JPH10315620A - 偽造防止策を施した用紙及びこの用紙を用いた印刷物 - Google Patents

偽造防止策を施した用紙及びこの用紙を用いた印刷物

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JPH10315620A
JPH10315620A JP13115197A JP13115197A JPH10315620A JP H10315620 A JPH10315620 A JP H10315620A JP 13115197 A JP13115197 A JP 13115197A JP 13115197 A JP13115197 A JP 13115197A JP H10315620 A JPH10315620 A JP H10315620A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、真偽判定が簡単・確実にでき、かつ
印刷技術や電子複写機による偽造ができないようにした
偽造防止策を施した用紙を提供する。 【解決の手段】温度により変色する熱変色層を積層した
基材を紙層中に漉き入れし、熱変色層、または熱変色層
と基材の両面を、露出させたことにより、温度変化で色
が可変して簡単で、かつ容易に真偽判定ができ、しかも
偽造が極めて困難なことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙幣、株券、債
券、商品券、宝くじ等の紙からなる有価証券類の偽造防
止に関するもので、さらに詳しくは、電子複写機による
偽造や改竄行為が極めて困難である偽造防止策を施した
用紙及びこの用紙を用いた印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、紙は紙幣をはじめ、株券、債券、
商品券、宝くじなど、金銭的価値を有する有価証券とし
て幅広く使用されている。それら有価証券用紙は容易に
偽造又は変造出来ない様に、紙自身に透かしを施した
り、あるいはマイクロ文字や凹版印刷、隠し文字、蛍光
印刷等の特殊な印刷を施したり、金属光沢を有する箔や
ホログラム箔などを転写またはシールで施してあるのが
一般的である。
【0003】これらの有価証券類が偽造される場合は、
主に印刷による方法と電子複写機による方法があるが、
今日では電子複写機の解像度が格段に良くなり、電子複
写機さえあれば簡単に本物と見分けがつかないくらい正
確に複写出来ることから、電子複写機による偽造が増加
している。この場合には、マイクロ文字や隠し文字とい
ったパターン印刷法では、オリジナルとコピーを見分け
ることが困難になっている。
【0004】さらに、電子複写機や通常の印刷による偽
造に対しては、紙自身の偽造防止策として黒透かしや白
透かしといった透かし技術が、真偽判定が簡単で偽造防
止効果が高いとして多くの有価証券類において現在でも
使用されている。しかし、精巧な印刷技術による偽造品
に対し、黒透かしや白透かしでは環境条件によっては真
偽判定が正確に行えないことがあり、偽造された有価証
券が使用されてしまうという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、以上
のような問題点に着目してなされたものであり、その課
題とするところは、真偽判定が簡単・確実にでき、かつ
印刷技術や電子複写機による偽造ができないようにする
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明において上記課題
を達成するために、まず請求項1においては、温度によ
り変色する熱変色層を積層した基材を用紙の層中に漉き
入れし、熱変色層面を露出させたことにより、温度変化
で色が可変して簡単に真偽判定ができ、かつ偽造が極め
て困難なことを特徴とする偽造防止策を施した用紙とし
たもので、本発明の基本的な構成である。
【0007】また、請求項2においては、熱変色層を積
層する基材に透明なフィルムを用いて、その熱変色層と
基材フィルムの両面が露出するよう用紙の層中に漉き入
れたことにより、用紙の表裏にかかわらず温度変化によ
り熱変色層の色変化が確認でき、真偽判定を容易にして
おり、本発明の応用的な構成である。
【0008】また、請求項3においては、熱変色層に有
色から無色、または無色から有色に変化する材料を用い
ることにより、色変化による真偽判定を更に容易にした
もので、本発明の応用的な構成である。
【0009】請求項4においては、漉き入れられる熱変
色層基材に透明な樹脂フィルムを用い、このフィルムに
積層される熱変色層が無色から有色、または有色から無
色に可変する材料を用いて、その両面が露出するよう用
紙の層中に漉き入れたことにより、用紙の表裏から露出
部分を目視した場合、熱変色層が無色のときに「透明透
かし」が現出し、真偽判定を容易にするだけではなく、
偽造防止効果も高い用紙となり、本発明の理想的な構成
である。
【0010】請求項5においては、請求項1、2、3ま
たは4の偽造防止策を施した用紙を用いて、有価証券類
の印刷物としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、温度により変色する熱
変色層を積層した基材を紙層中に漉き入れし、熱変色
層、または熱変色層と基材の両面を、露出させたことに
より、温度変化で色が可変して簡単に真偽判定ができ、
かつ偽造が極めて困難なことを特徴とする偽造防止策を
施した用紙としたものである。
【0012】以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に
説明する。本発明に用いる用紙は、植物繊維または合成
繊維を原料とし、水中にて叩解し漉いて絡ませた後、脱
水・乾燥させて作られる。この時、紙は原料であるセル
ロースの水酸基間の水素結合により繊維間強度が得られ
る。また、紙に用いるてん料としてはクレイ、タルク、
炭酸カルシウム、二酸化チタン等があり、サイズ剤とし
てはロジン、アルキル・ケテン・ダイマー、無水ステア
リン酸、アルケニル無水こはく酸、ワックス等があり、
紙力増強剤には変性デンプン、ポリビニルアルコール、
ポリアクリルアミド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミ
ン−ホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン等があり、
これらの材料をそれぞれ抄紙時に加え、主として長網抄
紙機で抄造する。
【0013】抄紙方法は、通常の植物繊維紙の製造に用
いられる方法でよく、原料濃度0.5〜10%好ましく
は1〜2%の水希薄原料で十分に膨潤させた繊維をよく
混練し、スダレ・網目状のワイヤー等に流して並べ搾水
後、加温により水分を蒸発させて作られる
【0014】また、植物繊維以外の例えば合成繊維を混
入した紙の場合は、合成繊維間に水素結合などの結合力
を持たないため結着剤を必要とすることが多いので、合
成繊維比率と結着剤量は、紙の強度を落とさない程度に
適宜決めるのが望ましい。
【0015】熱変色層は、電子供与性化合物と電子受容
性化合物と、両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機
化合物媒体とからなり、熱変色材料を無色のポリビニル
アルコール(以下、PVAと称す)系水溶性バインダー
に添加してインキ化したもの(以下、示温インキと称
す)を、5〜500μm、好ましくは15〜20μmの
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの高
分子樹脂フィルム基材の少なくとも片面に塗布して作ら
れる。
【0016】また、請求項3における無色から有色、ま
たは有色から無色に変化する熱変色層の色濃度について
は、発色状態における色濃度の明度値が6以下で、消色
状態における明度値が8以上であることが望ましい。
【0017】そして、前記の混合抄紙法や場合によって
は抄き合わせ法などにより抄紙される熱変色層を有する
基材は、熱変色層、または熱変色層及び基材の両面が露
出(部分的または全面でもよい)するように用紙の層中
に漉き込まれ、特に請求項4の構成の場合には、熱変色
層が温度により無色に変化した際に、透明な樹脂フィル
ム基材面からも目視することができ、所謂、透明透かし
が現出する。
【0018】本発明の偽造防止策が施された用紙への印
刷・加工は、従来の紙の場合と同じ設備、方法が使用可
能である。すなわち、オフセット印刷法、スクリーン印
刷法、グラビア印刷法等の印刷法で文字や絵柄を印刷し
た後、断裁機を用いて小切れ化するなどである。
【0019】本発明の偽造防止策が施された用紙は、温
度変化によって、基材に積層された熱変色層の色が変化
することにより、特別な器具を用いなくとも目視により
確実に真偽判定ができると同時に、熱変色層を有する基
材が用紙の層中に漉き込まれているため偽造も困難であ
る。
【0020】図に基づきさらに詳細に説明すると、図1
は、用紙1の一部領域に熱変色層3を積層した基材2を
漉き込み、熱変色層3を目視できる部分を露出部5とし
た偽造防止策を施した用紙10に、文字や絵柄等の印刷
層4を設けたもので、本発明の基本的な構造を示すもの
である。
【0021】また、図2及び図3は、透明な樹脂フィル
ムからなる基材7上に、熱変色層8を積層して、この熱
変色層8と基材7の両面が露出するように用紙6の層中
に漉き込んだ構造の偽造防止策を施した用紙10aであ
り、平面図及びA−A断面図として説明したものである
【0022】上記熱変色層を施す基材7は、透明性に優
れ、機械的に強く、柔軟性や可とう性を有するポリエチ
レンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレー
ト等の高分子樹脂フィルムが必要に応じて用いられる。
フィルムは一般的に15〜500μmであるが、この場
合あまり厚いと印刷等を施す用紙としては意匠性を損な
う他に、抄紙も難しくなることから、厚さとしては15
〜25μmのものが好ましい。
【0023】また、用紙1,6上の印刷層4は、通常の
印刷であるオフセット印刷法、スクリーン印刷法、凸版
印刷法、凹版印刷法などによる文字や絵柄の他、金属箔
やホログラムを用いても良い。
【0024】熱変色層3,8は、グラビアインキ、オフ
セットインキ、スクリーンインキなど、目的の印刷用の
水溶性インキに熱変色材料を混合して示温インキとし、
それを直接印刷、またはコーティングした形で基材7上
に設ける。
【0025】なお、図1に示す熱変色層3の場合は、温
度変化によって有色から有色へ、例えば赤色から緑色な
どへと変色する材料を用いて、真偽判定を容易にする。
【0026】また、図3の熱変色層8では、熱変色層を
有する基材7に透明な高分子樹脂フィルムを用いるだけ
でなく、温度変化によって有色から無色もしくは無色か
ら有色へと変色する材料を使用することにより、例えば
露出部9が透明となり、真偽判定を更に容易にするとと
もに、電子複写機による偽造や改竄を困難にする。
【0027】一方、用紙1,6の原料となるパルプ繊維
としては、針葉樹や広葉樹、イネ、エスパルト、バガ
ス、麻、亜麻、ケナフ、カンナビス等の木材パルプと、
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリア
クリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックから作ら
れた合成繊維などを、通常の植物繊維紙の製造に用いら
れる方法で、原料濃度0.5〜10%好ましくは1〜2
%の水希薄原料で十分に膨潤させた繊維をよく混練しス
ダレ・網目状のワイヤーパート上に流して並べ、搾水後
加温により水分を蒸発させて作られる。この際、前記の
熱変色層を積層した熱変色層基材の漉き込みには、針金
あるいは薄板(金属その他)を切り抜いて作った型をワ
イヤーパート上に固定したものを漉き網として使い、こ
の部分に熱変色層を積層した基材をあて、露出部分以外
が隠れるように紙を漉く、漉き込みが可能である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳細
に説明する。
【0029】<実施例1>実施例1として図1の構成の
ものを以下に説明する。厚さ15μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムからなる基材2上に、発色時の明
度値が4.5、消色時の明度が6.0である、2−アニ
リノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン6
部、ビスフェノールA10部、ステアリン酸ネオペンチ
ル25部の相容体からなる消色時に無色とならない熱変
色性組成物を、エポキシ/アミン系硬化材の界面重合法
によって得られた平均粒子径8μmのマイクロカプセル
形態の熱変色材料とアクリル酸エステル樹脂とからな
る、15℃以下で赤色で、30℃以上で黄色に、可逆的
に変色する熱変色層3を積層した。しかる後、針葉樹パ
ルプを水中で叩解後、手漉き装置を用いて任意の形状に
熱変色層3が露出(露出部5)するように熱変色層を積
層した基材2を用紙1の層中に漉き込んで脱水した後、
乾燥させ、偽造防止策を施した用紙10(130g/m
2 )を作製し、絵柄・文字の印刷層4を凹版印刷法で印
刷した。
【0030】<実施例2>実施例2として、図2の構成
のものを以下に説明する。厚さ15μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムからなる基材7上に、3−(4
−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1
−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ア
ザフタリド1.5部、ビスフェノールA6部、ステアリ
ン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる熱変色性組成
物を、エポキシ樹脂/アミン系硬化剤の界面重合法によ
るマイクロカプセル化で得られた平均粒子径8μmのマ
イクロカプセル形態の熱変色材料とアクリル酸エステル
樹脂とからなる、15℃以下では青色で、30℃以上で
無色に、可逆的に変色する熱変色層8を積層した。しか
る後、針葉樹パルプを水中で叩解後、手漉き装置を用い
て任意の形状に基材7及び熱変色層8の両面が露出(露
出部9)するように、熱変色層を積層した基材7を用紙
6の層中に漉き込んで脱水、乾燥させ、偽造防止策を施
した用紙10a(120g/m2 )を作製し、絵柄・文
字の印刷層4を凹版印刷法で印刷した。
【0031】<比較例1>比較例1として、図4に基づ
く構成により説明する。一般的な白透かし11を有する
有価証券用紙20を使用し、表面に絵柄・文字の印刷層
4を凹版印刷法により印刷した。
【0032】本発明における実施例1、2と比較例1を
偽造防止効果や真偽判定などの面から比較した結果を、
以下の表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1の比較結果から、比較例1で電子複写
で「可」、偽造の難易度「易」となっているのは、電子
複写や印刷での偽造品が見た目には「透かし」に近い色
合いを再現することがあるため、目視による真偽判定で
は不確実なものとなり、実際に偽造品が使用されてしま
うことがあるので、「透かし」用紙自身の偽造は困難で
も、有価証券類としてはそれぞれ「可」や「易」とな
る。
【0035】これに対して、本発明の偽造防止策を施し
た用紙である実施例1、2は、漉き込まれた基材上に熱
変色層を積層し、露出させた熱変色層が加わる温度によ
り変色することから、真偽判定が容易に、かつ確実に行
うことが可能で、しかも偽造防止効果などの問題点を全
て解決した。
【0036】
【発明の効果】本発明の偽造防止策を施した用紙は、紙
または透明な樹脂フィルムからなる基材に、熱変色層を
設け、この熱変色層を有する基材を用紙の層中に漉き入
れしたもので、その漉き入れ方法については、漉き入れ
られる熱変色層を露出させた場合と、熱変色層と基材の
両面を露出させ漉き入れる場合があり、この熱変色層が
温度変化で無色になると、所謂、透明透かしが現出す
る。従って、偽造を困難にした。また今までのホログラ
ム箔貼付や凹版印刷などの後工程での偽造防止策と比較
して偽造や入手が困難であり、その真偽判定においても
加熱を要するが簡単で、確実に判定できるという効果を
奏する有価証券用紙となる。
【0037】また、明らかな様に、従来の白透かしを有
する用紙では、精巧な印刷や電子複写での偽造の問題、
及び光に透かすなどの目視での真偽判定の際、周囲の環
境によっては偽造品を誤判定してしまう問題があった
が、本発明の偽造防止策を施した用紙は、これら全てを
解決するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における偽造防止策が施され
た用紙の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例における偽造防止策が施さ
れた用紙の平面図である。
【図3】上記偽造防止策が施された用紙のA−A断面図
である。
【図4】比較例における透かし用紙に印刷層を施した偽
造防止策が施された用紙の断面図である。
【符号の説明】
1,6 ……本発明に用いる用紙 10,10a…偽造防止策を施した用紙 20 ……比較例に用いる透かし用紙 2,7 ……熱変色層を積層する基材 3,8 ……熱変色層 4 ……印刷層 5,9 ……露出部 11 ……透かし部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子樹脂フィルムや紙からなる基材の少
    なくとも片面に、温度により色が可変する熱変色層を積
    層し、この熱変色層面が、少なくとも部分的に露出する
    ように基材用紙中に漉き入れたことを特徴とする偽造防
    止策を施した用紙。
  2. 【請求項2】透明な高分子樹脂フィルムからなる基材の
    少なくとも片面に、温度により色が可変する熱変色層を
    積層し、この熱変色層と基材の両面が、少なくとも部分
    的に露出するように用紙の層中に漉き入れたことを特徴
    とする偽造防止策を施した用紙。
  3. 【請求項3】請求項1または2の偽造防止策を施した用
    紙の前記熱変色層が、温度変化により無色から有色、ま
    たは有色から無色に色が可変することを特徴とする偽造
    防止策を施した用紙。
  4. 【請求項4】請求項2または3の偽造防止策を施した用
    紙の前記熱変色層が、温度変化により無色から有色、ま
    たは有色から無色に色が可変することを用紙の表裏から
    目視可能としたことを特徴とする偽造防止策を施した用
    紙。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3または4の偽造防止策を
    施した用紙に、有価証券類の印刷を施したことを特徴と
    する偽造防止策を施した用紙を用いた印刷物。
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