JPH10306226A - 有機無機複合着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 - Google Patents

有機無機複合着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子

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JPH10306226A
JPH10306226A JP10731097A JP10731097A JPH10306226A JP H10306226 A JPH10306226 A JP H10306226A JP 10731097 A JP10731097 A JP 10731097A JP 10731097 A JP10731097 A JP 10731097A JP H10306226 A JPH10306226 A JP H10306226A
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organic
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JP10731097A
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Toichi Yamada
都一 山田
Susumu Tanaka
進 田中
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相安定性に優れ、着色材、液晶表示素子用
スペーサ等として好適に用いることができる着色微粒
子、並びに、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子
を提供する。 【解決手段】 トリアルコキシシリル基含有色素及びケ
イ素アルコキシドからなる有機無機複合着色微粒子、並
びに、この有機無機複合着色微粒子からなる液晶表示素
子用スペーサ、及び、この液晶表示素子用スペーサが用
いられている液晶表示素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着色材、液晶表示
素子用スペーサ等として好適に使用される有機無機複合
着色微粒子、並びに、これからなる液晶表示素子用スペ
ーサ、及び、これを用いる液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】ケイ素アルコキシドを加水分解すること
により、酸化ケイ素微粒子を合成する方法はよく知られ
ている。特開平1−138114号公報には、ケイ素ア
ルコキシドと、酸化チタン、カーボンブラック、赤色2
号等の有機又は無機着色材料との混合液を、希釈アンモ
ニア水に滴下することにより着色微粒子を得る方法が開
示されている。
【0003】この方法においては、酸化ケイ素微粒子が
形成される際に、溶解若しくは分散状態で周囲に存在す
る有機又は無機着色材料が微粒子内部へ取り込まれるこ
とにより微粒子の着色が生じる。従って、微粒子形成工
程における微粒子の着色性は、用いられる有機又は無機
着色材料とケイ素アルコキシドとの親和性等の個々の材
料の特性に依存して著しく変化する。
【0004】このような方法では、微粒子の着色の制御
が困難であるので、着色材料不足による微粒子の着色不
良が生じる場合があり、微粒子中に取り込みきれない過
剰の着色材料が生じた場合には、それらを分離する工程
が必要となる等の問題がある。
【0005】また、上述の方法で得られる微粒子は、そ
の粒径が10μm以上となる。このような大粒径の微粒
子を塗料、インキ、トナー、合成樹脂、化粧品等の着色
材として用いると、得られる製品の色の透明性や鮮明性
に難点が生じ得る。
【0006】更に、上述の方法で得られる微粒子におい
ては、微粒子内部へ取り込まれた着色材料は、物理的作
用により微粒子内部に保持されているにすぎないので、
形成された微粒子は色相安定性に劣る。一般に、着色微
粒子の色相安定性は、形成される微粒子寸法が小さくな
るに従って顕著に低減する。通常、着色材として好適な
大きさは、10μm以下であるが、上述の方法によりこ
のような大きさの微粒子を形成させても、色相安定性に
劣る問題がある。
【0007】また、特公平7−82172号公報には、
二枚の電極付き透明基板を電極が対向するように配置
し、この基板間隙に液晶を注入してなる液晶表示素子に
おいて、上記間隙内の液晶に接する基板全面に着色微粒
子からなる着色スペーサを散在させることにより、液晶
表示素子の表示コントラストの低下を防止する技術が開
示されている。
【0008】このような液晶表示素子用着色スペーサと
して、従来の着色微粒子を用いると、着色濃度が低く着
色が不均一であるので、表示コントラストの低下防止効
果が不充分であり、また、微粒子内部の色素が微量なが
ら液晶中に溶出し、液晶の比抵抗値を低下させ、液晶セ
ルの信頼性を損なう等の問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、色相安定性に優れ、着色材、液晶表示素子用スペー
サ等として好適に用いることができる着色微粒子、並び
に、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、トリアルコキ
シシリル基含有色素及びケイ素アルコキシドからなる有
機無機複合着色微粒子である。以下に本発明を詳述す
る。
【0011】本発明において用いられるトリアルコキシ
シリル基含有色素は、炭素数1〜5のアルコキシル基を
有することが好ましい。炭素数が5を超えると、加水分
解反応性が低下するため反応時間が長くなり、微粒子の
収率が低下することがある。
【0012】上記トリアルコキシシリル基含有色素は、
ケイ素アルコキシドと共加水分解可能なトリアルコキシ
シリル基を有する色素であり、例えば、以下の方法によ
り得られる。特開昭54−148820号公報には、ア
ミノ基を有するアゾ染料とエポキシ基含有シランカップ
リング剤との反応により得られる反応性染料が記載され
ている。また、特開昭59−49261号公報、特開昭
59−179565号公報、特開昭60−101151
号公報、特開昭60−101153号公報、特開昭60
−108468号公報及び特開昭60−152568号
公報には、各種の色素化合物とアミノ基含有シランカッ
プリング剤との反応により得られる各種構造のトリアル
コキシシリル基含有色素が記載されている。
【0013】また、反応性基を有するシランカップリン
グ剤と色素化合物とを反応させて形成されるその他のト
リアルコキシシリル基含有色素を用いてもよい。なかで
も、イソシアネート基を有するシランカップリング剤
と、アミノ基、水酸基等の活性水素基を含有する色素と
を反応させることにより形成されるトリアルコキシシリ
ル基含有色素は、穏和な反応条件で合成することができ
るので好ましい。
【0014】更に、特開昭53−134095号公報に
記載されている反応経路により、色素分子にオレフィン
性二重結合基を導入し、その後、これをヒドロシリル化
反応させることにより形成されるトリアルコキシシリル
基含有色素を用いてもよい。
【0015】本発明においては、微粒子調製工程の便宜
から、これらのトリアルコキシシリル基含有色素のなか
でも、有機溶媒可溶性のトリアルコキシシリル基含有色
素が好ましい。
【0016】本発明で用いられるトリアルコキシシリル
基含有色素分子の発色部分は、ケイ素アルコキシドとの
加水分解縮合反応に影響を与え得るイオン性官能基(例
えば、スルホニル基等)を有さず、有機溶媒に可溶性の
ものであれば特に限定されないが、色相の豊富さや色彩
安定性等の観点から、アゾ系、アントラキノン系等であ
ることが好ましい。
【0017】本発明においては、2種以上の色相の異な
るトリアルコキシシリル含有色素を用いることにより、
種々の色調の微粒子を容易に得ることができる。本発明
で用いられるトリアルコキシシリル基含有色素は、アン
トラキノン核を有するトリアルコキシシリル含有色素及
びアゾ基を有するトリアルコキシシリル基含有色素のう
ち少なくとも1種であることが特に好ましい。
【0018】本発明で用いられるトリアルコキシシリル
基含有色素としては、例えば、下記式;
【0019】
【化1】
【0020】で表されるアゾ系色素、下記式;
【0021】
【化2】
【0022】で表されるアゾ系色素;下記式;
【0023】
【化3】
【0024】で表されるアントラキノン系色素、下記
式;
【0025】
【化4】
【0026】で表されるアントラキノン系色素;下記
式;
【0027】
【化5】
【0028】で表される色素;下記式;
【0029】
【化6】
【0030】で表される色素等が挙げられる。本発明に
おいて用いられるケイ素アルコキシドは、上記トリアル
コキシシリル含有色素と共加水分解し得るものである。
【0031】上記ケイ素アルコキシドは、モノアルキル
トリアルコキシシラン及びアルキルシリケート二量体の
うち少なくとも1種よりなるシラン化合物であることが
好ましい。より好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基
を有し、かつ、炭素数1〜5のアルコキシル基を有する
モノアルキルトリアルコキシシラン、及び、炭素数1〜
5のアルキル基を有するアルキルシリケート二量体のう
ち少なくとも1種よりなるシラン化合物である。
【0032】上記モノアルキルトリアルコキシシラン
は、下記一般式; Si(OR1 3 2 (式中、R1 及びR2 は、アルキル基を表す。)で表さ
れる。上記アルキルシリケート二量体は、下記一般式; (R3 O)3 SiOSi(OR3 3 (式中、R3 は、アルキル基を表す。)で表される。本
発明において、R1 、R2 及びR3 の炭素数が5を超え
ると、加水分解反応性が低下するため反応時間が長くな
り、微粒子の収率が低下することがある。
【0033】上記R1 、R2 及びR3 としては、例え
ば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、
ペンチル基等が挙げられる。上記モノアルキルトリアル
コキシシランとしては、例えば、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロ
ポキシシラン等が挙げられる。これらを単独で使用して
も、2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】上記アルキルシリケート二量体としては、
例えば、テトラメチルシリケート二量体、テトラエチル
シリケート二量体、テトラプロピルシリケート二量体、
テトラブチルシリケート二量体等が挙げられる。これら
を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよ
い。
【0035】本発明において、上記ケイ素アルコキシド
の純度は重要であり、三量体以上のアルキルシリケート
多量体の混入率が10%を超えると、反応時においてゲ
ル化が進行して反応系が不均一となり、粒径の大きな粒
子が得られなくなるおそれがある。本発明においては、
微粒子調製工程の便宜から、上記ケイ素アルコキシド
は、有機溶媒可溶性であることが好ましい。
【0036】本発明においては、上記トリアルコキシシ
リル基含有色素と、上記ケイ素アルコキシドとを、アン
モニウムイオン触媒の存在下で、加水分解当量を超える
水を含む有機溶液中に添加し、共加水分解させることに
より、有機無機複合着色微粒子を得ることができる。
【0037】上記共加水分解反応においては、まず、上
記ケイ素アルコキシドを0〜10℃で0.5〜3時間反
応させてシード粒子を生成させ、ついで1時間当たり4
〜8℃の昇温速度で15〜20℃まで昇温して反応させ
ることにより、シード粒子を成長させる。
【0038】ここで用いられる「有機溶液」とは、水と
アンモニウムイオンとが溶解又はミセルとして均一に分
散された有機溶媒溶液を意味する。上記有機溶液で用い
られる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、t−ブタノール、エチレングリコール、エチレンジ
グリコール、プロピレングリコール、プロピレンジグリ
コール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン;酢酸エチル等のエステル;イソオクタン、
シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン;ジエチルエ
ーテル、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン
等の芳香族化合物;及びこれらの組み合せ等が挙げられ
る。水及びアンモニアと相溶しない有機溶媒の場合に
は、界面活性剤を添加することにより均一なミセルとし
てもよい。
【0039】上記共加水分解反応においては、上記トリ
アルコキシシリル基含有色素は、共加水分解するケイ素
アルコキシドのケイ素原子1モルに対して0.4モル以
下であることが好ましい。0.4モルを超えると、微粒
子状生成物が得られ難く、樹脂状の生成物となることが
ある。より好ましくは、0.2モル以下である。添加量
の下限は特に限定されず、色素の着色力と希望する粒子
の色調の濃淡によって適宜選択される。
【0040】上記共加水分解工程においては、上記有機
溶液に含有される上記トリアルコキシシリル基含有色素
のモル量と上記ケイ素アルコキシドのモル量との合計
が、2モル/L以下であることが好ましい。2モル/L
を超えると、得られる微粒子が凝集し易くなる。
【0041】上記共加水分解工程において、上記有機溶
液中に存在させる水の量は、上記トリアルコキシシリル
基含有色素及び上記ケイ素アルコキシドの両方に含有さ
れるすべてのアルコキシル基を加水分解して完全に縮合
させるために必要な水の理論量を上回る必要がある。通
常は、2モルのアルコキシル基を共加水分解して縮合さ
せるためには1モルの水が必要とされる。従って、上記
有機溶液中に合有される水の量は、反応に用いられるト
リアルコキシシリル基含有色素及びケイ素アルコキシド
の両方に含有されるすべてのアルコキシル基のモル量の
1/2(以下、この量を「加水分解当量」という)を超
えるモル量である。
【0042】上記共加水分解工程において、上記有機溶
液中に含有させる水の量は、上記トリアルコキシシリル
基含有色素中のアルコキシシリル基のモル量及び上記ケ
イ素アルコキシドのモル量の合計に対して2〜1000
倍のモル量であって、上記加水分解当量を超える量であ
ることが好ましい。上記加水分解当量以下であると、微
粒子状反応物が得られない場合が生じ、1000倍のモ
ル量を超えると、加水分解生成物の縮合による粒子の析
出が阻害され、着色微粒子の収量が低下する場合が生じ
る。
【0043】上記共加水分解反応において、触媒として
機能するアンモニウムイオンは、アンモニアガスを上記
有機溶液に吸収させる方法又はアンモニア水を上記有機
溶液に添加する方法により上記有機溶液中に存在させる
ことができる。また、上記有機溶液中でアンモニウムイ
オンを発生しうる化合物を添加してもよい。
【0044】上記アンモニウムイオンの添加量は、反応
させるトリアルコキシシリル基含有色素のモル量及びケ
イ素アルコキシドのモル量の合計に対して1〜100倍
のモル量であることが好ましい。1倍のモル量未満であ
ると、微粒子状反応物が得られない場合が生じ、100
倍のモル量を超えると、加水分解生成物の縮合による微
粒子の析出が阻害され、着色微粒子の収量が低下する場
合が生じる。
【0045】本発明の有機無機複合着色微粒子は、着色
材として用いる場合には、粒径が小さいほど着色力や色
相の鮮明さに有利であるので、粒径10μm以下である
ことが好ましい。特に着色材として透明性が要求される
場合には、粒径1μm以下であることが好ましい。
【0046】本発明の有機無機複合着色微粒子の形状、
粒子寸法及び分散状態は、上記有機溶液中に存在する水
及びアンモニウムイオンの量に依存して変化する。従っ
て、着色材として好適に使用可能な粒径10μm以下の
有機無機複合着色微粒子を得るためには、水及びアンモ
ニウムイオンの量を上述の範囲内で適宜調節する必要が
ある。また、粒径10μm以下の有機無機複合着色微粒
子を得るために好適な有機溶液中に存在する水及びアン
モニウムイオンの量は上記ケイ素アルコキシド及び上記
トリアルコキシシリル基含有色素の構造、添加量等に依
存して変化する。
【0047】本発明の有機無機複合着色微粒子を製造す
るには、例えば、以下の方法が用いられる。上記トリア
ルコキシシリル基含有色素と上記ケイ素アルコキシドと
を適当な有機溶媒中に加えて均一溶液又は分散液とし、
この溶液又は分散液が上記有機溶液に添加される。この
ような添加と同時又は添加後に、例えば、0〜30℃の
範囲、好ましくは0〜20℃の範囲で30分〜10時
間、有機溶液を攪拌することにより共加水分解反応が行
われる。生成した有機無機複合着色微粒子は適宜濃縮、
分離、洗浄、乾燥して単離することができる。攪拌、混
合方法や単離方法等具体的な製造方法については、従来
公知の方法を用いることができる。このような操作によ
り着色及び粒径が均一で色相安定性に優れる有機無機複
合着色微粒子を得ることができる。
【0048】そのほかの製造方法として、まず、上記ト
リアルコキシシリル基含有色素と上記ケイ素アルコキシ
ドとの均一な有機溶媒溶液又は分散液に加水分解当量を
下回る量の水を加えて部分的に加水分解させる。つい
で、得られる溶液を上記有機溶液に添加することにより
有機無機複合着色微粒子を得ることができる。
【0049】本発明においては、上記共加水分解反応に
よって微粒子を得る第一工程の後に、触媒の存在下でこ
の微粒子を核として用いて、上記ケイ素アルコキシド及
び上記トリアルコキシシリル基含有色素と更に反応させ
ることにより、第一工程で得られた核微粒子を成長させ
ることも可能である。この微粒子成長工程を複数回繰り
返すこともできる。
【0050】上記微粒子成長工程において、所望の場合
には、上記ケイ素アルコキシドのみを用いて成長反応を
行うことにより核微粒子表面上に酸化ケイ素層を形成さ
せることができる。この操作により、有機無機複合着色
微粒子の色相安定性を増大させることが可能である。
【0051】本発明において、粒子内部に色素構造が結
合、固定化された色相安定性に優れる有機無機複合着色
微粒子を形成するためには、上記ケイ素アルコキシドの
全部又は一部とトリアルコキシシリル基含有色素とを共
加水分解させることが必要である。
【0052】他方、ケイ素アルコキシドを単独で加水分
解することにより酸化ケイ素微粒子を形成した後に、ト
リアルコキシシリル基含有色素を添加して反応させる方
法では本発明の有機無機複合着色微粒子は得られない。
このような操作により得られる着色微粒子は無色の酸化
ケイ素微粒子の表面に色素層が形成された2層構造とな
る。このような堅牢な無機微粒子を柔らかい有機色素層
で覆う構造の着色微粒子は、着色安定性及び色相安定性
に劣る。また、このような着色微粒子を着色材として使
用する場合の特性(例えば、分散性等)は、微粒子表面
を覆う着色層の特性に著しく依存するので好ましくな
い。
【0053】本発明の有機無機複合着色微粒子は、塗
料、インキ、トナー、合成樹脂、化粧品分野等において
着色材として好適に使用され、また、液晶表示素子用ス
ペーサとして好適に使用される。
【0054】本発明の有機無機複合着色微粒子からなる
液晶表示素子用スペーサ、及び、この液晶表示素子用ス
ペーサが用いられている液晶表示素子もまた、本発明の
一つである。本発明の液晶表示素子用スペーサは、平均
粒子径が0.1〜20μmであり、平均粒子径の変動係
数が50%以下であることが好ましい。本発明の液晶表
示素子用スペーサを用いた液晶表示素子は、高コントラ
ストを有し、表示品質に優れている。
【0055】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0056】実施例1 1,8−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)アントラ
キノン0.98重量部、γ−イソシアネートプロピルト
リメトキシシラン(信越化学社製、KBM−9007)
1.85重量部、トリエチルアミン0.05重量部及び
メチルエチルケトン50重量部からなる混合物を6時間
加熱還流させることにより反応を行った。ついで、減圧
下で溶剤及び低沸点物を除去してトリメトキシシリル基
含有色素を得た。
【0057】この色素1.78重量部及びテトラエチル
シリケート二量体3.68重量部をアセトン25重量部
に混合し、28%アンモニア水4.05重量部、水9.
23重量部及びエタノール180重量部からなる有機溶
液中に添加した。この反応混合物を5℃で3時間攪拌し
た。この反応で有機無機複合着色微粒子のシード粒子が
生成し、これが分散した反応液が得られた。ついで、シ
ード粒子が分散した上記反応液を5℃/1時間の昇温速
度で昇温し、2時間後に反応を終了した。得られた有機
無機複合着色微粒子を遠心分離し、洗液が着色しなくな
るまでエタノール洗浄を繰り返した。ついで減圧下70
℃にて5時間乾燥させ、濃赤色の有機無機複合着色微粒
子を得た。電子顕微鏡を用いた観察によるこの有機無機
複合着色微粒子の平均粒径は1.58μm、平均粒径の
標準偏差は0.0392μmであり、平均粒径の標準偏
差は2.48%であった。
【0058】実施例2 4−アミノアゾベンゼン9.85重量部及びγ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、K
BM−403)12.95重量部を180℃で6時間加
熱することにより反応させた。ついで減圧下で低沸点物
を除去してトリメトキシシリル基含有色素を得た。
【0059】この色素10.4重量部及びメチルトリメ
トキシシラン13.1重量部を、アセトン50重量部及
びメタノール50重量部に混合し、28%アンモニア水
14.55重量部、水0.3重量部及びメタノール11
0重量部からなる有機溶液中に添加した。この反応混合
物を0℃で3時間攪拌した。この反応で有機無機複合着
色微粒子のシード粒子が生成し、これが分散した反応液
が得られた。ついで、シード粒子が分散した上記反応液
を8℃/1時間の昇温速度で昇温し、2時間後に反応を
終了した。その後、実施例1と同様にして、濃黄色の有
機無機複合着色微粒子を得た。電子顕微鏡を用いた観察
によるこの微粒子の平均粒径は1.41μm、平均粒径
の標準偏差は0.0396μmであり、平均粒径の標準
偏差は2.81%であった。
【0060】実施例3 1,8−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)アントラ
キノンの代わりに1,4−ビス(β−ヒドロキシエチル
アミノ)アントラキノンを用いて実施例1と同様にして
トリメトキシシリル基含有色素を得た。
【0061】この色素0.85重量部及びテトラメチル
シリケート二量体3.34重量部をトルエン125重量
部に混合し、28%アンモニア水34.55重量部、水
170重量部、トルエン822重量部及び非イオン性界
面活性剤(花王社製、エマルゲン906)94.7重量
部からなる有機溶液に添加した。この反応混合物を10
℃で1時間攪拌した。この反応で有機無機複合着色微粒
子のシード粒子が生成し、これが分散した反応液が得ら
れた。ついで、シード粒子が分散した上記反応液を4℃
/1時間の昇温速度で昇温し、1時間後に反応を終了し
た。その後、実施例1と同様にして、濃青色の有機無機
複合着色微粒子を得た。電子顕微鏡を用いた観察による
この微粒子の平均粒径は1.70μm、平均粒径の標準
偏差は0.0547μmであり、平均粒径の標準偏差は
3.22%であった。
【0062】比較例1 1,8−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)アントラ
キノンをγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラ
ンと反応させないこと以外は実施例1と同様にして微粒
子を生成させた。生成した微粒子をエタノール洗浄した
ところ色が落ちてわずかに赤色を呈する微粒子が得られ
た。電子顕微鏡を用いた観察によるこの微粒子の平均粒
径は1.15μmであった。
【0063】実施例4 透明電極を有する2枚の透明基板に、絶縁層としてSi
2 膜を形成した後、ポリフマル酸ジイソプロピルの配
向膜をスピンナーで塗布し、200℃で焼成して120
Åの膜厚に形成した。ついで両側の基板がパラレル配向
となるようラビング処理を施し、1.50μmのセル間
隙となるよう実施例1で得られた有機無機複合着色微粒
子をスペーサとして散布して液晶セルを形成した。この
液晶セルに表1の組成の強誘電性液晶組成物を注入し
た。
【0064】
【表1】
【0065】表1中の液晶化合物(1)〜(10)は、
以下のものである。
【0066】
【化7】
【0067】この強誘電性液晶組成物の相転位温度は次
の通りであった。
【0068】
【化8】
【0069】この液晶セルを70℃に熱してから徐冷し
た。この液晶セルに、±20Vの矩形のパルス波を常温
で印加駆動すると、ユニフォームの2状態間でスイッチ
ングした。このユニフォームの2状態を直交ニコル下で
観察すると、2状態のそれぞれが光透過率の低い黒レベ
ルが得られた。そのときの偏光軸方向が見掛けのダイレ
クターを示しているが、2状態の見掛けのダイレクター
の角度が見掛けのコーン角であり、約15°であった。
【0070】この液晶セルに、20KHzの矩形波交流
を印加し電圧を上げて行くと、ACスタビライズド効果
により見掛けのコーン角が広がり、いわゆるON−OF
Fのコントラストが上がって行った。この液晶セルで
は、±6.5Vから見掛けのコーン角が広がり始めて、
±10Vで見掛けのコーン角が34°まで広がった。直
交ニコル下で片方の状態を透過光量が最小となるように
偏光軸を設定すると、1:20のコントラストが得られ
た。この液晶セルの応答速度は30Vの矩形波交流駆動
で30μ秒であり、1/3バイアスのスイッチング波形
で波高値30Vの電圧を印加すると、パルス幅30μ秒
まで応答し、かつ、バイアス部の交流波形でACスタビ
ライズド効果が得られ、高いコントラストのスイッチン
グが可能であった。
【0071】実施例5 2枚のITO電極を有する透明基板に、絶縁層としてS
iO2 膜を形成した後、日立化成社製、ポリアミド系配
向剤を塗布し、焼成して厚さ200Åの配向膜を得、両
側の基板がパラレル配向となる向きにラビング処理を施
し、1.34μmのセル間隙となるよう実施例2で得ら
れた有機無機複合着色微粒子をスペーサとして散布して
液晶セルを形成した。この液晶セルに表2の組成の強誘
電性液晶組成物を注入した。
【0072】
【表2】
【0073】表2及び表3中の液晶化合物(11)〜
(19)は、以下のものである。
【0074】
【化9】
【0075】この強誘電性液晶組成物の相転位温度は次
の通りであった。
【0076】
【化10】
【0077】この液晶セルを70℃に熱してから徐冷す
ると、ユニフォームの2状態とツイストの2状態の4状
態が混在した初期配向状態が得られた。この液晶セル
に、±20Vの矩形のパルス波を常温で印加駆動する
と、ユニフォームの2状態間でスイッチングした。この
ユニフォームの2状態を直交ニコル下で観察すると、2
状態のそれぞれが黒レベルが得られる見掛けのダイレク
ターの角度すなわち見掛けのコーン角は約15°であっ
た。
【0078】この液晶セルに、20KHzの矩形波交流
を印加し電圧を上げて行くと、ACスタビライズド効果
により見掛けのコーン角が広がり、いわゆるON−OF
Fのコントラストが上がって行った。この液晶セルで
は、土6Vから見掛けのコーン角が広がり始めて、±1
0Vで見掛けのコーン角が36°まで広がった。直交ニ
コル下で片方の状態を透過光量が最小となるように偏光
軸を設定すると、1:25のコントラストが得られた。
この液晶セルの応答速度は30Vの矩形波交流駆動で2
5μ秒であり、1/3バイアスのスイッチング波形で波
高値30Vの電圧波形を印加すると、パルス幅25μ秒
まで応答し、かつ、バイアス部の交流波形でACスタビ
ライズド効果が得られ、高いコントラストのスイッチン
グが可能であった。
【0079】実施例6 透明電極を有する透明基板に、絶縁層としてSiO2
を形成した後、ポリフマル酸ジイソプロピルとポリ(イ
ソプロピル1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロ
デシルフマレート)とを重量比で4:1の比率で溶媒に
溶かした後、この液をスピンナーで塗布し、焼成して1
50Åの膜厚の配向膜に形成した。ついで両側の基板が
パラレル配向となる向きにラビング処理を施し、1.6
2μmのセル間隙となるよう実施例3で得られた有機無
機複合着色微粒子をスペーサとして散布して液晶セルを
形成した。この液晶セルに表3の組成の強誘電性液晶組
成物を注入した。
【0080】
【表3】
【0081】この強誘電性液晶組成物の相転位温度は次
の通りであった。
【0082】
【化11】
【0083】この液晶セルを70℃に熱してから徐冷す
ると、初期配向状態としてユニフォームの2状態が得ら
れ、±20Vの矩形波パルスでの応答速度として、8.
5μ秒の応答が得られた。そして、実施例4及び実施例
5と同様にしてACスタビライズド効果を確認したが、
±10Vの20KHzの矩形波交流を印加で35°の見
掛けのコーン角に広がった。この液晶セルは30℃で
は、1/3バイアスのスイッチング波形で波高値30V
の電圧波形を印加すると、パルス幅20μ秒まで応答
し、かつ、ACスタビライズド効果により、高いコント
ラスト(23:1)が得られた。
【0084】
【発明の効果】本発明の有機無機複合着色微粒子は、上
述の通りであるので、色相安定性に優れ、塗料、イン
キ、トナー、合成樹脂、化粧品分野等において着色材と
して好適に使用され、また、液晶表示素子用スペーサと
して好適に使用される。この液晶表示素子用スペーサを
用いた液晶表示素子は、高コントラストを有し、表示品
質に優れている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリアルコキシシリル基含有色素及びケ
    イ素アルコキシドからなることを特徴とする有機無機複
    合着色微粒子。
  2. 【請求項2】 トリアルコキシシリル基含有色素が、炭
    素数1〜5のアルコキシル基を有することを特徴とする
    請求項1記載の有機無機複合着色微粒子。
  3. 【請求項3】 トリアルコキシシリル基含有色素が、ア
    ントラキノン核を有するトリアルコキシシリル基含有色
    素及びアゾ基を有するトリアルコキシシリル基含有色素
    のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の有機無機複合着色微粒子。
  4. 【請求項4】 ケイ素アルコキシドが、モノアルキルト
    リアルコキシシラン及びアルキルシリケート二量体のう
    ち少なくとも1種よりなるシラン化合物であることを特
    徴とする請求項1、2又は3記載の有機無機複合着色微
    粒子。
  5. 【請求項5】 ケイ素アルコキシドが、炭素数1〜5の
    アルキル基を有し、かつ、炭素数1〜5のアルコキシル
    基を有するモノアルキルトリアルコキシシラン、及び、
    炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート
    二量体のうち少なくとも1種よりなるシラン化合物であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の有機
    無機複合着色微粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の有機
    無機複合着色微粒子からなることを特徴とする液晶表示
    素子用スペーサ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の液晶表示素子用スペーサ
    が用いられていることを特徴とする液晶表示素子。
JP10731097A 1997-03-07 1997-04-24 有機無機複合着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 Pending JPH10306226A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1036763A1 (de) * 1999-02-12 2000-09-20 micromod Partikeltechnologie GmbH Verfahren zur Herstellung gefärbter und fluoreszenter Polykieselsäure-Partikel

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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