JPH10298579A - グリース組成物 - Google Patents

グリース組成物

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JPH10298579A
JPH10298579A JP10909797A JP10909797A JPH10298579A JP H10298579 A JPH10298579 A JP H10298579A JP 10909797 A JP10909797 A JP 10909797A JP 10909797 A JP10909797 A JP 10909797A JP H10298579 A JPH10298579 A JP H10298579A
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JP
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molybdenum
soap
thickener
weight
grease
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JP10909797A
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Kenji Ueno
賢治 植野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温下においても特性の変化が小さく、水分と
接触する部位に用いても特性の変化が小さい、耐久性に
優れたグリースとする。 【解決手段】増稠剤に水酸化モリブデンと脂肪酸とホウ
酸エステルを反応させて得られたモリブデン−ホウ素化
合物石鹸を少なくとも含む構成とした。モリブデン−ホ
ウ素化合物石鹸は潤滑性に優れ、水分の存在下でもほと
んど分解せず、高温下での使用においても増稠剤として
の特性の変化がほとんどない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の駆動系、
シャーシ部品などの摺動部に潤滑剤として用いられるグ
リース組成物の組成の改良に関する。本発明のグリース
組成物は、等速ジョイントやボールジョイントなど、特
に水と接触しやすい摺動部の潤滑剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動系、シャーシ部品などの摺
動部には、耐摩耗性、極圧性、低摩擦性などを付与する
ために、潤滑剤としてグリースの利用が増加している。
このグリースは基本的に基油と増稠剤とからなり、増稠
剤としてはリチウム石鹸、カルシウム石鹸、アルミニウ
ム石鹸などが利用されている。そして上記した各種性能
をより向上させるために、これらの成分の組成の改良や
各種添加剤の添加などが提案されている。
【0003】例えば特開平7−286188号公報に
は、添加剤として低分子量ポリエチレンを基油100重
量部に対し1〜5重量部添加した継手用グリース組成物
が開示されている。また同公報には、低分子量ポリエチ
レンに加えて、ホウ素化合物、並びにジアルキルジチオ
燐酸亜鉛、モリブデンジチオカルバメート及び硫黄−燐
系極圧添加剤よりなる群から選ばれた極圧添加剤を配合
することが望ましいことも記載されている。
【0004】この公報に記載の低分子量ポリエチレンを
添加したグリース組成物によれば、潤滑性に優れ、また
摺動部からの漏洩が減少し、かつ長寿命のグリースとな
る。またホウ素化合物の添加により耐摩耗性が向上し、
グリースの色を非黒色とすることができるため汚れの原
因となるのが防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】グリースは、長期間使
用すると潤滑性能が低下することが知られている。この
原因は、基油が蒸発や膜透過などにより減少すること、
あるいは添加剤に変質や消耗が生じることに起因すると
考えられている。特に極圧添加剤は反応性が高いために
変質しやすく、かつコストや溶解性などが不十分である
ために添加量に制限があり、これらの理由により長寿命
化が困難となっている。
【0006】さらに増稠剤として従来より一般に用いら
れているリチウム石鹸、カルシウム石鹸、アルミニウム
石鹸などは融点が比較的低いために、高温下で用いられ
るグリースでは増稠性が低下するため用いることが困難
である。またこれらの金属石鹸を用いたグリースでは、
水分と接触する部位に使用すると増稠性が低下してグリ
ースとしての機能が低下するという不具合がある。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、高温下においても特性の変化が小さく、水
分と接触する部位に用いても特性の変化が小さい、耐久
性に優れたグリースとすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、グリースの
構成要素である基油、増稠剤及び添加剤のうち、消耗、
蒸発などの変化が最も小さな増稠剤に着目し、増稠剤そ
のものに潤滑性を付与することを想起した。そして各種
増稠剤について鋭意研究した結果、モリブデン−ホウ素
化合物石鹸がきわめて好ましい特性をもつことを発見
し、本発明を完成したものである。
【0009】すなわち上記課題を解決する請求項1に記
載のグリース組成物の特徴は、基油と増稠剤とからなる
グリース組成物において、増稠剤として少なくともモリ
ブデン−ホウ素化合物石鹸を含むことにある。また請求
項2に記載のグリース組成物の特徴は、請求項1に記載
のグリース組成物において、モリブデン−ホウ素化合物
石鹸は、水酸化モリブデンと脂肪酸の合計100重量部
に対してホウ酸エステルを3〜7重量部配合し反応させ
て得られたものであることにある。
【0010】
【発明の実施の形態】モリブデンは固体潤滑剤として広
く用いられているから、増稠剤としてモリブデン石鹸を
用いることは容易に想起される。ところがモリブデン石
鹸は、水分の存在下で分解しやすく、固体モリブデンが
分離するという不具合がある。したがってモリブデン石
鹸を増稠剤として用いたグリースでは、使用中に増稠性
が低下して漏洩が生じたり潤滑性が低下してしまう。
【0011】そこで本発明のグリース組成物では、増稠
剤として少なくともモリブデン−ホウ素化合物石鹸を含
んでいる。モリブデン−ホウ素化合物石鹸は水分の存在
下でもほとんど分解せず、高温下での使用においても増
稠剤としての特性の変化がほとんどない。したがって増
稠剤として少なくともモリブデン−ホウ素化合物石鹸を
含む本発明のグリース組成物では、水分と接触する部位
に用い、かつ高温下で長期間使用しても、特性の低下が
ほとんど生じず耐久性にきわめて優れている。
【0012】そしてモリブデン−ホウ素化合物石鹸を増
稠剤として含むグリースは、添加剤を使用しなくとも高
い潤滑性を示し、添加剤に起因する耐久性の低下を回避
することができる。このモリブデン−ホウ素化合物石鹸
とは、MoB石鹸、MoB2 石鹸及びMo 2 B石鹸から
選ばれるものである。このモリブデン−ホウ素化合物石
鹸は、例えば水酸化モリブデンなどの無機モリブデン源
とステアリン酸などの脂肪酸とホウ酸エステルなどのホ
ウ素源とを混合してけん化反応させることにより製造す
ることができる。
【0013】モリブデンの金属石鹸を製造する場合、モ
リブデン源としては無機化合物である必要があり、水酸
化モリブデンを用いることができる。また脂肪酸として
は、炭素数17のステアリン酸を始めとして炭素数5〜
22の脂肪酸を用いることができる。またホウ素源とし
ては、オルトホウ酸、ホウ酸エステル、有機ホウ素化合
物などを用いることが可能であるが、水分を取り込みや
すい性質をもつホウ酸エステルが特に好ましい。
【0014】なお、水酸化モリブデンと脂肪酸との反応
においては、水酸化モリブデン(Mo(OH)3 )はき
わめて不安定な化合物であり、容易に分解して水とモリ
ブデン固体に分離するため、けん化反応が十分生じな
い。しかしホウ酸エステルを配合すると、ホウ酸エステ
ルの水分を取り込む性質により水酸化モリブデンと脂肪
酸との反応が助長され、増稠性をもつモリブデン−ホウ
素化合物石鹸が得られる。
【0015】この場合において、請求項2に記載された
ように、水酸化モリブデンと脂肪酸の合計100重量部
に対してホウ酸エステルを3〜7重量部配合して反応さ
せたモリブデン−ホウ素化合物石鹸が特に好ましい特性
をもつ。ホウ酸エステルの添加量がこの範囲より少ない
と潤滑特性が低下し、この範囲より多くなると固体のホ
ウ酸の生成により摺動部の摩耗量が増大してしまう。
【0016】このモリブデン−ホウ素化合物石鹸の添加
量は、必要とするグリースの粘度によって異なるが基油
100重量部に対して10〜30重量部程度で一般的な
グリースの粘度とすることができる。モリブデン−ホウ
素化合物石鹸が10重量部より少ないと粘度が低くなり
すぎてグリースとしては適さず、30重量部より多くな
ると粘度が高すぎてグリースとしての取り扱い作業性が
低下する。
【0017】基油としては、従来のグリースに用いられ
ているものを用いることができ、ポリα−オレフィン、
ポリブテン合成スクワランなどの合成炭化水素系基油、
二塩基酸ジエステル、ネオペンチルポリオールエステル
などのポリオールエステル系基油、アルキルフォスフェ
ートエステル、アリルフォスフェートエステルなどの燐
酸エステル系基油、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、
ポリエチレングリコールエーテルなどのポリグリコール
系基油、あるいはナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、
芳香族系鉱油、高度生成鉱油などの鉱油系基油などから
選択して用いることができる。このうち1種類でもよい
し、複数種類併用することもできる。
【0018】増稠剤とは、基油中に分散してミセル構造
をとることにより半固体状を呈する役割を担うものであ
り、本発明では少なくともモリブデン−ホウ素化合物石
鹸を含んでいる。増稠剤全体をモリブデン−ホウ素化合
物石鹸から構成することが望ましいが、他の増稠剤を併
用することもできる。併用できる他の増稠剤としては、
ナトリウム石鹸、リチウム石鹸、カルシウム石鹸、カル
シウムコンプレックス石鹸、アルミニウムコンプレック
ス石鹸、リチウムコンプレックス石鹸などの石鹸系増稠
剤、有機ベントナイト、超微粒子シリカ、ナトリウムテ
レフタレート、尿素系化合物、ポリテトラフルオロエチ
レンなどの非石鹸系増稠剤が例示される。
【0019】増稠剤中にはモリブデン−ホウ素化合物石
鹸を80重量%以上用いることが好ましい。モリブデン
−ホウ素化合物石鹸がこれより少なくなるとモリブデン
−ホウ素化合物石鹸の効果が得られず、耐久性が低下す
る。前記したように増稠剤をモリブデン−ホウ素化合物
石鹸100%で構成することが望ましい。本発明のグリ
ース組成物には、基油と増稠剤以外に、必要により酸化
防止剤、防錆剤などの通常添加される添加剤を混合する
こともできる。酸化防止剤としては、2,6-ジ−t-ブチル
パラクレゾール、4,4'メチレンビス(2,6-ジ−t-ブチル
フェノール)、4,4'メチレンビス(6-t-ブチル−o-クレ
ゾール)などのフェノール系や、p,p'−ジオクチルジフ
ェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノ
チアジンなどの芳香族アミン系の連鎖停止型酸化防止
剤、硫化油脂、ベンジルサルファイド、ジアセチルサル
ファイドなどの硫黄系や、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、
ジアリルジチオ燐酸亜鉛などの硫黄、燐系の過酸化物分
解型酸化防止剤、N,N'ジサリチルデン−1,2-ジアミノプ
ロパン、ベンゾトリアゾール、2(n-ドデシルジチオ)
ベンズイミダゾールなどの金属不活性型酸化防止剤の1
種又は2種以上を用いることができる。
【0020】また防錆剤としては、バリウムナフタレン
スルフォネートなどのスルフォネート系、N-アルキルト
リメチレンジアミンジオレエート、脂肪族アミン−ナフ
テン酸縮合物などのアミン系、各種ナフテン酸塩類、オ
レイルザルコシンなどを1種又は2種以上用いることが
できる。
【0021】
【実施例】以下、試験例、実施例及び比較例により本発
明を具体的に説明する。 (試験例1)基油としてのパラフィン系鉱油が75重量
%、増稠剤としてのLi石鹸が20重量%からなり、さ
らに添加剤としてモリブデンジチオカルバメートが5重
量%添加された等速ジョイント用グリースを用い、使用
中の各構成要素の変化率を調査した。試験条件は、等速
ジョイントベンチ耐久試験機を用い、回転数6000r
pm、荷重400N、温度100℃の条件で行った。結
果を図1に示す。
【0022】なお、基油については動粘度の変化率を測
定し、増稠剤についてはその含有量の変化率を測定し、
添加剤についてはその含有量の変化率を測定した。図1
より、基油は時間にほぼ比例して動粘度が低下してい
る。これは、上記のような高速・高温条件下では、剪断
及び熱劣化が生じたためである。また添加剤は1000
時間までの初期に減量が大きく、それ以後はほぼ飽和し
ている。これは、摩擦面のなじみができていない初期に
おいて添加剤が特に反応し、また熱によっても分解する
が、摩擦面に添加剤による皮膜が形成されてからは反応
がほとんど生じないためである。一方、増稠剤の変化率
は基油及び添加剤に比べて小さく、使用中の特性変化は
増稠剤が最も小さいことがわかる。また熱による増稠剤
の溶解も見られなかった。
【0023】この試験結果より、基油を固定してグリー
スの性能の経時変化を小さくするには、添加剤を用い
ず、増稠剤に添加剤の機能をもたせることが有効である
と考えられる。 (試験例2)そこで固体潤滑剤として広く用いられ、添
加剤として有用なモリブデンを増稠剤として用いること
を想起し、モリブデン石鹸を製造する実験を行った。結
果を表1に示す。
【0024】<サンプル1>反応装置として10kgの
けん化釜を用い、モリブデンジチオカルバメートが10
重量%、ステアリン酸が8重量%、パラフィン系鉱油が
82重量%となるように投入して、130℃で2時間加
熱反応させ、次いで130℃から室温まで3時間かけて
冷却した。
【0025】しかしながら、モリブデンジチオカルバメ
ートは有機金属化合物であるために、ステアリン酸との
反応が全く生じずモリブデン石鹸は製造できなかった。 <サンプル2>そこでモリブデンジチオカルバメートの
代わりに水酸化モリブデンを10重量%用いたこと以外
はサンプル1と同様にして反応させた。ところが反応系
において水分が分離し、モリブデン石鹸は製造できなか
った。
【0026】これは、水酸化モリブデンがきわめて不安
定な化合物であるために、分解しやすく水分とモリブデ
ン固体とに分離するためである。なお、水酸化モリブデ
ンの量がステアリン酸よりも多めになっているのは、反
応系をアルカリ性に保つためである。以下のサンプルも
同様である。 <サンプル3>そこで、水酸化モリブデンから分離した
水分を吸収することを想起し、水分を吸収しやすい物質
としてホウ酸エステル(MTGボレート)をさらに2重
量%添加し、パラフィン系鉱油を2重量%減らしたこと
以外はサンプル2と同様にして反応させた。これにより
けん化反応が円滑に進行し、増稠剤が製造できた。な
お、ホウ素自体に耐摩耗性向上効果があるので、ホウ酸
エステルを用いることでグリースの潤滑性が一層向上す
ることが期待される。
【0027】<サンプル4,5>また上記ホウ酸エステ
ルの添加量を5重量%及び8重量%と変化させて同様に
反応させたところ、いずれも増稠剤が製造できた。サン
プル3〜5の反応式は、次式に示すようになると推定さ
れ、モリブデン−ホウ素化合物石鹸が形成される。な
お、ホウ酸エステルは水分を吸収することによりホウ酸
を生成し、その反応は平衡反応である。そして生成した
ホウ酸は耐摩耗性向上に効果があり、このようにして得
られたモリブデン−ホウ素化合物石鹸を増稠剤としたグ
リースは、添加剤を不要として優れた潤滑性を有してい
る。
【0028】 Mo(OH)3 + RCOOH +{R[O-(CH2)xy-O}3B → 水酸化モリブデン+ステアリン酸+ ホウ酸エステル → {[Mo(OH)3+RCOOH]+ H3BO3}+ 3R[O-(CH2)xy-OH モリブデン石鹸 +ホウ酸 + 残渣 (モリブデン−ホウ素化合物石鹸) <サンプル6>なお、サンプル1の組成にさらにホウ酸
エステルを5重量%添加し、パラフィン系鉱油を5重量
%減らしたこと以外はサンプル1と同様に反応させた
が、サンプル1と同様にモリブデンジチオカルバメート
は有機金属化合物であるために、ステアリン酸との反応
が全く生じずモリブデン石鹸は製造できなかった。つま
りモリブデンジチオカルバメートを用いたのでは、ホウ
酸エステルの添加は全く意味がない。
【0029】
【表1】
【0030】(実施例1)そこで、パラフィン系鉱油1
00重量部に対して、サンプル4で製造されホウ酸エス
テルを5重量%用いたモリブデン−ホウ素化合物石鹸2
0重量部を混合し、スクリュー付きけん化釜で混練して
グリースを調製した。添加剤は使用していない。
【0031】得られたグリースの潤滑性を評価するた
め、耐摩耗試験を行った。詳しくは、シェル4球摩耗試
験機を用い、回転数3000rpm、荷重100kg、
温度70℃、時間1時間の条件で摩耗量を測定した。結
果を図2に示す。 (実施例2〜7)またホウ酸エステルの添加量を1〜1
0重量%の範囲で種々変化させたこと以外はサンプル3
〜5と同様にしてそれぞれのモリブデン−ホウ素化合物
石鹸を製造し、上記と同様にそれぞれのモリブデン−ホ
ウ素化合物石鹸を用いて、実施例2〜7のグリースを調
製した。そして同様に摩耗量を測定し、結果を図2に示
す。
【0032】図2より、ホウ酸エステルの添加量が3〜
7重量%で調製されたモリブデン−ホウ素化合物石鹸を
用いたグリースでは、摩耗量が10μm以下となってき
わめて潤滑性に優れていることがわかる。一方、ホウ酸
エステルの添加量が3重量%未満で調製されたモリブデ
ン−ホウ素化合物石鹸では、ホウ素の絶対量に不足する
ためほぼモリブデン単独の潤滑性となり、耐摩耗性が低
下する。またホウ酸エステルの添加量が7重量%を越え
て調製されたモリブデン−ホウ素化合物石鹸では、生成
した固体のホウ酸がアブレッシブ材として作用したため
耐摩耗性に対して逆効果となっている。
【0033】(比較例)一方、パラフィン系鉱油100
重量部と、Li石鹸20重量部と、モリブデンジチオカ
ルバメート5重量部を混合し、スクリュー付きけん化釜
で混練して比較例のグリースを調製した。この比較例の
グリースは、使用初期においては実施例1のグリースと
同等の潤滑特性を有している。
【0034】(試験例3)実施例1と比較例のグリース
を用い、耐久性試験を行った。等速ジョイントベンチ耐
久試験機を用い、回転数6000rpm、荷重400
N、温度100℃の条件で2000時間の耐久試験を行
った。その結果、比較例のグリースでは1000時間の
耐久試験でフレーキングが発生したが、実施例1のグリ
ースでは2000時間経過後もフレーキングの発生がな
く、きわめて耐久性に優れていることが確認された。
【0035】
【発明の効果】すなわち本発明のグリース組成物によれ
ば、長期間使用後も安定した潤滑性を示し、耐久性に優
れている。またモリブデン−ホウ素化合物石鹸は耐熱性
に優れているため、従来より高い温度条件まで使用が可
能となり、使用可能な温度域が格段に拡がる。
【0036】さらに水分が混入しても、混入した水分は
ホウ酸エステルの平衡反応に吸収されるため、水分混入
が考えられる自動車の駆動系やシャーシ系部品の摺動部
に用いても高い潤滑性が確保される。また高価な添加剤
を用いなくてもよいので、コスト面からも多大な効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における耐久試験時間と特性変化率と
の関係を示すグラフである。
【図2】実施例及び比較例のグリースにおいてホウ酸エ
ステルの添加量と摩耗量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 121:04) (C10M 121/04 113:08 115:00 117:02) C10N 10:12 20:00 30:00 30:08 40:04 50:10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基油と増稠剤とからなるグリース組成物
    において、該増稠剤として少なくともモリブデン−ホウ
    素化合物石鹸を含むことを特徴とするグリース組成物。
  2. 【請求項2】 前記モリブデン−ホウ素化合物石鹸は、
    水酸化モリブデンと脂肪酸の合計100重量部に対して
    ホウ酸エステルを3〜7重量部配合し反応させて得られ
    たものであることを特徴とする請求項1記載のグリース
    組成物。
JP10909797A 1997-04-25 1997-04-25 グリース組成物 Pending JPH10298579A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004359829A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Nikko Materials Co Ltd ゴムと金属との接着促進剤、その製造方法、およびそれを含むゴム組成物
CN1322104C (zh) * 1999-03-15 2007-06-20 国际壳牌研究有限公司 用于等速万向节的润滑脂组合物

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