JPH1030139A - 耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金およびその合金の製造方法ならびにその合金の製造用材料 - Google Patents

耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金およびその合金の製造方法ならびにその合金の製造用材料

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JPH1030139A
JPH1030139A JP18786396A JP18786396A JPH1030139A JP H1030139 A JPH1030139 A JP H1030139A JP 18786396 A JP18786396 A JP 18786396A JP 18786396 A JP18786396 A JP 18786396A JP H1030139 A JPH1030139 A JP H1030139A
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resistance
group
carbide
powder
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JP18786396A
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Iwao Sakazaki
崎 巌 坂
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のVC炭化物粒子を分散させた場合のよ
うに、炭化物粒子を5μm以下ほどの超微細な粒子に規
制することなく、また、65面積%までほどの多量に炭
化物粒子を含有させなくとも、耐食・耐摩耗性に優れた
ものとすることができ、それによって耐割れ性にも優れ
たものとすることができる耐食・耐摩耗・耐割れ性に優
れた合金を提供する。 【解決手段】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金の
うちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス
中に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素
のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径1
5μm以下のMC炭化物粒子相が5〜15%の面積比で
存在している耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性,耐摩耗
性,耐割れ性に優れた合金に関し、また、その合金の製
造方法に関し、さらには、その合金の製造用材料に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】機械構造用部品、例えば、マッドポンプ
用シリンダー,射出成形機用シリンダー,各種摺動部材
などは、耐食性,耐摩耗性・耐割れ性に優れていること
が要求される。
【0003】この種の機械構造用部品の素材として用い
られる耐食性,耐摩耗性に優れた合金としては、例え
ば、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金のうちから選
ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス金属中に、
ほぼ均一に晶出および/または析出された5μm以下の
粒径を有するVC炭化物粒子相が10〜65%の面積比
で存在している耐食・耐摩耗性に優れた合金が開発され
ている(特開平6−200339号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の耐食・耐摩耗性に優れた合金では、VC炭化
物粒子の粒径を5μm以下の極く微細なものに規制して
いるため、このような極く微細な粒子の製造性や取扱い
性などに支障をきたす場合がないとはいえないという問
題があると共に、65%までほどの多量のVC炭化物粒
子を存在させることとしているため、耐割れ性の向上に
限界を生じる場合もありうるという問題があったことか
ら、このような問題を解決することが課題としてあっ
た。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題にかんが
みてなされたものであって、炭化物粒子の粒径を従来の
ごとく5μm以下ほどの超微細な粒子に規制する必要が
なく、また、65面積%までほどの多量に炭化物粒子を
含有させなくとも、耐食・耐摩耗性に優れたものとする
ことが可能であってこれにより耐割れ性にも優れた合金
とすることが可能であるようにすることを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる耐食・耐
摩耗・耐割れ性に優れた合金は、請求項1に記載してい
るように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金のうち
から選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス中
に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素の
うちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径15
μm以下のMC炭化物粒子相が5〜15%の面積比で存
在しているものとしたことを特徴としている。
【0007】本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐割れ性に
優れた表面改質金属部材は、請求項2に記載しているよ
うに、上記請求項1に記載の合金を金属部材の所望部位
に一体的に被覆してなるものとしたことを特徴としてい
る。
【0008】さらに、本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐
割れ性に優れた合金の製造方法は、請求項3に記載して
いるように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金のう
ちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス合
金粉末と、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族
元素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒
径20μm以下のMC炭化物粉末との混合粉末を高エネ
ルギー密度熱源で溶融したのち冷却し、マトリックス中
に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素の
うちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径15
μm以下のMC炭化物粒子を晶出および/または析出さ
せるようにしたことを特徴としている。
【0009】同じく、本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐
割れ性に優れた合金の製造方法は、請求項4に記載して
いるように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金のう
ちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス合
金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期表第IVa族,
第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置
換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末を入れた粉末
入りコアードワイヤーを高エネルギー密度熱源で溶融し
たのち冷却し、マトリックス中に、Vの一部を元素周期
表第IVa族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも
1種の元素で置換した粒径15μm以下のMC炭化物粒
子を晶出および/または析出させるようにしたことを特
徴としている。
【0010】そして、本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐
割れ性に優れた合金の製造方法の実施態様においては、
請求項5に記載しているように、晶出および/または析
出したMC炭化物粒子が5〜15%の面積比で存在して
いるものであるようになすことが望ましく、請求項6に
記載しているように、高エネルギー密度熱源は、プラズ
マアーク,レーザビーム,HIP加熱のうちから選ばれ
るものとすることができる。
【0011】さらにまた、本発明に係わる耐食・耐摩耗
・耐割れ性に優れた表面改質部材の製造方法は、請求項
7に記載しているように、金属部材の所望部位に請求項
3または4に記載の方法により合金層を形成するように
したことを特徴としており、実施態様においては、請求
項8に記載しているように、合金層中にMC炭化物粒子
が5〜15%の面積比で存在しているものとなすことが
より望ましい。
【0012】さらにまた、本発明に係わる耐食・耐摩耗
・耐割れ性に優れた合金の製造用材料は、請求項9に記
載しているように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合
金のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリッ
クス合金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期表第IV
a族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の元
素で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末を入れ
た粉末入りコアードワイヤーからなるものとしたことを
特徴としている。
【0013】同じく、本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐
割れ性に優れた合金の製造用材料は、請求項10に記載
しているように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金
のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリック
ス合金粉末と、Vの一部を元素周期表第IVa族,第V
a族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換し
た粒径20μm以下のMC炭化物粉末との混合粉末から
なるものとしたことを特徴としている。
【0014】
【発明の作用】本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐割れ性
に優れた合金では、上記した構成としており、従来のご
とくVC炭化物粒子相のみが存在し、本願発明のように
Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素のうち
Vを除く少なくとも1種の元素で置換していない合金で
は、VC炭化物粒子相の粒子径が5μm以下でかつ10
〜65%の範囲の面積比で存在させることとしている
が、Vの一部を上記いずれか1種以上の元素で置換した
MC炭化物粒子相を存在させることとした場合には、置
換元素によって炭化物マトリックスとの界面がより一層
強化され、炭化物が剥離しがたくなることによって、5
μmよりも大きい15μm以下の粒径のMC炭化物粒子
が分散しているときでも、5μm以下のVC炭化物粒子
相が分散している場合と同等の優れた耐食性,耐摩耗性
を得ることが可能となる。
【0015】そして、MC炭化物粒子相の粒径が15μ
mを超えると耐割れ性が低下することとなるので、MC
炭化物粒子相の粒径は15μm以下としている。
【0016】そしてまた、優れた耐食・耐摩耗性は、M
C炭化物粒子相を5〜15%の面積比で存在させること
で得ることが可能であるが、MC炭化物粒子相が5面積
%未満では十分な耐摩耗性を得ることができがたくな
る。
【0017】また、従来の場合にはVC炭化物粒子を6
5面積%まで存在させることとしているが、本発明の場
合にはMC炭化物粒子を15面積%まで存在させること
としているので、従来の場合に比べて炭化物粒子の存在
量をかなり少なくしたときでも良好なる耐食・耐摩耗性
を得ることができることから、耐割れ性も著しく向上し
たものとなる。
【0018】そして、良好なる耐割れ性を確保するため
にMC炭化物粒子の面積割合は15%以下としている。
【0019】このような本発明で合金中に存在させるこ
ととしたMC炭化物粒子は、VC炭化物粒子に比べて微
細化がより一層容易なものである。
【0020】本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐割れ性に
優れた合金において、マトリックス合金としては、耐食
性の優れたFe基合金,Co基合金,Ni基合金のうち
から選ばれる少なくとも1種よりなるものが用いられる
が、このうち、Fe基合金としては、耐食性の優れたオ
ーステナイト系ステンレス鋼,マルテンサイト系ステン
レス鋼,フェライト系ステンレス鋼,二相ステンレス鋼
などが使用される。
【0021】また、耐食性の優れたCo基合金として
は、ステライト系のCo−Cr−W系合金や、Co−N
i−Cr−W系合金、あるいはDSアロイ605(AM
S 5759)などを使用することができる。
【0022】さらに、耐食性の優れたNi基合金として
は、ハステロイ系Ni基合金,インコネル系Ni基合
金,モネル系Ni基合金,コルモノイ系Ni基合金など
が用いられ、より具体的には、Ni−Cr−Si系合
金,Ni−Cr−Fe−W系合金などを使用することが
できる。
【0023】さらに、本発明に係わる耐食・耐摩耗・耐
割れ性に優れた合金を製造するに際しては、上述したF
e基合金,Co基合金,Ni基合金のうちから選ばれる
少なくとも1種よりなるマトリックス合金粉末と、Vの
一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素のうちVを
除く少なくとも1種の元素で置換した粒径20μm以下
のMC炭化物粉末との混合粉末を高エネルギー密度熱源
で溶融したのち、あるいは、Fe基合金,Co基合金,
Ni基合金のうちから選ばれる少なくとも1種よりなる
マトリックス合金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期
表第IVa族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも
1種の元素で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉
末を入れた粉末入りコアードワイヤーを高エネルギー密
度熱源で溶融したのち、冷却し、マトリックス合金中
に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素の
うちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径15
μm以下のMC炭化物粒子を晶出および/または析出さ
せるようする。
【0024】上記製造工程において、MC炭化物粉末と
の混合粉末や、MC炭化物粉末をパイプ中に入れた粉末
入りコアードワイヤーを高エネルギー密度熱源で溶融す
るに際して、具体的には、プラズマアーク,レーザビー
ム,HIP加熱用熱源等を使用することができる。
【0025】このように、高エネルギー密度熱源を用い
て溶融することによって、マトリックス合金中に粒径1
5μm以下のMC炭化物粒子を均一かつ微細に晶出およ
び/または析出させることができる。
【0026】高エネルギー密度熱源による溶融後の冷却
に際しては、おおよそ100℃/sec以上の冷却速度
で冷却することが、MC炭化物粒子相の良好なる晶出お
よび/または析出状態を得るために望ましい。そして、
このような冷却速度は強制空冷や強制水冷などによって
得ることができる。
【0027】このようにして得られた合金は、耐食性に
優れたマトリックス合金中に晶出および/または析出し
た均一かつ微細なMC炭化物粒子の粒径が15μm以下
であり且つMC炭化物粒子相の面積比が5〜15%であ
る。
【0028】この場合、MC炭化物粒子の粒径が15μ
mよりも大きくなると合金の耐割れ性が低下することと
なり、MC炭化物粒子相の面積比が5%未満では耐摩耗
性改善の作用が少なく、15%よりも多くなると耐割れ
性が低下することとなる。
【0029】さらにまた、金属部材の表面改質を行って
耐食・耐摩耗・耐割れ性をより一層改善するに際して
は、金属部材の所望部位に前記合金素材粉末ないしはこ
の合金素材である粉末入りコアードワイヤーを高エネル
ギー密度熱源により溶融して一体化する。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について、比較例と共
に説明する。
【0031】実施例1 表1に示すように、Co基合金よりなるマトリックス合
金粉末と、VC炭化物と、Nb,Zr,Taのうち1種
または2種の炭化物からなる粒径15μm以下の炭化物
混合粉末をプラズマ粉体溶接機のプラズマアーク中で溶
融したのち冷却し、Co基マトリックス合金中に、VC
炭化物におけるVの一部をNb,Zr,Taの少なくと
も1種の元素で置換したMC炭化物粒子を晶出ないしは
析出させた合金を得た。
【0032】そして、このようにして得た合金における
MC炭化物粒子の面積率、硬さ、MC炭化物粒子の粒
径、比摩耗量、ならびに6N塩酸および6N硝酸での腐
食量、さらには耐割れ性を調べたところ、同じく表1に
示す結果であった。
【0033】なお、耐摩耗試験に際しては、大越式耐摩
耗試験装置を使用し、相手材;SKD 11(HRC5
8)、最終荷重:18.9kgf、摩擦距離:600
m、摩擦速度:0.76m/secの条件で測定した。
【0034】また、肉盛冷却時の耐割れ性の評価に際し
ては、肉盛母材の内径:100mm,外径:300m
m,長さ2000mm,材質:SCM440の長尺管の
内面に、電流:160A,肉盛厚さ:4mmとなるプラ
ズマ粉末溶接(らせん状肉盛)を行ったときに、内面肉
盛後における割れの有無を調査した。この結果は同じく
表1に示すとおりであり、○は割れが発生しなかったこ
と(肉盛性が良好であったこと)を示し、×は割れが発
生したことを示している。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示すように、いずれのCo基合金に
おいても、良好なる耐食性と耐摩耗性を示した。また、
耐割れ性も良好であった。
【0037】実施例2 表2に示すように、Fe基合金およびNi基合金よりな
るマトリックス合金粉末と、VC炭化物と、Nb,Z
r,Taのうち1種の炭化物からなる粒径15μm以下
の炭化物混合粉末をプラズマ粉体溶接機のプラズマアー
ク中で溶融したのち冷却し、Fe基またはNi基マトリ
ックス合金中に、Vの一部をNb,Zr,Taの少なく
とも1種の元素で置換したMC炭化物粒子を晶出ないし
は析出させた合金を得た。
【0038】そして、このようにして得た合金における
MC炭化物粒子の面積率、硬さ、MC炭化物粒子の粒
径、比摩耗量、ならびに6N塩酸および6N硝酸での腐
食量、さらには耐割れ性を実施例1と同様にして調べた
ところ、同じく表2に示す結果であった。
【0039】
【表2】
【0040】表2に示すように、いずれのFe基合金お
よびNi基合金においても、良好なる耐食性と耐摩耗性
を示した。また、耐割れ性も良好であった。
【0041】比較例1 表3に示すように、Fe基合金,Co基合金,Ni基合
金よりなるマトリックス合金粉末と、VC炭化物粉末と
からなる粒径15μm以下の炭化物混合粉末をプラズマ
粉体溶接機のプラズマアーク中で溶融したのち冷却し、
Fe基合金,Co基合金またはNi基合金のマトリック
ス合金中に、VC炭化物を晶出ないしは析出させた合金
を得た。
【0042】そして、このようにして得た合金における
VC炭化物粒子の面積率、硬さ、MC炭化物粒子の粒
径、比摩耗量、ならびに6N塩酸および6N硝酸での腐
食量、さらには耐割れ性を実施例1と同様にして調べた
ところ、同じく表3に示す結果であった。
【0043】
【表3】
【0044】表3に示すように、いずれの合金において
も耐摩耗性が劣るものとなっていた。
【0045】実施例3 表4に示すCo基合金粉末(マトリックス合金粉末)A
に、表5の試料No.8に示すように、Vの一部をNb
で置換した粒径が20μm以下の(V0.8
0.2)C炭化物粉末16重量%を混合し、また、同
じく表4に示すCo基合金粉末(マトリックス合金粉
末)Aに、表5の試料No.9に示すように、Vの一部
をZrで置換した粒径が20μm以下の(V0.8Zr
0.2)C炭化物粉末16重量%を混合したのち、これ
らの混合粉末をそれぞれ個別にプラズマ粉体溶接機のプ
ラズマアーク中で溶融し、冷却して合金を得た。
【0046】そして、このようにして得た各合金におけ
るMC炭化物粒子の面積率、硬さ、MC炭化物粒子の粒
径、比摩耗量、ならびに6N塩酸および6N硝酸での腐
食量、さらには耐割れ性を実施例1と同様にして測定し
たところ、同じく表5の試料No.8,9に示す結果で
あった。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】表5の試料No.8,9に示すように、い
ずれも良好な耐食性と耐摩耗性を示した。また、耐割れ
性(肉盛性)も良好であった。
【0050】実施例4 表4に示す組成のFe基合金Bよりなる合金製パイプ内
に、表5の試料No.10に示すように、Vの一部をN
bで置換した(V0.9Nb0.1)C炭化物粉末を充
填して密封することにより粉末入りコアードワイヤー
(直径:1.6mmφ、充填率30%)を得た。
【0051】次いで、この粉末入りコアードワイヤーを
プラズマワイヤー溶接機のプラズマアーク中で溶融した
のち冷却して合金を得た。このとき、プラズマアークに
よる溶接肉盛条件は、溶接速度:120mm/分,溶接
電流:160Aであった。
【0052】そして、このようにして得た合金における
MC炭化物粒子の面積率、硬さ、MC炭化物粒子の粒
径、比摩耗量、ならびに6N塩酸および6N硝酸での腐
食量、さらには耐割れ性を実施例1と同様にして測定し
たところ、同じく表5の試料No.10に示す結果であ
った。
【0053】表5の試料No.10に示すように、耐食
性および耐摩耗性が共に良好なものとなっていた。ま
た、耐割れ性も良好であった。
【0054】実施例5 実施例3で用いた表4に示す組成のマトリックス合金粉
末Aを使用して表5の試料No.8,9に示すごとき配
合割合の混合粉末を得たのち、プラズマ溶接機を使用
し、筒状金属部材の内周表面が上記混合粉末の肉盛溶接
により改質された射出成形機用シリンダを作製した。
【0055】また、比較のために、JIS SACM
645(アルミニウム・クロム・モリブデン鋼鋼材)よ
りなる筒状金属部材の内周表面に窒化処理を施して表面
改質した射出成形機用シリンダを作製した。
【0056】そして、両射出成形機用シリンダについて
実機試験を行い、従来法により表面改質した射出成形機
用シリンダの耐用寿命を基準とし、上記発明による射出
成形機用シリンダの耐用寿命を調べたところ、耐用寿命
比は3.8であり、大幅な寿命延長を実現することが可
能であった。
【0057】
【発明の効果】本発明による耐食・耐摩耗・耐割れ性に
優れた合金では、Fe基合金,Co基合金,Ni基合金
のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリック
ス中に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元
素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径
15μm以下のMC炭化物粒子相が5〜15%の面積比
で存在しているものとしたから、炭化物粒子の粒径を従
来のVC炭化物粒子を分散させた場合のように5μm以
下ほどにまで超微細化する必要がなく、また、従来のV
C炭化物粒子を分散させた場合のように65面積%まで
ほどの多量に分散させなくとも、耐食・耐摩耗性に優れ
たものとすることが可能であり、その結果、耐割れ性に
も優れたものとすることが可能であるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
【0058】そして、請求項2に記載しているように、
上記の合金を金属部材の所望部位に一体的に被覆してな
るものとすることによって、耐食・耐摩耗・耐割れ性に
優れた表面改質金属部材を得ることが可能であるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【0059】また、本発明による耐食・耐摩耗・耐割れ
性に優れた合金の製造方法では、Fe基合金,Co基合
金,Ni基合金のうちから選ばれる少なくとも1種より
なるマトリックス合金粉末と、Vの一部を元素周期表第
IVa族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種
の元素で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末と
の混合粉末、または、Fe基合金,Co基合金,Ni基
合金のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリ
ックス合金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期表第I
Va族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の
元素で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末を入
れた粉末入りコアードワイヤーを高エネルギー密度熱源
で溶融したのち冷却し、マトリックス中に、Vの一部を
元素周期表第IVa族,第Va族元素のうちVを除く少
なくとも1種の元素で置換した粒径15μm以下のMC
炭化物粒子を晶出および/または析出させるようにした
から、耐食・耐摩耗性に優れ、そしてまた耐割れ性にも
優れた耐食・耐摩耗・耐割れ性合金を製造することが可
能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0060】さらにまた、本発明に係わる耐食・耐摩耗
・耐割れ性に優れた合金の製造用材料は、Fe基合金,
Co基合金,Ni基合金のうちから選ばれる少なくとも
1種よりなるマトリックス合金製のパイプ中に、Vの一
部を元素周期表第IVa族,第Va族元素のうちVを除
く少なくとも1種の元素で置換した粒径20μm以下の
MC炭化物粉末を入れた粉末入りコアードワイヤーから
なるものとすることによって、この粉末入りコアードワ
イヤーを高エネルギー密度熱源で溶融することにより耐
食・耐摩耗・耐割れ性に優れた肉盛層等の合金を得るこ
とが可能であり、また、Fe基合金,Co基合金,Ni
基合金のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマト
リックス合金粉末と、Vの一部を元素周期表第IVa
族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素
で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末との混合
粉末からなるものとすることによって、この混合粉末を
高エネルギー密度熱源で溶融することにより耐食・耐摩
耗・耐割れ性に優れた肉盛層等の合金を得ることが可能
であるという著大なる効果がもたらされる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金の
    うちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス
    中に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素
    のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径1
    5μm以下のMC炭化物粒子相が5〜15%の面積比で
    存在していることを特徴とする耐食・耐摩耗・耐割れ性
    に優れた合金。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の合金を金属部材の所望
    部位に一体的に被覆してなることを特徴とする耐食・耐
    摩耗・耐割れ性に優れた表面改質金属部材。
  3. 【請求項3】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金の
    うちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス
    合金粉末と、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va
    族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した
    粒径20μm以下のMC炭化物粉末との混合粉末を高エ
    ネルギー密度熱源で溶融したのち冷却し、マトリックス
    中に、Vの一部を元素周期表第IVa族,第Va族元素
    のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換した粒径1
    5μm以下のMC炭化物粒子を晶出および/または析出
    させることを特徴とする耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れ
    た合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金の
    うちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス
    合金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期表第IVa
    族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素
    で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末を入れた
    粉末入りコアードワイヤーを高エネルギー密度熱源で溶
    融したのち冷却し、マトリックス中に、Vの一部を元素
    周期表第IVa族,第Va族元素のうちVを除く少なく
    とも1種の元素で置換した粒径15μm以下のMC炭化
    物粒子を晶出および/または析出させることを特徴とす
    る耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 晶出および/または析出したMC炭化物
    粒子が5〜15%の面積比で存在している請求項3また
    は4に記載の耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 高エネルギー密度熱源は、プラズマアー
    ク,レーザビーム,HIP加熱のうちから選ばれる請求
    項3または4に記載の耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた
    合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属部材の所望部位に請求項3または4
    に記載の方法により合金層を形成することを特徴とする
    耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた表面改質金属部材の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 合金層中にMC炭化物粒子が5〜15%
    の面積比で存在している請求項7に記載の耐食・耐摩耗
    ・耐割れ性に優れた表面改質金属部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金の
    うちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリックス
    合金製のパイプ中に、Vの一部を元素周期表第IVa
    族,第Va族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素
    で置換した粒径20μm以下のMC炭化物粉末を入れた
    粉末入りコアードワイヤーからなることを特徴とする耐
    食・耐摩耗・耐割れ性に優れた合金の製造用材料。
  10. 【請求項10】 Fe基合金,Co基合金,Ni基合金
    のうちから選ばれる少なくとも1種よりなるマトリック
    ス合金粉末と、Vの一部を元素周期表第IVa族,第V
    a族元素のうちVを除く少なくとも1種の元素で置換し
    た粒径20μm以下のMC炭化物粉末との混合粉末から
    なることを特徴とする耐食・耐摩耗・耐割れ性に優れた
    合金の製造用材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002212659A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Toshiba Mach Co Ltd 耐摩耗高靱性合金およびそれを用いた複合材料並びに機械部材
EP1602741A1 (en) * 2000-08-28 2005-12-07 Hitachi, Ltd. Corrosion-resisting and wear-resisting alloy and device using the same
RU2752403C1 (ru) * 2020-09-16 2021-07-27 Общество с ограниченной ответственностью "Технология" Способ получения стойкого композиционного покрытия на металлических деталях

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