JPH10323569A - 光触媒セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

光触媒セラミックス及びその製造方法

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JPH10323569A
JPH10323569A JP9154421A JP15442197A JPH10323569A JP H10323569 A JPH10323569 A JP H10323569A JP 9154421 A JP9154421 A JP 9154421A JP 15442197 A JP15442197 A JP 15442197A JP H10323569 A JPH10323569 A JP H10323569A
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mica
powder
titanium oxide
photocatalytic
weight
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JP9154421A
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Kunio Kitajima
圀夫 北島
Toichiro Izawa
登一郎 井澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化チタンの超微粒子の状態を保持して良
好な光触媒粉末とし、ガラス粉末と成型し焼結させて弾
性強度、耐熱性に優れる光触媒セラミックス及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 非膨潤性雲母粉末の層間イオンをナト
リウムイオンに交換して水分子を結晶層間に配位させた
後、加熱劈開して雲母粉末と成し、これにカリ、銀、金
等の金属イオンでイオン交換等により金属イオンを担持
させ、ついでチタン塩溶液より加水分解させた酸化チタ
ンと結合させて、鱗片状と成した光触媒微粉末を得、こ
れに透光性ガラス粉末を添加調整したゾルを薄肉にして
650゜C以下で焼き付けて薄膜状の光触媒セラミックス
を形成す、或いはこの光触媒微粉末に、ガラス粉末を添
加調整して成形した後、450〜700゜Cで焼結することに
より多孔質な光触媒セラミックスを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタンの超微
粒子と金属イオンと雲母を結合して成る光触媒粉末を用
いた光触媒セラミックス及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンの超微粒子による光触媒は、
光照射により電子と正孔を励起し、酸化及び還元作用を
発揮する物質として有用なものであり、酸化チタンの光
触媒作用は本質的に超微粒子性によっている。したがっ
てその粒径は分子レベルの50nm以下の粉末やゾルであ
り、または肉厚100nm以下の薄膜で用いられている。
しかしながら、酸化チタンの超微粒子の構造は粒度調整
及び凝集性防止のため高度の技術を必要とするものであ
り、容易に成形できなかったのである。
【0003】さらに、その使用法において、粉末の化学
活性が強く、有機物を分解するので無機物と混合しセラ
ミックスにして用いられるが、他の材料との粒径差が大
きく、均質な混合が難しかったのである。また、セラミ
ックスの焼結に際して、酸化チタン粒子の会合成長、或
いは結晶相がルテル化して活性が低下するため、焼結温
度が550゜Cを限度とすることから焼結不足となり強
度が不足し水中で解体する欠点があった。
【0004】なお、光触媒の薄膜製品は、チタン化合物
の加水分解により生成する含水酸化チタンゾルを無機質
基体に塗着させた後、加熱して薄膜を形成する方法が採
られているが、薄膜を形成するための基体への焼き付け
に際して酸化チタンの体積収縮や膨張係数差、焼付温度
不足等によってクラックが発生し剥離し易いものであっ
た。さらに、膜厚や粒子径を超微粒体レベルに制御する
ため加水分解条件、粒子会合度、水熱処理等の操作で高
度の技術を必要とされたのである。
【0005】また、従来の酸化チタンを固定した光触媒
のセラミックスや薄膜製品はいずれも光照射を受ける表
面のみが光触媒活性を示すものであり、多孔体にして内
部気孔を活性化しフイルター効果を図る観点はなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、研究を重ね
た結果、酸化チタンと雲母を結合したものを基本材料と
することにより、容易に光触媒粉末を成形できるように
したものであり、これを用い酸化チタンの超微粒子の状
態を保持して均質混合による直接セラミック成型品に配
合し、或いは薄膜形成等を容易にできる光触媒セラミッ
クス及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため本発明の光触媒
セラミックスは、酸化チタン微粒子と金属イオンとを担
持した非膨潤性雲母と、透光性無機物材料を焼結させた
構成としている。なお、該セラミック材料をガラス粉末
としてもよい。また、金属イオンはカリ、銀、金、白
金、パラジウム、ルテニウムより選ばれた1種又は複数
種としてもよい。
【0008】また、本発明の光触媒セラミックスの製造
方法は、薄膜形成法と多孔体製造法の2種類があり、薄
膜形成法は、酸化チタン微粒子と金属イオンとを担持し
た非膨潤性雲母とを結合させた光触媒微粉末に、透光性
無機物粉末を添加調整したゾルを薄い肉厚にして650
゜C以下で焼き付けることにより薄膜状の光触媒セラミ
ックスを形成するものである。また多孔体製造法は、酸
化チタン微粒子と金属イオンとを担持した非膨潤性雲母
とを結合させた光触媒微粉末に、透光性無機物粉末を添
加調整して成形した後、450〜700゜Cで焼結する
ことにより多孔質な光触媒セラミックスを形成するので
ある。なお、いずれも透光性無機物粉末をガラス粉末と
してもよい。また、酸化チタンと金属イオンを担持した
雲母による光触媒微粉末40〜80重量%、ガラス粉末
20〜40重量%、シリカ粉末0〜20重量%、銀イオ
ン又は銅イオンを担持した無機質物0〜15重量%、炭
素粉末0〜10重量%を配合し、成形した後、450〜
700゜Cで焼結してもよい。
【0009】本発明で用いる光触媒粉末は、酸化チタン
と金属イオンを結合した雲母(以下、チタニヤ・雲母と
いう)で鱗片形状であって可撓性、耐熱性、耐薬品性、
電気絶縁性、光透過性に優れ、酸化チタン−雲母鱗片−
酸化チタン−雲母鱗片−酸化チタンの幾何学形態により
酸化チタン相互の会合が起こらないことから分子レベル
の粒子を維持できて光触媒反応に優れると共に、金属イ
オンの担持により電荷分離が図られて反応効率が良好と
なるのである。
【0010】この光触媒粉末をセラミック材料と焼結さ
せることで、透光性のある光触媒セラミックス製品が形
成されるのである。耐火物の表面に焼き付けて薄膜状製
品を得、或いは釉薬や塗料に配合してタイル等の施釉製
品等を造ることができるのである。特に、薄膜製品では
弾性と耐熱性に優れた鱗片体が基体表面と平行に積層す
るので焼き付けの際に剥離することがなく、良好な皮膜
体となるのである。また、鱗片積層体のため隙間が気孔
となって多孔質セラミックスとなることから表面だけで
なく、内部での触媒活性が図れるのである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、まず酸化チタンと金
属イオンを超微粒子の状態で改質された雲母に結合した
光触媒粉末を得るのであり、このため、(1)非膨潤性
雲母を化学処理により改質して膨潤化し、良好に劈開し
た雲母鱗片を得る。(2)得られた雲母鱗片にイオン交
換又は化学メッキにより、カリ、銀、金、白金、パラジ
ウム、ルテニウムより選ばれた金属イオンを担持する。
(3)チタン化合物の加水分解により酸化チタン超微粒
子を雲母鱗片と結合させるのである。そして、(4)得
られた光触媒粉末にガラス粉末等の透光性無機物材料を
焼結させて光触媒セラミックスを得るのである。以下、
その工程を詳細に説明する。
【0012】ここで雲母を用いるのは、雲母鱗片に酸化
チタン薄膜を形成し、さらにその活性を促進する金属を
担持させるためである。基本材料である雲母は、珪酸塩
層状鉱物に属し、結晶軸と平行方向は強い共有結合で結
晶軸の上下方向は弱いイオン結合を持つ異方性構造であ
る。このため雲母は薄い層に剥がれ易くシート形成能が
あり、可撓性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、光透過
性に優れている。
【0013】雲母は、水との反応性から膨潤性雲母と非
膨潤性雲母とに分類できる。膨潤性とは、水を雲母結晶
の層間に引き入れて膨潤する性質であり、通常の電気絶
縁材料に使われている天然の白雲母、金雲母、合成によ
るフッ素金雲母、カリ四珪素雲母等は潤滑しない非膨潤
性雲母である。これに対し、結晶の組成上、結晶層間の
結合強度が弱く層間に配位する層間イオンが、小さなイ
オン半径で水との親和性が大きいNa+とLi+であると
層間に水分子を引き入れて膨潤するのであり、こうした
雲母を膨潤性雲母という。膨潤性雲母には、ナトリウム
(又はリチウム)テニオライト、ナトリウム(又はリチ
ウム)四珪素雲母が属し、もっとも発達したものはゾル
を生成する。膨潤性雲母は、直径が5μm以下で、肉厚
が10nm以下の微細な鱗片であり、その層間イオンは他
の金属イオンとイオン交換をすることができるのであ
る。
【0014】本発明で用いる雲母は非膨潤性雲母であ
り、天然の白雲母、金雲母、合成によるフッ素金雲母、
カリ四珪素雲母等である。膨潤性雲母は粒径が微細であ
って他の材料と混合し難いが、非膨潤性雲母は粉砕によ
り粒径を自由に選択できるので他の材料との混合が容易
である。この非膨潤性雲母の層間イオンK+をテトラフ
ェニルナトリウムボロン[NaB(C6H5)4:以下NaTPBと称
す]による処理により溶出させ、代わりにNa+を配位
させることにより、水分子を1〜3分子層(雲母1分子
当たり2〜4H2O)を結晶相間に配位させて改質する
のである。なお、雲母から溶出したK+は直ちに難溶性
のKB(C6H5)4になるため、水溶液中のK+の濃度が低く保
たれることから反応が行われるのである。
【0015】NaTPBによる処理は、NaTPBの0.05〜0.3mol
/lを主体とし、他に必要に応じてNaF0.5〜1.0mol/l、ED
DT 0.05〜0.1mol/lを混合した水溶液1000mlに対し、非
膨潤性雲母を50〜100g投入する割合で懸濁液を調
整し、常温で3〜5時間撹拌を継続することにより処理
反応が行われるのである。そして反応終了後、固液分離
して改質された改質雲母が得られるのである。得られた
改質雲母は層間の結合強度により異なるが、結晶相間
に、カリ四珪素雲母で2水層[KMg2.5(SiO4)F2・4H
2O]、天然の金雲母、白雲母、合成のフッ素金雲母で約
1水層(1分子当たり2H2O)の水分子が配位する。ま
た、改質雲母は140〜185ミリ当量のイオン交換能
(CEC)を有する。
【0016】ついで、この改質雲母を500゜C以上で
急熱すると、水の急激揮散による膨張で雲母鱗片が劈開
され、疵のつかない鱗片が得られる。雲母の劈開度はア
スペクト比[ルート(長径+短径)/肉厚]で50以
上、好ましくは65以上が望ましい。また、表面積は1
g当たり約2〜10m2、好ましくは3m2以上がよい。
この雲母鱗片の微粒子度は用途に応じて任意に決められ
るが、一般に触媒粉末としては70〜270メッシュ、
釉薬混合用としては100〜400メッシュ、多孔質セ
ラミック用としては10〜250メッシュを用いる。
【0017】また、特定の金属イオンを担持するのは、
酸化チタンと固着させて電子と正孔の結合の分離、つま
り電荷分離を図ることによって反応効率を向上させるた
めである。即ち、光触媒の反応では、光エネルギーによ
り励起されて生成する電子と正孔が再結合して熱や光と
して消費されることから反応に寄与しない場合がある。
本発明ではこの電荷分離を図って光り触媒反応を良好に
するのであり、例えば、金、白金、パラジウム、ルテニ
ウムの添加は、発生電子が素早く金属イオンに移行し、
反応対象の被還元物の還元を行い、銅、銀は酸化チタン
の電子を消費して正孔の被酸化物への酸化を促進する作
用を持つのである。
【0018】本発明ではこれら金属イオンの担持を雲母
の層間イオン交換及び化学メッキにより行う。イオン交
換は、雲母の固形分10重量%以下の懸濁液に金属化合
物の水溶液、例えば銀(AgNO3)、金(HAuCl4)、白金
(H2PtCl6)、パラジウム(PdCl2)、ルテニウム(RuCl
3)等の濃度5〜10%を含む水溶液を撹拌しながら滴
下注入して行う。金属が錯イオンとなり易い金、白金等
は充分雲母を浸漬した後、クエン酸ナトリウムやホルマ
リン等の還元液で還元処理をする。
【0019】化学メッキをする方法は、常法で行われて
いる無電解メッキの方法で行われる。例えば、銀メッキ
で例示すれば、雲母5重量%以下を濃度2〜5%の硝酸
銀溶液に浸漬して撹拌でメッキ処理を行った後、酒石酸
塩、ホルマリン、クエン酸ナトリウム等の還元液や乳
酸、アラニン、EDTA等のpH緩衝剤を加えて処理を
し、銀イオンを雲母表面に析出させる。金属イオンの析
出量は雲母表面1m2当たり10mg以上あればよい。
【0020】さらに酸化チタンを担持して光触媒機能を
形成する。チタン化合物としては、硫酸チタニル、四塩
化チタン、アルコキシドチタン(TTIP.TTBP)等が用い
られる。これらのチタン化合物溶液を、加温下で撹拌し
ながら雲母懸濁液に滴下し、加水分解により生成する酸
化チタンを雲母鱗片に結合させるのである。
【0021】なお、チタン化合物は酸化チタン又は水酸
化チタンが良好に加水分解されるよう調整される。例え
ば、硫酸チタニルは雲母懸濁液(固形分3重量%)を約
70〜90゜Cに加温し、アルカリを加えてpH5〜7
に保持しながら滴下注入して加水分解をし、酸化チタン
を雲母と結合させる。四塩化チタンは、アルカリでpH
6.5〜7に保ちながら室温で雲母懸濁液に滴下し、加水
分解して酸化チタンを雲母と結合させる。
【0022】アルコキシドチタンは、チタンイソプロポ
キシド又はチタンブトキシドを塩酸水で稀釈し、加水分
解して酸化チタンを雲母と結合させる。硫酸チタニルと
四塩化チタンによる方法は略同等の性能である。加水分
解して生成する酸化チタン又は水酸化チタンは含水状ア
モルファス体のカチオンとして、雲母のアニオンチャー
ジの表面と会合し結合する。
【0023】本発明では雲母鱗片に結合する酸化チタン
の付着量はその薄膜を分子レベルの30nm以下にするの
がよい。このため雲母1m2当たり酸化チタン付着量は
50mg以下にする必要がある。この付着量は雲母表面
積、懸濁液濃度、加水分解酸化チタン生成量、反応温
度、反応時間等を因子として実験的に調整できるのであ
る。なお、雲母の表面積は、通常、電気絶縁材に用いら
れるパルプマイカの白雲母で0.5〜5m2/g、金雲母で2
〜6m2/gであり、本発明による改質雲母では、白雲母
及び金雲母で2〜10m2/g、合成のフッ素雲母で2〜
8m2/gである。
【0024】また、加水分解により雲母に結合した酸化
チタンは含水状のアモルファスであるので結晶相を調え
るため焼成処理をする。この方法は、結合反応生成物を
耐火物容器に入れ、約100゜Cまでの温度で乾燥した
後、約300〜700゜C、好ましくは300〜600
゜Cで1〜2時間加熱して含水酸化チタンを結晶質酸化
チタンの形態にすると共に、酸化チタンを雲母表面に焼
き付けるのである。
【0025】なお、酸化チタンの結晶相はチタン化合物
と加熱温度によって異なるが、無機チタン塩の場合、約
700゜Cまでの加熱温度ではアナタースであり、75
0゜C以上でルチルへの転移が始まる。またアルコキシ
ドチタンの場合、約550゜Cまでの加熱温度ではアナ
タースであり、600゜C以上で大部分ルチルに転移す
る。
【0026】光エネルギーにより励起されるアナタース
のバンドギャップは3.2eV、ルチルでは3.0eVであり、ア
ナタースの方が光還元力及び光酸化が共に大きいと推定
される。したがって本発明ではなるべく酸化チタンの結
晶相がアナタースになるよう加熱温度を制御している
が、一部ルチルになる場合を考慮し、活性を付活する金
属イオンを担持して活性を補っている。
【0027】また、従来の技術に、酸化チタンと雲母を
結合したラスター顔料がある。このラスター顔料は、酸
化チタンと雲母による光線干渉により紅彩色を発現する
有機質の塗料や紫外線を吸収遮蔽する化粧顔料として用
いられている。その酸化チタンの膜厚は90〜270nmの範
囲であり、且つ1000゜C付近の加熱により安定した結晶
相ルチルで構成され、本発明のような量子サイズレベル
の光触媒技術とは異なるものである。
【0028】本発明は、光触媒粉末をフィラーとして他
の材料と混合させることで塗料材料や成型品を造ること
ができる。例えば、耐火物の表面に焼き付けて薄膜状製
品とし、或いは釉薬に配合してタイルや食器等の施釉製
品を造ることができるのである。この場合、焼結結合材
として、軟化温度が700゜C以下のガラス粉末を20
〜50重量%を添加し、ルチル化を防ぐため650゜C
以下で焼成するのが最適である。
【0029】チタニヤ・雲母の光触媒粉末における雲母
は、焼結により変質しないことが求められる。原料とし
て天然雲母は700゜C付近より結晶水を放出して脆弱
になるため600゜C以下で行い、合成雲母はフッ素金
雲母が1100 ゜C付近より、カリ四珪素雲母が900゜
Cよりフッ素を放出して変質するため焼結は酸化チタン
のルチル化を考慮して800゜C以下で行う。また、製
品となる多孔質セラミックスへのチタニヤ・雲母光触媒
粉末の配合量は40重量%以上、好ましくは60〜80
重量%である。
【0030】透光性無機物材料は、照射光線をセラミッ
クス内部に導入することと、及びチタニヤ・雲母と相互
に焼結するものである。したがって、透光性に優れ、N
a分の少ないガラス粉末、例えば硼珪酸塩、高珪酸塩、
アルミノ珪酸塩である。ガラス粉末は、チタニヤ・雲母
と800゜C以下、好ましくは700゜C以下で焼結す
るような軟化点をもつものが選ばれる。その粒度は、焼
結強度、気孔径及び気孔率を配慮し、直径1mm以下の粉
末及び10〜400メッシュのものを適宜粒度配合す
る。その配合量は20〜40重量%がよい。
【0031】多孔質セラミックスの光触媒製品とするに
は、必要に応じて触媒の機能付活剤として銅や銀の無機
イオン交換体を0〜15重量%配合する。機能付活剤は
水溶液や湿性ガスの処理に当たって光触媒に生成する正
孔の酸化作用を促進する役割をもつ。無機質の交換体
は、多孔質セラミックスの焼結により金属の溶出性を失
わないことが必要で、このような材質としては合成膨潤
性雲母やアバタイト系鉱物がよく、銅や銀の可溶性水溶
液中にこれらの材料を浸漬しイオン交換をして用いる。
【0032】この他、多孔質セラミックスの光触媒製品
には、気孔径や気孔率を調整するため、木粉やコーク
ス、炭等の粉末を0〜10重量%配合する。気孔形成材
は、多孔質セラミックスの焼成工程で焼失して空洞を残
すことで気孔となるのである。また、成形に当たって常
法の有機質バインダー、例えばCMC、アクリル、アル
ギン酸塩等を適宜添加してもよい。
【0033】多孔質セラミックスの光触媒製品の形状
は、ペレット、リング、パイプ、板体等である。各成文
の原料配合物は、ボールミル、ニーダー等により均質に
なるまで混合し、ついで水分を2重量%以下でプレス又
は押し出し成型により、100〜250Kg/cm2の加圧に
より成型する。成型品は乾燥後、耐火物容器に載せ、加
熱炉に入れ焼結する。焼結は毎時100〜200゜Cで
昇温し、所定の焼結温度で1〜2時間保持して終了す
る。その焼結温度は、組成内容、気孔性、形状、容積等
により決められるが、450〜750゜C、好ましくは
450〜600゜Cの範囲である。
【0034】
【発明の効果】本発明の請求項1によると、雲母鱗片積
層体に結合した酸化チタンは、酸化チタン−雲母鱗片−
酸化チタン−雲母鱗片−酸化チタンの幾何学形態により
酸化チタン相互の会合が起こらないことから分子レベル
の粒子を維持でき、金属イオンの担持と相俟って光触媒
反応が良好な光触媒粉末が得られ、これを透光性無機質
のセラミック材料と焼結するため、弾性強度に優れ、耐
熱性等の良好な光触媒セラミックスとなるのである。請
求項2では、光触媒粉末との焼結が良好でその成形が容
易となるのである。
【0035】また製造方法発明の請求項3では、酸化チ
タン微粒子を担持できて金属イオンの担持と相俟って光
触媒反応が良好な光触媒粉末と、透光性無機質のセラミ
ック粉末とを添加調整したゾルを耐火物基体の表面に焼
き付けることで、弾性と耐熱性に優れた雲母鱗片体が基
体表面と平行に積層することから焼き付けの際に剥離す
ることがなく、良好な皮膜体の光触媒薄膜製品が得られ
るのである。請求項4では酸化チタン微粒子を担持でき
て金属イオンの担持と相俟って光触媒反応が良好な光触
媒粉末と、透光性無機質のセラミック粉末とを添加調整
して成型焼結することにより弾性と耐熱性に優れると共
に、内部での活性が図れる多孔質な光触媒セラミックス
が得られるのである。
【0036】また請求項5では、光触媒粉末との焼結が
良好で弾性と耐熱性に優れる光触媒薄膜製品或いは多孔
質な光触媒セラミックスが得られるのである。さらに請
求項6では、銅や銀の無機イオン交換体により光触媒に
生成する正孔の酸化作用を促進する役割を果たし、炭素
粉末によって気孔径や気孔率を調整した多孔質な光触媒
セラミックスが得られるのである。
【0037】
【実施例】以下、各工程毎に分けて夫々の実施例をまと
めて説明する。 (A:原料雲母の調整) (A-1)天然金雲母:粉末度30〜100メッシュ(8
2%が40〜70メッシュ)、平均アスペクト比31 (A-2)合成フッ素金雲母(大竹碍子株式会社製):粉
末度30〜100メッシュ(75%が40〜70メッシ
ュ)、平均アスペクト比20 (A-3)合成四珪素雲母(大竹碍子株式会社製):粉末
度30〜100メッシュ(85%が40〜70メッシ
ュ)、平均アスペクト比35 上記の原料雲母を夫々ボールミルにより24時間湿式粉
砕し、ミキサーによる急激撹拌後、静置し、沈降物を除
去し篩い分けして採取した。
【0038】(B:NaTPBによる改質処理)NaTPB濃度0.
2mol/l、NaF 1.0mol/l、EDDT 0.1mol/lの混合溶液500ml
内に夫々の前記Aによる原料雲母(A-1)、(A-2)、(A
-3)を夫々25g添加し、室温で7時間電磁撹拌して雲
母改質反応を行った。反応後、固相(雲母)を円心分離
して雲母をアセトン(濃度50%)で洗浄し、共存する
KB(C6H5)4を溶解除去し、さらに水洗いした。風乾した
雲母をX線回析により底面間隔値を測定し、結晶層間に
配位した水分子層(侵入配位した水分子の厚さ)を測定
する。また、常法により、フッ化水素酸で溶解処理し、
炎光分析により層間イオンK及びNa量を測定した。
【0039】つぎに、風乾雲母をアルミナ製るつぼに入
れ、予め500〜550゜Cに保ってある電気炉に収容
し加熱した。るつぼ中で雲母は容積が3〜5倍に増大し
た。そして、るつぼより雲母を取り出して乳鉢で摺り、
均質にほぐした。雲母の粒度は直径で細かくなった粒子
が風乾雲母と比べ重量%で15〜20%増大していた。
急激加熱による各雲母のアスペクト比はSEM写真によ
り判定すると3〜5倍の数値であった。改質雲母の性質
を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】(C1:金属イオンの担持・イオン交換法
による) (C-1:Ag担持)前記改質処理された(A-1)の天然金雲
母、(A-2)のフッ素金雲母を用い、夫々その3重量%を
分散させた懸濁液200mlを夫々調整する。AgNO3 4.38
gを水250mlに溶解した水溶液を雲母懸濁液中に撹拌
しながら滴下注入し、約1時間撹拌を継続してイオン交
換を行い、固液分離した後、固相(雲母)を水洗いし、
110゜Cで乾燥してAg−金雲母及びAg−フッ素金雲母
を得た。
【0042】(C-2:Pd担持)前記改質処理された(A-
3)のカリ四珪素雲母を用い、その3重量%を分散させ
た懸濁液に200mlを調整する。PdCl2 3.34gを0.1-HCl
100mlに溶解した水溶液を雲母懸濁液中に撹拌しながら
滴下注入し、約1時間撹拌を継続してイオン交換を行
い、固液分離した後、固相(雲母)を水洗いし、110
゜Cで乾燥してPd−四珪素雲母を得た。
【0043】(C-3:Pt担持)前記改質処理された(A-
3)のカリ四珪素雲母を用い、その3重量%を分散させ
た懸濁液100mlを調整する。H2PtCl6・6H2O 2.65gを水
100mlに溶解した水溶液を雲母懸濁液中に撹拌しなが
ら滴下注入し、約1時間撹拌を継続し、Pt3+交換及び
[PtCl22+をインターカレーション(層間に吸着する
形式)反応させる。反応終了後、固液分離し、固相(雲
母)を別の容器に採取し、クエン酸ナトリウムの1%溶
液180mlを添加し、70〜90゜Cで20分撹拌を続
けて還元処理をした後、固液分離し固相(雲母)を水洗
いし、乾燥してPt−四珪素雲母を得た。
【0044】(C-4:Au担持)前記改質処理された(A-
3)のカリ四珪素雲母を用い、その3重量%を分散させ
た懸濁液100mlを調整する。HAuCl4・4H2O 2gを溶解
した水溶液100mlを雲母懸濁液中に撹拌しながら滴下
注入し、約1時間撹拌を継続し、Au交換及び[AuCl]-
をインターカレーション反応させる。反応終了後、固液
分離し、固相(雲母)を別の容器に採取しクエン酸ナト
リウムの1%溶液180mlを添加し、70〜90゜Cで
20分撹拌を続けて還元処理をした後、固液分離し固相
(雲母)を水洗いし、乾燥してAu−四珪素雲母を得た。
【0045】(C-5:Ru担持)(A-2)の改質されたフッ
素金雲母を用い、その3重量%を分散させた懸濁液10
0mlを調整する。RuCl3 2.05gを0.1N-HCl 100mlに溶解
した水溶液を雲母懸濁液中に撹拌しながら滴下注入し、
Ru3+交換及び[RuCl52-をインターカレーション反応
させる。反応終了後、固液分離し、固相(雲母)を別の
容器に採取し、クエン酸ナトリウムの1%溶液180ml
を添加し、70〜90゜Cで20分撹拌を続けて還元処
理をした後、固液分離し固相(雲母)を水洗いし、乾燥
してRu−フッ素金雲母を得た。
【0046】(C2:金属イオンの担持・化学メッキに
よる)(A-1)の改質された天然金雲母を、500〜5
50゜Cに加熱して劈開させた後、KCl2溶液に浸漬して
カリイオン交換した後、700゜Cで1時間加熱したも
のをAg及びPdメッキ処理する。 (C-6:Ag担持)AgNO3 30gにNH4OH(比重0.88)水を
添加し、銀アンモニア錯体を形成させ、さらに錯体を再
溶解するまで添加する。ついでNaOH 5g、ブドウ糖6
0g、水2000mlの沿を調整する。これに雲母を浸漬し撹
拌しながらメッキ処理を行い、終了後、固液分離して雲
母をアセトン及び水で洗浄し、乾燥してAg−金雲母を得
る。Agの付着量は膜厚0.2〜0.3μmであった。
【0047】(D−1:酸化チタンと雲母の結合)前記
Aで得た改質雲母をKCl2に浸漬して層間Na+をK+にイオ
ン交換し、700゜Cに1時間仮焼した天然金雲母[比
表面積(BET)5.5m2/g]、同様に処理してK+交換した
フッ素金雲母(比表面積4.8m2/g)を用いる。原料雲母
3g、水120mlの懸濁液をつくり、1時間減圧して気
泡を除去した後、70〜90゜C加温保持した。
【0048】この懸濁液に0.05ml/lの硫酸チタン溶液30
0mlを、雲母表面積1m2当たり5〜10×10-7mol/mi
nに保つように、撹拌しながら滴下し、70〜90゜C
に加温を継続して熱加水分解により含水酸化チタンを生
成させ雲母と結合させる。なお、この時pHを調節する
ため、理論硫酸イオンより少し過剰のアルミニウム粉末
を反応溶液中に加えた。
【0049】反応後、反応溶液に500mlの水を加え3
0分放置してその上澄液を捨て、遊離したTiO・2H2Oや生
成夾雑分を除去した後、沈殿物を濾過洗浄し、ウェット
ケーキ状の含水酸化チタン結合雲母を得た。これを12
0゜Cで乾燥した後、白金るつぼに入れ、600゜Cで
1時間仮焼して酸化チタン結合雲母を得た。
【0050】SEM写真(×5000)及びX線回析によれ
ば酸化チタンの膜厚は天然金雲母、フッ素金雲母共に3
0nmであり、結晶相は共にアナタースと同定された。
【0051】(D−2:酸化チタンと雲母の結合の別例
1)前記(C-1)のイオン交換によるAg−金雲母とAg−
フッ素金雲母、(C-2)によるPd−四珪素雲母、(C-3)
によるPt−四珪素雲母、(C-4)によるAu−四珪素雲
母、(C-5)によるRu−フッ素金雲母、及び (C-6)の
化学メッキによるAg−金雲母を用い、夫々前記(D-1)と
同じ操作で雲母懸濁液を調整し、硫酸チタン水溶液の熱
加水分解による含水酸化チタンと雲母の結合反応を行っ
た。ついで、反応生成物を650゜Cで1時間加熱して
チタニヤ・雲母を得た。
【0052】この操作の中で硫酸チタン水溶液の添加条
件は原料雲母の表面積に応じて可変した。得られたチタ
ニヤ・雲母の酸化チタンの膜厚、雲母表面積、結晶相等
について表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】(D−3:酸化チタンと雲母の結合の別例
2)前記(C-2)によるPd−四珪素雲母、及び(C-3)に
よるPt−四珪素雲母を夫々3gに対し水120mlを加え
1時間減圧し脱泡した懸濁液に、四塩化チタン10gを
溶解した水溶液500mlを添加し、室温で撹拌しながら
アンモニア水を添加してpHを7に保ち2時間撹拌を継
続して加水分解し、酸化チタンの生成及び雲母との結合
反応を行った。
【0055】反応液を固相分離し、固相を別の容器に移
し、約1リットルの水を加え撹拌した後、固液分離し、
さらにアセトンで洗浄して含水酸化チタンと雲母の結合
物を得た。この含水酸化チタン・雲母を乾燥し、白金る
つぼに入れて夫々700゜C及び850゜Cで仮焼して
チタニヤ・雲母を得た。
【0056】各製品は、酸化チタンの膜厚が25〜35
nmであり、X線回析によれば結晶相は、700゜C仮焼
品ではいずれもアナタースであり、850゜C仮焼品で
は各雲母ともにルチルとアナタースの共晶相であった。
【0057】(D−4:酸化チタンと雲母の結合の別例
3)TTIP(チタニウムとテトライソプロボキシド)1重
量部を0.1mol/l,HCl4重量部に滴下し、2時間室温で撹
拌して加水分解したTiO2のゾルを調整した。このゾル
300ml中に前記(C-4)によるAu−四珪素雲母、(C-
5)によるRu−フッ素金雲母の懸濁液(2重量%)30
0mlを加え、50゜Cで3時間撹拌して雲母との結合反
応を行った。得られた生成物を十分洗浄し、110゜C
で乾燥し、ついで白金るつぼに入れて夫々600゜C及
び800゜Cで1時間仮焼してチタニヤ・雲母を得た。
X線回析によれば結晶相は、600゜C仮焼品ではアナ
タースであり、800゜C仮焼品ではルチルを主体とし
てアナタースが少量混在する結晶組織であった。
【0058】(E−1:光触媒薄膜セラミックス製品の
成形)前記(D-4)で得られたチタニヤ・雲母のAu−四珪
素雲母、Ru−フッ素金雲母を2重量%、夫々に対してア
クリル酸エチル1%、ガラス粉末(組成SiO2・78.5%、B
2O3・17.5%、Al2O3・4.0%、400メッシュ通過)を0.50
%、水96.8%の割合で懸濁液を調整し、ホウケイ酸ガラ
ス板(組成SiO2・80%、B2O3・12%、Al2O3・3%、Na2O5・5
%、長さ10cm、巾10cm、厚さ3mm)にドクターブレ
ードで膜厚2mmに塗布した。ついで、室温で水分を蒸発
させた後、480゜Cの温度で30分加熱して夫々Au−
四珪素雲母、Ru−フッ素金雲母のチタニヤ・雲母の積層
膜を焼き付けした。
【0059】夫々のチタニヤ・雲母はガラス板に強固に
固着しており、破断面の電子顕微鏡写真(SEM×3000
倍)によれば、いずれも膜厚30〜50μmでガラス板
と平行にチタニヤ・雲母が3〜4層に重なり合いながら
形成されているため間隙が生じて多孔体の皮膜組織とな
り、チタニヤ・雲母の露出度が高い状態であった。
【0060】この光触媒薄膜セラミックスを、夫々アン
モニヤ15PPMを含む水溶液中に浸漬し、紫外線(ブラ
ックライト20W、UV強度0.2W/cm2)を照射したとこ
ろAu−四珪素雲母の光触媒薄膜セラミックスでは25
分、Ru−フッ素金雲母の光触媒薄膜セラミックスでは2
8分でアンモニヤが消失した。また、トリエチルアミン
100PPMを含む水溶液中に浸漬し、同じ紫外線を照射した
ところAu−四珪素雲母の光触媒薄膜セラミックスでは約
60分で15PPMに、Ru−フッ素金雲母の光触媒薄膜セ
ラミックスでは約60分で12PPMとなり、良好な光触
媒作用が認められた。
【0061】(E−2:光触媒多孔質セラミックス製品
の成形)チタニヤ・雲母として、(D-2)により酸化チタ
ンを結合したAg−金雲母、Ru−フッ素金雲母、Pd−四珪
素雲母、Pt−四珪素雲母を用い、透光性材料として溶融
シリカ粉末(組成:SiO2・99.9重量%、粉末度60〜115メ
ッシュ)又はアルミノ硼珪酸ガラス(組成:SiO2・56重
量%、B2O3・10重量%、Al2O3・6重量%、BaO・10重量%、
CaO・6重量%、MgO・1.5重量%、K2O・0.5重量%、PbO・8重
量%、ZnO・2重量%、粉末度20〜32メッシュ、60
重量%、32〜80メッシュ40重量%)を用いる。
【0062】機能付活剤としてAg-テニオライト[Na・Mg
2Li(Si4O10)T12をAgNO3に浸漬し、Na+をAg+でイオン交
換したもの、粉末度1〜3μmを用い、気泡形成材料と
して木炭粉末(20〜32メッシュ)を用い、結合材料
としてアクリル酸エステル(濃度3%ゾル)を用い、夫
々表3の配合量とする。
【0063】
【表3】
【0064】表3により夫々原材料を配合し、固形分5
0重量%含有の湿式状態で配合物が均質になるよう撹拌
捏合した後、水分を3重量%で120Kg/cm2のプレス加
工により縦100mm、巾100mm、厚み5mmの成型物を得た。
この成型物を110゜Cで1時間乾燥後、アルミナ製棚
板に載せ電気炉に装入し、室温より400゜Cまでを毎
時100゜C、400〜680゜Cを毎時150゜Cの
昇温速度で、680゜Cで30分保持する温度条件で焼
結して多孔質光触媒セラミックスを得た。なお、Pt−四
珪素雲母配合については、到達温度を750゜Cで行っ
た。
【0065】得られた多孔質光触媒セラミックスの気孔
率は、Pt−四珪素雲母配合のものが43%、その他が4
5〜48%であり、曲げ強さはいずれも180〜190
Kg/cmの範囲であった。また、X線解析測定によれば、
酸化チタンの結晶相は、Pt−四珪素雲母配合のものがア
ナタースとルチルの共晶であり、その他のものはいずれ
もアナタースであった。
【0066】得られた多孔質光触媒セラミックスを、撹
拌器付きのガラス容器(容積5リットル)の上部に配置
し、容器内に100PPMになるようアセトアルデヒド(気
体)を注入した。約25゜Cで30分放置した後、紫外
線(ブラックライト4W、UV強度2.0W/cm2)照射し
た。60分経過後、残留ガス濃度を検知管にて測定した
結果、Ag−金雲母結合のものが12PPM、Ru−フッ素金
雲母結合のものが11PPM、Pd−四珪素雲母結合のもの
が8PPM、Pt−四珪素雲母結合のものが9PPMであり、良
好な光触媒作用が認められた。
【0067】(E−3:光触媒多孔質セラミックス製品
の別例)チタニヤ・雲母として、金属イオンの担持のな
い酸化チタンと結合した前記改質天然金雲母、前記(D-
2)により酸化チタンを結合したイオン交換によるAg−金
雲母、(D-2)により酸化チタンを結合した化学メッキに
よるAg−金雲母、(D-2)により酸化チタンを結合した化
学メッキによるPd−四珪素雲母、(D-4)により得られたT
iO2源がTTIPであり、600゜C焼結によるイオン交換P
d−四珪素雲母、及び(D-4)により得られたTiO2源がTTIP
であり、600゜C焼結によるイオン交換Pt−四珪素雲
母を用い、透光性材料として溶融シリカ粉末(組成:Si
O2・99.9重量%、粉末度60〜100メッシュ)又は硼珪酸ガ
ラス(組成:SiO2・56重量%、B2O3・10重量%、Al2O3・4
重量%、BaO・9重量%、CaO・3重量%、MgO・2重量%、K2O
・0.5重量%、PbO・12.5重量%、ZnO・3重量%、粉末度6
0〜100メッシュ)を用いる。
【0068】また、機能付活剤としてAg-テニオライト
(粉末度1〜3μm)を用い、気泡形成材料として木炭
粉末(20〜32メッシュ)を用い、結合材料としてア
クリル酸エステル(濃度3%ゾル)を用い、夫々表4の
配合量とする。
【0069】
【表4】
【0070】表4により夫々原材料を配合し、固形分5
0重量%含有の湿式状態で配合物が均質になるよう撹拌
捏合した後、水分を3重量%で120Kg/cm2のプレス
加工により縦100mm、巾100mm、厚み5mmの成型物を得
た。この成型物を110゜Cで1時間乾燥後、アルミナ
製棚板に載せ電気炉に装入し、室温より600゜Cまで
を毎時150゜Cの昇温速度で、600゜Cで30分保
持し焼結して多孔質光触媒セラミックスを得た。この製
品の物理的特性及び酸化チタンの結晶相同定の結果を表
4に合わせて示す。
【0071】得られた多孔質光触媒セラミックスを、撹
拌器付きのガラス容器(容積5リットル)の上部に配置
し、容器内に100PPMになるようアセトアルデヒド(気
体)を注入した。約25゜Cで30分放置した後、紫外
線(ブラックライト4W、UV強度2.0W/cm2)を照
射した。60分経過後、残留ガス濃度を検知管にて測定
した結果、Ag−金雲母結合のものが12PPM、Ru−フッ
素金雲母結合のものが11PPM、Pd−四珪素雲母結合の
ものが8PPM、Pt−四珪素雲母結合のものが9PPMであ
り、良好な光触媒作用が認められた。
【0072】さらに、得られた多孔質の光触媒セラミッ
クスの抗菌性を測定した。リン酸緩衝液に大腸菌溶液を
加え、菌数が105程度になるようこのセラミックスの
表面に接種し、これに紫外線(ブラックライト38〜4
0Wm-2)を3時間照射した後、生存菌数を洗い出し、混
釈平板培養法により生存菌数を測定した。その結果、金
属イオンの担持のない酸化チタンと結合した前記改質天
然金雲母を用いたものが、1.2×10-2、その他はいず
れも10-2以下であり、良好な光触媒による抗菌作用が
認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 37/08 B01J 37/08 37/30 37/30 C04B 35/00 C04B 35/00 H

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタン微粒子と金属イオンとを担持
    した非膨潤性雲母と、透光性無機物材料を焼結させて成
    る光触媒セラミックス。
  2. 【請求項2】 該透光性無機物質をガラス粉末とした請
    求項1の光触媒セラミックス。
  3. 【請求項3】 酸化チタン微粒子と金属イオンとを担持
    した非膨潤性雲母とを結合させた光触媒微粉末に、透光
    性無機物質粉末を添加調整したゾルを薄い肉厚にして6
    50゜C以下で焼き付けることにより薄膜状の光触媒セ
    ラミックスを形成することを特徴とする光触媒セラミッ
    クスの製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化チタン微粒子と金属イオンとを担持
    した非膨潤性雲母とを結合させた光触媒粉末に、透光性
    無機物粉末を添加調整して成形した後、450〜700
    ゜Cで焼結することにより多孔質な光触媒セラミックス
    を形成することを特徴とする光触媒セラミックスの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 透光性無機物粉末をガラス粉末とした請
    求項3又は請求項4の光触媒セラミックスの製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化チタンと金属イオンを担持した雲母
    による光触媒粉末40〜80重量%、ガラス粉末20〜
    40重量%、シリカ粉末0〜20重量%、銀イオン又は
    銅イオンを担持した無機質物0〜15重量%、炭素粉末
    0〜10重量%を配合し、成形した後、450〜700
    ゜Cで焼結する請求項4の光触媒セラミックスの製造方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001179091A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Parkerizing Co Ltd 空気浄化用光触媒フィルター
JP2004043924A (ja) * 2002-07-15 2004-02-12 Nisshin Steel Co Ltd 光触媒活性に優れた金属材料およびその製造方法
JP2010172831A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Sugino Mach Ltd 光触媒コーティング液の製造方法、並びに抗菌消臭ドライクリーニング用コーティング液及び光触媒加工衣料。
WO2018067202A1 (en) * 2016-10-03 2018-04-12 Raytheon Company Molding composite and method of making molded part

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