JPH10321466A - 可変コンデンサ - Google Patents

可変コンデンサ

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JPH10321466A
JPH10321466A JP9126585A JP12658597A JPH10321466A JP H10321466 A JPH10321466 A JP H10321466A JP 9126585 A JP9126585 A JP 9126585A JP 12658597 A JP12658597 A JP 12658597A JP H10321466 A JPH10321466 A JP H10321466A
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Hiroyuki Kishishita
Yukinori Ueda
幸憲 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケースの凹部内に、ステータ電極を形成した
ステータおよびロータ電極を形成したロータを収容し、
カバーで凹部を閉じるようにした、可変コンデンサにお
いて、組立を容易にするとともに、ロータがステータに
安定して密着し得るようにする。 【解決手段】 金属からなるカバー26をケース24の
成形時にインサートすることによってケース24に保持
させ、ケース24の凹部25内にステータ22とロータ
23とを挿入した後、カバー26を折り曲げてカバー本
体37が凹部25の開口を覆う状態としながら、係合片
41をケース24に係合させる。カバー本体37には、
ロータ23をステータ22に向かって押圧する弾性力を
及ぼすように湾曲した形状が付与される。カバー本体3
7とロータ23との間に位置するばねワッシャ47がカ
バー本体37から一体に折り返されて形成されてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、可変コンデンサ
に関するもので、特に、ステータ電極とロータ電極との
有効対向面積を、ステータ電極に対するロータ電極の回
転によって変化させ、それによって静電容量を変えるよ
うにした、可変コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15および図16には、この発明にと
って興味ある従来の可変コンデンサ1が示されている。
図15は平面図であり、図16は図15の線XVI−X
VIに沿う断面図である。可変コンデンサ1は、ステー
タ端子2をインサートモールドしてなる樹脂からなるス
テータ3を備え、ステータ端子2は、ステータ3の上面
に露出するステータ電極4を一体に形成している。ステ
ータ3の上面上には、誘電体からなるロータ5が配置さ
れ、ロータ5の上面には、ロータ5を介してステータ電
極4と対向するロータ電極6が形成される。
【0003】ステータ3を貫通して、金属からなるシャ
フト7が回転可能に設けられ、上述のロータ5は、この
シャフト7と一体に回転するようにシャフト7に結合さ
れる。シャフト7は、その上端部にヘッド8を形成し、
このヘッド8の上面には、ドライバ溝9が形成される。
また、シャフト7は、突起10を介してロータ電極6に
電気的に接続される。
【0004】ステータ3の下面側において、シャフト7
には皿ばね11が嵌められる。シャフト7の下端部はか
しめられ、それによって、皿ばね11は、シャフト7を
介して、ロータ5をステータ3に向かって押圧する弾性
力を及ぼす状態となる。皿ばね11は、また、ロータ端
子12を一体に形成している。このような可変コンデン
サ1において、ステータ電極4とロータ電極6との対向
によって形成される静電容量は、ステータ端子2とロー
タ端子12との間に取り出され、また、シャフト7を介
してロータ5を回転させることにより、ステータ電極4
とロータ電極6との有効対向面積が変えられ、応じて静
電容量が変えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た可変コンデンサ1には、次のような解決されるべき問
題がある。まず、この可変コンデンサ1においては、皿
ばね11でステータ3とロータ5とを密着させている。
しかしながら、この可変コンデンサ1を回路基板上に実
装する場合に適用される半田リフローの熱などにより、
各部分で微小な寸法変化が生じ、この寸法変化で皿ばね
11が及ぼすばね圧が減少することがある。その結果、
上述した密着状態が緩むことがあり、このことは、シャ
フト7の回転のためのトルクを減少させたり、静電容量
(セッティングドリフト)を不安定なものにしたりす
る。
【0006】また、静電容量を調整しようとするとき、
ドライバ等の工具をドライバ溝9に挿入することが行な
われるが、ドライバ溝9が形成されたシャフト7のヘッ
ド8は、この可変コンデンサ1の他の部分から突出して
位置しているので、ドライバ等をドライバ溝9に確実に
挿入しにくく、また、挿入後においてドライバ等がドラ
イバ溝9から外れやすい。そのため、容量調整の作業性
が比較的悪い。
【0007】また、リフローや半田ごてによる半田付け
において、フラックスが、シャフト7に沿って移動した
り、飛び散ったりして、ステータ3とロータ5との摺動
面へ侵入することがある。その結果、静電容量の安定性
やQ特性を劣化させることがある。また、ステータ電極
4が、機械的かつ熱的に変形しやすい樹脂からなるステ
ータ3に埋設されているため、ロータ5との接触が不安
定になり、結果として、静電容量が不安定になりやす
い。
【0008】また、可変コンデンサ1を製造するために
は、ステータ3、ロータ5および皿ばね11を互いに位
置合わせし、その状態でシャフト7を挿入する、といっ
た比較的煩雑な作業を伴うので、能率的にかつ安価な製
造設備で可変コンデンサ1を製造することが困難であ
る。そこで、この発明の目的は、上述したような種々の
問題を解決し得る可変コンデンサを提供しようとするこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る可変コン
デンサは、上述した技術的課題を解決するため、ステー
タ電極を形成した、誘電体からなるステータと、このス
テータの上方に配置されるものであって、ステータを介
してステータ電極と対向するロータ電極を下面側に形成
し、かつ上面側にドライバ溝を形成した、導電性を有す
るロータと、ステータを固定的に、かつロータを回転可
能にそれぞれ収容する凹部を有する、樹脂成形により得
られるケースと、ケースの成形時にインサートされるこ
とによってケースに保持されるものであって、ステータ
電極に電気的に接続される、ステータ端子と、ケースの
成形時にインサートされることによってケースに保持さ
れるものであって、ケースから導出された部分を折り曲
げることによって、ドライバ溝を露出させる調整用穴を
残して凹部の上面開口を覆う状態となるカバー本体を有
する、金属からなるカバーとを備えることを特徴として
いる。
【0010】この発明において、好ましくは、カバー本
体は、ロータをステータに向かって押圧する弾性力を及
ぼすように湾曲した形状を有している。また、好ましく
は、カバー本体は、実質的に部分円筒状周面をなすよう
に湾曲した形状を有し、カバー本体の折り曲げ線は、こ
のカバー本体が有する部分円筒状周面の母線と略平行に
延びるようにされる。
【0011】また、好ましくは、カバーは、カバー本体
の自由端側においてケースに係合する係合片を有する。
また、好ましくは、カバーは、ロータ端子を一体に形成
する。また、好ましくは、カバーは、カバー本体から一
体に延びるとともに、折り返されてカバー本体とロータ
との間に位置されるばねワッシャをさらに備えている。
【0012】また、好ましくは、カバー本体の、調整用
穴の周辺には、中心に向かって下方へ傾斜する斜面が形
成される。また、好ましくは、カバーの折り曲げられる
部分とケースの外側面との間に空間を形成するための段
差が、ケースに設けられる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1ないし図10は、この発明の
一実施形態による可変コンデンサ21を説明するための
ものである。ここで、図1は可変コンデンサ21の平面
図、図2は可変コンデンサ21の底面図、図3は可変コ
ンデンサ21の左側面図、図4は可変コンデンサ21の
右側面図、図5は図1の線V−Vに沿う断面図、図6は
図1の線VI−VIに沿う断面図である。また、図7
は、可変コンデンサ21に備える要素を分解して示す斜
視図であり、図7に示した各要素のいくつかが、図8お
よび図9にそれぞれ別の角度から示されている。また、
図10には、可変コンデンサ21の組立途中の形態が、
図5に相当する断面図で示されている。
【0014】概略的に説明すれば、可変コンデンサ21
は、ステータ22およびステータ22の上方に配置され
るロータ23を備える。ステータ22およびロータ23
は、ケース24の凹部25内に収容され、この収容状態
がカバー26によって維持される。より詳細には、ステ
ータ22は、セラミックのような誘電体からなる矩形の
板状をなしている。ステータ22の下面側には、図9に
示すように、ステータ電極27が形成される。
【0015】この実施形態では、ステータ電極27と対
称的にダミー電極28がさらに形成され、ステータ電極
27およびダミー電極28のいずれでも、ステータ電極
として機能させることができるようにされていて、ステ
ータ22の方向性に関する自由度が増すようにしてい
る。なお、このような利点を望まないなら、ダミー電極
28はなくてもよい。
【0016】ロータ23は、全体として円板状であり、
図8によく示されているように、その下面側にロータ電
極29を形成している。ロータ23がステータ22上に
配置されたとき、ロータ電極29は、ステータ22を介
してステータ電極27と対向する。また、ロータ23の
同じく下面側には、ロータ電極29の突出高さと同じ突
出高さをもって凸部30が形成され、それによって、ス
テータ22上において、ロータ23が傾くことが防止さ
れる。また、ロータ23の上面側には、図7によく示さ
れているように、ドライバ等の工具の先端が挿入される
ドライバ溝31が形成される。
【0017】ロータ23は、たとえば黄銅のような金属
からなり、導電性を有している。ロータ23は、たとえ
ば、鋳造、鍛造、プレス加工、エッチング等によって得
ることができる。ケース24は、樹脂成形により得られ
るもので、この可変コンデンサ21が面実装部品として
用いられる場合には、ケース24に用いられる樹脂とし
ては、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等の
耐熱性の高い熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル等の熱硬化性樹脂が有利に用いられる。ま
た、高周波回路で使用される場合には、この樹脂として
は、誘電正接の小さい樹脂を使用することが好ましい。
【0018】上述のケース24の成形時に、ステータ端
子32がインサートされ、それによって、ステータ端子
32がケース24に保持される。ステータ端子32は、
当該可変コンデンサ21を実装するときに回路基板(図
示せず。)上の導電ランドに半田付けされるべき部分を
ケース24の下面上に露出させるように形成しており、
また、ケース24の凹部25の底面において露出する接
触部33を有している。この接触部33は、ステータ2
2の下面に形成されたステータ電極27に弾性的に接触
して、ステータ電極27とステータ端子32とを電気的
に接続している。
【0019】なお、ケース24の凹部25の底面は閉じ
られることが好ましく、この実施形態では、凹部25の
底面を閉じるため、ステータ端子32の一部34が接触
部33の反対面側に折り返されてその機能を果たしてい
る。上述のケース24の成形時には、上述したステータ
端子32とともに、カバー26もインサートされ、それ
によって、カバー26もケース24に保持された状態と
される。この実施形態では、ケース24によるカバー2
6の保持強度を高めるため、カバー26には、たとえば
逆台形状のアンカー部35が設けられ、ケース24を形
成する樹脂中に埋まるようにされる。
【0020】カバー26は、全体として金属からなり、
ケース24から導出された部分を折り曲げることによっ
て、ロータ23のドライバ溝31を露出させる調整用穴
36を残してケース24の凹部25の上面開口を覆う状
態となるカバー本体37を備えている。カバー26の折
り曲げ線38および39は、たとえば図5および図10
によく示されている。折り曲げ線38に沿う折り曲げを
容易にするため、カバー26は、この折り曲げ線38が
通る部分において細幅とされ、また、折り曲げ線39に
沿う折り曲げを容易にするため、カバー26には、穴4
0が設けられている。
【0021】カバー26は、また、カバー本体37の自
由端側において突出する1対の係合片41および42を
一体に形成している。他方、ケース24の対応の外側面
上には、係合片41および42を係合させる係合凸部4
3および44が設けられている。係合片41および42
は、図3によく示されているように、かしめ等により、
各先端部を互いに近づけるように塑性変形させることに
より、対応の係合凸部43および44に係合する状態と
される。
【0022】カバー26は、また、ケース24の下面か
ら外側面にまで延びるロータ端子45を一体に形成して
いる。ケース24上におけるロータ端子45の位置は、
前述したステータ端子32の位置とは反対側になってい
る。カバー本体37には、ロータ23をステータ22に
向かって押圧する弾性力を及ぼすように湾曲した形状が
付与されることが好ましい。この実施形態では、カバー
本体37は、実質的に部分円筒状周面をなすように湾曲
した形状を有している。また、カバー本体37の湾曲の
方向は、このカバー本体37が有する部分円筒状周面の
母線と前述した折り曲げ線38および39とが略平行に
延びるように選ばれる。
【0023】また、カバー本体37の、調整用穴36の
周辺には、たとえば図1および図5に示されるように、
中心に向かって下方へ傾斜する漏斗状の斜面46が形成
されている。カバー26は、また、カバー本体37から
一体に延びるとともに、折り返されてカバー本体37と
ロータ23との間に位置されるばねワッシャ47をさら
に備えている。ばねワッシャ47とカバー本体37との
位置関係は、たとえば図5、図7および図10によく示
されている。ばねワッシャ47は、ばね性を及ぼすよう
にするため、厚さ方向に波形が付されたリング状をなし
ている。
【0024】上述の波形が付されたばねワッシャ47
は、図11に示したような皿ばねの形態を有しているば
ねワッシャ47aに置き換えられても、図12に示すよ
うな平板状のリングに突起48が形成されたばねワッシ
ャ47bに置き換えられても、あるいは、さらに他の形
態のばねワッシャに置き換えられてもよい。なお、上述
したステータ端子32およびカバー26は、好ましく
は、同じ金属板材、たとえばフープ材から同時に取り出
すようにされる。すなわち、1枚の金属板材に対して、
共通のプレス金型を用いてプレス加工が施されることに
よって、ステータ端子32およびカバー26となるべき
ための各形状が与えられ、その後、この金属板材がケー
ス24を成形するための成形金型内の所定の位置にイン
サートされ、その状態でケース24が樹脂成形される。
成形を終えた後、必要に応じて、金属板材の切断等が行
なわれ、図7に示したような形態のステータ端子32お
よびカバー26を保持したケース24が得られる。
【0025】このようにして、ステータ端子32および
カバー26を保持したケース24を得るようにすれば、
プレス加工のためのコストを低減できるばかりでなく、
ステータ端子32とカバー26とケース24との各間で
の位置決めを容易に行なうことができる。また、たとえ
ばフープ材を用いるときには、ケース24の凹部25内
へステータ22およびロータ23を挿入するまで、ある
いは、カバー本体37によって凹部25の上面開口を覆
うようにカバー26を折り曲げるまで、ステータ端子3
2およびカバー26のフープ材からの切り離しを行なわ
ないようにすると、これら挿入工程あるいは折り曲げ工
程を能率的に進めることができる。
【0026】以上、詳細を説明したステータ22および
ロータ23とともに、インサートモールドによってステ
ータ端子32およびカバー26を保持したケース24を
用いて、可変コンデンサ21が組み立てられる。すなわ
ち、図7に示すように、ステータ22と、ロータ23
と、ステータ端子32およびカバー26を保持したケー
ス24とが、それぞれ、用意される。次いで、ケース2
4の凹部25内に、ステータ22およびその上にロータ
23が順次挿入される。このとき、ステータ22は、凹
部25内に固定的に収容され、ロータ23は、凹部25
内に回転可能に収容される。
【0027】次いで、図10に順次示すように、カバー
26が、まず、折り曲げ線38に沿って折り曲げられ、
カバー本体37が、ケース24の外側面に沿って立ち上
がる状態とされる。次いで、カバー26が、折り曲げ線
39に沿って折り曲げられ、カバー本体37が凹部25
の上面開口を覆う状態とされる。この状態において、湾
曲形状のカバー本体37およびばねワッシャ47を、各
々の弾性に抗して変形させることによって、カバー本体
37およびばねワッシャ47が、ロータ23をステータ
22に向かって押圧する弾性力を及ぼすようにしなが
ら、図3に示すように、係合片41および42を係合凸
部43および44に係合させるべく、係合片41および
42がかしめ等により塑性変形される。これによって、
カバー本体37がケース24に対して固定される。
【0028】上述した係合片41および42の塑性変形
加工には、大掛かりな装置や長時間を必要としないの
で、カバー本体37をケース24に固定することを能率
的かつ安価に行なうことができる。また、前述したよう
に、この実施形態では、カバー本体37は、実質的に部
分円筒状周面をなすように湾曲した形状を有していて、
このカバー本体37が有する部分円筒状周面の母線と略
平行に延びる折り曲げ線38および39に沿う折り曲げ
の自由端側に係合片41および42が位置しているの
で、係合片41および42をケース24に係合させたと
き、カバー本体37の湾曲による弾性力を効果的にロー
タ23に対して及ぼすことができる。
【0029】このようにして、可変コンデンサ21の組
立が完了する。この可変コンデンサ21において、湾曲
形状のカバー本体37およびばねワッシャ47により、
ロータ23はステータ22に向かって押し付けられ、ロ
ータ23とステータ22との間で安定した密着状態が得
られ、応じてステータ電極27とロータ電極29との間
で形成される静電容量も安定する。
【0030】上述した静電容量は、ステータ電極27に
電気的に接続されるステータ端子32と、ロータ23に
接触するカバー26に設けられたロータ端子45とによ
って取り出される。そして、調整用穴36を通して、ド
ライバ等をドライバ溝31に嵌合させてロータ23を回
転させれば、ステータ電極27とロータ電極29との有
効対向面積が変わり、応じて静電容量を変えることがで
きる。
【0031】この実施形態において、カバー本体37
は、可変コンデンサ21の外径いっぱいに大きくするこ
とができるので、カバー本体37によって及ぼされる弾
性力を十分に大きくすることができる。しかも、ばねワ
ッシャ47がカバー本体37とロータ23との間に位置
されるので、カバー本体37とばねワッシャ47との双
方によって、ロータ23をステータ22に密着させるよ
うに作用する弾性力を得ることができる。したがって、
ロータ23をステータ22に安定して密着させることが
でき、結果として、静電容量を安定させることができ
る。
【0032】また、カバー本体37に形成された調整用
穴36は、ドライバ溝31へのドライバ等の挿入の際の
ガイドとなるので、この挿入作業を容易にするととも
に、挿入後においてドライバ等をドライバ溝31から外
れにくくすることができる。また、カバー本体37の、
調整用穴36の周辺において、中心に向かって下方へ傾
斜する斜面46が形成されているので、ドライバ溝31
へドライバ等を挿入しようとするとき、ドライバ等の先
端をこの斜面46に沿ってガイドし、ドライバ溝31に
まで適正に到達させることが容易である。これらのこと
から、容量調整の作業性を向上させることができるとと
もに、自動調整にも対応させることが容易である。
【0033】また、この可変コンデンサ21は、ケース
24の下面を回路基板(図示せず。)に向けた状態で実
装される。この実装状態において、ステータ端子32お
よびロータ端子45が、それぞれ、回路基板上の導電ラ
ンドに半田付けされる。上述の半田付け工程において、
カバー26の折り曲げられる部分とケース24の外側面
とが密着していると、半田付け工程で用いられるフラッ
クスが、毛細管現象に基づき、この密着部分に浸透する
ことがある。このようなフラックスの浸透は、ケース2
4内部へのフラックスの侵入をもたらすことがあるので
好ましくない。
【0034】そこで、このようなフラックスの侵入を防
止するため、この実施形態では、カバー26の折り曲げ
られる部分、より具体的には折り曲げ線39の近傍と、
ケース24の外側面との間に空間49が形成されてい
る。すなわち、ケース24には、この空間49を形成す
るための段差50が設けられている。通常、段差50に
より、0.1mm以上の空間49が形成されれば十分であ
る。
【0035】図13は、この発明の他の実施形態による
可変コンデンサにおいて用いられる、ステータ端子32
およびカバー26aをインサートモールドしたケース2
4を示す斜視図である。また、図14は、図13の実施
形態を説明するための図10に相当する図であって、図
14には、この実施形態による可変コンデンサ21aの
断面も示されている。
【0036】図13に示したカバー26aは、図5、図
7および図10に示したばねワッシャ47に相当する要
素を備えていない。また、カバー26aは、図1、図5
および図10に示される斜面46も形成されていない。
これらの点を除いて、カバー26aは、前述した実施形
態におけるカバー26と実質的に同様であり、また、ケ
ース24およびステータ端子32についても、前述した
実施形態における対応の要素と実質的に同様であるの
で、相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する
説明は省略する。
【0037】このように、カバー26aがばねワッシャ
を備えていない場合であっても、前述した実施形態と実
質的に同様の方法により、可変コンデンサ21aが組み
立てられる。すなわち、図14に示すように、ケース2
4の凹部25内に、ステータ22およびロータ23が順
次挿入された後、カバー26aが、まず、折り曲げ線3
8に沿って折り曲げられ、カバー本体37が、ケース2
4の外側面に沿って立ち上がる状態とされ、次いで、カ
バー26aが、折り曲げ線39に沿って折り曲げられ、
カバー本体37が凹部25の上面開口を覆う状態とされ
る。
【0038】この状態において、湾曲形状のカバー本体
37を、その弾性に抗して変形させることによって、カ
バー本体37が、直接、ロータ23をステータ22に向
かって押圧する弾性力を及ぼすようにしながら、係合片
41および42を係合凸部43および44に係合させ、
それによって、カバー本体37をケース24に対して固
定する。
【0039】なお、上述のように、カバー26aがばね
ワッシャを一体的に形成していない場合には、別部材と
して用意されたばねワッシャが用いられてもよい。以
上、この発明を図示した実施形態に関連して説明した
が、この発明の範囲内において、その他、種々の変形が
可能である。たとえば、ステータ22の形状に関して、
図示した実施形態では、矩形の板状とされたが、ケース
24の凹部25内において回転し得ない限り、他の形状
とされてもよい。
【0040】また、ステータ電極27は、ステータ22
の下面上に形成されたが、ロータ電極29に対してステ
ータ22の少なくとも一部を介して対向すればよく、た
とえばステータ22の内部に形成されてもよい。ステー
タ22の内部にステータ電極27が形成される場合に
は、ステータ電極27がステータ端子32の接触部33
に電気的に接続されるようにするため、ステータ電極2
7からステータ22のたとえば下面にまで延びる引出し
電極をステータ22に形成すればよい。
【0041】また、図示の実施形態では、カバー本体3
7には、ロータ23をステータ22に向かって押圧する
弾性力を及ぼすための湾曲した形状が付与されたが、こ
のような湾曲形状が付与されなくてもよい。湾曲形状が
付与されない場合であっても、カバー本体と一体のばね
ワッシャ、あるいは別体のばねワッシャ等を、カバー本
体とロータとの間に配置するようにすれば、上述の弾性
力を得ることができる。
【0042】また、カバー本体37をケース24に固定
するため、図示の実施形態では、カバー26または26
aに、カバー本体37の自由端側においてケース24の
係合凸部43および44に係合する係合片41および4
2が設けられ、これら係合片41および42を塑性変形
させて係合凸部43および44に係合させるようにした
が、たとえば、係合片の先端部を折り曲げてケース側の
一部に係合させたり、あるいは、カバー側に窓を形成
し、この窓に嵌入する凸部をケース側に設けたりするな
ど、固定のための構造または方法等は、他のものに置き
換えられてもよい。また、カバー26または26aが折
り曲げられるだけで、カバー26または26aを構成す
る金属材料が、ケース24の凹部25の上面開口を覆う
状態に維持されるに足りる剛性を有している場合には、
カバー本体37の自由端側においてケース24に積極的
に係合させるための係合手段が省略されてもよい。
【0043】
【発明の効果】このように、この発明によれば、ケース
の成形時にステータ端子およびカバーがインサートされ
ることによって、これらステータ端子およびカバーがケ
ースに保持されており、ケースの凹部内にステータおよ
びロータを収容した後、カバーのケースから導出された
部分を折り曲げることにより、カバーに備えるカバー本
体がケースの凹部の上面開口を覆う状態とされるので、
組立作業の容易かつ能率的な可変コンデンサを得ること
ができる。
【0044】また、ステータ端子およびカバーをインサ
ートした状態でケースが成形されるので、これらステー
タ端子、カバーおよびケースの3つの要素を1つの部品
として取り扱うことができ、可変コンデンサの組立にあ
たって、取り扱うべき部品点数を削減することができる
とともに、これらステータ端子、カバーおよびケースの
3つの要素の相互の位置決め工程も不要となり、位置決
め不良も生じる余地がない。
【0045】また、カバー本体に形成された調整用穴
は、ロータに設けられたドライバ溝へのドライバ等の工
具の挿入の際のガイドとなるので、挿入作業が容易にな
るとともに、挿入後においてドライバ等がドライバ溝か
ら外れにくくなる。その結果、容量調整の作業性を向上
させることができる。また、ステータ電極を形成するス
テータはケースとは別部材であるので、樹脂からなるケ
ースがたとえ機械的かつ熱的に変形しやすくても、この
ような変形がステータに及ぼされることがなく、したが
って、ステータとロータ電極との接触を安定させること
ができ、これによって、静電容量の安定化を図ることが
できる。
【0046】この発明において、カバー本体に湾曲した
形状が付与されていると、この湾曲形状に基づき、ロー
タをステータに密着させる弾性力を得ることができる。
したがって、カバー本体と一体のばねワッシャあるいは
別体としてのばねワッシャ等を用いなくても、十分な弾
性力を得ることができる場合があり、この場合には、カ
バーを得るための加工が容易になるとともに、ばねワッ
シャ等の部品の省略を図ることができる。他方、ばねワ
ッシャを用いる場合には、より安定した弾性力を与える
ことができる。また、カバー本体は、可変コンデンサの
外径いっぱいに大きくすることができるので、このカバ
ー本体の湾曲形状によって与えられる弾性力は、十分に
大きくすることができる。したがって、ロータをステー
タに安定して密着させることができ、結果として、静電
容量が安定する。
【0047】この発明において、カバー本体が、実質的
に部分円筒状周面をなすように湾曲した形状を有してい
て、カバーの折り曲げ線が、この部分円筒状周面の母線
と略平行に延びるようにされていると、カバー本体がケ
ースの凹部の上面開口を覆うように、カバーを折り曲げ
た状態としたとき、カバー本体の湾曲による弾性力を効
果的にロータに対して及ぼすことができる。
【0048】また、上述の構成に加えて、カバーが、カ
バー本体の自由端側においてケースに係合する係合片を
有していると、カバー本体の湾曲による弾性力を阻害し
ない状態、むしろ当該弾性力をより効果的に発揮できる
状態で、カバー本体をケースに固定することができる。
また、この発明において、カバーは、金属からなり、直
接の接触あるいはばねワッシャを介しての接触により、
ロータとの電気的接続を容易に達成できるので、このカ
バーの一部をロータ端子として機能させることができ
る。したがって、カバーが、ロータ端子を一体に形成し
ていると、特別な電気的接続のための手段を必要とする
ことなく、このロータ端子を機能させることができる。
【0049】また、この発明において、カバーが、カバ
ー本体から一体に延びるとともに、折り返されてカバー
本体とロータとの間に位置されるばねワッシャをさらに
備えていると、カバー本体とばねワッシャとの双方によ
って、ロータをステータに密着させるように作用する弾
性力を得ることができる。したがって、ばねの弾性限界
内での撓み量を大きくすることができる。このため、半
田リフロー時の熱などにより、ケースに対する脚部の取
付け部分に緩みが発生しても、カバー本体とばねワッシ
ャとによって与えられるばねが十分に追従し得るので、
ロータの回転のトルクの減少を少なくすることができ
る。また、ステータとロータとの密着力の減少も少なく
することができ、静電容量(セッティングドリフト)を
安定させることができる。
【0050】また、ばねワッシャは、カバーの一部をも
って形成されるので、部品点数および組立工程数の増加
を招くことがない。また、この発明において、カバー本
体の、調整用穴の周辺において、中心に向かって下方へ
傾斜する斜面が形成されていると、ドライバ溝へドライ
バ等の工具を挿入しようとするとき、ドライバ等の先端
が、調整用穴からずれても、調整用穴の周辺の斜面に沿
ってガイドされ、ドライバ溝にまで適正に到達させるこ
とが容易になる。したがって、容量調整の作業性が一層
向上する。また、自動調整にも対応させることが容易に
なる。
【0051】また、カバーの折り曲げられる部分とケー
スの外側面との間に空間を形成するための段差が、ケー
スに設けられていると、リフローや半田ごてによる半田
付けにおいて、フラックスが、毛細管現象に基づき、カ
バーとケースとの密着部分を通って上昇して来ても、こ
の段差の部分で食い止めることができる。したがって、
ケース内部へのフラックスの侵入を有利に防止できる。
特に、ステータとロータとの摺動面へのフラックスの侵
入を防止することができ、結果として、静電容量を安定
させることができ、また、Q特性の劣化も防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による可変コンデンサ2
1を示す平面図である。
【図2】図1に示した可変コンデンサ21を示す底面図
である。
【図3】図1に示した可変コンデンサ21を示す右側面
図である。
【図4】図1に示した可変コンデンサ21を示す左側面
図である。
【図5】図1の線V−Vに沿う断面図である。
【図6】図1の線VI−VIに沿う断面図である。
【図7】図1に示した可変コンデンサ21に備える要素
を分解して示す斜視図である。
【図8】図7に示したロータ23を別の角度から示す斜
視図である。
【図9】図7に示したステータ22を別の角度から示す
斜視図である。
【図10】図1に示した可変コンデンサ21の組立途中
において実施されるカバー26の折り曲げ工程を示す、
図5の断面図に相当する断面図である。
【図11】図5、図7および図10に示したカバー26
に備えるばねワッシャ47の代替となるばねワッシャ4
7aの断面図である。
【図12】図5、図7および図10に示したカバー26
に備えるばねワッシャ47の代替となるばねワッシャ4
7bの断面図である。
【図13】この発明の他の実施形態による可変コンデン
サに備える、ステータ端子32およびカバー26aをイ
ンサートモールドしてなるケース24を示す斜視図であ
る。
【図14】図13に示したステータ端子32およびカバ
ー26aをインサートモールドしてなるケース24を用
いた、可変コンデンサ21aの組立途中において実施さ
れるカバー26aの折り曲げ工程を示す、図10に対応
する図である。
【図15】この発明にとって興味ある従来の可変コンデ
ンサ1を示す平面図である。
【図16】図15の線XVI−XVIに沿う断面図であ
る。
【符号の説明】
21,21a 可変コンデンサ 22 ステータ 23 ロータ 24 ケース 25 凹部 26,26a カバー 27 ステータ電極 29 ロータ電極 31 ドライバ溝 32 ステータ端子 36 調整用穴 37 カバー本体 38,39 折り曲げ線 41,42 係合片 43,44 係合凸部 45 ロータ端子 46 斜面 47,47a,47b ばねワッシャ 49 空間 50 段差

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステータ電極を形成した、誘電体からな
    るステータと、前記ステータの上方に配置されるもので
    あって、前記ステータを介して前記ステータ電極と対向
    するロータ電極を下面側に形成し、かつ上面側にドライ
    バ溝を形成した、導電性を有するロータと、前記ステー
    タを固定的に、かつ前記ロータを回転可能にそれぞれ収
    容する凹部を有する、樹脂成形により得られるケース
    と、前記ケースの成形時にインサートされることによっ
    て前記ケースに保持されるものであって、前記ステータ
    電極に電気的に接続される、ステータ端子と、前記ケー
    スの成形時にインサートされることによって前記ケース
    に保持されるものであって、前記ケースから導出された
    部分を折り曲げることによって、前記ドライバ溝を露出
    させる調整用穴を残して前記凹部の上面開口を覆う状態
    となるカバー本体を有する、金属からなるカバーとを備
    える、可変コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記カバー本体は、前記ロータを前記ス
    テータに向かって押圧する弾性力を及ぼすように湾曲し
    た形状を有する、請求項1に記載の可変コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記カバー本体は、実質的に部分円筒状
    周面をなすように湾曲した形状を有し、前記カバー本体
    の折り曲げ線は、前記部分円筒状周面の母線と略平行に
    延びる、請求項2に記載の可変コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記カバーは、前記カバー本体の自由端
    側において前記ケースに係合する係合片を有する、請求
    項3に記載の可変コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記カバーは、ロータ端子を一体に形成
    する、請求項1ないし4のいずれかに記載の可変コンデ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 前記カバーは、前記カバー本体から一体
    に延びるとともに、折り返されて前記カバー本体と前記
    ロータとの間に位置されるばねワッシャをさらに備え
    る、請求項1ないし5のいずれかに記載の可変コンデン
    サ。
  7. 【請求項7】 前記カバー本体の、前記調整用穴の周辺
    には、中心に向かって下方へ傾斜する斜面が形成され
    る、請求項1ないし6のいずれかに記載の可変コンデン
    サ。
  8. 【請求項8】 前記カバーの折り曲げられる部分と前記
    ケースの外側面との間に空間を形成するための段差が、
    前記ケースに設けられる、請求項1ないし7のいずれか
    に記載の可変コンデンサ。
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