JP4159416B2 - 耐火面材の取付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建物の天井や床に、石膏ボード等の耐火面材を取付けてなる耐火面材の取付け構造に関する。
【0002】
【背景の技術】
住宅等の建物の天井には、通常石膏ボード等からなる耐火面材が取付けられており、耐火性をさらに向上させるために、耐火面材を2重に取付ける場合がある。この技術の一例について、例えば特許文献1に記載されている。
すなわち、この特許文献1に記載の技術では、矩形状に形成されている石膏ボードが複数並列されるとともに、該石膏ボードが2枚重ねられている。2枚重ねられる石膏ボードどうしは、ある方向に長辺となるように矩形状に形成されている石膏ボード上に、該方向と直交する方向に長辺となるように矩形状に形成されている石膏ボードが位置するように接着されている。2枚重ねした石膏ボードの双方ともそれぞれその厚さは等しくなっている。
このように石膏ボードを2枚重ねすることによって、耐火性能が向上するのは勿論のこと、石膏ボードの剛性が確保されるとともに、該石膏ボード合板の反りが防止されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−096965号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、天井に石膏ボード等の耐火面材を2枚重ねで取付ける場合、天井の表面となる表面耐火面材の継目はなるべく少ない方が望ましい。それは、防火性能上、継目がなるべく少ない方が防火上の欠点が少なくなり有効となるからである。また、表面耐火面材の表面には、最終的にクロスを貼り付けるため、耐火面材どうしの継目においては、クロスに継目に沿った筋等が入り易く、この筋等が入らないようにクロスを貼り付けるのに手間がかかるばかりか、継目に沿ってクロスが切れる場合もあり、その補修に手間がかかるからでもある。
表面耐火面材どうしの継目をなるべく少なくするには、表面耐火面材を大きくするなどして、表面耐火面材どうしの継目を少なくすればよいが、表面耐火面材を大きくすると表面耐火面材の重量が嵩み、取り扱い難くなる。
一方、表面耐火面材の重量が嵩まないように薄くすると、この表面耐火面材と下張り耐火面材との合計の厚さが薄くなり、耐火性能が低下する。
そこで、下張り耐火面材の厚さを厚くすれば、表面耐火面材と下張り耐火面材との合計の厚さを所定の厚さにすることができるが、下張り耐火面材の重量が嵩んでしまい、取り扱い難くなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、天井や床に、耐火面材を2枚重ねで取付ける場合に、表面耐火面材と下張り耐火面材の重量の嵩みを抑えることができるとともに、表面耐火面材と下張り耐火面材との合計の厚さを所定の厚さにできる耐火面材の取付け構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
井に、耐火面材を取付けてなる耐火面材の取付け構造であって、例えば図1〜図9に示すように、
前記天井に設けられた天井野縁8に、方形板状の複数の下張り耐火面材10が取付けられており、これら下張り耐火面材10によって形成された取付面には、方形板状の複数の表面耐火面材12が取付けられており、
前記表面耐火面材12どうしの継目T3,T4の長さの総延長は、前記下張り耐火面材10どうしの継目T1,T2の長さの総延長より短くなっており、
前記表面耐火面材12は、前記下張り耐火面材10より薄く形成されており、
前記表面耐火面材12(例えば表面耐火面材12e)は、前記下張り耐火面材10(例えば下張り耐火面材10a〜10c)より面積が大きく、
前記下張り耐火面材10と表面耐火面材12とは、それぞれ長方形板状をなしており、
これら下張り耐火面材10と表面耐火面材12とは、平面視において、それらの長辺どうしが直交するようにして、配置されており、
前記下張り耐火面材10の短辺どうしの継目T1と、前記表面耐火面材12の長辺どうしの継目T4とは、平面視において一致しておらず、
前記下張り耐火面材10は、短辺どうしの継目T1が、短辺方向に連続しないようにして配置されており、
前記天井野縁8は、複数の野縁材を格子状に組立てたものであり、
前記下張り耐火面材10どうしの継目T1,T2および前記表面耐火面材12どうしの継目T3,T4は全て前記天井野縁8の野縁材上に位置しており、
前記下張り耐火面材10および前記表面耐火面材12はいずれも石膏ボードで形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、天井または床に耐火面材を2重貼りして取付ける場合、所定の耐火性能を得るために、2枚の耐火面材を所定の厚さにする必要があるが、請求項1に記載の発明では、表面耐火面材12を薄くした分、下張り耐火面材10を厚くすることによって前記所定の厚さを確保すればよい。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、表面耐火面材12どうしの継目T3,T4の長さの総延長が、下張り耐火面材10どうしの継目T1,T2の長さの総延長より短くなっているので、防火性能上、欠点が少なくなり有効となる。
そして、表面耐火面材12どうしの継目T3,T4の長さの総延長が短いので、表面耐火面材12の大多数は、下張り耐火面材10より面積が大きくなるが、表面耐火面材12は、下張り耐火面材10より薄く形成されているので、表面耐火面材12の重量の嵩みを抑えることができる。また、表面耐火面材12を薄くした分、下張り耐火面材10を厚くすることによって、表面耐火面材12と下張り耐火面材10との合計の厚さを所定の厚さにできる。さらに、下張り耐火面材12の大多数は表面耐火面材10より面積が小さいので、下張り耐火面材10の重量の嵩みを抑えることができる。
【0010】
また、表面耐火面材12は、下張り耐火面材10より面積が大きいが、表面耐火面材12は、下張り耐火面材10より薄く形成されているので、表面耐火面材12の重量の嵩みを抑えることができる。
【0012】
また、下張り耐火面材10と表面耐火面材12とは、それらの長辺どうしが直交しているので、下張り耐火面材10どうしの継目T2と表面耐火面材12どうしの継目T4とが直交する。このように継目T2とT4が同じ方向を向かずに直交するので、継目が重なっている場合の強度低下を防ぐことができる。
【0014】
また、下張り耐火面材10の短辺どうしの継目T1と、表面耐火面材12の長辺どうしの継目T4とが一致していないので、表面耐火面材12の長辺どうしの継目T4は、下張り耐火面材10上に位置しており、これによって、表面耐火面材12どうしには、継目T4,T3近傍で段差が生じ難くなる。よって、これら表面耐火面材12上にクロスを貼り付ける際に、継目T4,T3に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0016】
また、下張り耐火面材10の短辺どうしの継目T1が、短辺方向に連続していないので、これら下張り耐火面材10によって形成された取付面は、前記継目T1が連続している場合に比して、全体的に平坦となる。したがって、この取付面に取付けられた表面耐火面材12どうしには、継目T3,T4近傍で段差が生じ難くなる。よって、これら表面耐火面材12上にクロスを貼り付ける際に、継目T3,T4に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の耐火面材の取付け構造において、
前記下張り耐火面材10の長辺の長さと、表面耐火面材12の短辺の長さとは、それぞれ基準寸法の整数倍となっていることを特徴とする。
【0018】
ここで、前記基準寸法は、建築のあらゆる部分を一定の大きさの倍数関係に整えようとするときの基準となる寸法に設定するのが望ましい。この場合、基準寸法としては、例えば910mm、455mm、1000mm、500mm等が採用される。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、継目T1を介して配置された下張り耐火面材10の長辺の長さの総延長が、基準寸法の整数倍となり、継目T4を介して配置された表面耐火面材12の短辺の長さの総延長が、基準寸法の整数倍となるので、これら下張り耐火面材10と表面耐火面材12を取付ける天井の一辺の長さを、基準寸法の整数倍に設定することによって、下張り耐火面材10と表面耐火面材12とをそれぞれ隙間無く天井にその一辺方向に割り付けることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の耐火面材の取付け構造では、図1〜図5に示すように、格子状に形成された天井野縁に、耐火面材を取付けた場合を例にとって説明する。
【0021】
図1〜図5において、符号1,1はまぐさを示す。まぐさ1は例えば対向する壁間に水平に架設されたものであり、これらまぐさ1,1間に、3枚の床パネル2…がその長辺部を接するようにして配置されており、これら3枚の床パネル2…の短辺部がまぐさ1,1によって下方から支持されている。
床パネル2は、縦横の框材2a,2bを矩形枠状に組み立てるとともに、この枠内に補強桟材2cを縦横に組み付け、枠の上面に2枚の床板3,4を取付けたものである。
【0022】
床板3は、石膏ボードで形成された下張り材であり、この下張り材(床板3)には、図6に示すように、4種類の下張り材3a,3b,3c,3dがある。下張り材3aは床の両側に配置される帯板状ものである。下張り材3bは床の両側において下張り材3aの延長上に配置される帯板状のもので、短辺の長さが下張り材3aの短辺の長さと等しく、長辺の長さが下張り材3aの長辺の長さの約半分なっている。下張り材3cは、下張り材3a,3bより内側に配置される長方形板状ものであり、その長辺の長さは下張り材3aの長辺の長さと等しくなっており、短辺の長さは下張り材3aの短辺の長さの約2倍となっている。下張り材3dは、下張り材3cの延長上に配置される長方形板状のものであり、その長辺の長さは下張り材3bの長辺の長さと等しくなっており、短辺の長さは下張り材3cの短辺の長さと等しくなっている。
そして、このような下張り材3a,3b,3c,3dは、その長辺方向に隣接する下張り材どうしの継目3Tが、短辺方向において連続しないようにして配置されている。
【0023】
床板4は、合板で形成された表面材であり、この表面材(床板4)には、図7に示すように、2種類の表面材4c,4dがある。表面材4cは、前記下張り材3cと平面視における形状、大きさが等しいものであり、下張り材3cより薄くなっている。また、表面材4dは、前記下張り材3dと平面視における形状、大きさが等しいものであり、下張り材3dより薄くなっている。
そして、このような表面材3c,3dは、前記下張り材3a〜3dを敷き詰めることによって形成された平面に、重ねるようにして敷き詰められる。この場合、表面材3c,3dは、その長辺方向に隣接する下張り材どうしの継目4Tが、短辺方向において連続しないようにして配置されている。
また、表面材3c,3dは、それらの長辺方向に沿う継目5Tが、平面視において、前記下張り材3a,3b,3c,3dの長辺方向に沿う継目6Tと一致しないようにして配置されている。
【0024】
また、まぐさ1,1間には、図1、図2、図4、図5等に示すように、3本の吊梁6…が所定間隔で平行に設けられており、該吊梁6の端部はまぐさ1に固定されている。吊梁6には複数の吊木7の上端部がそれぞれ固定されている。吊木7の下端部は吊梁6の下面より下方に突出している。
また、吊梁6の下方には、天井野縁8が設けられている。この天井野縁8は図3に示すように、複数の野縁材を格子状に組立てたものであり、この天井野縁8を構成する所定の野縁材に前記吊木7の下端部がそれぞれ固定されている。つまり、天井野縁8は、吊木7、吊梁6を介してまぐさ1によって支持されている。
なお、図4および図5において、符号9で示すものは、ロックウール等の断熱材である。また、図1においては、断熱材9は図示を省略している。
【0025】
また、前記天井野縁8は、まぐさ1の下面より若干上方に位置しており、該天井野縁8の下面には、図1、図4および図5に示すように、方形板状の複数の下張り耐火面材10が取付けられている。下張り耐火面材10は強化石膏ボードで形成されたものであり、下張り耐火面材10には、図8に示すように、4種類の下張り耐火面材10a,10b,10c,10dがある。
下張り耐火面材10aは天井野縁8の両側に配置される帯板状ものである。下張り耐火面材10bは天井野縁8の両側において下張り耐火面材10aの延長上に配置される帯板状のもので、短辺の長さが下張り耐火面材10aの短辺の長さと等しく、長辺の長さが下張り耐火面材10aの長辺の長さの約半分なっている。下張り耐火面材10cは下張り耐火面材10a,10bよる内側に配置される長方形板状ものであり、その長辺の長さは下張り耐火面材10aの長辺の長さと等しくなっており、短辺の長さは下張り耐火面材10aの短辺の長さより若干長くなっている。下張り耐火面材10dは、下張り耐火面材10cの延長上に配置される長方形板状のものであり、その長辺の長さは下張り耐火面材10bの長辺の長さと等しくなっており、短辺の長さは下張り耐火面材10cの短辺の長さと等しくなっている。
前記下張り耐火面材10a〜10dのうち、最も面積が大きいものは、下張り耐火面材10cであり、下張り耐火面材10a、10d、10bはこの順で次第に面積が小さいものとなっている。
【0026】
そして、このような下張り耐火面材10a,10b,10c,10dは、その長辺方向に隣接する下張り耐火面材どうしの継目T1が、短辺方向において連続しないようにして配置されている。
また、下張り耐火面材10a,10b,10c,10dは、その短辺方向に隣接する下張り耐火面材どうしの継目T2が、長辺方向において連続するようにして配置されている。
さらに、前記継目T1,T2は全て、前記天井野縁8の野縁材上に位置するようにして配置され、これによって継目T1,T2が補強されるとともに、継目T1,T2を境として段差が生じないようになっている。
【0027】
前記下張り耐火面材10a,10b,10c,10dによって形成された取付面には、方形板状の複数の表面耐火面材12が取付けられている。表面耐火面材12は強化石膏ボードで形成されたものであり、前記下張り耐火面材10より薄く形成されている。また、表面耐火面材12には、図9に示すように、6種類の表面耐火面材12a,12b,12c,12d,12e,12fがある。
【0028】
表面耐火面材12aは、天井野縁8の長辺に沿って配置される帯板状のものである。表面耐火面材12bは、天井野縁8の長辺に沿って、表面耐火面材12aの延長上に配置される帯板状のもので、短辺の長さが表面耐火面材12aの短辺の長さと等しく、長辺の長さが表面耐火面材12aの長辺の長さより長くなっている。表面耐火面材12cは、天井野縁8の長辺に沿って、表面耐火面材12bの延長上に配置される帯板状のもので、短辺の長さが表面耐火面材12bの短辺の長さと等しく、長辺の長さが表面耐火面材12aの長辺の長さより短くなっている。
【0029】
表面耐火面材12dは、天井野縁8の内側に配置される長方形板状のものでああり、その長辺の長さは表面耐火面材12cの長辺の長さと等しく、短辺の長さは表面耐火面材12cの短辺の長さの2倍となっている。表面耐火面材12eは、天井野縁8の長辺と平行に表面耐火面材12dの延長上に配置される長方形板状のもので、短辺の長さが表面耐火面材12dの短辺の長さと等しく、長辺の長さが表面耐火面材12dの長辺の長さより長くなっている。表面耐火面材12fは、天井野縁8の長辺と平行に表面耐火面材12eの延長上に配置される長方形板状のもので、短辺の長さが表面耐火面材12eの短辺の長さと等しく、長辺の長さが表面耐火面材12eの長辺の長さより短く、かつ、表面耐火面材12dの長辺の長さより短くなっている。
また、表面耐火面材12dの長辺の長さは、表面耐火面材12cの長辺の長さと等しくなっている。さらに、表面耐火面材12eの長辺の長さは、表面耐火面材12bの長辺の長さと等しくなっている。また、表面耐火面材12fの長辺の長さは表面耐火面材12aの長辺の長さと等しくなっている。
【0030】
前記表面耐火面材12a〜12eのうち、最も面積が大きいものは、表面耐火面材12eであり、表面耐火面材12f、12d、12b、12a、12cはこの順で次第に面積が小さいものとなっている。
本実施の形態では天井野縁8に表面耐火面材12a〜12eを適宜割りつけて配置しているが、天井野縁が大きい場合、表面耐火面材12eを長辺方向に並べ、短辺方向に隣接する表面耐火面材12eは、天井野縁8の一つの格子の大きさ分だけ長辺方向にずらして並べる。そして、天井野縁の外周部において、表面耐火面材12eを割り付けられない場合に、表面耐火面材12f、12d、12b、12a、12cを適宜割り付ける。
同様に、本実施の形態では天井野縁8に下張り耐火面材10a〜10dを適宜割りつけて配置しているが、天井野縁が大きい場合、最も面積が大きい下張り耐火面材10cを長辺方向に並べ、短辺方向に隣接する下張り耐火面材10cは、天井野縁8の格子二つ分だけ長辺方向にずらして並べる。そして、天井野縁の外周部において、下張り耐火面材10cを割り付けられない場合に、下張り耐火面材10a、10b、10dを適宜割り付ける。
【0031】
本実施の形態では、天井野縁8に取付けられている下張り耐火面材10a〜10dはそれぞれほぼ同数、割り付けられているが、天井野縁が大きい場合、つまり天井が広い場合、天井野縁には最も面積が大きい下張り耐火面材10cが多数取り付けられ、天井野縁の残りの外周部に下張り耐火面材10a、10b、10dが適宜割り付けられる。
同様に、本実施の形態では、天井野縁8に取付けられている表面耐火面材12a〜12fはそれぞれほぼ同数、割り付けられているが、天井野縁が大きい場合、つまり天井が広い場合、天井野縁には最も面積が大きい表面耐火面材12eが多数取り付けられ、天井野縁の残りの外周部に表面耐火面材12f、12d、12b、12a、12cが適宜割り付けられる。
そして、表面耐火面材の大多数を占める表面耐火面材12eは、下張り耐火面材の大多数を占める下張り耐火面材10cより面積が大きいが、表面耐火面材12eは、下張り耐火面材10cより薄く形成されているので、表面耐火面材12eの重量の嵩みを抑えることができる。
【0032】
また、このような表面耐火面材12a〜12fは、前記下張り耐火面材10a〜10dを敷き詰めることによって形成された取付面に、重ねるようにして敷き詰められる。
この場合、表面耐火面材12a〜12fは、その長辺方向に隣接する表面耐火面材どうしの継目T3が、短辺方向において連続しないようにして配置されている。
また、表面耐火面材12a〜12fは、その短辺方向に隣接する表面耐火面材どうしの継目T4が、長辺方向において連続するようにして配置されている。
さらに、前記継目T3,T4は全て、前記天井野縁8の野縁材上に位置するようにして配置され、これによって継目T3,T4が補強されるとともに、継目T3,T4を境として段差が生じないようになっている。
【0033】
また、下張り耐火面材10a〜10dと表面耐火面材12a〜12fとは、平面視において、それらの長辺どうしが直交するようにして、配置されている。
このように配置することによって、下張り耐火面材10a〜10dどうしの継目T2と表面耐火面材12a〜12fどうしの継目T4とが直交する。このように継目T2とT4が同じ方向を向かずに直交するので、継目が重なっている場合の強度低下を防ぐことができる。
【0034】
さらに、下張り耐火面材10a〜10dと表面耐火面材12a〜12fとは、下張り耐火面材10a〜10dの短辺どうしの継目T1と、表面耐火面材12a〜12fの長辺どうしの継目T4とが、平面視において一致していないようにして、配置されている。
このように配置することによって、表面耐火面材12a〜12fの長辺どうしの継目T4は、下張り耐火面材10a〜10d上に位置しており、これによって、表面耐火面材12a〜12fどうしには、継目T4近傍で段差が生じ難くなる。よって、これら表面耐火面材12a〜12f上にクロスを貼り付ける際に、継目T4に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0035】
また、下張り耐火面材10a〜10dの短辺どうしの継目T1が、短辺方向に連続していないので、これら下張り耐火面材10a〜10dによって形成された取付面は、前記継目T1が連続している場合に比して、全体的に平坦となる。したがって、この取付面に取付けられた表面耐火面材12a〜12fどうしには、継目T3,T4近傍で段差が生じ難くなる。よって、これら表面耐火面材12a〜12f上にクロスを貼り付ける際に、継目に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0036】
また、表面耐火面材12a〜12fどうしの継目T3,T4の長さの総延長は、下張り耐火面材10a〜10dどうしの継目T1,T2の長さの総延長より短くなっており、表面耐火面材12a〜12fは、下張り耐火面材10a〜10dより薄く形成されている。
このように表面側にある表面耐火面材12a〜12fどうしの継目T3,T4の長さの総延長が短いので、防火性能上、欠点が少なくなり有効となる。
そして、表面耐火面材12a〜12fどうしの継目T3,T4の長さの総延長が短いので、表面耐火面材12a〜12fの大多数は、下張り耐火面材10a〜10dより面積が大きくなるが、表面耐火面材12a〜12fは、下張り耐火面材10a〜10dより薄く形成されているので、表面耐火面材12a〜12fの重量の嵩みを抑えることができる。
また、表面耐火面材12a〜12fを薄くした分、下張り耐火面材10a〜10dを厚くすることによって、表面耐火面材12a〜12fと下張り耐火面材10a〜10dとの合計の厚さを所定の厚さにできる。さらに、下張り耐火面材10a〜10dの大多数は表面耐火面材12a〜12fより面積が小さいので、下張り耐火面材10a〜10dの重量の嵩みを抑えることができる。
【0037】
また、前記下張り耐火面材10a〜10dの長辺の長さと、表面耐火面材12a〜12fの短辺の長さとは、それぞれ基準寸法の整数倍となっていることを特徴とする。
すなわち、基準寸法を例えば455mmとすると、下張り耐火面材10aの長辺の長さは基準寸法の4倍、下張り耐火面材10bの長辺の長さは基準寸法の2倍、下張り耐火面材10cの長辺の長さは基準寸法の4倍、下張り耐火面材10dの長辺の長さは基準寸法の2倍となっている。
また、表面耐火面材12a,12bの短辺の長さは基準寸法の1倍、表面耐火面材12d,12e,12fの短辺の長さは基準寸法の2倍となっている。
【0038】
したがって、継目T1を介して配置された下張り耐火面材10a〜10dの長辺の長さの総延長が、基準寸法の整数倍となり、継目T4を介して配置された表面耐火面材12a〜12fの短辺の長さの総延長が、基準寸法の整数倍となるので、これら下張り耐火面材10a〜10dと表面耐火面材12a〜12fを取付ける天井の一辺の長さを、基準寸法の整数倍に設定することによって、下張り耐火面材10a〜10dと表面耐火面材とをそれぞれ隙間無く天井にその一辺方向に割り付けることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、本発明に係る耐火面材の取付け構造を、天井の天井野縁8に、耐火面材(下張り耐火面材10と表面耐火面材12)を取付けた場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限ることなく、床に耐火面材(下張り耐火面材10と表面耐火面材12)を取付けてなる耐火面材の取付け構造に適用してもよい。この場合、例えば床パネルの表面に下張り耐火面材と表面耐火面材とを重ねて取付け、さらに、表面耐火面材の上に仕上げようの合板等で形成された床板を取付ける。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、表面耐火面材どうしの継目の長さの総延長が、前記下張り耐火面材どうしの継目の長さの総延長より短くなっているので、防火性能上、欠点が少なくなり有効となる。
また、表面耐火面材の大多数は下張り耐火面材より面積が大きくなるが、表面耐火面材は、下張り耐火面材より薄く形成されているので、表面耐火面材の重量の嵩みを抑えることができる。
さらに、表面耐火面材を薄くした分、下張り耐火面材を厚くすることによって、表面耐火面材と下張り耐火面材との合計の厚さを所定の厚さにできる。
また、下張り耐火面材の大多数は表面耐火面材より面積が小さいので、下張り耐火面材の重量の嵩みを抑えることができる。
【0041】
また、下張り耐火面材より面積が大きい表面耐火面材は、下張り耐火面材より薄く形成されているので、表面耐火面材の重量の嵩みを抑えることができる。
【0042】
また、下張り耐火面材どうしの継目と表面耐火面材どうしの継目とが直交するので、継目が重なっている場合の強度低下を防ぐことができる。
【0043】
また、下張り耐火面材の短辺どうしの継目と、表面耐火面材の長辺どうしの継目とが一致していないので、表面耐火面材の長辺どうしの継目は、下張り耐火面材の短辺どうしの継目と一致しておらず、下張り耐火面材上に位置するので、表面耐火面材どうしには、継目近傍で段差が生じ難くなる。よって、これら表面耐火面材上にクロスを貼り付ける際に、継目に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0044】
また、下張り耐火面材の短辺どうしの継目が、短辺方向に連続していないので、これら下張り耐火面材によって形成された取付面は全体的に平坦となる。したがって、この取付面に取付けられた表面耐火面材どうしには、継目近傍で段差が生じ難くなるので、これら表面耐火面材上にクロスを貼り付ける際に、継目に沿ってクロスに傷や突条が生じたり、クロスが切れるといった不具合を解消できる。
【0045】
請求項に記載の発明によれば、下張り耐火面材と表面耐火面材を取付ける天井の一辺の長さを、基準寸法の整数倍に設定することによって、下張り耐火面材と表面耐火面材とをそれぞれ隙間無く天井にその一辺方向に割り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐火面材の取付け構造の一例を示すもので、その要部の斜視図である。
【図2】同、床の下面図である。
【図3】同、天井野縁の下面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】図2(図3)におけるA−A線断面図である。
【図6】本発明の耐火面材の取付け構造の一例を示すもので、床の下張り材の割り付け状態を示す平面図である。
【図7】同、床の表面材の割り付け状態を示す平面図である。
【図8】同、天井の下張り耐火面材の割り付け状態を示す平面図である。
【図9】同、天井の表面耐火面材の割り付け状態を示す平面図である。
【符号の説明】
8 天井野縁
10(10a〜10d) 下張り耐火面材
12(12a〜12f) 表面耐火面材
T1〜T4 継目

Claims (2)

  1. 井に、耐火面材を取付けてなる耐火面材の取付け構造であって、
    前記天井に設けられた天井野縁に、方形板状の複数の下張り耐火面材が取付けられており、これら下張り耐火面材によって形成された取付面には、方形板状の複数の表面耐火面材が取付けられており、前記表面耐火面材どうしの継目の長さの総延長は、前記下張り耐火面材どうしの継目の長さの総延長より短くなっており、前記表面耐火面材は、前記下張り耐火面材より薄く形成されており、
    前記表面耐火面材は、前記下張り耐火面材より面積が大きく、
    前記下張り耐火面材と表面耐火面材とは、それぞれ長方形板状をなしており、これら下張り耐火面材と表面耐火面材とは、平面視において、それらの長辺どうしが直交するようにして、配置されており、
    前記下張り耐火面材の短辺どうしの継目と、前記表面耐火面材の長辺どうしの継目とは、平面視において一致しておらず、
    前記下張り耐火面材は、短辺どうしの継目が、短辺方向に連続しないようにして配置されており、
    前記天井野縁は、複数の野縁材を格子状に組立てたものであり、
    前記下張り耐火面材どうしの継目および前記表面耐火面材どうしの継目は全て前記天井野縁の野縁材上に位置しており、
    前記下張り耐火面材および前記表面耐火面材はいずれも石膏ボードで形成されていることを特徴とする耐火面材の取付け構造。
  2. 請求項に記載の耐火面材の取付け構造において、
    前記下張り耐火面材の長辺の長さと、表面耐火面材の短辺の長さとは、それぞれ基準寸法の整数倍となっていることを特徴とする耐火面材の取付け構造。
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