JPH1030324A - パネル敷設床面 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】エキスパンションジョイントが取付けられた躯
体面に床パネルを敷設して床面を形成する場合に、躯体
間隙の変動に効果的に追従でき、床パネルの破損などを
招来する虞れのないパネル敷設床面を提供する。 【解決手段】エキスパンションジョイント４が取付けら
れた躯体１，１面に単位床パネル４，５，６を縦横に敷
設し、躯体間隙２の上方の床パネル５，６の側端部を傾
斜状に形成して互いに重ね合わせて配置し、当該端部が
重ね合わされた床パネルの内、側端部が床上面側となる
床パネル６を躯体１に固定せずに敷設して床面を形成す
る。躯体間隙２が狭まると、床パネル６が床パネル５の
上方に食い違いに変位して変動を吸収し、パネル同士の
衝突による破損を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エキスパンション
ジョイントが取付けられた躯体面に床パネルを複数個敷
設して床面を形成するパネル敷設床面に関する。

【０００２】

【従来の技術】景観改良やスペースの有効利用を図るた
め、建物の屋上部などのエキスパンションジョイントが
取付けられた躯体面に、デッキパネルなどの単位床パネ
ルを敷きつめて床面を形成することがある。この場合、
床パネルをアンカーで躯体面に固定したり、並設したパ
ネル同士をボルトなどで連結したりして、床パネルを躯
体と一体に設置するようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法によれば、
各パネルが躯体と一体なため、躯体が変位してエキスパ
ンションジョイントで被閉された躯体間隙に変動が生じ
ると、これに床面が追従できず、隣接する床パネル同士
が衝突し合ってパネルが壊れてしまうという問題があっ
た。本発明は従来のこのような問題点に鑑み、エキスパ
ンションジョイントが取付けられた躯体面に床パネルを
敷設して床面を形成する場合に、躯体間隙の変動に効果
的に追従でき、床パネルの破損などを招来する虞れのな
いパネル敷設床面を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、隣接する躯体の間隙を被閉するように取付けられた
エキスパンションジョイントと両躯体の上面に複数個の
床パネルを敷設して床面を形成する本発明のパネル敷設
床面は、上記躯体間隙上の床パネル及びこれに隣接する
床パネルの側端部を傾斜状に形成して対向配置すると共
に、対向部が床上面側となる床パネルを当該対向部が上
下動し得るように設けて一方の躯体側に敷設し、対向部
が床下面側となる床パネルを他方の躯体側に敷設したこ
とを特徴とするものである。床パネルとして、根太上に
長尺平面板を並設してなるデッキパネルを用いることが
でき、この場合、上記長尺平面板の並設方向が躯体間隙
の長尺方向と平行となるように敷設することが好まし
い。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、図面により本発明な好適な
実施例を説明する。図１〜図３は本発明の第１実施例を
示し、これは、床パネルとして長尺平面板をスノコ状に
配設してなるデッキパネルを用い、これを複数個敷設し
て床面を形成したものであり、図中、符号１は躯体、２
は両躯体間の躯体間隙を示し、３は躯体間隙２が被閉さ
れるように躯体１，１間に架け渡して設置されたエキス
パンションジョイント、４，５，６は躯体１，１及びエ
キスパンションジョイント３上に敷設されたデッキパネ
ル、７は上記デッキパネルを敷設して形成された床面を
示している。なお、各図は上記部材の配設状態を断面図
で示しており、各部材は図の奥行き方向に長尺のもので
ある。

【０００６】エキスパンションジョイント３は、躯体
１，１の端部にホルダー８，８を固着し、両ホルダーで
躯体間隙２を被閉するカバー板９の側端部を摺動自在に
支持してなるものであり、躯体１，１の変位による躯体
間隙２の伸縮や位置ズレに対し、カバー板９を支持する
ホルダー８，８を相対的に移動せしめて、変動を吸収で
きるように設置されている。このエキスパンションジョ
イントの構成は任意であり、種々の形態、構造のものを
採用でき、本発明は特定構造のものに限定されない。

【０００７】デッキパネル４，５，６は、図２に示され
ているように、それぞれ適宜な高さを有する複数本の根
太１０を定間隔で平行に配置し、それらの上面に複数枚
の長尺平面板１１を適宜な間隙１２を挟んで定間隔で並
置し、且つボルトナットなどの適宜固着手段により固着
して形成されており、躯体１，１面上に、上記平面板１
１の並設方向が躯体間隙２の長手方向と平行になるよう
に向け、隣接パネル間で上記間隙１２と同幅の間隙１３
を設けて縦横に並べて設置されている。

【０００８】各パネルは、根太１０の下方に突設した高
さ調整用ボルト１４により躯体面上でパネル面の不陸を
調節できるようになっており、この内、エキスパンショ
ンジョイント３の両側に設置されたデッキパネル４，５
は、上記ボルト１４の端部を躯体１に圧入させて躯体１
に一体的に固定してもよく、また、エキスパンションジ
ョイント３上に設置されたデッキパネル６は、一端のボ
ルト１４ａの端部を躯体１に固定してよいが、他端のボ
ルト１４は躯体１上に載置するのみで当該位置に固定せ
ず、躯体面上を適宜摺動し、移動し得るように設置され
ている。図では、デッキパネル６の一端、すなわちデッ
キパネル４側のボルト１４ａを躯体１に固定し、デッキ
パネル５側のボルト１４ｂを固定しない構成としてあ
る。

【０００９】而して、図２に示されているように、デッ
キパネル５とデッキパネル６の側端部は、それぞれの側
端面が互いに平行状の傾斜面となるように、より詳しく
は、デッキパネル５は側端面５ａが下面５ｃに対して約
４５°の角度をなして上方傾斜し、デッキパネル６は側
端面６ａが上面６ｂに対して約４５°の角度をなして下
方傾斜するように形成されており、デッキパネル６の側
端部が床面７の上面側、デッキパネル５の側端部が床面
７の下面側となるように配置して両端面５ａ，６ａを上
下に向かい合わせると共に、所定の間隔、好ましくは長
尺平面板１１の配置間隙１２と同幅分離間させ、且つ両
パネルの上面５ｂ，６ｂが同一平面に納まるように水平
に保持して対向配置されている。

【００１０】両パネルの側端部は、傾斜状に設けたこと
に伴う薄肉化による当該部分の剛性の低下を防止するた
め、平面板１１を構成する部材の材質や硬度などに応じ
て適宜な傾斜角度とすることができる。平面板１１を木
材により形成した場合、側端面６ａが上面６ｂに対して
少なくとも３０°以上となるように設けることが好まし
い。

【００１１】また、デッキパネル６の側端面６ａが形成
されている側の根太１０の端部は側端面６ａと同向きで
傾斜するように切り欠かれており、デッキパネル５の根
太１０の端部との間が幅広の間隙１５となるように設け
られている。

【００１２】本例のパネル敷設床面は上記の通り形成さ
れており、躯体１，１が変位すると、躯体に固定された
デッキパネル４，５はこれと一体に変位するが、デッキ
パネル６は少なくとも一端が躯体に固定されておらず、
当該固定されていない側の躯体に対しては可動自在であ
るので、躯体間隙２の変動に応じて躯体１，１面上を適
宜相対的に摺動し、これにより躯体間隙２の変動を吸収
することができる。

【００１３】すなわち、躯体１，１が水平方向（図１中
左右方向）に変位して、躯体間隙２が拡がったときは、
デッキパネル６の両側のデッキパネル４，５がそれぞれ
躯体の変位方向に移動し、これらパネルとデッキパネル
６の間隙は、図３（Ａ）に示されているように、両躯体
１，１の変位距離に応じ拡がることとなる。一方、両躯
体１，１が変位し、躯体間隙２が狭まったときには、デ
ッキパネル６の側端部にデッキパネル４，５の側端部が
それぞれ当接し、デッキパネル６は両側から押圧される
が、同図（Ｂ）に示されているように、デッキパネル６
はデッキパネル５と傾斜した側端面５ａ，６ａを介して
当接しているため、デッキパネル６の側端部は当該面に
沿って上方に摺動移動してデッキパネル５の上面５ｂに
乗り上げ、これにより躯体間隙２の変動を吸収し、パネ
ル同士の押圧によって当該部分が破損することを防止す
ることができるようになっている。

【００１４】この場合、デッキパネル６の側端面６ａが
形成されている側の根太１０の端部が切り欠かれ、デッ
キパネル５の根太１０の間に間隙１５が設けてあるの
で、デッキパネル６の側端部がデッキパネル５の上方に
摺動するときに、当該根太がデッキパネル５の表面部に
接触したり引っ掛かったりしてデッキパネル６の変位が
阻害されることはなく、デッキパネル６の移動をスムー
ズに行わせることができる。

【００１５】図４は本発明の第２実施例を示し、これ
は、エキスパンションジョイント３の上方に配置された
床パネル１６と、これに隣接し躯体１に固定された床パ
ネル１７の側端部を上記と同様に互いに平行状の傾斜面
に設けて対向配置し、上記床パネル１６を、一端を躯体
１に固定された床パネル１８に蝶番１９を介して連結し
他端を躯体１に固定せず可動自在に設けて床面７を形成
したものである。本例によっても、躯体１，１の変位に
よる躯体間隙２の変動に対し、床パネル１６が床パネル
１８と一体に躯体１上を摺動して変動を吸収し、躯体間
隙２が狭まったときには、傾斜させて設けた床パネル１
６，１７の側端面１６ａ，１７ａにより床パネル１６の
側端部を床パネル１７の上方に変位せしめ、パネル同士
の衝突、押圧などによる破損を防止することができる。

【００１６】なお、各実施例の説明では、躯体間隙の一
方向（左右方向）の変動に対する作用について説明した
が、図示されないパネルの前後方向においても、躯体に
固定されたパネルと可動式のパネルに傾斜した側端面を
設けて互いに重ね合わせて配置すれば、同方向の変動に
対して追従し、パネルの破損を防止することができるも
のである。また、勿論、デッキパネルの平面板は、躯体
間隙の長手方向に対して交差する方向に並設してもよ
い。

【００１７】

【発明の効果】以上の通り本発明のパネル敷設床面によ
れば、エキスパンションジョイントが取付けられた躯体
面に敷設された床パネル内に、少なくとも一方の躯体に
固定されない床パネルを配設し、この床パネル及びこれ
と隣接する床パネルの側端部を傾斜状に形成し、且つ両
側端部を対向させて配置したので、躯体間隙が狭まった
としても、上記躯体に固定されない可動式の床パネルの
側端部が隣接する床パネルの上方に食い違いに変位して
変動を吸収でき、パネル同士の衝突などによる床パネル
の破損を招来する虞れがなく、変動追従性に優れた床面
とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の床面の取付け状態を断面で
示した図である。

【図２】図１のデッキパネル接合端部の拡大図である。

【図３】図１の床面において、（Ａ）は躯体間隙が拡が
った状態、（Ｂ）は狭まった状態をそれぞれ示す拡大図
である。

【図４】本発明の他の実施例の床面の取付け状態を断面
で示した図である。

【符号の説明】

1 躯体 2 躯体間隙 3 エキスパンションジョイント 4,5,6 デッキパネル 7 床面 8 ホルダー 9 カバー板 10 根太 11 平面板 12,13,15 間隙 14 ボルト 16,17,18 床パネル 19 蝶番

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接する躯体の間隙を被閉するように取
   付けられたエキスパンションジョイントと両躯体の上面
   に複数個の床パネルを敷設して床面を形成するパネル敷
   設床面において、上記躯体間隙上の床パネル及びこれに
   隣接する床パネルの側端部を傾斜状に形成して対向配置
   すると共に、上記対向部が床上面側となる床パネルを当
   該対向部が上下動し得るように設けて一方の躯体側に敷
   設し、上記対向部が床下面側となる床パネルを他方の躯
   体側に敷設したことを特徴とするパネル敷設床面。
2. 【請求項２】 根太上に長尺平面板を並設してなるデッ
   キパネルを、当該長尺平面板の並設方向が躯体間隙の長
   尺方向と平行となるように敷設したことを特徴とする請
   求項１に記載のパネル敷設床面。