JPH10316407A - 高純度不活性ガス製造装置及びその起動方法 - Google Patents

高純度不活性ガス製造装置及びその起動方法

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JPH10316407A
JPH10316407A JP12235197A JP12235197A JPH10316407A JP H10316407 A JPH10316407 A JP H10316407A JP 12235197 A JP12235197 A JP 12235197A JP 12235197 A JP12235197 A JP 12235197A JP H10316407 A JPH10316407 A JP H10316407A
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努 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化還元反応剤を使用したガス精製装置を起
動する際に、ガス分離装置で分離したガスを用いて簡単
に起動運転を行うことができる高純度不活性ガスの製造
装置及びその起動方法を提供する。 【解決手段】 発生ガス量を減量することにより酸素濃
度が低下するガス分離装置21と、該ガス分離装置21
で発生したガス中の酸素を酸化還元反応剤を用いて除去
するガス精製装置22とを備え、装置起動時には、前記
ガス分離装置21からのガス取出し量を減量することに
よって発生ガス中の酸素濃度を低下させ、該低酸素濃度
ガスに水素を添加して還元を行い、添加せずにパージを
行って前記ガス精製装置22の酸化還元反応剤の再生を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度不活性ガス
製造装置及びその起動方法に関し、詳しくは、酸素を不
純物として含む粗精製不活性ガスを発生させるガス分離
装置と、該粗精製不活性ガス中の酸素を酸化還元反応剤
を使用して除去するガス精製装置とを備えた高純度不活
性ガス製造装置における初期起動及び通常運転時の起動
を別途に準備した高純度不活性ガスを使用することなく
行うことができる高純度不活性ガス製造装置及びその起
動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体産業や電子機器産業をはじめとし
て、各種の分野において、雰囲気中の酸素から製品を保
護するために各種の高純度不活性ガスが用いられてい
る。特に、最近のパーソナルコンピューターや情報通信
機器のブームにより、前記産業分野における不活性ガス
の需要は益々拡大するとともに、これまで低純度の不活
性ガスで十分であった分野までが、より高品位の製品を
生み出すために高純度の不活性ガスを使用するようにな
ってきている。また、コスト競争が激化する中、製造工
程の雰囲気ガスである不活性ガスのコストは、極力抑え
ることが望まれている。しかし、このような高純度の不
活性ガスは、空気を深冷化で厳密な精留を行うことによ
り得ていたため、大変高価なものとなっていた。
【0003】一方、近年、圧力変動吸着式ガス分離装置
や膜式ガス分離装置等のように、エネルギー的に大変有
利な空気の分離技術が開発され、これらの方法による空
気分離が低コストであることから広く実用化されてい
る。しかし、前記圧力変動吸着式ガス分離装置や膜式ガ
ス分離装置から得られるガスは、比較的低純度であるた
め、使われる分野は限られていた。そこで、このような
低コストの空気分離技術をガス精製技術と組合わせるこ
とにより、ガスを高純度化する試みが為されるようにな
った。
【0004】例えば、ガス精製技術の一つとして、パラ
ジウム等を担持した触媒を用い、不活性ガス中の酸素と
水素とを反応させることにより酸素分を除去する、いわ
ゆるデオキソ法が知られている。この方法は、酸素を含
んだ不活性ガス中に水素を添加して酸素と反応させるも
のであるが、添加する水素は、酸素の化学量論量より若
干過剰に添加しなければならず、酸素除去後のガス中に
水素が残留して不純物として存在するという問題があ
る。また、酸素と水素との反応により生成した水分が含
まれるため、酸素除去後のガスを乾燥剤を充填した吸着
器に通して乾燥させる必要があった。
【0005】一方、精製後のガス中の水素分も水分も共
に低減させる方法として、金属の酸化還元反応を利用し
た不活性ガスの精製方法が知られている。この方法は、
例えば、特開平3−12315号公報に記載されている
ように、銅あるいはニッケル系の酸化還元反応剤を使用
したガス精製装置を用いて不活性ガスの高純度化を行う
ものである。
【0006】図3は、前記公報に記載されたガス精製装
置の系統図であって、酸化還元反応剤として、例えば銅
を充填した2個の反応筒A,Bを備えている。圧力変動
吸着式ガス分離装置や膜式ガス分離装置等のガス分離装
置(図示せず)で発生した粗精製不活性ガス、例えば、
酸素を僅かに含んだ粗窒素ガスは、管1を通って加熱器
2で精製温度(反応温度)、例えば200〜300℃ま
で加熱された後、精製工程にある一方の反応筒、例えば
反応筒Aに弁3aを介して導入される。反応筒A内で
は、粗窒素ガス中の酸素が銅と反応してガス中から除去
され、酸素分を除去した精製窒素ガス(高純度窒素ガ
ス)が、反応筒Aから弁4a,管5を通して得られる。
このときの銅と酸素との反応は、2Cu+O2 →2Cu
Oで示される酸化反応である。通常、この精製工程は、
高反応率が得られるように高温で行われる。
【0007】この間、他方の反応筒Bは、還元工程やパ
ージ工程を含む酸化還元反応剤の再生処理が行われる。
前記還元工程では、還元剤として水素を用いるが、この
とき、水素による酸化銅(CuO)の還元を徐々にしか
も完全に行うため、前記反応筒Aから導出した精製窒素
ガスの一部を前記管5から管6に分岐し、管7から量を
調節した水素を添加して加熱器8で加熱し、弁9bを介
して反応筒Bに導入するようにしている。すなわち、水
素を精製窒素ガスで適度な濃度に希釈して用いている。
また、使用する水素量は、管1に設けられた流量計10
及び酸素計11からの情報に基づいて、記憶・演算器1
2,調節計13,調節弁14を介して調節される。この
ときの還元温度は、やはり高反応率が得られるように高
温で行う。また、反応は、CuO+H2 →Cu+H2
で示される。
【0008】上記還元工程が終了すると、パージ工程に
入る。このパージ工程は、酸化還元反応剤を酸化するこ
となく、筒内に残留する水素と上記反応により生成した
水分とを取除くことを目的としている。このため、精製
工程を行っている反応筒Aで得られた精製窒素ガスの一
部を、前記管6に分岐してパージガスとして用いてい
る。このパージ工程が終了すると、反応筒Bが精製工程
に切換えられ、反応筒Aが還元工程に切換えられる。こ
の工程切換えを両筒A,Bで交互に繰り返すことによ
り、連続的に高純度の精製窒素ガスが得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来のガ
ス精製方法においては、不活性ガスを精製する方法につ
いては詳しく述べられているが、使用するガス精製装置
の起動方法については、全く触れられていない。
【0010】前記酸化還元反応剤は、還元された状態で
空気に触れると酸化反応による発熱を起こすため、通常
は、酸化された状態で反応筒に充填される。このため、
装置製作後の最初の起動を行う場合は、全ての反応筒の
酸化還元反応剤が精製能力を持っていないため、少なく
とも1筒の酸化還元反応剤を再生する必要がある。
【0011】同様に、通常運転の起動時にも再生処理を
行う必要がある。これは、精製から再生までの1サイク
ルが数時間と長いため、停止時における各筒の精製状態
や再生状態が様々で、次の起動時にそのまま運転を開始
できるかどうかの判断は必ずしも容易ではないためであ
る。通常は、次回の起動時に、停止前に再生工程にあっ
た反応筒の再生工程を行う。また、何らかの原因により
各筒の酸化還元反応剤が酸化された場合、次の起動時に
は、初期起動時と同様に少なくとも1筒を先に再生する
必要がある。
【0012】酸化還元反応剤の再生処理は、酸化還元反
応剤から酸素を取除く還元工程と、これにより生成され
る水分及び残留する水素を反応筒内から取除くパージ工
程とからなるが、この再生時に用いる不活性ガス(再生
ガス)中の酸素濃度には、両工程それぞれに上限があ
る。前記還元工程時に水素を希釈するために用いるガス
(再生ガス)中の酸素濃度は、水素濃度に比べて十分低
いレベルであって、酸化還元反応剤の還元に影響しない
レベルである必要がある。また、パージ工程で用いるガ
ス(パージガス)中の酸素濃度は、還元された酸化還元
反応剤を酸化してはならないので、できるだけ低濃度で
あることが望まれる。
【0013】このように、酸化還元反応剤を使ったガス
精製装置では、初期起動時及び通常運転の起動時に酸化
還元反応剤を再生する必要があり、そのとき用いるパー
ジガスは高純度不活性ガスでなければならない。これま
で、ガス精製装置の起動時には、液化ガス等の高純度不
活性ガスをバックアップとして別途に準備していた。こ
れは、高純度不活性ガス自体の費用が加わるのはもちろ
ん、特に、ガス精製装置を設置する場所に貯槽システム
が無い場合には、新たにそれを準備しなければならず、
大幅なコストアップになっていた。
【0014】そこで本発明は、酸化還元反応剤を使用し
たガス精製装置の起動の際に、別途に準備した液化ガス
等の高純度不活性ガスを用いることなく、ガス分離装置
で分離したガスを用いて起動運転を行うことができる高
純度不活性ガス製造装置及びその起動方法を提供するこ
とを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の高純度不活性ガスの製造装置は、発生ガス
の取出し量を減量することにより発生ガス中に含まれる
酸素濃度が低下する粗精製不活性ガス発生用のガス分離
装置と、該ガス分離装置で発生した粗精製不活性ガス中
に含まれる酸素を酸化還元反応剤を酸化させることによ
り除去するとともに、酸化した前記酸化還元反応剤を水
素を含む再生ガスで還元して再生するガス精製装置とを
備えた高純度不活性ガス製造装置において、該高純度不
活性ガス製造装置から製品ガスを導出する製品導出経路
に塞気弁を設け、該塞気弁の上流側に、製品ガスの一部
を前記ガス精製装置に再生ガスとして供給するための再
生ガス導入経路を設けるとともに、該再生ガス導入経路
に、再生ガスの流量を調節するための流量調節弁を設け
たことを特徴としている。
【0016】さらに、本発明の高純度不活性ガスの製造
装置は、前記ガス分離装置で発生したガスを前記酸化還
元反応剤の再生ガスとして前記ガス精製装置に導入する
起動用再生ガス導入経路を設けるとともに、該起動用再
生ガス導入経路に、前記ガス分離装置の発生ガス量を減
量する流量調節弁を設けたことを特徴としている。
【0017】また、本発明の高純度不活性ガス製造装置
の起動方法は、発生ガスの取出し量を減量することによ
り発生ガス中に含まれる酸素濃度が低下する粗精製不活
性ガス発生用のガス分離装置と、該ガス分離装置で発生
した粗精製不活性ガス中に含まれる酸素を酸化還元反応
剤を酸化させることにより除去するとともに、酸化した
前記酸化還元反応剤を水素を含む再生ガスで還元して再
生するガス精製装置とを備えた高純度不活性ガス製造装
置を起動するにあたり、前記ガス分離装置からの発生ガ
スの取出し量を減量することによって該発生ガス中に含
まれる酸素濃度を低下させ、好ましくは、前記ガス精製
装置で精製した高純度不活性ガスの酸素濃度と同等レベ
ルの低酸素濃度ガスを発生させ、該低酸素濃度ガスを用
いて前記ガス精製装置の酸化還元反応剤の再生を行うこ
とを特徴としている。
【0018】さらに、本発明では、前記ガス分離装置
が、圧力変動吸着式ガス分離装置又は膜式ガス分離装置
であること、また、前記酸化還元反応剤が、Cr
2 3 ,MnO2 ,CuO,Fe2 3 及びNiOのい
ずれか一種又は二種以上を組合わせたものであることを
特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の高純度不活性ガ
ス製造装置の第1形態例を示す系統図である。この高純
度不活性ガス製造装置は、粗精製不活性ガスを発生させ
るガス分離装置21と、該ガス分離装置で発生した粗精
製不活性ガス中に含まれる酸素を酸化還元反応剤によっ
て除去するガス精製装置22とを組合わせたものであっ
て、該高純度不活性ガス製造装置から製品ガスを導出す
る製品導出経路23に、製品ガスの導出を閉塞する塞気
弁24を設け、該塞気弁24の上流側に、製品ガスの一
部を前記ガス精製装置22に再生ガスとして供給するた
めの再生ガス導入経路25を設けるとともに、該再生ガ
ス導入経路25に、再生ガスの流量を調節するための流
量調節弁26を設けたものである。
【0020】前記ガス精製装置22は、基本的には前記
従来装置と同様に形成することができ、酸化還元反応剤
を充填した複数、例えば2個の反応筒A,Bと、該反応
筒A,Bを精製工程と還元工程及びパージ工程を含む再
生操作とに切換えるための弁27a,27b,28a,
28b,29a,29b,30a,30bと、反応筒
A,B内を所定の反応温度に加熱するための加熱器31
a,31bと、前記再生ガス導入経路25を流れる再生
ガスに水素を添加する水素添加経路32と、反応筒A,
Bから再生ガスを導出する再生ガス導出経路33とが設
けられ、前記水素添加経路32には、水素の添加量を調
節するための流量調節弁34と、水素の添加を停止する
ための弁35とが設けられている。
【0021】また、図2は、本発明の高純度不活性ガス
製造装置の第2形態例を示す系統図であって、前記図1
に示す系統に加えて、装置起動時に、前記ガス分離装置
21で発生した粗精製不活性ガスをガス精製装置22に
再生ガスとして供給するための起動用再生ガス導入経路
41と、該起動用再生ガス導入経路41を流れる粗精製
不活性ガス量を調節する流量調節弁42と、再生ガスと
しての導入を停止するための弁43とを設けたものであ
る。
【0022】前記ガス分離装置21は、例えば、空気を
原料として不活性ガスである窒素と酸素とを分離し、不
純物としての酸素を含む窒素ガスを発生させるものであ
って、圧力変動吸着式ガス分離装置や膜式ガス分離装置
のように、発生ガスの取出し量を減量することにより発
生ガス中に含まれる酸素濃度が低下する特性を有する装
置が用いられる。具体的には、吸着剤にMSC(Mol
ecular Sieving Carbon:分子篩
炭素)を用いた圧力変動吸着式ガス分離装置を用いるこ
とができる。なお、原料ガスは空気に限るものではな
く、例えば、アルゴンに不純物として酸素を含むガスで
あってもよい。
【0023】上述のガス分離装置は、圧力変動吸着式ガ
ス分離装置においては、製品は難吸着性成分、膜式ガス
分離装置においては製品は膜に対して難透過性成分の取
出し状態から製品取出し量を減量すると、製品ガス中に
含まれる不純物である酸素分が減少するという性質を持
っている。
【0024】例えば、圧力変動吸着式ガス分離装置の場
合、通常の運転状態で製品ガスとしての窒素ガス中に含
まれる酸素濃度が1000ppmである場合、製品取出
し量を半分にすると、その中に含まれる酸素濃度は約1
00ppmとなり、1桁も低くなる。さらに製品量を絞
り、取出し量を最初の8分の1にすると、酸素濃度が数
ppmという高純度窒素ガスを得ることが可能である。
また、膜式ガス分離装置においても、99%濃度の窒素
ガス発生状態から製品ガス量を約3分の1に減量すれ
ば、窒素濃度は99.9%に上昇する。このように、こ
れらのガス分離装置においては、装置からの製品取出し
量を減量することにより、より高純度の不活性ガスが得
られる。
【0025】上述の特性を利用すれば、前記ガス精製装
置22の初期起動時や通常運転の起動において必要な高
純度の不活性ガスを、該ガス精製装置22の前段に設置
した、原料である粗精製ガスを得るためのガス分離装置
21自身から得ることができる。すなわち、ガス精製装
置22の起動時には、再生用ガスとして十分な濃度にな
るまで前段のガス分離装置21からのガス取出し量を減
量し、所望の純度のガスが得られたら、ガス精製装置2
2の酸化還元反応剤の再生用(還元及びパージ用)のガ
スとして用いるようにする。
【0026】次に、図1及び図2に示す装置構成におい
て、空気から高純度の窒素ガスを製造する場合を例に挙
げて説明する。まず、ガス精製装置22にとって原料ガ
スとなる粗精製窒素ガス(若干量の酸素分を不純物とし
て含む窒素ガス)を発生するガス分離装置21として
は、例えば、前記MSCを用いた圧力変動吸着式ガス分
離装置を用いる。
【0027】ガス精製装置22での酸化還元反応による
ガスの精製では、金属と酸素との反応で酸素の除去が行
われるため、窒素ガス中に不純物として含まれる酸素分
の上限は、反応熱による酸化還元反応剤の温度上昇の程
度によって決まる。酸素濃度が高すぎると酸化還元反応
剤の温度が上昇して焼結等の現象が起こり、還元しても
再使用が困難となる。このため、おおむね、不純物とし
て含まれる酸素分としては、1%以下、特に、1000
ppm以下が望ましい。
【0028】このような通常の精製条件に対し、起動時
にガス精製装置22の再生ガスとして用いるための、酸
素分を十分に減らした窒素ガスをガス分離装置21で発
生させるためには、前述のように、製品ガスである窒素
ガス取出し量を約8分の1にすることで酸素分を数pp
mに低下させることができる。
【0029】ガス分離装置21からの窒素ガス取出し量
を減量するには、図1に示す装置においては、製品導出
経路23に設けた塞気弁24を閉じた状態で、再生ガス
導入経路25に設けた流量調節弁26により、ガス分離
装置21からの窒素ガス量が通常の発生ガス量の約8分
の1になるように調整すればよい。また、図2に示す装
置においては、反応筒A,Bの入口に設置されている弁
27a,27bを閉じるとともに、起動用再生ガス導入
経路41の弁43を開いた状態で、起動用再生ガス導入
経路41に設けた流量調節弁42により、ガス分離装置
21からの窒素ガス量が通常の発生ガス量の約8分の1
になるように調整すればよい。
【0030】このように流量調節されて酸素分が十分に
少なくなった窒素ガスに水素添加経路32から流量調節
弁34で流量調節した水素を添加した後、酸化還元反応
剤の再生を行う反応筒、例えば反応筒Aに導入する。こ
れにより、反応筒A内の酸化した酸化還元反応剤の還元
再生を行うことができる。この還元反応は、吸熱反応で
あるため、加熱器31aにより50〜250℃の範囲に
加熱することが反応促進のために好適である。
【0031】また、酸化還元反応剤の還元は、理論的に
は精製工程で反応筒に入った酸素分と反応して水とする
のに十分な水素が供給されればよいが、反応効率を考え
ると、若干過剰に添加することが好ましい。ガス精製装
置22の起動時においては、充填されている酸化還元反
応剤の全てが酸化されているものとして添加する水素量
が決められる。実用的には、反応効率を考慮して理論量
より若干多めの水素が供給された時点で酸化還元反応剤
の還元が完了したものとする。
【0032】次にパージ工程に進む。このパージ工程
は、水素添加経路32の弁35を閉じて水素の添加を止
める以外は前記還元工程と同様であり、ガス分離装置2
1で発生した酸素分が十分に少ない窒素ガスを、再生ガ
ス導入経路25を介して、あるいは、起動用再生ガス導
入経路41を介して反応筒に導入することにより行われ
る。このパージ工程では、過剰に添加した水素及び還元
反応によって生成した水分のパージを十分に行うことを
目的とする。
【0033】このように、ガス精製装置22の原料ガス
である粗精製窒素ガスを発生するガス分離装置21自身
で、酸素分がガス精製装置22で精製した高純度窒素ガ
スのレベルに近い窒素ガスを発生し、これをガス精製装
置22の起動時に酸化還元反応剤の還元再生及びパージ
に使用することにより、高純度窒素ガスを、他の供給
源、例えば液化窒素や容器に充填された高圧ガス等とし
て用意する必要がなくなり、装置の操作性の改善やコス
トの低減が図れる。
【0034】なお、ガス精製装置22の前段に組合わせ
るガス分離装置21としては、前述の圧力変動吸着式ガ
ス分離装置や膜式ガス分離装置以外にも、製品ガスの取
出し量を絞ることによって酸素濃度が減少する特性を持
った装置ならば、各種装置を使用することができる。
【0035】また、本発明で使用する酸化還元反応剤と
しては、Cr2 3 ,MnO2 ,CuO,Fe2 3
NiO等を単独あるいは複数種を組合わせて用いること
ができるが、いずれの金属を用いた場合であっても、酸
素除去能力及び各工程における反応条件(還元に必要な
水素量及び好適な反応温度等の条件)が異なるだけで、
初期起動時及び通常運転の起動時における再生操作は、
上記手順で行うことができる。
【0036】さらに、精製工程中及び還元工程中に生成
した水分や過剰に添加した水素、前段のガス分離装置2
1で取除けなかった一酸化炭素,炭酸ガス及び/又は各
種炭化水素等、酸素以外に含まれる不純物を除去するこ
とを目的に、酸化還元反応剤の上流,中間,下流のいず
れかにゼオライト,アルミナ,MSC等の吸着剤や各種
金属触媒を単独あるいは複数種組合わせて反応筒に充填
することも可能である。
【0037】
【実施例】
実施例1 ガス精製装置の2個の反応筒はステンレス製円管とし、
反応筒にはヒーターをそれぞれ巻いた。筒内に充填する
酸化還元反応剤としてはニッケルを用いた。また、ガス
分離装置には、MSCを吸着剤として使用した圧力変動
吸着式ガス分離装置を用い、空気圧縮機から供給される
原料空気を分離して若干の酸素分を不純物として含む窒
素ガスを発生させ、この粗精製窒素ガスをガス精製装置
の原料ガスとした。この圧力変動吸着式ガス分離装置の
通常運転時に発生する窒素ガス量は100Nm3 /hで
あり、このときの酸素濃度は980ppmである。一
方、ガス精製装置では、酸素分を1ppm以下まで除去
するように設定した。
【0038】一つの反応筒の精製工程の時間(半サイク
ル)は9時間とし、この間に他方の反応筒で、減圧,還
元再生,パージ,再加圧の各工程からなる再生操作を行
うことにした。まず、通常の運転条件でガス精製装置を
運転し、工程切換え直前で装置を停止させた。十分な時
間停止した後、運転開始時の操作(起動運転)を試み
た。
【0039】ここで、通常の精製運転における反応筒へ
の持ち込み酸素量は、 100Nm3 /h×980ppm×9h=0.882N
3 であり、添加すべき水素量は、 0.882Nm3 ×2×K=1.764×KNm3 (式中、Kは1以上の定数である。)となる。
【0040】ガス精製装置の起動のために圧力変動吸着
式ガス分離装置からの窒素ガス取出し量を、通常時の2
0%(20Nm3 /h)にしたとき、そのガス中の酸素
濃度は2ppmとなった。また、還元時間を3時間と
し、再生用窒素ガス中の水素濃度は、下記の値になるよ
うに流量調節弁を調節した。 1.764×KNm3 ÷3÷20Nm3 /h=2.94
×K%
【0041】上述のように調整した再生用ガスを200
℃に加熱した反応筒Aに導入して酸化還元反応剤の還元
を行った(NiO+H2 →Ni+H2 O)。反応筒出口
の水素濃度を連続的に測定した結果、3.2時間後に水
素濃度が一定になったため、還元が終了したものとして
水素の添加を止め、酸素濃度2ppmの前記窒素ガスで
反応筒Aのパージを行った。5時間後に、反応筒出口の
水素濃度が1ppmとなり、また、出口ガスの露点が−
50℃以下になったため、パージが完了したものと判断
した。
【0042】圧力変動吸着式ガス分離装置からのガス供
給量を通常の流量に戻し、全量を反応筒Aに導入して通
常の窒素ガス精製運転を開始した。すなわち、再生が終
了した反応筒Aに酸素濃度980ppmの窒素ガスを1
00Nm3 /hで導入して精製窒素ガスを得た。この精
製窒素ガス中の酸素濃度及び水素濃度を測定したとこ
ろ、共に検出限界である1ppm以下であった。また、
露点も−70℃以下であった。
【0043】さらに、上記反応筒Aで得た精製窒素の一
部を再生ガスとして使用し、反応筒Bの再生操作を行っ
た。反応筒Bの再生終了後、両反応筒A,Bを交互に精
製工程に切換えて運転した結果、上述の通り、酸素濃度
及び水素濃度が共に1ppm以下で、露点も−70℃以
下の高純度窒素ガスを連続的に得ることができた。
【0044】実施例2 反応筒に、酸化還元反応剤としてクロム,マンガン,
銅,鉄をそれぞれ単独に充填し、実施例1と同様の操作
を行った。その結果、いずれの酸化還元反応剤を用いた
場合でも、起動運転開始から3時間後には、酸素濃度及
び水素濃度が共に1ppm以下、露点−50℃以下の高
純度窒素ガスを連続的に得ることができた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高純度不活性ガスを製造するためのガス精製装置の起動
時に用いる高純度不活性ガスを、該ガス精製装置の原料
ガスを発生するガス分離装置から得ることができるの
で、液化ガス等の高純度不活性ガスを別途に準備する必
要がなくなり、製品ガスの大幅なコストダウンを図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高純度不活性ガス製造装置の第1形
態例を示す系統図である。
【図2】 本発明の高純度不活性ガス製造装置の第2形
態例を示す系統図である。
【図3】 酸化還元反応剤を使用したガス精製装置の一
例を示す系統図である。
【符号の説明】
21…ガス分離装置、22…ガス精製装置、23…製品
導出経路、24…塞気弁、25…再生ガス導入経路、2
6…流量調節弁、32…水素添加経路、41…起動用再
生ガス導入経路、42…流量調節弁、A,B…反応筒

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生ガスの取出し量を減量することによ
    り発生ガス中に含まれる酸素濃度が低下する粗精製不活
    性ガス発生用のガス分離装置と、該ガス分離装置で発生
    した粗精製不活性ガス中に含まれる酸素を酸化還元反応
    剤を酸化させることにより除去するとともに、酸化した
    前記酸化還元反応剤を水素を含む再生ガスで還元して再
    生するガス精製装置とを備えた高純度不活性ガス製造装
    置において、該高純度不活性ガス製造装置から製品ガス
    を導出する製品導出経路に塞気弁を設け、該塞気弁の上
    流側に、製品ガスの一部を前記ガス精製装置に再生ガス
    として供給するための再生ガス導入経路を設けるととも
    に、該再生ガス導入経路に、再生ガスの流量を調節する
    ための流量調節弁を設けたことを特徴とする高純度不活
    性ガス製造装置。
  2. 【請求項2】 発生ガスの取出し量を減量することによ
    り発生ガス中に含まれる酸素濃度が低下する粗精製不活
    性ガス発生用のガス分離装置と、該ガス分離装置で発生
    した粗精製不活性ガス中に含まれる酸素を酸化還元反応
    剤を酸化させることにより除去するとともに、酸化した
    前記酸化還元反応剤を水素を含む再生ガスで還元して再
    生するガス精製装置とを備えた高純度不活性ガス製造装
    置において、前記ガス分離装置で発生したガスを前記ガ
    ス精製装置に再生ガスとして導入する起動用再生ガス導
    入経路を設けるとともに、該起動用再生ガス導入経路
    に、前記ガス分離装置の発生ガス量を減量するための流
    量調節弁を設けたことを特徴とする高純度不活性ガス製
    造装置。
  3. 【請求項3】 発生ガスの取出し量を減量することによ
    り発生ガス中に含まれる酸素濃度が低下する粗精製不活
    性ガス発生用のガス分離装置と、該ガス分離装置で発生
    した粗精製不活性ガス中に含まれる酸素を酸化還元反応
    剤を酸化させることにより除去するとともに、酸化した
    前記酸化還元反応剤を水素を含む再生ガスで還元して再
    生するガス精製装置とを備えた高純度不活性ガス製造装
    置を起動するにあたり、前記ガス分離装置からの発生ガ
    スの取出し量を減量することによって該発生ガス中に含
    まれる酸素濃度を低下させ、該低酸素濃度ガスを用いて
    前記ガス精製装置の酸化還元反応剤の再生を行うことを
    特徴とする高純度不活性ガス製造装置の起動方法。
  4. 【請求項4】 前記ガス分離装置は、圧力変動吸着式ガ
    ス分離装置又は膜式ガス分離装置であることを特徴とす
    る請求項3記載の高純度不活性ガス製造装置の起動方
    法。
  5. 【請求項5】 前記酸化還元反応剤は、Cr2 3 ,M
    nO2 ,CuO,Fe2 3 及びNiOのいずれか一種
    又は二種以上を組合わせたものであることを特徴とする
    請求項3記載の高純度不活性ガスの製造装置の起動方
    法。
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