JPH1179751A - リチウムニッケル酸化物粒子粉末の製造方法 - Google Patents

リチウムニッケル酸化物粒子粉末の製造方法

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JPH1179751A
JPH1179751A JP9254158A JP25415897A JPH1179751A JP H1179751 A JPH1179751 A JP H1179751A JP 9254158 A JP9254158 A JP 9254158A JP 25415897 A JP25415897 A JP 25415897A JP H1179751 A JPH1179751 A JP H1179751A
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nickel
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Tatsuya Nakamura
龍哉 中村
Hideaki Sadamura
英昭 貞村
Mitsuaki Hataya
光昭 畑谷
Akihisa Kajiyama
亮尚 梶山
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Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で焼成でき、粒度の揃った、特にリチ
ウム電池の正極活物質として有用なリチウムニッケル酸
化物粒子粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】 平均粒子径が50nm以下で且つBET比
表面積が50m2/g以上であり、更にニッケルの平均価
数が2.2以上である酸化ニッケル粒子粉末とリチウム
化合物とを混合し、この混合粉末に対して1〜10重量
%の水分を添加し、この水分を含有した混合粉末を圧縮
成型して成型密度2g/cc以上の成型体を得、この成型
体を酸素気流中で焼成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムニッケル
酸化物粒子粉末の製造方法に関し、更に詳しくは、短時
間で焼成でき、粒度が揃った、特にリチウム電池の正極
活物質として有用なリチウムニッケル酸化物粒子粉末の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューター、携帯
電話等のポータブル機器の開発に伴って、その電源とし
ての電池の需要が高まっている。特に、リチウムは原子
量が小さく、かつ、イオン化エネルギーが大きい物質で
あることに起因して、リチウム電池は、起電力が高く、
高エネルギー密度化が可能な電池となることが期待でき
ることから、リチウム電池に関する研究が各方面で盛ん
に行われている。
【0003】リチウム電池に用いられる正極活物質とし
ては、4V程度の高電圧を発生させることが可能なリチ
ウムコバルト酸化物LiCoO2あるいはリチウムニッケル酸
化物LiNiO2等の研究が盛んに行われている。このLiNiO2
は、Niを含む酸化物原料粉末とリチウム化合物粉末とを
混合し、500℃以上の高温で焼成することにより得ら
れている。
【0004】しかし、この高温焼成法においては、固相
反応時における酸化ニッケル粒子粉末の反応性が低いた
め、高温で長時間焼成することが必要であり、この高温
での長時間焼成においてはLiが蒸発する。このため、リ
チウムが欠損して組成が変化しやすく、安定した品質の
リチウムニッケル酸化物LiNiO2が得られにくいという欠
点がある。
【0005】また、これらの正極活物質は、その粉末を
バインダー中に分散させて、銅などの金属板に塗布し、
乾燥させて電池の正極活物質として用いられているが、
高温で長時間焼成されて生成したリチウムニッケル酸化
物LiNiO2は、粉末粒子同士が強固に融着しているので、
塗料を作成するのに十分な粉末とするためには強力な粉
砕が必要となり、粉砕に必要なエネルギーコストが高く
なる、あるいは、粉砕の媒体が摩耗してLiNiO2粉末中に
混入するなどの問題点が指摘されている。
【0006】さらには、これらの正極活物質粉末は、上
記のようにバインダー中に分散されて、銅などの金属板
に塗布・乾燥されて電池の正極として用いられるもので
あるが、塗膜中での粒子粉末の充填度が高い程、電池の
容量が高くなることから、リチウムニッケル酸化物LiNi
O2の粒子形、粒度が揃っていることが重要である。
【0007】以上のような背景から、比較的低温でかつ
短時間で焼成でき、更に粒度分布が狭く、粒度が揃った
正極活物質用材料粉末として有用なリチウムニッケル酸
化物LiNiO2の製造方法が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比較的低温
でかつ短時間の焼成反応によって、粒度分布の狭い、リ
チウム電池の正極活物質として有用なリチウムニッケル
酸化物LiNiO2の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、平均粒
子径が50nm以下で且つBET比表面積が50m2/g以
上であり、更にニッケルの平均価数が2.2以上である
酸化ニッケル粒子粉末とリチウム化合物とを混合し、こ
の混合粉末に対して1〜10重量%の水分を添加し、こ
の水分を含有した混合粉末を圧縮成型して成型密度2g
/cc以上の成型体を得、この成型体を酸素気流中で焼成
することを特徴とするリチウムニッケル酸化物LiNiO2
子粉末の製造方法を内容とするものである。尚、本発明
において、平均粒子径は走査型電子顕微鏡写真により測
定した値、BET比表面積は窒素吸着法により測定した
値、ニッケル平均価数は組成分析により測定した値であ
る。
【0010】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明においては、平均粒子径が50nm以下で且つBE
T比表面積が50m2/g以上で、更にニッケルの平均価
数が2.2以上であるニッケル酸化物粒子粉末を用いる
ことが重要である。平均粒子径、BET比表面積、ニッ
ケルの平均価数が上記範囲外となるとリチウム化合物と
の反応性が低下するため長時間の焼成が必要になり、こ
の結果、リチウムの組成がずれやすくなる。尚、平均粒
子径の下限、BET比表面積の上限、ニッケルの平均価
数の上限については特に制限されないが、製造上の難易
度の観点から、それぞれ5nm以上、200m2/g以下、
3.0以下程度が好適である。
【0011】本発明に用いられるニッケル酸化物粒子粉
末は、ニッケル水可溶性塩と炭酸アルカリ水溶液とを、
Ni2+イオンに対するアルカリ金属イオンのモル比が2.
0以上となる割合で混合した後、得られた沈澱生成物を
280〜400℃の温度範囲且つ酸素含有ガス雰囲気中
で焼成することにより作成できる。
【0012】本発明に用いられるリチウム化合物として
は、Li2CO3、Li2O、LiOH、LiOH・ H2O 等を挙げることが
でき、これらは単独または2種以上組み合わせて用いら
れる。
【0013】本発明におけるリチウム化合物とニッケル
酸化物との混合比は、リチウムとニッケルのモル比で
1.0となることが望ましい。リチウムが不足しニッケ
ルが過剰な場合は、リチウムニッケル酸化物の他に正極
活物質として作用しないニッケル酸化物が残存し、この
ニッケル酸化物は除去することが極めて困難であるた
め、このニッケル酸化物を含む粉末を用いて正極を構成
した場合、良好な電池特性、即ち、リチウムイオン導電
性を有する電解液中での良好な電気化学的活性が得られ
にくい。一方、リチウムが過剰でニッケルが不足してい
る場合は、リチウムニッケル酸化物の他に正極活物質で
ない物質、例えば炭酸リチウムが残存し、この炭酸リチ
ウムも除去することが極めて困難であるため、この正極
活物質ではない物質を含む粉末を用いて正極を構成した
場合、同様に良好な電池特性、電気化学的活性が得られ
にくい。
【0014】次に、混合粉末に対して1〜10重量%の
水分を含有させて、この粉末をローラーコンパクター等
にて圧縮成型し、成型密度2g/cc以上の成型体を作成
した後に、酸素気流中にて焼成する。
【0015】混合粉末に対して水分の量が1重量%未満
であると、成型体の強度が十分に得られないためハンド
リングしにくい上に、成型体中での圧縮密度にバラツキ
が生じるため、これが原因となって焼成後にリチウムニ
ッケル酸化物粒子の粒度分布が広くなってしまう。一
方、水分が10重量%を越えると水溶性のリチウム化合
物が流出しやすくなり、その結果、組成が変化し、リチ
ウムニッケル酸化物LiNiO2の品質の安定性に欠ける。
【0016】成型密度が2g/cc未満の成型体を焼成し
た場合には、リチウムニッケル酸化物粒子の粒成長が十
分でないため、塗布膜としたときの膜中の充填度が十分
なものが得られない。成型密度の上限は特に制限されな
いが、余り大きくなると製造が困難となるので3g/cc
程度が適当である。
【0017】本発明における混合粉末の焼成温度は、5
00〜850℃が適当で、好ましくは650〜800℃
の範囲であり、その加熱時間は2〜10時間が適当であ
る。
【0018】
【作用】本発明において最も重要な点は、平均粒子径が
50nm以下で且つBET比表面積50m2/g以上であ
り、更にニッケルの平均価数が2.2以上であるニッケ
ル酸化物粒子粉末をニッケル原料として用いて、リチウ
ム化合物と混合し、この混合粉末に対して1〜10重量
%の水分を含有させて、この粉末をローラーコンパクタ
ー等にて圧縮成型し、成型密度2g/cc以上の成型体を
作成、その後酸素気流中にて焼成することにより、短時
間でその反応が完結し、目的とする粒度分布の揃ったLi
NiO2を生成させることができるという事実である。
【0019】一般に焼成時の固相反応は、原料粉末粒子
同士の接点での相互拡散によって進行するものと考えら
れている。本発明者らは、リチウム化合物とニッケル酸
化物の場合、リチウムの融点がニッケル酸化物の融点よ
り大幅に低く、リチウムの拡散の方がニッケルの拡散よ
りも容易であり、主にリチウムがニッケル酸化物粒子の
中へ拡散することで反応が進行するものと考えている。
この考えに基づけば、リチウム化合物の粒子を小さくす
るよりも、ニッケル酸化物粒子を微細にした方が反応が
完結するのに必要なリチウムの拡散距離が短くてすむた
め、短時間でその反応が完結するものと思われる。そこ
で、平均粒子径が50nm以下で且つBET比表面積が5
0m2/g以上であり、更にニッケルの平均価数が2.2
以上であるニッケル酸化物粒子粉末をニッケル原料とし
て用いると、焼成時にLiとの反応が速やかに進行、即
ち、ニッケル原料の反応性が向上し、短時間でその反応
が完結するものと考えられる。
【0020】さらに、原料粉末の粒度が微細であり反応
性に富んでいることと、混合粉末に対して1〜10重量
%の水分を含有させて、この粉末をローラーコンパクタ
ー等にて圧縮成型し、成型密度2g/cc以上の成型体を
作成することで、粒度分布の揃ったリチウムニッケル酸
化物粒子が生成するものと考えられる。圧縮成型の際
に、水分を含まないドライの粉末では粒子粉末が滑りに
くく、従って系全体に圧縮圧力が均一に伝達しにくいた
め、圧縮密度のバラツキが生じる。これに対し、系内に
わずかの水分を含ませることで粒子粉末が滑りやすくな
り、系全体に圧縮圧力が均一に伝達し均一な成型体がで
きるために、それを焼成して得られるリチウムニッケル
酸化物粒子の粒度分布が揃ったものとなるものと考えら
れる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例にて更に詳細に説明す
るが、この実施例は本発明を何ら限定するものではな
い。なお、反応生成物である粉末の同定、およびその結
晶構造の解析は、X線回折(RIGAKU,Mn−fi
ltered Fe−Kα,40kV and 20m
A)により行った。また、粒子の形態、粒度分布は透過
型及び走査型電子顕微鏡により観察または測定した。
【0022】実施例1 ニッケル原料粉末として、平均粒子径12nm、BET比
表面積160m2/g、ニッケル平均価数2.5の酸化ニ
ッケル粒子粉末とLi(OH)H2O を原子比Li/Ni=1.
0となるように秤量し、これらの粉末を機械的に混合
し、得られた混合粉末に対して5重量%の水分を噴霧し
た。この粉末をローラーコンパクターにて圧縮成型し、
成型密度2.3g/ccの成型体を作成した。この成型体
を電気炉に入れて750℃に加熱し、6時間焼成した。
得られた粉末を乳鉢にて粉砕し、黒色粉末を得た。得ら
れた黒色粉末は、図1に示すX線回折図に示す通り、Li
とNiが規則配列した層状岩塩型の、平均粒子径0.6±
0.2μmのLiNiO2粉末であり、その粒子は図2の走査
型電子顕微鏡写真(10000倍)に示すように粒度の
揃ったものであった。
【0023】次に、以上のようにして得られたリチウム
ニッケル酸化物の電極活物質としての電気化学特性を、
ポテンシャルスイープ法により評価した。測定用正極電
極として、リチウムニッケル酸化物と、バインダーとし
てポリテトラフルオロエチレン、導電材としてケッチェ
ンブラックを各々重量比で10%混合し、この混合物を
0.5g秤量し、集電体としてニッケルのメッシュに充
填し、作用電極とした。負極電極として、金属リチウム
箔をステンレス鋼メッシュに充填した。更に参照電極と
してはリチウム金属を用いた。過塩素酸リチウム(LiCl
O4)を、プロピレンカルボネート、ジメトキシエタンを
体積比で1:1に混合した溶媒中に1Mの濃度で溶解さ
せたものを電解質として用いた。
【0024】以上の測定用正極作用電極、負極、参照電
極、電解質を用いて電気化学測定セルを構成した。この
電気化学セルを用い、金属リチウム電極基準で3.0〜
4.2Vの電位範囲、電流0.5mA/cm2 にて充放電
曲線を調べた。このリチウムニッケル酸化物の電気化学
的活性の指標として、この充放電の電気容量を求めたと
ころ、235mAh/gであった。ニッケル原料粉末の
特性を表1に、製造条件及び充放電電気容量の測定の結
果を表2に示す。
【0025】実施例2〜6、比較例1〜4 ニッケル酸化物原料粉末の粒度、含有水分量及び成型密
度、焼成温度及び焼成時間を表1及び表2に示す如く種
々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして反応生
成物粉末を得た。この時の反応生成条件及び得られた反
応生成物の特性を表2に示した。実施例2〜6で得られ
たリチウムニッケル酸化物粉末は、いずれもLiとNiが規
則配列した層状岩塩型のLiNiO2と同型の構造を有してお
り、粒度分布が揃っている粒子からなることが認められ
た。一方、比較例1〜2で得られた粉末は、一部のLiと
Niが不規則配列している層状岩塩型LiNiO2であった。ま
た比較例3〜4で得られた粉末は、LiとNiが規則配列し
た層状岩塩型LiNiO2と同型の構造を有しているが、粒度
分布が均斉でない粒子からなっていた。前記実施例1と
同様にして調べた充放電容量を表2に示した。これらの
結果より、実施例1〜6で得られたリチウムニッケル酸
化物を用いた場合の充放電容量は、比較例1〜4のもの
に比べて大きな値を示しており、本発明により、高い電
気化学的活性を示すリチウムニッケル酸化物が得られる
ことがわかる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、短時間の焼成によって
粒度の揃ったリチウムニッケル酸化物粉末を供給するこ
とが可能である。また、本発明により得られるリチウム
ニッケル酸化物粉末は、リチウム電池の正極活物質とし
て作用し、起電力が高く、高エネルギー密度化が可能な
リチウム電池の正極活物質用材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたリチウムニッケル酸化物の
X線回折図である。
【図2】実施例1で得られたリチウムニッケル酸化物の
粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(10000倍)
である。
フロントページの続き (72)発明者 梶山 亮尚 山口県小野田市新沖1丁目1番1号 戸田 工業株式会社小野田開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が50nm以下で且つBET比
    表面積が50m2/g以上であり、更にニッケルの平均価
    数が2.2以上である酸化ニッケル粒子粉末とリチウム
    化合物とを混合し、この混合粉末に対して1〜10重量
    %の水分を添加し、この水分を含有した混合粉末を圧縮
    成型して成型密度2g/cc以上の成型体を得、この成型
    体を酸素気流中で焼成することを特徴とするリチウムニ
    ッケル酸化物LiNiO2粒子粉末の製造方法。
JP9254158A 1997-09-02 1997-09-02 リチウムニッケル酸化物粒子粉末の製造方法 Withdrawn JPH1179751A (ja)

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