JPH1030107A - ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
ステンレス鋼の製造方法Info
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- JPH1030107A JPH1030107A JP19066396A JP19066396A JPH1030107A JP H1030107 A JPH1030107 A JP H1030107A JP 19066396 A JP19066396 A JP 19066396A JP 19066396 A JP19066396 A JP 19066396A JP H1030107 A JPH1030107 A JP H1030107A
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- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】インゴット作成時に巨大な共晶炭化物の発生を
低減することができるステンレス鋼の製造方法を提供す
ることを課題としている。 【解決手段】溶解炉で、鋼の素材にCを0.6〜1.0
重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Mnを0.2〜
1.0重量%、Crを10〜14重量%添加して溶鋼を
製造し、その溶鋼を、湯口を介してインゴットケース2
内に注ぎ、インゴットケース2内の型枠面に応じた形状
に凝固させて断面長方形のインゴット1を製造する。こ
のとき、作成されるインゴット1断面の中心Cを通るイ
ンゴットケース2の型枠面2a間の最短距離Lを200
mm以下、つまり、インゴット1横断面の短辺を200mm
以下に設定することで、最大径が10μmを超える共晶
炭化物の面積率を0.5%以下にできる。
低減することができるステンレス鋼の製造方法を提供す
ることを課題としている。 【解決手段】溶解炉で、鋼の素材にCを0.6〜1.0
重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Mnを0.2〜
1.0重量%、Crを10〜14重量%添加して溶鋼を
製造し、その溶鋼を、湯口を介してインゴットケース2
内に注ぎ、インゴットケース2内の型枠面に応じた形状
に凝固させて断面長方形のインゴット1を製造する。こ
のとき、作成されるインゴット1断面の中心Cを通るイ
ンゴットケース2の型枠面2a間の最短距離Lを200
mm以下、つまり、インゴット1横断面の短辺を200mm
以下に設定することで、最大径が10μmを超える共晶
炭化物の面積率を0.5%以下にできる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炭素マルテンサ
イト系ステンレス鋼の鋳造の際の凝固時に生じる巨大共
晶炭化物の低減のための改良に係るステンレス鋼の製造
方法に関するものである。
イト系ステンレス鋼の鋳造の際の凝固時に生じる巨大共
晶炭化物の低減のための改良に係るステンレス鋼の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼の
鋳造には、従来,作成するインゴットの寸法を、生産性
などの見地から、その平均の断面寸法で250mm×25
0mm以上の大きさとなるように設計するのが一般的であ
る。なお、インゴットの断面形状は、一般的には略正方
形である。
鋳造には、従来,作成するインゴットの寸法を、生産性
などの見地から、その平均の断面寸法で250mm×25
0mm以上の大きさとなるように設計するのが一般的であ
る。なお、インゴットの断面形状は、一般的には略正方
形である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、大きな断面寸
法のインゴットを作成する場合には、インゴットケース
の型枠面(冷却面)から鋳込まれた溶鋼の中心までの距
離が長くなって、溶鋼の冷却速度が遅くなる。このた
め、凝固して作成されたインゴット中には、最大径が1
0μmを超えるような巨大な共晶炭化物の発生は避けら
れない。
法のインゴットを作成する場合には、インゴットケース
の型枠面(冷却面)から鋳込まれた溶鋼の中心までの距
離が長くなって、溶鋼の冷却速度が遅くなる。このた
め、凝固して作成されたインゴット中には、最大径が1
0μmを超えるような巨大な共晶炭化物の発生は避けら
れない。
【0004】作成したインゴット中に最大径が10μm
を超えるような共晶炭化物が所定量以上の割合で存在す
ると、そのインゴットから軸受部品を製造した場合、特
願昭60−2060号に記載されているように軸受の静
粛性(音響特性)を劣化させる原因となったり、特願昭
52−18037号に記載されているように軸受の転動
寿命を劣化させる原因になるという問題がある。
を超えるような共晶炭化物が所定量以上の割合で存在す
ると、そのインゴットから軸受部品を製造した場合、特
願昭60−2060号に記載されているように軸受の静
粛性(音響特性)を劣化させる原因となったり、特願昭
52−18037号に記載されているように軸受の転動
寿命を劣化させる原因になるという問題がある。
【0005】このため、従来においては、最大径が10
μm以上の巨大な共晶炭化物を微細化するために、12
00℃前後の高温で10時間以上の長時間にわたる均熱
処理(ソーキング)を行う必要があった。
μm以上の巨大な共晶炭化物を微細化するために、12
00℃前後の高温で10時間以上の長時間にわたる均熱
処理(ソーキング)を行う必要があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、インゴット作成時に巨大な共晶炭化物
の発生を低減することができるステンレス鋼の製造方法
を提供することを課題としている。
なされたもので、インゴット作成時に巨大な共晶炭化物
の発生を低減することができるステンレス鋼の製造方法
を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のステンレス鋼の製造方法は、Cを0.6〜
1.0重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Mnを
0.2〜1.0重量%、Crを10〜14重量%含有す
るマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、
断面寸法の最小辺幅が200mm以下となるように鋳込ん
でインゴットを作成することを特徴としている。
に、本発明のステンレス鋼の製造方法は、Cを0.6〜
1.0重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Mnを
0.2〜1.0重量%、Crを10〜14重量%含有す
るマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、
断面寸法の最小辺幅が200mm以下となるように鋳込ん
でインゴットを作成することを特徴としている。
【0008】ここで、上記断面寸法の最小辺幅とは、イ
ンゴット断面の中心を通って当該断面を横断する最短距
離、即ちインゴット断面の中心を通るインゴットケース
の型枠面間の最短距離の長さを指し、例えば、断面が長
方形の場合には短辺の長さに等しく、断面が円形の場合
には直径の長さに等しい。また、上記断面は、通常、横
断面を指す。
ンゴット断面の中心を通って当該断面を横断する最短距
離、即ちインゴット断面の中心を通るインゴットケース
の型枠面間の最短距離の長さを指し、例えば、断面が長
方形の場合には短辺の長さに等しく、断面が円形の場合
には直径の長さに等しい。また、上記断面は、通常、横
断面を指す。
【0009】この発明においては、作成するインゴット
の断面寸法を小さく設定することで、インゴットケース
の型枠面(冷却面)からインゴット断面の中心までの距
離を短くして、鋳込んだ溶鋼の凝固速度を従来よりも速
くし、これにより、凝固時に発生する巨大な共晶炭化物
を微細化する。
の断面寸法を小さく設定することで、インゴットケース
の型枠面(冷却面)からインゴット断面の中心までの距
離を短くして、鋳込んだ溶鋼の凝固速度を従来よりも速
くし、これにより、凝固時に発生する巨大な共晶炭化物
を微細化する。
【0010】但し、本発明では、必ずしもインゴットの
断面積自体を小さくするのではなく、断面寸法の最小辺
幅を規定することで上記溶鋼の凝固速度を従来よりも速
くするものであり、必ずしもインゴットの断面積自体が
小さくなるとは限らない。
断面積自体を小さくするのではなく、断面寸法の最小辺
幅を規定することで上記溶鋼の凝固速度を従来よりも速
くするものであり、必ずしもインゴットの断面積自体が
小さくなるとは限らない。
【0011】そして、インゴットの断面寸法の最小辺幅
を200mm以下に設定することで、最大径が10μmを
超える共晶炭化物の面積率が0.2%以下になったこと
に鑑み、インゴットの断面寸法の最小辺幅を200mm以
下と規定した(後述の図4参照)。
を200mm以下に設定することで、最大径が10μmを
超える共晶炭化物の面積率が0.2%以下になったこと
に鑑み、インゴットの断面寸法の最小辺幅を200mm以
下と規定した(後述の図4参照)。
【0012】もっとも、インゴットの断面寸法の最小辺
幅を150mm以下に設定することで、最大径が10μm
を超える共晶炭化物の面積率を0%以下に抑えることが
できるので、上記インゴットの断面寸法の最小辺幅は1
50mm以下に設定するのが望ましい。
幅を150mm以下に設定することで、最大径が10μm
を超える共晶炭化物の面積率を0%以下に抑えることが
できるので、上記インゴットの断面寸法の最小辺幅は1
50mm以下に設定するのが望ましい。
【0013】また、インゴットの断面寸法の最小辺幅は
50mm以上であることが望ましい。50mm未満になる
と、非金属介在物、ホールなどの欠陥を微細にするた
め、圧延工程での鍛練比として8以上を得ることが困難
になり、上記欠陥が、製造したステンレス鋼に残ってし
まうためである。
50mm以上であることが望ましい。50mm未満になる
と、非金属介在物、ホールなどの欠陥を微細にするた
め、圧延工程での鍛練比として8以上を得ることが困難
になり、上記欠陥が、製造したステンレス鋼に残ってし
まうためである。
【0014】また、Cなどの含有量を上述のように設定
したのは、軸受部品等に使用可能な、良好な耐摩耗性、
耐食性、静粛性などを有する高炭素マルテンサイト系ス
テンレス鋼を得るためである。
したのは、軸受部品等に使用可能な、良好な耐摩耗性、
耐食性、静粛性などを有する高炭素マルテンサイト系ス
テンレス鋼を得るためである。
【0015】Cの含有量を0.6〜1.0重量%とした
のは、0.6重量%未満では、例えば,軸受部品に用い
た場合に焼入れ硬さが十分でなく、1.0重量%を超え
ると、共晶炭化物を減少したり微細化させることが困難
になるためである。
のは、0.6重量%未満では、例えば,軸受部品に用い
た場合に焼入れ硬さが十分でなく、1.0重量%を超え
ると、共晶炭化物を減少したり微細化させることが困難
になるためである。
【0016】また、Siの含有量を0.1〜1.0重量
%としたのは、Siは製鋼工程上の脱酸剤として通常,
鋼中に0.1重量%以上含有させるが、1.0重量%を
超えると加工性や靱性を損なうためである。
%としたのは、Siは製鋼工程上の脱酸剤として通常,
鋼中に0.1重量%以上含有させるが、1.0重量%を
超えると加工性や靱性を損なうためである。
【0017】また、Mnの含有量を0.2〜1.0重量
%としたのは、Mnは製鋼工程上の脱酸及び脱酸剤とし
て、通常0.2重量%以上含有されるが、1.0重量%
を超えると、熱間加工性が低下するためである。
%としたのは、Mnは製鋼工程上の脱酸及び脱酸剤とし
て、通常0.2重量%以上含有されるが、1.0重量%
を超えると、熱間加工性が低下するためである。
【0018】また、Crは耐食性を向上させるための元
素であり、10重量%より少ないと十分な耐食性が得ら
れず、14重量%を超えると、共晶炭化物の減少や微細
化が困難になるためである。
素であり、10重量%より少ないと十分な耐食性が得ら
れず、14重量%を超えると、共晶炭化物の減少や微細
化が困難になるためである。
【0019】また、上記の他に、温間強度や耐酸化性を
向上させるために、Moを含有させることが望ましい。
Moを含有させる場合には、0.1〜2.0重量%に設
定するとよい。即ち、0.1重量%よりも少ないと十分
な温間強度や耐酸化性を得ることができず、また、2重
量%を超えると、前記特性の向上が小さくなりコスト的
に不利となるからである。
向上させるために、Moを含有させることが望ましい。
Moを含有させる場合には、0.1〜2.0重量%に設
定するとよい。即ち、0.1重量%よりも少ないと十分
な温間強度や耐酸化性を得ることができず、また、2重
量%を超えると、前記特性の向上が小さくなりコスト的
に不利となるからである。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図外の溶解炉で、鋼の素材に、
Cを0.6〜1.0重量%、Siを0.1〜1.0重量
%、Mnを0.2〜1.0重量%、Crを10〜14重
量%添加して溶鋼とし、その溶鋼を、図1に示すよう
に、湯口3を介してインゴットケース2内に注ぎ、イン
ゴットケース2内の型枠面に応じた形状に凝固させて、
図3に示すようなインゴット1を製造する。
を参照しつつ説明する。図外の溶解炉で、鋼の素材に、
Cを0.6〜1.0重量%、Siを0.1〜1.0重量
%、Mnを0.2〜1.0重量%、Crを10〜14重
量%添加して溶鋼とし、その溶鋼を、図1に示すよう
に、湯口3を介してインゴットケース2内に注ぎ、イン
ゴットケース2内の型枠面に応じた形状に凝固させて、
図3に示すようなインゴット1を製造する。
【0021】ここで、図1では、下注ぎ法のインゴット
ケース2を例示しているが、これに限定されず、他の周
知の構成を採用してもよい。インゴットケース2の断
面、及び作成されるインゴット1の断面形状は、図2及
び図3に示すように断面長方形形状である。図2中、2
aはインゴットケース2の型枠面を表し、Cはインゴッ
ト1の断面の中心を表している。また、2bは溶鋼を冷
却するための冷却空気や冷却水の通路を示している。
ケース2を例示しているが、これに限定されず、他の周
知の構成を採用してもよい。インゴットケース2の断
面、及び作成されるインゴット1の断面形状は、図2及
び図3に示すように断面長方形形状である。図2中、2
aはインゴットケース2の型枠面を表し、Cはインゴッ
ト1の断面の中心を表している。また、2bは溶鋼を冷
却するための冷却空気や冷却水の通路を示している。
【0022】このとき、本実施の形態では、作成される
インゴット1断面の中心Cを通る、インゴットケース2
の型枠面2a間の最短距離Lと等しい型枠の短辺を20
0mm以下、つまり、インゴット1断面の中心Cを通る最
短の横断距離に等しいインゴット1横断面の短辺を20
0mm以下に設定することで、鋳込まれて生成されるイン
ゴット1の断面寸法の最小辺幅を200mm以下に設定す
る。なお、通常、インゴット1には抜き角が付けられて
いるので、上記インゴット断面中の最大の横断面での断
面寸法の最小辺幅で規定するのがよい。
インゴット1断面の中心Cを通る、インゴットケース2
の型枠面2a間の最短距離Lと等しい型枠の短辺を20
0mm以下、つまり、インゴット1断面の中心Cを通る最
短の横断距離に等しいインゴット1横断面の短辺を20
0mm以下に設定することで、鋳込まれて生成されるイン
ゴット1の断面寸法の最小辺幅を200mm以下に設定す
る。なお、通常、インゴット1には抜き角が付けられて
いるので、上記インゴット断面中の最大の横断面での断
面寸法の最小辺幅で規定するのがよい。
【0023】このようにインゴット1を作成すること
で、最大径が10μmを超える共晶炭化物の発生を抑
え、例えば,軸受部品の素材として優れた耐摩耗性、耐
食性、静粛性などを備えた高炭素マルテンサイト系ステ
ンレス鋼を得ることができる。
で、最大径が10μmを超える共晶炭化物の発生を抑
え、例えば,軸受部品の素材として優れた耐摩耗性、耐
食性、静粛性などを備えた高炭素マルテンサイト系ステ
ンレス鋼を得ることができる。
【0024】また、本実施の形態では、インゴット1の
断面寸法の短辺側のみを規定するだけであるので、長辺
側を長くすることで、インゴット作成時の巨大共晶炭化
物の発生を抑えつつ、従来と同等の断面寸法を得ること
は可能であり、インゴット作成時の生産性を低下させる
ことはない。逆に、長時間の均熱処理が不要となるため
にステンレス鋼の製造工程全体の生産性は向上する。
断面寸法の短辺側のみを規定するだけであるので、長辺
側を長くすることで、インゴット作成時の巨大共晶炭化
物の発生を抑えつつ、従来と同等の断面寸法を得ること
は可能であり、インゴット作成時の生産性を低下させる
ことはない。逆に、長時間の均熱処理が不要となるため
にステンレス鋼の製造工程全体の生産性は向上する。
【0025】ここで、温間強度や耐酸化性を向上させる
ために、Moを添加させることが望ましい。Moを含有
させる場合には、Moを0.1〜2.0重量%だけ添加
させればよい。
ために、Moを添加させることが望ましい。Moを含有
させる場合には、Moを0.1〜2.0重量%だけ添加
させればよい。
【0026】また、上記実施の形態では、インゴット1
の断面形状を長方形に作成する場合で説明したが、これ
に限定されない、例えば、インゴットの断面形状を円形
や6角形等に設定した場合には、上記断面寸法の最小辺
幅は、辺の最小辺幅又は直径の長さに等しくなる。
の断面形状を長方形に作成する場合で説明したが、これ
に限定されない、例えば、インゴットの断面形状を円形
や6角形等に設定した場合には、上記断面寸法の最小辺
幅は、辺の最小辺幅又は直径の長さに等しくなる。
【0027】
【実施例】5ton 真空誘導溶融炉を用いて、鋼の素材に
対し、C,Si,Mn,Crの4種類の元素、更にはM
oの元素を適宜,添加して溶融し、その溶鋼を、上述の
ように下注ぎ法によりインゴットケース2内に鋳込み凝
固させて断面長方形形状のインゴット1を生成した。
対し、C,Si,Mn,Crの4種類の元素、更にはM
oの元素を適宜,添加して溶融し、その溶鋼を、上述の
ように下注ぎ法によりインゴットケース2内に鋳込み凝
固させて断面長方形形状のインゴット1を生成した。
【0028】各インゴットの寸法及び各元素の添加量
は、下記表1のように設定した。このとき、本発明に基
づく寸法と比較のために寸法に設定してある。また、イ
ンゴット1には、約2度程度の抜き角が設けてあり、押
し湯量は、インゴット1重量の10〜15%とした。
は、下記表1のように設定した。このとき、本発明に基
づく寸法と比較のために寸法に設定してある。また、イ
ンゴット1には、約2度程度の抜き角が設けてあり、押
し湯量は、インゴット1重量の10〜15%とした。
【0029】
【表1】 さらに、共晶炭化物の発生状況を確認するために、上記
生成したインゴット1を1100℃に加熱し熱間鍛造に
より直径18mmの丸棒に加工した。
生成したインゴット1を1100℃に加熱し熱間鍛造に
より直径18mmの丸棒に加工した。
【0030】その後、加工した丸棒における、インゴッ
ト1の最大断面寸法部分(図3の状態における底部)に
相当する部分を切り出し、丸棒の中心を通る長さ方向の
断面の320mm2 について画像解析処理を行い、最大径
が3μm以上10μm以下と10μmを超える共晶炭化
物の面積率をそれぞれ測定した。その結果は、上記表1
における右側に記載されている通りである。
ト1の最大断面寸法部分(図3の状態における底部)に
相当する部分を切り出し、丸棒の中心を通る長さ方向の
断面の320mm2 について画像解析処理を行い、最大径
が3μm以上10μm以下と10μmを超える共晶炭化
物の面積率をそれぞれ測定した。その結果は、上記表1
における右側に記載されている通りである。
【0031】そして、インゴット断面寸法の最小辺幅
と、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率及び
最大径が3μm以上10μm以下の共晶炭化物の面積率
との関係を図示して見たところ、図4及び図5に示すよ
うな結果が得られた。
と、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率及び
最大径が3μm以上10μm以下の共晶炭化物の面積率
との関係を図示して見たところ、図4及び図5に示すよ
うな結果が得られた。
【0032】この図4,図5及び上記表1から分かるよ
うに、本発明に基づく含有量に炭素C等を設定した材料
A〜Hにうち、インゴットの断面寸法の最小辺幅を20
0mm以下に設定した材料A,B,C,E,G、H,I
は、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率が
0.2%以下で最大径が3μm以上10μm以下の共晶
炭化物の面積率が5%以下となり、一方、インゴットの
断面の最小辺幅を300mmに設定した材料D,Fでは、
最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率が0.8
%以上となっていて、且つ最大径が3μm以上10μm
以下の共晶炭化物の面積率が5%を超えているのが分か
る。
うに、本発明に基づく含有量に炭素C等を設定した材料
A〜Hにうち、インゴットの断面寸法の最小辺幅を20
0mm以下に設定した材料A,B,C,E,G、H,I
は、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率が
0.2%以下で最大径が3μm以上10μm以下の共晶
炭化物の面積率が5%以下となり、一方、インゴットの
断面の最小辺幅を300mmに設定した材料D,Fでは、
最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積率が0.8
%以上となっていて、且つ最大径が3μm以上10μm
以下の共晶炭化物の面積率が5%を超えているのが分か
る。
【0033】このように、本発明に基づく製造方法を採
用した場合には、インゴット作成の時点で、最大径が1
0μmを超える共晶炭化物を大幅に減少させることが可
能となる。
用した場合には、インゴット作成の時点で、最大径が1
0μmを超える共晶炭化物を大幅に減少させることが可
能となる。
【0034】さらに、材料B,E,G及びHのごとく、
インゴット1の断面の最小辺幅を150mm以下に設定す
ることで、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積
率が0%に、さらにまた、材料A,Gのごとくインゴッ
ト1の断面の最小辺幅を120mm以下とすることで、最
大径が3μm以上10μm以下の共晶炭化物の面積率を
0%にできることが分かる。
インゴット1の断面の最小辺幅を150mm以下に設定す
ることで、最大径が10μmを超える共晶炭化物の面積
率が0%に、さらにまた、材料A,Gのごとくインゴッ
ト1の断面の最小辺幅を120mm以下とすることで、最
大径が3μm以上10μm以下の共晶炭化物の面積率を
0%にできることが分かる。
【0035】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のステ
ンレス鋼の製造方法では、インゴットを製造する際に巨
大共晶炭化物の発生を減少及び微細化することができる
ので、長時間の均熱処理を実施しなくても、軸受部品等
に採用可能な優れた耐摩耗性、耐食性、静粛性等を備え
た高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を製造すること
ができ、ステンレス鋼製造の生産性が向上するという効
果がある。
ンレス鋼の製造方法では、インゴットを製造する際に巨
大共晶炭化物の発生を減少及び微細化することができる
ので、長時間の均熱処理を実施しなくても、軸受部品等
に採用可能な優れた耐摩耗性、耐食性、静粛性等を備え
た高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を製造すること
ができ、ステンレス鋼製造の生産性が向上するという効
果がある。
【図1】本発明の実施の形態に係るインゴットケースを
示す図である。
示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のインゴットケース及びイ
ンゴットの断面を示す図である。
ンゴットの断面を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るインゴットを示す図
であり、(a)はその斜視図を、(b)はその底面図を
表している。
であり、(a)はその斜視図を、(b)はその底面図を
表している。
【図4】本発明の実施の形態に係るインゴット断面寸法
の最小辺幅と最大径が10μmを超える巨大共晶炭化物
の面積率との関係を示す図である。
の最小辺幅と最大径が10μmを超える巨大共晶炭化物
の面積率との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るインゴット断面寸法
の最小辺幅と最大径が3μm以上10μm以下の共晶炭
化物の面積率との関係を示す図である。
の最小辺幅と最大径が3μm以上10μm以下の共晶炭
化物の面積率との関係を示す図である。
C 中心 L インゴット断面寸法の最小辺幅 1 インゴット 2 インゴットケース 2a 型枠面
Claims (1)
- 【請求項1】 Cを0.6〜1.0重量%、Siを0.
1〜1.0重量%、Mnを0.2〜1.0重量%、Cr
を10〜14重量%含有するマルテンサイト系ステンレ
ス鋼の製造方法において、 断面寸法の最小辺幅が200mm以下となるように鋳込ん
でインゴットを作成することを特徴とするステンレス鋼
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19066396A JPH1030107A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19066396A JPH1030107A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ステンレス鋼の製造方法 |
Publications (1)
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JPH1030107A true JPH1030107A (ja) | 1998-02-03 |
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ID=16261839
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JP19066396A Pending JPH1030107A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ステンレス鋼の製造方法 |
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JP (1) | JPH1030107A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000056944A1 (fr) * | 1999-03-19 | 2000-09-28 | Sumitomo Special Metals Co., Ltd. | Acier maraging tres resistant a la fatigue et son procede de fabrication |
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1996
- 1996-07-19 JP JP19066396A patent/JPH1030107A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2000056944A1 (fr) * | 1999-03-19 | 2000-09-28 | Sumitomo Special Metals Co., Ltd. | Acier maraging tres resistant a la fatigue et son procede de fabrication |
US6776855B1 (en) | 1999-03-19 | 2004-08-17 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Maraging steel excellent in fatigue characteristics and method for producing the same |
US7323070B2 (en) | 1999-03-19 | 2008-01-29 | Neomax Materials Co., Ltd. | Maraging steel excellent in fatigue characteristics and method for producing the same |
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