JPH10318830A - 赤外線センサ - Google Patents

赤外線センサ

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JPH10318830A
JPH10318830A JP12992097A JP12992097A JPH10318830A JP H10318830 A JPH10318830 A JP H10318830A JP 12992097 A JP12992097 A JP 12992097A JP 12992097 A JP12992097 A JP 12992097A JP H10318830 A JPH10318830 A JP H10318830A
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JP
Japan
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infrared
film
sensitive film
infrared sensor
crn
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JP12992097A
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English (en)
Inventor
Masaaki Yoshitake
正明 吉竹
Soichi Ogawa
倉一 小川
Tetsuya Kamasaka
哲也 釜坂
Takahiko Oe
高彦 大江
Naosuke Adachi
直祐 安達
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OSAKA SHINKU KOGYO KK
Osaka Prefecture
Original Assignee
OSAKA SHINKU KOGYO KK
Osaka Prefecture
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で、耐環境性に優れる赤外線セン
サを提供する。 【解決手段】 基板1の上に赤外線感応膜であるCrN
X薄膜2a、2b(0.1≦X≦1.2)が形成され、
CrNX薄膜2a、2bの両端には、電極3a、3dが
設けられ、中央部には、電極3b、3cがそれぞれ設け
られる。また、電極3aと電極3cとの間のCrNX
膜2aの上、電極3cと電極3dとの間のCrNX薄膜
2aの上、電極3aと電極3bとの間のCrNX薄膜2
bの上及び電極3bと電極3dとの間のCrNX薄膜2
bの上には、絶縁層4a〜4dがそれぞれ設けられ、絶
縁層4c、4bの上には、赤外線反射膜5a、5bがそ
れぞれ設けられ、絶縁層4a、4dの上には、赤外線吸
収膜6a、6bがそれぞれ設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線センサに関
し、特に、非接触で被計測対象物の赤外線を計測するこ
とにより被計測対象物の温度を計測する熱型赤外線セン
サに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の赤外線センサとしては、Ge、P
bS、CdHgTe等の半導体を用いた量子型センサ、
La1.88Sr0.12CuO4、YBa2Cu37等を用いた
超伝導センサ、LiTaO3、PbTiO3等の酸化物誘
電体を用いた焦電型センサ、アモルファスシリコン(a
−Si)、ポリシリコン(p−Si)、アモルファスゲ
ルマ(a−Ge)、SiC、VOX等のサーミスタ効果
を有する材料を用いたサーミスタボロメータがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の量子型センサ及
び超伝導センサは、感度が高いが、価格が高く、また、
感度を高めるためには、液体窒素等でセンサを冷却する
必要があり、センサの構造が複雑になるという問題があ
った。また、上記の焦電型センサでは、入射する赤外線
に対し断続光となったものにのみ感応する焦電効果を利
用するため、チョッパを用いた光信号を交流に変換する
機構が必要となり、やはりセンサの構造が複雑になると
いう問題があった。さらに、上記のサーミスタボロメー
タでは、薄膜型及び焼結型があり、前者は半導体を用い
ているため、耐環境性が劣り、後者は焼結体を用いてい
るため、熱容量が大きく応答性が悪いという問題があっ
た。
【0004】本発明の目的は、構造が簡単で、耐環境性
に優れる赤外線センサを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、CrNX薄膜からなる赤外線感応膜を備
え、窒素含有率Xは、0.1≦X≦1.2である赤外線
センサを提供するものである。上記構成により、化学的
に安定で耐食性に優れるCrNX薄膜を赤外線感応膜と
して使用しているので、水蒸気、ガス等により雰囲気が
変化しても、安定な特性を有し、センサの耐環境性を向
上することができる。また、CrNX薄膜は、膜中の窒
素含有率Xを制御することにより、電気抵抗が金属的な
伝導から半導体的な伝導まで変化するため、抵抗率及び
抵抗温度係数の制御が容易となる。この結果、窒素含有
率Xが0.1以上1.2以下の範囲で、良好な抵抗率及
び抵抗温度係数を有し、赤外線を直接測定可能な赤外線
感応膜を形成することができるので、チョッパ等の機構
が不要となり、赤外線センサの構造を簡略化することが
できる。また、上記赤外線感応膜の窒素含有率Xは、
0.6≦X≦1.1であることが好ましい。この場合、
抵抗温度係数が高いので、赤外線センサの感度を高くす
ることができる。
【0006】また、上記赤外線感応膜の厚さは、0.0
1μm以上であることが好ましい。CrNX薄膜の厚さ
が0.01μmより薄くなりすぎると、抵抗値が高くな
りすぎる。上記赤外線感応膜の厚さは、また、10μm
以下であることが好ましい。CrNX薄膜の厚さが10
μmより厚くなると、膜形成時間が長くなりすぎる。従
って、上記範囲で、抵抗値及び膜形成時間が赤外線セン
サとして実用可能な範囲となる。
【0007】また、上記赤外線センサは、上記赤外線感
応膜が形成される基板をさらに含み、この基板の厚さ
は、1μm以上であることが好ましい。基板の厚さが1
μmより薄いと、基板の上に赤外線感応膜を形成した場
合、両者の熱膨張係数の差により基板に不要な応力が発
生してセンサの歩留まりが低下する。上記基板の厚さ
は、500μm以下であることが好ましい。基板の厚さ
が500μmより厚くなると、基板の熱容量が大きくな
りすぎ、センサの応答感度並びに応答速度が低下する。
従って、上記範囲で、センサの歩留まり、応答感度、及
び応答速度が赤外線センサとして実用可能な範囲とな
る。
【0008】本発明の望ましい形態においては、上記赤
外線感応膜上に形成され、赤外線を吸収する赤外線吸収
膜をさらに含み、この赤外線吸収膜は、酸化クロムから
なることが好ましい。この場合、クロムターゲットを用
いて、赤外線感応膜として、CrNX薄膜を形成した後
に、同一ターゲットを用いて、反応ガスを変更するだけ
で、酸化クロム膜を作成することができるので、赤外線
センサの製造工程が簡略化され、赤外線センサの製造コ
ストを削減することができる。
【0009】また、赤外線感応膜の上部に形成され、赤
外線を吸収する第一及び第二赤外線吸収膜と、赤外線感
応膜の上部に形成され、赤外線を反射する第一及び第二
赤外線反射膜と、赤外線感応膜上に形成され、赤外線感
応膜と電気的に接続される第一乃至第四電極とをさらに
含み、第一電極は、第一赤外線吸収膜の下部の赤外線感
応膜の一端と第一赤外線反射膜の下部の赤外線感応膜の
一端とを電気的に接続し、第二電極は、第二赤外線吸収
膜の下部の赤外線感応膜の一端と第二赤外線反射膜の下
部の赤外線感応膜の一端とを電気的に接続し、第三電極
は、第一赤外線吸収膜の下部の赤外線感応膜の他端と第
二赤外線反射膜の下部の赤外線感応膜の他端とを電気的
に接続し、第四電極は、第二赤外線吸収膜の下部の赤外
線感応膜の他端と第一赤外線反射膜の下部の赤外線感応
膜の他端とを電気的に接続し、第一及び第二電極間に所
定電圧又は電流が供給され、第三電極の電圧と第四電極
の電圧との差動電圧を出力するものとされる。この場
合、赤外線感応膜がブリッジ回路を構成し、差動電圧を
出力することができるので、赤外線吸収膜及び赤外線反
射膜を一つずつ用いてその差を出力する場合と比較し
て、出力の変化量が2倍となり、赤外線センサのS/N
比を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ本発
明の実施の形態について説明する。図1の(a)及び
(b)は、本発明の一実施の形態の赤外線センサの構成
を模式的に示す平面図及び側面図である。
【0011】図1に示すように、赤外線センサは、基板
1、赤外線感応膜であるCrNX薄膜2a、2b、電極
3a〜3d、絶縁層4a〜4d、赤外線反射膜5a、5
b、赤外線吸収膜6a、6bを含む。
【0012】基板1の形状は、縦8mm、横14mm、
厚さ125μmである。なお、基板1の形状は、上記の
例に特に限定されるものではなく、使用条件等に応じて
種々の変更が可能であり、以下に説明する各部材の形状
についても同様である。基板1の厚さは、既に述べたよ
うに、通常1μm以上が好ましく、また、500μm以
下であることが好ましい。
【0013】基板1としては、熱容量が小さく、かつ、
熱伝導率が小さい、高分子フィルム又は無機材質板を用
いることができる。より具体的には、高分子材料、アモ
ルファスカーボン、セラミック、金属、半導体(Si、
Ge等)等からなる基板を用いることができる。上記し
たような熱容量が小さく、かつ、熱伝導率が小さい材料
を基板として用いることにより、ホトリソグラフィー等
のマイクロマシン技術を用いて架橋構造を作成する必要
がなくなり、赤外線センサの製造工程を簡略化すること
ができ、製造コストを削減することができる。
【0014】さらに、基板1の厚みは、製造時の熱負荷
による変形の発生を考慮すると、50μm以上であるこ
とが好ましく、熱容量及び熱伝導率を考慮すると、12
5μm以下であることが好ましい。本実施の形態では、
基板1として、耐熱性があり、以下に説明する製造方法
に適するため、厚さ125μmのポリイミドからなる高
分子フィルムであるカプトン(東レ・デュポン社製)を
用いている。また、同様の製品として、レグルス(三井
東圧化学社製)、ユーピレックス(宇部興業社製)等を
用いてもよい。
【0015】基板1の上に、幅1mm、長さ14mm、
厚さ1000Åのストライプ状の2本のCrNX薄膜2
a、2bが設けられている。CrNX薄膜2a、2bの
窒素含有率Xとしては、好ましくは、0.1以上1.2
以下、さらに好ましくは、0.6以上1.1以下のもの
が用いられる。窒化クロム膜は、化学的に安定で耐食性
に優れ、水蒸気、ガス等により雰囲気が変化しても、安
定な特性を有する。また、CrNX薄膜は、膜中の窒素
含有率Xを制御することにより、電気抵抗が金属的な伝
導から半導体的な伝導まで変化するため、抵抗率及び抵
抗温度係数を容易に制御することができ、所望の抵抗値
及び抵抗温度係数を容易に達成することができる。
【0016】図2は、窒素含有率XとCrNX薄膜の抵
抗率ρ(Ω・cm)との関係を示す図であり、図3は、
窒素含有率XとCrNX薄膜の抵抗温度係数TCR(%
/K)との関係を示す図であり、図4は、窒素含有率X
とCrNX薄膜の堆積速度(Å/min)との関係を示
す図である。ここで、基板1としては、上記したカプト
ン及びコーニング7059ガラス(コーニング社製)の
2種類の基板を用い、コーニング7059ガラスでは、
基板温度として300℃と150℃との温度を用いてい
る。
【0017】図2乃至図4より、窒素含有率Xが0.1
以上1.2以下の範囲で、量産性を損なわずに赤外線セ
ンサとして使用可能な抵抗率及び抵抗温度係数を有する
ことがわかる。また、窒素含有率Xが0.6以上1.1
以下の範囲で、抵抗率がさらに良好で抵抗温度係数が高
くなり、赤外線感応膜として感度を高くすることができ
る。従って、赤外線感応膜として上記のような範囲の窒
素含有率Xを有するCrNX薄膜を使用することによ
り、赤外線センサの耐環境性を向上することができると
ともに、赤外線を直接測定することができ、チョッパ等
の機構を不要として赤外線センサの構造を簡略化するこ
とができる。
【0018】また、CrNX薄膜の厚さは、0.01μ
mより薄くなると、膜厚に依存して膜の抵抗値が急激に
高くなり、一方、10μmより厚くなると、図4からわ
かるように、堆積速度に依存する膜形成時間が長くなり
すぎる。従って、CrNX薄膜の厚さは、0.01μm
以上であることが好ましく、また、10μm以下である
ことが好ましく、この範囲で、抵抗値及び膜形成時間が
実用可能な範囲となる。
【0019】CrNX薄膜2a、2bの両端には、幅
1.5mm、長さ8mm、厚さ0.5μmの電極3a、
3dが設けられ、中央部には、幅3mm、長さ3.5m
m、厚さ0.5μmの電極3b、3cがそれぞれ設けら
れ、CrNX薄膜2a、2bと電気的に接続されてい
る。電極3a〜3dとしては、本実施の形態では、例え
ば、金を用いているが、特に限定されるものではなく、
通常赤外線センサの電極として用いられるものであれ
ば、任意の材質を用いることができる。
【0020】電極3aと電極3cとの間のCrNX薄膜
2aの上、電極3cと電極3dとの間のCrNX薄膜2
aの上、電極3aと電極3bとの間のCrNX薄膜2b
の上、及び電極3bと電極3dとの間のCrNX薄膜2
bの上には、縦3mm、横4mmの絶縁層4a〜4dが
それぞれ設けられている。絶縁層4a〜4dとしては、
金属酸化物等からなる絶縁体薄膜を用いることができる
が、CrNX薄膜2a、2bと赤外線反射膜5a、5b
及び赤外線吸収膜6a、6bとの間を絶縁できるもので
あれば、特に限定されるものではない。また、絶縁層4
a〜4dの厚さとしては、1000Å〜10μmの範囲
から任意の厚さのものを用いることができる。なお、赤
外線反射膜5a、5b及び赤外線吸収膜6a、6bが導
電性を有しない場合は、絶縁層4a〜4dは不要であ
り、CrNX薄膜2a、2bの上に直接赤外線反射膜5
a、5b及び赤外線吸収膜6a、6bを形成することが
できる。
【0021】絶縁層4c、4bの上には、縦3mm、横
3mmの赤外線反射膜5a、5bがそれぞれ設けられ、
赤外線反射膜5a、5bによりCrNX薄膜2a、2b
への赤外線の反射を確実に防止することができる。赤外
線反射膜5a、5bとしては、例えば、金属、金属化合
物等を用いることができ、赤外線を反射できるものであ
れば、特に限定されるものではなく、本実施の形態で
は、一例として、Al箔を用いている。
【0022】絶縁層4a、4dの上には、縦3mm、横
3mm、厚さ10μmの赤外線吸収膜6a、6bがそれ
ぞれ設けられ、赤外線吸収膜6a、6bによりCrNX
薄膜2a、2bへ入射する赤外線を効率よく吸収するこ
とができる。赤外線吸収膜6a、6bとしては、例え
ば、カーボン、セラミック、金属の超微粒子等を用いる
ことができ、赤外線を効率よく吸収できるものであれ
ば、特に限定されるものではない。本実施の形態では、
一例として、黒色塗料であるシリコンアクリル塗料系の
シリコートs−1(田辺化学工業社製)を用いており、
また、主成分が超微粒子のグラファイトからなるトピカ
トップガード(東美化学社製)等を用いてもよい。
【0023】また、赤外線吸収膜6a、6bとして、酸
化クロムを用いた場合は、クロムターゲットを用いて、
赤外線感応膜としてCrNX薄膜を形成した後に、同一
ターゲットを用いて、酸化クロム膜を形成することがで
きる。従って、反応ガスを変更し、金属マスクを変更す
るだけで、CrNX薄膜及び酸化クロム膜を製造するこ
とができる。また、酸化クロム膜は絶縁性を有するた
め、絶縁層4a、4dも不要となる。この結果、赤外線
センサの製造工程が簡略化され、赤外線センサの製造コ
ストを削減することができる。なお、赤外線センサの構
造及び形状は、上記の例に特に限定されるものではな
く、使用条件等に応じて種々の変更が可能である。
【0024】次に、図1に示す赤外線センサの製造方法
について説明する。図5は、図1に示す赤外線センサの
製造工程を説明するための図である。
【0025】まず、図5の(a)に示すように、基板1
を対向二極高周波マグネトロンスパッタリング装置にセ
ットする。次に、図5の(b)に示すように、反応性高
周波マグネトロンスパッタリング法により、金属マスク
を通してCrNX薄膜2a、2bを形成する。ここで、
成膜条件として、ターゲットは、直径100mm、厚さ
5mm、純度99.99%の金属Cr、基板−ターゲッ
ト間距離は、50mm、到達真空度は、2×10-6To
rr以下、基板温度は、150℃、Ar+N2圧は、6
×10-3Torr、N2分圧は、2×10-3Torr、
成膜時間は、5minである。なお、窒素含有率Xが
0.1以上1.2以下のCrNX薄膜を作成する場合
は、N2分圧は、5×10-5〜6×10-3Torr、成
膜時間は、5〜30minである。次に、図5の(c)
に示すように、金属マスクを通して金を電極3a〜3d
として形成する。次に、図5の(d)に示すように、絶
縁層4a〜4dを形成する。次に、図5の(e)に示す
ように、絶縁層4c、4bの上に赤外線反射膜5a、5
bを形成する。最後に、図5の(f)に示すように、絶
縁層4a、4dの上に赤外線吸収膜6a、6bを形成す
る。上記の工程により、図1に示した赤外線センサを製
造することができる。なお、CrNX薄膜の製造方法
は、上記方法に限られず、CrNX薄膜の膜厚制御が可
能であり、かつ、窒素含有量を制御できる方法であれ
ば、他の方法でもよく、例えば、他のスパッタリング、
イオンプレーティング、反応性蒸着法、CVD(化学的
気相成長法)等の方法を用いることができる。
【0026】次に、図1に示す赤外線センサの赤外線の
検出方法について説明する。図6は、図1に示す赤外線
センサの等価回路図である。
【0027】図6に示すように、電極3aは、定電圧源
である10Vの電源に接続され、電極3dは、接地さ
れ、電極3b、3cは、差動増幅器C1と接続され、4
つの抵抗R1〜R4によりブリッジ回路を構成してい
る。ここで、抵抗R1は、CrNX薄膜2bのうち赤外
線反射膜5aに覆われた部分の抵抗を示し、抵抗R2
は、CrNX薄膜2bのうち赤外線吸収膜6bに覆われ
た部分の抵抗を示し、抵抗R3は、CrNX薄膜2aの
うち赤外線反射膜5bに覆われた部分の抵抗を示し、抵
抗R4は、CrNX薄膜2aのうち赤外線吸収膜6aに
覆われた部分の抵抗を示している。従って、赤外線が赤
外線センサに入力されると、CrNX薄膜2a、2b
は、負の抵抗温度係数を有しているため、赤外線吸収膜
6a、6bに覆われた部分の抵抗R4、R2の抵抗値が
減少し、赤外線反射膜5a、5bに覆われた部分の抵抗
R1、R3の抵抗値は変化しない。この結果、電極3c
の電圧が上昇し、電極3bの電圧が低下する。従って、
差動増幅器C1を用いて電極3cの電圧から電極3bの
電圧を減算した差動信号を出力することにより、赤外線
吸収膜及び赤外線反射膜を一つずつ用いてその差を出力
する場合と比較して、出力の変化量は、2倍となり、赤
外線センサのS/N比を向上させることができる。な
お、上記の説明では定電圧源を用いたが、定電流源を用
いても上記と同様に赤外線を検出することができる。
【0028】次に、図1に示す赤外線センサの応答特性
について説明する。図7は、赤外線センサの応答特性を
測定するための第一の測定システムの構成を示すブロッ
ク図である。
【0029】図7に示すように、第一の測定システム
は、黒体炉21、試料室22、電源23、増幅器24、
X−Yレコーダ25、扇風機26を含む。黒体炉21
は、試料室22から300mmの間隔をあけて配置さ
れ、赤外線を試料室22の側に放射する。黒体炉21の
温度は、約100度である。試料室22は、アルミニウ
ム製の筒であり、黒体炉21から放射される赤外線を入
射させるために、黒体炉21に対向する筒の一端の円形
状面に四角形の穴が設けられている。また、筒の内部に
はワイヤーが備えられており、そのワイヤーに両面テー
プにより赤外線センサが接着されて固定されている。試
料室22内の赤外線センサには、電源23より10Vの
電圧が供給されている。赤外線センサの二つの電極3
b、3cからの出力は、増幅器24に入力される。増幅
器24のゲインは、0dBである。増幅器24の出力
は、X−Yレコーダに入力され、赤外線センサの出力が
記録される。なお、本測定システムでは、熱的なエネル
ギーを除去し、黒体炉21から放射される赤外線だけを
赤外線センサに照射するために、扇風機26を用いて、
熱伝導のエネルギーを排除している。上記のように構成
された測定システムを用いて、黒体炉21から放射され
る赤外線を途中で遮断又は通過させ、赤外線を断続した
場合の出力電圧及び応答時間を測定することにより、赤
外線センサの応答特性を測定することができる。
【0030】次に、上記の測定システムを用いて測定し
た赤外線センサの応答特性について説明する。図8は、
図7に示す測定システムを用いて図1に示す赤外線セン
サの応答特性を測定した結果を示す図である。なお、赤
外線は、初め遮断され、次に約17秒間通過させ、その
後はさらに遮断される。
【0031】図8に示すように、センサ出力は、約5秒
後にほぼ最高出力に達し、出力電圧は、約6〜7mVで
ある。この応答時間は、赤外線センサとして使用可能な
値であり、また、出力電圧は、赤外線センサとして十分
に使用可能な値である。なお、赤外線吸収膜等の熱容量
をさらに小さくすることにより、応答時間をさらに短縮
することは可能である。
【0032】次に、チョッパを用いた場合の図1に示す
赤外線センサの出力特性について説明する。図9は、チ
ョッパを用いた場合の赤外線センサの出力特性を測定す
るための第二の測定システムの構成を示すブロック図で
ある。本発明に係る赤外線センサは、チョッパを不要と
してセンサの構造を簡略化することを目的とするため、
チョッパの使用は不要である。しかしながら、チョッパ
を用いることによりセンサ出力のS/N比を大きくする
ことができるので、センサの出力特性をより正確に測定
するために本測定システムでは、チョッパを用いてい
る。また、本発明が適用された赤外線センサでは、上記
のように基本的にはチョッパを使用しないが、チョッパ
の使用を特に制限するものではなく、場合によっては、
チョッパを使用してもよい。
【0033】図9に示すように、第二の測定システム
は、黒体炉21、試料室22、電源23、チョッパ3
1、ロックインアンプ32、チョッパ制御器33、オシ
ロスコープ34、コンピュータ35、扇風機26を含
む。図9に示す形態については、図7に示す第一の測定
システムと同一部分については同一符号を付し、以下詳
細な説明を省略する。
【0034】黒体炉21、試料室22、電源23、及び
扇風機26は、第一の測定システムと同様である。赤外
線センサの二つの電極3b、3cからの出力は、ロック
インアンプ32に入力される。ロックインアンプ32の
ゲインは、50dBである。ロックインアンプ32の出
力は、オシロスコープ34に入力される。オシロスコー
プ34の出力は、RS232Cケーブルを介してコンピ
ュータ35に入力される。また、図示しない受光素子に
よりチョッパ31のチョッピング周波数が測定され、こ
の受光素子からの出力信号が、チョッパ制御器33に入
力される。チョッパ制御器33は、受光素子からの出力
信号を用いてチョッパ31のチョッピング周波数を制御
するとともにロックインアンプ32に出力される。上記
のように構成された測定システムを用いて、黒体炉21
から放射される赤外線を一定のチョッピング周波数で断
続させ、チョッピング周波数に同期した赤外線センサの
交流出力を測定することにより、チョッパを使用した場
合の赤外線センサの出力特性を測定することができる。
【0035】次に、上記の測定システムを用いて測定し
た赤外線センサの出力特性について説明する。図10
は、図9に示す測定システムを用いて図1に示す赤外線
センサの出力特性を測定した結果を示す図である。な
お、測定は、0.5Hz、1Hz、2Hz、10Hzの
4種類のチョッピング周波数で行った。
【0036】図10に示すように、センサの出力は、
0.5Hzで、約140mVP-P、1Hzで、約90m
P-P、2Hzで、約60mVP-P、10Hzで、約26
mVP-Pであった。これらの出力電圧は、赤外線センサ
として十分に使用可能な値である。
【0037】本発明による赤外線センサは、従来公知の
赤外線センサが用いられてきた分野で使用することがで
きる。より具体的には、例えば、電子レンジ内の温度を
知るために赤外線を測定する赤外線センサなどが例示さ
れる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、CrNX薄膜を赤外線
感応膜として使用しているので、センサの耐環境性を向
上することができる。特に、CrNX薄膜は、窒素含有
率Xが0.1以上1.2以下の範囲であるので、良好な
抵抗率及び抵抗温度係数を有し、チョッパ等の機構が不
要となり、赤外線センサの構造を簡略化することができ
る。
【0039】また、上記赤外線感応膜の厚さが、0.0
1μm以上10μm以下の範囲では、抵抗値及び膜形成
時間が実用可能な範囲となる。
【0040】また、上記赤外線センサの基板の厚さが、
1μm以上500μm以下の範囲では、センサの歩留ま
り、応答感度、及び応答速度が実用可能な範囲となる。
【0041】また、酸化クロムからなる赤外線吸収膜を
用いた場合、同一ターゲットを用いてCrNX薄膜及び
酸化クロム膜を作成することができ、赤外線センサの製
造工程が簡略化され、赤外線センサの製造コストを削減
することができる。
【0042】また、赤外線感応膜のブリッジ回路を構成
した場合、差動電圧を出力することができるので、赤外
線センサのS/N比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の赤外線センサの構成を
模式的に示す図である。
【図2】窒素含有率XとCrNX薄膜の抵抗率との関係
を示すグラフである。
【図3】窒素含有率XとCrNX薄膜の抵抗温度係数と
の関係を示すグラフである。
【図4】窒素含有率XとCrNX薄膜の堆積速度との関
係を示すグラフである。
【図5】図1に示す赤外線センサの製造工程を説明する
ための図である。
【図6】図1に示す赤外線センサの等価回路図である。
【図7】赤外線センサの応答特性を測定するための第一
の測定システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す測定システムを用いて図1に示す赤
外線センサの応答特性を測定した結果を示すグラフであ
る。
【図9】チョッパを用いた場合の赤外線センサの出力特
性を測定するための第二の測定システムの構成を示すブ
ロック図である。
【図10】図8に示す測定システムを用いて図1に示す
赤外線センサの出力特性を測定した結果を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 基板 2a、2b CrNX薄膜 3a〜3d 電極 4a〜4d 絶縁層 5a、5b 赤外線反射膜 6a、6b 赤外線吸収膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大江 高彦 奈良県吉野郡大淀町大字北野120−5 (72)発明者 安達 直祐 大阪府豊中市緑丘2丁目10番18号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CrNX薄膜(但し、0.1≦X≦1.
    2)からなる赤外線感応膜を備えることを特徴とする赤
    外線センサ。
  2. 【請求項2】 前記赤外線感応膜の厚さは、0.01μ
    m以上10μm以下であることを特徴とする請求項1記
    載の赤外線センサ。
  3. 【請求項3】 前記赤外線感応膜が形成される基板をさ
    らに含み、 前記基板の厚さは、1μm以上500μm以下である請
    求項1又は請求項2記載の赤外線センサ。
  4. 【請求項4】 前記赤外線感応膜上に形成され、赤外線
    を吸収する赤外線吸収膜をさらに含み、 前記赤外線吸収膜は、酸化クロムからなる請求項1から
    請求項3までのいずれか一項記載の赤外線センサ。
  5. 【請求項5】 前記赤外線感応膜の上部に形成され、赤
    外線を吸収する第一及び第二赤外線吸収膜と、 前記赤外線感応膜の上部に形成され、赤外線を反射する
    第一及び第二赤外線反射膜と、 前記赤外線感応膜上に形成され、前記赤外線感応膜と電
    気的に接続される第一乃至第四電極とをさらに含み、 前記第一電極は、前記第一赤外線吸収膜の下部の前記赤
    外線感応膜の一端と前記第一赤外線反射膜の下部の前記
    赤外線感応膜の一端とを電気的に接続し、 前記第二電極は、前記第二赤外線吸収膜の下部の前記赤
    外線感応膜の一端と前記第二赤外線反射膜の下部の前記
    赤外線感応膜の一端とを電気的に接続し、 前記第三電極は、前記第一赤外線吸収膜の下部の前記赤
    外線感応膜の他端と前記第二赤外線反射膜の下部の前記
    赤外線感応膜の他端とを電気的に接続し、 前記第四電極は、前記第二赤外線吸収膜の下部の前記赤
    外線感応膜の他端と前記第一赤外線反射膜の下部の前記
    赤外線感応膜の他端とを電気的に接続し、 前記第一及び第二電極間に所定電圧又は電流が供給さ
    れ、 前記第三電極の電圧と前記第四電極の電圧との差動電圧
    を出力する請求項1から請求項3までのいずれか一項記
    載の赤外線センサ。
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