JPH11130696A - 経口徐放性製剤 - Google Patents

経口徐放性製剤

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JPH11130696A
JPH11130696A JP24075998A JP24075998A JPH11130696A JP H11130696 A JPH11130696 A JP H11130696A JP 24075998 A JP24075998 A JP 24075998A JP 24075998 A JP24075998 A JP 24075998A JP H11130696 A JPH11130696 A JP H11130696A
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preparation according
fatty acid
matrix
degrading enzyme
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JP24075998A
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English (en)
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Yasutaka Igari
康孝 猪狩
Yoko Akiyama
洋子 秋山
Masato Iwasaki
真人 岩崎
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経口投与された後、哺乳動物の消化管内に長期
に付着滞留し、持続的に炭水化物分解酵素阻害剤を徐放
することにより、食後の高血糖抑制などを通じ効果的に
糖尿病の予防・治療効果を奏する製剤を提供する。 【解決手段】炭水化物分解酵素阻害剤を含有する経口徐
放性製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、より効果的で、か
つコンプライアンスの改善が図れる抗糖尿病薬として有
用な経口徐放製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】炭水化物分解酵素阻害剤としては、例え
ば特開昭57−200335などに記載のN−(1,3
−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミンや特
公昭54−39474に記載のアカルボースなどで代表
されるα−グルコシダーゼ阻害剤が知られているが、通
常、これらを含有する医薬製剤は食事ごとに投与される
べき形態の製剤であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】炭水化物分解酵素阻害
剤、とりわけα−グルコシダーゼ阻害剤は、消化管粘膜
に存在する炭水化物分解酵素に競合拮抗的に作用し、二
糖から単糖への分解を阻害あるいは遅延させ、経口投与
により食後血糖上昇を抑制する作用を有する新しいタイ
プの糖尿病用薬であるが、食事ごとの投与が必要であっ
た。十分な血糖上昇抑制効果を得るためには、炭水化物
分解酵素阻害剤が消化管内で炭水化物分解酵素と接触す
る必要があるため、長時間消化管内に滞留し、炭水化物
分解酵素阻害剤が徐放されることにより、その効果を増
強させる新しい製剤の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み、より強い薬効を示す、かつより安全性の高い
食後過血糖を抑制する医薬製剤について検討したとこ
ろ、炭水化物分解酵素阻害剤を含有する経口徐放性製
剤、とりわけ消化管粘膜付着性製剤や胃内浮遊製剤、形
状記憶ポリマーを用いる胃内滞留製剤で、代表されるよ
うな消化管内滞留延長型の製剤では、炭水化物分解酵素
阻害剤の作用が増強することを見出し、さらに検討を重
ねて本発明を完成した。即ち、本発明は、 (1)炭水化物分解酵素阻害剤を含有する経口徐放性製
剤; (2)経口徐放性製剤が消化管内滞留延長型製剤である
前記(1)記載の製剤; (3)消化管内上部滞留延長型である前記(2)記載の
製剤; (4)炭水化物分解酵素阻害剤がα−グルコシダーゼ阻
害剤である前記(1)記載の製剤; (5)消化管粘膜付着性である前記(1)記載の製剤; (6)ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂
質よりなるマトリックスを含有する前記(1)記載の製
剤; (7)さらに水で粘性を生じる物質を含有する前記
(6)記載の製剤; (8)炭水化物分解酵素阻害剤がマトリックス中に含有
されている前記(6)記載の製剤; (9)水で粘性を生じる物質がマトリックス中に含まれ
る前記(7)記載の製剤; (10)マトリックスが水で粘性を生じる物質で被覆さ
れている前記(7)記載の製剤; (11)炭水化物分解酵素阻害剤がボグリボースである
前記(1)記載の製剤; (12)抗糖尿病薬用である前記(1)記載の製剤; (13)固形製剤である前記(1)記載の製剤; (14)固形製剤が細粒剤または顆粒剤である前記(1
3)記載の製剤; (15)炭水化物分解酵素阻害剤が、製剤全体に対し、
約0.05〜約5.0重量%含有される前記(1)記載
の製剤; (16)ポリグリセリン脂肪酸エステルが約200〜約
5000の分子量を有する前記(6)記載の製剤; (17)ポリグリセリン脂肪酸エステルが1〜15の親
水性親油性バランスを有する前記(6)記載の製剤; (18)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭水化物分
解酵素阻害剤に対し、約0.01〜約10000重量倍
使用される前記(6)記載の製剤; (19)水で粘性を生じる物質がアクリル酸重合体また
はその塩である前記(7)記載の製剤;および (20)水で粘性を生じる物質が、マトリックス全体に
対し、約0.05〜約99重量%含有される前記(7)
記載の製剤に関する。
【0005】本発明において使用される炭水化物分解酵
素阻害剤としては、アミラーゼ阻害剤、α−グルコシダ
ーゼ阻害剤などが含まれ、好ましくはα−グルコシダー
ゼ阻害剤が挙げられる。このようなα−グルコシダーゼ
阻害剤としては、例えば特開昭57−200335号、特開昭58
−59946号、特開昭58−162597号、特開昭58−216145
号、特開昭59−73549号および特開昭59−95297号などの
明細書に記載の一般式:
【化1】 [式中、Aは水酸基,フェノキシ,チエニル,フリル,
ピリジル,シクロヘキシル,置換されていてもよいフェ
ニル基を有しうる炭素数1ないし10の鎖状炭化水素
基;水酸基,ヒドロキシメチル基,メチル基,アミノ基
を有しうる炭素数5,6員の環状炭化水素基または糖残
基を示す]で表されるバリオールアミン誘導体が挙げら
れる。上記一般式[I]におけるAには、例えば炭素数1
ないし10の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂
肪族炭化水素基が含まれ、これは水酸基,フェノキシ,
チエニル,フリル,ピリジル,シクロヘキシル,置換さ
れていてもよいフェニル基などの基によって置換されて
いてもよい。また、ここでいう、置換されていてもよい
フェニル基の置換基としては、低級(C1-6)アルキル
基、低級(C1-6)アルコキシ基、ハロゲン(例、塩
素、臭素、フッ素、ヨウ素)、フェニル基などが挙げら
れる。また、Aには炭素数5,6員の環状炭化水素基お
よび糖残基が含まれる。これらは、水酸基,ヒドロキシ
メチル基,メチル基,アミノ基を置換基として有してい
てもよい。ここでいう糖残基とは、糖類の分子から水素
原子1個を除いた残りの基を意味し、例えば単糖類、少
糖類から導かれた糖残基が挙げられる。これらの誘導体
は、例えば塩酸などの無機酸あるいはクエン酸などの有
機酸と塩を形成しているものであってもよい。
【0006】一般式[I]で表わされるN−置換バリオー
ルアミン誘導体の具体例としては、例えば (1)N−フェネチルバリオールアミン; (2)N−(3−フェニルアリル)バリオールアミン; (3)N−フルフリルバリオールアミン; (4)N−テニルバリオールアミン; (5)N−(3−ピリジルメチル)バリオールアミン; (6)N−(4−ブロモベンジル)バリオールアミン; (7)N−[(R)−β−ヒドロキシフェネチル]バリオール
アミン; (8)N−[(S)−β−ヒドロキシフェネチル]バリオール
アミン; (9)N−(β−ヒドロキシ−2−メトキシフェネチル)バ
リオールアミン; (10)N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)バリオールアミン; (11)N−(シクロヘキシルメチル)バリオールアミン; (12)N−ゲラニルバリオールアミン; (13)N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオ
ールアミン; (14)N−(1,3−ジヒドロキシ−1−フェニル−2−プ
ロピル)バリオールアミン; (15)N−[(R)−α−(ヒドロキシメチル)ベンジル]バリ
オールアミン;
【0007】(16)N−シクロヘキシルバリオールアミ
ン; (17)N−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)バリオールア
ミン; (18)N−[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロヘキシ
ル]バリオールアミン; (19)N−(2−ヒドロキシシクロペンチル)バリオールア
ミン; (20)メチル 4−[(1S,2S)−(2,4,5(OH)/3,
5)−2,3,4,5−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキ
シメチル)シクロヘキシル]アミノ−4,6−ジデオキシ
−α−D−グルコピラノシド; (21)メチル 4−[(1S,2S)−(2,4,5(OH)/3,
5)−2,3,4,5−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキ
シメチル)シクロヘキシル]アミノ−4−デオキシ−α−
D−グルコピラノシド; (22)[(1S,2S)−(2,4,5(OH)/3,5)−2,3,
4,5−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シ
クロヘキシル] [(1R,2S)−(2,6/3,4)−4−ア
ミノ−2,3−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)
シクロヘキシル]アミン; (23)N−[(1R,2S)−(2,4/3,5)−2,3,4−ト
リヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシ
ル]バリオールアミン;
【0008】(24)N−[(1R,2S)−(2,6/3,4)−
4−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−6−メチルシクロ
ヘキシル]バリオールアミン; (25)N−[(1R,2S)−(2,6/3,4)−2,3,4−ト
リヒドロキシ−6−メチルシクロヘキシル]バリオール
アミン; (26)N−[(1R,2S)−(2,4,6/3)−2,3,4−ト
リヒドロキシ−6−メチルシクロヘキシル]バリオール
アミン; (27)4−O−α−[4−[((1S)−(1,2,4,5(OH)
/3,5)−2,3,4,5−テトラヒドロキシ−5−(ヒド
ロキシメチル)シクロヘキシル)アミノ]−4,6−ジデオ
キシ−D−グルコピラノシル]−D−グルコピラノー
ス; (28)1,6−アンヒドロ−4−O−α−[4−[((1S)−
(1,2,4,5(OH)/3,5)−2,3,4,5−テトラヒ
ドロキシ−5−C−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシ
ル)アミノ]−4,6−ジデオキシ−D−グルコピラノシ
ル]−β−D−グルコピラノースなどが挙げられる。
【0009】就中、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プ
ロピル)バリオールアミン、すなわち[2−ヒドロキシ
−1−(ヒドロキシメチル)エチル]バリオールアミン
又は1L(1S)−(1(OH),2,4,5/1,3)−5−
[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]ア
ミノ]−1−C−(ヒドロキシメチル)−1,2,3,4−シ
クロヘキサンテトロール(以下、ボグリボースと称する
ことがある。)が特に好ましい。また、特開昭57−6464
8号公報等に記載の一般式:
【化2】 [式中、A' は水酸基,フェノキシ,チエニル,フリ
ル,ピリジル,シクロヘキサン,置換されていてもよい
フェニル(置換基としては、Aに関して述べたような、
低級(C1-6)アルキル基、低級(C1-6)アルコキシ
基、ハロゲン及びフェニル基などが挙げられる)を有し
うる炭素数1ないし10の鎖状炭化水素基;水酸基,ヒ
ドロキシメチル基,メチル基,アミノ基を有しうる炭素
数5,6員の環状炭化水素基または糖残基を示す。]で表
わされるバリエナミンN−置換誘導体や、特開昭57−11
4554号公報等に記載の一般式:
【化3】 [式中、A'' は水酸基,フェノキシ,チエニル,フリ
ル,ピリジル,シクロヘキサン,(A及びA' に関して
述べたのと同様な置換基で)置換されていてもよいフェ
ニルを有しうる炭素数1ないし10の鎖状炭化水素基;
水酸基,ヒドロキシメチル基,メチル基,アミノ基を有
しうる炭素数5,6員の環状炭化水素基または糖残基を
示す。]で表わされるバリダミンのN−置換誘導体もα
−グルコシダーゼ阻害剤として好適に使用される。
【0010】さらに、アカルボース[(acarbose),BA
Yg 5421,ナツールヴイッセンシャフテン(Naturwissen
schaften),第64巻,535〜537頁(1997年),特公昭54−3
9474]、トレスタチン[(trestatin),ザ・ジャーナル・
オブ・アンティバイオティクス(J. Antibiotics),第36
巻,1157〜1175頁(1983年)および第37巻,182〜186頁(1
984年);特開昭54−163511]、アディポシン[(adiposin
s),ザ・ジャーナル・オブ・アンティバイオティクス
(J. Antibiotics),第35巻,1234〜1236頁(1982年);澱
粉化学(J. Jap. Soc. Starch Sci.),第26巻,134〜144
頁(1979年),第27巻,107〜113頁(1980年);特開昭54−
106402;特開昭54−106403;特開昭55−64509;特開昭5
6−123986;特開昭56−125398]、アミロスタチン[(amyl
ostatins),アグリカルチュラル・アンド・バイオロジ
カル・ケミストリー(Agric. Biol.Chem.),第46巻,194
1〜1945頁(1982年);特開昭50−123891;特開昭55−714
94;特開昭55−157595]、オリゴスタチン[(oligostatin
s),SF−1130X,特開昭53−26398;特開昭56−4329
4,ザ・ジャーナル・オブ・アンティバイオティクス(J.
Antibiotics),第34巻,1424〜1433頁(1981年)]、アミ
ノ糖化合物(特開昭54−92909)などもα−グルコシダー
ゼ阻害剤として使用できる。なお、上記の化合物を含む
微生物起源のα−グルコシダーゼ阻害物質については、
エー・トルシヤイト(E. Truscheit)らの総説[アンゲバ
ンテ・ヘミー(Angewandte Chemie),第93巻,738〜755
頁(1981年)]が報告されている。
【0011】さらにまた、アカルボース(acarbose)およ
びオリゴスタチンC(oligostatinsC)のメタノリシスに
より得られるメチル4−[(1S,6S)−(4,6/5)−
4,5,6−トリヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−2
−シクロヘキセン−1−イル]アミノ−4,6−ジデオキ
シ−α−D−グルコピラノシド[第182回アメリカ化学会
講演要旨集(182nd ACS National meeting Abstracts
paper)MEDI 69,1981年8月,ニューヨーク;ザ・
ジャーナル・オブ・アンティバイオティクス(J. Antibi
otics),第34巻,1429〜1433頁(1981年);および特開昭
57−24397]、1−デオキシノジリマイシン[(1−deoxyn
ojirimycin), ナツールヴイッセンシャフテン(Naturwis
senschaften),第66巻,584〜585頁(1979年)]およびそ
のN−置換誘導体、例えばBAYm 1099やBAYo 1248
[ザ・ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲ
ーション(J. Clin. Invest.),第14巻(2−II),47(198
4);ダイアベトロジア第27巻(2),288A,346A,323
A(1984)]などもα−グルコシダーゼ阻害剤として使用
しうる。これらの炭水化物分解酵素阻害剤は、二種以上
を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。本発明の経
口徐放性製剤において、炭水化物分解酵素阻害剤は、用
いる他の成分によっても異なるが、製剤全体に対し、通
常約0.01〜約50%(w/w)、好ましくは約0.0
5〜約5.0%(w/w)、さらに好ましくは約0.1〜
約1.0%含有される。
【0012】本発明の経口徐放性製剤は、投与後、炭水
化物分解酵素阻害剤の放出制御が可能ないずれの形態で
もよい。このような放出制御型製剤としては、とりわけ
経口投与に適した型のものがよく、マトリックス型など
の拡散型や膨潤型など炭水化物分解酵素阻害剤の放出を
制御するものが特に好ましい。本発明の経口徐放性製剤
としては、好ましくは消化管内滞留延長型製剤で消化管
粘膜に付着乃至は消化管内で浮遊あるいは膨潤などし
て、長く滞留するものがよい。また、本発明の経口徐放
性製剤は、炭水化物分解酵素阻害剤を適当な速度で徐々
に放出するか、断続ないし間欠的に放出しながら消化管
内滞留時間を延長し、あるいは食事の刺激により炭水化
物分解酵素阻害剤を長時間に亘り放出して、炭水化物分
解酵素阻害剤と炭水化物分解酵素とを接触させることに
よって、薬効を発揮、増強する製剤であればよい。ここ
で消化管内の滞留時間は、好ましくは数時間から約20
時間程度、少なくとも約3〜約4時間(好ましくは約4
〜約5時間)から約12時間程度である。また、滞留部
位としては、消化管のうちでも、炭水化物分解酵素が存
在する消化管部位あるいはこれの上部消化管が好まし
い。とりわけ胃、十二指腸、小腸上部までの消化管に長
く滞留するのが、炭水化物分解酵素との接触の点で好適
である。このような消化管内滞留延長型製剤としては、
好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/また
は脂質よりなるマトリックスを含有する製剤などが挙げ
られる。消化管粘膜付着性製剤にするには、さらに好ま
しくは、水で粘性を生じる物質(以下、粘性物質と略記
することもある)を含有する消化管内滞留延長型マトリ
ックスを含有させるのがよく、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/または脂質および粘性物質を配合してな
る消化管内滞留延長型マトリックスが用いられる。消化
管内滞留延長型マトリックスとしては、ポリグリセリン
脂肪酸エステルおよび/または脂質を含むマトリックス
の中に粘性物質が分散しているもの、またはそのマトリ
ックスが粘性物質で被覆されているものなどが好まし
い。消化管内滞留延長型マトリックスの融点は、例えば
約30〜約120℃、好ましくは約40〜約120℃で
ある。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグ
リセリンと脂肪酸のエステルである限り、モノエステル
およびジエステル、トリエステル等のポリエステルのい
ずれでもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、結晶
多形を示さず、しかも炭水化物分解酵素阻害剤との相互
作用が殆どないという特性を有するため、炭水化物分解
酵素阻害剤と共存する場合、炭水化物分解酵素阻害剤が
殆ど失活せず、長期にわたり安定である。
【0013】ポリグリセリンは、「1分子中にn個(環
状)〜(n+2)個(直鎖・分枝状)の水酸基と、(n
―1)個(直鎖・分枝状)〜n個(環状)のエーテル結
合を有する多価アルコール」{“ポリグリセリンエステ
ル”阪本薬品工業株式会社編集、発行(1994年10月4
日)}であり、直鎖もしくは分枝状のいずれでもよい。
ポリグリセリンとしては、例えば式:
【化4】 (式中、nは重合度を示し、2以上の整数である。)で
表される化合物などが使用できる。nは、通常2〜5
0、好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜10で
ある。該ポリグリセリンの具体例としては、例えばジグ
リセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタ
グリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オ
クタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ペ
ンタデカグリセリン、エイコサグリセリン、トリアコン
タグリセリンなどが挙げられる。これらポリグリセリン
の中で、例えばテトラグリセリン、ヘキサグリセリン、
デカグリセリンなどが汎用される。脂肪酸としては、例
えば炭素数8〜40、好ましくは炭素数12〜22の飽
和または不飽和脂肪酸などが挙げられる。該脂肪酸とし
ては、例えばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、
リノール酸、ベヘン酸などが好ましい。
【0014】ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例と
しては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド、
カプリル酸モノ(デカ)グリセリド、カプリル酸ジ(ト
リ)グリセリド、カプリン酸ジ(トリ)グリセリド、ラ
ウリン酸モノ(テトラ)グリセリド、ラウリン酸モノ
(ヘキサ)グリセリド、ラウリン酸モノ(デカ)グリセ
リド、オレイン酸モノ(テトラ)グリセリド、オレイン
酸モノ(ヘキサ)グリセリド、オレイン酸モノ(デカ)
グリセリド、オレイン酸ジ(トリグリセリド、オレイン
酸ジ(テトラ)グリセリド、オレイン酸セスキ(デカ)
グリセリド、オレイン酸ペンタ(テトラ)グリセリド、
オレイン酸ペンタ(ヘキサ)グリセリド、オレイン酸デ
カ(デカ)グリセリド、リノール酸モノ(ヘフタ)グリ
セリド、リノール酸ジ(トリ)グリセリド、リノール酸
ジ(トリ)グリセリド、リノール酸ジ(テトラ)グリセ
リド、リノール酸ジ(ヘキサ)グリセリド、ステアリン
酸モノ(ジ)グリセリド、ステアリン酸モノ(テトラ)
グリセリド、ステアリン酸ペンタ(テトラ)グリセリ
ド、ステアリン酸モノ(デカ)グリセリド、ステアリン
酸トリ(テトラ)グリセリド、ステアリン酸ペンタ(ヘ
キサ)グリセリド、ステアリン酸トリ(ヘキサ)グリセ
リド、ステアリン酸デカ(デカ)グリセリド、パルミチ
ン酸モノ(テトラ)グリセリド、パルミチン酸モノ(ヘ
キサ)グリセリド、パルミチン酸モノ(デカ)グリセリ
ド、パルミチンテ酸トリ(テトラ)グリセリド、パルミ
チン酸トリ(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸セスキ
(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸ペンタ(テトラ)
グリセリド、パルミチン酸ペンタ(ヘキサ)グリセリ
ド、パルミチン酸デカ(デカ)グリセリドなどが挙げら
れる。
【0015】好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルと
しては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド
(例えば阪本薬品(株)製、商品名HB−310、理研ビ
タミン(株)製、ポエムJ−46Bなど)、ステアリン酸
ペンタ(テトラ)グリセリド(例えば阪本薬品(株)
製、商品名PS−310など)、ステアリン酸モノ(テ
トラ)グリセリド(例えば阪本薬品(株)製、商品名M
S−310など)、ステアリン酸ペンタ(ヘキサ)グリ
セリド(例えば阪本薬品(株)製、商品名PS−500
など)、ステアリン酸モノ(デカ)グリセリドまたはそ
れらの混合物などが挙げられる。上記したポリグリセリ
ン脂肪酸エステルは、2種以上、好ましくは2ないし3
種の混合物として用いてもよい。ポリグリセリン脂肪酸
エステルの分子量は、通常約200〜約5000、好ま
しくは約300〜約2000、さらに好ましくは約50
0〜約2000である。ポリグリセリン脂肪酸エステル
のHLB(親水性親油性バランス(Hydrophile-lipophi
le balance))は、通常1〜22、好ましくは1〜1
5、さらに好ましくは1〜9、特に好ましくは2〜9程
度である。HLBの異なる2種以上のポリグリセリン脂
肪酸エステルを適宜混合して目的とするHLBを調整し
てもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBを調
整すると、炭水化物分解酵素阻害剤の放出性および溶出
性をコントロールできる。
【0016】ポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭水化
物分解酵素阻害剤、さらには、併用する粘性物質および
マトリックスの形態に応じて適宜選択することができる
が、好ましくは常温(約15℃)で固型のものが使用さ
れる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点は、例え
ば、約15℃〜約80℃、好ましくは約30℃〜約75
℃、さらに好ましくは約45℃〜約75℃程度である。
2種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを混合物とし
て使用する場合、消化管内滞留延長型マトリックスが常
温で固型である限り、液状のポリグリセリン脂肪酸エス
テルと併用してもよい。消化管内滞留延長型マトリック
スとして、ポリグリセリン脂肪酸エステルが用いられる
場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用量は、例え
ば重量換算で、経口徐放性製剤中の炭水化物分解酵素阻
害剤に対して、約0.01〜約10000倍、好ましく
は約0.1〜約2000倍である。脂質としては、融点
約40〜約120℃、好ましくは約40〜約90℃のも
のが用いられる。
【0017】脂質としては、例えば炭素数14〜22の
飽和脂肪酸(例えばミリスチン酸、ステアリン酸、パル
ミチン酸、べヘン酸)またはその塩(例えばナトリウム
塩、カリウム塩);炭素数16〜22の高級アルコール
(例えばセチルアルコール、ステアリルアルコールな
ど);上記脂肪酸とのモノグリセリド、ジグリセリド、
トリグリセリド(例えば1−モノステアリン、1−モノ
パルミチン)などである脂肪酸グリセリンエステル;油
脂類(例えば、ヒマシ油、綿実油、牛脂など)およびこ
れらの硬化油;ロウ(例えば、ミツロウ、カルナウバロ
ウ、鯨ロウなど);炭化水素類(例えばパラフィン、マ
イクロクリスタリン、ワックスなど);ホスホリピッド
(例えば水添レシチンなど)などが挙げられる。これら
の脂質のなかで、付着性の点では例えば炭素数14〜2
2の飽和脂肪酸、炭素数16〜22の高級アルコール、
油脂類またはその硬化油、ロウ類、炭化水素類などが好
ましく、より具体的には、硬化綿実油、硬化ヒマシ油、
硬化大豆油、カルナウバロウ、ステアリン酸、ステアリ
ルアルコール、マイクロクリスタリンワックスなどが好
ましい。脂質は、特に好ましくは硬化ヒマシ油、カルナ
ウバロウである。また炭水化物分解酵素阻害剤の持続放
出性乃至徐放性の点では、硬化ヒマシ油、カルナウバロ
ウ、マイクロクリスタリンワックスが特に好ましい。消
化管内滞留延長型マトリックスとして脂質が用いられる
場合、脂質の使用量は、炭水化物分解酵素阻害剤に対し
て、約0.01〜約10000倍、好ましくは約0.1〜
約1000倍である。
【0018】前記ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび
脂質は混合して用いてもよく、例えばポリグリセリン脂
肪酸エステルとロウ類との混合物、ポリグリセリン脂肪
酸エステルと硬化油との混合物などが用いられる。具体
的には、べヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド、ステア
リン酸ペンタ(テトラ)グリセリドおよびステアリン酸
ペンタ(ヘキサ)グリセリトから選ばれる1種または2
種以上と、カルナウバロウ、硬化ヒマシ油およびマイク
ロクリスタリンワックスから選ばれる1種または2種以
上との混合物が用いられる。水で粘性を生じる物質(粘
性物質)は、水により粘性が発現し、消化管粘膜に対し
て付着性を示すとともに、製剤的に許容される物質であ
れば特に制限されない。この中で、水により膨潤し、著
しく増粘する物質が好ましい。粘性物質としては、例え
ばポリマー、天然粘性物質などが挙げられる。該ポリマ
ーとしては、20℃における該ポリマーの2%水溶液の
粘度が、約3〜約50000cps、好ましくは約10〜
約30000cps、さらに好ましくは約3〜約3000
0cpsを示すものが好適である。但し、中和により増粘
するポリマーの場合には、20℃における0.2%中和
液の粘度が、約100〜約500000cps、好ましく
は約100〜約200000cps、さらに好ましくは約
1500〜約1000000cpsを示すポリマーが好ま
しい。上記ポリマーとしては、好ましくは酸性ポリマー
が挙げられ、その例としては、カルボキシル基、スルホ
基またはこれらの塩を有するポリマーが挙げられる。ポ
リマーは、特に好ましくはカルボキシル基またはその塩
を有するポリマーである。
【0019】カルボキシル基またはその塩を有するポリ
マーとしては、例えばアクリル酸を構成モノマーとする
アクリル酸系重合体(共重合体も含む)とその塩が挙げ
られる。該塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩など
の1価の金属塩;マグネシウム、カルシウム塩などの2
価の金属塩などが挙げられる。アクリル酸系重合体また
はその塩としては、例えばカルボキシル基を約58〜約
63重量%含み、分子量約20万〜約600万、好まし
くは約100万〜約600万、さらに好ましくは約10
0万〜約500万のポリマーが挙げられる。好ましいア
クリル酸系重合体またはその塩には、アクリル酸単独重
合体とその塩も含まれる。また、アクリル酸系重合体
は、架橋型アクリル酸系重合体であることが好ましい。
このようなポリマーは、日本薬局方外医薬品規格(19
86年10月)にカルボキシビニルポリマーとして記載
されている。前記ポリマーの具体例としては、例えばカ
ーボマー(商品名:カーボポール(以下、カーボポール
と称する)ザ・ビーエフグッドリッチ社(The B.F.Goodr
ich Company)940、934、934P.941、13
42、974P(NF XVIII)など、ハイビスワコー10
3、104、105(和光純薬株式会社)、NOVEON AA1(T
he B.F.Goodrich Company)、カルシウムポリカーボフィ
ル(USP XXIII)などが挙げられる。
【0020】天然粘性物質としては、微生物(Alcalige
nes faecalis var myxogenes)が産生する直鎖の水不溶
性多糖類(β−1,3−グルカン)であるカードラン(カ
ードランN、食品添加物)、ムチン、カンテン、ゼラチ
ン、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、
ローカストビーンガム、キサンタンガム、トラガントガ
ム、キトサン、プルラン、ワキシースターチ、スクラル
フェート、セルロースおよびその誘導体(例、セルロー
ススルフェートなど)が挙げられる。好ましくはヒドロ
キシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースなどが挙げられる。
【0021】本発明で用いられる粘性物質としては、ア
クリル酸系重合体またはその塩が好ましい。これらの粘
性物質は、2種以上を適宜の割合で併用してもよい。粘
性物質の使用量は、消化管内滞留延長型マトリックス全
体に対し、例えば約0.005〜約99重量%、好まし
くは約0.5〜約45重量%、さらに好ましくは約5〜
約30重量%である。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/または脂質を含むマトリックス中に粘性
物質が分散している場合、粘性物質の使用量は、マトリ
ックス全体に対し、約0.005〜約95重量%、好ま
しくは約0.5〜約30重量%、さらに好ましくは約5
〜約25重量%であり、マトリックスが粘性物質で被覆
されている場合、粘性物質の使用量は、マトリックス全
体に対し、約0.005〜約95重量%、好ましくは約
0.5〜約30重量%、さらに好ましくは約5〜約25
重量%である。一般に、炭水化物分解酵素阻害剤は水に
易溶性であるため、優れた放出性を示す炭水化物分解酵
素阻害剤含有製剤の製造は困難である。しかしながら、
粘性物質を用いることにより、長時間にわたって持続的
に炭水化物分解酵素阻害剤を放出しうる製剤を製造する
ことができる。消化管内滞留延長型マトリックスとし
て、例えばポリグリセリン脂肪酸エステルに粘性物質を
配合してなる消化管内滞留延長型マトリックスまたは脂
質に粘性物質を配合してなる消化管内滞留延長型マトリ
ックスなどが用いられる場合、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび脂質の使用量は、重量換算で経口徐放性製
剤中の炭水化物分解酵素阻害剤に対して、それぞれ約
0.01〜約10000倍、好ましくは約0.1〜約10
00倍である。さらに前記ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルを含むマトリックスに、脂質を含有させてもよい。脂
質としては、製剤上許容しうる水不溶物質であり、かつ
炭水化物分解酵素阻害剤の溶出速度を調整する作用を有
するものが用いられる。このような脂質としては、例え
ば前記した脂質が挙げられる。
【0022】脂質とポリグリセリン脂肪酸エステルとを
併用する場合、脂質およびポリグリセリン脂肪酸エステ
ルの使用量は、消化管粘膜への付着性が損なわれない範
囲であればよく、例えば重量換算で、経口徐放性製剤中
の炭水化物分解酵素阻害剤に対して、ポリグリセリン脂
肪酸エステルは約0.01〜約10000倍、好ましく
は約0.1〜約1000倍、脂質はポリグリセリン脂肪
酸エステルの約0.01〜約10000倍、好ましくは
約0.1〜約2000倍、さらに好ましくは約0.1〜約
1000倍である。前記ポリグリセリン脂肪酸エステル
および/または脂質を含むマトリックスの中に粘性物質
が分散している消化管内滞留延長型製剤としては、ポリ
グリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質中に、粘
性物質、および活性成分である炭水化物分解酵素阻害剤
が分散していればよい。分散方法としては、自体公知の
方法が採用される。本発明の経口徐放性製剤、とりわけ
消化管内滞留延長型製剤は、炭水化物分解酵素阻害剤の
吸収を促進させるために、有機酸を適量含んでいてもよ
い。有機酸としては、例えば酒石酸、クエン酸、コハク
酸、アスコルビン酸などが用いられる。
【0023】さらに経口徐放性製剤が固型製剤である場
合、該製剤は、固型医薬製剤(例、錠剤、細粒剤、顆粒
剤など)の製造に用いられる慣用の添加剤を含んでいて
もよい。添加剤としては、例えばコーンスターチ、タル
ク、結晶セルロース(アビセル、粉糖、ステアリン酸マ
グネシウム、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウム、L−システイン、乳糖など
の賦形剤;澱粉、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム粉
末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンな
どの結合剤;カルボキシメチルセルロースカルシウム、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメ
ロースナトリウムなどの崩壊剤;アルキル硫酸ナトリウ
ムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステルおよびポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などの
非イオン系界面活性剤;水酸化マグネシウム、ケイ酸ア
ルミン酸マグネシウム、スクラルファートなどの制酸剤
や粘膜保護剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなど
の滑沢剤;着色剤;矯味剤; 吸着剤; 防腐剤;潤滑
剤;帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤の添
加量は、製剤の粘膜に対する付着性を損なわない範囲で
適宜選択される。
【0024】本発明の経口徐放性製剤は、固形製剤であ
っても、又液状製剤であってもよい。経口徐放性製剤
は、好ましくは固形製剤である。固形製剤の剤形として
は、例えば細粒剤;顆粒剤;錠剤;丸剤;前記細粒剤ま
たは顆粒剤を前記した賦形剤、結合剤、崩壊剤および滑
沢剤と混合した後打錠した錠剤;カプセル内に前記細粒
剤や顆粒剤を充填したカプセル剤などが挙げられる。こ
のうち、細粒剤、顆粒剤が好ましい。細粒剤の粒径分布
は、例えば、10〜500μmの粒子75重量%以上、
500μm以上の粒子5重量%以下、10μm以下の粒
子10重量%以下である。好ましい細粒剤の粒径分布
は、105〜500μmの粒子75重量%以上、500
μm以上の粒子5重量%以下、74μm以下の粒子10
重量%以下である。顆粒剤の粒径分布は、例えば500
〜1410μmの粒子90重量%以上、177μm以下
の粒子5重量%以下である。液状製剤の剤形としては、
例えばシロップ剤;乳剤;懸濁剤;カプセル内にシロッ
プ剤、乳剤または懸濁剤を充填したカプセル剤などが挙
げられる。
【0025】本発明の経口徐放性製剤は、自体公知の方
法並びに慣用技術に従って製造することができる。例え
ば、以下に、消化管内滞留延長型製剤の代表的製造方法
を示す。 1)消化管内滞留延長型製剤が常温で固型である場合、
消化管内滞留延長型固型製剤の製造方法としては、自体
公知の方法が採用される。例えば、ポリグリセリン脂肪
酸エステルおよび/または脂質を融点以上に加熱して溶
融し、粘性物質および炭水化物分解酵素阻害剤を同時に
または別々に添加して分散した後、冷却する方法が挙げ
られる。加熱温度は、例えば約40℃〜約150℃、好
ましくは約50℃〜約110℃、さらに好ましくは約5
0℃〜約90℃である。前記の方法は、慣用の造粒機な
どを用いればよく、例えば噴霧冷却、例えばスプレーチ
リングなどにより球形の固型製剤(例、細粒剤)とする
のが望ましい。スプレーチリングは、例えば10〜60
00回転/分、好ましくは900〜6000回転/分、
より好ましくは1000〜3000回転/分の高速回転
ディスク上に、溶融したポリグリセリン脂肪酸エステル
および/または脂質中に粘性物質および炭水化物分解酵
素阻害剤が分散した混合物を、一定流速で滴下すること
により行うことができる。回転ディスクとしては、例え
ば直径5〜100cm、好ましくは直径10〜20cmの平
滑円盤、例えばアルミニウム製円盤などが使用できる。
また、溶融した前記混合物の滴下速度は、所望する粒径
に応じて選択できるが、通常約2g〜約200g/分、好
ましくは約5g〜約100g/分である。このようにして
得られた粒状物は、より真球に近いため、後工程でのコ
ーティング時に、均一なコーティング被膜を効率よく形
成できる。
【0026】前記方法以外に、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルおよび/または脂質中、粘性物質および炭水化物
分解酵素阻害剤を練合などにより分散して造粒する方法
を採用してもよい。この際使用する溶媒としては、慣用
の溶媒(例、メタノール、アセトニトリル、クロロホル
ムなど)が挙げられる。さらに例えば溶融造粒法を用い
て固型製剤を製造してもよい。溶融造粒法としては、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質を、そ
れらの融点近傍、例えば融点から約5℃下回る温度範囲
で加熱溶融し、上記スプレーチリングなどの造粒工程に
付し、細粒とし、これと粘性物質および炭水化物分解酵
素阻害剤を所望の温度で加熱しながら浮遊させて消化管
内滞留延長型マトリックスとする方法などが挙げられ
る。この場合には、薬物である炭水化物分解酵素阻害剤
に対する熱の作用を抑制できるので、その薬物の失活を
抑制しながらマトリックスを容易に得ることができる。
本発明の経口徐放性製剤は、コーティング剤で被覆され
ていてもよい。例えばポリグリセリン脂肪酸エステルお
よび/または脂質を含むマトリックスが粘性物質で被覆
されている固型製剤では、該マトリックスが粘性物質を
含有するコーティング剤で被覆されていればよい。コー
ティング剤は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル、前
記脂質および下記するような水不溶性ポリマーの少なく
とも1つの成分を含んでいてもよい。この場合、前記固
型製剤中の成分に対して相溶性に乏しいか、相溶しない
粘性物質を用いると、粘性物質が分散した被膜でマトリ
ックスを被覆できる。さらにコーティング剤は、前記し
た固型医薬製剤で慣用されるような添加物を含有してい
てもよい。
【0027】水不溶性ポリマーとしては、例えば、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースフタレート(第12改
正日本薬局方)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネート(信越化学工業(株)製)、カ
ルボキシメチルエチルセルロース(フロイント産業社
製,CMEC、日本薬局方外医薬品規格1986)、セ
ルロースアセテートトリメリテート(イーストマン(Ea
stman)社製)、セルロースアセテートフタレート(第
12改正日本薬局方)、エチルセルロース(旭化成
(株)社製)、アミノアルキルメタクリレートコポリマ
ー(ロームファルマ社製、商品名、オイドラギットRS
−100、RL−100、RL−PO、RS−PO、R
S−30D、RL−30D)、メタアクリル酸アクリル
酸エチルコポリマー(ロームファルマ社製、商品名、オ
イドラギットL100−55)、メタアクリル酸メタア
クリル酸メチルコポリマー(ロームファルマ社製、商品
名、オイドラギットL100、S−100)、オイドラ
ギット L30D−55、オイドラギット NE−30
D(ロームファルマ社製)、ポリビニルアセテート(カ
ラルコン(COLORCON)社製)などが挙げられる。これら
の水不溶性ポリマーは、2種以上を適宜の割合で混合し
て用いてもよい。コーティング剤中の粘性物質の使用量
は、コーティング剤中の固型分全体の約0.005〜約
100重量%、好ましくは約0.05〜約95重量%、
さらに好ましくは約1〜約10重量%である。
【0028】またコーティング剤として、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、脂質および水不溶性ポリマーから選
択された少なくとも1つの成分と粘性物質を併用する場
合、粘性物質の使用量は、コーティング剤中の固型成分
全体に対して、約0.05〜約95重量%、好ましくは
約0.5〜約95重量%、さらに好ましくは約5〜約3
0重量%である。さらにコーティング剤において、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、脂質および水不溶性ポリマ
ーから選択された2種以上の成分を併用してもよく、こ
の場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または
脂質の総量1重量部に対して、他の成分の使用量は、約
0.0001〜約1000重量%、好ましくは約0.01
〜約100重量%、さらに好ましくは約0.01〜約1
0重量%である。コーティング剤の被覆量は、マトリッ
クスなどの被覆用組成物の種類、所望する粘膜に対する
付着性などに応じて選択できる。被覆用組成物に対する
コーティング量は、例えば錠剤では約0.1〜約30重
量%、好ましくは約0.5〜約20重量%であり、細粒
剤では約0.1〜約100重量%、好ましくは約1〜約
50重量%である。被覆に際しては、必要に応じて、一
般的に用いられる前記添加剤をコーティング剤に添加し
て被覆してもよく、コーティング剤と前記添加剤をそれ
ぞれ別々に用いて被覆してもよい。添加剤の使用量は、
例えばコーティング剤の固型分に対して、約0.1〜約
70重量%、好ましくは約1〜約50重量%、より好ま
しくは約20〜約50重量%である。
【0029】被覆方法としては、自体公知の方法、例え
ば、パンコーティング法、流動コーティング法、転動コ
ーティング法などが採用できる。コーティング剤が水ま
たは有機溶媒を含む溶液または分散液である場合には、
スプレーコーティング法も採用できる。前記水または有
機溶媒の種類は特に制限されず、例えばメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール
類;アセトンなどのケトン類;クロロホルム、ジクロロ
メタン、トリクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類
などが使用できる。コーティング剤において、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルおよび/または脂質を用いる場
合、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質
と必要に応じてその他の添加剤とを加熱溶融して混合
し、水と混和して乳化した後、マトリックスなどの被覆
用組成物の表面に噴霧し、乾燥することにより、被覆組
成物としてもよい。またコーティングパンのような装置
で、予熱した被覆用組成物にコーティング剤を投入して
溶融、展延させることにより被覆組成物としてもよい。
被覆は、通常約25〜約60℃、好ましくは約25〜約
40℃で行われる。被覆に要する時間は、コーティング
方法、コーティング剤の特性や使用量、被覆用組成物の
特性などを考慮して適宜選択できる。
【0030】消化管内滞留延長型固型製剤において、消
化管内で前記粘性物質による粘膜付着性が確保される限
り、必要に応じて、さらに、慣用の胃溶解性または水溶
性被覆剤などで被覆されていてもよい。又、上記のよう
にして得た細粒剤や顆粒剤を用い、錠剤やカプセル剤
を、常法により製造することができる。このようにして
製造される錠剤は、水と同時に服用しても食道への付着
が少なく、嚥下力の弱い患者にとって特に有用である。
本発明の経口徐放性製剤は、低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロースなどの膨潤助剤を含有していてもよい。具
体的には、前記した「粘性物質を含有するマトリック
ス」および「粘性物質を含有するコーティング剤」は、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの膨潤助剤
を含有していてもよい。ここで、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロースとしては、ヒドロキシプロポキシル基
の含量が5.0〜16.0重量%の低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロースが用いられる。低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロースとしては、例えばLH−11(ヒド
ロキシプロポキシル基の含量:10.0〜13.0重量
%、粒度:149μmパス98重量%以上、177μm
オン0.5重量%以下)、LH−20(ヒドロキシプロ
ポキシル基の含量:13.0〜16.0重量%、粒度:
74μmパス90重量%以上、105μmオン1.0重
量%以下)、LH−21(ヒドロキシプロポキシル基の
含量:10.0〜13.0重量%、粒度:74μmパス
90重量%以上、105μmオン1.0重量%以下)、
LH−22(ヒドロキシプロポキシル基の含量:7.0
〜10.0重量%、粒度:74μmパス90重量%以
上、105μmオン1.0重量%以下)、LH−31
(ヒドロキシプロポキシル基の含量:10.0〜13.
0重量%、平均粒子径:約30μm以下)などが挙げら
れる。膨潤助剤の使用量は、経口徐放性製剤全体に対
し、例えば約0.5〜約50重量%、好ましくは約1〜
約40重量%、さらに好ましくは約1〜約30重量%で
ある。
【0031】2)液状の消化管内滞留延長型製剤の場合
の製造方法としては、自体公知の方法が採用される。例
えば常温で液状のポリグリセリン脂肪酸エステルおよび
/または脂質、粘性物質および炭水化物分解酵素阻害剤
を同時にまたは別々に添加して分散または溶解する方法
などが挙げられる。これらの方法に準じ、常法に従い、
シロップ剤、乳剤、懸濁剤、カプセル剤等を製造するこ
とができる。
【0032】本発明の経口徐放性製剤は、毒性も低く、
糖尿病の治療・予防及び食後過血糖の抑制を必要とする
哺乳動物(例えば、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ、サ
ル、ヒトに安全に投与できる。とりわけ、本発明に用い
られるバリオールアミン誘導体、例えば[2−ヒドロキ
シ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]バリオールアミ
ン(ボグリボース)は、安全性が極めて高く、マウス
(NRM1)およびラット(Wistar)に経口投与した場
合の急性毒性(LD50)は14.7〜21.5グラム/キ
ログラム体重(マウス)、約20グラム/キログラム体
重(ラット)である。対象疾患としては、例えば、イン
スリン依存型糖尿病、インスリン非依存型糖尿病、異常
インスリン血症、インスリンレセプター異常症、腎性糖
尿病、およびこれらに付随する急性合併症(感染症な
ど)あるいは慢性合併症(神経障害、腎障害、心、血
管、脳、血管障害、皮ふ、骨合併症)などが挙げられ
る。本発明の経口徐放性製剤は、ヒトを含む哺乳動物に
経口的に投与することができる。なお所望により、前記
したように、薬理学的、製剤学的に許容されうる添加剤
(例えば、希釈剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、
安定剤など)を使用することもできる。本発明の経口徐
放性製剤の投与量は、剤形、投与方法、あるいは投与し
ようとする炭水化物分解酵素阻害剤の種類によって異な
るが、本発明の製剤を糖尿病の治療に用いる場合は、比
較的微量の投与でよい。例えばボグリボースなどの上記
したバリオールアミン誘導体の投与量は、通常0.01
〜100ミリグラム/日、好ましくは0.05〜10ミ
リグラム/日、より好ましくは0.1〜2ミリグラム/
日(成人)であり、この投与量を通常1回あるいは2〜
3回に分けて、好ましくは食前に服用する。とりわけ、
本発明の製剤は、1日1〜2回程度投与するだけで、炭
水化物分解酵素阻害剤が、徐々に少量づつ放出されるこ
とにより、食後の過血糖が顕著に抑えられ、糖尿病患者
の血糖上昇に伴う悪作用を抑制する効果を奏する。
【0033】本発明の経口徐放性製剤は、必要により、
他の薬剤と併用することにより、より治療効果を高める
ことができる。このような薬剤は、本発明製剤に含有さ
せてもよく、又別に投与してもよい。このような薬剤と
しては、炭水化物分解酵素阻害剤以外のインスリン、イ
ンスリン感受性増強薬((塩酸)ピオグリタゾン、トロ
グリタゾン、ロジグリタゾンなど)、スルホニル尿素系
インスリン分泌促進剤(オイグルコン、ダオニール、グ
リミクロン、メルビン、ジベトスB、パミルコン、シメ
リン、キネダック、グリミラン、塩酸ブフォルミン、ダ
イアグリコなど)、α2−アンタゴニスト、β3−アゴニ
ストなどの抗糖尿病薬;ビタミンB12、ビタミンB1
ビタミンB6などのビタミン類;血小板凝集抑制剤;抗
潰瘍剤:抗コレステロール薬やトリグリセリン低下薬な
どの高脂血症剤;動脈硬化症予防・治療薬;漢方薬;腎
症予防・治療薬;心筋症予防・治療薬;高血圧症予防・
治療薬等が挙げられる。これらの薬剤の投与量は、それ
ぞれ臨床上用いられる用量を基準として適宜選択され
る。本発明によれば、炭水化物分解酵素阻害剤の投与量
を、単独投与に比べて減量できる。具体的には、炭水化
物分解酵素阻害剤の投与量を、単独投与に比べて2分の
1から20分の1程度に減量できる可能性がある。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に実施例および実験例を掲げ
て本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明
を限定するものではない。
【実施例】
実施例1 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品
(株)、商品名 HB−310)86.0gを秤量し、
84℃に加熱溶融した。これにボグリボース(すなわ
ち、[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチ
ル]バリオールアミン)4g、次いでアクリル酸系重合
体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)
10.0gを順次添加し、84℃に保って15分間攪拌
し分散させた。溶融混合物を1950rpmで回転してい
る直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で
滴下することにより、42メッシュ(350μm)の篩
を通過し、かつ60メッシュ(250μm)の篩を通過
しない(以下、42/60メッシュのように略記する)
球状の細粒剤が得られた。
【0035】実施例2 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリ
ワックス101)63gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品(株)、商品名 HB−31
0)5.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これにボ
グリボース4g、次いでアクリル酸系重合体(和光純薬
(株)、商品名 ハイビスワコー104)8.0g、カ
ードラン(武田薬品工業(株))20gを順次添加し、8
4℃に保って15分間攪拌し分散させた。溶融混合物を
1950rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディ
スクに10g/分の速度で滴下することにより、42/
60メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0036】実施例3 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリ
ワックス101)63gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品(株)、商品名 HB−31
0)5.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
ボグリボース4g、次いでアクリル酸系重合体(和光純
薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)8.0g、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業
(株)、商品名L−HPC)20gを順次添加し、84℃
に保って15分間攪拌し分散させた。溶融混合物を19
50rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディスク
に10g/分の速度で滴下することにより、42/60
メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0037】実施例4 ベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド(阪本薬品
(株)、商品名 HB−310)82.5gを秤量し、
84℃に加熱溶融した。これにボグリボース0.5g、
次いでアクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名
ハイビスワコー104)8.0g、低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロース(信越化学工業(株)、商品名L−H
PC)10gを順次添加し、84℃に保って15分間攪
拌し分散させた。溶融混合物を1950rpmで回転して
いる直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度
で滴下することにより、42/60メッシュの球状の細
粒剤が得られた。
【0038】実施例5 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリ
ワックス101)35gおよびベヘン酸ヘキサ(テト
ラ)グリセリド(阪本薬品(株)、商品名 HB−31
0)1.0gを秤量し、84℃に加熱溶融した。これに
ボグリボース35g、次いでアクリル酸系重合体(和光
純薬(株)、商品名 ハイビスワコー104)5.0
g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学
工業(株)、商品名L−HPC)5.0gを順次添加し、
84℃に保って15分間攪拌し分散させた。溶融混合物
を1950rpmで回転している直径15cmのアルミ製デ
ィスクに10g/分の速度で滴下することにより、42
/60メッシュの球状の細粒剤が得られた。
【0039】実施例6 カルナウバロウ(フロイント産業(株)、商品名 ポリ
シングワックス−103)88.5gを秤量し、95℃
に加熱溶融した。これにボグリボース1.5g、次いで
アクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビ
スワコー104)10.0gを順次添加し、95℃に保
って15分間攪拌し分散させた。溶融混合物を1950
rpmで回転している直径15cmのアルミ製ディスクに1
0g/分の速度で滴下することにより、42/60メッ
シュの球状の細粒剤が得られた。
【0040】実施例7 硬化ヒマシ油(フロイント産業(株)、商品名 ラブリ
ワックス101)89.75gを秤量し、84℃に加熱
溶融した。これにボグリボース0.25g、次いでアク
リル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名 ハイビスワ
コー104)10g、低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロース(信越化学工業(株)、商品名L−HPC)5.0
gを順次添加し、84℃に保って15分間攪拌し分散さ
せた。溶融混合物を1950rpmで回転している直径1
5cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴下する
ことにより、42/60メッシュの球状の細粒剤が得ら
れた。
【0041】実施例8 乳糖108.7g、コーンスターチ46.6g、クロス
カルメロースナトリウム(エフエムシー(FMC)コー
ポレーション、商品名アクジゾル(Ac−Di−So
l))28.5g、ヒドロキシプロピルセルロース(日
本曹達、商品名HPC−L)5.7gおよびステアリン
酸マグネシウム0.5gの混合末と実施例1で得られた
細粒10gとを混合する。得られる混合物のうち、22
5mgを直径8.5mmの平面の杵で、打錠圧0.5t
on/cm2で打錠し、錠剤を得る。
【0042】実施例9 乳糖37.2g、コーンスターチ16.0g、クロスカ
ルメロースナトリウム(エフエムシー(FMC)コーポ
レーション、商品名アクジゾル(Ac−Di−So
l))9.7g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本
曹達、商品名HPC−L)0.9gおよびステアリン酸
マグネシウム0.2gの混合末と実施例6で得られた細
粒10gとを混合する。得られる混合物のうち、225
mgを直径8.5mmの平面の杵で、打錠圧0.5to
n/cm2で打錠し、錠剤を得る。
【0043】比較例 ボグリボースを蒸留水に溶解することにより、0.1m
g/mlのボグリボース水溶液を調製した。
【0044】実験例 投与20時間前から絶食させたSDラット(雄性、7週
齢)に、実施例7で得られた細粒剤または比較例で得ら
れた水溶液を、ボグリボースとしての投与量が0.5m
g/kg体重となるように投与した。投与直後に、ラッ
トに水溶性でんぷんを1.0g/kg体重負荷し、さら
に4時間後に再負荷した。水溶性でんぷん負荷前および
負荷30分後にラット尾静脈より採血し、血漿中のグル
コース濃度を測定した。なお、水溶性でんぷん負荷30
分後が血糖値のピークであったため、水溶性でんぷん負
荷前から負荷30分後までの血糖上昇値量を算出して得
られる値を薬効の指標とした。結果を[表1]に示す。
【表1】 血糖値上昇量(mg/dl) 本発明 ボグリボース細粒剤 38±6.2 比 較 ボグリボース水溶液 66±6.3 (平均値±標準偏差、n=5) ボグリボース投与直後では、本発明群と比較群とで血糖
値上昇量に差がみられなかったものの、投与後4時間目
の水溶性でんぷん負荷後では、[表1]に示されるよう
に、本発明群で比較群に対して明らかに血糖値上昇が抑
制されており、本発明の徐放性製剤の優位性が示され
た。
【0045】
【発明の効果】本発明の経口徐放性製剤は、経口投与
後、哺乳動物の消化管内に付着するなどして滞留し、徐
々に、長時間に亘って持続的に、α−グルコシダーゼ阻
害剤などの炭水化物分解酵素阻害剤を放出する。該炭水
化物分解酵素阻害剤は、消化管内で炭水化物分解酵素と
接して、炭水化物の分解を抑えることにより、食後の過
血糖の抑制など糖尿病の予防・治療効果を奏する。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭水化物分解酵素阻害剤を含有する経口徐
    放性製剤。
  2. 【請求項2】経口徐放性製剤が消化管内滞留延長型製剤
    である請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】消化管内上部滞留延長型である請求項2記
    載の製剤。
  4. 【請求項4】炭水化物分解酵素阻害剤がα−グルコシダ
    ーゼ阻害剤である請求項1記載の製剤。
  5. 【請求項5】消化管粘膜付着性である請求項1記載の製
    剤。
  6. 【請求項6】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/ま
    たは脂質よりなるマトリックスを含有する請求項1記載
    の製剤。
  7. 【請求項7】さらに水で粘性を生じる物質を含有する請
    求項6記載の製剤。
  8. 【請求項8】炭水化物分解酵素阻害剤がマトリックス中
    に含有されている請求項6記載の製剤。
  9. 【請求項9】水で粘性を生じる物質がマトリックス中に
    含まれる請求項7記載の製剤。
  10. 【請求項10】マトリックスが水で粘性を生じる物質で
    被覆されている請求項7記載の製剤。
  11. 【請求項11】炭水化物分解酵素阻害剤がボグリボース
    である請求項1記載の製剤。
  12. 【請求項12】抗糖尿病薬用である請求項1記載の製
    剤。
  13. 【請求項13】固形製剤である請求項1記載の製剤。
  14. 【請求項14】固形製剤が細粒剤または顆粒剤である請
    求項13記載の製剤。
  15. 【請求項15】炭水化物分解酵素阻害剤が、製剤全体に
    対し、約0.05〜約5.0重量%含有される請求項1
    記載の製剤。
  16. 【請求項16】ポリグリセリン脂肪酸エステルが約20
    0〜約5000の分子量を有する請求項6記載の製剤。
  17. 【請求項17】ポリグリセリン脂肪酸エステルが1〜1
    5の親水性親油性バランスを有する請求項6記載の製
    剤。
  18. 【請求項18】ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭水
    化物分解酵素阻害剤に対し、約0.01〜約10000
    重量倍使用される請求項6記載の製剤。
  19. 【請求項19】水で粘性を生じる物質がアクリル酸重合
    体またはその塩である請求項7記載の製剤。
  20. 【請求項20】水で粘性を生じる物質が、マトリックス
    全体に対し、約0.05〜約99重量%含有される請求
    項7記載の製剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316293A (ja) * 2000-02-24 2001-11-13 Takeda Chem Ind Ltd 併用医薬
JP2007510704A (ja) * 2003-11-06 2007-04-26 グライコロジック リミテッド 組成物及びその使用
US7488498B2 (en) 1999-12-28 2009-02-10 Ajinomoto Co., Inc. Antidiabetic preparation for oral administration

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