JPH10298739A - ビスマス層状構造強誘電体薄膜の作成方法 - Google Patents

ビスマス層状構造強誘電体薄膜の作成方法

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JPH10298739A
JPH10298739A JP12326897A JP12326897A JPH10298739A JP H10298739 A JPH10298739 A JP H10298739A JP 12326897 A JP12326897 A JP 12326897A JP 12326897 A JP12326897 A JP 12326897A JP H10298739 A JPH10298739 A JP H10298739A
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thin film
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bismuth
film
heat treatment
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Takeyo Tsukamoto
桓世 塚本
Soichiro Okamura
総一郎 岡村
Toshio Tsuchiya
敏雄 土谷
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Mikuni Corp
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Mikuni Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ビスマスおよびチタニウム金属単体を基
盤上に電子ビーム蒸着する工程と、この基盤を酸素雰囲
気中で熱処理する工程とを組み合わせ、ビスマス層状構
造強誘電体薄膜を作成するビスマス層状構造強誘電体薄
膜の作成方法である。 【課題】 不純物の混入を防ぐことができるるとともに
組成制御のしやすいビスマス層状構造強誘電体薄膜を作
成する方法を提供することである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度不揮発性メ
モリデバイスへの応用が期待されているビスマス層状構
造強誘電体薄膜の作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(Ba,Sr)Ti3, Pb(Zr,Ti)O3, Bi4Ti3O12,
BiSr2Ta2O9などの酸化物強誘電体は、高密度DRAMや
不揮発性メモリーへの応用が期待され、その薄膜作成技
術の開発研究が盛んに行われている。その薄膜作成方法
としては、スパッタリング法、MOCVD法、MOD
法、MBE法などがあり、それぞれの方法で高品質な薄
膜作成、量産化などの研究が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Bi4Ti3O12 薄膜作成に
おいて、MOCVD法のように有機金属塩を原料とする
場合は、残留炭素などの不純物の問題がある。また、ス
パッタリング法ではターゲットセラミックスの組成調整
が難しい。その結果、単相のBi4Ti3O12 薄膜を得ること
が極めて難しく、性能の向上を妨げている。
【0004】この発明の課題はかかる不都合を解消する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、この発明に係るビスマス層状構造強誘電体薄膜の作
成方法においては、ビスマスおよびチタニウム金属単体
を基盤上に電子ピーム蒸着する工程と、この基盤を酸素
雰囲気中で熱処理する工程とを組み合わせ、ビスマス層
状構造強誘電体薄膜を作成するようにしたため、即ち、
構成金属単体を蒸着することから、不純物の混入を防ぐ
ことができる。組成制御は金属それぞれの蒸着量をコン
トロールするだけであり取扱いが簡便である。基板に蒸
着後は、空気中か酸素ガス雰囲気中で熱処理を行うこと
で容易にビスマス層状構造強誘電体薄膜を形成すること
ができる。ビスマス層状構造強誘電体薄膜の一例として
は、Bi4Ti3O12 薄膜である。
【0006】また、ビスマスコーティング溶液を基板上
にコーティングして前記基板上に塗布膜を形成し、その
後、熱処理することによってビスマス層状構造強誘電体
薄膜を作成することを特徴とするビスマス層状構造強誘
電体薄膜の作成方法によっても上記作用効果を得ること
ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は電子ビーム加熱蒸発方式の
図解一覧図、図2はPt/SiO2/Si基板上に、電子ビーム加
熱蒸発および700°C30分間の連続的熱処理によっ
て形成されたBi4Ti3O12 薄膜のX線回折グラフ、図3は
Pt/SiO2/Si基板上に電子ビーム加熱蒸発および700°
C30分間の連続的熱処理によって形成されたBi4Ti3O
12 のD−E履歴曲線のグラフ、図4は Bi4Ti3O12
薄膜の製造工程を示した図、図5は700 °Cで加熱処理
することによって白金基板上に形成されたBIT薄膜の
X線回折グラフ、図6はSiO2(a) およびPt(b) 基板上に
おけるBIT薄膜のAFM像、図7は700°Cで加熱
処理することによって白金基板上に形成されたBIT薄
膜(1 μm 厚さ) のX線回折グラフである。
【0007】本発明(請求項1及び請求項2)は、図1
に示すような電子ビーム蒸着装置を用い、高真空状態で
単体の金属粉末を基板に蒸着する。
【0008】蒸着量は、ビスマスとチタニウムの比が
4:3になるように、蒸着膜厚モニターを用いて見積も
る。
【0009】この金属蒸着量膜を、空気中あるいは酸素
ガス雰囲気中で熱処理することにより酸化し、所望の酸
化物薄膜を形成する。
【0010】〔実施例〕金属原料として 99.99%のBi粉
末と 99.98%のTi粉末を用いた。基盤として白金をスパ
ッタしたシリコンウエハー(Pt/SiO2)を用いた。
【0011】図1の装置内に金属原料と基板をセット
し、10-8Torrの高真空状態に保持した。金属の蒸着速度
は前もって測定し、BiとTiの比が4:3になるように、
ビスマスの堆積速度を0.27nm/s、チタニウムの堆積速度
を0.10nm/sにそれぞれセットした。蒸着時間は 1200sで
ある。基板は毎分5回転させ、蒸着は室温で行った。蒸
着終了後、空気中で700°C,30min の熱処理を行
った。得られた薄膜の厚さは470nm であった。
【0012】図2に得られた薄膜のX線回折パターンを
示した。図から明らかなように、c軸に優先配向した単
相のBi4Ti3O12 薄膜が形成されていることが解る。
【0013】図3に、この薄膜の強誘電ヒステリシスル
ープを示した。典型的な強誘電履歴曲線が得られてい
る。見積もられた残留分極は13.7μC/cm2 であり、抗電
場は 96.4 kV/cm であった。また、室温での誘電率は3
9.9であった。
【0014】また、本発明(請求項3)は、図4に示す
ようなゾルゲル法によって、基板に薄膜を形成するため
のものである。
【0015】原料には硝酸ビスマス5水和物(Bi(NO3)3
・5H2O) とチタンテトラブトキシド(Ti(OCH2CH2CH2CH3)
4)を用いた。触媒には、アセチルアセトン(又は 2,4ペ
ンタンジオン)(CH3COCH2COCH3)とエチレングリコール
(CH2(OH) CH2OH)を使用した。基板には、SiO2/Si(100)
ウエハー、ITOをスパッタコートしたシリカガラス、
白金板を使用した。
【0016】〔実施例〕所定量秤量した硝酸ビスマス5
水和物をアセチルアセトンに溶解し、エチレングリコー
ルを加えて、 120°Cで2時間加熱攪拌を行った。その
後、これを室温まで冷却し、チタンテトラブトキシドを
加えてコーティング溶液とした。
【0017】薄膜のコーティングは、マニュアルピンナ
ー((株)エイブル社製ASC-3000型)を用いて、スピン
コーティング法により行った。基板を試料台に固定後、
コーティング溶液を基板上に数滴滴下し、1500rpm で5
秒、4000rpm で15秒のスピンを行い塗布膜を形成した。
これを、各熱処理温度で熱処理することにより、酸化物
薄膜を形成した。膜厚を変化させる場合、コーティング
−熱処理のプロセスを繰り返す多層コーティングを行っ
た。
【0018】図5に白金板上に700°Cの熱処理で作
成したBIT(チタン酸ビスマス)薄膜のX線回折図を
示す。図のように、白金基板上で作成した薄膜では、不
純物ピークのないBIT単一相であり、ほぼc面のピー
クのみが観察された。この膜は、c軸に配向した結晶粒
によって形成されていると考えられる。
【0019】図6に、 SiO2/Si, 白金それぞれの基板上
に作成した薄膜表面のAFM観察結果を示す。SiO2/Si
上に作成した薄膜においては、一回のコーティングの膜
では基板上から微細な球状の粒子が発生し、10回コーテ
ィングの膜では 0.1μm程度の粒子によって形成されて
いることが分かった。白金上の薄膜では、一回のコーテ
ィングの膜で基板上に 0.1μm程度の板状の結晶が発生
し、10回コーティングの膜ではそれが 1.0μm以上に成
長した結晶によって形成されていることが分かった。こ
のような板状結晶の成長は、ホット・フォージ法で高配
向化させた焼結体の状態と類似している。このように基
板によって結晶粒の成長状態が大きく異なるため、基板
に対する配向性・結晶性が変化したものと考えられる。
【0020】しかし、図6(b) のように白金上において
も一回コーティングの場合は基板に平行に板状の結晶が
成長していたが、コーティングを重ねるに従って上に重
なった層に対して基板の影響が小さくなり、10回コーテ
ィングの膜では様々な方向を向いた板状結晶が成長して
いる。図7に10回コーティングを行って作成した膜の、
c軸配向性が高い膜と低い膜のX線回折図を示す。多数
コーティングを行い膜厚が厚くなったため、基板の状態
や熱処理によって配向性を維持した成長ができなくな
り、配向性に違いが生じたと考えられる。
【0021】表1に、単結晶と膜厚2μmの薄膜の誘電
率、残留分極値(Pr)(単結晶では自発分極(Ps)
の値)および抗電界(Ec)を値を示す。単結晶の自発
分極はb−c面内のb軸から 4.5°の角度を向いている
ため、c軸方向のPs,Ecの値はb軸方向より小さ
い。よって、薄膜の場合もc軸配向性が高い方が、P
r,Ecが小さい値を示したと考えられる。また、MO
CVD法により作成された配向性の低い薄膜において
も、Pr= 3.3〜4.0 μC/cm2 ,Ec=84〜135k
V/cmという値が報告されており、配向性が低いほど抗
電界が大きくなる今回の傾向を類似していた。
【0022】c軸配向性が低い膜では、Pr,Ecどち
らの値も単結晶BITのc軸方向のPr,Ecより大き
い。これは膜がc軸方向ではなく他の方向に、あるいは
ランダムに配向していたためと考えられる。c軸に配向
していた薄膜もPrは単結晶より小さく、Ecはかなり
大きいものであった。粒界の存在や、膜厚の増加に伴う
配向性の低下が原因と考えられる。配向性の向上は抗電
界の低下につながることから、高配向性の薄膜の作成は
低電圧による分極反転を可能とし、メモリー材料への応
用の可能性も考えられる。
【0023】 a)10KHz,25°C にて。 b)50Hz, 25°C, 150kV/cm にて。 c)A.Fuscova and L.E.Cross, J.Appl.Phy.,41,2834-2838(1970) d)S.ECummins and L.E.Cross, J.Appl.Phy.,39,2268-2274(1968)
【0023】
【発明の効果】この発明に係るビスマス層状構造強誘電
体薄膜の作成方法においては、ビスマスおよびチタニウ
ム金属単体を基盤上に電子ピーム蒸着する工程と、この
基盤を酸素雰囲気中で熱処理する工程とを組み合わせ、
ビスマス層状構造強誘電体薄膜を作成するようにしたた
め、即ち、構成金属単体を蒸着することから、不純物の
混入を防ぐことができる。組成制御は金属それぞれの蒸
着量をコントロールするだけであり取扱いが簡便であ
る。基板に蒸着後は、空気中か酸素ガス雰囲気中で熱処
理を行うことで容易にビスマス層状構造強誘電体薄膜を
形成することができる。
【0024】また、ビスマスコーティング溶液を基板上
にコーティングして前記基板上に塗布膜を形成し、その
後、熱処理することによってビスマス層状構造強誘電体
薄膜を作成することを特徴とするビスマス層状構造強誘
電体薄膜の作成方法によっても上記作用効果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム加熱蒸発方式の図解一覧図である。
【図2】Pt/SiO2/Si基板上に、電子ビーム加熱蒸発およ
び700°C,30分間の連続的熱処理によって形成さ
れたBi4Ti3O12 薄膜のX線回折グラフである。
【図3】Pt/SiO2/Si基板上に電子ビーム加熱蒸発および
700°C,30分間の連続的熱処理によって形成され
たBi4Ti3O12 のD−E履歴曲線のグラフである。
【図4】Bi4Ti3O12 の薄膜の製造工程を示した図であ
る。
【図5】700°Cで加熱処理することによって白金基
板上に形成されたBIT薄膜のX線回折グラフである。
【図6】SiO2(a) およびPt(b) 基板上におけるBIT 膜の
AFM像である。
【図7】700°Cで加熱処理することによって白金基
板上に形成されたBIT薄膜(1μm 厚さ) のX線回折
グラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年8月6日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ビスマス層状構造強誘電体薄膜の
作成方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度不揮発性メ
モリデバイスへの応用が期待されているビスマス層状構
造強誘電体薄膜の作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(Ba,Sr)TiO,Pb(Zr,
Ti)O,BiTi12,BiSrTa
などの酸化物強誘電体は、高密度DRAMや不揮発性
メモリーへの応用が期待され、その薄膜作成技術の開発
研究が盛んに行われている。その薄膜作成方法として
は、スパッタリング法、MOCVD法、MOD法、MB
E法などがあり、それぞれの方法で高品質な薄膜作成、
量産化などの研究が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】BiTi12
膜作成において、MOCVD法のように有機金属塩を原
料とする場合は、残留炭素などの不純物の問題がある。
また、スパッタリング法ではターゲットセラミックスの
組成調整が難しい。その結果、単相のBiTi
12薄膜を得ることが極めて難しく、性能の向上を妨げ
ている。
【0004】この発明の課題はかかる不都合を解消する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、この発明に係るビスマス層状構造強誘電体薄膜の作
成方法においては、ビスマスおよびチタニウム金属単体
を基盤上に電子ビーム蒸着する工程と、この基盤を酸素
雰囲気中で熱処理する工程とを組み合わせ、ビスマス層
状構造強誘電体薄膜を作成するようにしたため、即ち、
構成金属単体を蒸着することから、不純物の混入を防ぐ
ことができる。組成制御は金属それぞれの蒸着量をコン
トロールするだけであり取扱いが簡便である。基板に蒸
着後は、空気中か酸素ガス雰囲気中で熱処理を行うこと
で容易にビスマス層状構造強誘電体薄膜を形成すること
ができる。ビスマス層状構造強誘電体薄膜の一例として
は、BiTi12薄膜である。
【0006】また、ビスマスコーティング溶液を基板上
にコーティングして前記基板上に塗布膜を形成し、その
後、熱処理することによってビスマス層状構造強誘電体
薄膜を作成することを特徴とするビスマス層状構造強誘
電体薄膜の作成方法によっても上記作用効果を得ること
ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は電子ビーム加熱蒸発方式の
図解一覧図、図2はPt/SiO/Si基板上に、電
子ビーム加熱蒸発および700゜C30分間の連続的熱
処理によって形成されたBiTi12薄膜のX線
回折グラフ、図3はPt/SiO/Si基板上に電子
ビーム加熱蒸発および700゜C30分間の連続的熱処
理によって形成されたBiTi12のD−E履歴
曲線のグラフ、図4は Bi4Ti 12の薄膜の製
造工程を示した図、図5は700゜Cで加熱処理するこ
とによって白金基板上に形成されたBIT薄膜のX線回
折グラフ、図6はSiO(a)およびpt(b)基板
上におけるBIT薄膜のAFM像、図7は700°Cで
加熱処理することによって白金基板上に形成されたBI
T薄膜(1μm厚さ)のX線回折グラフである。
【0007】本発明(請求項1及び請求項2)は、図1
に示すような電子ビーム蒸着装置を用い、高真空状態で
単体の金属粉末を基板に蒸着する。
【0008】蒸着量は、ビスマスとチタニウムの比が
4:3になるように、蒸着膜厚モニターを用いて見積も
る。
【0009】この金属蒸着量膜を、空気中あるいは酸素
ガス雰囲気中で熱処理することにより酸化し、所望の酸
化物薄膜を形成する。
【0010】〔実施例〕金属原料として99.99%の
Bi粉末と99.98%のTi粉末を用いた。基盤とし
て白金をスパッタしたシリコンウエハー(Pt/SiO
)を用いた。
【0011】図1の装置内に金属原料と基板をセット
し、10−8Torrの高真空状態に保持した。金属の
蒸着速度は前もって測定し、BiとTiの比が4:3に
なるように、ビスマスの堆積速度を0.27nm/s、
チタニウムの堆積速度を0.10nm/sにそれぞれセ
ットした。蒸着時間は1200sである。基板は毎分5
回転させ、蒸着は室温で行った。蒸着終了後、空気中で
700゜C,30minの熱処理を行った。得られた薄
膜の厚さは470nmであった。
【0012】図2に得られた薄膜のX線回折パターンを
示した。図から明らかなように、c軸に優先配向した単
相のBiTi12薄膜が形成されていることが解
る。
【0013】図3に、この薄膜の強誘電ヒステリシスル
ープを示した。典型的な強誘電履歴曲線が得られてい
る。見積もられた残留分極は13.7μC/cmであ
り、抗電場は96.4kV/cmであった。また、室温
での誘電率は39.9であった。
【0014】また、本発明(請求項3)は、図4に示す
ようなゾルゲル法によって、基板に薄膜を形成するため
のものである。
【0015】原料には硝酸ビスマス5水和物(Bi(N
・5HO)とチタンテトラブトキシド(Ti
(OCHCHCHCH)を用いた。触媒に
は、アセチルアセトン(又は2,4ペンタンジオン)
(CHCOCHCOCH)とエチレングリコール
(CH(OH)CHOH)を使用した。基板には、
SiO/Si(100)ウエハー、ITOをスパッタ
コートしたシリカガラス、白金板を使用した。
【0016】〔実施例〕所定量秤量した硝酸ビスマス5
水和物をアセチルアセトンに溶解し、エチレングリコー
ルを加えて、120゜Cで2時間加熱攪拌を行った。そ
の後、これを室温まで冷却し、チタンテトラブトキシド
を加えてコーティング溶液とした。
【0017】薄膜のコーティングは、マニュアルスピン
ナー((株)エイブル社製ASC−3000型)を用い
て、スピンコーティング法により行った。基板を試料台
に固定後、コーティング溶液を基板上に数滴滴下し、1
500rpmで5秒、4000rpmで15秒のスピン
を行い塗布膜を形成した。これを、各熱処理温度で熱処
理することにより、酸化物薄膜を形成した。膜厚を変化
させる場合、コーティング−熱処理のプロセスを繰り返
す多層コーティングを行った。
【0018】図5に白金板上に700゜Cの熱処理で作
成したBIT(チタン酸ビスマス)薄膜のX線回折図を
示す。図のように、白金基板上で作成した薄膜では、不
純物ピークのないBIT単一相であり、ほぼc面のピー
クのみが観察された。この膜は、c軸に配向した結晶粒
によって形成されていると考えられる。
【0019】図6に、SiO/Si,白金それぞれの
基板上に作成した薄膜表面のAFM観察結果を示す。S
iO/Si上に作成した薄膜においては、一回のコー
ティングの膜では基板上から微細な球状の粒子が発生
し、10回コーティングの膜では0.1μm程度の粒子
によって形成されていることが分かった。白金上の薄膜
では、一回のコーティングの膜で基板上に0.1μm程
度の板状の結晶が発生し、10回コーティングの膜では
それが1.0μm以上に成長した結晶によって形成され
ていることが分かった。このような板状結晶の成長は、
ホット・フォージ法で高配向化させた焼結体の状態と類
似している。このように基板によって結晶粒の成長状態
が大きく異なるため、基板に対する配向性・結晶性が変
化したものと考えられる。
【0020】しかし、図6(b)のように白金上におい
ても一回コーティングの場合は基板に平行に板状の結晶
が成長していたが、コーティングを重ねるに従って上に
重なった層に対して基板の影響が小さくなり、10回コ
ーティングの膜では様々な方向を向いた板状結晶が成長
している。図7に10回コーティングを行って作成した
膜の、c軸配向性が高い膜と低い膜のX線回折図を示
す。多数コーティングを行い膜厚が厚くなったため、基
板の状態や熱処理によって配向性を維持した成長ができ
なくなり、配向性に違いが生じたと考えられる。
【0021】表1に、単結晶と膜厚2μmの薄膜の誘電
率、残留分極値(Pr)(単結晶では自発分極(Ps)
の値)および抗電界(Ec)を値を示す。単結晶の自発
分極はb−c面内のb軸から4.5゜の角度を向いてい
るため、c軸方向のPs,Ecの値はb軸方向より小さ
い。よって、薄膜の場合もc軸配向性が高い方が、P
r,Ecが小さい値を示したと考えられる。また、MO
CVD法により作成された配向性の低い薄膜において
も、Pr=3.3〜4.0μC/cm,Ec=84〜
135kV/cmという値が報告されており、配向性が
低いほど抗電界が大きくなる今回の傾向を類似してい
た。
【0022】c軸配向性が低い膜では、Pr,Ecどち
らの値も単結晶BITのc軸方向のPr,Ecより大き
い。これは膜がc軸方向ではなく他の方向に、あるいは
ランダムに配向していたためと考えられる。c軸に配向
していた薄膜もPrは単結晶より小さく、Ecはかなり
大きいものであった。粒界の存在や、膜厚の増加に伴う
配向性の低下が原因と考えられる。配向性の向上は抗電
界の低下につながることから、高配向性の薄膜の作成は
低電圧による分極反転を可能とし、メモリー材料への応
用の可能性も考えられる。
【0023】
【0023】
【発明の効果】この発明に係るビスマス層状構造強誘電
体薄膜の作成方法においては、ビスマスおよびチタニウ
ム金属単体を基盤上に電子ビーム蒸着する工程と、この
基盤を酸素雰囲気中で熱処理する工程とを組み合わせ、
ビスマス層状構造強誘電体薄膜を作成するようにしたた
め、即ち、構成金属単体を蒸着することから、不純物の
混入を防ぐことができる。組成制御は金属それぞれの蒸
着量をコントロールするだけであり取扱いが簡便であ
る。基板に蒸着後は、空気中か酸素ガス雰囲気中で熱処
理を行うことで容易にビスマス層状構造強誘電体薄膜を
形成することができる。
【0024】また、ビスマスコーティング溶液を基板上
にコーティングして前記基板上に塗布膜を形成し、その
後、熱処理することによってビスマス層状構造強誘電体
薄膜を作成することを特徴とするビスマス層状構造強誘
電体薄膜の作成方法によっても上記作用効果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム加熱蒸発方式の図解一覧図である。
【図2】Pt/SiO/Si基板上に、電子ビーム加
熱蒸発および700゜C,30分間の連続的熱処理によ
って形成されたBiTi12薄膜のX線回折グラ
フである。
【図3】Pt/SiO/Si基板上に電子ビーム加熱
蒸発および700゜C,30分間の連続的熱処理によっ
て形成されたBiTi12のD−E履歴曲線のグ
ラフである。
【図4】BiTi12の薄膜の製造工程を示した
図である。
【図5】700゜Cで加熱処理することによって白金基
板上に形成されたBIT薄膜のX線回折グラフである。
【図6】SiO(a)およびpt(b)基板上におけ
るBIT膜のAFM像である。
【図7】700゜Cで加熱処理することによって白金基
板上に形成されたBIT薄膜(1μm厚さ)のX線回折
グラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスマスおよびチタニウム金属単体を基
    盤上に電子ピーム蒸着する工程と、この基盤を酸素雰囲
    気中で熱処理する工程とを組み合わせ、ビスマス層状構
    造強誘電体薄膜を作成することを特徴とするビスマス層
    状構造強誘電体薄膜の作成方法。
  2. 【請求項2】 前記ビスマス層状構造強誘電体薄膜が強
    誘電体Bi4Ti3012 であることを特徴とする請求項1のビ
    スマス層状構造強誘電体薄膜の作成方法。
  3. 【請求項3】 ビスマスコーティング溶液を基板上にコ
    ーティングして前記基板上に塗布膜を形成し、その後、
    熱処理することによってビスマス層状構造強誘電体薄膜
    を作成することを特徴とするビスマス層状構造強誘電体
    薄膜の作成方法。
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