JPH10319617A - 受像シート - Google Patents

受像シート

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JPH10319617A
JPH10319617A JP14451597A JP14451597A JPH10319617A JP H10319617 A JPH10319617 A JP H10319617A JP 14451597 A JP14451597 A JP 14451597A JP 14451597 A JP14451597 A JP 14451597A JP H10319617 A JPH10319617 A JP H10319617A
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resin
detection mark
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image
layer
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JP14451597A
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Inventor
Mikio Asajima
幹夫 浅島
Seiji Take
誠司 武
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検知マークの層としての塗膜強度が高く、画
像形成時の搬送時の摩擦や、取扱上での擦れ等により、
検知マークが取り除かれることもなく、画像形成時の加
熱により検知マークが透明化する性能に優れた受像シー
トを提供する。 【解決手段】 樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒
からなる樹脂ワニスを塗布して形成される不透明な検知
マークを有する受像シートにおいて、該検知マークが加
熱により透明化し、かつ該樹脂が分子量40,000以
上のアクリル樹脂を含有している。したがって、樹脂ワ
ニスを塗布後、乾燥させる際に、沸点の低い良溶媒が優
先的に蒸発し、樹脂ワニス中の樹脂相と残存する貧溶媒
相とが相分離して、樹脂がゲル化し、多孔質形態、もし
くは粒子形態をとり、そして貧溶媒が蒸発して不透明な
多孔質形態もしくは粒子形態の樹脂層が得られる。空孔
同志の結合を強め、検知マークの樹脂層の塗膜強度を高
める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受像シートに関
し、さらに詳しくは、電子写真方式や熱転写方式等の画
像形成時に加熱処理が行われるものに用いられる検知マ
ーク性能に優れた受像シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、電子写真方式を使用して、ブラッ
ク単色の画像形成だけでなく、イエロー、マゼンタ、シ
アンの3色または上記の3色にブラックを加えた4色の
トナーの混色によりフルカラー画像の形成方法が実用化
されている。この電子写真複写機で用いられる受像シー
トは、文字や画像などの記録情報を確実に記録保持する
ため、一般的に、基材上に、受容層を形成した構成をと
っている。この受像シートは、例えば、講演会、学校、
企業、その他の説明会や展示会などで使用されている情
報伝達手段として、OHP(オーバーヘッドプロジェク
ター)用で用いられている。
【0003】電子写真方式には、紙詰まりや紙の表裏の
検知をするため、さらにカラー画像の場合にはイエロ
ー、マゼンタ、シアンの3色または上記の3色にブラッ
クを加えた4色の画像パターンを同じ受像シート上に見
当を合わせて形成するための検知手段が設けられてい
る。特に、透明の受像シートに画像を形成するには、例
えば光源からの光を透明受像シートに当て、この反射光
の有無あるいは透過光の有無をフォトセンサーにより検
知する光学的検知手段が設けられている。
【0004】例えば、検知マークを不透明なインキや金
属光沢のインキで設けることが行われている。また、本
出願人は特開平7−49581、特開平7−56376
にて、受像シートに設けられた不透明な検知マークが、
画像形成時の加熱により透明化して、OHP装置を使用
する時には必要な画像のみが投影され、検知マークは投
影しても目立たなく、目ざわりにならないことを出願し
た。特開平7−49581と特開平7−56376は、
樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒からなる透明な
樹脂ワニスが塗布後、乾燥すると、ゲル化して不透明な
多孔質層となるものであり、画像形成時に加熱される
と、樹脂が溶融して透明化するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような受像シー
トでは、不透明な検知マークが画像形成時の加熱により
透明化しやすいように、粒径2μm程度の粗い粒子状構
造、もしくは平均細孔径が0.05〜2μmの多孔質構
造をとっている。ところが、この受像シートの検知マー
クは、多孔質状もしくは粒子状の空孔が大きい、または
空孔同志の間が狭いため、層としての塗膜強度が低く、
画像形成時の搬送時の摩擦や、取扱上での擦れ等によ
り、検知マークがもろく、簡単に取り除かれてしまうと
いう問題がある。
【0006】したがって、本発明の目的は、上記の問題
を解決するために、検知マークの層としての塗膜強度が
高く、画像形成時の搬送時の摩擦や、取扱上での擦れ等
により、検知マークが取り除かれることもなく、画像形
成時の加熱により検知マークが透明化する性能に優れた
受像シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒
からなる樹脂ワニスを塗布して形成される不透明な検知
マークを有する受像シートにおいて、該検知マークが加
熱により透明化し、かつ該樹脂が分子量40,000以
上のアクリル樹脂を含有することを特徴とする。また、
基材上に受容層を設けることが好ましい。また、検知マ
ークを形成する樹脂が、アクリル樹脂以外に塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、アクリルの内の2つ以上のモノマーか
らなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂か
ら選ばれることが好ましい。さらに、画像形成が電子写
真方式、または熱転写方式であることが好ましい。
【0008】本発明の作用は、以下の通りである。本発
明は、樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒からなる
樹脂ワニスを塗布して形成される不透明な検知マークを
有する受像シートにおいて、該検知マークが加熱により
透明化し、かつ該樹脂が分子量40,000以上のアク
リル樹脂を含有している。本発明における検知マーク
は、樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒からなる透
明な樹脂ワニスを塗布後、乾燥させる際に、沸点の低い
良溶媒が優先的に蒸発し、それに伴って、樹脂ワニス中
の樹脂相と残存する貧溶媒相とが相分離して、樹脂がゲ
ル化し、多孔質形態、もしくは粒子形態をとり、そして
貧溶媒が蒸発して不透明な多孔質形態もしくは粒子形態
の樹脂層が得られる。
【0009】その際に、多孔質形態の検知マークでは、
空孔と空孔の間に分子量40,000以上のアクリル樹
脂を含んで、そのアクリル樹脂がない場合に比較して、
塗膜強度が向上する。また、検知マークが粒子形態とな
る場合は、粒子と粒子の間で、そのアクリル樹脂を含ん
だ樹脂が接合樹脂として、上記と同様に塗膜強度が向上
する。したがって、空孔同志の結合を強め、検知マーク
の樹脂層の塗膜強度を高め、画像形成時の搬送時の摩擦
や、取扱上での擦れ等により、検知マークが取り除かれ
ることもない。また、上記の高分子量のアクリル樹脂の
他に、適正な大きさの粒径の空孔を形成するような樹脂
を使用して、検知マークを形成するため、画像形成時の
加熱により検知マークが透明化する性能に優れたものと
なる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の受像シートは、基材上に必要に応
じて受容層を形成し、また、基材の他方の面に必要に応
じて裏面層を設けて、基材の受容層側または、裏面層側
に基材自体の上または、受像シートの最表面に検知マー
クを設けるものである。そして、検知マークは樹脂と低
沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒からなる樹脂ワニスを塗
布して形成される不透明なもので、該検知マークが加熱
により透明化し、かつ検知マークを形成する樹脂が分子
量40,000以上のアクリル樹脂を含有している。
【0011】(基材)本発明の受像シートで用いられる
基材としては、受像シートが例えばOHPシート用等で
透過光により記録画像を観察する用途では、透明性、耐
熱性、寸法安定性、剛性を備えた熱可塑性樹脂により形
成されたものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリエチレン樹脂、二酢酸セルロース樹
脂、三酢酸セルロース樹脂等の、厚さ10〜250μm
程度、好ましくは50〜180μm程度のフィルム又は
シートが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、
三酢酸セルロース樹脂が上記の性能の点でより好まし
い。
【0012】また、反射光により記録画像を観察する用
途では、これら樹脂シート又はフィルムは、着色剤等の
添加により白色等の不透明であることが好ましい。この
場合は、基材は合成紙、コート紙等の紙類であってもよ
い。また、半透明の基材とすれば、電飾用途にも使用で
きる。尚、基材上に形成される層との密着性を向上させ
る目的で、基材の表面にプライマー処理やコロナ放電処
理等の公知の易接着処理を施しても良い。
【0013】(受容層)上記の基材の一方の面に設ける
受容層は、基材の上に直接または、プライマー層を介し
て、形成される。尚、基材自体がインキ受容性を有して
いれば、受容層を設けることはない。例えば、昇華転写
記録の場合は、基材自体が、ポリ塩化ビニル樹脂のよう
に熱転写シートとの染着性、離型性を有していれば、受
容層を設けることはなく、基材が受容層の機能を兼ね備
えているからである。
【0014】受容層は、電子写真方式、溶融転写記録や
昇華転写記録の熱転写方式の違いにより、受容層の構成
が異なる。電子写真方式では、受容層を形成する樹脂と
して、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリア
クリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと
他のビニルモノマーとの共重合体、アイオノマー、エチ
ルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系樹
脂、ポリカーボネート樹脂などがあげられ、特に好まし
いのは、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂である。
【0015】受容層は、上記樹脂に必要に応じて各種助
剤を添加して、適当な溶剤に溶解あるいは分散して調整
した組成物を、基材シート上に公知の方法、すなわち、
グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用い
たリバースロールコーティング法等の形成手段により、
塗布し、乾燥して、形成される。受容層の厚さは、乾燥
状態で通常0.1〜10μmである。また、電子写真方
式の受容層に添加する助剤としては、例えば、滑り性を
付与する目的で、四フッ化エチレンポリマーやエチレン
−四フッ化エチレンポリマーなどのフッ素系ポリマー、
ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸塩、ポリエチレ
ン、ポリスチレンなどの有機ポリマー、シリカ、アルミ
ナなどの無機物の微粒子、ワックス、シリコンオイル、
界面活性剤、植物油、動物油、鉱油などが用いられる
が、中でもフッ素化ポリマーはポリマーそのものの表面
潤滑性が優れており、最も適している。
【0016】その他、受像シートをプリンターに供給す
る時に発生するブロッキングによる重送防止の目的で、
ポリエチレンなどのポリオレフィン微粒子、ポリスチレ
ン微粒子、ポリアクリル微粒子、エチレンアクリル酸共
重合体微粒子などの有機ポリマー微粒子や、シリカ、カ
オリン、クレー、タルク、硅石、水酸化アルミニウム、
二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、酸
化亜鉛などの無機フィラーやガラスビーズの微粒子など
いずれも、受容層中に添加することが可能である。ただ
し、OHP用途では受容層の透明性を損なわない程度の
量で添加する。
【0017】溶融転写記録と昇華転写記録の受容層は、
加熱により熱転写シートから転写される色材を受容する
働きを有するもので、特に、色材が昇華性染料の場合に
は、それを受容し、発色させると同時に、一旦受容した
染料を再昇華させないことが望まれる。この受容層は、
受容層樹脂を主体として構成される。受容層樹脂は、例
えば、エステル結合を有する樹脂、ウレタン結合を有す
る樹脂、アミド結合を有する樹脂、尿素結合を有する樹
脂、その他極性の高い結合を有する樹脂、あるいは、こ
れらの混合物や共重合体樹脂など、多くの樹脂を使用で
きる。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリ塩化
ビニルの混合物が好ましい。この受容層は、上記の樹脂
に有機または無機のフィラーなどを必要に応じて、添加
することができる。さらに、昇華転写記録の場合、熱転
写シートとの熱離型性を向上させるため、離型剤を添加
することができる。
【0018】離型剤の例としては、シリコーンオイル、
リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が
挙げられるが、シリコーンオイルが望ましい。上記シリ
コーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、
アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ
素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキ
シ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリ
コーンオイルが好ましい。離型剤は1種若しくは2種以
上のものが使用される。また、離型剤の添加量は、受容
層を形成するバインダー樹脂100重量部に対し、0.
5〜20重量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさ
ない場合は、熱転写シートと受容層の熱融着若しくは印
字感度の低下等の問題が生じる場合がある。
【0019】また、帯電防止能を付与させるために、下
記に示す帯電防止剤を受容層塗工液に、練り込むことも
できる。この練り込みは電子写真方式の受容層塗工液に
おいても行うことができる。 帯電防止剤;脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エ
ステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、
アミノ酸類、アクリル系樹脂、エチレンオキサイド付加
物など。帯電防止剤の添加量は、樹脂に対し、0.1〜
2.0重量%が好ましい。溶融転写記録と昇華転写記録
の受容層の形成方法は、上記の電子写真複写用受容層の
時と同様な方法があげられる。溶融転写記録と昇華転写
記録の受容層の厚みは、乾燥時で通常0.1〜10μm
である。
【0020】(プライマー層)基材と受容層との接着を
安定化する目的で、受容層と基材との間にプライマー層
を設けることもある。プライマー層を構成する材料とし
ては、線状ポリエステルやイソシアネート等、通常の材
料から選択することができる。 (帯電制御層)受像シートの粉塵付着による汚染防止
や、プリンターでの2枚差し等の搬送不良の目的で、下
記の界面活性剤を含む、帯電制御層を受容層面及び/ま
たは基材の裏面の受像シートの最表面に設けることがで
きる。また、基材自体の表及び/または裏に帯電制御層
を設けることができる。帯電制御層は帯電防止剤を含有
するもので、帯電防止剤としては、例えば、第4級アン
モニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止
剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、
脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤が挙げられ
る。また、滑剤を含ませることにより、熱定着時の滑
り、搬送時の安定性をもたせることもある。
【0021】(裏面層)基材の受容層の設けられていな
い、基材裏面に裏面層を設けることができる。裏面層は
受像シートに対して、プリンターでの搬送上、適度の滑
り性をもたせ、またカール防止性をもたせるために設け
る。裏面層は、例えば、バインダー樹脂と有機または無
機の微粒子、帯電防止剤から構成される。バインダー樹
脂は、受容層で記載したバインダー樹脂が同様に使用で
き、帯電防止剤は前記の帯電制御層で記載したものが同
様に使用できる。また、有機または無機の微粒子として
は、受像シートの透明性を損なわないように配慮された
もので、例えば、シリカ、タルク、アルミナ、炭酸カル
シウム等の無機微粒子や、テフロン微粒子、架橋尿素樹
脂微粒子、スチレン/アクリル樹脂微粒子、メラミン樹
脂、ポリカーボネート樹脂等の有機フィラーのような裏
面層のバインダーと屈折率の近い材料が選定される。
【0022】(中間層)本発明においては、基材シート
と受容層の間に各種の樹脂からなる中間層を設けること
もできる。このような中間層に様々な役割を担わせるこ
とで受像シートに優れた機能を付加することができる。
例をあげると、クッション性を付与する樹脂として、弾
性変形や塑性変形の大きな樹脂、例えば、ポリオレフィ
ン系樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂などを用いて、受像シートの感度
を向上させたり、画像のざらつきを防止することができ
る。その他、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂や、硬
化剤等により硬化させた樹脂を用いて中間層を設けた場
合には、受像シートを複数枚重ねて保存したときにシー
ト同士が密着してしまうのを防止するなど、受像シート
の保存性能を向上させることができる。
【0023】中間層は、上記にあげた樹脂と添加剤等を
任意に添加し、溶剤、希釈剤等で、十分に混練して、塗
工液を製造し、基材シートの上に、受容層の形成手段と
同様に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、
グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の
形成手段により、塗布し、乾燥して、中間層を構成す
る。
【0024】(検知マーク)本発明の受像シートは、検
知マークが設けられている。そして、検知マークは樹脂
と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒からなる樹脂ワニス
を塗布して形成される不透明なもので、該検知マークが
加熱により透明化し、かつ検知マークを形成する樹脂が
分子量40,000以上のアクリル樹脂を含有してい
る。検知マークは電子写真複写機(プリンター)また
は、熱転写プリンターに使用される前は、多孔質の不透
明層であるが、それらのプリンターで画像形成される時
に、加熱、定着時の熱により透明化するものである。
【0025】樹脂と、低沸点の良溶媒および高沸点の貧
溶媒を含んでなる透明な樹脂ワニスを受像シートに塗布
後、乾燥させる際に、沸点の比較的低い良溶媒が優先的
に蒸発する。この良溶媒の蒸発の進行に伴い、樹脂ワニ
ス中の樹脂相と残存する貧溶媒相とが相分離し、樹脂は
ゲル化し、他方貧溶媒は該樹脂中に分散した粒子形態を
とるようになる。さらに乾燥が進むと、この粒子形態の
高沸点貧溶媒の蒸発が進行し、貧溶媒の蒸発の完了によ
り不透明多孔質樹脂層が形成される。このように形成さ
れた不透明多孔質樹脂層は、記録時の熱あるいは記録後
の加熱処理により、樹脂が溶融して透明化するものであ
る。
【0026】上記の不透明多孔質樹脂層の検知マークで
は、検知マークを形成する樹脂が分子量40,000以
上のアクリル樹脂を含有している。多孔質形態の検知マ
ークでは、空孔と空孔の間に分子量40,000以上の
アクリル樹脂を含んで、そのアクリル樹脂がない場合に
比較して、塗膜強度が向上する。また、検知マークが粒
子形態となる場合は、粒子と粒子の間で、そのアクリル
樹脂を含んだ樹脂が接合樹脂として、マークの塗膜強度
が向上する。したがって、空孔同志の結合を強め、検知
マーク樹脂層の塗膜強度を高め、さらに、検知マークが
透明化する性能も優れた機能を発揮する。そして、上記
のアクリル樹脂により、検知マークの樹脂層が、粒子状
の凹凸の激しいマット表面にならずに、ある程度の平面
性のある表面を確保している。したがって、画像形成時
の搬送時の摩擦や、取扱上での擦れ等により、検知マー
クが取り除かれることもない。上記のアクリル樹脂は、
ガラス転移点(Tg)30℃以上、120℃以下、特に
30℃〜105℃の範囲のTgのものが好ましい。Tg
が120℃を越えると、印字時に検知マークが透明化し
ない等の問題が生じるので好ましくない。Tg30℃未
満のものを用いると、受像シートの保存条件(温度、湿
度)によりブロッキングが生じやすい点で好ましくな
い。
【0027】また、上記の高分子量のアクリル樹脂の他
に、適正な大きさの粒径の空孔を形成するような樹脂を
使用して、検知マークを形成するため、画像形成時の加
熱により検知マークが透明化する性能に優れたものとな
る。検知マークを形成する樹脂が、アクリル樹脂以外に
塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルの内の2つ以上のモ
ノマーからなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂が好ましく、特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体樹脂が好ましく混合して使用される。これらの樹脂
は、融点30℃以上、150℃以下、特に50℃〜13
0℃の範囲のものが好ましい。融点が150℃を越える
と、画像形成(トナー定着)時の多孔質樹脂層が溶融す
る際に、基材も熱変形を起こす等の不都合が生じるので
好ましくない。30℃未満のものを用いると、保存性の
点で好ましくない。これらの樹脂は、単独でも2種以上
を混合しても使用することができる。また、分子量4
0,000以上のアクリル樹脂と、その他の樹脂を使用
するとき、その配合は、重量で、その他の樹脂100に
対し、アクリル樹脂0.1〜20程度が好ましい。その
アクリル樹脂が少ないと、検知マークの塗膜強度が低下
する。一方、そのアクリル樹脂が多すぎると、検知マー
クの不透明な多孔質形態もしくは粒子形態が得られにく
い。
【0028】上記の樹脂に対して、貧溶媒とは、樹脂に
対する溶解性がないか、溶解性の低い溶媒のことで、具
体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペン
系炭化水素等炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素類、
アルコール類がある。また、上記樹脂に対して、良溶媒
とは、樹脂に対する溶解性が高い溶媒のことで、具体的
には溶剤可溶性樹脂に対しては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、酢酸エチル、
酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテ
ル等のエステル類、あるいは、樹脂によっては、芳香族
炭化水素、アルコール類が該当する。そして、水溶性樹
脂を用いる場合には、溶剤可溶性樹脂に対する貧溶媒が
良溶媒となり、良溶媒が貧溶媒となるように樹脂との相
溶性によって適宜用いられる。貧溶媒は一般に樹脂10
0重量部に対して、10〜300重量部の範囲で使用さ
れる。上記の良溶媒及び貧溶媒については、上述の検知
マーク製造プロセスから理解されるように、貧溶媒の沸
点は良溶媒の沸点よりも相対的に高くなければならな
い。また、樹脂ワニスにおける安定な分散の観点から、
相互に溶解性がある良溶媒、貧溶媒の組み合わせを用い
ることが好ましい。ここで、本発明では、低沸点の良溶
媒および高沸点の貧溶媒は、沸点の高い、低い点は、良
溶媒と貧溶媒との相対的な関係での意味である。
【0029】また、上記の検知マークにおいては、該樹
脂ワニス中に更に粒状の滑剤を含有させることもでき
る。この滑剤の使用により、樹脂ワニス乾燥時の溶媒の
蒸発が促進され、検知マークの生産性が向上する。ま
た、この滑剤の使用は、印刷皮膜としての検知マークの
皮膜強度を向上させ、耐スクラッチ性を向上させるとい
う効果ももたらす。滑剤としては、粒径が0.5〜20
μmの粒状の有機系のものが好ましい。例えば、脂肪族
炭化水素である石油系ワックス、合成パラフィン、ポリ
エチレンワックスやモンタンワックス、高級脂肪酸及び
その金属塩であるパルチン酸、ステアリン酸及びそのア
ルミニウム塩、錫塩、亜鉛塩、脂肪族アルコール、脂肪
族エステルであるステアリン酸n−ブチル、ステアリン
酸n−ヘキシル、ステアリン酸オクチルやステアリン酸
アマイド、パルミチン酸アマイド、エチレンビスパルミ
チン酸アマイド等のアマイド、カルナバワックス等のワ
ックスの粒状のものが好ましく使用される。滑剤の使用
量は、樹脂100重量部に対して一般に0.5〜30重
量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0030】検知マークとしての多孔質樹脂層は、0.
05〜2μmの平均細孔径を有することが好ましい。平
均細孔径が、0.05μmより小さいと、良好な不透明
性(白化状態)が得られないため、検知マークとしての
機能が不足する。2μmより大きいと、膜強度が弱くな
る。多孔質樹脂層の細孔径を上記の範囲内に制御するに
は、乾燥温度、乾燥風量、乾燥時間、さらに、貧溶媒、
良溶媒の混合比等を最適化することによって行われる。
形成された検知マークは、電子写真複写機による画像形
成時トナーを受像シートに定着させる熱ロールの熱(1
00〜150℃)により、樹脂成分が溶融し再固化する
ことによって透明化するものである。本発明の多孔質樹
脂層の検知マークは、400〜1000nmの波長領域
における透過率が印字前50%以下で、印字後75%以
上となり、反射率では印字前20%以上となり、印字後
10%以下となるものである。
【0031】また、本発明の検知マークは受像シートの
限定された一部分または、パターン化されて設けること
ができる。すなわち、検知マークは、受像シートの一端
や周辺等の限定された部分に設ける。尚、検知マークは
OHP投影機等で使用した時に少しでも見えると、目障
りである場合は画像形成部でない部分に検知マークを設
けることが好ましい。また、本発明の検知マークはパタ
ーン化されていてもよい。パターン化は、具体的には大
きさが規定されたストライプ、丸、楕円、三角形、バー
コード等の形状が挙げられる。さらに、本発明の検知マ
ークは受像シートのいずれか一方の面または両面に印刷
により設けることができる。すなわち、検知マークは受
像シートのいずれか一方の面または両面に、グラビア印
刷法、スクリーン印刷法、活版印刷等の公知の印刷手段
により、印刷し、乾燥して、形成する。
【0032】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのな
い限り重量基準である。 (実施例1)厚さ75μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの基材の一方の面に、下記組成の受容層をグ
ラビア版を用いたリバースロールコーティング法によ
り、乾燥状態で厚さが3μmとなるように塗布した。ま
た、その受容層の上に、受像シートの角の位置に、下記
組成の検知マーク用塗工液1を用いて、グラビア印刷
で、乾燥状態で厚さ2μmになるように検知マークを設
けて、実施例1の受像シートを作製した。
【0033】受容層組成 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 6部 (電気化学工業株式会社製 デンカラック#1000A) ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製 バイロン600) 4部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 90部
【0034】検知マーク用塗工液1 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部 (電気化学工業株式会社製 デンカラックTF200:固形分60%) アクリル樹脂(分子量550,000) 1部 (三菱レーヨン株式会社製 BR−108) アセトン 30部 プロパノール 40部
【0035】(実施例2)実施例1で使用した検知マー
ク用塗工液1を下記組成の検知マーク用塗工液2に変更
した他は、実施例1と同様にして実施例2の受像シート
を作製した。検知マーク用塗工液2 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (電気化学工業株式会社製 #1000ALK) アクリル樹脂(分子量550,000) 1部 (三菱レーヨン株式会社製 BR−108) アセトン 40部 プロパノール 40部
【0036】(比較例1)実施例1で使用した検知マー
ク用塗工液1を下記組成の検知マーク用塗工液3に変更
した他は、実施例1と同様にして比較例1の受像シート
を作製した。検知マーク用塗工液3 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部 (電気化学工業株式会社製 デンカラックTF200:固形分60%) アセトン 30部 プロパノール 40部
【0037】上記の実施例及び比較例の受像シートを用
いて、電子写真複写機(キャノン株式会社製 COLO
R LASER COPIER 700)により、一定
の画像を形成し、下記の方法にて、検知マークの摩擦強
度、熱消去性及び層構造を調べた。摩擦強度 スガ試験機(株)製摩擦試験機を使用し、荷重200g
/cm2 で、受像シートの検知マーク部とステンレス板
とが接触するように、50回往復の摩擦を行い、検知マ
ークを目視にて観察し、評価する。判断基準は以下の通
りである。 ○:検知マークは摩擦前と比べて、変化が認められな
い。 ×:検知マークは摩擦前と比べて、擦れ取られているこ
とが認められる。
【0038】熱消去性 日本電色工業(株)製ヘイズメーターで、画像形成前
と、画像形成後の受像シートでヘイズを測定する。ま
た、画像形成後の受像シートをOHP投影機にて肉眼で
観察し、検知マークの熱消去性を評価する。判断基準は
以下の通りである。 ○:検知マークの熱消去性が良好で、OHP投影機で拡
大してもマークが目立たない。 △:検知マークの熱消去性がやや不良で、OHP投影機
で拡大すると、マークの一部が認められる。
【0039】層構造 画像形成前の受像シートにおいて、日本電子データム
(株)製走査顕微鏡にて、2000倍で拡大して観察
し、評価する。判断基準は以下の通りである。 ○:粒子状の空孔と空孔との間隔があり、空孔と空孔と
の間が樹脂で埋まっている。 ×:粒子状の空孔と空孔との間隔が狭く、また空孔の径
が比較的大きい。
【0040】(評価結果)各実施例及び比較例の評価結
果を表1に示す。 (以下余白)
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明は、樹脂と低沸点の良溶媒と高沸
点の貧溶媒からなる樹脂ワニスを塗布して形成される不
透明な検知マークを有する受像シートにおいて、該検知
マークが加熱により透明化し、かつ該樹脂が分子量4
0,000以上のアクリル樹脂を含有しているため、検
知マークの層としての塗膜強度が高く、画像形成時の搬
送時の摩擦や、取扱上での擦れ等により、検知マークが
取り除かれることもなく、画像形成時の加熱により検知
マークが透明化する性能も優れている。それは、本発明
の受像シートの検知マークの層構造において、多孔質形
態の検知マークでは、空孔と空孔の間に分子量40,0
00以上のアクリル樹脂を含んで、そのアクリル樹脂が
ない場合に比較して、塗膜強度が向上する。また、検知
マークが粒子形態となる場合は、粒子と粒子の間で、そ
のアクリル樹脂を含んだ樹脂が接合樹脂として、上記と
同様に塗膜強度が向上する。したがって、空孔同志の結
合を強め、検知マークの樹脂層の塗膜強度を高め、画像
形成時の搬送時の摩擦や、取扱上での擦れ等により、検
知マークが取り除かれることもない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂と低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒
    からなる樹脂ワニスを塗布して形成される不透明な検知
    マークを有する受像シートにおいて、該検知マークが加
    熱により透明化し、かつ該樹脂が分子量40,000以
    上のアクリル樹脂を含有することを特徴とする受像シー
    ト。
  2. 【請求項2】 基材上に受容層を設けたことを特徴とす
    る上記の請求項1に記載する受像シート。
  3. 【請求項3】 検知マークを形成する樹脂が、アクリル
    樹脂以外に塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルの内の2
    つ以上のモノマーからなる共重合体、ポリエステル樹
    脂、ポリアミド樹脂から選ばれることを特徴とする上記
    の請求項1に記載する受像シート。
  4. 【請求項4】 画像形成が電子写真方式、または熱転写
    方式であることを特徴とする上記の請求項1に記載する
    受像シート。
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