JPH1032430A - 表面実装用圧電発振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ベースの高さ寸法を小さくしても、異常発振を
引き起こすことのない、面実装用発振器を提供する。 【構成】両端側の上面に接続電極を有する環状側壁と出
力電極を有する底壁とを積層してなるセラミックベース
と、前記環状側壁の上面に引出電極の延出した少なくと
も一端部外周を接着される水晶片と、前記セラミックベ
ースの底壁上に設けられて、Ｃ−ＭＯＳ型の発振用イン
バータを含み、該発振用インバータの入出力端子間に水
晶片の引出電極を電気的に接続されるＩＣチップとから
なる表面用圧電発振器において、上記セラミックベース
の出力電極は該セラミックベースの一端側に形成し、上
記発振用インバータの入力端子に電気的に接続する上記
接続電極は該セラミックベースの他端側に接続して、上
記セラミックベースの一端側に形成した前記出力電極と
他端側に接続した前記接続電極とは非対向としたことを
特徴とする圧電発振器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高さ寸法を小さくした
表面実装用圧電発振器（以下、面実装発振器とする）を
利用分野とし、特に異常発振を防止した面実装発振器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】

（発明の背景）水晶振動子等を用いた面実装発振器は、
例えばコンピュータの時間源あるいは通信機器の周波数
源として有用され、小型化指向から、その需要が拡大す
る傾向にある。

【０００３】（従来技術の一例）第３図及び第４図は従
来例を説明する図で、第３図は面実装発振器の概略断面
図、第４図は同分解図である。面実装発振器は、いずれ
もセラミックとしたベース１とカバー２からなる容器３
内に、水晶片４及びＩＣチップ５を封入してなる。

【０００４】ベース１は底壁６と環状側壁７からなり、
焼成により積層される。底壁６は内表面に回路パターン
が形成され、表面実装用の各端子となる４つの電極８
（ａｂｃｄ）を外表面の角部に延出する。すなわち、電
源用８ａ、出力用８ｂ、接地用８ｃ及びスタンバイ用８
ｄである。

【０００５】環状側壁７は中央に空間部９を有する。そ
して、両端部の上面には、水晶片４との接続電極１０
（ａｂ）を形成されて、スルーホール加工による電極貫
通孔１１（ａｂ）を有する。

【０００６】水晶片４は両主面に励振電極１２を有し、
両端部に引出電極１３（ａｂ）を延出する。両端部は、
環状側壁７上面の接続電極１０（ａｂ）上に接合する。
そして、引出電極１３（ａｂ）は電極貫通孔１１（ａ
ｂ）を経て、底壁６に設けられた回路パターン中の水晶
片導通電極１４（ａｂ）に接続する。

【０００７】ＩＣチップ５は、第５図に示したように、
水晶片４を入出力端子ａ、ｂ間に接続してインバータ発
振回路１５を構成する、Ｃ−ＭＯＳからなる発振用イン
バータ１６及び抵抗１７、コンデンサ１８（ａｂ）を集
積化してなる。但し、この例では、同様にＣ−ＭＯＳか
らなる増幅用及びスタンバイ用のインバータ１７、１
８、１９も内蔵する。

【０００８】そして、ＩＣチップ５の水晶片用、電源
用、接地用、出力用及びスタンバイ用の表面に露出した
図示しない各端子部が、ベース底面に形成された回路パ
ターンの各電極ターミナルに接続する。これらの接続
は、所謂フェースダウンにより接合される。そして、水
晶片導通電極１４（ａｂ）を除き、前述のようにベース
外表面に面実装用の各電極８（ａｂｃｄ）として延出さ
れる。

【０００９】カバー２は、押し込み加工により、内表面
に凹部を形成されて焼成され、ベース１の環状側壁上面
に、図示しない接着剤をもって接合される。このような
構成であれば、高さ寸法を小さくした面実装発振器を得
ることができる。

【００１０】

【発明が解決しようとする解決課題】

（従来技術の問題点）しかしながら、上記構成のもので
は、ベース１に設けた回路パターンの配置によっては、
異常発振を引き起こすことが想定された。すなわち、ベ
ース１の底面に形成された出力電極８ｂと、環状側壁上
面の接続電極１０ｂとは、特にその一部において面対向
する。そして、両者間に、電極間容量Ｃ₀を発生する。
なお、対向しなくても、両者は接近するので、電極間容
量Ｃ₀を発生する（第６図）。したがって、水晶片導通
電極１４ｂの電極ターミナルＸを発振用インバータ１６
の入力端子ａに接続する。そして、水晶片導通電極１４
ａの電極ターミナルＹを発振用インバータの出力端子ｂ
に接続したとする、と次になる。

【００１１】すなわち、この場合には、第７図に示した
ように、電極間容量Ｃ₀ は、出力端子８ｂと発振用イン
バータ１６の入力端子ａとの間となる。したがって、発
振用インバータ１６及び緩衝用インバータ１７、１８と
電極間容量Ｃ₀で、一転鎖線で示す発振ループ（閉ルー
プ）を形成する。そして、これらの素子値から決定され
る周波数で自励発振を引き起こす。なお、図ではスタン
バイ用のインバータは省略してある。

【００１２】このようなことから、水晶片４とコンデン
サ１８（ａｂ）で形成する共振回路に基づく、本来の周
波数での発振が妨げられ、異常発振（自励発振）を来
す。この傾向は、高さ寸法を小さくしようとするほど、
顕在化することから、問題視する必要があった。ちなみ
に、両者間の容量を５ｐＦとして、発振周波数を６０Ｍ
Ｈｚとして、概ねのシュミレーションをしたところ、２
８ＭＨｚでの異常発振を起こし、本来の発振が妨げられ
た。

【００１３】（発明の目的）本発明は、ベースの高さ寸
法を小さくしても、異常発振を引き起こすことのない、
面実装用発振器を提供することを目的とする。

【００１４】

【問題を解決するための手段】本発明は、前述の点から
理解されるように、ベースの底壁に形成された出力電極
と、環状側壁の上面に形成されて発振用インバータの入
力側となる接続電極とを、ベースの互いに反対方向の一
端部と他端部に形成し、非対向としたことを基本的な解
決手段とする。

【００１５】

【作用】このようなことから、ベースの出力電極と発振
用インバータの入力側となる接続電極との間では、電極
間容量の発生を防止する。以下、本発明の一実施例を説
明する。

【００１６】

【第１実施例】第１図は本発明の一実施例を説明する面
実装用発振器の一部分解図である。なお、前従来例図と
同一部分には同番号を付与してその説明は省略する。面
実装発振器は、前述したように、回路パターンが形成さ
れて４つの電極８（ａｂｃｄ）を外表面に延出した底壁
６、空間部９を有して上面には入出力用引出接続電極１
０（ａｂ）を形成されて電極貫通孔１１（ａｂ）を有す
る環状側壁７、及び押し込み加工されたカバー２からな
るセラミックの焼成により形成される容器３と、これら
に封入される、励振電極１２及び引出電極１３（ａｂ）
を有する水晶片４と、インバータ発振回路を構成するＣ
−ＭＯＳ発振用インバータ１６、抵抗１７、コンデンサ
１８（ａｂ）、及び増幅用、スタンバイ用のＣ−ＭＯＳ
インバータ１７、１８、１９を集積化したＩＣチップ５
とから構成される（前第図参照）。

【００１７】そして、前述の解決手段から理解されるよ
うに、発振用インバータ１６の入力側となる環状側壁上
面の接続電極１０ｂと、底壁６の出力電極４ｂとを非対
向とする。この例では、回路パターンを変更して、水晶
片導通電極１４ａの電極ターミナルＸを発振用インバー
タ１６の入力端子ａに接続する。そして、水晶片導通電
極１４ｂの電極ターミナルＹを出力端子ｂに接続する。

【００１８】このようにすれば、接続電極１０ｂと出力
電極８とは対向しても、第２図に示したように、これに
よる電極簡容量Ｃ₀は、出力電極８ｂと発振用インバー
タ１６の出力端子ｂとの間になる。したがって、面実装
発振器の出力端子８ｂと発振用インバータ１６の入力端
子ａとの簡では、発振ループを形成しないので、自励発
振を起こすことがない。なお、面実装用発振器の出力端
子８ｂと発振用インバータ１６の出力端子ｂとの間での
帰還回路は形成されるが、発振用インバータ１６からの
出力が強勢であるため、この帰還による自励発振は生じ
ない。

【００１９】

【他の事項】上記実施例では、水晶片４の両端側に引出
電極１３（ａｂ）を延出した場合を説明したが、引出電
極１３（ａｂ）一端側に延出して一端保持とした場合で
あっても、同様に適用できる。すなわち、水晶片の一端
側が接続されるベースの他端側に出力電極を形成すれば
よい。

【００２０】また、ＩＣチップは、緩衝用及びスタンバ
イ用のインバータ７、８、９等をも内蔵させたが、発振
用インバータのみであったとしてもよい。また、回路パ
ターンは模式的に示したが、趣旨を逸脱しない範囲で自
在に変更可能である。

【００２１】要するに、本発明では、例えばベース１を
底壁６と環状側壁７から形成し、水晶片４を環状側壁７
の上面に保持して、高さ寸法を小さくすることによって
生ずる弊害を、解決するものであって、このような趣旨
に基づくものは、本発明の技術的範囲に基本的に属す
る。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、ベースの底壁に形成された出
力電極と、環状側壁の上面に形成されて発振用インバー
タの入力側となる接続電極とを、ベースの互いに反対方
向の一端部と他端部に形成し、非対向としたので、ベー
スの高さ寸法を小さくしても、異常発振を引き起こすこ
とのない、面実装用発振器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明する面実装発振器の分
解図である。

【図２】本発明の一実施例の効果を説明する面実装発振
器の回路図である。

【図３】従来例を説明する面実装発振器の断面図であ
る。

【図４】従来例を説明する面実装発振器の分解図であ
る。

【図５】従来例を説明する面実装回路の回路図である。

【図６】従来例の問題点を説明する面実装発振器の一部
断面図である。

【図７】従来例の問題点を絶命する面実装発振器の回路
図である。

【符号の説明】

１ ベース、２ カバー、３ 容器、４ 水晶片、５
ＩＣチップ、６ 底壁、７ 環状側壁、８ 電極、９
空間部、１０ 接続電極、１１ 電極貫通孔、１２ 励
振電極、１３ 引出電極、１４ 水晶片導通電極、１５
インバータ発振回路、１６ 発振用インバータ、１
７、１８、１９ インバータ．

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端側の上面に接続電極を有する環状側
   壁と出力電極を有する底壁とを積層してなるセラミック
   ベースと、前記環状側壁の上面に引出電極の延出した少
   なくとも一端部外周を接着される水晶片と、前記セラミ
   ックベースの底壁上に設けられて、Ｃ−ＭＯＳ型の発振
   用インバータを含み、該発振用インバータの入出力端子
   間に水晶片の引出電極を電気的に接続されるＩＣチップ
   とからなる表面用圧電発振器において、上記セラミック
   ベースの出力電極は該セラミックベースの一端側に形成
   し、上記発振用インバータの入力端子に電気的に接続す
   る上記接続電極は該セラミックベースの他端側に接続し
   て、上記セラミックベースの一端側に形成した前記出力
   電極と他端側に接続した前記接続電極とは非対向とした
   ことを特徴とする圧電発振器。