JPH10302308A - 相変化型光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

相変化型光記録媒体およびその製造方法

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JPH10302308A
JPH10302308A JP9108864A JP10886497A JPH10302308A JP H10302308 A JPH10302308 A JP H10302308A JP 9108864 A JP9108864 A JP 9108864A JP 10886497 A JP10886497 A JP 10886497A JP H10302308 A JPH10302308 A JP H10302308A
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dielectric layer
layer
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optical recording
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JP9108864A
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Atsushi Ebina
敦 海老名
Takashi Tomie
崇 冨江
Toru Horiguchi
透 堀口
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光の照射により生じる記録層の相構造の変化を
利用して情報の記録・再生・消去を行なう相変化型光記
録媒体において、保護層と記録層との接着性を向上し、
膜の剥離、クラックの発生、記録層の流動などが無い相
変化型光記録媒体を得ることを目的とする。 【解決手段】媒体としては、基板、第1誘電体層、第2
誘電体層、記録層、第3誘電体層、反射層を順次積層し
た構成が基本構成。第2誘電体層は第1誘電体層および
第3誘電体層よりも酸素を過剰に含有し、かつその膜厚
が1〜10nmで。製法としては、誘電体層はスパッタ
リング法で形成し、かつ第2誘電体層を形成する際の雰
囲気には、酸素元素を含んだガスの少なくとも1種類以
上と稀ガスとを混合したものを用い、第1誘電体層およ
び第3誘電体層を形成する際の雰囲気には稀ガスを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光を用いて情報が記
録再生される光情報記録媒体に関し、特に相変化型光記
録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相変化型光記録媒体は、光照射、主にレ
ーザー光の照射によって生じた物質の非晶質状態と結晶
状態の間の可逆的な構造変化(相変化)を、情報の記録
に利用している。こうした相変化型光記録媒体は、情報
の高速処理能力に加えて記録容量が大きい。
【0003】そうした中で相変化型光記録媒体には、記
録した情報を高速で消去、記録する性能が求められてい
る。そしてそのためには一旦記録した情報を消去しなが
らその上に別の情報を記録(オーバーライト:Over
−write)する繰り返しの安定動作が必要不可欠と
なる。この消去・記録の繰り返し回数は多いことが好ま
しい。
【0004】相変化型光記録媒体は書換え可能型光ディ
スクとして既に市販されている。例えば、市販されてい
る120mm直径のディスクがある。代表的なディスク
構成は、ポリカーボネートの基板、ZnS・SiO2
第1透明誘電体膜、GeSbTeの相変化記録膜、Zn
S・SiO2の第2透明誘電体膜、Al合金の反射膜、
紫外線硬化型の有機樹脂塗布層の積層構成である。
【0005】これらの市販されているディスクの消去・
記録(オーバーライト)の繰り返し耐久性は実用レベル
に到達してはいるが、信頼性の観点より、さらなる繰り
返し耐久性の向上が望まれている。また繰り返し耐久性
が微妙な生産プロセス条件(例えば、薄膜のスパッタ製
膜条件)に大きく影響されることより、生産歩留まりの
観点よりも、さらなる繰り返し耐久性の向上が望まれて
いる。
【0006】また、現在開発が進められている高密度記
録の書換え可能型ディスクにおいては、記録方式がマー
クエッジ記録であることより、繰り返し記録(オーバー
ライト)による膜の劣化が信号品質に及ぼす悪影響の程
度が大きく繰り返し耐久性が重大な課題となっている。
【0007】オーバーライトの繰り返し特性には、記録
層材料や保護層材料等の各種の物性が影響を与えること
が知られている。そのために例えば保護層の材料として
は、次のような物がこれまでに開発されてきた。Alの
窒化物、Siの窒化物、MgF2、AlF3などの非酸化
物、あるいはSiO2、Al23、ZrO2、TiO2
どの酸化物、ZnSなどのカルコゲン化物、さらには上
記のZnSなどのカルコゲン化物とSiO2などの酸化
物を混合した物(ZnS・SiO2)などである。これ
ら材料を公知の薄膜形成法によって成膜して、記録層の
保護層とすることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】相変化型光記録媒体に
備えられる保護層は、記録時あるいは消去時の熱的、機
械的負荷にさらされるため、耐熱性や機械特性に優れて
いることが必要であり、さらに光記録媒体の保存時に記
録層を保護する機能を合わせ持つ必要がある。また、記
録感度の観点と繰り返し耐久性の観点より低い熱伝導率
をもつ必要がある。
【0009】しかしながら酸化物や窒化物などの保護層
は、カルコゲンを含む記録層との接着性が弱い。そして
高温高湿の環境下における保存において、保護層自体が
剥離したりクラックが生じる場合がある。また保護層と
記録層との接着性が弱いことにも起因して、レーザー光
の照射により記録層に蓄えられた熱が、適当な速度で放
出されないために、記録マークがつながるなどして一方
向への流動が起こり繰り返し回数が低減してしまうとい
う課題もある。
【0010】そこで、このオーバライトの繰り返し特性
を改善する方法として種々の提案がなされている。例え
ば、保護層と反射層との間および/または保護層と記録
層との間に、Al23、GeO2、SiO2、Ta25
TiO2、Y23などの酸化物からなる接着層を設ける
と、繰り返し回数が向上するとの報告(特開平6−13
9615号公報)がある。
【0011】また、基板、ZnS・SiO2の第1誘電
体層、ZnS・SiO2の第2誘電体層、記録層、Zn
S・SiO2の第3誘電体層、ZnS・SiO2の第4誘
電体層/反射層という媒体構成で、第1誘電体層および
/または第4誘電体層に窒素および/または酸素を含ま
せて膜強度を向上させ、かつ第2誘電体層と第3誘電体
層は稀ガスのみで製膜し記録膜との付着性を向上したと
の報告(特開平6−314439号公報)がある。
【0012】これらはいずれも、その繰り返し回数が向
上する効果は十分でない。本発明者らの検討結果では十
分な繰り返し耐久性を得るには次のようないくつかの条
件がすべて満足されなければならない。(1)記録時に
溶融し非晶質化するカルコゲン化物の記録層と保護層と
の濡れ性がよいこと、かつこの保護層は繰り返し高温に
さらされることに対して劣化しないこと。(2)各層の
界面は十分な接着性を有すること。(3)反射膜との接
着性も良好である必要がある。
【0013】従来技術では、記録層と保護層との接着は
考慮されても保護層と反射層との接着性は考慮されない
ことが多く、それが十分な繰り返し耐久性を示さない原
因であった。なお、実用的なディスク媒体である為に
は、十分な記録感度をもつ必要があり、記録感度の観点
より、また余分なレーザパワーが繰り返し耐久性を劣化
させることを考慮すると、保護層の熱伝導率は十分に小
さい必要がある。以上の考え方より従来技術を考察する
と、以下のように説明される。
【0014】<特開平6−139615号公報>では酸
化物の接着層が採用されるが、カルコゲンを含む記録層
と酸化物とでは、親和性が低く十分な接着性は得られな
いと思われる。また、仮に溶融しない記録膜と酸化物の
接着層との接着性が良好であったとしても、記録時に溶
融状態となった時の濡れ性が悪く、膜材料のはじき、流
動の為に繰り返し耐久性は不十分となる。また保護層自
体の耐熱性(繰り返し加熱による保護膜の結晶性の変化
と推定される劣化)も考慮されていないことが繰り返し
耐久性が不十分な理由と推定される。
【0015】<特開平6−314439号公報>では単
に稀ガスのみで製膜したZnS・SiO2の誘電体層で
は酸素の含有量が化学量論数に対して不足した状態が生
じ安く、このように酸素が不足した状態の膜の最表面は
平坦性が悪く、次に製膜される記録層との接着性が弱い
上に、繰り返し記録を行なったときに膜の剥離あるいは
クラックの発生等の劣化のきっかけとなりやすいことが
十分な繰り返し耐久性を示さない理由と推定される。ま
たこの酸素の含有量を制御するためには微妙な条件の上
に製膜される必要があり、その許容範囲は狭く、生産性
が悪い。また窒素および/または酸素を含んだZnS・
SiO2の誘電体層は膜強度は向上するが、基板や反射
層との接着性が悪く繰り返し耐久性を悪化させる原因と
なると考えられる。
【0016】本発明はかかる従来技術の課題を解決し
て、保護層と記録層との接着性を向上し、膜の剥離、ク
ラックの発生、記録層の流動などが無い相変化型光記録
媒体を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の相変化型光記録
媒体は、基板、第1誘電体層、第2誘電体層、記録層、
第3誘電体層、反射層を順次積層した構成を基本構成と
し、光の照射により生じる記録層の相構造の変化を利用
して情報の記録・再生・消去を行なう相変化型光記録媒
体において、第2誘電体層は第1誘電体層および第3誘
電体層よりも酸素を過剰に含有し、かつ第2誘電体層は
膜厚が1〜10nmであることを特徴としている。
【0018】本発明の相変化型光記録媒体においては、
第1誘電体層および第3誘電体層よりも酸素を過剰に含
有する第2誘電体層を用いることで記録層との接着性を
向上させ、繰り返し回数を低減させる要因である膜の剥
離、クラックの発生、記録層の流動などが無い光記録媒
体を得ることができる。その際に第2誘電体層の膜厚と
しては、1〜10nmであることが必要である。この膜
厚が1nmより薄い場合は、第1誘電体層の酸素不足に
起因した膜最表面の平坦性の悪さを補償できないため記
録層との接着力が向上されず、オーバライトの繰り返し
特性を改善する効果が小さくなり、10nmを超えると
繰り返しオーバライトを行なった時に更に過剰な酸素が
記録層に対し酸化等の悪影響を与え繰り返し回数を低減
させる。また10nmを超えると膜応力が大きくなり剥
離やクラックが発生し易くなり不都合であり、また適切
な感度と反射率の媒体が得られないという不都合が発生
する。
【0019】本発明における誘電体層には、適当な屈折
率(1.6〜2.6)を有する非晶質状態の透明誘電体
膜が使用される。ここに言う“非晶質状態の膜”とは、
結晶性の分析法であるX線回折法による回折スペクトル
に明瞭な回折ピークを有しないことであり、横軸を2θ
とした回折スペクトルの半値幅(full width
half maximum)が約5度以上のブロード
なスペクトルが得られることはかまわない。非晶質膜で
あることにより結晶質の記録層との接着性も反射層との
接着性もともに良好になる。このような保護層としての
誘電体層は、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbS、P
bTeなどの結晶性のカルコゲン化金属にSiO2、G
eO2、SnO2、In23などの酸化物、またはSi3
4などの窒化物を添加したものが知られている。とり
わけZnSを主成分とし酸化物を添加したものは、透明
性が良く、膜応力が小さく、好ましい。さらに該酸化物
がSiO2であれば非晶質化の効果が大きく、熱伝導率
も小さく、原料価格も小さく、特に好ましい。
【0020】ここでZnSに対するSiO2の添加量は
12〜35mol%が好ましく、特に20mol%程度
がもっとも有効に保護膜の機能をはたす。12mol%
より少ないと非晶質化の効果は小さく、また膜応力も大
きい。35mol%より多いと屈折率が小さくなり、ま
た記録感度の低下と繰り返しオーバーライト耐久性の劣
化があり好ましくない。20mol%程度が、光学特性
と記録感度と繰り返しオーバーライト耐久性の観点より
もっとも有効に保護膜の機能をはたす。
【0021】記録媒体としてはポリカーボネートを代表
例とするプラスチック基板から順に、第1誘電体層、第
2誘電体層、記録層、第3誘電体層、反射層からなる基
本構成をもつ。ポリカーボネートはプラスチック基板と
しては機械強度が強く、吸湿性も他と比較して低いこと
など優れた特性をもっている。また耐環境性を向上させ
るために、反射層の上に紫外線硬化型の樹脂保護層を設
けることもできる。そうした樹脂保護層としては、エポ
キシ樹脂、アクリレート、メタクリレートを用いること
ができる。
【0022】また第2誘電体層は、記録膜に接して基板
側の保護膜(第1誘電体層)との間に必要である。これ
は繰り返しオーバライトによる劣化が、第1誘電体層と
記録層との間の膜界面状態(剥離、等)に大きく影響さ
れるからである。記録層と第3誘電体層の間に第2誘電
体層を設けた場合には、当発明者らの検討結果ではほと
んど効果なく、また時としてかえって耐久性を劣化させ
た。この理由としては、第2誘電体層製膜時に過剰の酸
素により記録層表面が酸化されてしまうこと、第2誘電
体層と第3誘電体層の合計の膜厚が大きくなりすぎて膜
応力が大きくなること、光学特性のバランスが悪くなる
ことが考えられる。
【0023】そして本発明の相変化型光記録媒体の製造
方法においては、誘電体層はスパッタリング法で形成
し、かつ第2誘電体層を形成する際の雰囲気には、酸素
元素を含んだガスの少なくとも1種類以上と稀ガスとを
混合したものを用い、第1誘電体層および第3誘電体層
を形成する際の雰囲気には稀ガスを用いることを特徴と
している。これにより上記の特性を有する相変化型光記
録媒体を得ることができる。
【0024】その際に酸素元素を含んだガスとしては、
2ガス、H2Oガス、CO2ガス、COガス、CH3OC
3ガス、CH3OHガス、CH3COCH3ガスを用いる
ことができる。またこうした酸素元素を含んだガスの少
なくとも1種類以上と稀ガスとを混合したものの中に
は、N2ガス等を含めることもできる。なお、これらの
酸素元素を含んだガスの導入方法は特に限定されない。
【0025】
【実施例1〜5および比較例1〜3】透明基板/第1透
明誘電体層/第2透明誘電体層/記録層/第3透明誘電
体保護層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護層の構成(た
だし、後述する比較例1においては第2誘電体層は無
い)からなる相変化型光記録媒体を、次のようにして作
製した。その際、使用したスパッタ装置はANELVA
Corp.製のインラインスパッタILC3102型
であり、ターゲットは8インチ直径で、基板は自公転し
ながら製膜される。
【0026】透明基板には、容量650Mbyte相変
化媒体(松下電器産業株式会社製の光ドライブ:LF−
1000型に使用される120mm直径の相変化型光デ
ィスク媒体)用の基板を用いた。この基板はポリカーボ
ネート製で、トラックピッチは1.2μmであり、グル
ーブ幅は約0.6μm幅で、グルーブに記録するように
なっている。
【0027】第1透明誘電体層は、ZnS−SiO2
(ZnS:SiO2=80:20mol%、膜厚140
nm)でArガスでスパッタリング法で形成した。第2
透明誘電体層は、ZnS−SiO2膜(ZnS:SiO2
=80:20mol%)でArとO2の混合ガスでスパ
ッタリング法で形成した。記録層は、Ge2Sb2Te5
合金膜(膜厚25nm)でArガスでスパッタリング法
で形成した。第3透明誘電体層は、ZnS−SiO
2(ZnS:SiO2=80:20mol%、膜厚40n
m)でArガスでスパッタリング法で形成した。なおそ
の際に、実施例1〜5および比較例1〜3として、第2
誘電体層の膜厚を0〜15nmの間で変えた試料を作製
した。膜厚はスパッタ時間をかえることにより調節し
た。
【0028】さらに、反射層はAlCr合金膜(Al:
Cr=97:3原子%、膜厚100nm)とし、これは
Arガスを用いたスパッタリング法で形成した。紫外線
硬化型樹脂保護層は膜厚を2μmとした。
【0029】このように作製した相変化型光記録媒体の
試料に対して、次のようにして記録・再生・消去を行な
った。相変化型光記録媒体を光ディスクドライブ装置
(松下電器産業株式会社製LF−1000型ドライブ)
にかけて2026rpmで回転させ、波長が780nm
の半導体レーザーによりピークパワー11mW、バイア
スパワー5.5mWで1.5T信号を繰り返しオーバー
ライトし、リードパワー1.0mWで繰り返し可能回数
(ベリファイ可能回数)を調べた。評価した半径は約2
7mmであり、最内周データゾーンのtrack N
o.26000前後の1トラックを使用して繰り返しテ
ストを行なった。
【0030】さらに、20万回繰り返しオーバーライト
後のビットエラーレートを評価した。ビットエラーレー
トの評価は、最内周のデータゾーンで、1.5Tと4T
信号を20万回繰り返しオーバーライトしたのちに、
1.5T信号を記録して行なった。ここで1.5Tと
4.0Tの信号とは(2,7)変調記録方式における記
録マークの間隔がそれぞれ最短および最長である単一周
波数の信号と定義する。なお、Tはdata bit周
期である。
【0031】第2誘電体層の膜厚と、繰り返し可能回
数、および20万回繰り返しオーバーライト後のbit
error rateの評価結果を表1にまとめて示
した。実施例1から実施例5においては、繰り返し可能
回数は15万回以上と高くなる。またビットエラーレー
トも9/106以下の小さな値であった。また比較例1
から比較例3においては、繰り返し可能回数は10万回
以下と実用可能レベルではあるが、信頼性が低く問題が
ある。またビットエラーレートも8/105以上の大き
な値であった。
【0032】この結果より第2誘電体層の膜厚が1〜1
0nmの範囲において再生信号波形の乱れの少ない良好
な特性が得られることがわかった。第2誘電体層の膜厚
が1nmより薄い場合は第1誘電体層の酸素不足に起因
した膜最表面の平坦性の悪さを補償できないため記録層
との接着力が向上されず、オーバライトの繰り返し特性
を改善する効果が小さくなり、10nmを超えると繰り
返しオーバライトを行なった時に更に過剰な酸素が記録
層に対し酸化等の悪影響を与え繰り返し回数を低減させ
る。また10nmを超えると膜応力が大きくなり剥離や
クラックが発生し易くなり不都合であり、また適切な感
度と反射率の媒体が得られないという不都合が発生す
る。
【0033】
【実施例6】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。すな
わち実施例1と同じ構成としたが、第2誘電体層をAr
とH2Oの混合ガスでスパッタリング法で形成した。ま
た第2誘電耐層の膜厚は5nmとした。そして評価は実
施例1〜5と同様に行なった。
【0034】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形は観察されず、繰り返し可能
回数は15万回であった。ビットエラーレートは6/1
6であり良好な値だった。
【0035】
【実施例7】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。すな
わち実施例1と同じ構成としたが、第2誘電体層をAr
とCO2の混合ガスでスパッタリング法で形成した。ま
た第2誘電耐層の膜厚は5nmとした。そして評価は実
施例1〜5と同様に行なった。
【0036】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形は観察されず、繰り返し可能
回数は15万回であった。ビットエラーレートは7/1
6であり良好な値だった。
【0037】
【実施例8】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。すな
わち実施例1と同じ構成としたが、第2誘電体層をAr
とCOの混合ガスでスパッタリング法で形成した。また
第2誘電耐層の膜厚は5nmとした。そして評価は実施
例1〜5と同様に行なった。
【0038】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形は観察されず、繰り返し可能
回数は14万回であった。ビットエラーレートは8/1
6であり良好な値だった。
【0039】
【比較例4】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。すな
わち実施例1と同じ構成としたが、第2誘電体層と第3
誘電体層をArガスでスパッタリング法で形成し、第1
誘電体層をArと酸素の混合ガスでスパッタリング法で
形成した。そして評価は実施例1〜5と同様に行なっ
た。
【0040】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形の乱れが著しく観察され、繰
り返し可能回数は7万回であった。ビットエラーレート
は6/105であり大きい値だった。第1誘電体層の膜
強度が向上したことで記録膜の流動は比較的抑制された
が、第2誘電体層と記録層の剥離が発生して再生信号波
形の乱れが大きくなったものと推定された。
【0041】
【比較例5】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。すな
わち実施例1と同じ構成としたが、第2誘電体層と第3
誘電体層をArと酸素の混合ガスでスパッタリング法で
形成し、第1誘電体層をArガスでスパッタリング法で
形成した。そして評価は実施例1〜5と同様に行なっ
た。
【0042】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形の乱れが著しく観察され、繰
り返し可能回数は6万回であった。ビットエラーレート
は8/105であり大きい値だった。第2誘電体層と記
録層の接着性が向上したことで記録膜の流動は比較的抑
制されたが、第3誘電体層をArと酸素の混合ガスで製
膜したことで記録層表面が酸化されたことと、反射層と
の接着性が弱くなり剥離が発生して再生信号波形の乱れ
が大きくなったものと推定された。
【0043】
【比較例6】透明基板/第1誘電体層/記録層/第2誘
電体層/第3誘電体層/反射層/紫外線硬化型樹脂保護
層の構成からなる相変化型光記録媒体を作製した。第1
誘電体層と第3誘電体層をArガスでスパッタリング法
で形成し、第2誘電体層をArと酸素の混合ガスでスパ
ッタリング法で形成した。そして評価は実施例1〜5と
同様に行なった。
【0044】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形の乱れが著しく観察され、繰
り返し可能回数は7万回であった。ビットエラーレート
は8/105であり大きい値だった。第2誘電体層をA
rと酸素の混合ガスで製膜したことで記録層表面が酸化
されたことと、第1誘電体層と記録層との接着性が弱い
ことで剥離が発生して再生信号波形の乱れが大きくなっ
たものと推定された。
【0045】
【比較例7】透明基板/第1誘電体層/第2誘電体層/
記録層/第3誘電体層/第4誘電体層/反射層/紫外線
硬化型樹脂保護層の構成からなる相変化型光記録媒体を
作製した。第1誘電体層と第4誘電体層をArガスでス
パッタリング法で形成し、第2誘電体層と第3誘電体層
をArと酸素の混合ガスでスパッタリング法で形成し
た。そして評価は実施例1〜5と同様に行なった。
【0046】その結果、膜の剥離あるいはクラックの発
生に起因する再生信号波形の乱れが著しく観察され、繰
り返し可能回数は8万回であった。ビットエラーレート
は7/105であり大きい値だった。第2誘電体層と記
録層の接着性が向上したことで記録膜の流動は比較的抑
制されたが、第3誘電体層をArと酸素の混合ガスで製
膜したことで記録層表面が酸化されたことで剥離が発生
して再生信号波形の乱れが大きくなったものと推定され
た。
【0047】以上の検討結果より、本発明の製造方法に
より基板、第1誘電体層、第2誘電体層、記録層、第3
誘電体層、反射層からなる媒体構成において、第2誘電
体層を第1誘電体層および第3誘電体層よりも酸素を過
剰に含有させ膜厚を1〜10nmとすることで、特に優
れた記録・消去(オーバライト)の繰り返し耐久性を示
すことが明らかになった。なお、本実施例においてAr
ガスを用いたが、他の稀ガスを用いても同様の効果を得
ることができる。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の媒体そしてその製造方法によ
り、基板、第1誘電体層、第2誘電体層、記録層、第3
誘電体層、反射層からなる媒体構成において、第2誘電
体層を第1誘電体層および第3誘電体層よりも酸素を過
剰に含有させ膜厚を1〜10nmとすることで、記録・
消去(オーバライト)の繰り返し動作をより長期間にわ
たって安定に行うことができた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板、第1誘電体層、第2誘電体層、記
    録層、第3誘電体層、反射層を順次積層した構成を基本
    構成とし、光の照射により生じる記録層の相構造の変化
    を利用して情報の記録・再生・消去を行なう相変化型光
    記録媒体において、第2誘電体層は第1誘電体層および
    第3誘電体層よりも酸素を過剰に含有し、かつ第2誘電
    体層は膜厚が1〜10nmであることを特徴とする相変
    化型光記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1誘電体層と第2誘電体層および第3
    誘電体層が、ZnSにSiO2を12〜35mol%添
    加した透明誘電体膜であることを特徴とする請求項1記
    載の相変化型光記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかに記載の相変化
    型光記録媒体の製造方法において、誘電体層はスパッタ
    リング法で形成し、かつ第2誘電体層を形成する際の雰
    囲気には、酸素元素を含んだガスの少なくとも1種類以
    上と稀ガスとを混合したものを用い、第1誘電体層およ
    び第3誘電体層を形成する際の雰囲気には稀ガスを用い
    ることを特徴とする相変化型光記録媒体の製造方法。
JP9108864A 1997-04-25 1997-04-25 相変化型光記録媒体およびその製造方法 Pending JPH10302308A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7041430B2 (en) 2002-03-13 2006-05-09 Hitachi, Ltd. Information recording media, manufacturing technique and information recording method

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