JPH1031275A - 刺激応答性粒子、それを含有する刺激応答性インク及びそれを用いた画像形成方法並びに画像形成装置 - Google Patents

刺激応答性粒子、それを含有する刺激応答性インク及びそれを用いた画像形成方法並びに画像形成装置

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JPH1031275A
JPH1031275A JP8251431A JP25143196A JPH1031275A JP H1031275 A JPH1031275 A JP H1031275A JP 8251431 A JP8251431 A JP 8251431A JP 25143196 A JP25143196 A JP 25143196A JP H1031275 A JPH1031275 A JP H1031275A
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ink
stimulus
responsive
particle
energy
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JP8251431A
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English (en)
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Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
Akimasa Komura
晃雅 小村
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い刺激応答性を持ち、且つ、新規な自律的
な応答機能或いは、さらに可逆的な応答機能を持つ刺激
応答性粒子、及びそれを含有したインクにより、画像劣
化を生じない高品位の画像を形成し得る画像形成方法を
提供する。 【解決手段】 粒子表面に、例えば、ある種のトリアリ
ールメタン系化合物の如く、エネルギー付与によってイ
オン結合性あるいは水素結合性が変化する化合物を有す
ることを特徴とする。この粒子は色材を含有し、光や熱
などのエネルギー付与によってイオン解裂型の構造変化
を起こすものであることが好ましい。この刺激応答性粒
子を好適な溶媒に分散してなる刺激応答性インクは、エ
ネルギーの付与に応じて流動特性等が変化し、その物性
変化を応用することによって色材自身に高感度な自律的
な応答機能を持つ、新規な、かつ優れた画像形成方法を
提供しうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な刺激応答性粒
子、それを含有する刺激応答性インク及びそれを用いた
画像形成方法並びに画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、画像等の記録方法としては、被記
録体上にノズルからインク滴を噴射して像を形成するイ
ンクジェットに代表される直接記録と、高い感度をもつ
感光体上に帯電、露光によって静電潜像を形成後、トナ
ーなどの色材による現像を経て、紙などの被記録体上に
一括転写、定着されて像を形成するゼログラフィーに代
表される間接記録、感熱記録など様々な記録方式が知ら
れている。
【0003】このような画像等の記録方法や技術は、い
ずれも画像を形成する色材自身に自律的な応答機能を備
えたものではなかった。従って、いずれも方法も、記録
速度や装置の小型化、使用エネルギーに係る経済性など
の観点で解決すべき課題を有している。
【0004】これらの課題を解決するため、色材などの
記録材料自体に刺激に応答する機能を備えた、例えば、
刺激応答性インク等が検討されている。即ち、通常、ロ
ール、ベルト等の担持体表面に前記インクを担持させ、
画像情報に応じて刺激を付与し、画像部のインクを流動
化あるいは粘着化させた後、被記録媒体に転写してイン
ク画像を得る方法である。
【0005】このような技術に用いられる刺激は、熱、
電気、光などがあり、例えば、熱による流動性変化を利
用する記録方法としては、過冷却特性インクを用い、画
像情報に応じた通電発熱により、過冷却特性インクを溶
融させて記録シートに転写させる方法(例えば、特開昭
62−53856号公報など)や、インク支持体上に前
記過冷却特性インクをストライプ状態もしくはドット状
に塗布凝固させて、高解像度化を図った方法が提案され
ている(例えば、特開平5−201139号公報な
ど)。
【0006】一方、電気による流動性変化インクを用い
た記録方法としては、例えば、親水性高分子をホウ酸イ
オンで架橋した構造物中に色材を分散した流動性インク
を用いた技術があり、通電により架橋構造を陽極で破壊
して粘着性を付与し、これを中間転写媒体もしくはフィ
ルムなどの被転写媒体に転写した後、更に普通紙に転写
することにより画像を形成するものである(例えば、特
開昭63−30279号公報、特開平1−171870
号公報など)。また、普通紙に直接転写できる記録方法
として、導電性基体表面にインクをコーティングし、画
像情報に応じて通電することでインクを流動化させた
後、被記録体を接触させることで低粘度化した画像情報
に応じたインクを転写させ画像を形成する方法(例え
ば、特開平2−235652号公報など)なども提案さ
れている。
【0007】光による流動性変化インク(光応答性イン
ク)を用いた記録方法としては、常温で固体あるいは半
固体状のインク(例えば、光照射により異性化反応する
光感応性基を高分子の主鎖または側鎖につけたりした高
分子材料に、顔料や染料などの着色剤を分散したイン
ク)を用いる方法が知られている。これは、光エネルギ
ーの照射により前記光応答性インク内の高分子鎖の分子
形態の変化を制御することによる流動性変化を示すイン
クを用いている。転写画像の形成は、インク層上に画像
情報に応じて光照射により流動性を付与し、直接被記録
体に圧力転写および定着する方法である。(例えば、特
開平2−286285号公報など)。
【0008】これら刺激応答性インクを利用して画像を
形成する方法は、画像形成の過程において現像を必要と
せず、直接被記録体に転写することで、工程と装置の簡
略化が図られ小型化に好適である。同時に、インクドナ
ーフィルムなどの廃棄を必要とする消耗品なしに、紙幅
で画像形成できることによる経済性および高速性を備え
ている。
【0009】しかしながら、熱若しくは電気を用いる記
録方法は、これらエネルギーの印加によりインクの流動
性を変化させる方式であるため、インク層上の目的とす
る位置にエネルギーを印加した場合に、拡散が生じて、
周囲の必要ない領域までインクの流動化が生じ、本来必
要な領域のエネルギーが低下して十分な流動性が付与で
きず、画像がぼけてしまう(シャープにならない)とい
う問題があった。
【0010】エネルギーとして光を用いる記録方法は、
常温で固体あるいは半固体のインクを用いて、光により
インクの流動性を低下させるため、前記画像のぼけの問
題点は改善することができるが、インクの流動性変化を
高分子鎖の分子形態変化の制御により行うため、流動性
変化の速度が遅く、同時に光照射後の逆反応の進行によ
る再固化により、画像部の十分な流動性が得られず、転
写の際に画像のかすれなどが生じてしまうという問題が
あった。
【0011】即ち、従来の刺激応答性の機能を有する材
料は、刺激に対する応答能が小さい、速度が遅い、さら
には、エネルギー付与の特性によりシャープな画像が得
られないなどの欠点があり、記録剤として実用化されて
いるものは特殊な目的を除いては殆どなかったのが現状
である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、エネルギー付与に対して高い刺激応答性を持ち、且
つ、新規な自律的な応答機能或いは、さらに可逆的な応
答機能を持つ刺激応答性粒子、およびそれを含有した刺
激応答性インクを提供すること、さらにはこれを用いる
ことによって色材等を含有するインク自身に高感度な自
律的な応答機能を持ち、ぼけやかすれなどの画像劣化を
生じることなく、高品位な画像を形成しうる画像形成方
法並びに画像形成が連続的に簡易な構成の装置で実現で
きる画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の刺激応答性粒子
は、粒子表面に、エネルギー付与によってイオン結合性
あるいは水素結合性が変化する化合物を有することを特
徴とする。本発明において、刺激応答性粒子は、少なく
とも粒子表面に、光照射などのエネルギー付与によって
イオン結合性あるいは水素結合性が変化する化合物(以
下、適宜、刺激応答性材料と称する)を有することが必
要であり、表面のみならず粒子全体が刺激応答性材料か
らなるものであってもよい。
【0014】また、本発明の刺激応答性インクは、前記
刺激応答性粒子を好適な分散媒に分散してなるものであ
り、これらを用いて、即ち、エネルギーを付与して粒子
のイオン結合性あるいは水素結合性が変化することによ
る粒子間の相互作用の変化を利用して画像等を記録する
ことができる。
【0015】本発明の刺激応答性粒子およびそれを液体
に分散させた組成物は、刺激によりイオン結合性あるい
は水素結合性などの物理特性が変化する特異なものであ
り、これによって粒子同士の相互作用を変化させること
ができ、さらに、組成物の粘度、表面自由エネルギー、
浸透力、相状態、pH、電気伝導度、色相などの物理特
性を変化させることが可能であり、この特性を利用して
応答性の良好な画像形成方法を実施することができるも
のである。
【0016】さらに、この画像形成方法に好適な本発明
の画像形成装置は、エネルギー付与によって粒子同士の
相互作用に変化を生じせしめることにより転写特性が変
化する刺激応答性インクを用いて記録を行う画像形成装
置であって、(1)刺激応答性インク担持体と、(2)
該インク担持体上にインク層を形成するインク層形成部
材と、(3)インク層上に画像情報に応じたエネルギー
を付与するエネルギー付与手段と、(4)エネルギー付
与により形成されたインク画像を被記録体に転写する転
写手段と、(4)インクを流動状態に維持するインク流
動化手段とを、備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。
【0018】本発明の刺激応答性粒子の構造についてモ
デル断面図を例示して説明する。図1(a)〜(e)は
本発明に係る刺激応答性粒子を示すモデル断面図であ
る。図1(a)は刺激応答性材料12を含む材料のみで
構成された刺激応答性粒子10(a)を示す。図1
(b)は核となる粒子14の表面が刺激応答性材料12
からなる層で一様に被覆された構成の刺激応答性粒子1
0(b)である。図1(c)は核となる粒子14の表面
に刺激応答性材料12からなる微粒子状物が固定された
構成の刺激応答性粒子10(c)である。図1(d)は
核となる粒子14の表面に刺激応答性材料12で形成さ
れた繊維状物が固定された構成の刺激応答性粒子10
(d)である。図1(e)は刺激応答性材料12を含有
する高分子ゲル16からなる刺激応答性粒子10(e)
を示す。本発明の刺激応答性粒子は、前記に例示したい
ずれの構造を有するものであってもよい。
【0019】また、前記モデル断面図においては、刺激
応答性粒子10を模式図上、真球状に示したが、粒子形
状に特に制限はなく、偏平状、針状、繊維状、ドーナッ
ツ状、多面体状、微小な凹凸を有するものなどであって
も構わない。
【0020】本発明の刺激応答性粒子の最表面にはエネ
ルギー付与によってイオン結合性あるいは水素結合性が
変化する化合物が存在する必要がある。図1(a)に示
す如く粒子全体が刺激応答性材料からなるものであって
も、図1(e)に示す如く粒子全体が刺激応答性材料を
含有する構成のものであってもよいが、粒子の表面のみ
に存在すれば所望の効果が得られるため、効果及びコス
トの観点から、図1(b)、図1(c)、図1(d)に
示す如き構成が好ましい。粒子表面に存在する刺激応答
性材料は、単分子層であっても多単分子層であっても構
わないが、単分子層あるいは薄膜層であることが好まし
い。
【0021】本発明の刺激応答性粒子において、刺激応
答性材料を除く粒子を構成する材料は、通常、記録材料
に使用されるポリマー、色材含有ポリマー、マイクロカ
プセル、色材含有マイクロカプセル、無機粒子、有機顔
料や無機顔料などを用いることができる。また、図1
(e)に示すように、粒子が刺激応答性材料を含む高分
子ゲル材料からなるものであってもよい。
【0022】刺激応答性粒子の大きさは、平均粒子径と
して0.01μm〜50μmの範囲、好ましくは0.1
μm〜20μmの範囲から選択される。また、刺激応答
性材料(高分子材料或いは低分子材料)が粒子表面に固
定或いは被覆されている場合には、刺激応答性材料から
なる層の厚みとしては、単分子層の厚みから刺激応答性
粒子の半径の40%の厚みの範囲であることが好まし
い。
【0023】刺激応答性材料は、光照射、加熱などのエ
ネルギーの付与によって可逆的あるいは非可逆的に構造
変化し、イオン結合性あるいは水素結合性が変化するも
のが用いられる。このような材料としては、可逆的なも
のとしてはフォトクロミック化合物、サーモクロミック
化合物などが、非可逆的なものとしては刺激分解性化合
物などが知られている。
【0024】フォトクロミック化合物は光、熱やpHよ
って構造変化を起こすもので、一般的に変化は可逆的な
ものである。フォトクロミック化合物としてはトリアリ
ールメタン類、スピロオキサジン類、スピロピラン類、
フルギド類、インジゴ類、スチルベン類、ジアリールエ
テン類、アゾベンゼン類などが知られる。本発明におい
ては、構造変化によってイオン結合性あるいは水素結合
性が大きく変化する化合物としてトリアリールメタン
類、スピロオキサジン類、スピロピラン類などのイオン
解裂型の変化を起こすものが好ましく用いられる。ま
た、スピロピラン類のイオン解裂体を含む錯体などやそ
れらの逆フォットクロミック特性をもつ化合物も使用で
きる。これらのなかでもスピロピラン類、トリアリール
メタン類は高いイオン解裂性を示す、さらには水素結合
性や会合性に関与する高い相互作用をもったヒドロキシ
基やシアノ基を持ち、かつ光等のエネルギーによって脱
離反応やそれにともなうイオン化を起こすために、本発
明では好ましく使用される。
【0025】非可逆的な化合物である刺激分解性化合物
としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒ
ラーケトン類、ベンジル類、ベンゾイン類、サルファイ
ド類、グリオキシエステル類、チオキサンソン類、カン
ファーキノン類、アゾ類、パーオキサイド類、ベンゾイ
ルフォーメート類、芳香族ジアゾニウム塩類、芳香族ヨ
ードニウム塩類、芳香族スルホニウム塩類などが挙げら
れる。これらの化合物は、分子内にヒドロキシ基、アミ
ノ基、リン酸基、カルボキシル基、チオール基、スルホ
ン酸基、酸アミド基などの水素結合性置換基を持つもの
であり、これらの置換基の開裂によって、化合物の極性
の大きさや水素結合性における大きな変化が期待され
る。これらの刺激分解性化合物は低分子化合物でもよ
く、高分子化合物であってもよい。
【0026】なお、フォトクロミック化合物などの構造
変化に可逆性をもつ刺激応答性材料を用いた場合には、
本発明の刺激応答性粒子は物理特性変化などの応答特性
が可逆的なものを示す。一方、刺激分解性化合物を刺激
応答性材料として用いた場合は応答特性は可逆的なもの
とはならない。
【0027】本発明で特に好ましく使用される刺激応答
性材料の構造について例示する。好ましい刺激応答性材
料としては、下記一般式(I)で示される構成単位をも
つ高分子材料が挙げられる。このような高分子材料は下
記一般式(II)で示されるトリアリールメタン系モノマ
ーを用いて、単独重合や他のモノマーと共重合すること
によって得られる。
【0028】
【化1】
【0029】(式中、XはOH基又はCN基を表し、Y
は、カルボニル基、−NH−、−(CH2 n −におい
てnが1以上のもの、エーテル結合、アミド結合、エス
テル結合、アルキレンエステル結合、単結合を表し、Z
は水素原子、ハロゲン原子、又は、メチル基を表し、R
1 、R2 は同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素
原子、アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アル
コキシ基を表す。)
【0030】
【化2】
【0031】(式中の置換基は前記一般式(I)におい
て定義したものと同義である。) トリアリールメタン系モノマーと共重合可能なモノマー
としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルお
よびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニ
ル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、マレイミ
ドおよびその誘導体、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、メタ(アクリル)アミド、N,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジ
ル(メタ)アクリレートなどやエチレングリコールジ
(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)
アクリレート化合物、ビニルベンゼンなどの多官能モノ
マーが挙げられる。
【0032】トリアリールメタン系モノマーを共重合す
る場合、その組成比は共重合体中に0.1重量%〜90
重量%の範囲が好ましい。上記の高分子材料は、公知の
ラジカル重合法やイオン重合法によって合成することが
できる。
【0033】また、本発明に使用される刺激応答性高分
子材料としては前記一般式(I)で表される化合物以外
にも、トリアリールメタン類のエポキシ化合物の単独重
合体や他のエポキシ化合物と共重合体、あるいはトリア
リールメタン類をモノマーとして縮合重合法によって合
成した高分子材料等を用いることができる。
【0034】また、刺激応答性材料の低分子化合物とし
ては、下記一般式(III )で示されるシランカップリン
グ反応によって結合可能なトリアリールメタン系化合
物、下記一般式(IV)で示される反応性基をもつトリア
リールメタン系化合物が挙げられる。
【0035】
【化3】
【0036】(式中、X、R1 、R2 は前記一般式
(I)において定義したものと同義である。Yは−(C
2 n −O−においてnが1以上のもの、−(C
2 n −においてnが1以上のもの、−(CH2 n
−S−においてnが1以上のもの、−(CH2 n −N
H−においてnが1以上のもの、−NH−、エーテル結
合、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア
結合を表し、a、b、cは同じでも異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、アルキルアミノ基を表す。mは1〜20の
整数を表す。)
【0037】
【化4】
【0038】(式中、X、R1 、R2 は前記一般式
(I)において定義したものと同義である。Yは単結
合、−(CH2 n −O−においてnが1以上のもの、
−(CH2n −においてnが1以上のもの、−(CH
2 n −S−においてnが1以上のもの、−(CH2
n −NH−においてnが1以上のもの、−NH−、エー
テル結合、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、
ウレア結合を表し、Zは単結合、アルキレン基、フェニ
レン基、置換アルキレン基、置換フェニレン基を表し、
Aはエポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基を表
す。) 次に、本発明の刺激応答性粒子の作製方法について説明
する。
【0039】作製方法にはいくつかの方法を適用するこ
とができる。例示すれば、あらかじめ核となる基体粒子
を調製し、その表面に前記の刺激応答性高分子化合物を
被覆して、あるいは前記の刺激応答性低分子化合物を反
応または吸着させて固定し、単分子層あるいは多分子層
からなる表面層を形成する方法、あるいは刺激応答性材
料のモノマーを含む材料を重合後に粉砕するか、又は、
粒子化重合法によって重合して刺激応答性材料粒子を作
製する方法等が挙げられる。これらいずれの方法を適用
しても、少なくとも粒子の表面に刺激応答性材料が存在
するように粒子を形成しうることから、いずれも好まし
いといえる。
【0040】あらかじめ調製される核となる粒子(基体
粒子)としては、有機顔料、無機顔料、ポリマー粒子、
染料や顔料などの色材を含有したポリマー粒子、ポリマ
ーなどのシェルからなるマイクロカプセル、色素を含有
した前記マイクロカプセルを用いることができる。これ
らの基体粒子は公知の粉砕法、粒子重合法、マイクロカ
プセル化法等によって調製することができる。また、こ
れらの粒子表面にはシラノール基、ビニル基等の重合
基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、チオー
ル基、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基な
どの反応性基を持たせることも、前記刺激応答性材料を
安定に固定する観点から好ましい。
【0041】前記刺激応答性材料を核となる粒子の表面
に固定化する手法としては、湿式コーティング法、湿式
反応法などを用いることができる。さらに、刺激応答性
材料を含む材料を粒子表面にグラフト重合する手法、刺
激応答性材料を含む材料の微粒子を粒子表面に熱付着や
溶融被覆する方法を利用できる。刺激応答性材料を核と
なる粒子表面に反応させて固定する場合には、刺激応答
性材料として、シラノール基、ビニル基等の重合基、ヒ
ドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、
エポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基などの反
応性基を持つものを使用して前記粒子表面に存在する反
応性基と反応させることが好ましい。
【0042】一方、刺激応答性材料のモノマーを含む材
料を重合後に粉砕する、または粒子化重合法によって重
合して粒子を作製する方法によるものでは、前記した刺
激応答性高分子の作製で記述したものと同様な高分子材
料を用いて実施することができる。このとき作製される
刺激応答性粒子は、得られる粒子全体に刺激応答性材料
が含まれることになるが、架橋されて構成されていても
よく、高分子ゲルの状態であってもよい。また、刺激応
答性粒子には染料や顔料などの色材を含有させることも
好ましい。
【0043】刺激応答性粒子に含有させることが可能な
色材としては、公知の無機顔料、有機顔料、染料などを
用いることができる。また、色材以外にも酸化防止剤な
どの安定剤、可塑剤など種々の化合物を粒子に添加する
ことも好ましい。
【0044】刺激応答性粒子は種々の材料へ添加、分散
して刺激応答性インクとして画像形成に用いることが、
実用上好ましい使用形態といえる。刺激応答性インクと
しては、例えば、刺激応答性粒子を種々の液体材料から
なる分散媒中に分散した組成物が好適なものとして挙げ
られる。分散媒としては、水、アルコール系、脂肪族
系、芳香族系、アルキレンオキシド系、シリコーン系、
ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、エステル系、ケト
ン系等が挙げられる。これらのなかでも、非極性溶剤を
用いると、刺激応答性粒子の相互作用を高めることがで
きるので好ましい。
【0045】刺激応答性インクとして調製する場合、イ
ンク組成物中の刺激応答性粒子の含有量は10重量%〜
99重量%の範囲が好ましく、さらに10重量%〜95
重量%の範囲が好ましい。分散媒の含有量は、所望のイ
ンク物性によって適宜選択し得る。
【0046】また、刺激応答性インクには、分散媒であ
る液体材料以外にも、染料、顔料などの色材、分散安定
剤、種々の塩化合物、金属などを添加することもでき
る。
【0047】本発明の画像形成方法について述べれば、
本発明の刺激応答性粒子およびそれを好適な分散媒に分
散させた刺激応答性インクは、エネルギーの付与により
イオン結合性あるいは水素結合性などの物理特性が変化
し、これによって粒子同士の相互作用を変化させること
ができる。このため、この粒子を分散、含有する本発明
の刺激応答性インクは、粘度、表面自由エネルギー、浸
透力、相状態、pH、電気伝導度、色相などの物理特性
をエネルギーの付与条件により変化させることが可能と
なる。
【0048】この刺激応答性インクを用いて、インクの
流動状態と高粘度化状態を可逆的に制御する物理特性の
変化に基づく現象を、以下に刺激応答性材料としてトリ
アリールメタン系化合物を用いた場合を例としてその作
用を説明する。
【0049】トリアリールメタン系化合物を刺激応答化
合物として作製した刺激応答性粒子を分散媒に所定量分
散した刺激応答性インクを調製すると、刺激応答性粒子
表面に存在する例えば−OH基などよる水素結合によっ
て、刺激応答性粒子同士が凝集し、或いはそれがネット
ワークを形成し、組成物はゲル状態を形成することがで
きる。この組成物に紫外線等のエネルギーを照射する
と、トリアリールメタン系化合物はイオン解裂を起こ
し、水素結合性が低下する。このときトリアリールメタ
ン系化合物はカチオンになり、OH- アニオンを遊離す
ることが知られている。このイオン解裂によって粒子間
には電気的な反発力が作用し、組成物はゾル状態を形成
することができる。つまり、光照射によって組成物の相
を変化させることができる。さらに、この変化は可逆的
に行なうことができる。即ち、組成物をゾル状態からゲ
ル状態に戻すには、可視光を照射するあるいは熱の付与
をおこなえばよい。図2は本発明の刺激応答性インクの
刺激応答特性を説明する模式図である。即ち、刺激応答
性粒子10は核となる粒子14表面に刺激応答性材料
(トリアリールメタン系化合物)12の層を有してお
り、静置によって水素結合による刺激応答性粒子10同
士の凝集が起こりゲル状態となっているが、刺激1(紫
外線等のエネルギー)を付与することによってトリアリ
ールメタン系化合物12の水素結合性が低下し、さら
に、OH- アニオンを遊離して粒子10間には電気的な
反発力が作用してゾル状態となる。これに、刺激2(可
視光の照射又は熱の付与)を付与することによってトリ
アリールメタン系化合物12の水素結合性等が変化し、
刺激応答性粒子10同士の凝集が起こり再びゲル状態と
なる。
【0050】このような刺激応答性粒子を用いた物理特
性の変化は、一種の増幅効果によって刺激に対して高感
度なものとすることができる。即ち、刺激応答性粒子表
面に存在する刺激応答性材料の物理特性の変化が、刺激
応答性粒子自身あるいは粒子集合体全体へと、より大き
な体積変化に変換されるものである。さらには、刺激に
対して線形応答あるいは非線形応答するなどの特性を持
たせることも可能である。このような効果は種々の用途
への応用において、高感度化可能、高速化可能など種々
の有益な特性を与える。
【0051】本発明の刺激応答性粒子あるいはインクへ
付与するエネルギーとしては、電界、磁界、熱、光、電
子線、放射線など様々なものを用いることが可能であ
る。これらのなかでもシャープな画像端面の形成及び装
置の簡素化の観点から光を用いることが好ましい。ま
た、刺激応答性材料としてフォトクロミック化合物を用
いる場合は、特に、紫外線および可視光をエネルギーと
して用いることが好ましい。
【0052】本発明の刺激応答性粒子の物理特性変化を
利用した応用の一例として、画像形成方法等への応用が
挙げられる。色材を含有する刺激応答性粒子を好適な分
散媒に分散した刺激応答性インクを調製し、これを基材
上に塗布する。塗布後に静置すると刺激応答性インクは
ゲル状態となる。ここに、光等のエネルギーを部分的に
付与すると、露光部即ちエネルギー付与部はゾル状態に
変化する。この時、ゲル状態の部分とゾル状態の部分で
は紙などの被記録体への付着力等の物理的特性が異な
る。したがって紙などの被記録体を組成物層上に密着す
る、あるいは圧着すると、ゾル状態の部分の刺激応答性
粒子を含む刺激応答性インクが被記録体上に転写され、
画像を記録することができる。この方法は、色材である
刺激応答性粒子自身に自律応答機能を備えることから、
従来の記録方法とは異なった新規な記録方法である。さ
らに、本発明の刺激応答性粒子およびそれを分散、含有
する刺激応答性インクのもつ刺激応答の増幅効果や自律
応答特性などの優れた特性は、記録方式あるいは記録装
置への応用に際し、高速性、高画質化、記録装置の簡素
化などの種々の点で有用なものであると考える。
【0053】また、この刺激応答性インクがエネルギー
付与によって流動状態から高粘度化する刺激応答性イン
クである場合、画像情報に応じたエネルギーを付与する
ことで非画像部を非付着性とした後、被記録体に接触さ
せることで所望のインク画像を形成することができる。
即ち、エネルギー付与によって流動状態から高粘度化す
る刺激応答性インクを用いた場合、本発明の画像形成方
法は、インク槽中のインクを流動状態にするインク流動
化工程と、該インクをインク担持体上に層状に塗布する
インク層形成工程と、該インク層上に画像情報に応じた
エネルギーを付与してインク潜像を形成するインク潜像
形成工程と、該インク潜像を被記録体に転写する転写工
程を含むものとなる。
【0054】各工程について述べれば、インク流動化工
程は、インク槽に溜められたインクに各種のエネルギー
を付与することにより行われる。本発明においては、イ
ンクの特性を考慮すると、前記の如く紫外線の照射が最
も好ましいが、これ以外にも、機械的な撹拌なども有効
である。
【0055】次に、インク塗布工程としては、インク担
持体をインク槽にある流動状態のインクに接触させた
後、引き出して層形成してもよいし、引き上げる際に金
属、ゴムなどのロールあるいはブレードなどの層形成部
材により所望のインク層を形成してもよい。
【0056】インク潜像形成工程としては、少なくと
も、インク担持体上の流動性インク層に、画像情報に応
じた光照射を行い得るものであればよく、例えば、全面
露光光源から発する光を画像情報に応じたマスクを通し
て流動性インク層に照射することで背景部を高粘度化す
る方法などが挙げられるが、連続して繰り返し画像形成
を行う場合は、画像情報に応じたビームを照射する半導
体レーザ光源などのラスタ走査系や、ラインヘッド型光
照射デバイスなどを用いることが好ましい。
【0057】更に、転写工程としては、インク潜像形成
工程で形成された流動性インク潜像を担持しているイン
ク層に、被記録体を密着させる工程と、被記録体背面か
らローラなどにより加圧する工程からなり、これらは、
インク層担持体に対向して配設された転写ローラの間に
被記録体を通過させること等により同時に達成される。
なお、転写までの工程は、少なくともインク潜像形成に
使用するエネルギー付与手段と同一のエネルギーを遮断
した環境で行うことが、画像ノイズの発生を防止する観
点から好ましい。
【0058】また、このような画像形成方法を具現化す
るのに好適な画像形成装置としては、例えば図3に示す
ように、インク16の保持と供給を行うためのインク槽
18と、該インク槽18内にインクを流動状態にするた
めのインク流動化手段20と、該インクを層状に担持す
るためのインク層担持体22と、該インク層担持体22
の表面に流動性インク層24を形成するためのインク層
形成部材26と、インク層担持体22表面に形成された
流動性インク層24に画像情報に応じてエネルギーを照
射するインク潜像形成手段28と、流動性インク層24
に形成されたインク潜像30を被記録体32に転写する
転写装置34を備えたものが挙げられる。
【0059】なお、インク流動化手段20としては、紫
外線ランプをインク槽18の底面あるいは側面に配設し
た構成のものが好ましい。また、インク槽18の内部に
パドル、ローラなどの各種機械的撹拌部材を配設しても
良い。そしてこれらの手段を併せて配設するとより効果
的である。
【0060】インク担持体22は、ドラム状あるいはベ
ルト状など、連続的なインク層形成および搬送が可能な
形状であることが好ましい。
【0061】前記装置を用いた本発明の画像形成方法の
作用について、図3に示される装置を例に挙げて説明す
る。図3において、インク流動化手段20により流動状
態になっているインク16は、インク担持体22上に保
持されて搬送中に、インク層形成部材26により流動性
インク層24を形成される。
【0062】次に、インク潜像形成手段28から可視光
などのエネルギーを画像情報に応じて照射し、インク層
24を画像状に流動状態を保ち、非画像部を高粘度化さ
せて被記録体に対して非付着性を有するインク潜像30
を形成する。この時、光照射を用いることは、熱と異な
り画像のぼけなどを生ずることなくシャープな画像を形
成するための有効な方法である。
【0063】その後、インク潜像30が形成されたイン
ク層表面に、被記録体32を密着させることで、流動状
態の画像状のインクのみを被記録体32表面に転写する
ことで、所望の画像が得られる。この時、密着した被記
録体32の背面からローラなどの転写部材34を用いて
加圧することでより一層鮮明な画像が得られる。
【0064】その後、被記録体32に転写されなかった
インク担持体22上の高粘度化したインク16Aは、イ
ンク槽18内で再度流動化され、繰り返し画像形成に使
用される。
【0065】以上説明したとおり、本発明の刺激応答性
粒子を含有する刺激応答性インクおよび前記画像形成方
法は、画像劣化のない高品位な画像を、連続的に簡易な
構成の装置で形成することができる。
【0066】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるもので
はない。1.刺激応答性粒子の作製 (実施例1)下記式(1)で表されるトリアリールメタ
ン系モノマー(1重量部)、スチレン(8重量部)、ジ
ビニルベンゼン(1重量部)、カーボンブラック(0.
2重量部)を混合して、これを水溶媒中、分散剤として
ポリビニルアルコール(PVA:和光純薬社製)及び界
面活性剤(ソルビトール系)を加えて、開始剤としてア
ゾイソブチロニトリル(AIBN:和光純薬社製)を用
いて、80℃の温度に保持して8時間、高速撹拌懸濁重
合することによって、平均粒子径約4μmの刺激応答性
ポリマー粒子を得た。
【0067】
【化5】
【0068】(実施例2)前記式(1)で表されるトリ
アリールメタン系モノマー(3重量部)、メタクリル酸
メチル(7重量部)を混合して、トルエン溶媒中、AI
BNを開始剤として60℃の温度で48時間、溶液重合
し、平均分子量約1万のポリマーを得た。
【0069】ピグメントレッド149(ペリレン系赤色
顔料:平均粒子径約0.5μm)(1重量部)をテトラ
ヒドロフラン(4重量部)に分散し、先に合成したポリ
マー(0.2重量部)を添加、溶解し、これを100℃
の熱気流中に噴霧し、顔料粒子表面にポリマーを被覆し
た刺激応答性粒子を得た。電子顕微鏡観察によって、顔
料粒子表面が平均膜厚約0.1μmのポリマーで被覆さ
れていることが確認された。 (実施例3)前記式(1)で表されるトリアリールメタ
ン系モノマー(2重量部)、メタクリル酸メチル(8重
量部)を混合して、これをレドックス系乳化重合によっ
て重合して平均粒子径約0.2μmのポリマー粒子を得
た。
【0070】ピグメントブルー16(フタロシアニン系
青色顔料:平均粒子径約1.0μm)(1重量部)をア
イソパー(イソパラフィン系炭化水素溶剤、エクソン
ケミカル社製)(4重量部)に分散し、さらに先に合成
したポリマー粒子(0.1重量部)を分散させ、これを
加熱することで、顔料粒子表面にポリマー粒子を付着、
被覆させた。アイソパーを除去して刺激応答性粒子を得
た。電子顕微鏡観察によって顔料粒子表面にポリマー粒
子が付着あるいは被覆されていることが確認された。 (実施例4)ピグメントレッド150(アゾ系赤色顔
料:平均粒子径約1.0μm)(1重量部)をクロロホ
ルム(10重量部)に分散し、下記式(2)で表される
トリアリールメタ系シランカップリング剤(0.2重量
部)を添加し、常温下、反応系を酸性にして1時間反応
させ、顔料粒子表面のヒドロキシ基などの反応性基へト
リアリールメタ系化合物を結合させて、刺激応答性粒子
を得た。粒子の水に対する接触角の変化から、トリアリ
ールメタ系化合物が結合したことが確認された。
【0071】
【化6】
【0072】2.刺激応答性インクの作製 (実施例5)実施例2で得た刺激応答性粒子(1重量
部)をアイソパー(2重量部)に分散させた刺激応答性
インクを調製した。この組成物は静置するとゲル状態に
なって流動性が低下し、撹拌するとゾル状態になり流動
性が向上する性状をもっていた。また、ゲル状態となっ
たこの刺激応答性インクに紫外線(メタルハライドラン
プ1KW)を照射すると、照射時間が増すにつれて流動
性が現れ、ゾル状態に変化した。さらに可視光を照射す
るとゲル状態に変化するという可逆的な光応答機能を持
っていることが明らかになった。
【0073】(比較例1)実施例2において核となる粒
子として使用したピグメントレッド149(ペリレン系
赤色顔料:平均粒子径約0.5μm)(1重量部)をア
イソパー(2重量部)に分散させた顔料組成物を調製し
た。この組成物はゾル状態を示したが、静置しても状態
変化は起こらず、ゲル状態になることはなかった。ま
た、光及び紫外線を照射しても状態変化(物性の態様の
変化)は起こらなかった。 (実施例6)前記式(1)で表されるトリアリールメタ
ン系モノマー(3重量部)、メタクリル酸メチル(7重
量部)を混合して、これをトルエンを溶媒、AIBNを
開始剤として溶液重合し、平均分子量約1万のポリマー
を得た。次に、ピグメントレッド149(ペリレン系赤
色顔料:平均粒子径約0.5μm)(1重量部)テトラ
ヒドロフラン(4重量部)に分散し、先に合成したポリ
マー(0.2重量部)を溶解し、これを熱気流中に噴霧
し、顔料粒子表面にポリマーを被覆した刺激応答性粒子
を得た。
【0074】その後、得られた刺激応答性粒子(1重量
部)をアイソパー(2重量部)に分散させて、刺激応答
性インクを得た。3.画像の形成 (実施例7)実施例2の刺激応答性粒子を分散させた実
施例5で得られた刺激応答性インクをゾル状態において
アルミ板の上に厚み約5μmで一定面積塗布した。これ
を静置することでゲル状態とした。この上に、像をマス
キングしたフィルムを介して、紫外線(メタルハライド
ランプ1KW)を1〜5秒間照射した。照射後、直ちに
紙を組成物層上に圧着すると、いずれの照射時間のもの
でも紫外線照射部分が紙に転写され、鮮明な像を記録す
ることができた。
【0075】以上のようにして光に応答する刺激応答性
粒子を含有する本発明の刺激応答性インクを用いて、新
規な画像記録を行なえることが明らかになった。4.画像形成装置を用いた画像の形成 (実施例8)以下、本発明の実施例8を図面を参照して
説明する。
【0076】実施例5で得られた刺激応答性インク(光
応答性インク)16を図3に示すような画像形成装置に
適用し、インク流動化手段である紫外線ランプ20によ
り流動化した後、インク担持体であるポリカーボネート
製グラビアロール22上にテフロン製ロール26を用い
て流動性インク層24を形成した。その後、エネルギー
付与手段として半導体レーザ28を用いて画像情報に応
じた光照射を行い、該流動性インク層24の背景部を硬
化させ、インク潜像30を得た。次に、被記録体である
普通紙32に画像部を接触転写してインク画像を得た。
この時、普通紙の背面から転写ロールとしてウレタンゴ
ムロールを用い加圧することでインクの転写を補助し
た。
【0077】以上のようにして得られた画像は、かすれ
やぼけなどの無い高品位な画像であった。
【0078】次に、連続して異なる画像情報に応じた光
照射を行い、図示していない紙供給部材から連続して供
給される普通紙上に、先程と同様の方法でインク画像を
形成した。その結果、かすれやぼけなどの無い高品位な
画像が連続して得られた。 (実施例9)以下、本発明の実施例9を図面を参照して
説明する。
【0079】実施例6で得られた刺激応答性インク16
を、図4に示すような画像形成装置に適用し、インク流
動化手段である紫外線ランプ20により流動化した後、
インク担持体であるアルマイトドラム22上にステンレ
スブレード23を用いて流動性インク層24を形成し
た。その後、エネルギー付与手段として半導体レーザ2
8を用いて画像情報に応じた光照射を行い、該流動性イ
ンク層24の背景部を硬化させ、インク潜像30を得
た。次に、普通紙32に画像部を接触転写してインク画
像を得た。この時、普通紙の背面から転写ロールとして
シリコンゴムロールを用い加圧することでインクの転写
を補助した。
【0080】以上のようにして得られた画像は、かすれ
やぼけなどの無い高品位な画像であった。 (実施例10)以下、本発明の実施例10を図面を参照
して説明する。
【0081】実施例5で得られた刺激応答性インク16
を、図5に示すような画像形成装置に適用し、インク流
動化手段である撹拌パドル21により流動化した後、イ
ンク担持体であるステンレス製グラビアロール22上に
ガラスロール26を用いて流動性インク層24を形成し
た。その後、エネルギー付与手段として半導体レーザ2
8を用いて画像情報に応じた光照射を行い、該流動性イ
ンク層24の背景部を高粘度化させ、インク潜像30を
得た。次に、普通紙32に画像部を接触転写してインク
画像を得た。この時、普通紙の背面から転写ロールとし
てスチレンゴムロール34を用い加圧することでインク
の転写を補助した。
【0082】以上のようにして得られた画像は、かすれ
やぼけなどの無い高品位な画像であった。
【0083】
【発明の効果】本発明の刺激応答性粒子は、光や熱等の
エネルギー付与に対して、高い刺激応答性を持ち、且
つ、新規な自律的な応答機能及び、さらに可逆的な応答
機能を有する。また、その粒子を含有した本発明の刺激
応答性インクを用いることによって、記録剤自身に高感
度な自律的な応答機能を持つ、新規な、かつ優れた画像
形成方法を得ることができた。また、本発明の画像形成
装置によれば、画像劣化のない高品位な画像記録が、連
続的に簡易な構成の装置で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の刺激応答性粒子の構
成例を示すモデル断面図である。
【図2】本発明の刺激応答性粒子の刺激応答特性を示す
模式図である。
【図3】実施例8で画像形成に用いられた画像形成装置
の構成を示す模式図である。
【図4】実施例9で画像形成に用いられた画像形成装置
の構成を示す模式図である。
【図5】実施例10で画像形成に用いられた画像形成装
置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10・・・刺激応答性粒子 12・・・刺激応答性材料 14・・・基体粒子(核となる粒子) 16・・・インク 16A・・高粘度化したインク 18・・・インク槽 20・・・インク流動化手段(紫外線ランプ) 21・・・撹拌パドル(インク流動化手段) 22・・・インク層担持体 24・・・流動性インク層 26・・・インク層形成ローラ(インク層形成部材) 27・・・インク層形成ブレード(インク層形成部材) 28・・・インク潜像形成手段 30・・・インク潜像 32・・・被記録体 34・・・転写装置

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子表面に、エネルギー付与によってイ
    オン結合性あるいは水素結合性が変化する化合物を有す
    ることを特徴とする刺激応答性粒子。
  2. 【請求項2】 前記粒子が色材を含有することを特徴と
    する請求項1に記載の刺激応答性粒子。
  3. 【請求項3】 前記粒子が、エネルギー付与によってイ
    オン解裂型の構造変化を起こすことを特徴とする請求項
    1に記載の刺激応答性粒子。
  4. 【請求項4】 前記エネルギーが光であることを特徴と
    する請求項1に記載の刺激応答性粒子。
  5. 【請求項5】 前記粒子のイオン結合性あるいは水素結
    合性の変化が可逆的であることを特徴とする請求項1に
    記載の刺激応答性粒子。
  6. 【請求項6】 粒子表面に、エネルギー付与によってイ
    オン結合性あるいは水素結合性が変化する化合物を有す
    る刺激応答性粒子と、該刺激応答性粒子を分散する分散
    媒とを含有することを特徴とする刺激応答性インク。
  7. 【請求項7】 前記分散媒が非極性溶剤であることを特
    徴とする請求項6に記載の刺激応答性インク。
  8. 【請求項8】 粒子表面に、エネルギー付与によってイ
    オン結合性あるいは水素結合性が変化する化合物を有す
    る刺激応答性粒子と、該刺激応答性粒子を分散する分散
    媒とを含有することを特徴とする刺激応答性インクにエ
    ネルギーを付与し、該刺激応答性インクに分散された粒
    子同士の相互作用に変化を生じせしめ、これを利用して
    画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記刺激応答性粒子と前記分散媒とを含
    有する刺激応答性インクにエネルギーを付与し、粒子同
    士の相互作用に変化を生じせしめることにより粒子の被
    記録体への転写特性を制御して画像を形成することを特
    徴とする画像形成方法。
  10. 【請求項10】 前記刺激応答性インクが、エネルギー
    付与によって流動状態から高粘度化する刺激応答性イン
    クであり、該刺激応答性インクに画像情報に応じたエネ
    ルギーを付与することで非画像部を高粘度化して非付着
    性とした後、被記録体に接触させて所望のインク画像を
    形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像
    形成方法。
  11. 【請求項11】 前記エネルギーが光であることを特徴
    とする請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成方
    法。
  12. 【請求項12】 前記刺激応答性粒子のイオン結合性あ
    るいは水素結合性の変化が可逆的であることを特徴とす
    る請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 【請求項13】 エネルギー付与によって粒子同士の相
    互作用に変化を生じせしめることにより転写特性が変化
    する刺激応答性インクを用いて記録を行う画像形成装置
    であって、 (1)刺激応答性インク担持体と、(2)該インク担持
    体上にインク層を形成するインク層形成部材と、(3)
    インク層上に画像情報に応じたエネルギーを付与するエ
    ネルギー付与手段と、(4)エネルギー付与により形成
    されたインク画像を被記録体に転写する転写手段と、
    (5)インクを流動状態に維持するインク流動化手段と
    を、 備えたことを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記エネルギー付与手段から付与され
    るエネルギーが紫外線であることを特徴とする請求項1
    3に記載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 前記エネルギー付与手段が、機械的撹
    拌手段であることを特徴とする請求項13に記載の画像
    形成装置。
  16. 【請求項16】 前記刺激応答性インクの転写特性の変
    化が可逆的であり、刺激応答性インクが再利用可能であ
    ることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
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