒剤を充填したカプセル剤の形態等
が挙げられる。このうち、細粒剤、顆粒剤が好ましい。
細粒剤の粒径分布は、例えば、10乃至500μmの粒
子75重量%以上、500μm以上の粒子5重量%以
下、10μm以下の粒子、10重量%以下である。好ま
しい細粒剤の粒径分布は105乃至500μmの粒子7
5重量%以上、500μm以上の粒子5重量%以下、7
4μm以下の粒子、10重量%以下である。顆粒剤の粒
径分布は、例えば500乃至1410μmの粒子90重
量%以上、177μm以下の粒子5重量%以下である。
【0028】2)消化管粘膜付着性組成物が液体である
場合、消化管粘膜付着性液状組成物の製造方法としては
自体公知の手段が採用される。例えば常温で液状のポリ
グリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質、粘性物
質、薬物、粘性物質の膨潤剤(例えば、カードランおよ
び/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)
を同時にまたは別々に添加して分散または溶解する方法
等があげられる。消化管粘膜付着性液状組成物を含有す
る製剤の形態としては、例えばシロップ剤、乳剤、懸濁
剤、カプセル内にシロップ剤、乳剤、懸濁剤を充填した
カプセル剤の形態が考えられる。本発明の組成物中にお
ける薬効成分(例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ作用
物質)の含有割合は約0.005乃至約95重量%、好
ましくは約1乃至約95重量%、さらに好ましくは約1
0乃至約95重量%、特に好ましくは約10乃至約50
重量%である。
【0029】本発明の組成物は毒性も殆どなく安全性に
優れ、例えば、ヘリコバクター・ピロリ等を保持する哺
乳動物(例えば、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ、サ
ル、ヒト等の治療等に有効である。これらの動物の保持
するヘリコバクター・ピロリ等の除菌乃至殺菌に著効を
奏し、ヘリコバクター・ピロリ等が関連する消化器系疾
患の予防、治療、再発防止に有用である。かかる対象疾
患としては、例えば、胃炎、消化性潰瘍、胃癌等があげ
られる。このうち消化性潰瘍の治療に特に有効である。
本発明の消化管粘膜付着性組成物はヒトを含む哺乳動物
に通常、経口的に投与することができる。なお所望によ
り、前記したと同様に、薬理学的、製剤学的に許容され
うる添加剤(例えば、希釈剤、賦形剤、結合剤、崩壊
剤、着色剤、安定剤等)を混合し、またはこれらを用い
て製剤化したものを使用することもできる。前記の消化
管粘膜付着性組成物を含む製剤には、互いの薬理活性に
悪影響を与えない限り、例えば、抗菌剤、抗潰瘍剤、制
酸剤、酸分泌抑制剤、鎮痛剤、栄養剤(ビタミン等)、制
酸剤、酸分泌抑制剤等他の薬理活性成分を更に配合して
もよい。該抗菌剤としては、例えば、マクロライド系抗
菌剤(例、クラリス、ルリド、アシスロマイシン等)、
キノロン系抗菌剤(例、タリヴィッド、オゼックス、バ
フロキサシン等)、ペニシリン系(例フロペネム等)、
セファロスポリン系抗菌剤(例、フルマックス等)等が
挙げられる。該抗潰瘍剤としては、例えば、消化性潰瘍
治療薬等が挙げられ、具体的には、例えば、プロトンポ
ンプ阻害薬、H2ブロッカー、粘膜保護型抗潰瘍薬等が
挙げられる。
【0030】プロトンポンプ阻害薬としては、抗潰瘍性
を有するベンツイミダゾール系化合物、特に、2−
[(ピリジル)−メチルスルフニルまたはメチルチオ]
ベンツイミダゾール誘導体またはその塩が挙げられる。
具体例として、2−[2−[3−メチル―4−[2,2,
2−トリフルオロエトキシ]ピリジル]メチルスルフィ
ニル]ベンツイミダゾール(ランソプラゾール)、2−
(2−ピリジル)メチルスルフィニル]ベンツイミダゾ
ール(チモプラゾール)、2−[2−[3,5−ジメチ
ル―4−メトキシピリジル]メチルスルフィニル]−5
−メトキシ―1H−ベンツイミダゾール(オメプラゾ―
ル)、2−[2−[4−(3−メトキシプロポキシ)−
3−メチルピリジル]メチルスルフィニル]−1H−ベ
ンツイミダゾールナトリウム塩、2−[2−[3,4−
ジメトキシピリジル]メチルスルフィニル]−5−ジフ
ルオロメトキシ―1H−ベンツイミダゾール(パントプ
ラゾール)等が挙げられる。上記のベンツイミダゾール
系化合物またはその塩は、例えば特開昭54−1417
83号公報、特開昭58−192880号公報、特開昭
61−50978号公報、特開昭62−116576号
公報、特開平5−59043号公報等に記載の方法およ
びそれらに準じた方法により製造される。さらに例え
ば、2−[[o−イソブチルアミノ]ベンジル]スルフ
ィニル]ベンツイミダゾール(レミノン)、2−[4−
メトキシ6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘ
プタ[b]ピリジン等も挙げられる。H2ブロッカーと
しては、例えば2−シアノ―1−メチル―3−[2−
[[5−メチルイミダゾール4−イル]メチル]チオ]
エチル]グアニジン(シメチジン)、N−[2−[[5
−[(ジメチルアミノ)メチル]フラニル]チオ]エチ
ル]−N'−メチル―2−ニトリ―1,1−エテンジアミ
ン(ラニチジン)、(±)−2−(フルフリルスルフィニ
ル)−N−[4−[4−(ピペリジニルメチル)−2−ピ
リジル]オキシ(z)−2−ブチニル]アセタミド(ロク
チジン)等が挙げられる。粘膜保護型抗潰瘍薬として
は、例えば、(z)−7−[(1R.2R.3R)−2−
[(E)−(3R)−3−ヒドロキシ―4,4−ジメチル―
1−オクテニル]−3−メチル―5−オキソシクロペン
チル]−5−ヘプテノン酸(チモプロスチル、ウルスタ
―)、1−ブチリックアシド―7−(L−2−アミノブチ
リックアシド―26−L−アスパルチックアシド―27
−L−バリン―29−L−アラニン)カルシトニン(エ
ルカトニン)、3−エチル―7−イソプロピル―1−ア
ズレン―スルフォネ―ト(エグアレンナトリウム)、等
が挙げられる。
【0031】さらに前記組成物を固型製剤に製する場
合、固型医薬製剤(例、錠剤、細粒剤、顆粒剤等)の製
造に用いられる慣用の添加剤を使用してもよい。添加剤
としては、例えば、コーンスターチ、タルク、結晶セル
ロース(アビセル)、粉糖、ステアリン酸マグネシウ
ム、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、L−システイン等の賦形剤;澱
粉、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム粉末、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン、プルラン、デキストリン等の結合剤;カル
ボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナト
リウム等の崩壊剤;アルキル硫酸ナトリウム等のアニオ
ン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポ
リオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活
性剤;水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシ
ウム、スクラルファート等の制酸剤や粘膜保護剤;着色
剤;矯味剤;吸着剤;防腐剤;潤滑剤;帯電防止剤等が
挙げられる。これらの添加剤の添加量は、粘膜に対する
付着量を損なわない範囲で適宜選択される。本発明の組
成物の投与量は剤形、投与方法、あるいは含有する薬効
成分の種類によっても異なる。本発明では薬物の投与量
を単独投与に比べ、2分の1から20分の1程度に減量
できる可能性がある。
【0032】本製剤は、ヘリコバクター・ピロリ感染に
起因する各種消化器系疾患等の治療、予防、再発防止の
目的でヒトに経口投与する場合、例えば、薬効成分が抗
菌剤であれば、成人に1日当たり薬効成分に換算して約
0.1乃至約50mg/kg、好ましくは約0.3乃至
約40mg/kg投与すればよく、また薬効成分がウレ
アーゼ阻害剤であれば、成人に1日当たり薬効成分に換
算して約0.05乃至約100mg/kg、好ましくは
約0.2乃至約100mg/kg、さらに好ましくは約
0.2乃至約20mg/kg、特に好ましくは約0.2
乃至約10mg/kg、なかでも好ましくは約0.5乃
至約10mg/kg投与すればよい。さらに、本製剤
は、胃炎や消化性潰瘍の治療において、上記したような
抗潰瘍剤と別途製剤化したものと同時にあるいは時間差
をおいて同一対象に投与することができ、このような併
用療法は該疾患の治療や症状の緩解において有用であ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に実施例、実験例を掲げて本
発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限
定するものではない。
【実施例】
参考例15−メチル−2−チオフェンカルボン酸アミド 5−メチル−2−チオフェンカルボアルデヒド2.6g
(0.1モル)、塩酸ヒドロキシアミン8.3g(0.12モ
ル)、酢酸ナトリウム9.8g(0.12モル)を酢酸50
mlに加え、加熱還流下に13乃至15時間反応した。
液体クロマトグラフィー(HPLC)で原料(保持時間1
3分前後)の消失を確認後、約半量まで減圧濃縮し、濃
縮液に濃塩酸100mlを加え60℃で4時間反応し
た。反応終了後、水100mlを加え氷冷下に30分撹
拌した。析出した結晶をろ取し、結晶を氷水100ml
で洗浄し、11.6g(82%)の5−メチル−2−チ
オフェンカルボン酸アミド(HPLCで保持時間:4分
前後)を得た。 HPLC分析条件 カラム:GL Sciences製Inertsil ODS−3、5μm、
4.6×150mm 溶出液:アセトニトリル:0.05モルリン酸二水素カ
リウム水溶液=30:70 検出波長:231nm 流速:1.0ml/分1 H-NMR(DMSO-d6)δ:2.54(3H, d, CH3), 7.01
(1H, dd, チオフェン-4-H), 7.78(1H, dd, チオフェン-
3-H).
【0034】参考例2N−(ジアミノホスフィニル)−5−メチル−2−チオ
フェンカルボン酸アミド 5−メチル−2−チオフェンカルボン酸アミド7.6g
(47ミリモル)をトルエン50mlに懸濁して、よく
撹拌しながら室温で五塩化リン10.9g(50ミリモ
ル)を加えた。65℃に加熱して30分撹拌した後、氷
冷しギ酸2.0mlを滴下した。25℃で30分間撹拌
後、減圧下にトルエンを除去した。残留物をテトラヒド
ロフラン(THF)100mlに溶解し、氷冷下25%ア
ンモニア水17.1mlに加えた。25℃で30分間撹
拌後、トルエン100mlを加え、析出した結晶をろ取
した。結晶ををTHF50mlおよび水50mlで洗浄
した。真空乾燥し、N−(ジアミノホスフィニル)−5
−メチル−2−チオフェンカルボン酸アミド6.78g
(64%)を得た。融点285−297℃(分解)
【0035】実施例1ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)63.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品工業(株)、商品名HB−31
0)5.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
N−(ジアミノホスフィニル)−5−メチル−2−チオフ
ェンカルボン酸アミド(以下、化合物Aと称する)4.
0g次いでアクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名
ハイビスワコー104)8.0g、カードラン(武田
薬品工業(株))20.0gを順次添加し、84℃に保
って15分間攪拌し分散させた。溶融混合物を1950
rpm で回転している直径15cmのアルミ製ディスクに1
0g/分の速度で滴下することにより42/60メッシ
ュ(42メッシュのふるいを通過し、60メッシュのふ
るいに残留するサイズを示す。以下、同様に略す。)の
球状の細粒剤が得られた。
【0036】実施例2ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)63.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品工業(株)、商品名HB−31
0)5.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
化合物A 4.0g次いでアクリル酸系重合体(和光純
薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)8.0g、低
置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名L−HPC(LH−31))20.0gを
順次添加し、84℃に保って15分間攪拌し分散させ
た。溶融混合物を1950rpm で回転している直径15
cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下するこ
とにより42/60メッシュの球状の細粒剤が得られ
た。
【0037】実施例3ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB−310)81.5gを秤量し、8
4℃に加熱溶融した。これに化合物A 0.5g次いで
アクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビス
ワコー104)8.0g、カードラン(武田薬品工業
(株))10.0gを順次添加し、84℃に保って15分
間攪拌し分散させた。溶融混合物を1950rpm で回転
している直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分
の速度で滴下することにより42/60メッシュの球状
の細粒剤が得られた。
【0038】実施例4ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)54.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品工業(株)、商品名HB−31
0)1.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
化合物A 35.0g次いでアクリル酸系重合体(和光
純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)5.0g、
カードラン(武田薬品工業(株))5.0gを順次添加
し、84℃に保って15分間攪拌し分散させた。溶融混
合物を1950rpm で回転している直径15cmのアルミ
製ディスクに10g/分の速度で滴下することにより4
2/60メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0039】実施例5ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)35.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品工業(株)、商品名HB−31
0)1.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
化合物A 35.0g次いでアクリル酸系重合体(和光
純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)5.0g、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名L−HPC(LH−31))5.0gを順
次添加し、84℃に保って15分間攪拌し分散させた。
溶融混合物を1950rpm で回転している直径15cm
のアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下すること
により42/60メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0040】実施例6ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)54.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品工業(株)、商品名HB−31
0)1.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
化合物A 35.0g次いでアクリル酸系重合体(和光
純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)5.0g、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名L−HPC(LH−31))5.0gを順
次添加し、84℃に保って15分間攪拌し分散させた。
溶融混合物を1950rpm で回転している直径15cm
のアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下すること
により42/60メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0041】実施例7ウレアーゼ阻害剤含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)76.0gを秤量し、84℃に加熱溶融
した。これに化合物A 4.0g次いでアクリル酸系重合
体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)
10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
(信越化学工業(株)、商品名L−HPC(LH−3
1))10.0gを順次添加し、84℃に保って15分
間攪拌し分散させた。溶融混合物を1950rpm で回転
している直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分の
速度で滴下することにより42/60メッシュの球状の
細粒剤が得られた。
【0042】実験例1化合物A含有消化管粘膜付着性製剤の in vivo 抗ヘリ
コバクター・ピロリ(H.pylori)効果 ヘリコバクター・ピロリ(以下、HPと略称することが
ある)感染マウス(Crj:ICR)にランソプラゾール(以
下、LPZと略称することがある)含有0.5%メチル
セルロース懸濁液を皮下投与した。投与30分後に実施
例6で得られた化合物A含有消化管粘膜付着性製剤(表
1中、AdMMSと表記)、および化合物Aを含む1.0%N
aHCO3含有0.5%メチルセルロース懸濁液(表1
中、懸濁液と表記)を、化合物AとしてAdMMSは10mg
/kg、懸濁液は100mg/kgとなるように一日2回3日
間経口投与した。最終投与16時間後に胃を摘出し、胃
壁破砕物をHP選択培地に接種して微好気下に4日間培
養後、生菌数を測定した。結果を表1に示す。
【表1】 化合物A含有胃粘膜付着性製剤は懸濁液の1/10の投
与量で同等の抗H.pylori効果を示した。
【0043】実施例8アモキシシリン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワ
ックス101)75.0gを秤量し、95℃に加熱溶融
した。これにアモキシシリン1.5g次いでアクリル酸
系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー10
4)10.0g、カードラン(武田薬品工業(株))13.
5gを順次添加し、95℃に保って15分間攪拌し分散
させた。溶融混合物を1950rpm で回転している直径
15cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下す
ることにより42/60メッシュの球状の細粒剤が得ら
れた。
【0044】比較例1アモキシシリン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 カルナウバロウ(フロイント産業(株)、商品名 ポリシ
ングワックス−103)88.5gを秤量し、95℃に
加熱溶融した。これにアモキシシリン1.5g次いでア
クリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワ
コー104)10.0gを順次添加し、95℃に保って
15分間攪拌し分散させた。溶融混合物を1950rpm
で回転している直径15cmのアルミ製ディスクに10g
/分の速度で滴下することにより42/60メッシュの
球状の細粒剤が得られた。
【0045】実験例2アモキシシリン含有消化管粘膜付着性製剤のin vivo 抗
ヘリコバクター・ピロリ効果 H.pylori 感染砂ネズミ(MGS/Sea mongolian gerbil)
に実施例8で得られたアモキシシリン(AMPC)含有消化管
粘膜付着性製剤(表2中、AMPC-AdMMS-8と表記)、比較
例1で得られたAMPC含有消化管粘膜付着性製剤(表2
中、AMPC-AdMMS-C1と表記)およびAMPCを含む0.5%メ
チルセルロース懸濁液(表2中、AMPC懸濁液と表記)
を、AMPCとして10mg/kgとなるように一日2回3日間
経口投与した。最終投与16時間後に胃を摘出し、胃壁
破砕物をHP選択培地に接種して微好気下に4日間培養
後、生菌数を測定した。結果を表2に示す。表中、ND
は検出されなかったことを示す。
【表2】 いずれのAMPC含有消化管粘膜付着性製剤も懸濁液に比べ
抗HP効果増強作用を示したが、特に、カードラン配合
のAMPC含有消化管粘膜付着性製剤が高い効果を示した。
【0046】実施例9ウレアーゼ阻害剤含有胃粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイン産業(株)、商品名 ラブリワッ
クス101)78.0gを秤量し、84℃に加熱溶融し
た。これに化合物A 4.0g次いでアクリル酸系重合
体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)
8.0g、カードラン(武田薬品工業(株))10.0gを
順次添加し、84℃に保って15分間撹拌し分散させ
た。溶融混合物を1950rpm で回転している直径15
cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下するこ
とにより42/60メッシュの球状の細粒剤が得られ
た。
【0047】実施例10インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)60.0gを秤量し、80℃に加温
溶解した。これにインドールマイシンを30.0gついでア
クリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビス
ワコー104)6.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロース(信越化学工業(株)、商品名 L-HPC(LH-3
1))4.0gを順次添加し、80℃に保って2時間撹拌し分散
させた。溶融混合物を3960rpmで回転している直径15cm
のアルミ製ディスクに50g/分の速度で滴下することに
より42メッシュの篩を通過する球状の細粒剤が得られ
た。
【0048】実施例11インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)55.0gを秤量し、80℃に加温
溶解した。これにインドールマイシンを35.0gついでア
クリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビス
ワコー104)6.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロース(信越化学工業(株)、商品名 L-HPC(LH-31))
4.0gを順次添加し、80℃に保って2時間撹拌し分散させ
た。溶融混合物を3960rpmで回転している直径15cmのア
ルミ製ディスクに50g/分の速度で滴下することにより4
2メッシュの篩を通過する球状の細粒剤が得られた。
【0049】実施例12インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリ
ワックス101)40.0gおよびベヘン酸ヘキサ(テトラ)グ
リセリド(阪本薬品工業(株)、商品名 HB-310)30.0
gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにインドールマ
イシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和光純薬
(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0g、低置
換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名 L-HPC(LH-31))10.0gを順次添加し、8
5℃に保って2時間撹拌し分散させた。溶融混合物を2700
rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディスクに50g/
分の速度で滴下することにより42メッシュの篩を通過す
る球状の細粒剤が得られた。
【0050】実施例13インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)87.0gを秤量し、80℃に加温
溶解した。これにインドールマイシンを1.0gついでアク
リル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワ
コー104)8.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロ
ース(信越化学工業(株)、商品名 L-HPC(LH-31))4.
0gを順次添加し、80℃に保って2時間撹拌し分散させ
た。溶融混合物を2400rpmで回転している直径15cmのア
ルミ製ディスクに50g/分の速度で滴下することにより4
2メッシュの篩を通過する球状の細粒剤が得られた。
【0051】実施例14インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)を80℃に加温溶解したものを
1800rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディスクに5
0g/分の速度で滴下することにより42/119メッシ
ュの核粒子150gを得た。インドールマイシン250gつ
いでアクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハ
イビスワコー104)50g、低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロース(信越化学工業(株)、商品名 LH-31)5
0gをHigh Speed Mixerに投入し、約1分間撹拌した。つ
いで核粒子を加え70℃に保って、500rpmで撹拌すること
により42メッシュの篩を通過する球状の細粒剤が得られ
た。
【0052】実施例15インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)59.5gおよびテトラグリセリ
ンポリリシノレート(阪本薬品工業(株)、商品名 CR
S-75)0.5gを秤量し、80℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを30.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)6.0g、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名 LH-31)4.0gを順次添加し、80℃に保
って2時間撹拌し分散させた。溶融混合物を3960rpmで回
転している直径15cmのアルミ製ディスクに50g/分の速
度で滴下することにより42メッシュの篩を通過する球状
の細粒剤が得られた。
【0053】実施例16インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)30.0gおよび硬化ヒマシ油
(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワックス10
1)40.0gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0
g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学
工業(株)、商品名 LH-31)10.0gを順次添加し、85℃
に保って2時間撹拌し分散させた。溶融混合物を3960rpm
で回転している直径15cmのアルミ製ディスクに50g/分
の速度で滴下することにより42/119メッシュの球状の細
粒剤が得られた。
【0054】実施例17インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製 造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)30.0gおよび硬化ヒマシ油
(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワックス10
1)40.0gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0
g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学
工業(株)、商品名 LH-22)10.0gを順次添加し、85℃
に保って2時間撹拌し分散させた。溶融混合物を3960rpm
で回転している直径15cmのアルミ製ディスクに50g/分
の速度で滴下することにより42/119メッシュの球状の細
粒剤が得られた。
【0055】実施例18インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)30.0gおよび硬化ヒマシ油
(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワックス10
1)40.0gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0
g、カードラン(武田薬品工業(株))10.0gを順次添加
し、85℃に保って2時間撹拌し分散させた。溶融混合物
を3960rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディスク
に50g/分の速度で滴下することにより42/119メッシュ
の球状の細粒剤が得られた。
【0056】比較例2インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)30.0gおよび硬化ヒマシ油
(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワックス10
1)40.0gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0
g、部分α化デンプン(旭化成工業(株)、商品名 PC
S)10.0gを順次添加し、85℃に保って2時間撹拌し分散
させた。溶融混合物を3960rpmで回転している直径15cm
のアルミ製ディスクに50g/分の速度で滴下することに
より42/119メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0057】比較例3インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤の製造 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品工業
(株)、商品名 HB-310)30.0gおよび硬化ヒマシ油
(フロイント産業(株)、商品名 ラブリワックス10
1)40.0gを秤量し、85℃に加温溶解した。これにイン
ドールマイシンを10.0gついでアクリル酸系重合体(和
光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)10.0
g、ヒドロキシプロピルスターチ(フロイント産業
(株)、商品名 HPS)10.0gを順次添加し、85℃に保っ
て2時間撹拌し分散させた。溶融混合物を3960rpmで回転
している直径15cmのアルミ製ディスクに50g/分の速度
で滴下することにより42/119メッシュの球状の細粒剤が
得られた。
【0058】実験例3インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤のin viv
o抗ヘリコバクター・ピロリ効果 ヘリコバクター・ピロリ(以下、HPと略称することがあ
る)感染マウス(Crj:ICR)に実施例16,17および
18で得られたインドールマイシン含有消化管粘膜付着
性製剤(表中、IDM-AdMMS-16、IDM-AdMMS-17およびIDM-A
dMMS-18と表記)、比較実施例2および3で得られたイン
ドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤(表中、IDM-A
dMMS-C2およびIDM-AdMMS-C3と表記)を、インドールマイ
シンとして30mg/kgとなるように一日2回1日経口投与し
た。最終投与16時間後に胃を摘出し、胃破砕物をHP選択
培地に接種して微好気下に4日間培養後、生菌数を測定
し、除菌率を求めた。結果を表3に示した。
【表3】 膨潤剤としてLH-31、LH-22、カードランを用いた消化管
粘膜付着性製剤はPCS、HPSを用いたものに比べ優れた除
菌効果を示した。
【0059】実験例4インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤のin viv
o抗ヘリコバクター・ピロリ効果 ヘリコバクター・ピロリ感染スナネズミ(MON/Jms/Gb
s)に実施例13で得られたインドールマイシン含有消
化管粘膜付着性製剤(表中、AdMMSと表記)、およびイン
ドールマイシンを含む0.5%メチルセルロース懸濁液
(表中、懸濁液と表記)を、インドールマイシンとして
AdMMSは1mg/kg、懸濁液は10mg/kgとなるように一日2回7
日間経口投与した。最終投与16時間後に胃を摘出し、胃
破砕物をHP選択培地に接種して微好気下に4日間培養
後、生菌数を測定し、除菌率を求めた。結果を表4に示
した。
【表4】 インドールマイシン含有消化管粘膜付着性製剤は懸濁液
の1/10の投与量で同等のHP除菌効果を示した。
【0060】
【発明の効果】粘性物質の膨潤剤を含有する、本発明に
係る消化管付着性組成物は消化管粘膜に対する付着性に
優れ、薬効成分の効果を飛躍的に向上させる。とくに、
抗ヘリコバクター・ピロリ剤を含有する本発明製剤は、
消化管粘膜に付着および/または消化管内に滞留、とり
わけ胃粘膜に付着および/または胃内に滞留して抗ヘリ
コバクター・ピロリ剤を放出することができ、さらにそ
の除菌、殺菌作用を増強しうるので、ヘリコバクター・
ピロリ感染の治療に極めて有用である。また、ヘリコバ
クター・ピロリ感染に起因する各種消化管疾患(例え
ば、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等)の予防、治療、再
発防止においても有用である。

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水で粘性を生じる物質の膨潤剤を含有する
    消化管粘膜付着性医薬組成物。
  2. 【請求項2】水で粘性を生じる物質の膨潤剤がカードラ
    ンおよび/または低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
    スである請求項1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/ま
    たは脂質を含むマトリックス製剤である請求項2記載の
    医薬組成物。
  4. 【請求項4】カードランおよび/または低置換度ヒドロ
    キシプロピルセルロースがマトリックス中に含まれる請
    求項3記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】マトリックスが顆粒である請求項4記載の
    医薬組成物。
  6. 【請求項6】抗ヘリコバクター・ピロリ剤である請求項
    1記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】抗菌剤である請求項1記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの
    ヒドロキシプロポキシル基含量が約7.0乃至約13.
    0%である請求項2記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】脂質が硬化ヒマシ油である請求項3記載の
    医薬組成物。
  10. 【請求項10】ポリグリセリン脂肪酸エステルが重合度
    約2乃至約20のポリグリセリンと炭素数約8乃至約4
    0の脂肪酸とのエステルである請求項3記載の医薬組成
    物。
  11. 【請求項11】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/
    または脂質を組成物中約20乃至約95重量%含有する
    請求項3記載の医薬組成物。
  12. 【請求項12】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/
    または脂質の含量が医薬組成物中の薬物に対して約0.
    1乃至約100重量倍である請求項3記載の医薬組成
    物。
  13. 【請求項13】水で粘性を生じる物質がマトリックス中
    に含まれる請求項3記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】水で粘性を生じる物質を約0.5乃至約
    45重量%含有する請求項12記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB
    が約1乃至約9である請求項3記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質を約
    10乃至約50重量%含有する請求項6記載の医薬組成
    物。
  17. 【請求項17】マトリックスが水で粘性を生じる物質を
    含むコーティング剤で被覆されている請求項3記載の医
    薬組成物。
  18. 【請求項18】水で粘性を生じる物質がアクリル酸系重
    合体またはその塩である請求項13または請求項17記
    載の医薬組成物。
  19. 【請求項19】抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がア
    モキシシリンである請求項16記載の組成物。
  20. 【請求項20】抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がN
    −(ジアミノホスフィニル)−5−メチル−2−チオフェ
    ンカルボン酸アミドである請求項16の記載組成物。
  21. 【請求項21】抗ヘリコバクター・ピロリ剤がトリプト
    ファニルt−RNA合成酵素阻害剤である請求項6記載
    の組成物。
  22. 【請求項22】抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がオ
    キサゾロン誘導体である請求項16記載の組成物。
  23. 【請求項23】抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がイ
    ンドールマイシンである請求項16記載の組成物。
  24. 【請求項24】カードランおよび/または低置換度ヒド
    ロキシプロピルセルロースを含有する、消化管付着性医
    薬組成物用の消化管粘膜付着増強剤。
  25. 【請求項25】消化管粘膜付着性医薬組成物の消化管粘
    膜付着性をカードランおよび/または低置換度ヒドロキ
    シプロピルセルロースの使用により増強する方法。
  26. 【請求項26】消化管粘膜付着性医薬組成物の消化管粘
    膜付着増強剤としてのカードランおよび/または低置換
    度ヒドロキシプロピルセルロースの使用。
  27. 【請求項27】ヘリコバクター・ピロリが関連する消化
    器系疾患の予防、治療、再発防止剤である請求項6記載
    の医薬組成物。
  28. 【請求項28】(i)低置換度ヒドロキシプロピルセル
    ロース、(ii)アクリル酸重合体またはその塩、(i
    ii)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂
    質、および(iv)抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質
    を含有する請求項3記載の医薬組成物。
  29. 【請求項29】(i)低置換度ヒドロキシプロピルセル
    ロースのヒドロキシプロポキシル基含量が約7.0%乃
    至約13.0%であり、(ii)アクリル酸重合体また
    はその塩の分子量が約20万乃至約600万であり、
    (iii)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/また
    は脂質がベヘン酸テトラ(ヘキサ)グリセリドおよび/
    またはテトラグリセリンポリリシノレートであり、かつ
    (iv)抗ヘリコバクター・ピロリ作用物質がインドー
    ルマイシンである請求項28記載の医薬組成物。
  30. 【請求項30】(i)ヒドロキシプロポキシル基含量が
    約7.0乃至約13.0%の低置換度ヒドロキシプロピ
    ルセルロースを約1乃至約20重量部、(ii)分子量
    が約20万乃至約600万のアクリル酸重合体またはそ
    の塩を約1乃至約20重量部、(iii)ベヘン酸テト
    ラ(ヘキサ)グリセリドおよび/またはテトラグリセリ
    ンポリリシノレートを約40乃至約90重量部、インド
    ールマシンを約5乃至約40重量部含有する請求項3記
    載の医薬組成物。
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