JPH10316419A - 高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方法 - Google Patents

高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方法

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JPH10316419A
JPH10316419A JP12586697A JP12586697A JPH10316419A JP H10316419 A JPH10316419 A JP H10316419A JP 12586697 A JP12586697 A JP 12586697A JP 12586697 A JP12586697 A JP 12586697A JP H10316419 A JPH10316419 A JP H10316419A
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light calcium
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carbonate slurry
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Hiroyasu Yamamoto
博保 山本
Kazuyuki Takada
和幸 高田
Koichi Hagiwara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高濃度で流動性に優れる軽質炭酸カルシウムス
ラリーであって、特に塗工用の軽質炭酸カルシウムとし
て、白色度、不透明度、透気度、さらには吸油度等に優
れる、極めて高濃度の軽質炭酸カルシウムスラリーを容
易に製造する方法を提供する。 【解決手段】炭酸化反応を利用して得られる、紡錘状軽
質炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレスにより脱
水濃縮し、固形分濃度が70重量%以上のケーキとした
後、該ケーキに少なくとも分散剤を添加し攪拌機により
分散して高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーを調製した
後、湿式解砕処理して平均粒子径が2μm以下、かつ固
形分濃度が68重量%以上の軽質炭酸カルシウムスラリ
ーを得る高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高濃度軽質炭酸カル
シウムスラリーの製造方法に関し、さらに詳しくは、白
色度、不透明度、透気度、および吸油度等に優れる塗工
用の高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷用塗工紙や情報用紙を製造す
るメーカーにおいては、優れた品質を有する製品をその
用途、目的に応じて操業性や経済性を考慮しながら、効
率良く生産することが不可欠となっている。さらには省
力化対策等とも相まって、より一層の生産性の向上、即
ち抄紙機や塗工機の大型化と生産速度のアップが求めら
れている。ところで、一般に印刷用塗工紙は顔料と接着
剤を主成分とする塗工液を原紙に塗工することによって
製造されるが、抄紙機の高速化に対して所要の塗工量を
維持し、かつ塗工紙の乾燥負荷を少なくして効率良く生
産するためには、高濃度塗工液を塗工することが必要で
あり、かつ有効な手段となり得るものである。そのため
には塗工液の構成成分となる各原材料のスラリー調製、
なかでも塗工液の主要部分となる顔料スラリーの濃度を
できる限り高めることが重要である。
【0003】一般に、顔料としてはカオリン、クレー、
酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、重質炭酸カ
ルシウム、軽質炭酸カルシウム等の無機顔料が用いられ
る。これらの塗工紙用に使用される無機顔料のうち、軽
質炭酸カルシウムは白色度、不透明度、透気度、吸油度
等に優れるので、巾広く利用される顔料の1つとなって
いる。
【0004】軽質炭酸カルシウムは、基本的には水酸化
カルシウムスラリー(CaOと水を反応させた液)に炭
酸ガス(CO2 )を吹き込み、反応させて製造される。
高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方法に関して
は、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特
開昭60−210521号公報には、軽質炭酸カルシウ
ムスラリーをフィルタープレス等で最大60重量%程度
まで脱水してスラリー化し、さらに、高濃度化するため
に乾燥した軽質炭酸カルシウムを添加する方法が提案さ
れている。
【0005】このように、通常の方法によると、60重
量%程度までは、炭酸化反応により得られた低濃度の軽
質炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレス等で脱水
濃縮して、ウェットの状態のまま高濃度化することは容
易である。しかしながら、それ以上の高濃度、例えば固
形分濃度が68重量%以上といった極めて高濃度の軽質
炭酸カルシウムスラリーを得ようとする場合には、60
重量%程度の軽質炭酸カルシウムスラリーに、予め乾燥
した軽質炭酸カルシウムを後添加して高濃度化すること
が必要となる。その場合、後添加に使用される乾燥軽質
炭酸カルシウムは、熱乾燥処理して乾燥されることが多
く、乾燥工程にコストがかかり、かつ手間を要するとい
う難点がある。さらには、乾燥により凝集している軽質
炭酸カルシウム(乾燥品)を攪拌機等で完全に水分散す
るには、長時間の攪拌が必要であり、その分動力負荷も
大きくなるといった難点が付随する。
【0006】さらに、特開昭62−78299号公報に
は、2段階に分けて高濃度の内添用軽質炭酸カルシウム
の製造方法が提案されている。即ち、この提案では、炭
酸化反応で得られた低濃度の軽質炭酸カルシウムスラリ
ーを、先ず、第1段階で35〜45重量%になる迄脱水
処理した後、第2段階としてベルトプレスや造粒ローラ
による脱水と同時に造粒形成して高濃度化を図ることを
特徴とするものである。しかしながら、この方法の場合
にも工程が複雑となり、結果的に大きな動力負荷を必要
とする難点がある。
【0007】また、一般に塗工用顔料として使用される
炭酸カルシウムやカオリン等は微粉砕処理することによ
って、それらのもつ品質特性が発揮できるものである。
因みに、特開昭60−210521号公報には、固形分
濃度60重量%に調整した軽質炭酸カルシウムのケーキ
に、例えばポリカルボン酸系などの分散剤を炭酸カルシ
ウム100重量部あたり、2.0重量部以下添加し、ホ
モディスパー等の分散機で固形分濃度60重量%のスラ
リーにした後、更にパウダーの軽質炭酸カルシウムを添
加して固形分濃度70重量%以上のスラリーにした後に
5mmφのアルミナビーズを使用して軽質炭酸カルシウ
ムスラリーの湿式解砕処理を行うことによって、塗工用
軽質炭酸カルシウムスラリーを得るための微細化方法が
提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高濃度軽質炭
酸カルシウムスラリーを製造するにあたって、炭酸化反
応で得られた、低濃度の軽質炭酸カルシウムスラリー、
特に好ましいのは特定の粒度分布を有する軽質炭酸カル
シウムスラリーを一回のフィルタープレス操作で脱水濃
縮し、高濃度の軽質炭酸カルシウムのケーキを調製した
後、該ケーキに少なくとも分散剤を加えてコーレスミキ
サー等の分散機で分散してスラリー化した後、湿式解砕
処理して、炭酸化反応から最終製品に至るまで乾燥工程
を経ることなく、ウェットの状態のままで塗工用に好適
な高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーを得る方法を提供
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭酸化反応を
利用して得られる、紡錘状軽質炭酸カルシウムスラリー
をフィルタープレスにより脱水濃縮し、固形分濃度が7
0重量%以上のケーキとした後、該ケーキに少なくとも
分散剤を添加し攪拌機により分散して高濃度軽質炭酸カ
ルシウムスラリーを調製した後、湿式解砕処理して平均
粒子径が2μm以下、かつ固形分濃度が68重量%以上
の軽質炭酸カルシウムスラリーを得ることを特徴とする
高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、高濃度軽質炭酸
カルシウムスラリーの製造方法に関するものであって、
特に、平均粒子径が2μm以下、かつそのスラリー濃度
が68重量%以上といった極めて高濃度の塗工用軽質炭
酸カルシウムスラリーを得ることにある。即ち、本発明
に係る方法は、炭酸化反応で得られるスラリー濃度が7
〜25重量%といった比較的低濃度で、かつ粒子形状が
紡錘状である軽質炭酸カルシウムスラリーをフィルター
プレスで脱水濃縮して、固形分濃度が70重量%以上の
軽質炭酸カルシウムのケーキを調製した後、該ケーキに
少なくとも分散剤を添加して攪拌機で分散し、固形分濃
度が68重量%以上の軽質炭酸カルシウムスラリーを調
製した後、さらにサンドミル等の微細ボールをメディア
とする湿式解砕機で分散して、塗工用の顔料として、白
色度、不透明度、透気度、吸油度等に優れる高品質の高
濃度軽質炭酸カルシウムスラリーを得るものである。
【0011】本発明の方法を実施するに当たり、特に炭
酸化反応を終えた低濃度の軽質炭酸カルシウムスラリー
として、その平均粒子径が4〜9μm、かつロジンラム
ラー式における均等数nが2.5以上の粒度分布を示す
紡錘状の軽質炭酸カルシウムスラリーを使用すること
で、本発明が所望とする優れた品質を有する高濃度の塗
工用軽質炭酸カルシウムスラリーが好適に得られるもの
である。
【0012】前記した如く、本発明は炭酸化反応、即ち
水酸化カルシウムスラリーと炭酸ガスとの反応によって
得られる軽質炭酸カルシウムスラリーを使用する。この
炭酸カルシウムは、例えば特開平5−16018号公報
に記載されているような方法、即ち、反応槽内下部に多
数の開孔を有する気体溜を装着した反応槽に固形分濃度
5〜15重量%の水酸化カルシウムスラリーを装填し、
該気体溜よりパルプ製造プラントにおけるアルカリ蒸解
工程で使用する蒸解液(NaOH+Na2 S)の回収工
程に装備されている石灰キルンの排ガスに含まれる炭酸
ガスの微細気泡を供給して炭酸化反応を行わせることに
よって得ることができ、通常その粒子形は紡錘状または
針状である。そして、本発明ではその形状が紡錘状であ
るものを好ましく使用するものである。因みに、その理
由については定かではないが、針状のものは、高濃度ス
ラリーが得られない虞れがある。
【0013】本発明では、上記の方法によって得られる
軽質炭酸カルシウムスラリーを利用するものである。そ
のスラリーの中でも、特に、軽質炭酸カルシウムの平均
粒子径が4〜9μm、かつロジンラムラー式の均等数n
が2.5以上であるような粒度分布を示す軽質炭酸カル
シウムスラリーを使用することが望ましい。なお、上記
の如き特定の粒度分布を示す軽質炭酸カルシウムスラリ
ーを得るには、炭酸化反応において、水酸化カルシウム
スラリーの固形分濃度、炭酸ガスの吹き込み流量、炭酸
化反応温度等の反応条件を適宜調整することによって、
所望とする平均粒子径および粒度分布を有する軽質炭酸
カルシウム粒子からなるスラリーを得ることができる。
【0014】因みに、フィルタープレスで処理する前の
軽質炭酸カルシウムの平均粒子径が4μm未満ではフィ
ルタープレスでの脱水濃縮にあたり、70重量%以上と
いった高濃度の軽質炭酸カルシウムのケーキが得られな
い虞れがあり、他方9μmを越えるような粗い平均粒子
径の場合には、高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの湿
式解砕処理にあたり、満足な微粉砕処理ができなくなる
虞れがある。
【0015】また、フィルタープレスによる脱水処理前
の軽質炭酸カルシウムの粒度分布として、ロジンラムラ
ー式による均等数nが2.5以上のものを使用すると、
脱水処理によって得られるケーキの固形分濃度が高くな
る傾向があり好ましい。因みに、均等数nが2.5未満
の場合には、固形分濃度70重量%以上のケーキが得ら
れ難くなる虞れがある。なお、上限については特に限定
するものではないが、本発明者らの実験によると、5.
5程度が均等数nの上限であった。
【0016】ここに、ロジンラムラー式はR(DP)=10
0・exp(−bDpn )で表され、顔料等の粒度分布
表示に利用される。上記の式において、R(DP)は積算ふ
るい上質量%、Dpは平均粒子径、bは定数、およびn
は均等数を示す。そして、nの値が大きいほど粒度分布
範囲が狭いことを示すものである。
【0017】次いで、上記のようにしてフィルタープレ
スにより脱水して得られた固形分濃度が70重量%以上
のケーキに、分散剤として、例えばポリカルボン酸型の
合成高分子からなる分散剤を軽質炭酸カルシウムに対
し、固形分対比で概略1重量%程度添加し、機械攪拌に
より分散して濃度68重量%以上の軽質炭酸カルシウム
スラリーを得る。さらに、このようにして得られた高濃
度軽質炭酸カルシウムスラリーをサンドミル等の湿式解
砕処理機を使用して、その平均粒子径が2μm以下とな
るように微細化するものである。この場合、得られる平
均粒子径が2μmを越えると、塗工用の顔料として高品
質の製品を得ることができない。また、下限について
は、特に限定するものではないが、例えば平均粒子径が
0.5μm未満といったように小さくなると、多量の接
着剤を必要とし、塗工適性への影響や、さらには塗工紙
品質に対しても、不透明度、透気度、あるいは吸油度等
の低下をもたらす虞れがある。上記より、一般には0.
5〜2μmの範囲で適宜調節される。因みに、サンドミ
ルを使用して解砕処理する場合についてみると、解砕の
メディアとなるボールとしては、その直径が0.5〜
3.0mm、好ましくは0.8〜1.5mmのものが利
用される。0.5mm未満の場合には、汎用のボールが
少なく、他方3.0mmを越えるようなものは、塗工紙
に仕上げた場合に不透明度が低下する虞れがある。
【0018】なお、前記したように、本発明の目的は湿
式解砕処理して最終的に得られる塗工用軽質炭酸カルシ
ウムとして、その平均粒子径が2μm以下、かつできる
だけ高濃度の軽質炭酸カルシウムスラリーを調製するこ
とにある。そのために、フィルタープレスでの脱水濃縮
により得られる軽質炭酸カルシウムのケーキ濃度をでき
るだけ高くすることが望ましく、上限を設けるものでは
ないが、本発明者らの実験に基づくとケーキ濃度の上限
は概略76重量%程度と推察される。因みに、それ以上
になると安定したスラリーを得ることが難しくなると思
われる。
【0019】従来の技術では、一般に乾燥した軽質炭酸
カルシウムを使用しない塗工用スラリーの上限濃度とし
ては精々67重量%程度が限度であった。1回のフィル
タープレス操作で脱水濃縮し炭酸化反応から最終製品に
至るまで乾燥工程を経ることなくウェットの状態のまま
で塗工用として好適な高濃度(70重量%以上)軽質炭
酸カルシウムスラリーの調製は、本発明の方法によって
初めて達成されたものである。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、勿論本発明はそれらに限定されるものではな
い。なお、例中の「部」および「%」は特に断らない限
り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0021】水酸化カルシウムと炭酸ガスとの炭酸化反
応を利用し、その反応条件において、水酸化カルシウム
スラリーの固形分濃度、炭酸ガスの吹き込み流量、反応
温度等を操作することで3種類(a〜c)、さらに得ら
れた軽質炭酸カルシウムスラリーに分散処理を付加する
ことで2種類(d〜e)の平均粒子径および粒度分布の
異なる軽質炭酸カルシウムスラリーを得た。このように
して得られたスラリーをフィルタープレス機(ISDリ
ーフテスト機/石垣機工社)を用い、下記の条件のもと
に脱水濃縮を行い、軽質炭酸カルシウムのケーキを得
た。このときの軽質炭酸カルシウムの結晶(一次)粒子
径(長径)、平均粒子径、ロジンラムラーの式に係る均
等数n、および固形分濃度を表1に示した。なお、上記
5種類の軽質炭酸カルシウムスラリーの中から、平均粒
子径が6μmである軽質炭酸カルシウムスラリー(b)
を実施例に使用した。
【0022】〔フィルタープレス機での処理条件〕 圧入:5kg/cm2 ,圧搾:7kg/cm2 ,エアー
ブロー:5kg/cm2の条件でフィルタープレス運転
を行った。
【0023】なお、各測定は下記により実施した。 〔平均粒子径、ロジンラムラーの式の均等数n〕…マイ
クロトラック粒度分析計(日機装社)を使用した。 〔結晶(一次)粒子径(長径)〕…走査顕微鏡写真を使
用して代表径を測定した。 〔スラリー粘度〕…B型粘度計を用いて60rpmでの
1分値を測定した。 〔白色度〕…JIS P8123に準じて測定した。 〔不透明度〕…JIS P8138に準じて測定した。 〔光沢度〕…JIS P8142に準じて測定した。 〔平滑度、透気度〕…王研式透気度、平滑度試験機(旭
精工社)を使用した。 〔吸油度〕…紙片上にアマニ油を滴下し、背面側に浸透
するまでの秒数を測定した。
【0024】実施例1 (高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの調製)固形分濃
度14.7%の軽質炭酸カルシウムスラリー〔結晶粒子
径(長径);1.3 μm、平均粒子径;6.0μm、
ロジンラムラーの式の均等数n;4.9〕を製造し、フ
ィルタープレス機で脱水操作を行い、固形分濃度73.
5%の軽質炭酸カルシウムケーキを得た。次いで、解砕
機で数mm程度に解砕し、コーレスミキサーを用いて軽
質炭酸カルシウムに対して1.0%の分散剤(アロンA
−9/東亜合成社)と水を加えて、固形分濃度71.0
%の高濃度軽質炭酸カルシウムスラリー(平均粒子径
2.8μm)を調製した。
【0025】(塗工用高濃度軽質炭酸カルシウムスラリ
ーの粒子径の調整)上記で得られた高濃度軽質炭酸カル
シウムスラリーを、解砕メディアとして直径1mmのジ
ルコニアビーズを用いてボールミルで湿式解砕処理を行
い、平均粒子径1.3μmの軽質炭酸カルシウムのスラ
リーを得た。このスラリーの粘度を表1に示した。
【0026】(塗被組成物の調製)次に、上記の高濃度
軽質炭酸カルシウムスラリー(固形分濃度71.0%、
平均粒子径1.3μm)100部に対して、変性澱粉
(王子コーンスターチ社より入手したコーンスターチを
自家変性)6部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテッ
クス(SN−123G/住化エイビーエス・ラテックス
社)9部(それぞれ、固形分として)を添加し、コーレ
スミキサーを用いて分散し、さらに水を加えて固形分濃
度が60.0%の塗被組成物を調製した。
【0027】(塗被紙の調製)上記の塗被組成物を米坪
90g/m2 の原紙に、片面当たり乾燥重量で15g/
2 になるように手塗り用ロッドを使用して両面塗被を
行い、乾燥後、スーパーキャレンダーに2回通して塗被
紙を得た。かくして得られた塗被紙の品質測定結果を表
2に示した。
【0028】実施例2 実施例1の塗工用高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの
粒子径の調製において、平均粒子径が1.8μmとなる
ように操作した以外は、実施例1と同様にして塗被紙を
得た。得られた塗被紙の品質測定結果を表2に示した。
【0029】実施例3 実施例1の塗工用高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの
粒子径の調製において、平均粒子径が0.8μmとなる
ように操作した以外は、実施例1と同様にして塗被紙を
得た。得られた塗被紙の品質測定結果を表2に示した。
【0030】比較例1 実施例1の塗工用高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの
粒子径の調製において、平均粒子径が2.3μmとなる
ように操作した以外は、実施例1と同様にして塗被紙を
得た。得られた塗被紙の品質測定結果を表2に示した。
【0031】比較例2 実施例1において、湿式解砕処理を施さなかった以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。得られた塗被
紙の品質測定結果を表2に示した(軽質炭酸カルシウム
粒子の平均粒子径は2.8μm)。
【0032】比較例3 実施例1において、塗被組成物の調製に際し、高濃度軽
質炭酸カルシウムスラリーを重質炭酸カルシウムスラリ
ー(市販品:FMT−90/ファイマテック社…固形分
濃度75%、平均粒子径 1.1μm)に変更した以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。得られた塗被
紙の品質測定結果を表2に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の方法によれば、乾燥した軽質炭
酸カルシウムを併用することなく、流動性に優れる高濃
度の軽質炭酸カルシウムスラリーを容易に得ることがで
きる。さらに、本発明の方法によって得られた軽質炭酸
カルシウムを使用して塗工紙に仕上げると、表2の結果
から明らかなように、白色度、不透明度、光沢度、平滑
性等に優れる塗工紙を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸化反応を利用して得られる、紡錘状軽
    質炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレスにより脱
    水濃縮し、固形分濃度が70重量%以上のケーキとした
    後、該ケーキに少なくとも分散剤を添加し攪拌機により
    分散して高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーを調製した
    後、湿式解砕処理して平均粒子径が2μm以下、かつ固
    形分濃度が68重量%以上の軽質炭酸カルシウムスラリ
    ーを得ることを特徴とする高濃度軽質炭酸カルシウムス
    ラリーの製造方法。
  2. 【請求項2】フィルタープレス処理する前の軽質炭酸カ
    ルシウムスラリー中の紡錘状軽質炭酸カルシウム粒子の
    平均粒子径が4〜9μm、かつロジンラムラー式での均
    等数nが2.5以上である請求項1に記載の高濃度軽質
    炭酸カルシウムスラリーの製造方法。
  3. 【請求項3】湿式解砕処理後の高濃度軽質炭酸カルシウ
    ムスラリーの濃度が70重量%以上である請求項1また
    は2に記載の高濃度軽質炭酸カルシウムスラリーの製造
    方法。
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