JPH1030168A - 成膜方法 - Google Patents
成膜方法Info
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- JPH1030168A JPH1030168A JP18569596A JP18569596A JPH1030168A JP H1030168 A JPH1030168 A JP H1030168A JP 18569596 A JP18569596 A JP 18569596A JP 18569596 A JP18569596 A JP 18569596A JP H1030168 A JPH1030168 A JP H1030168A
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- Japan
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- film
- target
- particles
- scattering
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 成膜中にターゲット等に対し膜構成元素を高
純度化し、また膜質の安定化を図る。 【解決手段】 被着体6と所定の距離をおいて配置した
飛散粒子発生源(例えば、ターゲット8)に対しエネル
ギービームを印加し、その飛散粒子のうち、所定範囲内
の飛散速度を有する粒子を被着体6側に選択的に通過さ
せた後、成膜する。この粒子が選択的に通過できる飛散
速度の所定範囲は、被着体6に成膜したい元素の飛散速
度を中心に設定される。この成膜法は、真空蒸着法やス
パッタ法にくらべ、元素ごとに分布の相違がより明確に
現れ易いレーザアブレーション法(図示)に好適であ
る。なかでも、エキシマレーザ光を用いると、単原子ご
とにターゲット8材の結合を切り離すことができ、元素
の速度分布がより明確となる点で好ましい。
純度化し、また膜質の安定化を図る。 【解決手段】 被着体6と所定の距離をおいて配置した
飛散粒子発生源(例えば、ターゲット8)に対しエネル
ギービームを印加し、その飛散粒子のうち、所定範囲内
の飛散速度を有する粒子を被着体6側に選択的に通過さ
せた後、成膜する。この粒子が選択的に通過できる飛散
速度の所定範囲は、被着体6に成膜したい元素の飛散速
度を中心に設定される。この成膜法は、真空蒸着法やス
パッタ法にくらべ、元素ごとに分布の相違がより明確に
現れ易いレーザアブレーション法(図示)に好適であ
る。なかでも、エキシマレーザ光を用いると、単原子ご
とにターゲット8材の結合を切り離すことができ、元素
の速度分布がより明確となる点で好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形成膜の純度をソ
ース(例えば、ターゲット等)に比べ向上させることが
できるレーザアブレーションなどの物理的成膜方法に関
する。
ース(例えば、ターゲット等)に比べ向上させることが
できるレーザアブレーションなどの物理的成膜方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるレーザアブレーション法は、集
光により高エネルギー密度化された波長の短いレーザ光
をターゲットに当てて、その構成材の結合を非熱的に切
り、プラズマとなった粒子を基板側に向けて飛ばす物理
的成膜方法の一種である。その他の代表的な物理的成膜
方法としては、るつぼ内のインゴットを電子ビームで加
熱して成膜粒子を熱的に飛ばす真空蒸着法や、イオンビ
ームでターゲットを叩き成膜粒子を飛ばすスパッタ法な
どがある。
光により高エネルギー密度化された波長の短いレーザ光
をターゲットに当てて、その構成材の結合を非熱的に切
り、プラズマとなった粒子を基板側に向けて飛ばす物理
的成膜方法の一種である。その他の代表的な物理的成膜
方法としては、るつぼ内のインゴットを電子ビームで加
熱して成膜粒子を熱的に飛ばす真空蒸着法や、イオンビ
ームでターゲットを叩き成膜粒子を飛ばすスパッタ法な
どがある。
【0003】これらの成膜法に使用されるターゲットな
どのソース(本発明では、「飛散粒子発生源」ともい
う)の純度は、各種の化学的或いは電気化学的方法によ
って予め高めてある。
どのソース(本発明では、「飛散粒子発生源」ともい
う)の純度は、各種の化学的或いは電気化学的方法によ
って予め高めてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の物理的成
膜法では、形成膜の純度がソースの純度より低下する場
合が殆どであり、非常によく管理された装置及びソース
を用い、純度低下が少ない成膜法を用いても、ソースに
近い純度の形成膜を得れればよいほうであった。しかる
に、成膜中に純度を向上できれば、単に高品位な形成膜
が得られるだけでなく、仮にチャンバ内の膜剥がれ等に
より成膜途中にソースが不純物で汚染されたとしても、
これによる形成膜の品位劣化を未然に防止でき安定した
成膜が可能となる等の点で好ましい。
膜法では、形成膜の純度がソースの純度より低下する場
合が殆どであり、非常によく管理された装置及びソース
を用い、純度低下が少ない成膜法を用いても、ソースに
近い純度の形成膜を得れればよいほうであった。しかる
に、成膜中に純度を向上できれば、単に高品位な形成膜
が得られるだけでなく、仮にチャンバ内の膜剥がれ等に
より成膜途中にソースが不純物で汚染されたとしても、
これによる形成膜の品位劣化を未然に防止でき安定した
成膜が可能となる等の点で好ましい。
【0005】とくに、レーザアブレーション法は、レー
ザ光でソース(ターゲット)の結合を非熱的に切り飛散
させるもので、ターゲットの組成がそのまま形成膜に反
映され易い一方で、ターゲットをCVD法で作った場合
には炭素等が形成膜に混入するおそれが強い。また、イ
オンでターゲットを叩くスパッタ法では、形成膜の成分
がターゲットとずれることも多い。さらに、電子ビーム
による真空蒸着法においても、るつぼの組成金属と被膜
金属との融点が近い場合などでは、るつぼからの汚染も
皆無とはいえない。
ザ光でソース(ターゲット)の結合を非熱的に切り飛散
させるもので、ターゲットの組成がそのまま形成膜に反
映され易い一方で、ターゲットをCVD法で作った場合
には炭素等が形成膜に混入するおそれが強い。また、イ
オンでターゲットを叩くスパッタ法では、形成膜の成分
がターゲットとずれることも多い。さらに、電子ビーム
による真空蒸着法においても、るつぼの組成金属と被膜
金属との融点が近い場合などでは、るつぼからの汚染も
皆無とはいえない。
【0006】本発明は、このような実情に鑑みてなさ
れ、ターゲット等の飛散粒子発生源の構成材をエネルギ
ービームの印加により飛散させて被着体に膜を形成する
際、その成膜中に膜構成元素の高純度化及び膜質の安定
化が図れる成膜方法を提供することを目的とする。
れ、ターゲット等の飛散粒子発生源の構成材をエネルギ
ービームの印加により飛散させて被着体に膜を形成する
際、その成膜中に膜構成元素の高純度化及び膜質の安定
化が図れる成膜方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題
点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の
成膜方法では、被着体と所定の距離をおいて配置した飛
散粒子発生源に対し、エネルギービームを印加する工程
と、飛散粒子発生源から飛散する粒子のうち、所定範囲
内の飛散速度を有する粒子を、被着体側に選択的に通過
させる速度選択工程と、この速度選択工程を経た粒子
を、被着体に付着させる成膜工程とを有し、速度選択工
程では、粒子が選択的に通過できる前記飛散速度の所定
範囲を、成膜工程で成膜したい元素の飛散速度を中心に
設定することを特徴とする。
点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の
成膜方法では、被着体と所定の距離をおいて配置した飛
散粒子発生源に対し、エネルギービームを印加する工程
と、飛散粒子発生源から飛散する粒子のうち、所定範囲
内の飛散速度を有する粒子を、被着体側に選択的に通過
させる速度選択工程と、この速度選択工程を経た粒子
を、被着体に付着させる成膜工程とを有し、速度選択工
程では、粒子が選択的に通過できる前記飛散速度の所定
範囲を、成膜工程で成膜したい元素の飛散速度を中心に
設定することを特徴とする。
【0008】本成膜方法では、ある速度範囲内の粒子を
選択的に通過させ、その速度範囲が、成膜元素の飛散速
度を中心に設定されることから、ソースに予め含有する
微量不純物の被着体側への飛来を阻止し、ソースよりも
高品位な膜形成ができる。また、例えばチャンバー内壁
の膜はがれ等によりソースが汚染された場合であって
も、その汚染物質の形成膜への混入が防止でき、その膜
質の安定化を図ることが可能となる。
選択的に通過させ、その速度範囲が、成膜元素の飛散速
度を中心に設定されることから、ソースに予め含有する
微量不純物の被着体側への飛来を阻止し、ソースよりも
高品位な膜形成ができる。また、例えばチャンバー内壁
の膜はがれ等によりソースが汚染された場合であって
も、その汚染物質の形成膜への混入が防止でき、その膜
質の安定化を図ることが可能となる。
【0009】この粒子の速度選択では、構成元素の質量
に応じて飛散粒子の速度に明確な違いがでれば、あとは
一般的な速度選択手法が利用できる。たとえば、ある速
度範囲の粒子のみ透過させ、その他は機械的に捕捉する
速度フィルタを利用する方法がある。また、高速又は低
速側の一方側のみカットする速度フィルタを利用しても
よい。なお、粒子がイオン化されている場合にあっては
電気的な方法も利用可能である。
に応じて飛散粒子の速度に明確な違いがでれば、あとは
一般的な速度選択手法が利用できる。たとえば、ある速
度範囲の粒子のみ透過させ、その他は機械的に捕捉する
速度フィルタを利用する方法がある。また、高速又は低
速側の一方側のみカットする速度フィルタを利用しても
よい。なお、粒子がイオン化されている場合にあっては
電気的な方法も利用可能である。
【0010】本発明は、種々の物理的成膜法のうち、特
にレーザアブレーション法に好適である。この方法は、
真空蒸着法やスパッタ法にくらべ、飛散粒子の速度分布
の相違が、その構成元素ごとに明確に現れ易いからであ
る。すなわち、レーザアブレーション法は、真空蒸着法
と異なり、エネルギービームとしてレーザ光を用い粒子
の飛散を非熱的に行うといった面が強い。また、スパッ
タ法に比べると、真空度が高く原子の平均自由行程が長
い。したがって、レーザアブレーション法は、真空蒸着
法やスパッタ法等の他の成膜法よりも飛散粒子の速度分
布が、その構成元素ごとにばらつき易い。
にレーザアブレーション法に好適である。この方法は、
真空蒸着法やスパッタ法にくらべ、飛散粒子の速度分布
の相違が、その構成元素ごとに明確に現れ易いからであ
る。すなわち、レーザアブレーション法は、真空蒸着法
と異なり、エネルギービームとしてレーザ光を用い粒子
の飛散を非熱的に行うといった面が強い。また、スパッ
タ法に比べると、真空度が高く原子の平均自由行程が長
い。したがって、レーザアブレーション法は、真空蒸着
法やスパッタ法等の他の成膜法よりも飛散粒子の速度分
布が、その構成元素ごとにばらつき易い。
【0011】なかでもエキシマレーザについては、その
飛散粒子の速度分布が大きくばらつくので、速度選択が
行いやすい。このレーザは紫外領域の光を発し、赤外領
域のYAGレーザ等の他のレーザに比べると、熱的な作
用が殆どなく光で結合を単原子ごとに切り離すことがで
きるからである。
飛散粒子の速度分布が大きくばらつくので、速度選択が
行いやすい。このレーザは紫外領域の光を発し、赤外領
域のYAGレーザ等の他のレーザに比べると、熱的な作
用が殆どなく光で結合を単原子ごとに切り離すことがで
きるからである。
【0012】
【本発明の実施の形態】以下、本発明に係る成膜方法
を、図面にもとづいて詳細に説明する。上記したよう
に、本発明は、ターゲット等の飛散粒子発生源(ソー
ス)の構成材を飛散させ被着体上に成膜する際、その飛
散途中で形成膜の膜構成元素の純度を、ソース側よりも
上げるものであり、電子ビームによる真空蒸着法,スパ
ッタ法,レーザアブレーション法等に代表されるエネル
ギービーム印加型の物理的成膜法の殆ど全てに適用され
得る。
を、図面にもとづいて詳細に説明する。上記したよう
に、本発明は、ターゲット等の飛散粒子発生源(ソー
ス)の構成材を飛散させ被着体上に成膜する際、その飛
散途中で形成膜の膜構成元素の純度を、ソース側よりも
上げるものであり、電子ビームによる真空蒸着法,スパ
ッタ法,レーザアブレーション法等に代表されるエネル
ギービーム印加型の物理的成膜法の殆ど全てに適用され
得る。
【0013】この純度向上は、膜構成元素と他の不純物
元素との質量差を利用して行うことができる。たとえ
ば、これら元素がイオン化されている場合では、この質
量差は磁場通過後に各元素の偏向量として現れるので、
スリット等で所望の元素のみ選択的に通過させる。
元素との質量差を利用して行うことができる。たとえ
ば、これら元素がイオン化されている場合では、この質
量差は磁場通過後に各元素の偏向量として現れるので、
スリット等で所望の元素のみ選択的に通過させる。
【0014】また、イオン化されていない場合では、速
度フィルタを用いることができる。速度フィルタは、所
定の速度範囲の膜構成元素を通過させ、他をカットする
ものが好ましい。しかし、含有不純物や汚染物質が既知
で、その飛散速度が膜構成元素より一方側に偏っている
場合にあっては、高速又は低速側の一方のみカットする
速度フィルタを用いることもできる。これら速度フィル
タを用いる方法は、装置が大がかりにならない点で好ま
しいが、ソース構成材の飛散後、各元素毎に速度分布の
相違が明確な場合にのみ有効な方法である。
度フィルタを用いることができる。速度フィルタは、所
定の速度範囲の膜構成元素を通過させ、他をカットする
ものが好ましい。しかし、含有不純物や汚染物質が既知
で、その飛散速度が膜構成元素より一方側に偏っている
場合にあっては、高速又は低速側の一方のみカットする
速度フィルタを用いることもできる。これら速度フィル
タを用いる方法は、装置が大がかりにならない点で好ま
しいが、ソース構成材の飛散後、各元素毎に速度分布の
相違が明確な場合にのみ有効な方法である。
【0015】この意味では、レーザアブレーション等の
ビームをターゲットに当てて飛ばす物理的成膜法と速度
フィルタとの組み合わせが最も好ましい。なぜなら、レ
ーザアブレーションでは、波長の短いレーザ光をターゲ
ットに当てて成膜原子の結合を非熱的に切りプラズマと
なった粒子を飛ばすが、この際、飛散粒子の速度分布が
各元素毎に明確に分かれ、このため速度フィルタによる
膜構成元素の選択が容易だからである。レーザビームの
種類に限定はないが、前述したように、紫外領域の光を
発し単原子毎に非熱的なアブレーションが可能なエキシ
マレーザ光が好ましい。また、ビームの当て方は、連続
的であるとパルス状であるとを問わない。
ビームをターゲットに当てて飛ばす物理的成膜法と速度
フィルタとの組み合わせが最も好ましい。なぜなら、レ
ーザアブレーションでは、波長の短いレーザ光をターゲ
ットに当てて成膜原子の結合を非熱的に切りプラズマと
なった粒子を飛ばすが、この際、飛散粒子の速度分布が
各元素毎に明確に分かれ、このため速度フィルタによる
膜構成元素の選択が容易だからである。レーザビームの
種類に限定はないが、前述したように、紫外領域の光を
発し単原子毎に非熱的なアブレーションが可能なエキシ
マレーザ光が好ましい。また、ビームの当て方は、連続
的であるとパルス状であるとを問わない。
【0016】以下、より具体的な実施形態として、パル
ス状のエキシマレーザビームを照射して行うレーザアブ
レーション法で膜構成元素の選択しながら行う成膜方法
について説明する。まず、この成膜方法に用いる装置に
ついて述べる。図1に示すように、このレーザアブレー
ション装置2には、不図示の真空排気装置により高真空
に保持された真空チャンバー4を具備する。
ス状のエキシマレーザビームを照射して行うレーザアブ
レーション法で膜構成元素の選択しながら行う成膜方法
について説明する。まず、この成膜方法に用いる装置に
ついて述べる。図1に示すように、このレーザアブレー
ション装置2には、不図示の真空排気装置により高真空
に保持された真空チャンバー4を具備する。
【0017】真空チャンバー4内には、所定の薄膜を形
成しようとする被着体、例えば図示のような基板6が治
具6aに装着されている。これにより、基板6は下方に
被着面を向けて、自転或いは自公転可能に保持されてい
る。被着体としては、このような一方面のみに成膜する
構成でなくとも、被着面を複数有する多面体を含む立体
であってもよく、この場合の被着体は3次元的な回転が
可能に保持させてよい。
成しようとする被着体、例えば図示のような基板6が治
具6aに装着されている。これにより、基板6は下方に
被着面を向けて、自転或いは自公転可能に保持されてい
る。被着体としては、このような一方面のみに成膜する
構成でなくとも、被着面を複数有する多面体を含む立体
であってもよく、この場合の被着体は3次元的な回転が
可能に保持させてよい。
【0018】一方、このような被着体(基板6)に対し
て所定距離をおいた真空チャンバー4内の下方側には、
飛散粒子発生源としてターゲット8が設けてある。ま
た、このターゲット8にエネルギービームを印加するた
めに、真空チャンバー4の外部には、覗き窓4a側から
順にエキシマレーザビームを絞ってターゲット8上に焦
点を合わせるためのレンズ10と、パルスレーザ照射装
置12とが配設されている。
て所定距離をおいた真空チャンバー4内の下方側には、
飛散粒子発生源としてターゲット8が設けてある。ま
た、このターゲット8にエネルギービームを印加するた
めに、真空チャンバー4の外部には、覗き窓4a側から
順にエキシマレーザビームを絞ってターゲット8上に焦
点を合わせるためのレンズ10と、パルスレーザ照射装
置12とが配設されている。
【0019】ターゲット8から所定距離lだけ離れた基
板6との間隔内には、エキシマレーザビーム照射により
ターゲット8表面で発生し基板6に向けて飛散する飛散
粒子(ここでは、飛散原子)のうち、所定範囲の速度を
有する膜構成元素(ここでは、膜構成原子そのもの)の
みを選択的に通過させ、それ以外の高速或いは低速な原
子を通過させない機械式チョッパとして、回転盤14が
設けてある。この回転盤14は、半径rの薄板状の円盤
であり、所定原子のみを選択的に通過させるためのスリ
ット14a(スリット幅;d)が表裏面を貫通して設け
てある。スリット14aの個数に限定はなく、この図示
例では回転軸を挟んで2箇所に設けてある。
板6との間隔内には、エキシマレーザビーム照射により
ターゲット8表面で発生し基板6に向けて飛散する飛散
粒子(ここでは、飛散原子)のうち、所定範囲の速度を
有する膜構成元素(ここでは、膜構成原子そのもの)の
みを選択的に通過させ、それ以外の高速或いは低速な原
子を通過させない機械式チョッパとして、回転盤14が
設けてある。この回転盤14は、半径rの薄板状の円盤
であり、所定原子のみを選択的に通過させるためのスリ
ット14a(スリット幅;d)が表裏面を貫通して設け
てある。スリット14aの個数に限定はなく、この図示
例では回転軸を挟んで2箇所に設けてある。
【0020】特に図示しないが、回転盤14は駆動系に
より軸回転可能に保持してあり、更にレーザ照射系はチ
ャンバー4外部に設けた制御系により回転盤14のスリ
ット14a位置と同期してレーザ照射されるように構成
してある。この照射タイミング制御により、パルスレー
ザ照射装置12によりエキシマレーザ光が照射され、タ
ーゲット8から飛散した所定速度の膜構成原子が、回転
盤14のスリット14aを介して上方の基板6側に抜け
るように回転盤14との同期がとられる。
より軸回転可能に保持してあり、更にレーザ照射系はチ
ャンバー4外部に設けた制御系により回転盤14のスリ
ット14a位置と同期してレーザ照射されるように構成
してある。この照射タイミング制御により、パルスレー
ザ照射装置12によりエキシマレーザ光が照射され、タ
ーゲット8から飛散した所定速度の膜構成原子が、回転
盤14のスリット14aを介して上方の基板6側に抜け
るように回転盤14との同期がとられる。
【0021】この各スリット14aの位置を検出するこ
とで回転盤14との同期を正確にとるために、本実施形
態ではLED16とフォトダイオード18とを、両者間
に回転盤14のスリット14a部が通過可能な位置に近
設させている。その他、回転盤14とターゲット8との
間には、回転盤14の径方向に所定幅wで開口したプリ
スリット20が設けてあり、これにより原子群の飛来幅
が予め規制されている。また、基板6の更に上方側に
は、四重極質量分析計22が配設されている。
とで回転盤14との同期を正確にとるために、本実施形
態ではLED16とフォトダイオード18とを、両者間
に回転盤14のスリット14a部が通過可能な位置に近
設させている。その他、回転盤14とターゲット8との
間には、回転盤14の径方向に所定幅wで開口したプリ
スリット20が設けてあり、これにより原子群の飛来幅
が予め規制されている。また、基板6の更に上方側に
は、四重極質量分析計22が配設されている。
【0022】ところで、ターゲット8は、主構成元素の
他に予め微量の不純物を含有していることが多く、ま
た、装置内汚染があるとかなりの割合で不純物を含んで
いる場合もある。上記構成のレーザアブレーション装置
2を用い基板6上に形成膜を成膜すれば、これらターゲ
ット8の不純物を成膜経路から除去でき、形成膜の純度
をターゲット8よりも高めることが可能となる。
他に予め微量の不純物を含有していることが多く、ま
た、装置内汚染があるとかなりの割合で不純物を含んで
いる場合もある。上記構成のレーザアブレーション装置
2を用い基板6上に形成膜を成膜すれば、これらターゲ
ット8の不純物を成膜経路から除去でき、形成膜の純度
をターゲット8よりも高めることが可能となる。
【0023】すなわち、まず、この図示例のように、エ
キシマレーザ光をパルス状に照射すると、ターゲット8
の主構成元素の結合が非熱的に切り離され上方に向かっ
て原子毎に飛散する。その際、各原子とも同じような量
のエネルギーを受けとるが、原子の種類に応じて質量が
異なるため飛散速度に差を生じる。形成膜の膜構成原子
のみスリット14aを通過可能に回転盤14の回転制御
がなされているので、これよりも速い或いは遅い他の不
純物原子はスリット14aを抜けることができず、回転
盤14の裏面に付着し飛散経路から排除される。従っ
て、スリット14aを通過した原子で形成される基板6
上の形成膜の純度は、ターゲット8よりも高いものとな
る。
キシマレーザ光をパルス状に照射すると、ターゲット8
の主構成元素の結合が非熱的に切り離され上方に向かっ
て原子毎に飛散する。その際、各原子とも同じような量
のエネルギーを受けとるが、原子の種類に応じて質量が
異なるため飛散速度に差を生じる。形成膜の膜構成原子
のみスリット14aを通過可能に回転盤14の回転制御
がなされているので、これよりも速い或いは遅い他の不
純物原子はスリット14aを抜けることができず、回転
盤14の裏面に付着し飛散経路から排除される。従っ
て、スリット14aを通過した原子で形成される基板6
上の形成膜の純度は、ターゲット8よりも高いものとな
る。
【0024】
【実施例】以下、さらに具体的に、本発明の実施例につ
いて説明する。本実施例では、上記実施形態における図
1のレーザアブレーション装置2を用い、回転盤14に
よる形成膜の純度向上の効果を調べるために、具体的な
四重極質量分析計22の検出結果及び形成膜の組成分析
結果を例示する。
いて説明する。本実施例では、上記実施形態における図
1のレーザアブレーション装置2を用い、回転盤14に
よる形成膜の純度向上の効果を調べるために、具体的な
四重極質量分析計22の検出結果及び形成膜の組成分析
結果を例示する。
【0025】ここで使用したレーザアブレーション装置
2の諸元は、回転盤半径:r=200mm,スリット
幅:d=1mm,スリット数:n=4,プリスリット
幅:w=1mm,ターゲットと回転盤との距離:l=3
0mm,回転盤角速度:ω=1872rad/sec
(f=300Hz)であった。また、ターゲット8とし
ては、CVD法で形成したAu(質量;3.27×10
-25 kg)を、その照射光にはパルス状のKrFエキシ
マレーザ光(波長=248nm,パルス幅=14nse
cをそれぞれ用い、このエキシマレーザ光をターゲット
8上にレンズ10で絞って間欠的に照射した。
2の諸元は、回転盤半径:r=200mm,スリット
幅:d=1mm,スリット数:n=4,プリスリット
幅:w=1mm,ターゲットと回転盤との距離:l=3
0mm,回転盤角速度:ω=1872rad/sec
(f=300Hz)であった。また、ターゲット8とし
ては、CVD法で形成したAu(質量;3.27×10
-25 kg)を、その照射光にはパルス状のKrFエキシ
マレーザ光(波長=248nm,パルス幅=14nse
cをそれぞれ用い、このエキシマレーザ光をターゲット
8上にレンズ10で絞って間欠的に照射した。
【0026】図2は、回転盤14で飛散速度を規制する
前の、ターゲット8から放出される飛散原子の飛散速度
分布図である。この速度分布の測定は、ターゲット8の
上方約1m離れた位置に据えた四重極質量分析計22を
用いて行った。縦軸は、レーザ光照射によりプラズマ化
されたAuイオン及び他の不純物イオンが四重極質量分
析計22に達することで検出されたイオン電流値を示
し、横軸は、これらイオンが四重極子質量分析計22に
到達するまでの時間、すなわち飛散速度を示す。
前の、ターゲット8から放出される飛散原子の飛散速度
分布図である。この速度分布の測定は、ターゲット8の
上方約1m離れた位置に据えた四重極質量分析計22を
用いて行った。縦軸は、レーザ光照射によりプラズマ化
されたAuイオン及び他の不純物イオンが四重極質量分
析計22に達することで検出されたイオン電流値を示
し、横軸は、これらイオンが四重極子質量分析計22に
到達するまでの時間、すなわち飛散速度を示す。
【0027】図から判るように、エキシマレーザ光によ
りアブレーションで切り離された膜構成原子(Au)及
び不純物原子(C,Zn)は各原子ごとの到達時間(飛
来速度)に明確な分布を示した。
りアブレーションで切り離された膜構成原子(Au)及
び不純物原子(C,Zn)は各原子ごとの到達時間(飛
来速度)に明確な分布を示した。
【0028】つぎに、上記諸元の回転盤14を挿入して
成膜した被着体(基板6)とターゲット8の組成比の比
較を表1に示す。
成膜した被着体(基板6)とターゲット8の組成比の比
較を表1に示す。
【表1】
【0029】この表中、基板6の組成比は、上記諸元で
回転盤14を回転させ、ターゲット8と対向位置に設け
たフォトカプラ16,18でスリット14aを検出して
から、68.4msec後にパルスレーザ光をターゲッ
ト8に照射することにより基板6上に成膜された形成膜
の膜組成比を示している。この場合、スリット14aを
通過できる原子の速度範囲は、おおよそ3.1×105
〜6.9×105 cm/sec(計算値)となり、これ
は図2の到達時間換算でいうと、149〜332μse
cの範囲に検出されている原子がスリット14aを通過
したことを意味している。
回転盤14を回転させ、ターゲット8と対向位置に設け
たフォトカプラ16,18でスリット14aを検出して
から、68.4msec後にパルスレーザ光をターゲッ
ト8に照射することにより基板6上に成膜された形成膜
の膜組成比を示している。この場合、スリット14aを
通過できる原子の速度範囲は、おおよそ3.1×105
〜6.9×105 cm/sec(計算値)となり、これ
は図2の到達時間換算でいうと、149〜332μse
cの範囲に検出されている原子がスリット14aを通過
したことを意味している。
【0030】この表から、亜鉛(Zn)で1桁,炭素
(C)では2桁程度に不純物の膜混入が低減され、本発
明による純度向上の効果が確認できた。
(C)では2桁程度に不純物の膜混入が低減され、本発
明による純度向上の効果が確認できた。
【0031】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
成膜方法によれば、ターゲット等の飛散粒子発生源の構
成材をエネルギービームの印加により飛散させて被着体
に膜を形成する際、その成膜中に膜構成元素の高純度化
及び膜質の安定化を図ることが可能となった。
成膜方法によれば、ターゲット等の飛散粒子発生源の構
成材をエネルギービームの印加により飛散させて被着体
に膜を形成する際、その成膜中に膜構成元素の高純度化
及び膜質の安定化を図ることが可能となった。
【図1】本発明の実施形態に係る成膜装置の要部を示す
概略構成図である。
概略構成図である。
【図2】本発明の実施例において速度選択を行なうこと
なくAuターゲットをアブレーションした際の飛散原子
の速度分布図である。
なくAuターゲットをアブレーションした際の飛散原子
の速度分布図である。
2…レーザアブレーション装置、 4…真空チャンバ、 4a…覗き窓、 6…基板(被着体)、 6a…治具、 8…ターゲット(飛散粒子発生源)、 10…レンズ、 12…パルスレーザ照射装置、 14…回転盤、 14a…スリット、 16…LED、 18…フォトダイオード、 20…プリスリット、 22…四重極質量分析計。
Claims (3)
- 【請求項1】 被着体と所定の距離をおいて配置した飛
散粒子発生源に対し、エネルギービームを印加する工程
と、 前記飛散粒子発生源から飛散する粒子のうち、所定範囲
内の飛散速度を有する粒子を、前記被着体側に選択的に
通過させる速度選択工程と、 前記速度選択工程を経た粒子を、被着体に付着させる成
膜工程とを有し、 前記速度選択工程では、粒子が選択的に通過できる前記
飛散速度の所定範囲を、前記成膜工程で成膜したい元素
の飛散速度を中心に設定する成膜方法。 - 【請求項2】 前記エネルギービームの印加は、前記飛
散粒子発生源に対しレーザ光を照射することにより行う
請求項1に記載の成膜方法。 - 【請求項3】 前記レーザ光は、エキシマレーザ光であ
る請求項2に記載の成膜方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18569596A JPH1030168A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18569596A JPH1030168A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 成膜方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1030168A true JPH1030168A (ja) | 1998-02-03 |
Family
ID=16175256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18569596A Pending JPH1030168A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 成膜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1030168A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2002054514A1 (ja) * | 2000-12-28 | 2004-05-13 | ソニー株式会社 | ガス拡散性電極、導電性イオン伝導体及びこれらの製造方法、並びに電気化学デバイス |
JP2004356163A (ja) * | 2003-05-27 | 2004-12-16 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | シリコン系薄膜及び光電変換素子、並びにシリコン系薄膜の製造方法 |
JP2006255533A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | ガス浄化材料及びその製造方法 |
US9748578B2 (en) | 2010-04-14 | 2017-08-29 | Johnson Controls Technology Company | Battery and battery plate assembly |
EP3919650A1 (en) * | 2020-06-04 | 2021-12-08 | Solmates B.V. | Device for pulsed laser deposition |
EP3964605A1 (en) * | 2020-09-03 | 2022-03-09 | Solmates B.V. | Device for pulsed laser deposition |
US11539051B2 (en) | 2011-11-03 | 2022-12-27 | Cps Technology Holdings Llc | Battery grid with varied corrosion resistance |
-
1996
- 1996-07-16 JP JP18569596A patent/JPH1030168A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2002054514A1 (ja) * | 2000-12-28 | 2004-05-13 | ソニー株式会社 | ガス拡散性電極、導電性イオン伝導体及びこれらの製造方法、並びに電気化学デバイス |
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JP2004356163A (ja) * | 2003-05-27 | 2004-12-16 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | シリコン系薄膜及び光電変換素子、並びにシリコン系薄膜の製造方法 |
JP2006255533A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | ガス浄化材料及びその製造方法 |
US9748578B2 (en) | 2010-04-14 | 2017-08-29 | Johnson Controls Technology Company | Battery and battery plate assembly |
US11824204B2 (en) | 2010-04-14 | 2023-11-21 | Cps Technology Holdings Llc | Battery and battery plate assembly with absorbent separator |
US11539051B2 (en) | 2011-11-03 | 2022-12-27 | Cps Technology Holdings Llc | Battery grid with varied corrosion resistance |
EP3919650A1 (en) * | 2020-06-04 | 2021-12-08 | Solmates B.V. | Device for pulsed laser deposition |
EP3964605A1 (en) * | 2020-09-03 | 2022-03-09 | Solmates B.V. | Device for pulsed laser deposition |
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