JPH10324522A - リチウムコバルト酸化物粒子粉末の製造方法 - Google Patents

リチウムコバルト酸化物粒子粉末の製造方法

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JPH10324522A
JPH10324522A JP10096716A JP9671698A JPH10324522A JP H10324522 A JPH10324522 A JP H10324522A JP 10096716 A JP10096716 A JP 10096716A JP 9671698 A JP9671698 A JP 9671698A JP H10324522 A JPH10324522 A JP H10324522A
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lithium
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cobalt
particulate powder
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Tatsuya Nakamura
龍哉 中村
Yoshiro Okuda
嘉郎 奥田
Hideaki Sadamura
英昭 貞村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気化学的活性が高く、特にリチウム電池の
正極活物質として有用なリチウムコバルト酸化物粒子粉
末を提供する。 【解決手段】 オキシ水酸化コバルト粒子粉末を酸素含
有ガス中300〜500℃にて焼成してBET比表面積
30〜200m2/gのコバルト酸化物微結晶粒子粉末を
製造し、次いで、このコバルト酸化物微結晶粒子粉末と
リチウム化合物とを混合した後、酸素含有ガス中にて焼
成することにより、リチウムコバルト酸化物を生成させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムコバルト
酸化物粒子粉末の製造方法に関し、更に詳しくは、特に
リチウム電池の正極活物質として有用なリチウムコバル
ト酸化物粒子粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューター、携帯
電話等のポータブル機器の開発に伴って、その電源とし
ての電池の需要が高まっている。特に、リチウム電池
は、リチウムが原子量が小さく、かつ、イオン化エネル
ギーが大きい物質であることに起因して、起電力が高
く、高エネルギー密度化が可能な電池が期待できること
から各方面で盛んに研究が行われている。
【0003】リチウム電池に用いられる正極活物質とし
ては、4V程度の高電圧を発生させることが可能なリチ
ウムコバルト酸化物(LiCoO2 )やリチウムニッケ
ル酸化物(LiNiO2 )等の研究が盛んに行われてい
る。これらのリチウムコバルト酸化物やリチウムニッケ
ル酸化物等の化合物は、コバルトやニッケルを含む酸化
物原料粉末とリチウム化合物粉末を混合し、500℃以
上の高温で焼成することにより得られている。しかし、
コバルトについては固相反応時の酸化コバルト粉末の反
応性が低いため、高温で長時間焼成することが必要であ
る。この高温での長時間焼成においては、リチウムが蒸
発し、リチウムが欠損して組成がずれやすい。このた
め、安定した品質のリチウムコバルト酸化物が得られに
くい。
【0004】また、これらの正極活物質は、その粉末を
バインダー中に分散させて、銅などの金属板に塗布・乾
燥させて電池の正極として用いられている。高温で長時
間焼成して生成されたリチウムコバルト酸化物は、粉末
粒子同士が強固に融着しているので、正極活物質として
使用し得る粉末とするためには強力な粉砕が必要とな
り、エネルギーコストが高くなる、或いは、粉砕の媒体
が磨耗してリチウムコバルト酸化物粉末中に混入するな
どの問題点が指摘されている。以上のような背景から、
リチウムコバルト酸化物が比較的低温度且つ短時間の焼
成によって得られる製造方法が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比較的低温
でかつ短時間の焼成反応によって、特にリチウム電池の
正極活物質として有用なリチウムコバルト酸化物を製造
する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明は、オキシ水酸化コバルト粒子粉末を酸素含有
ガス中300〜500℃で焼成してBET比表面積30
〜200m2/gのコバルト酸化物微結晶粒子粉末を製造
し、次いで、このコバルト酸化物微結晶粒子粉末とリチ
ウム化合物とを混合した後、酸素含有ガス中にて焼成す
ることにより、リチウムコバルト酸化物を生成させる。
或いは、平均粒子径が0.1μm以下のコバルト酸化物
(Co3 4 )粒子粉末とリチウム化合物とを混合した
後、酸素含有ガス中にて焼成することにより、リチウム
コバルト酸化物を生成させる。
【0007】次に、本発明の構成を詳しく説明する。先
ず、本発明におけるコバルト酸化物微粒子粉末は、オキ
シ水酸化コバルト粒子粉末を酸素含有ガス、例えば空気
中300〜500℃の温度範囲にて焼成して得られるB
ET比表面積30〜200m2/gのコバルト酸化物微結
晶粒子粉末、或いは、平均粒子径が0.1μm以下のコ
バルト酸化物粒子粉末であることが重要である。オキシ
水酸化コバルト粒子粉末、及び平均粒子径が0.1μm
以下の酸化コバルト微粒子粉末は、コバルト塩水溶液と
中和以上の過剰なアルカリ水溶液を混合して得られるコ
バルト(II)水酸化物の懸濁液を加熱しながら、酸素含
有ガスを通気して、コバルトイオンを酸化することで沈
澱生成させ、濾別・水洗・乾燥させることで作成でき
る。
【0008】オキシ水酸化コバルト粒子粉末は、酸素含
有ガス中で300〜500℃、好ましくは300〜40
0℃の温度で焼成してBET比表面積30〜200m2
g、好ましくは30〜150m2/g、より好ましくは5
0〜100m2/gのコバルト酸化物微結晶粒子粉末とさ
れる。焼成温度が300℃未満では未分解のオキシ水酸
化コバルト粒子粉末が残存し、コバルト酸化物と共存す
るために、均斉なコバルト酸化物微結晶粒子粉末が得ら
れないので、目的とする反応性の高いコバルト酸化物微
結晶粒子粉末を得るのが困難である。一方、500℃を
越えるとBET比表面積が30m2/g未満の大きな粒径
のコバルト酸化物微結晶粒子粉末しか得られないため、
目的とする反応性の高いコバルト酸化物微結晶粒子粉末
を得るのが困難である。焼成時間については特に制限は
ないが、系内の温度分布等が均一になることを考慮し
て、15分〜2時間、好ましくは15〜30分であれば
十分である。またコバルト酸化物微結晶粒子粉末のBE
T比表面積が30m2/g未満では目的とする高い反応性
のものが得られにくく、一方、200m2/gを越えたも
のは安定して生成しにくく実用的でない。
【0009】一方、平均粒子径が0.1μm以下のコバ
ルト酸化物微粒子粉末は、好ましくは0.08μm以
下、より好ましくは0.01〜0.05μmの平均粒子
径のものが用いられ、例えば、コバルト塩の水溶液を過
剰のアルカリ水溶液により中和して、アルカリとコバル
ト塩との濃度比R〔OH- 〕/2〔Co2+〕が1.0〜
1.2、好ましくは1.01〜1.10で過剰アルカリ
の濃度が1.0M以下、好ましくは0.5M以下である
水酸化コバルト懸濁液を得、次いで該懸濁液を60℃以
上に加熱し、該懸濁液に酸素含有ガス、例えば空気を吹
き込みコバルトイオンを酸化しコバルト酸化物の微粒子
粉末を沈澱生成させることにより製造することができ
る。このコバルト酸化物微粒子粉末は粒度分布の均斉な
ものが好ましい。
【0010】本発明におけるリチウム化合物としては、
炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、水酸化
リチウム1水和物等が挙げられ、これらは単独又は2種
以上組み合わせて用いることができる。本発明における
リチウム化合物とコバルト酸化物の混合比は、リチウム
とコバルトのモル比で通常0.98:1〜1.05:
1、好ましくは1.00:1〜1.04:1、より好ま
しくは1.00:1〜1.03:1である。リチウムが
不足、コバルトが過剰な場合は、リチウムコバルト酸化
物の他に正極活物質でないコバルト酸化物が残存し、こ
のコバルト酸化物を除去することが極めて困難であるた
め、この粉末を用いて正極を構成した場合、良好な電池
特性、即ち、リチウムイオン導電性を有する電解液中で
の電気化学的活性が得られにくい。一方、リチウムが過
剰でコバルトが不足している場合は、リチウムコバルト
酸化物の他に正極活物質でない炭酸リチウムが残存し、
この炭酸リチウムも除去することが極めて困難であるた
め、この粉末を用いて正極を構成した場合、同様に良好
な電池特性、電気化学的活性が得られにくい。本発明に
おける混合粉末の加熱温度は、500〜850℃、好ま
しくは650〜800℃の範囲であり、加熱時間は2〜
10時間、好ましくは5〜10時間である。加熱温度が
500℃未満では電気化学的に活性なリチウムコバルト
酸化物が得られず、一方、850℃を越えるとリチウム
の蒸発が激しくなり、リチウムとコバルトのモル比が
1.0からずれるために電気化学的活性が低下する。ま
た加熱時間が2時間未満ではリチウムとコバルトの反応
が十分でないため均一な化合物が得られにくく、一方、
10時間を越えても実質的な変化は認められず、経済性
や工業的観点からは10時間を越える長時間加熱は意味
がない。
【0011】
【作用】本発明において最も重要な点は、オキシ水酸コ
バルト粒子粉末を酸素含有ガス中300〜500℃の温
度範囲にて焼成して得られるBET比表面積30〜20
0m2/gのコバルト酸化物微結晶粒子粉末、或いは、平
均粒子径が0.1μm以下のコバルト酸化物粒子粉末を
コバルト原料として用いて、リチウム化合物とを混合し
た後、酸素含有ガス中にて焼成することにより、比較的
低温度且つ短時間でその反応が完結し、目的とするリチ
ウムコバルト酸化物を生成させることができるという事
実である。
【0012】一般に焼成時の固相反応は、原料粉末粒子
同士の接点での相互拡散によって進行するものと考えら
れる。本発明者らは、リチウム化合物とコバルト酸化物
の場合、リチウムの融点がコバルト酸化物の融点より大
幅に低く、リチウムの拡散の方がコバルトの拡散よりも
容易であり、主にリチウムがコバルト酸化物粒子の中へ
拡散することで反応が進行するものと考える。この考え
に基づけば、リチウム化合物の粒子を小さくするより
も、コバルト酸化物粒子を微細にした方が反応が完結す
るのに必要なリチウムの拡散距離が短くてすむため、短
時間でその反応が完結するものと思われる。
【0013】そこで、オキシ水酸化コバルト粒子粉末を
酸素含有ガス中300〜500℃の温度範囲にて焼成し
て得られるBET比表面積30〜200m2/gのコバル
ト酸化物微結晶粒子粉末、或いは、平均粒子径が0.1
μm以下のコバルト酸化物粒子粉末をコバルト原料とし
て用いると、焼成時にリチウムとの反応が速やかに進
行、即ちコバルト原料の反応性が向上し、短時間でその
反応が完結するものと考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施形態は、次
の通りである。なお、反応生成物粉末の同定、その結晶
構造を、X線回折(RIGAKU, Mn-filtered Fe-Kα, 40 k
V and 20 mA)により調べた。また、粒子の形態、粒度分
布については透過型電子顕微鏡観察により調べた。更
に、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真の粒子像から
統計平均により決定した。
【0015】<リチウムコバルト酸化物の製造>コバル
ト原料粉末として、平均粒子径0.05μmのCo3
4 粒子粉末19.96gとLi2 CO3 9.28g(L
i/Co=1.01)を、乳鉢にて機械的に混合、得ら
れた混合粉末を空気中800℃に加熱し6時間反応させ
た。得られた粉末を再度乳鉢にて粉砕し、黒色粉末を得
た。得られた黒色粉末は、図1のX線回折図に示す通
り、層状岩塩型のLiCoO2 粉末であった。
【0016】<電気化学特性評価法>次に、以上のよう
にして得られたリチウムコバルト酸化物の電極活物質と
しての電気化学特性をポテンシャルスイープ法により評
価した。測定用正極電極として、リチウムコバルト酸化
物に、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン、
導電材としてケッチェンブラックを各々重量比で10%
混合し、この混合物を0.5g秤量し、集電体としてニ
ッケルのメッシュに充填し、作用電極とした。負極電極
として、金属リチウム箔をステンレス鋼メッシュに充填
した。更に参照電極としてはリチウム金属を用いた。過
塩素酸リチウム(LiClO4 )をプロピレンカルボネ
ート、ジメトキシエタンを体積比で1:1に混合した溶
媒中に1Mの濃度で溶解させたものを電解質として用い
た。
【0017】以上の測定用正極作用電極、負極、参照電
極、電解質を用いて電気化学測定セルを構成した。この
電気化学セルを用い、金属リチウム電極基準で3.0〜
4.2Vの電位範囲、電流0.5mA/cm2 にて充放電曲
線を調べた。このリチウムコバルト酸化物の電気化学的
活性の指標として、この充放電の電気容量を求めたとこ
ろ、135 mAh/gであった。
【0018】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明するが、これらは本発明を制限するもので
はない。
【0019】実施例1〜4、比較例1〜2 コバルト酸化物原料粉末の粒度、加熱温度、及び加熱時
間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同
様にして反応生成物粉末を得た。この時の反応生成条件
及び得られた反応生成物の特性を表1に示した。実施例
1〜4で得られたリチウムコバルト酸化物粉末は、いず
れも層状岩塩型のリチウムコバルト酸化物と同型の構造
を有することが認められた。比較例1〜2で得られた粉
末は、層状岩塩型のリチウムコバルト酸化物とコバルト
酸化物の混合物であった。また、得られたリチウムコバ
ルト酸化物粉末の充放電電気容量を前記発明の実施の形
態と同様にして調べた。結果を表1に示した。これらの
結果より、実施例1〜4で得られたリチウムコバルト酸
化物を用いた場合の充放電電気容量は、比較例1〜2の
ものに比べて大きな値を示しており、本発明によれば、
より高い電気化学的活性を示すリチウムコバルト酸化物
が得られることがわかる。
【0020】
【表1】
【0021】実施例5〜7、比較例3〜4 オキシ水酸化コバルト原料粉末を種々の加熱温度T1
て焼成してコバルト酸化物微結晶粒子粉末を製造し、該
コバルト酸化物微結晶粒子粉末とLiCO3 粉末をLi
/Co=1.01となるように乳鉢にて機械的に混合
し、種々の加熱温度T2 、種々の加熱時間にて反応させ
て反応生成物を得た。得られた粉末を再度乳鉢にて粉砕
し、黒色粉末を得た。これらの生成物粉末について、前
記発明の実施の形態と同様にして生成物の特性を評価し
た。これらの反応生成条件及び得られた反応生成物の特
性を表2に示した。実施例5〜7で得られたリチウムコ
バルト酸化物粉末は、いずれも層状岩塩型のリチウムコ
バルト酸化物と同型の構造を有することが認められた。
一方、比較例3〜4で得られた粉末は、層状岩塩型のリ
チウムコバルト酸化物とコバルト酸化物の混合物であっ
た。また、表2には、前記発明の実施の形態と同様にし
て調べた充放電電気容量も示した。これらの結果より、
実施例5〜7で得られたリチウムコバルト酸化物を用い
た場合の充放電電気容量は、比較例3〜4のものに比べ
て大きな値を示しており、本発明によれば、より高い電
気化学的活性を示すリチウムコバルト酸化物が得られる
ことがわかる。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明により得られたリチウムコバルト
酸化物粉末は、優れた電気化学的活性を示し、特にリチ
ウム電池の正極活物質として作用し、起電力が高く、高
エネルギー密度化が可能なリチウム電池の正極活物質用
材料として好適である。また、本製造方法によれば、比
較的低温度且つ短時間の焼成によってリチウム鉄化合物
粉末を供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態で得られたリチウムコバルト
酸化物粒子粉末のX線回折図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキシ水酸化コバルト粒子粉末を酸素含
    有ガス中300〜500℃で焼成してBET比表面積3
    0〜200m2/gのコバルト酸化物微結晶粒子粉末を製
    造し、次いで、このコバルト酸化物微結晶粒子粉末とリ
    チウム化合物とを混合した後、酸素含有ガス中にて焼成
    することを特徴とするリチウムコバルト酸化物粒子粉末
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が0.1μm以下のコバルト
    酸化物微粒子粉末とリチウム化合物とを混合した後、酸
    素含有ガス中にて焼成することを特徴とするリチウムコ
    バルト酸化物粒子粉末の製造方法。
JP10096716A 1997-03-25 1998-03-24 リチウムコバルト酸化物粒子粉末の製造方法 Withdrawn JPH10324522A (ja)

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