JPH10300230A - 直接接触式温水ヒータの燃焼開始制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 最下部の貯湯部の上方に燃焼室を設け、燃焼
室の上方に錐状多孔板を介して吸熱材を充填された吸熱
室を設け、その錐状多孔板の頂上部の直上より散水され
る冷却水により錐状多孔板を強制冷却しながら吸熱室の
上方より吸熱材上に散水されて落下して来る水と燃焼室
内で燃焼させた燃料の燃焼ガスとを直接接触せしめて貯
湯部に所望温度の温水を得る直接接触式温水ヒータの運
転開始時に、バーナに点火し燃焼室内での燃焼開始を点
火時の爆発を防止して確実に且つ安全に行う。 【解決手段】 直接接触式温水ヒータの運転を開始する
に際し、吸熱室５の上方及び錐状多孔板６の頂上部の直
上よりの散水の開始により錐状多孔板６の上下両面に水
膜12が形成される前に、燃焼室３内での燃焼を開始す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室の上方に錐
状多孔板を介して吸熱材が充填されている吸熱室が設け
られており、この吸熱室の上方及び錐状多孔板の頂上部
の直上より散水した水を燃焼室内で燃焼せしめられた燃
料の燃焼ガスと直接接触せしめて温水を得る直接接触式
温水ヒータの運転開始時に、バーナに点火し燃焼室内で
の燃焼開始を確実に且つ安全に行うことができる直接接
触式温水ヒータの燃焼開始制御方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、最下部に設けられている貯湯
部の上方に燃焼室が設けられており、この燃焼室の上方
に吸熱材が充填されている吸熱室が設けられていて、こ
の吸熱室の上方より吸熱材上に散水されて落下して来る
水とこの燃焼室内で燃焼せしめられた燃料の燃焼ガスと
を直接接触せしめて最下部の貯湯部に所望温度の温水を
得る構造の直接接触式温水ヒータは、加熱されるべき水
が燃焼室の上方の吸熱室から下方の貯湯部へ流下する過
程で直接に燃焼ガスと接触する構造であるために熱効率
が非常に良く、得られる温水はその中に含まれていた溶
存酸素が脱気された防錆上良好な温水であると共に燃焼
ガス中に含まれている炭酸ガスが取り込まれているので
風呂用として使用すると疲労回復など通常の水道水をそ
のまま風呂釜で加熱した温水にない効果を有しているの
で近年広く実用化されてきている。

【０００３】このような直接接触式温水ヒータとして
は、燃焼室と吸熱室とを錐状多孔板により区画すれば、
散水させた水を錐状多孔板の上下両面に水膜を形成せし
めながら外周縁に案内することができ且つ散水された水
が燃焼室内に直接落下せずしかも燃焼室側壁の焼損も防
止できることから、燃焼室と吸熱室とを錐状多孔板によ
り区画したものが注目を集めている。

【０００４】このような構造の直接接触式温水ヒータに
おいて、錐状多孔板の頂上部は燃焼室内で燃焼せしめら
れる燃料の高温燃焼ガスが集中すると共にその頂上部は
周辺部に比べて散水された水による水膜の厚さが薄いの
で焼損し易い。そこで、本発明者らは、これを防止する
手段として図１に示す如く吸熱室５の吸熱材７上に散水
させるための給水管８が設けられていると共にこの給水
管８に給水される水の一部を錐状多孔板６の頂上部に供
給するための冷却水管10が設けられている直接接触式温
水ヒータを実公平２−４７３９６号により提案した。こ
の直接接触式温水ヒータは、冷却水管10より供給される
水で焼損し易い錐状多孔板６の頂上部を強制冷却しなが
ら吸熱室５の上方より吸熱材７上に散水されて落下して
来る水と燃焼室３内で燃焼せしめられた燃料の燃焼ガス
とを直接接触せしめるので、錐状多孔板６の頂上部が過
熱焼損することが防止できるものである。

【０００５】しかしながら、上記した如き直接接触式温
水ヒータの運転を開始するに際しては、吸熱室５の上方
から給水管８より及び錐状多孔板６の頂上部の直上から
冷却水管10より散水を開始すると同時に燃焼室５内での
燃料の燃焼を開始するか、又は散水を開始し吸熱材７上
に散水された水が燃焼室３に到達するまでの時間を経過
した後に燃焼室３内での燃料の燃焼を開始していたの
で、燃焼室３内での燃料の燃焼を開始するときには錐状
多孔板６の上下両面に水膜が形成されていて燃焼室３は
気密性の非常に高い状態であり、この状態においてはバ
ーナ４から燃料を噴出すると共に点火しようとしても燃
料に点火しない場合もあり、燃焼室内の燃料の濃度が高
くなり易く爆発の危険性があり安全性に問題があるとい
う欠点があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消し、燃焼室の上方に錐状多孔板を介して
吸熱材が充填されている吸熱室が設けられておりこの吸
熱室の上方及び錐状多孔板の頂上部の直上より散水し燃
焼室内で燃焼せしめられた燃料の燃焼ガスと直接接触せ
しめて温水を得る直接接触式温水ヒータの運転開始時
に、バーナに点火し燃焼室内での燃焼開始を確実に且つ
安全に行うことができる直接接触式温水ヒータの燃焼開
始制御方法を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討した結果、最下部に設けられて
いる貯湯部の上方に設けられている燃焼室の上方に錐状
多孔板を介して吸熱材が充填されている吸熱室が設けら
れており、該吸熱室の上方及び該錐状多孔板の頂上部の
直上より散水されて落下して来る水と該燃焼室内で燃焼
せしめられた燃料の燃焼ガスとを直接接触せしめて該貯
湯部に所望温度の温水を得る直接接触式温水ヒータの運
転を開始するに際し、吸熱室の上方及び錐状多孔板の頂
上部の直上よりの散水の開始により錐状多孔板の上下両
面に水膜が形成される前に、燃焼室内での燃料の燃焼を
開始すれば、運転開始時に燃焼室内での燃焼開始を確実
且つ安全に行うことができることを究明して本発明を完
成したのである。

【０００８】また、燃焼室内での燃料の燃焼を開始した
後、タイマーにより一定時間後に吸熱室の上方及び錐状
多孔板の頂上部の直上よりの散水を開始したり、又は燃
料の燃焼により上昇する燃焼室内の温度を検出する温度
検出器を設けて燃焼室内での燃料の燃焼を開始した後、
前記温度検出器よりの信号を受けて吸熱室の上方及び錐
状多孔板の頂上部の直上よりの散水を開始したりする
と、吸熱室の上方及び錐状多孔板の頂上部の直上よりの
散水の開始により錐状多孔板の上下両面に水膜が形成さ
れる前に燃焼室内での燃料の燃焼開始を確実に行うこと
ができることも究明したのである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る直
接接触式温水ヒータの燃焼開始制御方法について詳細に
説明する。図１は本発明に係る直接接触式温水ヒータの
燃焼開始制御方法に使用される直接接触式温水ヒータの
１例を示す説明用断面図である。

【００１０】先ず、本発明に係る直接接触式温水ヒータ
の燃焼開始制御方法を実施するための直接接触式温水ヒ
ータについて説明する。

【００１１】図面中、１はヒータ本体であり、２はヒー
タ本体１の最下部に設けられている貯湯部である。３は
貯湯部２の上方に設けられている燃焼室、４は燃焼室３
の下部又は側部に取り付けられているバーナであり、こ
のバーナ４に供給される燃料が燃焼室３内で燃焼せしめ
られその燃焼ガスはヒータ本体１の上部に設けられてい
る排気筒９より排気せしめられる。５は上方より散水さ
せた水を外周縁に案内する錐状多孔板６を介して燃焼室
３と区画されて燃焼室３の上方に設けられている吸熱室
であり、錐状多孔板６上には吸熱材７が充填されて構成
されている。

【００１２】８は吸熱室５の吸熱材７の上方に設置され
ている給水ノズル8aに吸熱材７上に加熱されるべき水を
散水させて供給するための給水管であり、通常水の供給
量を制御せしめる流量調整弁8bが設けられている。

【００１３】10は燃焼室３の上方に取り付けられた錐状
多孔板６の頂上部が燃焼室３内で燃焼された燃焼ガスに
よつて過熱されて焼損することを防止するために錐状多
孔板６の頂上部の直上に冷却水ノズル10aが配設されて
いる冷却水管であり、冷却水ノズル10aから散水される
水は吸熱室５の上方より散水される水より少量でよいの
で通常給水管８より径の小さな管が利用され、給水管８
に給水される水の一部を錐状多孔板６の頂上部に供給す
るように給水管８から分岐されている態様を示すことが
できる。また図示した実施例の如く錐状多孔板６の頂上
部に供給する水の供給量を制御するために冷却水管10に
流量調整弁10bが設置されていることが好ましい。

【００１４】11は貯湯部２に貯湯された温水を温水使用
箇所に供給するための温水取出口、12は吸熱室５下部の
錐状多孔板６の上下両面に形成されると共に該錐状多孔
板６の外周縁より燃焼室３の側壁に沿つて流下してきた
温水の水膜である。

【００１５】このような構造の直接接触式温水ヒータを
使用して実施する本発明方法は、燃焼室３に設置されて
いるバーナ４に点火し燃焼室３内での燃料の燃焼を開始
すると共に吸熱室５の上方及び錐状多孔板６の頂上部の
直上より散水を開始して運転を開始するに際し、吸熱室
５の上方から給水管８の給水ノズル8a及び錐状多孔板６
の頂上部の上方から冷却水管10の冷却水ノズル10aより
散水を開始する前に、燃焼室３内でバーナ４に点火し燃
料の燃焼を開始する方法である。

【００１６】燃焼室３内でバーナ４に点火し燃料の燃焼
を確実且つ安全に開始するためには、燃焼室３が大気に
開放されていてバーナ４から燃料を噴出したときに燃焼
室３内の燃料濃度が高くならない状態で点火することが
必要である。上記構造の直接接触式温水ヒータにおい
て、散水前は錐状多孔板６，吸熱室５及び排気筒９を介
して燃焼室３は大気に開放されているが、散水後特に冷
却水管10の冷却水ノズル10aより散水した後は直ちに錐
状多孔板６の両面に水膜12が形成されて燃焼室３の気密
性が高くなり、バーナ４から燃料を噴出したときに燃焼
室３内の燃料濃度が高くなり易いのである。従って、吸
熱室５の上方から給水管８の給水ノズル8a及び錐状多孔
板６の頂上部の上方から冷却水管10の冷却水ノズル10a
より散水を開始する前に、燃焼室３内でバーナ４から燃
料を噴出すると共に点火して燃料の燃焼を開始すること
によって、燃焼室３内での燃料濃度が高くなることが防
止され点火時の爆発の危険性がなく燃料の燃焼を確実且
つ安全に開始することができるのである。

【００１７】吸熱室５の上方から給水管８の給水ノズル
8a及び錐状多孔板６の頂上部の直上から冷却水管10の冷
却水ノズル10aより散水を開始する前に、燃焼室３内で
バーナ４に点火して燃料の燃焼を開始するには、燃焼室
３内で燃料の燃焼を開始してから一定時間後に給水管８
に設けられている流量調整弁8b及び必要に応じて冷却水
管10に設けられている流量調整弁10bを開くタイマーを
設けて、燃焼室３内で燃料の燃焼を開始した一定時間後
に吸熱室５の上方及び錐状多孔板６の頂上部の直上より
の散水を開始する態様を示すことができる。また、前記
態様の他、燃料の燃焼により上昇する燃焼室３内の温度
を検出する温度検出器を設けて、燃焼室３内での燃料の
燃焼を開始した後、この温度検出器よりの信号を受けて
前記流量調整弁8b及び流量調整弁10bを開いて、吸熱室
５の上方及び錐状多孔板６の頂上部の直上よりの散水を
開始する態様も示すことができる。前者のタイマーを設
ける態様の場合には、ヒータ本体１の大きさにもよる
が、バーナ４を点火してから通常１〜３秒後に前記給水
管８の流量調整弁8b及び必要に応じて設けられている冷
却水管10の流量調整弁10bを開いて散水を開始すれば良
い。

【００１８】

【発明の効果】以上に詳述した如く本発明に係る直接接
触式温水ヒータの燃焼開始制御方法は、最下部に設けら
れている貯湯部の上方に設けられている燃焼室の上方に
錐状多孔板を介して吸熱材が充填されている吸熱室が設
けられており、該吸熱室の上方及び該錐状多孔板の頂上
部の直上より散水されて落下して来る水と該燃焼室内で
燃焼せしめられた燃料の燃焼ガスとを直接接触せしめて
該貯湯部に所望温度の温水を得る直接接触式温水ヒータ
の運転を開始するに際し、吸熱室の上方及び錐状多孔板
の頂上部の直上よりの散水の開始により錐状多孔板の上
下両面に水膜が形成される前に、燃焼室内での燃焼を開
始するので、燃焼室内での燃焼開始時には錐状多孔板の
上下両面に水膜が形成されていなくて燃焼室が大気に開
放されているため、通気性が良く燃焼室での燃料濃度が
高くなることを防止できるので点火時の爆発の危険性が
なく安全性に非常に優れている。

【００１９】また、燃焼室内での燃料の燃焼を開始した
後、タイマーにより一定時間後に吸熱室の上方及び錐状
多孔板の頂上部の直上よりの散水を開始したり、燃料の
燃焼により上昇する燃焼室内の温度を検出する温度検出
器を設け、燃焼室内での燃料の燃焼を開始した後にこの
温度検出器よりの信号を受けて吸熱室の上方及び錐状多
孔板の頂上部の直上よりの散水を開始したりすると、簡
単な構成により本発明方法を容易に実施することができ
る。

【００２０】このような効果を奏する本発明に係る直接
接触式温水ヒータの燃焼開始制御方法は、その工業的価
値の非常に大きなものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る直接接触式温水ヒータの燃焼開始
制御方法に使用される直接接触式温水ヒータの１例を示
す説明用断面図である。

【符号の説明】

１ ヒータ本体 ２ 貯湯部 ３ 燃焼室 ４ バーナ ５ 吸熱室 ６ 錐状多孔板 ７ 吸熱材 ８ 給水管 8a 給水ノズル 8b 流量調整弁 ９ 排気筒 10 冷却水管 10a 冷却水ノズル 10b 流量調整弁 11 温水取出口 12 水膜

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 最下部に設けられている貯湯部(２)の上
   方に設けられている燃焼室(３)の上方に錐状多孔板(６)
   を介して吸熱材(７)が充填されている吸熱室(５)が設け
   られており、該吸熱室(５)の上方及び該錐状多孔板(６)
   の頂上部の直上より散水されて落下して来る水と該燃焼
   室(３)内で燃焼せしめられた燃料の燃焼ガスとを直接接
   触せしめて該貯湯部(２)に所望温度の温水を得る直接接
   触式温水ヒータの運転を開始するに際し、吸熱室(５)の
   上方及び錐状多孔板(６)の頂上部の直上よりの散水の開
   始により錐状多孔板(６)の上下両面に水膜(12)が形成さ
   れる前に、燃焼室(３)内での燃料の燃焼を開始すること
   を特徴とする直接接触式温水ヒータの燃焼開始制御方
   法。
2. 【請求項２】 燃焼室(３)内で燃料の燃焼を開始した
   後、タイマーにより一定時間後に吸熱室(５)の上方及び
   錐状多孔板(６)の頂上部の直上よりの散水を開始する請
   求項１に記載の直接接触式温水ヒータの燃焼開始制御方
   法。
3. 【請求項３】 燃料の燃焼により上昇する燃焼室(３)内
   の温度を検出する温度検出器を設け、燃焼室(３)内で燃
   料の燃焼を開始した後、この温度検出器よりの信号を受
   けて吸熱室(５)の上方及び錐状多孔板(６)の頂上部の直
   上よりの散水を開始する請求項１に記載の直接接触式温
   水ヒータの燃焼開始制御方法。