JPH1030135A - 高純度ニッケル水溶液の製造方法 - Google Patents

高純度ニッケル水溶液の製造方法

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JPH1030135A
JPH1030135A JP20774696A JP20774696A JPH1030135A JP H1030135 A JPH1030135 A JP H1030135A JP 20774696 A JP20774696 A JP 20774696A JP 20774696 A JP20774696 A JP 20774696A JP H1030135 A JPH1030135 A JP H1030135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウム、マグネシウム、コバルト等を不
純物として含むニッケル水溶液から、これらの不純物元
素を除去し、かつナトリウムやアンモニアを含まぬ高純
度ニッケル水溶液を製造する方法を提供する 【解決手段】 ニッケルを含有するアルキルホスホン酸
エステルまたはアルキルホスフィン酸を抽出剤として用
い、不純ニッケル水溶液中の不純物を抽出分離すること
を特徴とする高純度ニッケル水溶液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コバルト、カルシ
ウム、マグネシウム、鉄のいずれかまたはこれらの元素
の2種以上を不純物として含むニッケル水溶液からこれ
らの不純物元素を除去し、かつナトリウムおよびアンモ
ニアを含まない高純度ニッケル水溶液の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ニッケル塩類は、めっき原料、アルミニ
ウムの発色剤、触媒、電池材料等に使用されている。こ
のような用途に使用されるニッケル塩類は、近年の技術
革新とともに、より高純度であることが要求されてい
る。特にナトリウム、アンモニア、カルシウム、マグネ
シウム、鉄、コバルト、銅等の不純物の含有の少ない高
純度のものが望まれており、高純度ニッケル水溶液を得
るため製造プロセスの開発が望まれている。
【0003】例えば、ニッケル塩類の1つである硫酸ニ
ッケルの製造方法は、ニッケルを含む硫化物やスクラッ
プ等を硫酸に溶解させた後、鉄、銅、コバルト等の不純
物を除去し、この液を加熱蒸発させることによって濃縮
し、続いて冷却させて硫酸ニッケルを晶出させて得られ
ている。
【0004】高純度の硫酸ニッケルを製造するために
は、原料の溶解方法や結晶を析出させる晶析工程の条件
設定も重要な因子であるが、晶析前の硫酸ニッケル溶液
中の不純物の含有量を減少させることが最も重要な事項
である。
【0005】通常、硫酸ニッケルの原料となる硫化物や
ニッケルを含むスクラップメタルには、ニッケルの他に
銅、コバルト、鉄等の不純物が含まれている。またある
種の原料では、さらにカルシウムやマグネシウム等も含
まれている。これらの不純物元素は原料を溶解するとき
にニッケルとともに溶液中に浸出されるので、高純度の
ニッケルを製造するためには、これらの不純物元素を何
らかの方法で溶液中から除去しなくてはならない。
【0006】塩化ニッケルを製造する場合も同様に、ニ
ッケル含有原料を溶解して晶析させる工程が採られる
が、この場合においても純度の高い塩化ニッケルを製造
するためには、晶析工程を行う前に溶液中から不純物元
素を除去しておくことが必要である。
【0007】通常、ニッケル溶液中の鉄や銅等を除去す
るには、水酸化物の生成反応を利用した加水分解や金属
の酸化還元電位差を利用したセメンテーション法を採用
する方法が採られている。また、ニッケルと化学的性質
が酷似するコバルトは、酸化状態の溶液中でpHを上昇
させることにより、3価のコバルト水酸化物として除去
することができることが知られている。
【0008】しかしながら、いずれの方法においても溶
液のpHを高めるための中和剤の使用が必要となる。こ
の中和剤には、水酸化ナトリウムやアンモニアを使用す
るのが一般的であり、このような方法で溶液の浄化を行
うときは、ナトリウムやアンモニアが溶液中に混入し、
製品となるニッケル塩類を汚染することになる。したが
って、コバルト、カルシウム、マグネシウムだけでな
く、ナトリウムやアンモニアの混入を防止したいような
場合にはこの方法は使用できない。
【0009】他の中和剤として水酸化カルシウムや水酸
化マグネシウムの使用も考えられたが、後述するよう
に、これにより溶液中に混入するカルシウムやマグネシ
ウムを除去することは著しく困難であるので、これらの
水酸化物を中和剤として使用することも避けなければな
らない。
【0010】すなわち、一般に溶液中のカルシウムやマ
グネシウムの除去を行うには、炭酸塩やシュウ酸塩を添
加してカルシウム塩やマグネシウム塩として沈殿物を生
成させて溶液から分離する方法が採られる。また水酸化
ナトリウムを添加して、溶液を強アルカリとすることで
水酸化物として溶液から分離することもできる。さらに
カルシウムに関しては、リン酸水素カルシウムとして沈
殿させて溶液から分離する方法も知られている。しかし
ながら、ニッケル溶液に含まれるカルシウムやマグネシ
ウムをこれらの方法で除去しようとすると、カルシウム
やマグネシウムよりも炭酸塩や水酸化物としての安定度
の高いニッケルもこれらの塩となって溶液から除去され
ることになり、両者の分離を効率よく達成することは極
めて難しいのである。
【0011】一方、溶液中の不純物を除去する方法とし
て溶媒抽出法がある。溶媒抽出剤には大別して、塩基性
抽出剤、中性抽出剤および酸性抽出剤の3種類があり、
塩基性抽出剤は、陰イオンや溶液中で錯体を形成して陰
イオンを形成するイオンに対しては有効な抽出剤である
が、カルシウムやマグネシウムは溶液中で陰イオンを形
成せず、またコバルトも硫酸溶液中では陰イオン錯体を
形成しないので塩基性抽出剤を使用することはできな
い。
【0012】また、中性抽出剤は、一般的に分離性が悪
く、特に金属イオンの相互分離には適さず、現在入手可
能な中性抽出剤では、これらの金属不純物をニッケルと
効率良く分離することのできる抽出剤は見当たらない。
酸性抽出剤は、良好な抽出性を示すものが多い。しか
し、酸性抽出剤の抽出反応は以下に示す化学式1および
化学式2で示され、金属イオンの抽出が進行するにつれ
て溶液のpHが低下し、ある一定値以下になると反応が
進行しなくなるため、効率良く抽出を行うためには反応
により生じた酸を中和する必要がある。通常、中和剤に
は水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等
が使用されるが、これらの中和剤を使用すると、やはり
抽出残液である硫酸ニッケル溶液をナトリウム、カルシ
ウム、アンモニア等で汚染してしまうという問題があ
る。
【0013】
【化1】2R−H+M2+=R−M+2H
【化2】2NaOH(またはNHOH)+2H=2
O+2Na(または2NH ) (但し、Rは抽出剤、Mは抽出すべき金属イオン)
【0014】以上説明したように、従来技術による方法
では、コバルト、鉄、カルシウム、マグネシウム等を不
純物として含有する硫酸ニッケル水溶液からこれらの不
純物元素を効率的に除去して高純度ニッケル水溶液を製
造する方法はなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術による問題点を解決し、カルシウム、マグ
ネシウム、コバルト等を不純物として含むニッケル水溶
液から、これらの不純物元素を除去し、かつナトリウム
やアンモニアを含まぬ高ニッケル水溶液を製造する方法
を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために発明者らは種々検討を進めた結果、ニッケルを含
有するアルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホス
フィン酸を、除去すべき不純物元素を含むニッケル水溶
液と接触させるときは、容易にこれらの金属不純物が該
有機剤相に抽出分離されて高純度ニッケル水溶液を製造
することができることを知見し、本発明を完成するに至
った。
【0017】すなわち、本発明は、ニッケルを含有する
アルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホスフィン
酸を抽出剤として用い、不純ニッケル水溶液中の不純物
を抽出分離することを特徴とする高純度ニッケル水溶液
の製造方法である。本発明は不純物として、カルシウ
ム、マグネシウム、コバルトおよび鉄を含むニッケル水
溶液からこれらの不純物元素を除去する場合に極めて有
効である。
【0018】本発明において抽出剤として使用されるニ
ッケルを含有するアルキルホスホン酸エステルまたはア
ルキルホスフィン酸は、あらかじめニッケルを抽出して
得られたアルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホ
スフィン酸を用いることが好ましい。またアルキルホス
ホン酸エステルとしては、2−エチルヘキシルホスホン
酸モノ2−エチルヘキシルエステルであることが好まし
く、アルキルホスフィン酸としては、ビス(2,2,4
−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であることが好ま
しい。
【0019】そして、不純ニッケル水溶液中の不純物を
抽出するに際しての抽出温度は、40℃以上で60℃以
下であることが好ましく、かつ抽出後のニッケル水溶液
のpHを4以上とすることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、アルキルホスホン酸エ
ステルまたはアルキルホスフィン酸を抽出剤として使用
した場合に、これらの抽出剤中でのコバルト、カルシウ
ムおよびマグネシウムのニッケルに対する分離係数が高
く、従ってニッケルよりもコバルト、カルシウムおよび
マグネシウムが優先的に抽出されることを見出してなさ
れたものである。
【0021】アルキルホスホン酸エステルのうちでは、
2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシル
エステルが、またアルキルホスフィン酸のうちでは、ビ
ス(2,2,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸が
分離係数が高く、本発明に使用する抽出剤として適当で
ある。
【0022】そして、アルキルホスホン酸エステルまた
はアルキルホスフィン酸は、コバルト、カルシウムおよ
びマグネシウムのほか、鉄や銅に対しても高い抽出能力
を示すが、同様にこれらの抽出剤は、ニッケルを抽出す
ることもできる。しかし、この抽出剤のニッケルに対す
る抽出性は、前掲の他の金属イオンに対する抽出性より
も低く、水溶液のpHを高く調整することによって初め
て抽出が行われる。従って、ニッケルの抽出が行われな
いように水溶液のpHを調整すれば、ニッケル水溶液の
中に含まれる不純物元素のコバルト、鉄、カルシウム、
マグネシウムのみを抽出剤中に抽出することができるの
で、これらの元素を原液から容易に分離除去することが
できる。
【0023】しかしながら、前述したように酸性抽出液
であるアルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホス
フィン酸は、抽出が進むにつれてpH値が低下し、抽出
をさらに進行させるには中和剤の使用が必要となるが、
あらかじめニッケルを抽出したアルキルホスホン酸エス
テルまたはアルキルホスフィン酸を抽出剤として使用す
ると、これらの抽出剤は酸を中和する作用を有するの
で、他の一般的な中和剤を使用した場合のようにニッケ
ル水溶液を汚染することがない。
【0024】このときの反応は下記する化学式3、4お
よび5のようになる。
【化3】2R−H+M2+=R−M+2H
【化4】R−Ni+2H=2R−H+Ni2+
【化5】R−Ni+M2+=R−M+Ni2+ (但し、Rは抽出剤、Mは抽出すべき金属イオン)
【0025】すなわち、別の見方をすれば、Mをコバル
ト、カルシウムまたはマグネシウムとすると化学式5で
示されるように、すでに抽出されているニッケルに代わ
って、より抽出されやすいコバルト、カルシウムまたは
マグネシウム等の不純物元素が交換されて抽出剤R中に
抽出され、ニッケル水溶液の高純度化が進むことになる
のである。
【0026】要するに本発明においては、ニッケルを抽
出したアルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホス
フィン酸を抽出剤として使用するので、抽出されたニッ
ケルが中和剤として作用し、従来行われていたような水
酸化ナトリウムやアンモニアを中和剤として使用するこ
となく、ニッケル水溶液中のコバルト、カルシウム、マ
グネシウム等の不純物元素の抽出剤への抽出を最後まで
進行させることができ、しかも抽出残液であるニッケル
水溶液中には従来技術では避けられなかったナトリウム
やアンモニアによる汚染を避けることができるのであ
る。
【0027】一般に水溶液のpHが高いほど金属イオン
の抽出率が向上するので、効率的な不純物元素の除去を
行わせるためには、抽出すべき不純物元素に対して化学
量論的に過剰な量のニッケルを抽出した抽出剤を使用す
るのが有利である。この場合抽出除去すべき不純物元素
の種類によって必要とされるニッケル量は異なってくる
が、抽出後のニッケル水溶液のpHが4.0以上になる
ようにニッケルが含有されている抽出剤を使用すること
が好ましい。このように抽出反応をコントロールするこ
とによって、コバルト、カルシウム、マグネシウム、鉄
等の金属不純物元素を完全に除去した、しかもナトリウ
ムやアンモニア等の他の汚染物質を含まない純粋なニッ
ケル水溶液を得ることができる。なお、抽出後のニッケ
ル水溶液のpHは、高いほど効果があるが、pHは、7
が上限である。
【0028】抽出反応の温度は特に規制されるものでは
ないが、高温ほど水溶液および抽出剤の粘性が低下し、
抽出反応後の水相/有機相の2相分離に要する時間が短
縮されるので、抽出反応の温度は可及的に高いほうが好
ましいが、一方において抽出剤や、抽出剤の粘性を低下
させるために添加される希釈剤は、温度の上昇とともに
揮発され易くなるので過度の高温は避けなければなら
ず、抽出温度は40〜60℃程度であることが好まし
い。
【0029】本発明において抽出剤として使用されるア
ルキルホスホン酸エステルまたはアルキルホスフィン酸
は粘性が高いために、通常では希釈剤によって希釈して
用いられる。この際高濃度の希釈剤を使用することがで
きれば、少ない有機抽出剤量で多量のニッケル水溶液中
の不純物元素の抽出を行うことができるが、一方におい
て粘性が高くなり抽出操作に支障をきたすことがあるの
で注意を要する。希釈剤による希釈率は特に限定はな
く、不純物濃度に応じて使用されるが、一般には、抽出
剤濃度を1〜50%v/v(体積パーセント)の範囲と
して使用することが好ましい。
【0030】本発明においては、抽出剤としてあらかじ
めニッケルを抽出したアルキルホスホン酸エステルまた
はアルキルホスフィン酸を使用することが好ましいこと
は前述した通りであるが、この場合においてニッケルを
抽出する工程は、通常の溶媒抽出を行う工程と同様の操
作で抽出反応を行なわせればよい。すなわちニッケルを
含む水溶液とアルキルホスホン酸エステルまたはアルキ
ルホスフィン酸とを混合し、、水溶液中のニッケルを抽
出剤中に抽出するのであるが、抽出が進むにつれてpH
値が低下し抽出が行われ難くなるので、水酸化ナトリウ
ムまたはアンモニアを中和剤として使用して常に水溶液
のpHが5〜7付近になるように調整しながらニッケル
の抽出反応を進行させる。
【0031】この際に使用した水酸化ナトリウムやアン
モニアは、このpHの範囲内では抽出剤中に移行するこ
とはないので、水相と分離した後の抽出剤は十分本発明
の抽出剤として使用することができるが、まれに微量の
ナトリウムやアンモニアが抽出剤中に含まれることもあ
るので、そのような場合を考慮してニッケル抽出後の抽
出剤を希酸等で洗浄して、微量のナトリウムまたはアン
モニアを除去した後本発明の抽出剤として使用すること
が好ましい。
【0032】以上述べたように、本発明によるときはコ
バルト、カルシウム、マグネシウム、鉄等を不純物元素
としてを含むニッケル水溶液から容易にこれらの不純物
元素を抽出除去することができ、しかも抽出除去後のニ
ッケル水溶液中には、従来この種の操作によってしばし
ば見られるナトリウム、アンモニア等による汚染もない
ので、抽出後の抽出剤を分離したニッケル水溶液を加熱
蒸発させることにより容易に高純度ニッケル塩類を取得
することができる。
【0033】以下に本発明の実施例について説明する。
【0034】実施例1:あらかじめ希釈液で20%v/
vに調整した2−エチルヘキシルスルホン酸モノ2−エ
チルヘキシルエステルと水酸化ナトリウムとを使用し
て、ニッケル水溶液中のニッケルを常法による溶媒抽出
を行い、9.17g/リットルのニッケルを含有する抽
出剤を調製した。
【0035】この抽出剤を40℃、抽出剤相/水溶液相
=1の条件で、表1に示す組成の硫酸ニッケル水溶液と
10分間振とう混合し、水溶液中に含まれるコバルト、
マグネシウム、カルシウム、鉄等の不純物元素を抽出剤
中に抽出した。この抽出操作においては、水酸化ナトリ
ウム等の中和剤を全く添加することなく抽出反応を進行
させることができた。抽出後の水溶液のpHは4.91
であって、かつ水溶液中に残留する不純物元素はいずれ
も0.1g/リットル以下の濃度であり、高純度の硫酸
ニッケル水溶液を得ることができた。
【0036】
【表1】 化学組成 (g/リットル) Ni Co Mg Ca Fe Na 硫酸ニッケル水溶液原液 81.2 0.97 0.23 0.17 0.005 0.030 抽出後のニッケル水溶液 81.6 0.035 0.078 0,036 0.001 0.030
【0037】実施例2:あらかじめ希釈液で20%v/
vに調整した2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エ
チルヘキシルエステルと水酸化ナトリウムとを使用し
て、ニッケル水溶液中のニッケルを常法による溶媒抽出
を行い、8.58g/リットルのニッケルを含有する抽
出剤を調製した。
【0038】この抽出剤を40℃、抽出剤相/水溶液相
=1の条件で、表2に示す組成の硫酸ニッケル水溶液と
10分間振とう混合し、水溶液中に含まれるコバルト、
マグネシウム、カルシウム、鉄等の不純物元素を抽出剤
中に抽出した。抽出は向流3段で行った。この抽出操作
においては、水酸化ナトリウム等の中和剤を全く添加す
ることなく抽出反応を進行させることができた。抽出後
の水溶液のpHは4.91であって、かつ水溶液中に残
留する不純物元素はいずれも0.03g/リットル以下
の濃度であり、高純度の硫酸ニッケル水溶液を得ること
ができた。
【0039】
【表2】 化学組成 (g/リットル) Ni Co Mg Ca Fe Na 硫酸ニッケル水溶液原液 110 2.55 0.12 0.52 0.006 0.030 抽出後のニッケル水溶液 111 0.022 0.014 0,023 0.001 0.030
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるときは
不純物元素を含むニッケル水溶液から容易にこれらの不
純物元素を抽出により除去することができ、しかも抽出
後のニッケル水溶液中には、ナトリウム、アンモニア等
の他の汚染物質が含まれないので、高純度のニッケル水
溶液を容易にかつ効率的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 佳智 愛媛県新居浜市王子町3−647 (72)発明者 西原 秀明 愛媛県新居浜市宇高町1−17−44

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを含有するアルキルホスホン酸
    エステルまたはアルキルホスフィン酸を抽出剤として用
    い、不純ニッケル水溶液中の不純物元素を抽出分離する
    ことを特徴とする高純度ニッケル水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】 不純物元素がコバルト、カルシウム、マ
    グネシウム、鉄のうち少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項1記載の高純度ニッケル水溶液の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ニッケルを含有するアルキルホスホン酸
    エステルまたはアルキルホスフィン酸は、ニッケルを抽
    出して得られたアルキルホスホン酸エステルまたはアル
    キルホスフィン酸であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の高純度ニッケル水溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルキルホスホン酸エステルは、2−エ
    チルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステ
    ルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    記載の高純度ニッケル水溶液の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルキルホスフィン酸は、ビス(2,
    2,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高純度
    ニッケル水溶液の製造方法。
  6. 【請求項6】 不純ニッケル水溶液中の不純物元素を抽
    出する抽出温度は、40℃以上で60℃以下であり、抽
    出後のニッケル水溶液のpHは4以上であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項記載の高純度ニッケ
    ル水溶液の製造方法。
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