JPH10307145A - タイヤ回転検知装置 - Google Patents

タイヤ回転検知装置

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JPH10307145A
JPH10307145A JP9115405A JP11540597A JPH10307145A JP H10307145 A JPH10307145 A JP H10307145A JP 9115405 A JP9115405 A JP 9115405A JP 11540597 A JP11540597 A JP 11540597A JP H10307145 A JPH10307145 A JP H10307145A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤの回転の磁気的な検知を高感度で良好
に行えるタイヤ回転検知装置を提供する。 【解決手段】 磁気センサー100の回路基板116上
で所定間隔で並ぶように配置された一対の磁気検出素子
112A,112Bにより、タイヤのスチールベルトの
残留磁化による磁界を外部より差動検出し、この検出結
果に基づいてタイヤの回転を検知する。素子112A,
112Bの近傍に、タイヤからの磁束を導くパーマロ
イ,アモルファス磁性体,またはフェライト等の高透磁
率の磁性体からなる平板状のリード板114が配置され
ている。素子112A,112Bの磁界検出方向は同一
とされる。リード板114は、素子112A,112B
どうしを結ぶ線と平行であり、且つ素子112A,11
2Bの磁界検出方向に対し垂直になるように配置され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両の
速度または移動距離等を計測するために、タイヤの回転
を検知するタイヤ回転検知装置に関し、特にタイヤの回
転検知を磁気的に行なうタイヤ回転検知装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】車両の現在位置確認や道路案内等に使用
されるカーナビゲーション装置(以下カーナビと略す)
は、1990年頃に登場し、かなり普及してきた。
【0003】カーナビは、GPS航法により人工衛星か
らの電波により絶対位置を検出する機能を有している
が、最近ではジャイロセンサーによる角度変位と車両本
体からの車速データより車両の移動状況を示す自立航法
が組み込まれたハイブリッド方式が増え、主流となって
きた。このハイブリッド方式により、マップマッチング
の精度を向上させることができる。
【0004】しかし、自立航法の機能を得る上で車速の
データを車両本体よりもらう必要があり、このために車
両本体の配線図を持った専門ディーラーに装置の接続を
行ってもらう必要があった。この接続作業は一般ユーザ
ーが行うことが安全上困難であり、費用が高いことや接
続が専門ディーラーでないと行えないことが、今後さら
にカーナビが普及するための障害となりつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで車速または移動
距離の計測のためにタイヤの回転を検知し、且つ簡単に
取り付けられるセンサーを供給できれば上記の問題が解
決できるが、理想的な方法としてはタイヤの回転の検知
が非接触でできれば最適である。
【0006】そこで本発明者が着目したのが、最近のタ
イヤはスチールラジアルタイヤが主流になり、このタイ
ヤではスチールベルトを外周の内側に内包している点で
ある。そのスチールベルト自身は弱いながらも残留磁化
を持ち、タイヤの外部に磁界を放出していることを予測
した。実際その磁界をタイヤを1回転させて計測する
と、図10に示すような磁界分布が現れた。計測はタイ
ヤから15cm程度離れた所で外周に沿って行ったもの
であるが、タイヤの1回転に対応して明確なピークが存
在することが判り、タイヤ回転の磁気的検知の可能性が
判った。
【0007】しかし、このタイヤからの磁界はピークツ
ーピーク値で0.38ガウスであり、地磁気(0.5ガ
ウス程度)よりも小さく、タイヤの種類やセンサーの設
置場所によっては0.1ガウスを下回るケースが予測さ
れる。したがって、このようなタイヤからの微弱な磁界
を高感度に検出できるようにする必要がある。
【0008】また、実際の車両の走行におけるタイヤ回
転検知では、橋梁やトンネル等の鉄筋,鉄骨の残留磁化
から発生する磁界が外乱となる。したがって、この外乱
となる磁界の影響を排除する必要がある。
【0009】本発明の課題は、このような条件を満足
し、スチールベルトを内包したタイヤを対象としてタイ
ヤの回転の磁気的な検知を良好に行なえるタイヤ回転検
知装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明によれば、所定間隔で並ぶように配置された
一対の磁気検出素子により、タイヤのスチールベルトの
残留磁化による磁界を外部より差動検出し、該検出結果
に基づいて前記タイヤの回転を検知するタイヤ回転検知
装置において、前記一対の磁気検出素子の近傍に、前記
タイヤからの磁束を導く磁性体部材を配置した。好まし
くは、前記一対の磁気検出素子の磁界検出方向は同一と
される。また、前記磁性体部材は、例えばパーマロイ、
アモルファス磁性体、またはフェライトから平板状に形
成され、前記一対の磁気検出素子どうしを結ぶ線と平行
であり、且つ該磁気検出素子の磁界検出方向に対し垂直
になるように配置される。
【0011】このような構成によれば、差動検出により
外乱となる磁界の影響を排除できる。また、磁性体部材
によりタイヤからの磁束が導かれることにより、磁気検
出素子の位置における検出磁界が大きくなるとともに、
一対の磁気検出素子のそれぞれの検出磁界に位相差が生
じ、磁界の差分が大きくなる。従って、高感度で差動検
出を行え、差動出力のS/Nが著しく改善される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する前
に本発明の前提となる構成の実施形態を説明する。
【0013】[前提となる基本の実施形態]まず、本発
明の前提となる構成の基本の実施形態としてタイヤ回転
検知方法及び装置、並びにタイヤ回転数検知方法の実施
形態を図1〜図9により説明する。
【0014】まず、回転検知に用いられる磁気センサー
の構成及び設置について説明する。
【0015】この実施形態では、図1(a)に示す車両
10において、先ずタイヤ12には外周部内側にスチー
ルベルトを内包したスチールラジアルタイヤを使用し、
磁気センサー14は、車両10のトランクルームまたは
キャビン内で後部タイヤ12の裏側近傍に設置する。磁
気センサー14は後部タイヤ12の左右どちらの裏側に
設置してもよい。前輪タイヤ側でもセンサーの設置は一
応可能であるが、その場合はハンドル操作によるタイヤ
の角度変化で、タイヤとセンサーとの距離が一定となら
ず、センサーの出力波形が変動してしまうので適さな
い。
【0016】設置位置の詳細について、図1(a)の矢
印に沿って見た拡大斜視図の図1(b)で説明する。こ
こに示すように、センサー14はタイヤ12の裏側近傍
に当たるトランク側壁またはトランク底面で、タイヤ1
2の外周から15cm前後の位置に設置する。図1では
普通乗用車の例を示しているが、他の軽自動車,バン,
RV(レクレーショナルビークル)車でも後部タイヤ裏
側でキャビン内またはトランク内に設置スペースは存在
する。
【0017】カーナビ本体ヘの接続は、ケーブル16で
行うが、車体の外側にセンサーを設ける場合と異なり、
キャビンを経由しカーナビ本体ヘの引き回しは容易であ
る。
【0018】次に磁気センサー14の構成に関して説明
する。磁気センサー14は1対の磁気検出素子18A,
18Bを備えている。この磁気検出素子18A,18B
には、特開平7−181239号に開示されている磁気
インピーダンス効果を利用した磁気インピーダンス素子
(以下、MI素子と略す)が適している。磁気インピー
ダンス効果とは、アモルファスワイヤーもしくは磁性薄
膜にMHz帯の高周波電流を印加すると、外部磁界によ
り磁性体両端のインピーダンスが数10%変化する現象
であり、MI素子は数ミリガウス以上の実用感度を持っ
ている。
【0019】MI素子が優れている点は、感度がフラッ
クスゲートセンサーと同等以上であり、且つ数mm程度
の長さからセンサーの小型化が容易であること。さら
に、帯磁に対して強く、外部磁界が激しく変化する状況
で安定動作が可能である点が挙げられ、本センサーに適
している。
【0020】本センサーでは外部磁界の影響を少なく
し、できるだけタイヤからの磁界のみを検出するため
に、2個のMI素子18A,18Bを差動動作させる。
その動作を有効にするため2個の素子18A,18B
は、磁気検出方向が平行または同一軸になるように配置
する。磁界検出方向の設定に関しては、図1(b)では
磁界検出方向を矢印で示すようにトランク底面に対し垂
直な方向としているが、その他の方向でも特に優位差は
なく、どの方向を選択しても良い。
【0021】次に、MI素子18A,18Bによりタイ
ヤからの磁界を検出する磁気センサー14の磁気検出回
路は図2に示すような構成とする。この磁気検出回路で
は、高周波発振回路20よりバッファー22A,22B
を介してMI素子18A,18Bにそれぞれ高周波電流
が印加され、MI素子18A,18Bが駆動される。M
I素子18A,18Bの他端側は接地されている。外部
磁界の変化はMI素子18A,18Bのインピーダンス
をそれぞれ変化させ、MI素子18A,18Bの両端の
電圧がそれぞれ変化するが、その信号がそれぞれ2つの
検波回路24A,24Bにより検波されてそれぞれMI
素子18A,18Bの磁気検出信号として取り出され、
さらに差動増幅回路26に入力されて差動増幅される。
なお、MI素子18A,18Bには、感度を得るためD
Cバイアス磁界Hbを固定磁石かコイルにより1〜2ガ
ウス程度かけておく。
【0022】図1(b)に示すMI素子18A,18B
どうしの間隔dは、狭すぎると出力が低下するため、適
当な寸法を選択する必要があるので、間隔dを変えてタ
イヤ回転による磁界検出出力を測定してみた。その結
果、図3に示すとおり、ピークツーピーク値の出力で見
て、d=2cm未満では出力が急に落ち込むが、d=2
cm以上では実用的な出力が得られる。
【0023】また、高周波電流をMI素子18A,18
Bに印加するために、MI素子を磁気検出回路に接続す
る引出し線の引き回しが長くなると浮遊容量等不要なイ
ンピーダンスが増加し、図4の通り、引出し線の長さに
従ってインピーダンス変化効率が低下するので、80%
程度までの低下を許容すれば片側10cmが目安とな
り、素子の間隔dは20cm以下に抑えたい。したがっ
て間隔dは2cm以上20cm以下とするのが好まし
い。
【0024】次に、ここまで説明したセンサーの構成、
設置で、実際にタイヤを回転させた時のセンサーの差動
出力の計測結果について説明する。
【0025】計測のために、MI素子18A,18Bに
はFe−Ta−C系の磁性薄膜(膜厚2μm)でガラス
基板上にパターン化した素子を2個用い、素子の間隔d
を3cmに設定した磁気センサーを製作した。磁気検出
回路は図2で説明した回路を使用し、センサーに内蔵し
た。そして、図5の様にトランクルームの後部タイヤ1
2の裏側近傍の(a)〜(f)の6点に磁気センサー1
4を設置してその差動出力を計測した。測定条件は、M
I素子18A,18BにDCバイアス磁界1ガウスをか
け、20MHzの高周波電流を印加し、差動増幅回路2
6のゲインを100倍とした。その結果を図6に示す。
【0026】先ず、ポイント(a)の波形を説明すると
矢印の範囲が1回転に相当し、その中に正負極それぞれ
ピークが4つ存在していることが分かり、そのうち正極
ピーク2個が大きなピークとなっている。S/Nは良好
である。
【0027】ポイント(b)では磁界検出方向が(a)
と90゜異なり、バイアス磁界の極性の関係で上下極性
は反転しているものの波形は相似である。
【0028】ポイント(c),(d),(f)はタイヤ
の外周に距離が近いためポイント(a)より倍以上出力
が出ている。
【0029】逆にポイント(e)は距離が離れているた
め出力が(a)の半分程度になっている。
【0030】出力の低いものをアンプゲインでカバーす
ることはできるが、出力が低いのはもともとタイヤから
の磁界が小さいためであり、外部からの外乱磁界との差
が取れないために、波形の変動が大きくなってしまう。
【0031】したがって、センサーの設置場所にはでき
るだけスチールベルトの埋め込まれているタイヤの外周
部に近い場所を選択し、出力を確保すべきである。
【0032】ここまで説明した内容により、タイヤから
の磁界を高感度に検出できるセンサー構成と適した設置
場所について明らかにした。次にタイヤの回転数を検知
する方法について説明する。
【0033】図6で示したのは、外乱磁界の無い安定し
た状況でのタイヤからの磁界の計測結果であるが、この
状況では、ゼロクロスまたはあるしきい値のクロスの数
を数え、1回転当たりのパルス数から回転数を求めるこ
とは容易である。
【0034】しかし、実際の車両走行では、橋梁,トン
ネル等の鉄骨,鉄筋の残留磁化の影響,車両の振動によ
るタイヤとセンサーとの位置変動,対向車両の残留磁化
の影響等により、出力波形にうねり状のレベル変動が発
生する。この変動を受けたセンサーの出力波形の中から
いかに回転数を求めるかが容易ではない。
【0035】その一例として図7に、ある橋梁上で約5
0km/hの車両走行におけるタイヤの回転による磁界
変化を計測した連続データを示す。このデータでは、タ
イヤ1回転に対しC点に示されるような一つの大きなピ
ークを持つ波形となっており、このピークを確実に捉え
ることができれば、正確に回転数を検知し、速度や移動
距離を求めることができる。
【0036】しかし、波形全体を見るとうねりを生じて
いることが判り、このうねりをどう扱うかが難しい。こ
のうねりは橋梁に存在する鉄筋または鉄骨の影響であ
り、その残留磁化による磁気外乱により、出力波形上に
うねりを生じている。センサーの構成を差動動作とし、
外乱の影響を低減しているものの、外乱の影響をゼロに
することはできない。
【0037】このうねりはタイヤ回転の出力波形の周波
数成分に比べて低い周波数成分なので、ハイパスフィル
ターによりうねりを除去し、ゼロクロスまたはあるしき
い値でのクロスをカウントする検討も行ったが、車両の
速度が人間の歩くスピード以下になったり、高速性能で
は200km/h程度の動作まで性能的に要求されるこ
とを考えると、帯域的にはほとんどDCから200Hz
程度は考慮する必要があり、複数のフィルターを用意し
なくてはならなかったり、低速時のフィルター通過後の
出力低下によるS/N低下等の問題が生ずる。
【0038】そこで、出力波形をマイコンにより逐次数
値化し、データの変化(増加または減少)が反転してい
るかどうかで、出力波形のピーク検出を行い、そのピー
クと直前のピークとの電位差がある所定のしきい値を超
えているかどうかで、そのピークがタイヤの回転の検知
に相応しい有効なピークか判定し、その有効ピークをカ
ウントすることによりタイヤの回転数を求め、さらにタ
イヤの径と円周率より車両の移動距離または速度を求め
る方法を採用した。
【0039】この方法によれば、出力波形の中の相対的
に低い周波数である外乱の影響はほとんど排除でき、ま
た速度に依存しないタイヤ回転の検知が可能となる。
【0040】次に、この方法によりタイヤの回転の検知
を行なうタイヤの回転検知装置の構成を図8に示す。こ
こに示す構成においてMI素子18A,18B〜差動増
幅回路26の構成、すなわち図2の磁気検出回路の構成
を磁気センサー14としても良いし、図8の装置全体の
構成を磁気センサー14としてよい。
【0041】図8の構成では、前述のように高周波発振
回路20の出力の高周波電流をMI素子18A,18B
に印加し、MI素子18A,18Bの両端電圧の変化の
信号を検波回路24A,24Bに通して高周波成分を除
去して磁気検出信号として取り出し、これを差動増幅回
路26に入力して差動増幅した後、その差動出力をAD
変換器28によりAD変換し、そのデジタル信号をマイ
クロコンピュータ(以下、マイコンと略す)30に入力
し、マイコン30で前記デジタル信号から上述したピー
ク検出と有効ピークの判定を行う。
【0042】ここで上記AD変換以後の処理の詳細を図
9のフローチャート及び図7の差動出力の信号波形図を
参照して説明する。
【0043】図9のフローチャートに示した処理では、
まずステップS1でセンサーの差動出力電圧がAD変換
器28によりAD変換され、マイコン30内に取り込ま
れる。
【0044】次に、ステップS2ではステップS1で取
り込まれたデータがピークかどうか判定される。その判
別は、今回取り込んだデータの前回取り込んだデータに
対する変化が、前回取り込んだデータの前々回取り込ん
だデータに対する変化に対して、正(増加)から負(減
少)、または負から正に反転しているかどうかで行われ
る。そしてピークでないと判定した場合はステップS1
に戻り、ピークであると判定した場合はステップS3に
移行する。
【0045】例えば、図7の差動出力波形の点Bの場合
は変化が負(減少)のままであってピークではないと判
定され、ステップS1に戻って次のデータがAD変換さ
れる。その後、点Cのデータを数値化した時点で、負か
ら正ヘの変化の反転が認識され、点Cのデータがピーク
として判定され、ステップS3に移行する。
【0046】ステップS3では、ピークと判定した例え
ば点Cのデータをマイコン30内のRAM等にピーク値
Spとして記憶する。
【0047】次に、ステップS4では、今回のピーク値
Spと前回のピーク値Sp-1との差の絶対値が所定のしき
い値Lを超えているかどうかで、ピーク値Spのデータ
がタイヤ回転検知に有効な有効ピークか否か判定され
る。ピーク値SpとSp-1との関係は、例えば図7では、
Spが点Cの場合でSp-1が点A、Spが点Dの場合で点
CがSp-1である。
【0048】しきい値Lを設定する意図は、ごく小さな
ピークはS/Nが低く外乱に対して弱いため扱わず、あ
る程度大きいピークだけを対象にすることで信頼性を確
保しようとするものである。当然のことながら、しきい
値Lを小さく設定すれば細かくピークが拾え、逆に大き
く設定すれば大きいピークだけを対象にでき、タイヤの
スチールベルトの着磁状態やセンサーの設置位置によっ
て変わる出力波形にそれぞれ対応させることができる。
しきい値Lは、予め測定された最大ピーク間電位差を基
準で見て出力波形自身のばらつきが10%程度あるの
で、前記最大ピーク間電位差の10%〜90%の範囲で
設定するのが良い。
【0049】図7の例では、波形全体を見ると最大ピー
ク間電位差は約0.5V程度あり、しきい値Lを60%
の0.3Vに設定して有効ピークを判定すると、ピーク
Cの場合は直前のピークAとの差は約0.55Vであ
り、しきい値Lの0.3Vを超えるため、有効ピークと
して判定される。しかし、ピークEの場合は、直前のピ
ークDとの差は約0.02V程度であり、しきい値Lを
越えないため無視される。したがって、図の矢印の範囲
で示すタイヤ1回転に相当する範囲では、C,Dの2つ
のピークが有効ピークとして判定される。
【0050】再び図9において、ステップS4で有効ピ
ークとして判定されると、ステップS5でマイコン30
の出力ピンより幅の狭いパルス信号が出力される。これ
は有効ピークの認識をカーナビ本体に伝達することを目
的としており、その他の出力形態として、有効ピークと
判定した毎に反転するパルス信号としてもよい。
【0051】ステップS5の次はステップS6に移行す
る。また、ステップS4の判定で有効ピークでないと判
定された場合もステップS6に移行する。ステップS6
では、今回のピーク値Spを前回のピーク値Sp-1として
ピーク値Sp-1を更新してRAMに記憶し、その後ステ
ップS1のAD変換に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0052】上述した処理におけるピーク検出および有
効ピーク判定には、時間のパラメータが含まれないた
め、タイヤの回転速度に依存しないタイヤ回転検知が行
える。したがって、車両の速度が極低速から高速の走行
でも一定の検知性能を保てる。
【0053】なお、上記の処理において、ステップS5
で出力するパルスのパルス数、すなわち有効ピークの検
出数をカウントし、その数からタイヤの回転数を求める
処理を行なうようにしても良く、さらに求めた回転数に
タイヤの直径と円周率をかけて車両の移動距離を求める
処理を行なうようにしてもよい。ただし、この場合、本
装置ではタイヤの1回転に1パルスが対応して出力され
る訳ではないため、予め1回転に何パルス対応している
か調べておく必要がある。その他、1回転に対するパル
ス数は整数倍であるので、カーナビのGPSの測距デー
タとの比較で、整数分の1の補正を行う方法も有効であ
る。
【0054】以上説明した実施形態によれば、磁気セン
サー14はMI素子を用いて極めて高感度であり、しか
もフラックスゲートセンサーに見られるような帯磁によ
る状態変化が無い。また、磁気センサー14は車両のキ
ャビン内またはトランクルーム内で後部タイヤ近傍に設
置することにより、設置が容易で、タイヤからの磁界の
検出を良好に行なえる。また、上述した差動検出を行な
うことと、マイコン30のピーク検出、有効ピークの判
定処理により、外乱の磁界の影響を排除し、タイヤの回
転ないし回転数の検知を正確に行なえる。
【0055】なお、本実施形態では、磁気検出素子とし
てMI素子を用いるものとしたが、感度が良ければ他の
磁気検出素子を用いてもよいことは勿論である。
【0056】最後に、本実施形態の回転検知装置を搭載
した2000ccの普通乗用車で市街地10kmの距離
を走行し、移動距離を測定した結果について説明する。
【0057】テスト走行では、市街地走行のため、停
止、発進を繰り返し、速度はかなり変化している。な
お、テスト車両のタイヤの径は60cmであり、1回転
で1.88m移動する。測定結果は、上述した図8の構
成で得られる出力のパルスのカウント数で21982を
数え、1回転で2パルス出ていることから、移動距離は
9.782kmと計測された。計測誤差は2.2%と良
好であり、車両の速度が可変し、外乱磁界の多い市街地
でも、カーナビの自立航法に必要な精度を持っているこ
とが証明された。
【0058】[前提となるタイヤの着磁方法及びタイヤ
の磁界検出方法の実施形態]上述した基本の実施形態で
は、回転ないし回転数を検知する対象のタイヤは、その
スチールベルトが自然に着磁された状態、すなわち着磁
を人為的にコントロールしていない状態であることを前
提としていた。
【0059】この場合、図10で前述したように、タイ
ヤの回転に伴なう磁界変化のパターンでタイヤの1回転
に対応して複数のピークが存在している。
【0060】しかし、上記の磁界パターンでタイヤの1
回転中に複数のピークが存在すると、上述した基本の実
施形態でタイヤ回転数を求める場合におけるように、ピ
ークをカウントしてタイヤの回転数を求める際に整数分
の1の補正を行う必要があり、またタイヤ個々にピーク
の数が異なるため補正値をタイヤ毎に設定する必要があ
る。
【0061】そこで、タイヤの着磁をコントロールして
1回転に1個のパルスに対応した信号が得られれば、タ
イヤの回転の磁気的検知が容易になる。そこで、本発明
の前提として、この点を考慮したタイヤの磁気的な回転
検知に適したタイヤの着磁方法の実施形態と、その着磁
方法で着磁されたタイヤの磁界検出方法で安定した出力
波形が得られる磁界検出方法の実施形態を図11〜図1
9により以下に説明する。
【0062】タイヤの着磁方法の実施形態まずタイヤの
着磁方法の実施形態について述べる。本実施形態の着磁
方法では、まず第1の着磁工程として、図11に示す外
周部内側にスチールベルトを内包したタイヤ12の外周
部の全周にわたり連続して周方向に沿った一方向に着磁
する。
【0063】このために、図11に示すようにタイヤ1
2の外周面に対し着磁用磁石11を当接または近接さ
せ、磁石11をタイヤ12の周方向に沿って1回転の3
60゜以上相対移動させる。すなわち、磁石11自体を
タイヤ12の外周面に沿って1周以上移動させるか、或
は磁石11を移動させずにタイヤ12を1回転以上回転
させる。ここで磁石11は、図12の拡大図に示すよう
に、NS極がタイヤ12の周方向、すなわち相対移動方
向に前後するように配置し、磁石11の発生磁界Hwが
タイヤ12の周方向に沿ってタイヤ外周部下のスチール
ベルトに印加されるようにする。
【0064】なお、タイヤ12の外周面の全幅にわたっ
て着磁するのが好ましい。そのために、図11,12の
ように配置した磁石11の幅がタイヤ12の外周面の幅
より小さい場合には、図12に矢印で示すように磁石1
1をタイヤ12の外周面の幅方向(タイヤ12の軸方
向)に沿って相対移動させるとともに、磁石11をタイ
ヤ12の周方向に沿って2回転以上相対移動させること
により、タイヤ12の外周面の全幅にわたり着磁する。
ただし、必ずしもタイヤ外周面の全幅にわたり着磁しな
くてもよく、タイヤ外周面において後述する磁気センサ
ー側寄りで例えば全幅の2/3程度の部分を着磁するも
のとしてもよい。
【0065】また、磁石11とタイヤ12の相対移動方
向はタイヤ12の周方向に沿った一方向としてもよい
し、周方向に沿った2方向として両方向に往復移動させ
るようにしてもよい。
【0066】なお、タイヤを車両に装着したままの状態
で着磁を行う場合、対象となるタイヤをジャッキにより
浮かし、着磁用磁石をタイヤ外周面に当てタイヤを手で
回転させるか、或はジャッキアップせずにまずタイヤ外
周面の接地部以外を磁石で擦って着磁した後、少し車両
を移動させて残りの部分を擦って着磁する等により、容
易に着磁を行なうことができる。
【0067】このようにして、第1の着磁工程により、
タイヤの外周部の全周にわたり連続して周方向に沿った
一方向に着磁し、タイヤが最初に持っていた残留磁化を
一方向に着磁し直し、リセットする。
【0068】ここで交流減衰磁界をタイヤにかけること
により、最初の残留磁化を完全に消磁する方法もある
が、完全消磁されたスチールベルト部は着磁しやすくな
り、外部磁界によるランダムな着磁発生によるノイズが
問題となるので適さない。
【0069】次に、第2の着磁工程として、図13に示
すように、着磁用磁石11の極性をタイヤ12の周方向
に関して反転させて磁石11をタイヤ12の外周面に当
接または近接させ、タイヤ12の周方向に沿って相対移
動させることにより、タイヤ12の外周部の360゜よ
り小さな所定角度θの範囲を連続して第1の着磁工程の
着磁方向と逆方向に再着磁する。これによりタイヤ12
の回転を磁気的に検知するための着磁ができ、磁気セン
サーで検知しやすい磁界を発生させることができる。
【0070】ここで、2回目の着磁の角度θは、発生す
る磁界のパターンや大きさを左右し、最適な角度が存在
する。その最適値について検討した結果を以下に説明す
る。
【0071】先ず、検討では2回目の着磁の角度θを2
2.5°ずつ変え、それぞれの角度で着磁したタイヤを
回転させてタイヤ外周より20cm離れた所の周方向に
沿った磁界を測定し、そのパターンを調べた。使用した
着磁用磁石は、NS極の間隔が2mmで、磁石の着磁対
向面より10mmの所で着磁磁界Hwが200ガウス程
度のものを使用した。その結果を図14に示す。データ
の横軸は時間軸であり、測定時のタイヤの回転は一定速
でないためばらついているが、周期的なパターンより1
回転を認識できる。
【0072】磁界パターンを見ると、角度θが90°以
下では、下に尖ったピークを持ち、θ=90°で最も磁
界変化が大きくなっている。当然のことながら、着磁の
極性を逆にすれば、上に尖ったピークとなる。さらに9
0°を超えると尖ったピークに凹みを生じ角度の増加と
ともにその凹みが深くなる。
【0073】タイヤから発生する磁界を検出し、タイヤ
の回転を検知するのには、所定のしきい値を設定する
が、外部磁界によりタイヤからの磁界パターンにレベル
変動が生ずることを考えれば、しきい値の設定範囲を広
く取れることが必要である。そのしきい値の設定に適し
た範囲である判別幅は、着磁角度θがおよそ90°以下
では、下に尖ったピークと上にある凹みの底との間L
(67.5゜の図参照)であり、着磁角度が90°を超
えて下に尖ったピークに凹みが生ずる場合は、上と下の
凹みの間L′(157.5゜の図参照)が判別幅とな
る。
【0074】その判別幅L,L′をグラフにすると、図
15のようになる。このグラフから、90°が最適な着
磁角度であることが判る。また、実用範囲を検討する
と、着磁の角度θが小さい領域ではタイヤから発生する
磁界が小さく、外乱磁界の影響が相対的に大きくなるた
め、最大判別幅の50%を実用範囲とすれば、着磁角度
θは30°から180°が適している。さらに、最適な
範囲を最大判別幅の80%とすれば、55°から105
°の範囲が対応し、より安定した磁界が得られる。
【0075】なお、ここまで角度範囲は180°までの
範囲で説明しているが、2回目の着磁角度θが180°
を超えた場合は、極性が反転するだけで対称であり、2
回目の着磁がなされなかった1回目の着磁の残留磁化の
角度360°−θについて上記と同様に考えることがで
きる。すなわち、上述した最適着磁角度の範囲は、第1
と第2の着磁工程により着磁されたタイヤの外周部の一
方向と逆方向の残留磁化のそれぞれの角度の内で小さい
方の角度を対象にして考えればよい。
【0076】さて、ここまで説明したタイヤの着磁方法
では、タイヤの周方向に沿った磁界で着磁するものとし
て説明してきたが、実際の磁気センサーを配置する場合
には、磁界検出方向がその周方向に沿っているとは限ら
ず、磁化が円弧状であることより検出位置により磁界方
向が変化する等により、周方向の磁界による着磁の最適
条件が維持されるか懸念がある。しかし、実際検討した
結果では、周方向の磁界による着磁で見た最適条件が、
実際使用される条件でも適用できることが判った。以下
その検討内容について説明する。
【0077】タイヤからの磁界を磁気センサーで検出す
る場合、センサー設置に適した場所は普通乗用車の場合
では、タイヤの裏側に当たるトランクルームであると考
えられ、座標表現をすると図16(a),(b)に示す
ようなXY平面上にセンサーを配置するのが考えられ
る。
【0078】検討では直径60cmのタイヤを用い、X
Y平面からタイヤトップまでの高さHを10cm、XZ
平面とタイヤ側面との距離Sを15cmにした。また、
タイヤの着磁は前述の方法で、第1と第2の着磁工程に
よるタイヤ外周部の2方向の残留磁化の内で小さい方の
磁化の角度範囲θを90°に設定した。磁界検出方向は
Z軸方向で、図のX軸上のA,B,C,D,Eで示す1
0cm間隔の各点でタイヤ回転による磁界変化の様子を
測定した。
【0079】その結果を図17に示すが、図14で説明
した角度θ=90°のデータと比較すると、A点では位
相が90°回り微分したような波形になっているが、タ
イヤ外周部に近い外側のD点に行くに従い外周方向の磁
界と波形は似てくる。これにより、測定点に最も近いタ
イヤ外周部の磁化方向と磁界検出方向であるZ軸方向と
の角度により位相の変化が左右されていることが判る。
【0080】点AからEでは確かに波形で位相の変化が
生じているが、下端のピークは1回転に1個で安定して
出ており、その上のピークとの間の判別幅Lが安定して
得られている。この事は、周方向の磁界で見た着磁の最
適条件が維持されていることを示す。
【0081】したがって、タイヤの周方向に沿った磁界
で着磁する方法は、実際のセンサーの設置されるどのよ
うな位置、磁界検出方向に対しても有効である。
【0082】以上説明したようにして、外周部にスチー
ルベルトを内包したタイヤの回転検知に最適な磁界を発
生するタイヤの着磁方法を確立し、さらに最適な着磁の
角度範囲を設定することができた。
【0083】ところで、以上の実施形態の着磁方法で
は、第1の着磁工程でタイヤ外周部の全周にわたり連続
して周方向に沿った一方向に着磁し、第2の着磁工程で
タイヤ外周部の360゜より小さな所定角度の範囲を連
続して前記一方向と逆方向に再着磁するものとした。こ
れに対し、第2の着磁方法として、着磁用磁石の配置、
発生磁界の向き、相対移動、磁石の極性の反転等の仕方
は上記と同じとして、第1の着磁工程では、タイヤの外
周部の360゜より小さな所定角度の範囲を連続して周
方向に沿った一方向に着磁し、第2の着磁工程では、タ
イヤの外周部で第1の着磁工程で着磁されていない未着
磁の部分を連続して前記一方向と逆方向に着磁するよう
にしてもよい。ただし未着磁部分のみを正確に着磁する
のは容易ではないから、未着磁部分に隣接する部分をも
含めて着磁してもよい。この第2の着磁方法について
も、上述した2方向の残留磁化の小さい方の角度につい
ての30゜から180゜、特に55゜から105゜とい
う最適な角度範囲の設定は当てはまる。
【0084】なお、この第2の着磁方法によればタイヤ
をジャッキアップすることなく着磁を行える。
【0085】タイヤの磁界検出方法の実施形態次に、上
述した着磁方法により着磁されたタイヤの磁界を検出す
るタイヤの磁界検出方法の実施形態を説明する。特にタ
イヤの磁界を磁気センサーにより検出する際の磁気検出
素子の最適な配置について説明する。
【0086】タイヤからの磁界を検出する素子として
は、数ミリガウス程度の実用感度を持っていれば、例え
ばフラックスゲートセンサー,MI素子,ホール素子等
のどれを用いても良いが、検出手段は外部磁界の影響、
例えば隣接通行車両からの磁界、道路周辺の鉄筋、鉄骨
等の残留磁化からの磁界の影響を受けるので、2個の磁
気検出素子の差動動作によりタイヤからの磁界のみを出
来るだけ検出できるようにする。しかし、この差動検出
では2個の磁気検出素子の配置を適切にしないと、タイ
ヤからの磁界検出で位相が大きく変化し、しきい値の設
定が困難になり扱いづらくなってしまう。
【0087】そこで本実施形態では、差動検出する際の
2個の磁気検出素子に関してタイヤの磁界を検出する際
の位置関係を規定しようとするものである。
【0088】素子の配置に関しての条件は、 (1)検出出力でタイヤ1回転に対し1個の正または負
の大きく鋭いピークが得られること。
【0089】(2)検出出力で先述したしきい値を設定
すべき判定幅Lが広く取れること。
【0090】(3)2個の磁気検出素子から構成される
磁気センサーの設置位置によって(1),(2)の条件
が大きく変動しないこと。
【0091】であり、(1),(2)はタイヤ着磁の最
適条件の維持、(3)は磁気センサーの設置位置に精度
を必要とせず設置を簡単にすることを目的とするもので
ある。
【0092】2個の磁気検出素子の配置に関しての最適
化は以下の検討により求められた。
【0093】差動検出する2個の磁気検出素子の配置の
検討では、図16(a),(b)で説明した座標の位置
関係で、測定点A,B,C,Dに磁気センサーを置き、
そのセンサーで使用される2個の磁気検出素子は間隔を
3cmとして、X軸方向に沿って並列に並べた配置とY
軸方向に沿って並列に並べた配置の比較を行なってみ
た。検討に使用した磁気検出素子には、MI素子を使用
し、Z方向、すなわちタイヤ12の側面に平行な方向に
磁界検出感度を持つよう構成した。
【0094】その結果を図18に示すが、X軸方向に沿
って並列に並べた方はAからDの各点で検出出力波形の
位相の変化が激しく、波形が変化し、しきい値を設定す
べき判定幅Lが一定せず、磁気センサーの設置場所に応
じて調整が必要となり、実用的で無い。
【0095】それに比べY軸方向、すなわちタイヤの側
面に対し垂直な方向に沿って並列に並べた方は、各測定
点とも検出出力波形の下端のピークが安定し、位相変化
の影響はその前後に現れるピークの大きさが変化するの
みで、しきい値を設定すべき判定幅Lが安定している。
これは、周方向に沿う磁界による着磁の最適条件が維持
され、磁気センサーの設置場所によりしきい値を細かく
調整する必要が無く、極めて扱いやすいことを示すもの
である。
【0096】従って、図19の斜視図に示すとおり、先
述の着磁方法で着磁されたタイヤ12を使用し、タイヤ
12から外部に放出される磁界を磁気センサー14の2
個の磁気検出素子18により差動検出するのに際し、2
個の磁気検出素子18の磁界検出方向が共にタイヤ12
の側面に対し平行であり、且つ2個の磁気検出素子18
がタイヤ12の側面に対し垂直な方向に沿って並列に並
ぶようにすれば、磁気センサー14の設置が容易で、且
つ検出出力波形でしきい値を設定するための判別幅を広
く且つ安定して得られることが明確になった。
【0097】[前提となる改良したタイヤ回転検知装置
とタイヤ回転検知信号処理方法の実施形態]ところで、
上述した着磁方法で、例えば最適条件として図13の着
磁角度θを90゜とすることで、図20の様にタイヤ周
方向に沿った磁界で見て、磁界変化が大きく1回転で一
つの大きなピークを持った磁界パターンが得られる。し
かし、この磁界を前述した磁気センサーで車両のトラン
クルームまたはキャビン側から検知してタイヤの回転検
知出力を得るが、信頼性の高い検知を行なうためには、
以下の点が課題になってくる。
【0098】(1)外乱によるレベル変動を吸収できる
こと。
【0099】タイヤからの磁界は検知位置で1ガウス以
下と小さく、車両走行中の外部からの磁界例えば、鉄
筋,鉄板、鉄骨等の残留磁化の影響が外乱となり、セン
サー出力にレベル変動を生じてしまう。図21に橋梁上
を時速65km/hで走行した際のタイヤ回転のセンサ
ー出力を示すが、所々にある鉄骨の影響を受け、レベル
変動が生じていることが判る。このデータでは、磁気検
出素子にMI素子を使用し、3cm間隔で差動動作させ
ているが、外乱が十分除去できないことを示す。
【0100】(2)センサー出力のばらつきを吸収でき
ること。
【0101】次にセンサーの出力の大きさは、車種毎で
タイヤとセンサーの距離がばらつくこと、また、タイヤ
の種類,大きさ等で着磁の大きさが異なる等の影響で、
数倍程度のバラツキが生じてしまう。その結果、回転検
知のしきい値の設定が固定値では扱いが困難となってし
まう。
【0102】(3)センサー出力の波形歪みに対し強い
こと。
【0103】さらに、センサーとタイヤの相対的な位置
関係が車種により一定せず、置き方がまちまちとなり、
タイヤからの磁界を差動検知する際に、図20で示した
タイヤからの磁界パターンの位相が変化しやすく、場合
により図22(A),(B)に示すような疑似ピーク等
の波形歪みが生ずる。
【0104】前述した基本の実施形態では(1)の課題
を考慮したが、(2),(3)の課題は考慮しなかっ
た。そこで、これらをも考慮して改良した、本発明の前
提となるタイヤ回転検知装置とタイヤ回転検知信号処理
方法の実施形態を図23〜図25により以下に説明す
る。
【0105】図23は、本実施形態のタイヤ回転検知装
置の磁気センサーからタイヤ回転検知出力を得るための
回路構成を示す。同図において、MI素子18A,18
B、高周波発振回路20、バッファー22A,22B、
検波回路24A,24B及び差動増幅回路26からなる
部分は、前述した基本の実施形態における図2の回路と
同じであり、前述した磁気センサー14を構成する回路
である。この回路において、前述と同様に、高周波発振
回路20よりバッファー22A,22Bを介してMI素
子18A,18Bに高周波電流が印加される。タイヤか
らの磁界の変化に応じてMI素子18A,18Bのイン
ピーダンスが変化し、それぞれの両端の電圧が変化す
る。その信号がそれぞれ検波回路24A,24Bで検波
されてMI素子18A,18Bの磁気検出信号として取
り出され、さらに差動増幅回路26に入力されて差動増
幅され、センサー出力が得られる。このセンサー出力に
は、例えば前述の図21や図22に示した波形の信号が
得られる。
【0106】なお、上記の磁気センサーの回路の変更例
として、図24に示すように、MI素子18A,18B
を直列に接続し、これに対して高周波発振回路20から
バッファー22を介して高周波電流を印加し、MI素子
18A,18B間の接続点の信号を検波回路24で検波
して取り出し、これを反転増幅器27で増幅してセンサ
ー出力を得るようにしてもよい。また、磁気検出素子は
MI素子に限らず、フラックスゲートセンサー、ホール
素子、MR素子等の他の素子を用いてもよい。その場
合、図23の差動増幅回路26ないし図24の反転増幅
器27より前段の磁気検出素子を駆動する駆動回路の構
成が磁気検出素子の種類に応じて異なる。
【0107】再び図23において、差動増幅回路26よ
り後段の構成は前述の基本の実施形態における図8の構
成と異なり、以下のようになっている。
【0108】差動増幅回路26の差動増幅出力、すなわ
ちセンサー出力の信号は、マキシマムホールド回路32
とミニマムホールド回路34にそれぞれ入力される。こ
の回路32,34は、それぞれ2つのオペアンプとダイ
オードと抵抗とコンデンサC1ないしC2から構成さ
れ、それぞれセンサー出力の波形のプラスのピーク(最
大値)とマイナスのピーク(最小値)の電圧レベルをホ
ールドするピークホールド回路である。このマキシマム
ホールド及びミニマムホールドは、磁気センサーの出力
レベルがばらついても、その出力レベルに応じて以降説
明するしきい値を自動的に可変に設定するための手段と
して使用する。なお、ホールドするためのコンデンサー
C1,C2の容量によりホールド電圧の持続性が決定さ
れるが、センサー出力がレベル変動する事を考えると、
むやみにホールド性を高めず、ある程度の減衰を認めた
方が扱いやすい。
【0109】次に、マキシマムホールド回路32とミニ
マムホールド回路34の出力は、それぞれ2つの抵抗の
直列接続からなる分圧器38A,38Bに印加され、そ
れぞれのホールド電圧とゼロ電位との間の電圧を所定の
比率で分圧した電圧D1(プラス側)とD2(マイナス
側)がそれぞれしきい値として設定され、それぞれオペ
アンプと抵抗から構成されたコンパレータ36A,36
Bに比較電圧として入力される。プラス側とマイナス側
でしきい値を設定するのは、プラス側のピークとマイナ
ス側のピークを取り出すためであり、分圧器38A,3
8Bでの抵抗分圧比を適切に設定すれば、波形のレベル
変動を吸収できる。その詳細は後述する。
【0110】次に、コンパレータ36A,36Bにはそ
れぞれ差動増幅回路26からのセンサー出力が入力され
ており、コンパレータ36A,36Bのそれぞれにおい
てセンサー出力はしきい値D1,D2との比較でパルス
化され、そのパルスはそれぞれRSフリップフロップ回
路40のセット入力とリセット入力に入力され、このR
Sフリップフロップ回路40において、タイヤ1回転に
対し1パルスの最終的なタイヤ回転検知出力が得られ
る。ここでRSフリップフロップ回路40を使用する理
由は、上記2つのしきい値D1ないしD2を越えたピー
クを認識してプラス側とマイナス側のピークを交互に認
識することで、1回転に1個のパルスを生成するためで
ある。この結果、出力のレベル変動や波形歪みに強いタ
イヤ回転検知の信号処理が可能となる。
【0111】次に、上記タイヤ回転検知装置の回路の動
作の詳細を図25により説明する。図25は、上記回路
における実際のセンサー出力(差動増幅回路26の出
力)の波形と、それを処理した各部の信号波形を示して
いる。
【0112】図25の上段にセンサー出力の周期波形を
示してあるが、この波形は途中磁気外乱を受けレベル変
動を持った波形となっている。この波形に上述のマキシ
マムホールド及びミニマムホールドを行うと、図25中
破線で示すように、プラスのピークを結ぶ包絡線H1と
マイナスのピークを結ぶ包絡線H2の波形が得られる。
包絡線H1,H2の波形では、センサー出力の波形の各
ピークを過ぎると減衰が見られるが、これはセンサー出
力波形のレベル変動にも対応できるようにあえて減衰さ
せている。
【0113】この包絡線H1,H2の波形を使ってセン
サー出力からコンパレータ36A,36Bにてプラスの
ピークを認識したパルスとマイナスのピークを認識した
パルスを得ることになるが、確実にピークを認識するた
めに、分圧器38A,38Bにより、包絡線H1,H2
のそれぞれのホールド電圧とゼロ電位の中間でしきい値
D1,D2の電位を設定し、その電位を基準にコンパレ
ータ36A,36Bでコンパレートしてセンサー出力よ
りパルスを生成する。
【0114】図25では、ホールド電圧とゼロ電位との
間の電圧を、図23で示した分圧器38A,38Bの各
抵抗の抵抗値R2/(R1+R2)及びR4/(R3+
R4)で決められる50%の比率で分圧した場合のしき
い値D1,D2の波形を点線で示してある。分圧比は5
0%程度が良く、プラスとマイナスのピークを確実に捕
らえることができる。分圧比は、10%と小さくし過ぎ
ると符号P1の様にゼロ電位付近の疑似ピークを拾いや
すくなるし、また90%と大きくし過ぎると、符号P2
の様に実際のピークを見逃してしまう場合があるので、
10%から90%の間で選択するのが良い。
【0115】なお、ここまでの説明では、ゼロ電位を対
象としてホールド電圧を分圧してしきい値D1,D2を
設定するものとしたが、センサーの出力が交流結合で構
成される場合は、タイヤが静止状態でゼロ電位となるこ
とより、ノイズを拾わないようにゼロ電位近傍に不感帯
を設けるため、ゼロ電位よりホールド電圧側に少しずれ
た電圧とホールド電圧の間で分圧を行なうようにする。
【0116】次に、コンパレータ36A,36Bにおい
て、センサー出力としきい値D1,D2との電圧比較に
より、図25の2段目と3段目に示すパルスA,Bの様
な出力が得られる。パルスAはセンサー出力のプラスの
ピークに対応し、パルスBはセンサー出力のマイナスの
ピークに対応している。なお、パルスA,Bは、RSフ
リップフロップ回路40がローレベル入力で動作するた
めに、ピークを認識するとローレベルになるよう、極性
を設定する。
【0117】パルスA,BはRSフリップフロップ回路
40に入力され、同回路40の出力は、パルスAの立ち
下がりに応じて立下がり、パルスBの立ち下がりに応じ
て立ち上がるパルスになる(立ち下がり、立上りの関係
は、この逆でもよい)。すなわち、同回路40の出力
は、センサーの出力波形のプラスのピークの認識に応じ
て立下がり、マイナスのピークの認識に応じて立ち上が
るパルスになる。このようにして、最終的にタイヤ1回
転に対し1パルスの回転検知出力が得られる。
【0118】ところで、図25のパルスBでは、上段に
示すセンサー出力の符号P3の疑似ピークに応じた誤検
知パルスが発生しているが、その誤検知パルスと直前の
パルスの間の期間でパルスAの立ち下がりがないため、
フリップフロップ回路40によりパルスBの誤検知パル
スは見事に無視されている。
【0119】つまり、フリップフロップ回路40の採用
により、センサー出力の波形歪みによる擬似ピークがプ
ラス側とマイナス側のしきい値D1,D2を続けて越え
るケースでない限り、疑似ピークによりタイヤ回転検知
出力のパルスが誤って生成されることがなく、センサー
出力の波形歪みによる疑似ピークの影響を回避できるこ
とになる。しかも、通常の車両における磁気センサーの
設置環境では、ほとんど上記ケースは現れない。すなわ
ち、本実施形態の信号処理方法によれば、センサー出力
の波形歪みに対して非常に強くなる。また、本実施形態
によれば、上述のようにセンサー出力のマキシマムホー
ルドとミニマムホールド及びホールド電圧の分圧を行な
うことにより、センサー出力のレベル変動及びばらつき
に応じて、センサー出力波形のピークを認識するための
しきい値D1,D2を自動的に可変に設定できるので、
センサー出力のレベル変動及びばらつきを吸収できる。
このように、本実施形態のタイヤ回転検知信号処理方法
は非常に有効であり、信頼性の高いタイヤ回転検知装置
を実現できる。
【0120】[本発明の実施形態]以上に本発明の前提
となる構成の実施形態を説明したが、タイヤ回転検知に
おいて更に以下のような問題がある。
【0121】タイヤ回転装置の磁気センサーは、不特定
の車種にできるだけ簡単に取りつけられるよう設定する
必要があるが、車種によって、タイヤとセンサー設置位
置とが離れてしまうケースでは、タイヤからの磁界が小
さくなるためにセンサーの感度が低下し、設置位置が探
しづらい場合や最悪取れない場合が出でくる可能性があ
る。
【0122】たとえば、RV車や4WD車への設置で
は、一般乗用車に比べタイヤとセンサー設置位置が離れ
てしまう場合が多く、また、その他の車種でも、1ボッ
クス車のように、タイヤハウス裏に座席が存在するケー
スでも、センサー設置位置がタイヤに近接して確保でき
ない場合もある。
【0123】タイヤからの磁界は距離が離れると、磁界
の大きさが小さくなるとともに差動検出を行なう2つの
磁気検出素子での磁界の差分が小さくなり、差動増幅の
出力が安定して得られないことが問題となる。
【0124】本発明は、この問題を解決するべく上述し
た前提となる構成を改良したものである。以下にその実
施形態を図26〜図33により説明する。
【0125】まず、図26はタイヤ回転検知装置を構成
する磁気センサー100の構成を示している。この図2
6に示すように、磁気センサー100のケース118内
に設けられたセンサー回路基板116上には一対の磁気
検出素子112A,112Bが所定間隔で並ぶように取
り付けられている。この磁気検出素子112A,112
Bの磁界検出方向は同一、すなわち互いに平行であっ
て、矢印に示す通りセンサー回路基板116に対し垂直
な方向とされている。
【0126】磁気検出素子112A,112Bは、好ま
しくは先述したMI素子とし、その場合、先述した図
2,図8,図23ないしは図24の回路がセンサー回路
基板に実装され、先述した回路の動作でタイヤの磁界の
差動検出、回転検知を行なう。なお、その際に、先述し
たタイヤの磁界検出方法の通り、磁気検出素子112
A,112Bの磁界検出方向がタイヤの側面と平行であ
り、且つ、磁気検出素子112A,112Bがタイヤの
側面に対し垂直な方向に並列に並ぶように磁気センサー
100が配置されるものとする。
【0127】一方、本発明の特徴に係る構成要素とし
て、リード板114が磁気検出素子112A,112B
の真下のケース118の底面上に固定されている。リー
ド板114は、タイヤ12からの磁束を導くものであ
り、透磁率の高い(特にDCから数百Hzの交流磁界の
帯域で)磁性体、例えばパーマロイ,アモルファス磁性
体、あるいはフェライト等からなり、ここでは長方形の
平板状に形成されている。リード板114は磁気検出素
子112A,112Bどうしを結ぶ線と平行であり、且
つ、磁気検出素子112A,112Bの磁界検出方向に
対し垂直になるように、すなわち、ここではセンサー回
路基板116と平行になるように配置されている。
【0128】磁気検出素子112A,112Bどうしを
結ぶ線に対してリード板114を平行に配置するのは、
外乱磁界に対する影響を等しくし、効率良く差動でキャ
ンセルするためであり、磁界検出方向に垂直に配置する
のは、差動検出に必要な磁界の差分を大きくとるための
ものである。その理由は後で説明する。
【0129】次に、リード板114の効果について説明
する。
【0130】まず、リード板114がタイヤからの磁界
に対しどのように影響を及ぼしているか調べた結果を説
明する。検討では、図27のようにタイヤ12の側面か
ら150mm平行に離れた(1)で示す線上と、それか
らタイヤ12の側面に垂直な方向に30mm離れた
(2)で示す線上とに、80mm間隔で5対の測定点A
〜Eを設定し、測定点の各対の(1)側に磁気検出素子
112A、(2)側に磁気検出素子112Bを配置し、
タイヤを回転させた際の磁界を各対の測定点で同時に計
測し、リード板有無での比較を行った。
【0131】磁気検出素子112A,112Bは、感度
の良いMI素子を用い、その磁界検出方向は矢印で示す
ようにタイヤ12の側面に対し平行な図中上下方向とし
た。
【0132】リード板114は、Ni78%パーマロイ
で幅25mm×47mm厚さ0.2mmの平板状のもの
を用意し、配置は2つの磁気検出素子112A,112
Bの下方8.5mmのところに、磁気検出素子どうしを
結ぶ線と平行で、且つ磁界検出方向と垂直になるよう配
置した。
【0133】タイヤ12は外径Φが50cmで、スチー
ルベルトを外周部に内包したものを使用し、全周1方向
に着磁したのち、90°分逆方向に着磁させた。
【0134】上記(1)と(2)の測定点での磁界の計
測結果と(1)と(2)の測定点の磁界差を図28と図
29に示す。リード板が無い場合は、図28に示すよう
に、タイヤに近い(1)の測定点と遠い(2)の測定点
で、当然のことながら(1)の方が大きい磁界となって
おり、波形もほぼ同じで位相関係はずれていない。しか
し、リード板がある場合は、図29に示すように、タイ
ヤに遠い(2)の方の磁界が逆に大きくなり、また波形
も明らかに(1)と(2)で位相がずれたものとなって
いる。特にタイヤ外周側に近い測定点A,Eでは位相が
ほぼ90°ずれている事が判る。
【0135】その結果、差動検知に関わる(1)と
(2)での磁界差は、測定点A〜Eでのピークツーピー
ク値を図30に示す通り、リード板を置いた場合は置か
ない場合に比べ数倍大きくなっていることがわかる。特
にタイヤ外周に近いところ(測定点A,E)で大きくな
っていることがわかる。
【0136】(1)と(2)の線上に配置された2つの
磁気検出素子で磁界の大きさと位相がリード板の設置に
より変わるのは、タイヤからの磁束がリード板により引
き込まれ、磁束が集中することによる磁界の増加と、リ
ード板のタイヤ側の端と磁気検出素子との距離が2個の
磁気検出素子でそれぞれ異なることより、リード板の効
果が異なることから、検知磁界に位相差が生じたことが
原因と考えられる。
【0137】まとめると、リード板を使用する効果は、
・タイヤからの磁束をリード板に引き込むことで、検知
磁界そのものを大きくできること。
【0138】・2つの磁気検出素子での磁界に位相差を
生じさせることで差動増幅に必要な磁界の差を大きく取
れること。
【0139】である。
【0140】つぎに、リード板の配置の仕方であるが、
リード板は磁気検出素子に対しては最適な位置があり、
磁気検出素子の磁界検出方向に対し垂直な方向が望まし
い。
【0141】それを確認するために、図26の磁気セン
サー100の構成から一旦リード板114を外に外し、
図31の様にケース18の外側の下面、側面、上面、上
下面にリード板114を配置し、近くで着磁したタイヤ
を回転させセンサーの出力を比較した。その結果を下記
の表1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】この結果より、磁気検出素子の磁界検出方
向に対し垂直になるようリード板を配置することが重要
であることが判る。下面と上面で差があるのは、下面側
に置いた方が磁気検出素子との距離が少し近いために効
果が大きく現れたのであり、距離を同じにすれば、上下
の差は現れない。
【0144】また、リード板を上下の両方に配置してし
まうと、逆に磁気シールド効果となり、磁気検出素子に
印加される磁界が減少してしまうので、磁気検出素子の
上または下の一方にリード板を配置するのが良い。
【0145】最後に、実際の車両でのデータを示す。
【0146】図32に、あるRV車でトランクルームに
設置した磁気センサーのリード板の有無による差を示す
が、リード板無しではタイヤに近い方のH1の磁気検出
素子における磁界がピークツーピーク値で0.14ガウ
スに対し、リード板を採用した場合は、0.25ガウス
となっており、検知磁界自身が大きくなり、また磁界の
差もリード板のある方は、位相が異なる効果により、磁
界の差分が一桁大きく取れることが分かる。
【0147】その結果、センサー出力は実に10倍近く
感度が上がり、回路の差動増幅ゲイン35倍で、図33
に示すようにリード板なしの出力が0.15Vppである
のに対しリード板ありで1.4Vppの出力を得た。
【0148】なお、上記実施形態ではリード板114は
長方形の平板状としたが、例えば、楕円形等の他の形状
でもよく、また平坦でなくて湾曲ないし屈曲した形状で
もよい。また、板状でなくブロック状などの他の形状も
考えられる。
【0149】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、所定間隔で並ぶように配置された一対の磁気
検出素子により、タイヤのスチールベルトの残留磁化に
よる磁界を外部より差動検出し、該検出結果に基づいて
前記タイヤの回転を検知するタイヤ回転検知装置におい
て、前記一対の磁気検出素子の近傍に、前記タイヤから
の磁束を導く磁性体部材を配置した構成を採用したの
で、タイヤからの磁界の差動検出を極めて高感度に行
え、差動出力のS/Nが著しく改善される。従って、タ
イヤからタイヤ回転検知装置の設置位置までの距離が多
少離れても、タイヤの回転の磁気的な検知を良好に行
え、車種によらず簡単に設置が可能な優れたタイヤ回転
検知装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提となる構成の基本の実施形態にお
ける車両内の磁気センサーの設置位置および磁気検出素
子(MI素子)の配置を示す車両の平面図およびトラン
クルーム内の斜視図である。
【図2】同実施形態の磁気センサーの磁気検出回路の構
成を示す回路図である。
【図3】同磁気センサーのMI素子どうしの間隔dと磁
気検出出力の関係を示すグラフ図である。
【図4】同磁気センサーのMI素子の引出し線長とイン
ピーダンス変化効率の関係を示すグラフ図である。
【図5】タイヤ回転による磁界変化計測試験における磁
気センサーの異なる設置位置(測定点)を示すトランク
ルーム内の斜視図である。
【図6】同試験の各測定点での計測結果を示すオシロ波
形の写真である。
【図7】橋梁上での車両走行におけるタイヤ回転による
磁界変化の計測結果を示す差動出力の波形図である。
【図8】タイヤ回転検知装置の実施形態の全体の構成を
示すブロック図である。
【図9】図8中のマイコン30による信号処理の手順を
示すフローチャート図である。
【図10】タイヤ回転による磁界変化の計測結果を示す
波形図である。
【図11】本発明の前提となる構成のタイヤの着磁方法
の実施形態における第1の着磁工程を説明する斜視図で
ある。
【図12】図11の要部を拡大した拡大図である。
【図13】同実施形態における第2の着磁工程を説明す
る斜視図である。
【図14】同第2の着磁工程の着磁角度θの違いに応じ
たタイヤの発生磁界パターンのそれぞれを示す波形図で
ある。
【図15】同着磁角度θに応じた、磁界の検出出力の回
転検知用しきい値を設定するための判別幅L,L′を示
すグラフ図である。
【図16】磁気センサーの実際の配置に対する同実施形
態の着磁方法の有効性の検討におけるタイヤに対する磁
界測定点のそれぞれの位置を示す上面図および側面図で
ある。
【図17】図16の各測定点におけるタイヤ回転による
磁界変化を示す波形図である。
【図18】本発明の前提となる構成のタイヤの磁界検出
方法の実施形態を説明するもので、2個の磁気検出素子
により差動検出する場合の素子の配置と検出出力波形の
関係を示す表の波形図である。
【図19】同実施形態で決定した2個の磁気検出素子の
配置を示す斜視図である。
【図20】本発明の前提となる構成の着磁方法により着
磁角度90゜で着磁されたタイヤの回転に伴なう磁界パ
ターンを示す波形図である。
【図21】車両の橋梁走行時におけるタイヤ回転検知の
センサー出力の実測データを示すグラフ図である。
【図22】タイヤ回転検知のセンサー出力の疑似ピーク
を伴なう波形歪みを示す波形図である。
【図23】本発明の前提となる構成のタイヤ回転検知装
置の他の実施形態の回路構成を示す回路図である。
【図24】同回路構成の一部の変更例を示す回路図であ
る。
【図25】図23の回路の動作を説明する各部の信号波
形を示す波形図である。
【図26】本発明の実施形態のタイヤ回転検知装置を構
成する磁気センサーの構成を示す斜視図である。
【図27】同磁気センサーのリード板の効果を調べたタ
イヤの磁界計測を説明する説明図である。
【図28】同計測結果でリード板なしの場合の各測定点
の磁界とその差分の変化の波形を示す波形図である。
【図29】同計測結果でリード板ありの場合の各測定点
の磁界とその差分の変化の波形を示す波形図である。
【図30】同計測結果で各測定点におけるリード板あり
とリード板なしの場合のそれぞれの磁界差分のピークツ
ーピーク値を示すグラフ図である。
【図31】リード板の配置の仕方を示す説明図である。
【図32】実際の車両でリード板なしとリード板ありで
タイヤの磁界を計測した結果を示す波形図である。
【図33】同計測によるセンサー出力の波形を示す波形
図である。
【符号の説明】
10 車両 11 着磁用磁石 12 タイヤ 14 磁気センサー 18,18A,18B 磁気検出素子(MI素子) 20 高周波発振回路 22,22A,22B バッファ 24A,24B 検波回路 26 差動増幅回路 27 反転増幅器 28 AD変換器 30 マイコン 32 マキシマムホールド回路 34 ミニマムホールド回路 36A,36B コンパレータ 38A,38B 分圧器 40 RSフリップフロップ回路 100 磁気センサー 112A,112B 磁気検出素子 114 リード板 116 センサー回路基板 118 ケース

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定間隔で並ぶように配置された一対の
    磁気検出素子により、タイヤのスチールベルトの残留磁
    化による磁界を外部より差動検出し、該検出結果に基づ
    いて前記タイヤの回転を検知するタイヤ回転検知装置に
    おいて、 前記一対の磁気検出素子の近傍に、前記タイヤからの磁
    束を導く磁性体部材を配置したことを特徴とするタイヤ
    回転検知装置。
  2. 【請求項2】 前記一対の磁気検出素子の磁界検出方向
    は同一とされ、 前記磁性体部材は、平板状に形成され、前記一対の磁気
    検出素子どうしを結ぶ線と平行であり、且つ該磁気検出
    素子の磁界検出方向に対し垂直になるように配置された
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ回転検知装
    置。
  3. 【請求項3】 前記磁性体部材は、パーマロイ、アモル
    ファス磁性体、またはフェライトから形成されたことを
    特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ回転検知装
    置。
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DE69726373T DE69726373T2 (de) 1996-09-27 1997-09-26 Reifenmagnetisierungsmethode, nach dieser Methode magnetisierter Reifen sowie Vorrichtung zur Feststellung von Reifenumdrehungen
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JP2006343300A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Aec:Kk 渦電流検出装置

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