JP3619350B2 - タイヤ回転検知方法及び装置 - Google Patents

タイヤ回転検知方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の車両の速度または移動距離等を計測するためのタイヤの回転の検知を磁気的に行なうタイヤ回転検知方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の現在位置確認や道路案内等に使用されるカーナビゲーション装置(以下カーナビと略す)は、1990年頃に登場し、かなり普及してきた。
【0003】
カーナビは、GPS航法により人工衛星からの電波により絶対位置を検出する機能を有しているが、最近ではジャイロセンサーによる角度変位と車両本体からの車速データより車両の移動状況を示す自立航法が組み込まれたハイブリッド方式が増え、主流となってきた。このハイブリッド方式により、マップマッチングの精度を向上させることができる。
【0004】
しかし、自立航法の機能を得る上で車速のデータを車両本体よりもらう必要があり、このために車両本体の配線図を持った専門ディーラーに装置の接続を行ってもらう必要があった。この接続作業は一般ユーザーが行うことが困難であり、費用が高いことや接続が専門ディーラーでないと行えないことが、今後さらにカーナビが普及するための障害となりつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
車速または移動距離の計測のためにタイヤの回転ないし回転数を検知し、且つ簡単に取り付けられるセンサーを供給できれば上記の問題が解決できるが、理想的な方法としてはタイヤの回転ないし回転数の検知が非接触でできれば最適である。
【0006】
そこで本発明者が着目したのが、最近のタイヤはスチールラジアルタイヤが主流になり、このタイヤではスチールベルトを外周の内側に内包している点である。そのスチールベルト自身は弱いながらも残留磁化を持ち、タイヤの外部に磁界を放出していることを予測した。実際その磁界をタイヤを1回転させて計測すると、図10に示すような磁界分布が現れた。計測はタイヤから15cm程度離れた所で外周に沿って行ったものであるが、タイヤの1回転に対応して明確なピークが存在することが判り、タイヤ回転の磁気的検知の可能性が判った。
【0007】
しかし、このタイヤからの磁界はピークツーピーク値で0.38ガウスであり、地磁気(0.5ガウス程度)よりも小さく、タイヤの種類やセンサーの設置場所によっては0.1ガウスを下回るケースが予測される。
【0008】
このようなタイヤを対象にして、タイヤの回転ないし回転数の磁気的検知を良好に行なうためには、以下の条件を満足する必要がある。
【0009】
(1)センサーの構成
磁気センサーの感度は、分解能を考えると数ミリガウスの感度は必要である。また、フラックスゲートセンサーに見られるような、帯磁による状態変化の無いことが要求される。
【0010】
(2)センサーの設置
車両内でセンサーの設置が容易にできる必要がある。また、磁界検出に適した場所にセンサーを設置する必要がある。
【0011】
(3)外乱の影響排除
橋梁やトンネル等の鉄筋,鉄骨の残留磁化から発生する外乱となる磁界の影響を排除する必要がある。
【0012】
本発明の課題は、このような条件を満足し、タイヤの回転の磁気的な検知を良好に行なえるタイヤ回転検知方法及び装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によれば、車両のタイヤの回転を検知するタイヤ回転検知方法であって、スチールベルトを外周部に内包するタイヤを使用し、前記車両内部に前記スチールベルトが発生する磁界を検出する磁界検出手段を設置し、前記タイヤの回転による前記タイヤのスチールベルトが発生する磁界の変化を前記磁界検出手段によって検出し、その結果に基づいて前記タイヤの回転を検知する方法を採用した。
【0023】
さらに本発明によれば、
車両に取り付けられた、スチールベルトを外周部に内包するタイヤの回転を検知するタイヤ回転検知装置において
前記車両内部に設置された、前記タイヤの回転による前記スチールベルトが発生する磁界の変化を検出する磁界検出手段と、
前記磁界検出手段の出力に基づいて前記タイヤの回転を検知する回転検知手段とを有する構成を採用した。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明によるタイヤ回転検知方法及び装置の実施の形態を説明する。
【0026】
まず、回転検知に用いられる磁気センサーの構成及び設置について説明する。
【0027】
本発明の実施形態では、図1(a)に示す車両10において、先ずタイヤ12には外周部内側に磁界発生手段として機能するスチールベルトを内包したスチールラジアルタイヤを使用し、磁界検出手段として機能する磁気センサー14は、車両10のトランクルームまたはキャビン内で後部タイヤ12の裏側近傍に設置する。磁気センサー14は後部タイヤ12の左右どちらの裏側に設置してもよい。前輪タイヤ側でもセンサーの設置は一応可能であるが、その場合はハンドル操作によるタイヤの角度変化で、タイヤとセンサーとの距離が一定とならず、センサーの出力波形が変動してしまうので適さない。
【0028】
なお、上記説明は、前輸駆動型の場合であり、後輸駆動型の場合は、タイヤの関係が逆となる。要するに、操舵されないタイヤの近傍にセンサを設置すればよいということである。このように構成することにより、スチールベルト(磁界発生手段)と磁気センサー(磁界検出手段)との相対位置変化が小さくなるため、安定した磁界検出が可能になる。
【0029】
また、上記説明では、磁界発生手段として、スチールベルトの例を示したが、タイヤが取り付けられる車輪内の別の磁性体、例えば制動装置を構成するディスクあるいはホイール等に着磁するか、あるいは別途磁石を固設して磁界発生手段としてもよい。
【0030】
設置位置の詳細について、図1(a)の矢印に沿って見た拡大斜視図の図1(b)で説明する。ここに示すように、センサー14はタイヤ12の裏側近傍に当たるトランク側壁またはトランク底面で、タイヤ12の外周から15cm前後の位置に設置する。図1では普通乗用車の例を示しているが、他の軽自動車,バン,RV車でも後部タイヤ裏側でキャビン内またはトランク内に設置スペースは存在し、タイヤの外周から30cm以内の距離を確保できる。なお、後部トランク内のタイヤハウス近傍に設けても良い。
【0031】
カーナビ本体ヘの接続は、ケーブル16で行うが、車体の外側にセンサーを設ける場合と異なり、キャビンを経由しカーナビ本体ヘの引き回しは容易である。
【0032】
次に磁気センサー14の構成に関して説明する。磁気センサー14は1対の磁気検出素子18A,18Bを備えている。この磁気検出素子18A,18Bには、特開平7−181239号に開示されている磁気インピーダンス効果を利用した磁気インピーダンス素子(以下、MI素子と略す)が適している。磁気インピーダンス効果とは、アモルファスワイヤーもしくは磁性薄膜にMHz帯の高周波電流を印加すると、外部磁界により磁性体両端のインピーダンスが数10%変化する現象であり、MI素子は数ミリガウス以上の実用感度を持っている。
【0033】
MI素子が優れている点は、感度がフラックスゲートセンサーと同等以上であり、且つ数mm程度の長さからセンサーの小型化が容易であること。さらに、帯磁に対して強く、外部磁界が激しく変化する状況で安定動作が可能である点が挙げられ、本センサーに適している。
【0034】
本センサーでは外部磁界の影響を少なくし、できるだけタイヤからの磁界のみを検出するために、2個のMI素子18A,18Bを差動動作させる。その動作を有効にするため2個の素子18A,18Bは、磁気検出方向が平行または同一軸になるように配置する。磁界検出方向の設定に関しては、図1(b)では磁界検出方向を矢印で示すようにトランク底面に対し垂直な方向としているが、その他の方向でも特に優位差はなく、どの方向を選択しても良い。
【0035】
次に、MI素子18A,18Bによりタイヤからの磁界を検出する磁気センサー14の磁気検出回路は図2に示すような構成とする。この磁気検出回路では、高周波発振回路20よりバッファー22A,22Bを介してMI素子18A,18Bにそれぞれ高周波電流が印加され、MI素子18A,18Bが駆動される。MI素子18A,18Bの他端側は接地されている。外部磁界の変化はMI素子18A,18Bのインピーダンスをそれぞれ変化させ、MI素子18A,18Bの両端の電圧がそれぞれ変化するが、その信号がそれぞれ2つの検波回路24A,24Bにより検波されてそれぞれMI素子18A,18Bの磁気検出信号として取り出され、さらに差動増幅回路26に入力されて差動増幅される。なお、MI素子18A,18Bには、感度を得るためDCバイアス磁界Hbを固定磁石かコイルにより1〜2ガウス程度かけておく。
【0036】
図1(b)に示すMI素子18A,18Bどうしの間隔dは、狭すぎると出力が低下するため、適当な寸法を選択する必要があるので、間隔dを変えてタイヤ回転による磁界検出出力を測定してみた。その結果、図3に示すとおり、ピークツーピーク値の出力で見て、d=2cm未満では出力が急に落ち込むが、d=2cm以上では実用的な出力が得られる。
【0037】
また、高周波電流をMI素子18A,18Bに印加するために、MI素子を磁気検出回路に接続する引出し線の引き回しが長くなると浮遊容量等不要なインピーダンスが増加し、図4の通り、引出し線の長さに従ってインピーダンス変化効率が低下するので、80%程度までの低下を許容すれば片側10cmが目安となり、素子の間隔dは20cm以下に抑えたい。したがって間隔dは2cm以上20cm以下とするのが好ましい。
【0038】
次に、ここまで説明したセンサーの構成、設置で、実際にタイヤを回転させた時のセンサーの差動出力の計測結果について説明する。
【0039】
計測のために、MI素子18A,18BにはFe−Ta−C系の磁性薄膜(膜厚2μm)でガラス基板上にパターン化した素子を2個用い、素子の間隔dを3cmに設定した磁気センサーを製作した。磁気検出回路は図2で説明した回路を使用し、センサーに内蔵した。そして、図5の様にトランクルームの後部タイヤ12の裏側近傍の(a)〜(f)の6点に磁気センサー14を設置してその差動出力を計測した。測定条件は、MI素子18A,18BにDCバイアス磁界1ガウスをかけ、20MHzの高周波電流を印加し、差動増幅回路26のゲインを100倍とした。その結果を図6に示す。
【0040】
先ず、ポイント(a)の波形を説明すると矢印の範囲が1回転に相当し、その中に正負極それぞれピークが4つ存在していることが分かり、そのうち正極ピーク2個が大きなピークとなっている。S/Nは良好である。
【0041】
ポイント(b)では磁界検出方向が(a)と90゜異なり、バイアス磁界の極性の関係で上下極性は反転しているものの波形は相似である。
【0042】
ポイント(c),(d),(f)はタイヤの外周に距離が近いためポイント(a)より倍以上出力が出ている。
【0043】
逆にポイント(e)は距離が離れているため出力が(a)の半分程度になっている。
【0044】
出力の低いものをアンプゲインでカバーすることはできるが、出力が低いのはもともとタイヤからの磁界が小さいためであり、外部からの外乱磁界との差が取れないために、波形の変動が大きくなってしまう。
【0045】
したがって、センサーの設置場所にはできるだけスチールベルトの埋め込まれているタイヤの外周部に近い場所を選択し、出力を確保すべきである。
【0046】
ここまで説明した内容により、タイヤからの磁界を高感度に検出できるセンサー構成と適した設置場所について明らかにした。次にタイヤの回転数を検知する方法について説明する。
【0047】
図6で示したのは、外乱磁界の無い安定した状況でのタイヤからの磁界の計測結果であるが、この状況では、ゼロクロスまたはあるしきい値のクロスの数を数え、1回転当たりのパルス数から回転数を求めることは容易である。
【0048】
しかし、実際の車両走行では、橋梁,トンネル等の鉄骨,鉄筋の残留磁化の影響,車両の振動によるタイヤとセンサーとの位置変動,対向車両の残留磁化の影響等により、出力波形にうねり状のレベル変動が発生する。この変動を受けたセンサーの出力波形の中からいかに回転数を求めるかが容易ではない。
【0049】
その一例として図7に、ある橋梁上で約50km/hの車両走行におけるタイヤの回転による磁界変化を計測した連続データを示す。このデータでは、タイヤ1回転に対しC点に示されるような一つの大きなピークを持つ波形となっており、このピークを確実に捉えることができれば、正確に回転数を検知し、速度や移動距離を求めることができる。
【0050】
しかし、波形全体を見るとうねりを生じていることが判り、このうねりをどう扱うかが難しい。このうねりは橋梁に存在する鉄筋または鉄骨の影響であり、その残留磁化による磁気外乱により、出力波形上にうねりを生じている。センサーの構成を差動動作とし、外乱の影響を低減しているものの、外乱の影響をゼロにすることはできない。
【0051】
このうねりはタイヤ回転の出力波形の周波数成分に比べて低い周波数成分なので、ハイパスフィルターによりうねりを除去し、ゼロクロスまたはあるしきい値でのクロスをカウントする検討も行ったが、車両の速度が人間の歩くスピード以下になったり、高速性能では200km/h程度の動作まで性能的に要求されることを考えると、帯域的にはほとんどDCから200Hz程度は考慮する必要があり、複数のフィルターを用意しなくてはならなかったり、低速時のフィルター通過後の出力低下によるS/N低下等の問題が生ずる。
【0052】
そこで、出力波形をマイコンにより逐次数値化し、データの変化(増加または減少)が反転しているかどうかで、出力波形のピーク検出を行い、そのピークと直前のピークとの電位差がある所定のしきい値を超えているかどうかで、そのピークがタイヤの回転の検知に相応しい有効なピークか判定し、その有効ピークをカウントすることによりタイヤの回転数を求め、さらにタイヤの径と円周率より車両の移動距離または速度を求める方法を採用した。
【0053】
この方法によれば、出力波形の中の相対的に低い周波数である外乱の影響はほとんど排除でき、また速度に依存しないタイヤ回転の検知が可能となる。
【0054】
次に、この方法によりタイヤの回転の検知を行なうタイヤの回転検知装置の構成を図8に示す。ここに示す構成においてMI素子18A,18B〜差動増幅回路26の構成、すなわち図2の磁気検出回路の構成を磁気センサー14としても良いし、図8の装置全体の構成を磁気センサー14としてよい。
【0055】
図8の構成では、前述のように高周波発振回路20の出力の高周波電流をMI素子18A,18Bに印加し、MI素子18A,18Bの両端電圧の変化の信号を検波回路24A,24Bに通して高周波成分を除去して磁気検出信号として取り出し、これを差動増幅回路26に入力して差動増幅した後、その差動出力をAD変換器28によりAD変換し、そのデジタル信号をマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)30に入力し、マイコン30で前記デジタル信号から上述したピーク検出と有効ピークの判定を行う。
【0056】
ここで上記AD変換以後の処理の詳細を図9のフローチャート及び図7の差動出力の信号波形図を参照して説明する。
【0057】
図9のフローチャートに示した処理では、まずステップS1でセンサーの差動出力電圧がAD変換器28によりAD変換され、マイコン30内に取り込まれる。
【0058】
次に、ステップS2ではステップS1で取り込まれたデータがピークかどうか判定される。その判別は、今回取り込んだデータの前回取り込んだデータに対する変化が、前回取り込んだデータの前々回取り込んだデータに対する変化に対して、正(増加)から負(減少)、または負から正に反転しているかどうかで行われる。そしてピークでないと判定した場合はステップS1に戻り、ピークであると判定した場合はステップS3に移行する。
【0059】
例えば、図7の差動出力波形の点Bの場合は変化が負(減少)のままであってピークではないと判定され、ステップS1に戻って次のデータがAD変換される。その後、点Cのデータを数値化した時点で、負から正ヘの変化の反転が認識され、点Cのデータがピークとして判定され、ステップS3に移行する。
【0060】
ステップS3では、ピークと判定した例えば点Cのデータをマイコン30内のRAM等にピーク値Spとして記憶する。
【0061】
次に、ステップS4では、今回のピーク値Spと前回のピーク値Sp−1との差の絶対値が所定のしきい値Lを超えているかどうかで、ピーク値Spのデータがタイヤ回転検知に有効な有効ピークか否か判定される。ピーク値SpとSp−1との関係は、例えば図7では、Spが点Cの場合でSp−1が点A、Spが点Dの場合で点CがSp−1である。
【0062】
しきい値Lを設定する意図は、ごく小さなピークはS/Nが低く外乱に対して弱いため扱わず、ある程度大きいピークだけを対象にすることで信頼性を確保しようとするものである。当然のことながら、しきい値Lを小さく設定すれば細かくピークが拾え、逆に大きく設定すれば大きいピークだけを対象にでき、タイヤのスチールベルトの着磁状態やセンサーの設置位置によって変わる出力波形にそれぞれ対応させることができる。しきい値Lは、予め測定された最大ピーク間電位差を基準で見て出力波形自身のばらつきが10%程度あるので、前記最大ピーク間電位差の10%〜90%の範囲で設定するのが良い。
【0063】
図7の例では、波形全体を見ると最大ピーク間電位差は約0.5V程度あり、しきい値Lを60%の0.3Vに設定して有効ピークを判定すると、ピークCの場合は直前のピークAとの差は約0.55Vであり、しきい値Lの0.3Vを超えるため、有効ピークとして判定される。しかし、ピークEの場合は、直前のピークDとの差は約0.02V程度であり、しきい値Lを越えないため無視される。したがって、図の矢印の範囲で示すタイヤ1回転に相当する範囲では、C,Dの2つのピークが有効ピークとして判定される。
【0064】
再び図9において、ステップS4で有効ピークとして判定されると、ステップS5でマイコン30の出力ピンより幅の狭いパルス信号が出力される。これは有効ピークの認識をカーナビ本体に伝達することを目的としており、その他の出力形態として、有効ピークと判定した毎に反転するパルス信号としてもよい。
【0065】
ステップS5の次はステップS6に移行する。また、ステップS4の判定で有効ピークでないと判定された場合もステップS6に移行する。ステップS6では、今回のピーク値Spを前回のピーク値Sp−1としてピーク値Sp−1を更新してRAMに記憶し、その後ステップS1のAD変換に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0066】
上述した処理におけるピーク検出および有効ピーク判定には、時間のパラメータが含まれないため、タイヤの回転速度に依存しないタイヤ回転検知が行える。したがって、車両の速度が極低速から高速の走行でも一定の検知性能を保てる。
【0067】
なお、上記の処理において、ステップS5で出力するパルスのパルス数、すなわち有効ピークの検出数をカウントし、その数からタイヤの回転数を求める処理を行なうようにしても良く、さらに求めた回転数にタイヤの直径と円周率をかけて車両の移動距離を求める処理を行なうようにしてもよい。ただし、この場合、本装置ではタイヤの1回転に1パルスが対応して出力される訳ではないため、予め1回転に何パルス対応しているか調べておく必要がある。その他、1回転に対するパルス数は整数倍であるので、カーナビのGPSの測距データとの比較で、整数分の1の補正を行う方法も有効である。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、前述した本発明の課題を解決できる。すなわち、磁気センサー14はMI素子を用いて極めて高感度であり、しかもフラックスゲートセンサーに見られるような帯磁による状態変化が無い。また、磁気センサー14は車両のキャビン内またはトランクルーム内で後部タイヤ近傍に設置することにより、設置が容易で、タイヤからの磁界の検出を良好に行なえる。また、上述した差動検出を行なうことと、マイコン30のピーク検出、有効ピークの判定処理により、外乱の磁界の影響を排除し、タイヤの回転ないし回転数の検知を正確に行なえる。
【0069】
なお、本実施形態では、磁気検出素子としてMI素子を用いるものとしたが、感度が良ければ他の磁気検出素子を用いてもよいことは勿論である。
【0070】
最後に、本実施形態の回転検知装置を搭載した2000ccの普通乗用車で市街地10kmの距離を走行し、移動距離を測定した結果について説明する。
【0071】
テスト走行では、市街地走行のため、停止、発進を繰り返し、速度はかなり変化している。なお、テスト車両のタイヤの径は60cmであり、1回転で1.88m移動する。測定結果は、上述した図8の構成で得られる出力のパルスのカウント数で21982を数え、1回転で2パルス出ていることから、移動距離は9.782kmと計測された。計測誤差は2.2%と良好であり、車両の速度が可変し、外乱磁界の多い市街地でも、カーナビの自立航法に必要な精度を持っていることが証明された。
【0072】
以上の説明から明らかなように、上述した実施形態によれば、車両のタイヤから発生する磁界を磁気センサーにより検出してタイヤの回転を検知するタイヤ回転検知方法において、タイヤは外周部にスチールベルトを内包したタイヤを使用し、車両のキャビン内またはトランクルーム内で後部タイヤ近傍に、磁気検出方向が平行または同一軸になるように配置された一対の磁気検出素子、例えばMI素子を含む磁気センサーを設置し、タイヤの回転による磁界の変化を前記一対の磁気検出素子により差動検出し、該差動検出の出力によりタイヤの回転を検知する方法を採用したので、センサーの設置が容易で、且つタイヤ回転の磁気的検知を高感度に良好に行なえる。また、この方法によれば、従来カーナビで車両本体から引き出していた車速信号ヘの接続が不要となり、その結果、その接続の手間と高価な接続費用が不要となる。
【0073】
また、上述した実施形態におけるタイヤ回転数検知方法では、上記本発明のタイヤ回転検知方法を利用し、上記差動検出の出力波形中に存在する複数のピークのうち、直前のピークとの間の電位差が所定のしきい値以上あるピークをタイヤ回転検知に有効な有効ピークとして検出し、該有効ピークの検出数からタイヤ回転数を求めるようにしたので、外乱磁界の影響を殆ど除去し、且つタイヤの回転速度に依存しないで検知を行なえ、誤差の少ないタイヤ回転数検知が可能となり、例えば車両の移動距離測定に利用して誤差を3%以下とすることができる。
【0074】
さらに上述した実施形態によれば、タイヤ回転検知装置であって、その一部の構成または全体を本発明のタイヤ回転検知方法における磁気センサーとして使用してタイヤ回転検知を良好に行なえるタイヤ回転検知装置を提供し、カーナビ市場の拡大を期待できる。
【0075】
【発明の効果】
以上の説明から容易に理解できるように、本発明によれば、従来カーナビで車両本体から引き出していた車速信号への接続が不要になり、その結果、その手続の手間と高価な接続費用が不要となる。したがって、利用者が簡単にカーナビのシステムを車両に取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における車両内の磁気センサーの設置位置および磁気検出素子(MI素子)の配置を示す車両の平面図およびトランクルーム内の斜視図である。
【図2】同実施形態の磁気センサーの磁気検出回路の構成を示す回路図である。
【図3】同磁気センサーのMI素子どうしの間隔dと磁気検出出力の関係を示すグラフ図である。
【図4】同磁気センサーのMI素子の引出し線長とインピーダンス変化効率の関係を示すグラフ図である。
【図5】タイヤ回転による磁界変化計測試験における磁気センサーの異なる設置位置(測定点)を示すトランクルーム内の斜視図である。
【図6】同試験の各測定点での計測結果を示すオシロ波形の写真である。
【図7】橋梁上での車両走行におけるタイヤ回転による磁界変化の計測結果を示す差動出力の波形図である。
【図8】タイヤ回転検知装置の実施形態の全体の構成を示すブロック図である。
【図9】図8中のマイコン30による信号処理の手順を示すフローチャート図である。
【図10】タイヤ回転による磁界変化の計測結果を示す波形図である。
【符号の説明】
10 車両
12 タイヤ
14 磁気センサー
18A,18B 磁気検出素子(MI素子)
20 高周波発振回路
22A,22B バッファ
24A,24B 検波回路
26 差動増幅回路
28 AD変換器
30 マイコン

Claims (8)

  1. 車両のタイヤの回転を検知するタイヤ回転検知方法であって
    スチールベルトを外周部に内包するタイヤを使用し、前記車両内部に前記スチールベルトが発生する磁界を検出する磁界検出手段を設置し、前記タイヤの回転による前記タイヤのスチールベルトが発生する磁界の変化を前記磁界検出手段によって検出し、その結果に基づいて前記タイヤの回転を検知することを特徴とするタイヤ回転検知方法。
  2. 前記磁界検出手段は、ステアリング操作によって舵角が付与されないタイヤの近傍に設置することを特徴とする請求項に記載のタイヤ回転検知方法。
  3. 前記磁界検出手段は、前記車両のキャビン内またはトランクルーム内で後部タイヤの裏側近傍に設置することを特徴とする請求項に記載のタイヤ回転検知方法。
  4. 車両に取り付けられた、スチールベルトを外周部に内包するタイヤの回転を検知するタイヤ回転検知装置において
    前記車両内部に設置された、前記タイヤの回転による前記スチールベルトが発生する磁界の変化を検出する磁界検出手段と、
    前記磁界検出手段の出力に基づいて前記タイヤの回転を検知する回転検知手段とを有することを特徴とするタイヤ回転検知装置。
  5. 前記磁界検出手段は、ステアリング操作によって舵角が付与されないタイヤの近傍に設置することを特徴とする請求項に記載のタイヤ回転検知装置。
  6. 前記磁界検出手段は、前記車両のキャビン内またはトランクルーム内で後部タイヤの裏側近傍に設置することを特徴とする請求項に記載のタイヤ回転検知装置。
  7. 前記磁界検出手段は、磁気検出方向が平行又は同一軸になるように配置された一対の磁気検出素子を有し、前記タイヤの回転による前記スチールベルトが発生する磁界の変化を前記一対の磁気検出素子により差動検出し、
    前記回転検知手段は、前記磁界検出手段の差動出力に基づいて前記タイヤの回転を検知することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のタイヤ回転検知装置。
  8. 前記回転検知手段は、前記磁界検出手段の出力波形中に存在する複数のピークのうち、直前のピークとの間の電位差が所定のしきい値以上であるピークを有効ピークとして検出し、前記有効ピークの検出数からタイヤの回転数を求めることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のタイヤ回転検知装置。
JP22544797A 1996-08-23 1997-08-22 タイヤ回転検知方法及び装置 Expired - Fee Related JP3619350B2 (ja)

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